JPH0651927B2 - ポリアミド繊維の製造方法 - Google Patents

ポリアミド繊維の製造方法

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JPH0651927B2
JPH0651927B2 JP58073461A JP7346183A JPH0651927B2 JP H0651927 B2 JPH0651927 B2 JP H0651927B2 JP 58073461 A JP58073461 A JP 58073461A JP 7346183 A JP7346183 A JP 7346183A JP H0651927 B2 JPH0651927 B2 JP H0651927B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、高速紡糸法により、機械的性質、熱安定性、
染色特性に優れ、編織物用に適したポリアミド繊維を製
造する方法に関するものである。
従来のポリアミド繊維の直接紡糸延伸方法は、例えば特
公昭43−20263号公報、特公昭46−22886
号公報などに示されるように、第1引取りローラ対と第
2引取りローラ対とで糸条をし、加熱された第2引取り
ローラ対で該糸条を熱固定するという方法が一般的であ
る。この方法により得られる繊維の物性は好ましいもの
であるが、第2引取りローラ対を5,000〜6,00
0m/分のような高速にしたとき糸条の揺れが大きく、
特に前記ローラ対に8〜16糸条の多糸条を多数周回さ
せた場合には、糸条間での重なりが生じ糸切れとなった
り、あるいはそれを避けるため糸条間隔を大きくとろう
とすると、ローラ長が長くなり、装置的に高速回転が不
可能になるなどの問題点があった。
また、上記直接紡糸延伸方法のような引伸ローラ間延伸
をせずに6,000〜8,000m/分の高速で引取
る、いわゆる高速紡糸法が知られている。しかし、この
方法で機械的な糸物性として好ましい水準である40%
程度の残留伸度を得ようとすると、8,000m/分以
上の高速で引取る必要があり、糸切れが多発したり強度
が低下したりして、工業的生産には適していないのであ
った。
こうした方法の改良として、特公昭50−25644号
公報や特公昭58−3048号公報などにポリアミド糸
条を冷却固化後、加熱雰囲気中を通過させるという方法
が提案されている。この方法は、ポリアミド繊維の残留
伸度を減少させ、熱安定性を向上させるうえで、かなり
効果的ではあるが、得られた繊維は遅延回復率が高く、
チーズワインダ方式での巻取りが困難であるという問題
があった。すなわち、チーズワインダで巻取っている途
中で、パッケージの端面ふくらみが大きく生じ、ついに
は巻幅がチーズワインダ幅以上に広がってしまい巻取り
不能になるという問題があった。さらに、紙ボビンに巻
取る場合には、巻取り後の後収縮によりボビンがつぶ
れ、パッケージフォーム不良となるという問題があっ
た。
また、3,000〜4,000m/分程度の巻取速度で
高速紡糸して得られた繊維は、加熱雰囲気内での熱延伸
倍率が大きく、フィラメント間で延伸斑が生じるため、
繊度斑、染色斑などの糸構造斑が目立つといった問題が
生じるのであった。
そこで、繊維を冷却固化後に加熱雰囲気を通過させ高速
で巻取るという製糸方法によって得られるポリアミド繊
維について、その内部歪を減少させて遅延回復率を減少
させ、巻取パッケージフォームを改善すること、さら
に、3,000〜4,000m/分程度の巻取りで得ら
れた繊維の糸斑を減少させることを主な目的として検討
を重ねた結果、加熱雰囲気通過および給油の後に(Tg
+80)℃〜(Tg+100)℃の加熱ロールで熱処理
し、4,500m/分以上の巻取りを行なうことが有効
であることを見出し、本発明をなすに至った。
しかも、4,500m/分以上の巻取りで得られた繊維
の有する欠点(すなわち、非晶部分の配向の乱れによ
り、機械的性質、熱的性質および染色特性、特に洗濯時
の染色堅牢性が悪いこと)をなくすためにも、上記した
固化後の加熱雰囲気通過は有効であった。
即ち、本発明は、口金吐出孔より溶融吐出された熱可塑
性ポリアミド紡出糸条を、該ポリアミドの固化点以下に
冷却した後、(Tm−100)℃〜(Tm−10)℃の
温度に加熱した雰囲気中(以下、第1加熱域という)を
通過させ、油剤を付与した後、(Tg+80)℃〜(T
g+100)℃の表面温度の加熱ローラで熱処理し、 4,500m/分以上の速度で巻取ることからなるポリ
アミド繊維の製造方法である。
本発明によれば、4,500m/以上の高速紡糸により
フィラメント間の配向の乱れは減少され、繊維軸方向の
非晶部分の配向の乱れは第1加熱域通過での熱延伸効果
により十分に解消され、さらに第1加熱域通過での熱延
伸で生じた内部歪は給油後の加熱ローラでの熱固定効果
により十分に解消され得るので、得られたポリアミド繊
維は、機械的性質、熱的性質、染色特性に優れ、かつ、
遅延回復率が減少したものとなり、チーズワインダ方式
で良好なパッケージを形成することが可能となる。
以下、本発明法について詳細に説明する。
熱可塑性ポリアミドを通常の方法で口金吐出孔より溶融
吐出して得られる紡出直後の糸条は、冷却風吹きつけあ
るいは空冷のような通常の冷却装置により、前記ポリア
ミドの固化点温度以下に一旦冷却される。この冷却を行
なう前の紡出糸条にポリアミド融点以上の高温加熱域を
通すことは、繊維の太さ斑を生じるので好ましくない。
次いで、第1加熱域で加熱される。
第1加熱域の入口の位置は、糸条が固化点に達する位置
より下方であればよいが、糸条に対する空気抵抗を下げ
る意味で固化点位置に近い方が好ましい。
また、第1加熱域の入口に糸条を案内するガイドを設け
る場合、このガイドは糸条との接触ができるだけ小さく
なるような形状が好ましく、さらに、接触摩擦係数が低
くかつ摩耗強度の高い材質、例えば表面粗度が1〜3S
のセラミックガイドが好ましい。
第1加熱域をなす加熱雰囲気を形成する装置としては、
糸条の非接触加熱装置であればいかなるものでもよい
が、なかでも円形断面の加熱管が好ましい。この加熱管
の内径は、糸条が管に接触せずに通過するために十分な
大きさが必要であり、1糸条あたり5〜20mmの内径を
有することが好ましい。管の長さは、糸速4,500〜
5,500m/分の場合で、糸条の管通過時間が0.0
1〜0.03秒となる長さが好ましく、一般に50〜3
00cmが好ましい。さらに望ましくは150〜250cm
である。
第1加熱域の温度は(Tm−100)℃〜(Tm−1
0)℃の範囲にあることが必要である。なお、Tmは、
前記ポリアミドの融点をさすものであり、例えば、ナイ
ロン6のTmは約215℃、ナイロン66のTmは約2
55℃である。
(Tm−100)℃未満の温度では、熱処理効果が少な
いため、得られる繊維の機械的性質の向上が十分でな
く、かつ染色特性の向上も十分でない。また、(Tm−
10)℃を越える温度では走行糸条間で融着が発生し、
安定巻取りができない。
第1加熱域をなす加熱雰囲気としては、好ましくは空気
であるが窒素でもよい。また、管内の加熱雰囲気は糸条
による随伴気流およびそれに伴う乱流以外は静止雰囲気
でもよいが、加熱気体を糸条の上流から積極的に導入し
た方が好ましい。
第1加熱域での熱処理を十分に行うためには、第1加熱
域通過直後の紡糸張力は 以上(F:糸条フィラメント数)であることが好まし
い。
第1加熱域を通過させた後に糸条に給油する油剤として
は、濃度2〜15重量%のエマルジョン型油剤でもよい
が、鉱物油と界面活性剤との混合物を主体とする非含水
型油剤を用いる方が好ましい。
油剤付与後に通過させる加熱ローラは、1個でも多数個
であってもよい。
加熱ローラを糸条が接触走行する時間は、0.005〜
0.03秒が好ましい。0.005秒未満の時間では熱
固定が少ないため、糸の残留歪が大きく、巻取って得ら
れるパッケージのフォームが悪い。また、0.03秒を
越えると糸が熱緩和し過ぎて糸切れが多くなり、安定巻
取りが困難となる。
加熱ローラの表面温度としては(Tg+80)℃〜(T
g+160)℃が必要である。ここでTgは前記ポリア
ミドのガラス転移点であり、例えばナイロン6のTgは
45〜40℃、ナイロン66のTgは50〜45℃であ
る。この温度が(Tg+80)℃未満の場合は、熱固定
効果が十分に行われないため、得られる繊維の残留歪、
即ち、遅延回復率が大きく、得られるパッケージのフォ
ームが悪い。また、(Tg+160)℃を越えると、走
行糸に融着が生じ安定巻き取りができなくなったり、糸
の強伸度特性が劣化して良好な糸特性が得られないなど
の問題が生じる。
加熱ローラ通過後に4,500m/分以上の巻取速度で
巻取る際の巻取張力は、0.05〜0.3g/dの範囲
内であることが好ましい。0.05g/d未満では引取
りローラなどに巻取られたり、トラバース装置から糸条
がはずれたりしてドラムあるいはボビンに巻取ることが
困難である。また、0.3g/dを越えると繊維の残留
歪が大きくなりすぎて、良好なパッケージフォームが得
られ難かったり、あるいはパッケージの中央と端面とで
繊維特性差が大きくなりすぎて、製品不良を生じるなど
の問題がある。さらに好ましくは0.1〜0.2g/d
である。
糸斑が小さく、機械的性質、染色特性の優れた繊維を得
るためには、巻取速度は4,500m/分以上が必要で
あり、4,600m/分以上が好ましい。
本発明法を実施する工程を、その実施態様を例示する第
1〜2図に沿って説明する。
紡糸口金1の口金吐出孔より溶融吐された紡出糸条Y
は、冷却装置2によりポリアミドの固化点温度以下に冷
却され、集束ガイド3により集束され、第1加熱管4を
通して加熱され、給油装置5で給油される。次いで、加
熱ローラ6により熱処理され、必要に応じてインターレ
ースを加えた後、巻取られる。
加熱ローラ6の前後には非加熱ローラ7を併用してもよ
く、インターレース装置9を両ローラ間あるいはその後
に加えてもよい。
なお、本発明にいう「ポリアミド」とは、ナイロン6あ
るいはナイロン66を主に指すが、これらに少量の他の
ポリアミド形成成分を共重合したコポリアミドでもよ
い。また、これらのポリアミドは艷消剤、着色剤、耐熱
安定剤、紫外線吸収剤、充填剤、吸湿剤、その他の添加
物を含有してもさしつかえない。
本発明法によると、結晶部分の配向が十分に進んでい
て、かつ、非晶部分の配向の乱れもない優れたポリアミ
ド繊維が得られるのであり、すなわち、得られた繊維
は、機械的特性、熱的性質、染色特性に優れ、かつ、遅
延回復率の低いものであった。従って、チーズワインダ
方式で良好なパッケージを形成することができ、紙ボビ
ンに巻いても紙ボビンがつぶれることがなく、また、織
物にした後に収縮斑を出じることもなかった。
本発明法で得られたポリアミド繊維は、衣料用繊維、例
えば、トリコット用、丸編用、織物経糸用、織物緯糸用
などに好適である。
以下の実施例で本発明をさらに詳述する。
[実施例1] ナイロン6チップ(硫酸相対粘度ηr=2.6)を溶融
温度265℃で溶融後、直径0.3mm(孔数24個)の
吐出孔から吐出した。吐出量は各巻取速度において巻取
糸繊度が70Dとなるように調整した。紡出糸条を温度
18℃、風速30m/分の冷却横風で冷却後、吐出口金
から3mの位置に入口をもつ第1加熱管(温度200
℃、管長さ120cm、管内径1.5cm)に糸条を案内し
た。第1加熱管には、上流から200℃に加熱した空気
を50Nl/分の流量で流した。その後、非含水油剤を
3重量%付与した後、180℃に加熱され、表面粗度
0.6S、周長1mの加熱ローラに半周回巻き付けた
後、表1に示す各巻取速度で、巻取張力7gでチーズワ
インダ方式により巻取った。
前記加熱ローラの代りに非加熱ローラを用いた場合を比
較例として、No.6〜10に示した。
巻取時のフォームの良否を判別し、得られた繊維の遅延
回復率を測定したところ、加熱ローラを設けたNo.1〜
5の場合(本発明法)は、遅延回復率が低く、巻取フォ
ームが良好であったが、加熱ローラを設けないNo.6〜
10の場合(比較例)は、遅延回復率が高く、巻取フォ
ーム不良で実用化し難いものであった。
また、本発明法(No.1〜5)で得られた繊維の物性を
測定したところ、表2に示すように優れたものであっ
た。
なお、各物性はJIS法により測定したが、染色堅牢度
は針数320本、77cm/コースの簡編を“Xylene Fas
t Blue P”の2%owfで98℃、30分間染色したもの
についての洗濯色落ちをJIS法で測定した値であり、
5級が最良で、通常使用可能なレベルは3級である。
[実施例2] 実施例1における第1加熱管の温度および加熱ローラの
温度を表3に示す各値に変更し、5000m/分で巻取
りった以外は、実施例1と同じ方法で製糸してポリアミ
ド繊維を製造した。
得られた繊維の物性値を示す表3の結果からわかるよう
に、第1加熱域の温度が低過ぎる場合(No.11)は、
巻取りフォームは良かったが機械的特性が悪かった。逆
に、高過ぎる場合(No.16)は、単糸どうしが融着し
て巻取ることができなかった。
また、第2加熱域(加熱ローラ)の温度が低過ぎる場合
(No.12)は、遅延回復率が大きく、巻取りフォーム
が不良であった。逆に、高過ぎる場合(No.17)は、
毛羽の発生が多く巻取ることができなかった。
【図面の簡単な説明】
第1〜2図は、それぞれ本発明法を実施する工程の実施
態様を例示する概略図である。 1:紡糸口金、2:冷却装置 3:糸集束ガイド、4:第1加熱管 5:給油装置、6:加熱ローラ 7:非加熱ローラ、9:インターレース装置 10:巻取装置、Y:紡出糸条
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭51−123322(JP,A) 特公 昭57−25644(JP,B1) 特公 昭57−53444(JP,B1) 特公 昭58−3048(JP,B2)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】口金吐出孔より溶融吐出された熱可塑性ポ
    リアミド紡出糸条を、該ポリアミドの固化点温度以下に
    冷却した後、(Tm−100)℃〜(Tm−10)℃の
    温度に加熱した雰囲気中を通過させ、油剤を付与した
    後、(Tg+80)℃〜(Tg+160)℃の表面温度
    の加熱ローラで熱処理し、4,500m/分以上の速度
    で巻取ることを特徴とするポリアミド繊維の製造方法。 (ただし、Tm:前記ポリアミドの融点、 Tg:前記ポリアミドのガラス転移点である。)
JP58073461A 1983-04-26 1983-04-26 ポリアミド繊維の製造方法 Expired - Lifetime JPH0651927B2 (ja)

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