JPH0651577U - ベンチレーテッドタイプディスクロータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 制動時の熱変形、クラックの発生、ブレーキ
ジャダーの発生等の無い軽量で耐久性のあるベンチレー
テッドタイプディスクロータをを提供すること。 【構成】 アウタとインナの両摺動面ディスクがリブ内
端部より軸心方向へ延出された連結帯を介して車両への
取付面の外周縁に連続する円筒状部に連設されたアウタ
とインナの両摺動面ディスクの連結帯の一方または両方
と円筒状部の両連結帯間のいずれかまたは両方に小孔を
形成した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、車両のブレーキ装置に用いられるベンチレーテッドタイプディスク ロータの改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来の自動車等の車両のベンチレーテッドタイプディスクロータは、例えば図 ７，図８に示すごとく、ディスクロータ１の、ブレーキパッドを押付けて制動を 行うための円板状のインナの摺動面ディスク２とアウタの摺動面ディスク３とが 相対峙して設けられ、制動の際前記ブレーキパッドの押付けによる摺動面の発熱 の冷却効果を高めるために、前記両ディスク２，３の間に空気の流れる間隙を設 け、該間隙に前記両ディスク２，３を連結するリブ４，４が放射状に形成され、 隣り合う各リブ４，４の間に冷却用空気の通路となるスロット５，５が設けられ ている。

【０００３】 前記アウタの摺動面ディスク３の軸心側には車両へ取り付けるための円筒状部 ６が連設され、該円筒状部６の外端である底部は、車両への取付フランジ部たる 取付面７の外周縁に連続され、取付面７には、中央孔８、取付孔９，９およびデ ィスクロータ１の車両からの取り外しのための補助孔１０，１０が穿設されてい る。

【０００４】 前記従来のベンチレーテッドタイプディスクロータは、車両のブレーキ制動を 行うとき、高速回転時に、または短時間内に制動頻度を多くした場合には、イン ナの摺動面ディスク２およびアウタの摺動面ディスク３に高熱を発生し、図９に 示すごとく摺動面ディスク３は円筒状部６を軸に点線に示すごとく熱変形を起こ す。

【０００５】 この熱変形が生ずると、特にアウタの摺動面ディスク３側に大きい内部応力が 発生し、図１０および図１１に示すごとく、両ディスク２，３に、放射状のクラ ックＣ₁，Ｃ₂が発生し易くなり、また前述の熱変形を起こすと、ブレーキパッド とディスクロータ１との当り（接触）が不安定となり、ブレーキの効き変動を起 こし、ブレーキジャダーが発生し易くなるという問題がある。

【０００６】 前記の課題を解決するための手段として、実開平２ー４６１２６号公報に示す ごとき手段等が示されている。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、激しい制動作用を受け、アウタおよびインナの両摺動面ディスクが 高温となっても、従来のごとき熱変形を生ずる恐れがなく、このためクラック発 生もなく、冷却効率も良好で、如何なる運転操作時にも良好なブレーキ性能を維 持し、熱応力の分散が図れ、強度の向上も図れ、かつ軽量化のニーズにも対応で きるベンチレーテッドタイプディスクロータを提供することを課題としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

前記課題を解決するため、本考案は、前述の従来の解決手段と別の手段を用い 、ベンチレーテッドタイプディスクロータの相対峙する２枚の円盤状のアウタお よびインナの両摺動面ディスク相互の対向面間を連結する多数のリブを、軸心に 対し放射状に形成し、前記リブの軸心側の内端部は前記アウタおよびインナの両 摺動面ディスクの摺動面の内周端までとされ、アウタおよびインナの両摺動面デ ィスクが軸心方向へ延出され連結帯とされ、該連結帯が車両への取付面外周縁に 連続する円筒状部に連設された構成、特に前記アウタおよびインナの摺動面ディ スクの連結帯のいずれかまたは両方のリブの中間に、順列また隔列に軸方向に小 孔が穿設された構成、また前記アウタおよびインナ両摺動面ディスクの連結帯の 中間の円筒状部に、半径方向に、リブの中間の順列または隔列に小孔を穿設した という構成、さらに前記両連結帯のいずれかまたは両方に、リブの中間の順列ま たは隔列に軸方向に小孔が穿設され、かつ円筒状部の両連結帯の中間かつリブの 中間に順列または隔列に半径方向に小孔が穿設されている構成により、前述の課 題を解決し得たのである。

【０００９】

【作用】

本考案によると、アウタとインナの両摺動面ディスクは相互にリブを介して連 結されるのみでなく、それぞれ連結帯を介して円筒状部と直接連続され、ブレー キパッドの摺接による摺動面の高熱は、アウタとインナの両摺動面ディスクおよ び円筒状部に均等に伝導され、またディスクロータ全体の強度が向上され、特に 円筒状部の両連結帯間にリブの中間の順列または隔列に多数の小孔が穿設され、 また前記両連結帯のいずれかまたは両方に、リブ間に順列または隔列に多数の小 孔が穿設され、さらには両連結帯のいずれかまたは両方と両連結帯間の円筒状部 に、リブの順列中間または隔列中間に小孔が穿設されているため、ブレーキパッ ドの摺接による摺動面の高熱はアウタとインナの両摺動面ディスクおよび円筒状 部に均等に伝導され、小孔を通過する冷却風の冷却効果の向上と共に、熱変形が 小となり、両摺動面ディスク特にアウタ摺動面ディスクの内部応力が減少し、ク ラックの発生もなく、ブレーキパッドとの当接も安定し、耐久性が高められ、両 摺動面ディスクが連結帯を介して円筒状部と直接連続することにより、ディスク ロータの強度も向上し、小孔を多数穿設することにより軽量化も図ることができ る。

【００１０】

【実施例】

図１ないし図６はそれぞれ実施例のベンチレーテッドタイプディスクロータ１ を示しており、相対峙するアウタの摺動面ディスク１１とインナの摺動面ディス ク１２とは、軸心に対し放射状に形成された多数のリブ１３，１３により一体に 結合されている。

【００１１】 リブ１３の軸心側の内端部１４は、前記アウタおよびインナの両摺動面ディス ク１１，１２それぞれの摺動面２３，２４の内周端１５，１６までとされ、両摺 動面ディスク１１，１２はそれぞれ連結帯２５または２６として軸心方向へ延出 されている。

【００１２】 前記両摺動面ディスク１１，１２の連結帯２５，２６の内端部２７，２８は、 それぞれベンチレーテッドタイプディスクロータ１を車両へ取り付ける取付面１ ７の外周縁１８に連続する円筒状部１９に一体に連結されている。

【００１３】 前記両摺動面ディスク１１，１２の連結帯２５，２６の一方または両方に、リ ブ１３の軸心側たる内端部１４より軸心側に、各リブ１３，１３の中間または各 リブ１３，１３の隔列中間に、軸心方向に、アウタ側の小孔２０またはインナ側 の小孔２１をそれぞれ穿設したものである。

【００１４】 図１には、アウタ側の小孔２０とインナ側の小孔２１とが穿設されている実施 例を示し、図２には、各リブ１３，１３の中間に小孔２０（２１）が穿設されて いる実施例を示し、図３，図４には、アウタ側の小孔２０のみが穿設されている 実施例を示し、図６にはインナ側の小孔２１のみが穿設されている実施例を示す 。

【００１５】 図１，図４，図５，図６に示す実施例には、円筒状部１９の両連結帯２５，２ ６間に、各リブ１３，１３の中間、または各リブ１３，１３の隔列中間に半径方 向へ小孔２２が穿設されている。

【００１６】 図１に示す実施例では、小孔２０，２１と共に小孔２２が併設されており、図 ３に示す実施例では、小孔２０のみが穿設されており、図４に示す実施例では、 小孔２０と小孔２２が併設されており、図５に示す実施例では小孔２２のみが穿 設されており、図６に示す実施例では小孔２１と小孔２２とが併設されている。

【００１７】 図２に示すごとく、取付面１７には、従来品と同様に、中央孔８、取付孔９、 取外し用の補助孔１０が穿設されている。

【００１８】

【考案の効果】 本考案では、アウタとインナの両摺動面ディスク相互の対向面間を多数のリブ で連結され、かつアウタおよびインナの両摺動面ディスクは連結帯を介して車両 への取付面外周縁に連続する円筒状部に連設されているので、充分な強度を保持 することができる。

【００１９】 前記円筒状部ならびにアウタとインナの両摺動面ディスクの連結帯の少なくと もいずれかに小孔が穿設されているものにあっては、両摺動面ディスクの中間を より多量の空気が通過し易く、両摺動面ディスクの冷却効果が向上すると共に、 ベンチレーテッドタイプディスクロータの軽量化にも寄与できる。

【００２０】 高温となったアウタおよびインナの両摺動面ディスクの熱は、連結帯の円筒状 部への連結部位において円筒状部へ拡散され、図９に示すごとき摺動面ディスク の熱変形を小とし、従って内部応力も小となり、これらの部分に、図１０，図１ １に示すごときクラックが発生することもなく、ブレーキパッドとの当接も安定 し、アウタおよびインナの両摺動面におけるクラックの発生を防止でき、ベンチ レーテッドタイプディスクロータの耐久性が高められる効果を奏する。

【００２１】 また熱変形が小であることにより、ブレーキパッドと摺動面との接触も安定し 、良好なブレーキ性能を発揮でき、ブレーキジャダーの発生を防止できる効果を 奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例を示す図２中Ａ−Ａ線軸心縦断面図であ
る。

【図２】図１に示すものの一部を断面として示した平面
図である。

【図３】アウタの連結帯にのみ小孔を穿孔した実施例を
示す一部軸心縦断面図である。

【図４】アウタの連結帯および円筒状部に小孔を穿孔し
た実施例を示す一部軸心断面図である。

【図５】円筒状部にのみ小孔を穿孔した実施例を示す一
部軸心断面図である。

【図６】インナの連結帯および円筒状部に小孔を穿孔し
た実施例を示す一部軸心断面図である。

【図７】従来品の一例を一部断面として示した平面図で
ある。

【図８】図７に示すものの軸心縦断面図である。

【図９】従来品の要部の熱変形状態の略示軸心縦断面図
である。

【図１０】従来品のインナ摺動面ディスクのクラックの
発生状態を模型的に示す一部平面図である。

【図１１】従来品のアウタ摺動面ディスクのクラックの
発生状態を模型的に示す一部平面図である。

【符号の説明】

１ ベンチレーテッドタイプディスクロータ １１ アウタの摺動面ディスク １２ インナの摺動面ディスク １３ リブ １４ 内端部 １５，１６ 内周端 １７ 取付面 １８ 外周縁 １９ 円筒状部 ２０，２１，２２ 小孔 ２３，２４ 摺動面 ２５，２６ 連結帯

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 相対峙する２枚の円盤状のアウタおよび
   インナの両摺動面ディスク相互の対向面間を連結する多
   数のリブが、軸心に対し放射状に形成されているベンチ
   レーテッドタイプディスクロータにおいて、前記リブの
   ディスク軸心側の内端部は、前記アウタおよびインナの
   両摺動面ディスクの摺動面の内周端までとされ、アウタ
   およびインナの両摺動面ディスクが軸心方向へ延出さ
   れ、それぞれ連結帯が形成され、車両への取付面の外周
   縁に連続する円筒状部に前記連結帯を介して連設されて
   いることを特徴とするベンチレーテッドタイプディスク
   ロータ。
2. 【請求項２】 連結帯に少なくとも各リブの隔列中間に
   小孔が穿設されている請求項１記載のベンチレーテッド
   タイプディスクロータ。
3. 【請求項３】 円筒状部のアウタおよびインナの両摺動
   面ディスクの連結帯間に、少なくとも各リブの隔列中間
   に小孔が穿設されている請求項１記載のベンチレーテッ
   ドタイプディスクロータ。
4. 【請求項４】 連結帯および円筒状部の両連結帯間に、
   少なくとも各リブの隔列中間に、それぞれ小孔が穿設さ
   れている請求項１記載のベンチレーテッドタイプディス
   クロータ。