JPH065149Y2 - ラム押出し成形装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、樹脂製品の成形技術に係るラム押出し成形装
置に関するものである。

〔従来の技術〕

従来からロッド状の樹脂製品を成形する装置の一種とし
て、第２図に示すように、ダイ(1)の内径部に形成した
成形空間(2)にシュート(3)からホッパー(4)を介して成
形材料(a)を投入し、該成形材料(a)を前記ダイ(1)の外
周に配置した加熱機構(5)により加熱しながらラム(6)に
よって押出し成形するラム押出し成形装置が知られてい
る。ダイ(1)の外周には加熱機構(5)の加熱外筒(7)が装
着され、このダイ(1)と加熱外筒(7)は固定金具(9)をつ
かって台座(8)に固定されている。(10)は前記加熱外筒
(7)とともに加熱機構(5)を構成するヒータ、(11)はラム
(6)を昇降させる油圧シリンダを示し、コンパウンド状
になる成形材料(a)は供給ホッパー(12)からロータリー
バルブ(13)を経てシュート(3)に送り出される。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記成形装置は、主にPTFE（四弗化エチレン樹脂）を材
料(a)とし、コンパウンド状に予備加工したこの成形材
料(a)をロッド状の製品となるように図上下方へ向けて
押出し成形するものであるが、ダイ(1)内周の成形空間
(2)に１本のシュート(3)からホッパー(4)を介して該成
形材料(a)を投入充填する構造であって、投入動作が繰
り返されるたびに前回投入分の成形材料(a)の上にその
まま新規投入分の成形材料(a)が堆積することから、成
形空間(2)に投入された成形材料(a)の太さ方向の断面に
おいて局部的に堆積状態が密な部分（シュート(3)の投
入端直下近傍部分）と疎の部分が生じ、この状態のまま
押出し成形されるロッド状製品に曲がりを生じる問題を
有している。また上記成形装置に１本のダイ芯棒（第２
図には示さず、後記第１図参照）を加えてパイプ状の樹
脂製品を押出し成形する場合に該芯棒をダイ(1)に対し
同心に保つ必要があるが、上記した成形材料(a)の偏積
により芯棒が成形材料(a)の密な部分方向から疎の部分
方向へ押されて偏心してしまい、製品に曲がりのほかに
偏肉を生じる問題がある。これらの問題に対して従来、
ホッパー(4)の形状に工夫を凝らして成形材料(a)を均一
に投入しようとする試みがなされているが、同じコンパ
ウンドでも品種ごとに流動性が異なることもあって有効
な解決策となっといないのが実情である。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は以上の点に鑑み、上記従来技術にみられる問題
を解消する目的で案出されたものであって、この目的を
達成するため、ダイの内径部に形成した成形空間にシュ
ートからホッパーを介してコンパウンド状の成形材料を
投入し、前記成形材料を前記ダイの外周に配置した加熱
機構により加熱しながらラムによって押出し成形する成
形装置であって、前記成形空間に前記成形材料を投入す
るときに前記ダイをその軸心を中心として回転作動させ
ることを特徴とするラム押出し成形装置を提供する。

〔作用〕

成形空間に成形材料を投入するときにダイをその軸心を
中心として回転作動させると、成形空間に既に投入され
て堆積した成形材料がこのダイとともに回転する。成形
空間はダイの内径部に形成されており、よって成形空間
に投入されて堆積した成形材料はその全てが回転する。
そしてこの回転している投入済みの成形材料の上に更に
成形材料が偏心した位置において次々と投入され続ける
ために、結果的に、投入された成形材料が回転円周上、
略均一の高さに堆積する。

〔実施例〕

つぎに本考案の実施例を図面にしたがって説明する。

第１図はダイ芯棒(21)を備えてパイプ状の樹脂製品を押
出し成形する装置を示し、台座(8)に対しベアリング(1
2)(18)をつかって回転自在に取り付けられたダイ(1)
は、その下端外周に回転駆動用ギア(20)を有し、該ギア
(20)を介して外部駆動源（図示せず）から入力される回
転力によりその軸心を中心として回転するように構成さ
れており、ダイ(1)の内径部に形成した成形空間(2)に投
入したコンパウンド状の成形材料(a)、ダイ芯棒(21)お
よびホッパー(4)がこれに従動回転する。ダイ芯棒(21)
を回転させるため、該芯棒(21)の上端部にはベアリング
(22)(23)が備えられている。またダイ(1)については、
ラム(6)の下降時に該ダイ(1)にかかる力によってベアリ
ング(18)を傷めることがないように該ベアリング(18)を
上下方向にスプリング(19)で支えて、ラム(6)が下降し
たとき、ベアリング(18)がへこんでベアリング(18)以外
の部分で押付力を受けるように構成されている。ダイ
(1)の外周に配置される加熱機構(5)については第２図に
示したヒータ(10)にロータリージョイント（図示せず）
を介して送電することが考えられるが、最大で約10kwの
大電流を送る必要があることからロータリージョイント
の寿命を長く保つことができずにメンテナンスコストが
嵩むおそれがある。そこで第１図の例ではダイ(1)の外
周に断熱材(14)を装着するとともに高周波誘導加熱リン
グ(15)を離間配置する非接触式の高周波誘導加熱機構を
採用し、ダイ(1)を直接加熱することにした。またこの
加熱機構(5)の近傍に赤外線放射熱温度計(16)を設置
し、該温度計(5)から得られる情報を加熱温度制御に利
用する構成とした。ダイ(1)は、ラム(6)の昇降に同期し
て成形空間(2)に成形材料(a)が投入される時間に合わせ
て回転するように構成され、回転数は10〜60rpmに設定
される。またこのダイ(1)をスプリング(19)で浮かすよ
うに構成したことに関連して、ダイ(1)の一部に微振動
を与えてダイ(1)とダイ芯棒(21)の間で成形材料(a)がブ
リッジしたものを解消させる手段を加えることが考えら
れる。

〔考案の効果〕

本考案は以下の効果を奏する。すなわち成形空間にシュ
ートからホッパーを介してコンパウンド状の成形材料を
投入するものであって、よって成形材料が偏積する虞の
あった成形装置について、投入中、投入済みの成形材料
の全てをダイとともに回転させるようにしたために、投
入した成形材料を回転円周上、略均一の高さに堆積させ
ることができ、成形材料が偏積するのを防止することが
できる。したがってこれによりロッド状の樹脂製品に曲
がりが生じたり、パイプ状の樹脂製品に偏肉が生じたり
するのを防止することができ、試験の結果によると肉厚
が２．５〜３．０mmの薄いパイプ製品についても有効で
ある。また加熱機構として高周波誘導加熱機構を用いれ
ば、複雑なジョイント配線をする必要がなく、加熱効率
を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例に係る成形装置の断面図、第２
図は従来例に係る成形装置の断面図である。 (1)ダイ、(2)成形空間、(3)シュート (4)ホッパー、(5)加熱機構、(6)ラム (7)加熱外筒、(8)台座、(9)固定金具 (10)ヒータ、(11)油圧シリンダ (12)供給ホッパー、(13)ロータリーバルブ (14)断熱材、(15)高周波誘導加熱リング (16)赤外線放射熱温度計 (17)(18)(22)(23)ベアリング、(19)スプリング (20)回転駆動用ギア、(21)ダイ芯棒 (a)成形材料

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ダイ(1)の内径部に形成した成形空間(2)に
   シュート(3)からホッパー(4)を介してコンパウンド状の
   成形材料(a)を投入し、前記成形材料(a)を前記ダイ(1)
   の外周に配置した加熱機構(5)により加熱しながらラム
   (6)によって押出し成形する成形装置であって、前記成
   形空間(2)に前記成形材料(a)を投入するときに前記ダイ
   (1)をその軸心を中心として回転作動させることを特徴
   とするラム押出し成形装置。
2. 【請求項２】前記加熱機構(5)を高周波誘導加熱機構と
   したことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項記
   載のラム押出し成形装置。