JPH0651221U - 滑り止め手袋 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】握り部が綿糸を天竺編みしてなる布で形成さ
れ、前記握り部の表面に編みループのわん曲部が顕現さ
れている。 【効果】濡れた場合でも滑り止め機能が低下せず、むし
ろ向上するため、全天候型の滑り止め手袋として使用す
ることができる。また、握り部を形成する天竺編みの布
が柔軟であるので、手に対する馴染みは非常に優れてお
り、被把持物を確実に握ることができる。さらに、綿編
み物が独自に有する通気性の良さや肌触り感の良さによ
り、快適なプレー又は作業ができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、滑り止め手袋に関する。

【０００２】

【従来の技術及び考案が解決しようとする課題】

従来、握り部の表面を滑りにくくした滑り止め手袋としては、天然皮革又は合 成皮革で作られたゴルフ用手袋や、軍手の握り面に滑り止め層を塗布形成した作 業用手袋などがある。

【０００３】 しかしながら、天然皮革又は合成皮革を素材とするゴルフ用手袋などは、水に 濡れると、水の膜が形成されるため、滑り止め機能が極端に低下する。そのため 、雨天時のゴルフなどにおいては、滑りによる事故やスコアの低下を防止すべく 予め複数個の手袋を準備しておき、所定の時間間隔で乾いたものと交換するなど の工夫が個人レベルでなされているが、かかる交換は非常に煩しいものである。

【０００４】 また、滑り止め層を握り面に塗布形成した作業用手袋についても、滑り止め層 の柔軟性が悪いこと及び滑り止め層が設けられているところだけが厚くなること などの理由から、手に対する馴染みが悪く作業しにくいという問題があった。さ らに、滑り止め層を塗布形成するため、コスト高になるという問題もあった。

【０００５】 本考案は、上記の諸問題を一挙に解決するべくなされたものであって、その目 的とするところは、濡れても滑り止め機能が全く低下せず、手に対する馴染みも 良く、しかも低コストで製造することが可能な滑り止め手袋（以下、「本案手袋 」という。）を提供するにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するための本案手袋は、握り部が綿糸を天竺編みした布で形成 され、この握り部の表面に編みループのわん曲部を顕現させたことを特徴とする 。

【０００７】 本案手袋は、編みループのウェール方向を手袋口部から指先部へ向かう縦方向 へ沿うようにしたものであってもよく、また全体を綿糸を使用して直接手袋状に 編み上げたものであってもよい。さらには、握り部と握り部以外の部分とを別異 の布で形成し、これらの布を手袋状に縫合してなるものであってもよい。

【０００８】

【作用】

本案手袋は、握り部を形成する天竺編みの布が柔軟であるので、手に対する馴 染みが非常に優れており、ゴルフクラブのグリップ又はバット等の被把持物を握 ったとき、編みループのわん曲部の多数が被把持物に接触する。各わん曲部は、 被把持物が回転方向及び／又はその長手方向へ移動せんとすると、これら移動方 向と逆方向へ食い込むような状態で被把持物と接触するので、その移動を阻止す る。これは、ウェール方向への被把持物の移動に対しては、編みループの摩擦抵 抗が、特に大きいためである。

【０００９】 本案手袋は、雨水などに濡れた場合でも、綿糸が水を速やかに吸収するため、 握り部の表面に水の膜が形成されにくい。その結果、被把持物が滑りにくくなる 。むしろ、綿の特性から、多少水に濡れた場合の方が滑り止め機能は向上する。

【００１０】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図を参照しつつ詳細に説明する。 図１は本案手袋の実施例の握り面側を示すものであり、同図（Ａ）は手袋全体 を示す正面図、同図（Ｂ）は編み目の拡大図、図２は同実施例の背面側を示す斜 視図である。

【００１１】 両図に示す本案手袋１は、手袋口部１ａと、手袋口部１ａから延設した手掌部 １ｂ及び手背部１ｃと、手掌部１ｂ及び手背部１ｃから延設した５本の指部１ｄ 〜１ｈとから成り、糸から直接手袋状に編み上げられている。

【００１２】 上記手掌部１ｂ，手背部１ｃ及び５本の指部１ｄ〜１ｈは、綿糸を天竺編みし た布で形成され、これらの表面に編みループ２（図１（Ｂ）参照）のわん曲部２ ａ，２ａ…を顕現させ、編みループ２のウェール方向Ｗを手袋口部１ａから各指 先部へ向かう縦方向Ｘへ沿うようにしてある。わん曲部２ａ，２ａを連結する連 結部２ｂ，２ｂ…（同図中において白抜きで示す部分）は、手肌の触れる裏面側 に顕現している。綿糸としては、１５ｓ〜８０ｓの単糸からなる三子撚糸と、４ ０ｓ〜８０ｓの単糸からなる上撚りが逆の双糸とを引きそろえたものなどが用い られる。因みに、三子撚糸と双糸とを引きそろえるのは、編み地の斜行を止める ためである。編み目の目数は、１５〜３０目／３ｃｍ（好ましくは２０目／３ｃ ｍ）である。天竺編みした布の目付けは、通常５００〜９５ｇ／ｍ² 程度（ゴル フ手袋の場合は２５０ｇ／ｍ² 程度）である。

【００１３】 前記手袋口部１ａは、綿糸及びゴム糸を畦編みしてなる布を、二重に折り重ね て形成してある。手袋口部１ａに使用する綿糸としては、前記天竺編み部と同じ ものであってもよい。ゴム糸は、生ゴム弾性糸、ポリウレタン弾性糸、ポリエス テル弾性糸、生ゴム弾性糸カバーリング糸、ポリウレタン弾性糸カバーリング糸 、ポリエステル弾性糸カバーリング糸などの通常ゴム番手＃７０〜１４０（就中 ＃９０）が好適に用いられる。

【００１４】 前記手背部１ｃには、図２に示すように、皺取り具３を必要に応じて取り付け てもよい。この皺取り具３は、本案手袋１を着用したときに発生する手掌部１ｂ の皺を取ることを目的とするものであり、手背部１ｃに周縁４ｂを縫合した固着 片４と、手背部１ｃに片縁５ｂを縫合した揺動片５とからなり、固着片４の表面 ４ａ及び揺動片５の裏面５ａに一組の面ファスナー６を形成してある。皺取り具 ３は、固着片４に対する揺動片５の重合わせ位置を調節して使用され、とくに手 掌部１ｂが濡れたときに発生する皺を取るのに有効である。

【００１５】 以上の如く構成されて成る本案手袋１は、天竺編みの布が柔軟であるため、着 用すると手に心地好く馴染む。もし、手掌部１ｂに皺が発生したならば、皺取り 具３を調節してその皺を取ることができる。本案手袋１を例えばゴルフ手袋とし て用いたときには、図３に示すように、ゴルフクラブのグリップ７を手掌部１ｂ （図１参照）及び５本の指部１ｄ〜１ｈで握ることになる。このときの手掌部１ ｂは、編み目のウェール方向Ｗとのなす角が約４５度の方向にグリップ７の長手 方向がくるように握ることになる。また、力強く握る中指部１ｆ，薬指部１ｇ及 び小指部１ｈ並びに適度の力で握る人指し指部１ｅは、編み目のコース方向Ｃに グリップ７の長手方向が概ね沿うように握ることになる。さらに、親指部１ｄは 、ウェール方向Ｗにグリップ７の長手方向が概ね沿うように握ることになる。

【００１６】 従って、グリップ７の長手方向の移動は、主として手掌部１ｂ（図１参照）及 び親指部１ｄで阻止され、グリップ７の回動方向の移動は、主として力強く握る 中指部１ｆ，薬指部１ｇ及び小指部１ｈで阻止される。この阻止作用は、編みル ープのわん曲部２ａ，２ａ…のウエール方向Ｗへの移動に対する摩擦抵抗が非常 に大きいことに基づくものである。

【００１７】 本案手袋１は、プレー中に雨水などで濡れたとしても、綿糸が水を速やかに吸 収して手掌部１ｂ等の握り部とグリップ７との間に水膜を形成することがないた め、グリップ７の滑りによるすっぽ抜けや回動が無く安全且つ確実にプレーする ことができる。

【００１８】 本案手袋１は、ゴルフ以外にもヨット、釣り、野球、水中ダイビング等のよう に水に濡れ易いスポーツ又は作業用手袋として特に好適である。

【００１９】 本考案は上記した実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しな い範囲において適宜変更して実施することが可能なものである。例えば、手掌部 １ｂ及び５本の指部１ｄ〜１ｈの握り面側の全部又は一部のみを、表面に編みル ープ２のわん曲部２ａ，２ａ…を顕現させた綿糸製の天竺編みした布で形成し、 他の部分を別異の布（例えば、手肌の触れる裏面に編みループ２のわん曲部２ａ ，２ａ…を顕現させた天竺編みした布、天然皮革又は合成皮革など）を用いるこ とも可能である。さらに、被把持物の種類や握状態の異なるスポーツ等に応じて 、編みループ２のウェール方向Ｗを手袋口部１ａから各指先部へ向かう縦方向Ｘ と交叉する方向とすることも可能である。

【００２０】

【考案の効果】

以上、詳細に説明したように、本案手袋は、次の如き実用的効果を有する。 濡れた場合でも滑り止め機能が低下せず、むしろ向上するため、全天候型の 滑り止め手袋として使用することができる。 握り部を形成する天竺編みの布が柔軟であるので、手に対する馴染みは非常 に優れており、被把持物を確実に握ることができる。 綿編み物が独自に有する通気性の良さや肌触り感の良さにより、快適なプレ ー又は作業ができる。

【提出日】平成５年６月７日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００１３

【補正方法】変更

【補正内容】

【００１３】 前記手袋口部１ａは、綿糸及び弾性糸を畦編みしてなる布を、二重に折り重ね て形成してある。手袋口部１ａに使用する綿糸としては、前記天竺編み部と同じ ものであってもよい。弾性糸としては、ゴム番手＃７０〜１４０（就中＃９０） のゴム糸又は７０〜２８０デニール（就中１４０デニール）のポリウレタン弾性 糸又はこれらのいずれかを芯としたカバリング糸などが好適に用いられる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例に示した本案手袋の握り面側を示し、同
図（Ａ）は手袋全体を示す正面図、同図（Ｂ）は編み目
の拡大図である。

【図２】実施例に示した本案手袋の背面側の斜視図であ
る。

【図３】実施例に示した本案手袋を用いてゴルフクラブ
のグリップを握っている状態を示す斜視図である。

【符号の説明】

１ａ 手袋口部 ２ 編みループ ２ａ わん曲部 Ｗ ウェール方向

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】握り部が綿糸を天竺編みしてなる布で形成
   され、前記握り部の表面に編みループのわん曲部が顕現
   されていることを特徴とする滑り止め手袋。
2. 【請求項２】前記編みループのウェール方向が手袋口部
   から手袋指先部へ向かう縦方向へ沿うようにしてある請
   求項１記載の滑り止め手袋。
3. 【請求項３】綿糸が編糸として使用されて直接手袋状に
   編み上げられてなる請求項１又は２記載の滑り止め手
   袋。
4. 【請求項４】前記握り部と当該握り部以外の部分とが別
   異の布で形成され、これらの布が手袋状に縫合されてな
   る請求項１又は２記載の滑り止め手袋。