JPH06504671A - Neuを介して起こるトランスフォーメーションの抑制方法とそのための組成物 - Google Patents

Neuを介して起こるトランスフォーメーションの抑制方法とそのための組成物

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JPH06504671A
JPH06504671A JP4502955A JP50295592A JPH06504671A JP H06504671 A JPH06504671 A JP H06504671A JP 4502955 A JP4502955 A JP 4502955A JP 50295592 A JP50295592 A JP 50295592A JP H06504671 A JPH06504671 A JP H06504671A
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるため要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 Neuを介して起こるトランスフォーメーションの抑制方法とそのための組成物 本発明は、がん遺伝子を介して起こるトランスフォーメーション、腫瘍形成およ び転移を抑制する方法と、これに関連する遺伝子構成体に関する。特に本発明は 、これまで予後に問題があったヒトの乳房および卵巣のかん腫のかん遺伝子であ る、HER−2/c−erbB −2/ n e uがん遺伝子が介する腫瘍形 成の抑制に関する。
ヒトに悪性腫瘍か発生することは、多くの場合ヒトのゲノムにおける「がん遺伝 子」の存在と発現に相関関係があることが過去10年の間に次第に分がってきた 。腫瘍形成の原因であるがん遺伝子は、これまでに20種類以上が発見されて、 ヒトの癌に直接的な役割を果たしていると考えられている(Weinberg。
R,A、、1985)。 がん遺伝子と同類である、「プロトオンコジーン」と 呼ばれる正常細胞にある遺伝子が突然変異を起こして、表現を変えたり、表現生 成物が活性化したりすると、がん遺伝子となる場合が多い。事実、多くのデータ が、増殖信号に反応する表現(例えば、Camp i s iら、1983参照 )および胚進化の過程での表現(Mu I I e rら、1982)を含めて 、プロトオンコジーンと細胞増殖とを結びつけている。さらに1、プロトオンコ ジーンの多くは、細胞成長因子か、細胞成長因子受容体のどちらかと関連かある 。
c−erbBは上皮成長因子受容体(EGFr)に遺伝信号を伝達する遺伝子で あるが、鳥の赤芽球症ウィルスの形質転換性遺伝子とよく相同している(D。
wnwa r dら、1984)。このc−erbB遺伝子は、多くのプロトオ ンコジーンが属している、チロシンに特異性のあるタンパクキナーゼ系の1物質 である。最近になって、c−erbB−2とも、HER−2とも、あるいはne uがん遺伝子ともいろいろと呼ばれてはいるが、結局は1種類であるがん遺伝子 (以下、簡単にするためneuがん遺伝子という)と、このc−erbB遺伝子 が類似はしているが、お互いに別個の物質であることが分かった。現在ではne uがん遺伝子はヒト女性患者の乳癌と生殖系癌の病因と密接な関係があることで 知られている。
neuがん遺伝子は、p185腫瘍抗原をエンコードするものであるが、化学的 に誘発したラット神経膠腫症のDNAをNIH3T3細胞に導入して行った形質 転換の研究(Shihら、1981)によって同定されたものである。p185 タンパク質は細胞外トランスメンプランと細胞内ドメインとを持ち、従ってその 構造は細胞成長因子受容体の構造と調和している(Schechter ら、1  9 8 4)。 ヒ ト neu 遺伝子は最初、v−erbBプローブとE GF−rプローブに相同しているために単離されたものである(Sebba ら 、1985)。
形質転換性neuがん遺伝子とそれに対応する正常細胞遺伝子であるneuプロ トオンコジーンの分子クローンを作ると、neuによりエンコードされたp18 5タンパク質のトランスメンブランドメインで一個のアミノ酸が変わることから 生じる単点変異によって、neuがん遺伝子が活性化するのが分かる(Barg mann ら、1986;Hung ら、1 9 8 9)。
neuがん遺伝子は、その存在がヒト乳癌と女性生殖系癌の発生と関連がある点 で、医学的に特に重要である。さらに、この遺伝子の増幅/過表現は、これまで もヒト乳癌の再発と残存とに直接的な相関関係を持ってきた(Slamonら、 1987)。従って、neuがん遺伝子に関する情報、特にこの遺伝子の存在ま たは活性化が原因と考えられる癌の進行を逆行させたり、抑制したりするのに適 用できる情報を発展させることは、医学にとってきわめて重要な目標である。
残念ながら現在までのところ、neuがん遺伝子などのかん遺伝子と結びついた 腫瘍形成の表現型をどのようにすれば抑制できるのか、その方法かはとんと分か らなかった。
広範な研究成果により、正常細胞が多段階からなる過程を経て腫瘍形成の表現型 に転換するとの考え方が支持されるようになった(例えば、Landら、198 3 参照)。二つのDNA腫瘍ウィルス、即ちアデノウィルスとポリオーマウィ ルスの研究により、先ずこの仮定を支持する分子モデルが完成された。アデノウ ィルスの場合、−次細胞がトランスフォーメーションするためには初期領域IA (EIA)とIB (EIB)の両方の遺伝子の発現が必要であることが分がっ た(Houwelingら、 1 9 80)。 続いて、 EIA遺伝子生成 物が中期領域のT抗原または活性H−raS遺伝子と協力して一次細胞をトラン スフォーメーションさせることが分かった(Ruley、H,E、。
1985)。これらの観察により、トランスフォーメーション過程には多重機能 が関与していること、および各種のかん遺伝子が細胞面で似たような機能を表現 しているかも知れないことが示唆されている。
アデノウィルスのEIA遺伝子は、多くの興味ある性質を持った数種の関連する タンパク質をコードする。
EIAは、それ自体トランスフォーメーションで第二のかん遺伝子の補体となる ことができるばがってなく、密接に関連する機能により一次細胞の無限増殖を可 能にすることもできる(Ruley、H,E、、1985)。例えば、EIA遺 伝子生成物を一次細胞に導入して血清の存在下で培養すると、この細胞は限りな く増殖することができる能力を獲得することが立証されEIA機能のもう一つの 興味ある作用は、EIA遺伝子生成物がアデノウィルスの初期プロモーターと主 要な後期プロモーターを含む各種ウィルスおよび細胞のプロモーターからの転写 を刺激する「トランス活性化」である。しかながら、トランス活性化はプロモー ター全てに対しであるわけではない。いくつかの例では、EIAはエンハンサ− 成分と結びついた細胞ブロモターからの転写を減少させてしまう(HaleYら 、1984)。また最近にいたり、外部からEIA遺伝子を導込すると、転移力 が弱い細胞NM23遺伝子を活性化することによって、rasによりトランスフ ォーメーションしたラットの胚線維芽細胞が転移する可能性を低く抑えることが できることも立証された(Pozzat t i ら、1988;Wallic h ら、1985)。
EIA遺伝子生成物は、この遺伝子が産生ずる二つのm RN Aの沈降値に関 連して、それぞれ13S生成物、12S生成物と呼ばれている。これら二つのm RNAは同じ一つの前駆体に由来するが、異なるスプライシングにより形成され 、かつそれぞれアミノ酸289個と243個のタンパク質をコードしている。こ れら二つのタンパク質にはアミノ酸46個の差かあるが、個数の多いのはS13 の方である。多くのEIAタンパク質をポリアクリルアミドゲル電気泳動(PA GE)分析により分析することが可能であるが、これらのEIAタンパク質は、 第一次翻訳生成物に多大な翻訳後修飾がおこなわれることにより形成されると考 えられている(Harlowら、1985)。
本発明は、これまでトランスフォーメーションの促進がEIA遺伝子の特徴とさ れてきたが、意外にもEIA遺伝子生成物がneuがん遺伝子の発現を抑制する ばかりでなく、neu遺伝子の活性化に伴う腫瘍形成性表現型も抑制するのに役 立つとの発見に関する。
この予期せざる発見は、neuがん遺伝子を介して起こる癌の治療を、さらに、 特にこのがん遺伝子の制御と、一般的にはがんの表現型を、より良く理解するた めの新規アプローチの門戸を開くものである。
従って本発明は、がん遺伝子として作用することで知られているアデノウィルス EIA遺伝子の生成物が、neuがん遺伝子の形質転換力を抑制するために効果 的に使用することができるという、驚くべき発見に基づく。本発明の一般的な意 味での特徴は、腫瘍形成性表現型を効果的に抑制して、細胞のトランスフォーメ ーション、腫瘍形成または転移の可能性を減少できるように、neuがん遺伝子 を介して起こる細胞のトランスフォーメーションを抑制する方法、およびそのた めにEIA遺伝子生成物を細胞に導入する方法に関すEIA遺伝子生成物が腫瘍 形成性表現型の抑制に直接的な効果があり、したがって、例えばウィルスを介し て遺伝子を移送すること、DNA)ランスフエクションさらには遺伝子生成物を 微量注射法により直接導入するなどの方法でEIA遺伝子生成物を細胞内に導入 することにより、本発明の目的を達成することか出来ると考えられる。これらの 方法は、例えばneuがん遺伝子の抑制の研究での適切な研究手段となる。疾患 治療の場合には、neuの抑制に必要なEIAタンパク質の特定ドメインをエン コードするDNAセグメントを細胞内に導入する、つまりEIA遺伝子生成物を 選択して導入することが必要である。
いずれにせよ、これまでにEIA遺伝子生成物の広範囲な特徴づけが確立してい るし、また遺伝子そのもののクローンも既に作られているので(例えば、Ber kら、1978参照)、本発明を実施しようとする当業者は、すぐにでも出発原 料、即ちEIA生成物と遺伝子を入手することが出来る。遺伝子そのものを用い て遺伝子生成物を導入する場合、最も簡便な導入方法は、EIA遺伝子とこれに 関連するコントロール配列を取り入れている組換えベクターを使用することであ る。EIAコントロール配列(即ち、EIAプロモーター)を使用することは好 ましいことではあるが、処理すべき細胞の遺伝子型と相容性を持つ他のコントロ ール配列を使用してもよい。有用な他のプロモーターの例を挙げれば、SV40 早期プロモーター、レトロウィルスからのLTRプロモーター、アクチンプロモ ーター(act in promoter)、熱シヨツクプロモーター、メタロ チオネインプロモーターなどがある。
EIA遺伝子の導入については、ベクター構成体を用いて、EIA遺伝子を患部 の細胞に輸送することが望ましい。このためには普通、構成体が乳房あるいは生 殖系どちらかの細胞に到達しなければならないことは言うまでもない。
ウィルスベクターを使ってEIA配列を輸送し、効果的に腫瘍あるいはまだ腫瘍 化していない組織に感染させることによりEIA遺伝子を導入すれば、最も好ま しくこの目的を達成することができる。これらのベクターは、従来から所望の配 列を細胞に輸送することに高い実績があり、且つ感染効率が高いレトロウィルス あるいはワクシニアウィルスが好ましい。アデノウィルスなとの他のウィルスベ クターは、ワクシニアウィルスやレトロウィルスよりも遥かに大きいゲノムを持 っているため、望ましくない。
少なくとも出発点としては、特に望ましいベクターとして、ロバート(Robe rt)らが1985年に発表したpsVXEIA−Gと呼ぶEIA含有レトロウ ィルスベクターが挙げられる。このベクターは5V−40の早期プロモーターに よって制御されているEIAを含有してなるものである。この構成体は、直接使 用して本発明を実施しても良いし、あるいは上記で挙げたより望ましいプロモー ター導入の出発点として使用してもよい。
本発明者の研究により12Sおよび13S EIA遺伝子生成物のどちらによっ てもneu遺伝子の発現を抑制できることが立証されており、この二つの生成物 を入れ換えて使用したり、あるいは両者を併用することによって、本発明を実施 することができる。12Sと13Sのいずれの生成物も本質的には同一の遺伝子 配列から誘導されたもので、スプライシングのみか異なっているだけでEIA遺 伝子そのものが使われているのであるから、野生型EIA遺伝子を直接使用する ことが最も便利である。しかしながら、野生型EIA遺伝子の全部を使わないで 、EIA遺伝子のある領域のみを使用してもよい。EIA遺伝子構成体を受け取 る細胞に不必要なりNAを導入しないように、neU遺伝子を抑制するのに必要 な最小の領域のみを使用することが、最も望ましい。
一般に、トランスフォーメーション、腫瘍形成および転移の可能性の低減度を測 定する技術は当業者に広く知られている。例えば、DNA合成が細胞増殖能のよ い尺度となっているところから、処理された細胞と処理されていない細胞のDN A合成量を測定・比較することが最も簡単な検定方法である。さらに、 トラン スフォーメーションの尺度として形質転換細胞と未転換細胞の軟寒天上で増殖す る能力を比較することが広く行われている。従って、neu遺伝子を介しておこ るトランスフォーメーションの抑制に用いられるEIA生成物の能力の測定には 、上記二つの検定技術の何れかを用いるのが好都合である。
また、neuがん遺伝子を介しておこる腫瘍形成あるいは転移の可能性の抑制度 を評価する検定方法もある。腫瘍形成の可能性については、ヌードマウスを用い る生体内(in vivo)検定により処理細胞の腫瘍形成能力を評価するのが 、最も便利でしかも最も信頼性の高い方法である。同様にしてヌードマウスを用 い、例えば処理された細胞がマウスの肺に転移性結節を作る能力を測定すること によって、転移の可能性を評価することもできる。
本発明者の研究においてEIA遺伝子生成物の機能によりneu遺伝子の表現が 直接抑制されることが観察されており、従って本発明はさらにneu遺伝子の表 現や過表現を抑制する方法に関する。この実施態様の方法では、細胞中のneu  p185トランスメンブランタンパク質の含量を抑制するようにEIA遺伝子 生成物を患部細胞に導入する方法を含むものとする。
p185の表現の抑制は既存の多数の方法で評価することができるが、その中で 最も便利な方法はゲル電気泳動分析によりp185の減少量を測定する方法であ る。この実施態様には、上記でトランスフォーメーションに関連して開示したの と同じEIA遺伝子またはその生成物の導入方法を適用することができる。
図1゜ (a)neuプロモーターの転写がEIA遺伝子生成物によって抑制さ れたことを示す。ラット1(Rat−1)細胞にpNeu−EcoRl−CAT 構成体5μgを移入した。この構成体中のCAT遺伝子は、2.2kb上流領域 のDNA配列を含むneuがん遺伝子プロモーターによって割り込まれている。
第一番目のレーンはneuプロモーターの基礎活性(その相対CAT活性を10 0%とする)を表す。第二〜四番目のレーンは、担体であるDNA pSP64 ヘクター10μgを同時に移入した後のCAT活性(102%、第二番目のレー ン)を表す。第三番目のレーンはEIAを表現するプラスミドpEIA (34 %)を表す。第四番目のレーンはEIAプロモーターのみを含有するプラスミド であるpEIApr (98%)を表す。R8V LTR(10%、第五番目の レーン)が制御するCAT遺伝子を含有するレポータープラスミドであるR8V −CATのCAT活性は、pEIA10μg(98%、第六番目のレーン)ある いはpEIA 20czg (96%、第七番目のレーン)を同時移入しても、 著しく変化することはなかった。
(b)neuプロモーター活性に対する各種アデノウィルスの早期遺伝子の効果 を示す。図に示す通り、pNeuEcoRI−CATとpSP64ベクターまた は各種アデノウィルスの早期遺伝子であるE I A。
EIB、E2AとE3を発現するプラスミドを同時に移入した。相対CAT活性 は次の通りである。5P64.100%、EIA、35%;EIB、97%;E 2A、99%;E3,102%。RS V −CA T ハ正のコントロール( 対照)として使用した。
図2゜ (a) は、 pEIA、 (b) は、 pEIA−13S、 (c ) は、 pEIA−12S、 (d) は、pEIAd1346をそれぞれ増 量しながら同時移入した場合の、neuプロモーターの遷移性発現を示す。
pNeuEcoRl−CAT構成体の量は固定しておき(5μg)、これと上記 の試料構成体5.10.15および20μgを、ラット1 (Rat−1)細胞 に同時移入した。移入したDNAの全量は、担体DNApSP64の適当量を添 加することにより一定に保った。EIAを移入しない場合(上記図2 a −d のそれぞれのEIAか0μgのレーン)の相対CAT活性を100%とする。試 料構成体5.10.15および20μgを同時移入したときの相対CAT活性は 次の通りである。すなわち、EIAについては、68%、 35%726%、  17%であり、EIA−133については、72%、 48%、 36%、 2 4%であり、EIA−128については、66%、46%、28%、21%であ り、EIAd1346については、102%。
103%、 99%、 102%である。 (e)neuブロモーターの遷移性 発現に対する各種EIA変異体の効果を要約する図である。各種EIA変異体に よりエンコードされたタンパク質の構造の概念図を棒グラフに示した。ハツチン グの部分はEIA生成物の保存タンパク領域である。この棒グラフは一定のスケ ールになっていない。
図3は、neuプロモーターの上流領域におけるEIA反応性DNA成分の位置 を示す。
(a)neuプロモーター5′欠失構成体の概略地図である。これらの構成体は それぞれCAT遺伝子と融合してプラスミドを形成しているが、プラスミドには 構成体を作るときに用いた制限酵素の名をっけである。
(b)ラット1の細胞にプラスミド5μgとpEIA (E)または担体DNA  pSP64 (C)10μgとを同時移入した場合、プロモーターフラグメン ト構成体のおのおのに指示されて発現するCAT遺伝子の発現量を示す。トリプ レット検定の上に掲げている制限酵素の名は、図3aの地図の構成体の名と一致 させである。
図4は、拮抗するStu I−Xho I neuプロモーターフラグメントを 同時移入した場合のneUの抑制解除を示す。
(a)ラット1の細胞に、pNeuEcoRl−CATプラスミド5μgを移入 して、neuプロモーター基礎活性を与えた(第一番目のレーン)。これにpE IA 5μgを同時移入すると、CAT活性が抑制されてしまうのが第二番目の レーンに示されている。
pSP64でクローンを作ったStu I−Xh。
I neuプロモーターフラグメントを含むプラスミドp S64/S t u −Xhoを、 pNeuEcoRl−CATおよびpEIAと共に同時移入した 。第三〜六番目のレーンは、pSP64/S t u−Xhoを次第に増量(お のおの5.10.15および20μg)してゆくと拮抗効果が出て来ることを示 している。EcoRl−Xbu neuプロモーターフラグメントを含有するプ ラスミドpSP64/R1−Xbaを、pNeuEcoRl−CATおよびpE IAと共に同時移入した。第七〜九番目のレーンは、pSP64/RI−Xb  aを5.10及び20 μg、それぞれ同時移入することによって、neuプロ モーターからCAT活性が出てきたことを示している。第一〜九番目のレーンの 相対CAT活性は、それぞれ、100%、 32%、 27%、 31%、 5 8%、 79%、 38%、 31%、 24%である。
フォーメーションさせた5K−BR−3乳癌細胞の細胞溶解液中のp185タン パク質の免疫プロット(immunoblot)を示す。7%SDS/PAGE ゲルで、各サンプルからのタンパク質75μgづつを電気泳動させ、ニトロセル ロースフィルターに移した。
フィルターには一部抗体mAb−3を吸着させた。第一番目のレーンは、pEI A 5μgを移入した5K−BR−3細胞の溶解液である。第二番目のレーンは 、EIA 5μgとpSP64/RI−XbaI 20μgを同時移入させたも のである。第三番目のレーンは、 EIA 5μ gとpSP64/5tu−X h。
20μgを同時移入させたものである。第四番目のレーンは、モックトランスフ エクション(mock transfect 1on)後の5K−BR−3細胞 の溶解液である。タンパク質の大きさを右側の標識によって示す。バイオラッド ・ビデオ・デンシトメーター(Bio−Rad video densitom eter)620型によりp185タンパク質のバントを走査して、p185タ ンパク質の相対含量を測定した。モックトランスフエクションのサンプル中のp 185タンパク質の含量を100%としたとき、第一〜三番目のレーンのp18 5タンパク質相対含量は、それぞれ57%、 54%および89%であった。
図5は、共通配列を含む20マー(20−mar)オリゴヌクレオチドの同時移 入により、EIAを介して起こるneuの抑制が解除されたことを示す。ラット 1の細胞にpN e u E c oRV−CATプラスミド3μgを移入して 、neuプロモーター基礎活性を与えた(第一番目のレーン)。これに、pEI A 10μgを同時移入したときのCAT活性は、第四番目のレーンに示す通り である。共通配列を含む二重鎖の20merオリゴヌクレオチド 2μg(第二 番目のレーン、r Co n s J )とpNeuEcoRV−CATおよび pEIA (オリゴマーとpNeuEcoRV−CATとのモル比=35:1) とを同時移入すると顕著な抑制解除が現れる。非相同の22マー(22−mar )ランダムオリゴヌクオチド2μgとpNe uEcoRV−CATおよびpE IAとを同時移入しても、顕著な抑制解除効果は認められなかった(第三番目の レーン、rNoncJ)。相対CAT活性値は、3回の実験の平均値である。合 成20マー・オリゴヌクレオチドの上部鎖の配列を同じ頁の下部に示す。アンダ ーライン部分は、本発明のEIA反応性の配列である。
図6゜ (a)NIH3T3、B104−1−1およびEcoRI−8stI  EIA DNAをプローブとするこれら細胞の移入体のサザンプロットによる分 析を示す。指定された細胞系からゲノムDNA 10μgをとり、EcoRI+ Ss t I制限エンドヌクレアーゼによって完全に消化した後、1%アガロー スゲルで電気泳動を実施した。DNAをニドラン(Nitran)濾紙に移し、 EIAをプローブとしてハイブリッド形成を行った。左側にDNA標識を示す。
(b)指定された細胞系の細胞溶解液中のEIA夕ンパク質の免疫プロット分析 を示す。各サンプルについて10%5DS−PAGEで電気泳動させた50μg づつをニトロセルロースフィルターに移した。EIAに対する一部抗体M73( オハイオ州立大学り、S。
Chang博士より恵贈)をフィルターにいれてインキュベートした。図の右側 にタンパク質分子量の標識とEIAタンパク質の位置を示す。293種の細胞か ら得られた細胞溶解液25μgを正のコントロールとして用いた。
(C)指定された細胞系の細胞溶解液中の、neuによりコードされたp185 タンパク質の免疫プロット分析を示す。上記(b)の場合と同様にして実験を行 った。−次抗体としては、オンコジーンサイエンス社(Oncogene 5c ience Inc、)から購入したp185に対するmAB−3を用いた。
(d)プローブとしてラットのneu DNAを使用した、指定した細胞系のサ ザンプロット分析を示す。
実験は上記(a)の場合と同様にして行った。DNAの消化は、Bam HI制 限エンドヌクレアーゼによって行った。
図7は、neuによってトランスフォーメーションしたB104−1−1細胞の 形態に対するEIA発現の効果を示す。 (a)B104−1−1、 (b)B −EIApr、(c)N−EIA−1、(d)B−EIA−1、(e)B−EI A−2、(f)B−EIA−3(倍率は130倍)。
図8゜ (a)指定した細胞系の[3H]チミジンの取入れを示す。細胞9X1 03個を96個のウェルのプレートにおき、ダルベツコ改良型イーグル培地に1 0%子ウシ血清を加えて、16.40および64時間培養した。細胞は、採集前 にDNA合成するものに標識するために、1ウェル当り1μCiの[3H]チミ ジンによる2時間パルス標識を実施した。各サンプルの放射能は、シンチレーシ ョンカウンターにより測定した。
cpm平均値は複製サンプルにより計算した。
(b)EIAによりトランスフォーメーションしたB104−1−1とNIH3 T3細胞の足場非依存性増殖を示す。下層の07%寒天の上に0.35%軟寒天 を重ねたプレート上に、細胞lX103個をおいた。
コロニー数の計測は、4週間後行った。各グループ毎に、代表的なプレートと、 3個のサンプルの平均値および標準偏差を表に示す。
図9゜ (a)B104−1−1.NIH3T3およびこれらの細胞の移入体の 腫瘍形成性の概要を示す。
ホモ接合の雌のヌードマウスのおのおののわき腹左右両側に、生きている細胞1 ×103個を皮下注射した。
腫瘍形成は、所定日毎に腫瘍塊の有無を目でみて確認した。注射後第16日に、 カリバスによって腫瘍の縦、横、厚さく最大の表面長さ、幅および厚み)を計り 、その積を腫瘍容量の推定値とした。図中、N、D とあるのは、評価時現在に おいて見あたらずの意味である。
(b)腫瘍形成研究の代表的な結果である。右から左に向かって、B104−1 −1、B−EIA−2およびNIH3T3を注射した実験動物であり、注射の1 8日後にこの写真を撮影した。
図10゜ (a)EIA遺伝子生成物が、neuによってトランスフォーメーシ ョンした3T3細胞の細胞運動を抑制したところを示す。N−EIAは、EIA を移入したNIH3T3細胞、B−neoは、ネオマイシン耐性遺伝子を移入し たB104−1−1細胞、B−EIA−1〜5は、B104−1−1細胞にEI A遺伝子を移入することによって形成した5個の独立細胞系である。24個から なるプレート(Costar)で細孔サイズ5μmのポリカーボネートフィルタ ーをもつトランスウェル・ユニッ)(transweIf unit)を用いて 、運動検定を実施した。トランスウェルの下部室には次の化学誘引剤の1つを6 00μm含有していた。この化学誘引剤としては、フィブロネクチン(FN)2 0μmまたは100μmをDMEM/F12培地に溶解したもの、または肝臓内 皮細胞で調製した培地(H4F)、あるいは負のコントロールとして用いるDM EM/F 12だけの培地であった。細胞(DMEM/F 12培地中に3 X  104個10.1m1)を上部室におき、湿潤化5%CO2雰囲気下、37℃ で6時間インキュベートした。インキュベート後、グルタルアルデヒド3%を含 有するリン酸緩衝溶液でフィルターを固定し、Ge1m5aで染色した。各サン プルを3回定量して、フィルターの下部に移動した細胞の数を数えることにより 細胞運動を測定した。少なくともフィルター1個当りHPF4つを数えた。DM EM/F 12培地に移動した細胞数を各サンプルから差引いてバックグラウン ドを消去した。
検定はすべて3回づつ行った。
(b)EIA遺伝子生成物が、neuによりトランスフォーメーションした3T 3細胞の侵襲を阻止したところを示す。基本的には、公知の方法(A l b  i niら、1987及びRepesh、1989)と同様にして、侵襲の試験 管内(in vitro)検定を行った。
基底膜製剤であるマトリゲル(matrigel)をコンポラティブ・リサーチ 社(Collaborative Re5earch、Inc、)から購入し、 マトリゲルを1=20の割合でDMEM/F 12培地で希釈した溶液01ml を、 (運動検定で用いたものと同じ)トランスウェルのフィルターに塗布した 。下部室には化学誘引剤としてH4Fまたは負のコントロールとしてDMEM/ F 12培地の何れかを0.6mlを含有させた。細胞(DMEM/F 12培 地中に5×10’70.1m1)を上部室におき、蒸気を立てた5%CO2雰囲 気下、37℃で72時間インキュベートした。上記(a)の場合と同様にして、 細胞を固定し、染色して、細胞数の計測を行った。検定はすべて3回行い、さら にこれを2回繰り返した。
(c) (1)B−neo細胞、(2)N−EIAIIB胞、 (3)B−EI A−1細胞および(4)B−EIA−2細胞を注射したマウスの肺の全体像を示 す。EIA遺伝子生成物が、neuによりトランスフォーメーションした細胞が 肺でコロニーを形成するのを抑制した。実験の詳細については、表1の注釈を参 照されたい。
図11は、EIAが、neuが誘発したヌードマウスの腫瘍形成と転移を生体内 (in vivo)で抑制したことを示す。
(a)上図では、neuがん遺伝子によってトランスフォーメーションさせたN IH3T3細胞系のB104−1−1細胞を注射された実験動物、下図では、B 104−1−1のEIA移入体であるB−EIA2細胞を注射された実験動物を 示す。この写真は注射後第18日に撮影したもので、同時に行った他の腫瘍形成 実験でも同様の結果であった。
(b)左図では、B104−1−1細胞を注射したマウスの肺の全体像、右図で は、EIA移入細胞であるB−EIA2を注射したマウスの肺の全体像を示す。
マウスには、細胞数lX105個/ 0 、1 m lをPBSで希釈したもの を第0日に尾部を横に走る静脈に接種し、注射後第21日に殺した。肺の腫瘍結 節を墨汁(India 1nk)で染色し、直径1 m m以上の結節のみを数 えて検定結果とした。
neuがん遺伝子は、もともとラットの神経芽/膠芽腫から同定された形質転換 性遺伝子である(Shinら、1981)。後年になり、活性化されたneuが ん遺伝子と、その正常細胞遺伝子である正常neu遺伝子のクローンがラットと ヒトの遺伝子ライブラリーから作られるようになった(Bargmannら、1 986;Coussens ら、1985 ;Hungら、1986;Yama moto ら、1986)。
neu遺伝子は、185KDa上皮成長因子受容器(EGF−r)と関連はする が、これとは別個のものであるトランスメンブランタンパク質(p 185)を コードする。neuによりコードされたp185は、配位子結合、トランスメン プランおよび細胞内キナーゼのドメインを含め、全体の構造組織がEGF−rと 同一であり、しかも広範な配列が互いに相同で、特にチロシンキナーゼドメイン のアミノ酸の80%以上が同一である。最近になって、neuによりコードされ たp185タンパク質の配位子がラットの細胞で機能的に同定され、さらにヒト 乳癌細胞から単離された。
このことによって、neuによりコードされたp185タンパク質が、正常なら びに悪性の細胞増殖と細胞展開 (L u p u ら、1990 ;Yard en ら、1989)にどのような機能を果たすのかについてよりよく理解でき るであろう。
活性化されたneuがん遺伝子のトランスメンブランドメインではアミノ酸が1 個だけ置換し、正常な遺伝子と比べてチロシンキナーゼ活性が昂進している。
neuプロトオンコジーンが増幅すると、単点の変異によって、がん遺伝子の活 性化が促進されることが認められている(Hu n gら、1989)。ヒトの 原発性乳癌と卵巣癌の25〜30%では、ラットneuがん遺伝子と相同のHE R−2またはc−erbB2と呼ぶヒトがん遺伝子が増幅/過表現となっている ことが証明されている(Hungら、1988; Slamonら、1987) 。neuが過表現がない患者と比較すると、neuが過表現となっている乳癌患 者の全体的生存率は有意に低く、また再発までの時間も短くなっているので、n euの過表現を予後を知る要素として用いることができるかも知れない(同上) 。また、ヒトneu遺伝子の増幅/過表現は、乳癌患者の転移陽性を示すえき窩 リンパ節の数と相関することか認められている(同上)。これらの研究成果から 、neuかん遺伝子が悪性腫瘍のトランスフォーメーションと転移に重要な役割 を果たしていることが示唆されている。
アデノウィルスのEIA遺伝子の主要な機°能は、ウィルス感染が許容されてい る間に、宿主細胞の転写系を修飾してアデノウィルスの早期領域全体をトランス フォーメーションさせ、宿主細胞の無限増殖を引き起こすことにより他のアデノ ウィルス遺伝子を活性化させることにある(Berkら、1986)。EIAタ ンパク質によって非アデノウィルス遺伝子の転写が活性化されたり、抑制された りすることが報告はされているが(Borrelliら、1984 ;Henら 、1985;Li l l ie ら、1989;Sassome−Lorsi  ら、1987;5tein ら、1987)、多くの症例でどのような機能的 意義を持ち、どのような生理学的インパクトがあったのかは、明らかではない。
興味あることは、rasによりトランスフォーメーションしたラットの胚線維芽 細胞(REF)が転移しようとするとき体外からEIA遺伝子を与えると、最近 になってクローニングされ、また細胞の転移抑制遺伝子として特徴っけされてい る細胞n m 23遺伝子が活性化されて転移の可能性が減ることが立証された ことである(Pozzaatiら、1988)。
さらに、EIA遺伝子が移入されると、分泌されているプロテアーゼ遺伝子の発 現、転写が抑制されて、ヒト腫瘍細胞の転移が阻止されることも認められている (Liotta、1989)。
本発明者らは、neu遺伝子のプロモーター活性に対するEIA遺伝子生成物の 効果を研究し、EIAタンパク質がヒト、ラット何れのneuがん遺伝子の発現 と転写を抑制できることを見いだした。neu遺伝子とEIA遺伝子とは共に、 形質転換性遺伝子としてよく知られており、上記の所見からneuによりトラン スフォーメーションした細胞に対してEIAタンパク質が転写を抑制することに よってトランスフォーメーション抑制作用を示すのではないか、との興味ある疑 問を持つに至った。
この疑問を追求するため、本発明者らは生物機能検定系を開発し、この系によっ てEIAの効果を検討した。neuによりトランスフォーメーションしたB10 4−1−1細胞にEIA遺伝子を導入して、EIA遺伝子生成物を安定に表現す る誘導体を作り、これらの細胞をB−EIA細胞と名づけた。neuによりトラ ンスフォーメーションした親細胞の8104−1−1細胞系とB−EIA細胞系 とをヌードマウスに注射した後、双方のトランスフォーメーションした表現型を 比較した。その結果、EIA遺伝子生成物はneuがん遺伝子が介する細胞のト ランスフォーメーションと転移を抑制する作用を有するとの劇的な所見を得た。
次に述べる実施例により、neu遺伝子の発現を抑制するEIA遺伝子の能力( 実施例工)、neu遺伝子が介する腫瘍形成(実施例11)、neu遺伝子が介 する転移(実施例11r)を立証する。本発明の代表例としてこれらの実験を開 示するものであるが、当業者は、これらの実施例を修正または改良を作っても、 その多くは本発明の趣旨と範囲内にあることを理解すべきである。
実施例I アデノウィルス5 EIA遺伝子生成物によるneuプロトオンコジーンの− この実施例により、アデノウィルスEIA 12Sおよび13S生成物がneu プロモーターの転写活性を抑制するのに効果があることを立証する。特に、この 抑制のためにはEIAタンパク質の保存領域2 (CR2)が必要であることを 示す。さらに、neuプロモーターの上流領域のシス作用性(cis−acti ng)DNA成分のためEIA遺伝子生成物がプロモーターをトランス阻止(t rans 1nhibition)することができることが示唆された。
1、材料と方法 a、プラスミド 本研究で組換え体を使用したことは既に述べた。pEIA (Chang ら、 1989 ;Hear ing ら、1985)は、EIA領域遺伝子のみを表 現するブラスミ ドである。 pEIA12sとpEIA13sは、それぞれ、 123 EIAタンパク質と13S EIAタンパク質を表現する(Heari ngら、1985 )。 pEIA−d1343 (Hea r ing ら、 1985)ではEIA遺伝子コード配列中で塩基対2個かフレームシフト欠失し ている(アデノウィルスヌクレオチド配列の621および622位)。pEIA −d1346 (Hearing ら、 1985) では、 ヌクレオチド8 59−907 (48塩基対)がフレーム内欠失しているため、EIAタンパク 質のCR2内でアミノ酸16個が欠失している。pEIAprはEIAプロモー ター(EIAキャップ部位に関する−499から+113)のみを含む。pE2 A−CAT (Chungら、1989)は、タロラムフニコール・アセチルト ランスフェラーゼ(CAT)レポーター遺伝子と融合したE2早期プロモーター を含むレポータープラスミドである。pRSV−CATはラウス肉腫ウィルス( R3V)LTR(long terminaI repeat)により制御され たCAT遺伝子を含むレポータープラスミドである。pEIB、pE2およびp E3はそれぞれ、EIB、E2およびE3遺伝子を発現するプラスミドである。
pNeuEcoRl−CATは、ラットのneuプロモーター2.2キロベース (kb)とCAT遺伝子と結びついた上流配列を含む。この実験で用いたneu プロモーターの欠失変異株は、図3と図4aの注釈で説明する。pRSV−β− galにはβ−ガラクトシダーゼ遺伝子と結びついたR3V−LTRが含まれて いるが、これは移入効率の内部コントロール(対照)として用いたものである。
b、細胞培養 公知の方法により細胞を培養した(Hungら、1989;Matinら、19 84)。子ウシ血清とウシ胎児血清おのおの10%を加えたダルベツコ改良型イ ーグル培地によりラット1および5K−BR−3細胞を増殖した。
c、DNA移入 移入(transfection)はすべて、Andersonらが改良したG r aham−Vand er EBのリン酸カルシウム沈澱法(Hungら、 1989;Anderson ら、1979;Au5belら、1987))に よって行った。移入毎に、移入の24時間前に、ラット1 (Rat−1)の細 胞8×105個または5K−BR−3の細胞2X106個(2xlOcm皿)を 接種した。同一の実験に用いたサンプル全体のDNA移入量は、概量の担体DN A(pSP64)を添加することにより一定(最高、30μg)に保った。
d、CAT検定 移入の40時間後、細胞抽出物を調製した。細胞溶解液の一部は、同時に移入し たpRSV−β−galプラスミドのβ−ガラクトシダーゼ活性の分析に用いた 。CAT検定(Gormanら、1982)はすべて、移入効率の内部コントロ ールに対して規格化した。
CAT検定によって、細胞抽出物中の[14C]クロラムフエニコールのアセチ ル化をモニターする。 [14C]クロラムフェニコールとその生成物は薄層ク ロマトグラフィ (TLC)により分離して、オートラジオグラフィで目視検査 をする。TLC紙のスポットはおのおの切り取って、放射能を液体シンチレーシ ョン分光測定により定量し、CATの相対活性を計算した。全ての実験は、再現 ができるようにして少なくとも3回繰り返し、数回の実験のうち代表的なものを 本明細書で示す。
e、免疫プロット 移入の40時間後、5K−BR−3細胞の溶解液を調製し、公知の方法(Mat inら、1984)で免疫プロットを実施した。ヒ)neu遺伝子生成物に対す るmAB−3モノクローナル抗体[p 185タンパク質]は、オンコジーンサ イエンス社(Oncogene 5cience)から購入した。
2、試験結果 a、アデノウィルス5 (AD5)EIA生成物によるneuの転写抑制 neuプロモーターと上流配列を含むDNAセグメント2.2kbをCAT発現 ベクターと融合させて、pNeuEcoRI−CATプラスミドを形成した。ラ ット1細胞を用いた遷移性発現の検定(図IA)においては、pNeuEcoR l−CATを、EIA遺伝子を表現するプラスミドであるpEIAと共に同時移 入すると、CAT活性が顕著に減少するのが認められた。ところが、プラスミド ベクターであるpSP64と同時移入してもCAT活性に効果はなかった。同時 移入されたEIAプロモーターが細胞の転写因子を滴定するためにneuプロモ ーターからの転写が減少したのかも知れない可能性を消去するため、EIAプロ モーターのみを含む欠失変異株pEIAprを、pNeuEcoRl−CATと 共に同時移入したが、CAT活性に対する効果は認められなかった。R8VLT Rにより制御されているCAT遺伝子を含むレポータープラスミドはEIAに反 応せず、CATの発現が減少したのはEIAによる転写が全般的に減少したため ではないことを示している。
平行して行った実験において、pEIAとpE2A−CAT (E2早期プロモ ーターに割り込まれたCAT遺伝子)を同時移入して、EIA生成物がE2A転 写系の転写を刺激するか否かの検定を行った。その結果では、同一のpEIA濃 度範囲内でneuの抑制とE2Aプロモーターのトランス活性化(transa ctivation)が起こったことが認められた。
他のアデノウィルス早期遺伝子がneuプロモーターを抑制するか否かを見るた め、アデノウィルス早期遺伝子の一つ一つを表現するプラスミドを、pNeuE c o R1−CA、 Tと共に同時移入したが、EIB、E2またはE3だけ ではCAT活性に変化はなかった。
これらアデノウィルスの早期遺伝子の中では、EIA遺伝子のみがneuプロモ ーターの抑制物質として機能することが示唆されている。
b、neu抑制はEIA濃度依存性で、EIA保存領域2を必要とする EIA遺伝子生成物とneuプロモーターとの相互作用をさらに検討するため、 p N e u E c o’R1−CATと共に同時移入すべきpEIAを1 .1.2:1.3:1および4:1の比で増量して行った(図2a)。
neuプロモーターで指示される遺伝子の表現はpEIA濃度に依存しながら阻 止されること、およびpEIA : pNeuEcoRl−CATの比が1=1 と低くとも50%の抑制が起こることが認められた。
Ad5 EIA遺伝子は、おのおのアミノ酸243個と289個の長さを持つタ ンパク質をコードする12Sと13SのmRNAという2つの重要な生成物をス プライシングによって産生ずる。上記で見た抑制はどのEIA遺伝子生成物が原 因であるかを検討するため、12Sと13SのEIA遺伝子生成物(pEIA− 128とpEIA−138)のどちらかを表現する組換え体プラスミドを用いた 以外は上記と同様にして実験を行った。図2bとCで示すように、12Sおよび 13S生成物の双方に濃度依存性のneu転写抑制効果を認めた。
EIA遺伝子生成物には、3つの高い保存性を持つ領域、すなわちCRI、CR 2およびCR3がある(Moran ら、1987;Van Dam ら、19 89)。CRIとCR2は12Sにも、13Sにも存在しているが、CR3は1 35生成物独特のものである。12Sそのものはneuを効果的に抑制できるの だから、CR3が無くともEIAによるneu転写の抑制は可能であると考えら れる。
さらに、EIAタンパク質のCRIまたはCR2がneuの効果的な抑制に必要 であるか否かを確認するため、欠失変異株pEIAd1343とpEIAd13 46を用いて、平行実験を行った(Hearingら、1985)。pEIAd 1343変異株のEIAコード配列では塩基対2個が欠損しているため、EIA 生成物の3つの保存領域全部がフレームシフトになっていて、無傷で残っている のはN末端のアミノ酸40個だけである。pEIAd1343変異株をpNeu EcoRl−CATと共に同時移入したが、CAT活性に対する効果は認められ なかった。pEIAd1346変異株にはフレーム内欠失があるためCR2でア ミノ酸16個が欠損しているが、CRIは保存されていた。この変異株はneu 転写を発現することはできなかった(図2d)。EIA遺伝子生成物のCR2が 、効果的にneu転写を抑制するのに必要であるとの結論を得た(図2e)。
c、EIA抑制に反応するneuプロモーター中の目標DNA成分の部位 EIA生成物の転写抑制を誘発するneuプロモーター中の目標DNA成分の部 位を検討するため、機能性CAT遺伝子と結びついたneuプロモーターの1部 を含む1連の5°欠失構成体を、pEIAと共にラット1細胞に同時移入した( 図3a)。コントロール(対照)のプラスミドベクターpSP64またはpEI Aを1=2の比で同時移入をすると、これらプロモーターフラグメントおのおの に割り込まれたCAT遺伝子に遷移性発現を認めたが、これを図3bに示す。
最小のプロモーターフラグメントを含んだpNeuXhoI−CATだけがEI Aによって抑制されなかった。明かに、5tul−Xho I制限フラグメント 内の特定部位の活性がEIAによる抑制に対して感受性を持っているのである。
このStu I−Xh。
■制限フラグメントがEIAによる抑制に対して感受性を持っているのである。
このStu I−Xh。
■制限フラグメントの位置は、neuの転写出発部位の−198と−59の間で ある。EIAによる抑制に反応する目標DNA成分は、この139bpの5tu 1−XhoIフラグメント内に存在するとの結論を得た。
d、トランス作用性(t rans−ac t ing)因子が関与しているこ との立証 EIA生成物による抑制がトランス作用による過程であるか否かを検討するため 、さらに、pSP64でクローンを作った5tuI−XhoI制限フラグメント のみを含む第三の組換え体、p S P 64 / S tu−Xhoを同時移 入することにより、抑制の消去を試みた。同時移入では、pNeuEcoRl− CATの転写がpEIAにより抑制されたが、pSP64/5tu−Xhoを増 量するとneu転写の抑制が濃度に依存しながら軽減された(図4a)。これと は対照的に、pSP64でクローンを作ったEcoRI−XBA I制限フラグ メント含むpSP64/RI−Xbaを同時移入したときは、抑制解除が認めら れなかった。 pSP64/5tu−Xho:pNeuEc。
R1−CATの比が4:1であるとき抑制解除が効果的であった(図4 a、第 六番目のレーン)。このことは、EIAの抑制に関与する転写因子に対して、5 tul−XhoIフラグメントがneuプロモーターと有効に競合できることを 示唆している。これらの結果から、EIAはneuプロモーターのStu 1− Xho Iフラグメント内のシスDNA成分に目標を設定することにより、ne uプロモーターを抑制していることを確認している。さらにまた、EIA生成物 あるいはEIA生成物と相互作用をするかまたはこれに誘発された細胞転写因子 のどちらかとDNA成分との間の相互作用が転写抑制に関与している可能性もe 、5K−BR−3細胞中のヒトneu発現の抑うットneuプロモーター配列の Stu I−Xho 1と、これに対応するヒトneuプロモーターの配列とを 比較すると86%以上が相同である(Talら、1982)。ヒトneu遺伝子 の転写も同様のメカニズムを経てEIAにより抑制されると考えられた。
その通りであるとすれば、ラットneuプロモーターの5TuI−XhoIフラ グメントを同時移入すれば、EIAによるヒトneuの抑制を軽減できるかもし れない。
この可能性の検討のため、受容体細胞としてヒトneumRNAとp185タン パク質を過発現することで知られているヒト乳癌の細胞系5K−Br−3(Kr ausら、1987)を用いて同時移入実験を行った。5K−BR−3細胞の溶 解液の免疫プロットを行ったところ、EIAを導入するとヒトneu遺伝子生成 物の表現であるp185タンパク質は減少した(図4b、第一番目と第四番目の レーンとを比較せよ)。
pS P 64 / R1−X b aプラスミドとpEIAとを4:1の比で 同時移入したがp185の表現のEIAによる抑制を消去することはできなかっ た。同じ比率でpSP64/S t u−XhoとpEIAを同時移入したとこ ろEIAによる抑制が軽減された。
遷移性移入は最高の効率でも50%しか達成されないことはよ(知られている( Chenら、1988)。
移入されなかった5k−Br−3細胞の残り50%は依然として多量のp185 タンパク質を産生じ、これがEIAを介してp185を抑制する場合、高率のバ ックグラウンドとなる。従って、neuが遺伝子信号を伝達した内因性のp18 5を遷移性移入したEIAが抑制するのを免疫プロットで検定してもCAT検定 はど劇的な結果を得ることはできなかった。しかしながら、小さな差を再現性よ く見いだすことができた。
EIAは、ラットneuプロモーターの5tuI−Xho Iフラグメントに相 当するヒトneuプロモーターのシス作用性DNA成分に目標を設定することに より、ヒトneuプロモーターを抑制するものと考えられる。
f、TGGAATG配列はEIAが介する抑制に重要な部位である 報告によると、サルのウィルス40(BorrelIら、1984)、ポリョー マウイルス(VelciChら、1986)、免疫グロブリン重鎮(Henら、 1985)およびインシュリン遺伝子(Steinら、1987)の、エンハン サ−が介する転写の活性化を、EIAが抑制する。これらの遺伝子のエンハンサ −配列を比較すると、EIAに反応する成分のコア配列となる可能性がある共通 配列(次の頁に示す)が明らかになる。
しかしながら、これまでにこの見方を支持する実験データがなかった。ラットn euプロモーターの5tul−XholのうちEIAに反応する成分から、共通 配列と合致するTGGAATG配列が見いだされる。ヒトneuプロモーターの 対応する領域でも同一の配列が存在している(Talら、1987)。したがっ て、TGGAATG配列はEIAが誘発する抑制の重要な目標配列であると考え られる。
この可能性を検討するため、TGGAATG配列を含むラットneuプロモータ ーの20マー・オリゴヌクレオチドを合成した(図5)。このオリゴヌクレオチ ドはEIAによるneu抑制に関与する転写因子に対して、neuプロモーター と効率よく競合し、抑制解除効果を認めたが(図5、第二番目のレーン)、これ に反し非相同の227−・ランダムオリゴヌクレオチドには抑制解除効果がなか った(図5、第三番目のレーン)。これらのデータにより、20マー・オリゴヌ クレオチドはEIAが誘発する阻止に必要な重要配列を含むことが実験的に立証 された。この20マー・オリゴヌクレオチドのTGGAATG配列は、EIAに よって抑制される他の遺伝子のエンハンサ−配列中の共通配列に似ているので、 この7bpの配列はEIA効果を誘発する重要な配列である可能性もある。
3、考察 これまでに述べた結果は、同時移入系において、EIA遺伝子生成物がneu表 現の転写を抑制したことを示している。さらに、CR2の一部(アミノ酸120 〜136)が欠損するとEIA生成物からneu表現の抑制効果が失われること も立証された。アデノウィルスEIAのCR2領域の欠失部分は、これと同じモ チーフの構造がパポーバウイルス大腫瘍抗原、v −とC−ミック・オンコブロ チイン(v−andc−myc oncoproteins)、ヒトのパピロー マウィルスのE7)ランスフォーメーションタンパク質およびイースト分裂調節 DCD25遺伝子生成物にも存在している(Figgeら、1988)。領域に 遺伝コードを伝えるこのモチーフは、E I A、サルのウィルス40大腫瘍抗 原およびヒトのパピローマウィルス16 E7がヒトの網膜芽細胞腫遺伝子生成 物、RBタンパク質に特異的に結びつくためにも必要である(Whyteら、1 988;Whyteら、1989)。
これらの試験でさらに、オリゴヌクレオチドの配列が、neuプロモーターの上 流領域でEIAが誘発した抑制を仲介することを明らかにした。TGGAATG 配列は、ラットとヒトのneuプロモーター間で保存されていて、機能的な重要 性が示唆されている。またこの配列は、EIAにより抑制される他の遺伝子の共 通配列と一致している。これらの所見を総合して考えると、このタイプのEIA を介する抑制には共通するメカニズムが存在する可能性も考えられる。従来から 、EIAは細胞の転写因子と複合体を形成していて、従って複写因子が複写にと っては重要なエンハンサ−成分と特異的に結合するのを調整するとされてきた( Mitchellら、1989)。EIAを介してneu転写が阻止される原因 となっているDNA配列が同定され、このためこの過程に関与している転写因子 も同定されていくことであろう。
転移性乳癌患者では、neuプロトオンコジーンが顕著に増幅する。rasがん 遺伝子によりトランスフォーメーションしたラット胚細胞を実験的に転移させて 、EIA遺伝子を発現させると、この転移を阻止することができる。つまり、ラ ット胚線維芽細胞の樹立細胞系であるラット1においてEIA生成物がneu転 写を抑制できることが証明されている。さらに、ヒト乳癌細胞5K−BR−3に おいて、EIA遺伝子を導入するとヒ)neu遺伝子生成物であるp185タン パク質の表現が減少した。一方、5tuI−XhOIフラグメントを用いて同時 移入実験を実施し、抑制解除効果を認めたが、これは同様の転写抑制メカニズム によりp185タンパク質が減少するものらしいことを示している。
実施例II アデノウィルス5 EIA遺伝子生成物のneuがん゛ −のトランスフォーメ ーションに・ る実施例Iにおいては、遷移性移入検定によってアデノウィルス 5 EIA遺伝子生成物がneuプロトオンコジーンの転写を強く抑制すること が証明された。
本実施例においては、neuでトランスフォーメーションしたB104−1−1 細胞にEIA遺伝子を安定的に導入し、EIAが介するneu抑制によって、n euが介する形質転換活性を抑制できることを証明する。これらの試験において 、EIA生成物を発現した細胞では形質転換力と腫瘍形成力が低減したことが、 おのおのの検定により証明されている。さらにまた、EIA遺伝子生成物がne uがん遺伝子の表現型のトランスフォーメーションを抑制することができること が証明されたが、EIAは一つの環境ではトランスフォーメーションさせるがん 遺伝子として働き、もう一つの環境ではトランスフォーメーションを抑制する遺 伝子として作用する遺伝子の最初の例であると信じられている。
B 104−1−1細胞系は、変異活性化したゲノムneuがん遺伝子の複写を 約10〜20個持っていてるIH3T3の移入体であり、形質転換力と腫瘍形成 力が高いことで知られている(Bargmannら、1986;5ternら、 1986)。本実験では、B104−1−1細胞とコントロール(対照)である N I’ H3T 3細胞には、アデノウィルス5 EIA遺伝子を発現するE IAプラスミド(p E I A)か、EIAコード配列がないEIAプロモー ターのみを含む誘導体プラスミド(pEIApr)のどちらがを移入した。さら に、これらの細胞に、ネオマイシン耐性の標識遺伝子を含むpSV2neoプラ スミドを同時移入した(Southernら、 1982)。
移入は改良型リン酸カルシウム沈澱法(Chenand Okayama、19 88)により実施した。
移入毎に、移入24時間前にB104−1−1細胞またはNIH3T3細胞を5 X105個(2X10cm皿)を接種した。これらの細胞と共に、pEIAプラ スミドDNAまたはその誘導体であるpEIAprプラスミドDNAを表現する EIA 10Mgと、pSV2−neoプラスミドDNA 1μgを移入した( S。
u t he rnら、1982)。移入の約14時間後、細胞を洗い、新鮮な 培地に移してさらに24時間培養して、1:10の比で分割した。その後細胞を G418500μg/mIを含む選択培地で2〜3週間増殖し、クローニング・ リング(c Ion ing r ings)t−使用してG418耐性コロニ ーおのおののクローンを作ってから、大量培養に移行した。
このようにして次の三種の安定した移入体を樹立した。 (1)B−EIA移入 体:EIA遺伝子を含むB104−1−1移入体である。 (2)B−EIAp  r移入体:EIAプロモーター配列を含むB104−1−1移入体で、この実 験ではコントロール細胞系として使用する。 (3)N−EIA移入体: EI A遺伝子を移入したNIH3T3g胞である。
細胞の培養は公知の方法によった(Hungら、1989; Matin ら、 1989)。 B104−1−1細胞系とNIH3T3細胞系は、子ウシ血清1 0%を加えたダルベツコ改良型イーグル培地(DMEM)により、湿潤化5%C O2,37℃の雰囲気下で増殖した。B−EIA移入体とN−EIA移入体も、 培地にG418 (500μg/ml)を加えたこと以外は同様にして増殖した 。
図6は、この実験で用いた代表的な、安定した移入体をサザンプロット法と免疫 プロット法によって処理した細胞としての特徴を示すものである。サザンプロッ ト法は、実質的には前報で発表された方法(Zhangら、1989)を用いた 。即ち、培養細胞のゲノムからDNAを抽出し、制限エンドヌクレアーゼ(Ec oRl、5stlとBamHlのうちのどれか)の2倍の余剰量を加えて37° Cで一晩消化した。その後サンプル 10Mgづつを1%アガロースゲル電気泳 動により分解し、l0XSSC(1,5m NaCLo、15M クエン酸ナト リウム)を用いるナイトラン(Nytran)膜に移した。DNAをプロットし 、ランダム・プライムド・DNA・ラベリング・キット(Random Pri med DNA Labeling Kit: Boehringer Man nheim Biochemicals、 Indianapolis、IN) による標識をつけた[32p]放射性プローブ(1〜5X108CPMμg−1 )を使用して、極めて過酷な条件(68℃)でハイブリッド形成を行った。プロ ットは15分間で2度洗った。洗いは毎回、室温で2XSSCと0.1%SDS とを用いて行った。その後さらに、30分間で2度洗った。この場合の洗いは毎 回、68℃で、常に攪伴をしながら、且つ0.lX5SCと01%SDSとを用 いて行った。
フィルターは室温で乾燥し、−80℃でコダックX −OMATTMARフィル ムに1〜3日間露出させた。
免疫プロット法は、実質的には前報(Matinら、1990)で発表された公 知の方法(Towbinら、1970)を用いた。10cmのプレートで増殖し 、集密的となった細胞をRI PA−B緩衝液(リン酸ナトリウム 20mM、 pH7,4,NaC1150mM、 EDTA 5mM、 ト リ ト ン ( Triton)1%、アプロチニン(Aprot 1nin) 10Mg/ml 、PMSF 2mM、oイペブチン(Leupept 1n)10Mg/mlお よびヨード酢酸4 m M )で溶解したのち、4℃で20分間10×gの遠心 分離を行った。上澄み液のタンパク質濃度をバイオラッドタンパク検定(Bio −Rad Laboratories、Richmond、CA)により測定し た。
サンプル50μgづつをSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(10%)に) )げた後、ニトロセルロースフィルターに移した。TPBS緩衝液(Tween 20 0.05%、NaCl 138mM、KCI 2゜7mM、Na2HPO 4−7H204,3mMおよびKH2PO41,4mM)中に脱脂乳3%を溶解 したものでニトロセルロースフィルターを室温で1時間処理した後、EIAタン パク質に対する一部モノクロナール抗体M73(オハイオ州立大学 L、S、C ang博士より恵贈)、またはneuによりコードされたp185タンパク質に 対する一部モツクローナル抗体mAb−3(Oncogene 5cience  Inc。
Manhasset、NY、から購入)を加えて4℃で一晩インキユベートした 。さらにニトロセルロースフィルターをTPBS緩衝液で1回10分間づつ、3 回洗った後、西洋ワサビペルオキシダーゼ(horseradish pero xidase)に共役のヤギの抗マウス免疫グロブリン(Bio−Rad La boratories)の1 : 1000希釈液を加えて室温で1時間インキ ュベートした。ニトロセルロースフィルターをTPBS緩衝液で3回洗った後、 西洋ワサビペルオキシダーゼ基質(Kirkegaard& Perry La boratories、Inc、、Gaithersburg、MD)を用いて 着色反応を実施した。
外因性のEIA遺伝子とEIAプロモーターDNAが移入体のゲノムと一体化し ているか否かを確かめるため、EIAプローブによるDNAプロットを行ったと ころ、外部から移入されたDNAが完全に取り入れられていることが分かった( 図6a)。この実験の対象としたB−EIA移入体3種(B−EIA−1,B− EIA−2およびB−EIA−3)のEIA遺伝子の複写数がそれぞれ異なって いたことは興味あることである。また、免疫プロット法によりEIA検出を試み たところ、B−EIAとN−EIA移入体双方が実際にEIAタンパク質を産生 じていること、これら移入体中のEIAタンパク質の含量は、アデノウィルスD NAによりトランスフォーメーションしたヒト胚子腎臓の樹立−次細胞系である 293細胞系よりも低かったことが確認された(図6b)。
EIAの発現によってneuの発現を阻止できるか否かを確かめるため、neu によりコードされたp185タンパク質の免疫プロット検定を行ったが、実際上 どの移入体からも西洋ワサビペルオキシダーゼ検出法によりp185タンパク質 を検出することはできなかった(図6c)。しかしながら、より感度が高い12 5■タンパク質A法を用いると、B−EIA−3で、B−EIA−1やB−EI A−2よりもやや多いp185タンパク質が検出されるのが認められた。B−E 1A移入体からp185タンパク質がほとんど検出されないところから、neu 遺伝子が欠失していなことを確かめるため、ラットのneu遺伝子を用いてDN Aプロット分析を行った。図6dに示す通り、EIA遺伝子がゲノム中に取り入 れられているにも拘らずDNAのneu遺伝子の量は変わらなかった。
B−EIA移入体3種のうち、B−EIA−2とB−EIA−3は、親細胞系で あるB104−1−1に匹敵する量のneu遺伝子を含んでいたが、B−EIA −1の遺伝子量は低かった。これは、移入細胞系を樹立する過程で、この細胞系 だけがneu遺伝子の1部を失ったのが理由であると考えられる。図6で示し7 ”: B −E I A移入体3種についてさらにトランスフォーメーション検 定を行うことにした。なぜならば、これらはB−EIA移入体の相異なる3種の 亜種だからである。 (1)B−EIA−1はB104−1−1と較べるとne u遺伝子の複写数が少ないが、EIA遺伝子の複写数は多い。 (2)B−EI A−2は、neUの量はB104−1−1と同一であるが、EIA遺伝子の量は 低い。 (3)B−EIA−3は、neuの量はB104−1−1と同じである が、EIA遺伝子の量は低い。
neuによってトランスフォーメーションした細胞の形質転換性表現型(tra nsforming phenotype)は、 トランスフォーメーションし た形態、接触阻止ではない増殖パターン、速いDNA合成速度、足場依存性では ない増殖、ヌードマウスに腫瘍を誘発する能力なとを内容とする。neuによっ てトランスフォーメーションしたB104−1−1細胞が持つトランスフォーメ ーションをさせる能力に対するEIA発現の効果を確かめるため、上記のトラン スフォーメーションパラメーターを基準として、B−EIA移入体とコントロー ル細胞系を標準プロトコルに従って分析した。
この実験結果のうち、先ずトランスフォーメーションの程度が高かったB104 −1−1細胞の形態は、pEIAprを移入しても実質的に変化を生じなかった が、pEIAの移入後では顕著な変化が認められた(図7)。B−EIA移入体 では、形態がトランスフォーメーションせず平たい形のままであること、増殖パ ターンが接触阻止型でないことが認められた(図7)。
NIH3T3細胞でEIAタンパク質を発現させたが、単層の形態に有意の変化 を認めなかった。この結果を見ると、EIA遺伝子生成物は、neuがトランス フォーメーションさせた細胞の形質転換性形態を有意に逆転させたことが示唆さ れている。
また、細胞増殖の尺度としてDNA合成を検討し、B−EIA移入体がコントロ ールと較べて活発にDNAを合成しているか否かを調べた。この実験は[3H] チミジンの取入れ検定を使って行った。細胞は10個のレプリカ培養を行った。
これは、96ウエルのプレート上で、1ウエルにつき細胞9X10’個を入れ、 DMEMに子ウシ血清10%を加えた培地により培養した。 [3)(コチミジ ン(1μCI)は16時間、40時間および64時間の各時点でウェルのおのお のに加え、37℃で2時間インキュベートした。その後、細胞を採集し、DNA をガラス繊維フィルターに移した。各サンプルの放射能はシンチレーションカウ ンターで計測し、平均cpmは複製サンプル10個から計算した。
DNA合成率は[3H]チミジンの取入れ量から換算したが、B−EIA移入体 3種それぞれで異なっていた。B−EIA−1およびB−EIA−2のDNA合 成率ははるかに低かったが、このことはこの2種の細胞増殖速度がB104−1 −1i胞のそれと較べて遅かった事実と一致していた。このように[3H]チミ ジンの取入れが減少したのはEIAが誘発したものであるが、これはB−EIA −3細胞系では劇的ではなかった。このことは、恐ら< EIAタンパク質の含 量が低いことが原因であろう。これらのデータから、EIAタンパク質がDNA 合成と細胞増殖に対するneuがん遺伝子の効果を阻止することが出来ることを 示唆している。
足場依存性をもたない増殖に対するEIAタンパク質の影響を見るため、B10 4−1−1細胞とB−EIA移入体が軟寒天で成長できるか否かを分析した。
公知の方法(Matfnら、1990)によりBiO2−1−1細胞、B−EI A移入体、NIH3T3細胞およびN−E I A移入体の軟アガロース中で増 殖する能力を測定した。24個のウェルを持つプレートに、つぎのDMEM培地 を入れ、プレートあたり細胞1×103をおいた。DMEM培地は、子ウシ血清 10%を添加し、且つ上層にアガロース0.35%(BRL、Gaithers uburg、MD)、下層にアガロース0.7%の二層からなる培地とした。細 胞は37℃で3週間インキュベートし、プレートを37°Cで24時間かけてp −ヨードニトロテトラゾリウム・バイオレ・ソ ト (p−iodonitro tetrazolium violet)(1mg/ml)で染色し、コロニー を数えた。
軟寒天による実験結果では、EIA移入体はBiO2−1−1とB−EIApr 移入体と比較して、コロニー形成を著しく減少させたことを示している(図8b )。NIH3T3とN−EIA−1の2つの細胞系はコロニー形成を有意に変え なかったことは注目に値する。
新生物実験では最も厳格な条件を適用して、細胞をヌードマウスに注射して腫瘍 を形成する試験を行った。
EIAの効果を吟味する試験のうちで、neuが介する腫瘍形成をEIAが抑制 するのをin vivoで試験することが決定的重要性を持つことに鑑み、ヌー ドマウスによる実験を行うことにしたものである。腫瘍形成用として、対数増殖 期の8104−1−1細胞、B−EIA移入体、NIH3T3細胞とN−EIA 移入体にトリプシンを添加、リン酸緩衝液と食塩水の混液で2度洗って、250 Xgで遠心分離した。
その後生存可能な細胞を数えて、リン酸緩衝液と食塩水の混液 0.1mlに細 胞1×105個を投入した。
生後5〜6週間の、ホモ接合の雌ヌードマウス(Harlan Sprague  Dawley Co、)を無菌条件で保持し、このヌードマウスの脇腹左右側 に上記の細胞液を皮下注射した。指定日毎に、可視の腫瘍塊の有無により腫瘍形 成を記録し、注射後第16日に、長さ、幅、厚さをカリパスで計測した値(最長 の表面の長さ、幅および腫瘍の厚み)の積を腫瘍の容量として判定した。腫瘍成 長のモニターは、最短16日間、最長2月間行った。
親細胞の8104−1−1系はヌードマウスに皮下注射したのち第8日までに固 形種が形成された。しか場合には、注射後第12〜26日まで腫瘍が形成されな かったし、またどのマウスでも、腫瘍の大きさはB104−1−1細胞によるも のより遥かに小さかった(図9a)。
また、B−EIA−1移入体と B −E I A、−,2移入体はいずれも、 はぼ同量のEIA遺伝子を含有しているのであるが、B−EIA−1細胞では、 遥かに遅くなってから腫瘍が形成し始めた。これは、この細胞系では、neu遺 伝子の量が低いことが原因であると思われる。他方、B−EIA−2移入体とB −EIA−3移入体とは、B 104−1−1と同一量のneu遺伝子を含んで いるのだが、B−EIA−3のトランスフォーメーション抑制効果はB−EIA −2のそれほど強くない。これは、B−EIA−3のEIA遺伝子の含量が低い ためと思われる。EIAを発現させてneuがん遺伝子で作った腫瘍を抑えるこ の実験で、代表的なものは、図9bとllaの写真である。注射後第18日でみ ると、B104−1−1細胞の注射をうけたマウスは巨大な腫瘍を持っているが 、B−EIA−2移入細胞を注射したマウスでは、がなり小型の腫瘍結節しか持 っていない。予想されていたように、NIH3T3細胞の注射を受けたコントロ ールマウスには腫瘍形成を認めなかった。
ウイルムス腫細胞(Wi1m’s tumor cells)とヒト前立腺がん 腫DU145細胞に関する過去の研究において、ウィルムス腫細胞にクロモソー ム11を再導入したり、DU145細胞にRB遺伝子を戻してやると、腫瘍形成 を抑制するが、細胞の形態、増殖速度、コロニー形成能カには変化が認められな かったことが報告されている(Weissmanら、1987;Booksti neら、1990)。これらのデータは、培養の増殖速度とヌードマウスの腫瘍 形成は別個の現象であることを示している。本研究では、B−EIA−1細胞お よびB−EIA−2細胞の増殖速度が遅く、また腫瘍形成活性が非常に弱いこと が認められた。しかしながら、増殖速度の遅いことと、[3H]チミジンの取り 込みが少ないことだけでは、腫瘍形成の抑制を説明することはできない。例えば 、B−EIA−3の[3H]チミジンの取り込みと、細胞増殖速度はB104− 1−1と似たような水準にあるのだが、B−EIA−3の腫瘍形成活性は著しく 抑制されていた。これらを総合してみると、neuがトランスフォーメーション させた細胞の形質転換性特性はすべて、B104−1−1細胞にEIA遺伝子を 導入することによって抑制することができる。
実施例III neuが介する転移の EIA遺云 生 による B104−1−1のB−EIA移入体を用いて、EIA遺伝子生成物によりne uが介する転移を抑制できることを、立証する追加実験を実施した。この実験に おいては、B−E IA移入体(B−EIA−1〜B−EIA−5)、ならびに 細胞運動、in vitrO侵襲と実験的に作った転移を検定するための負と正 のコントロールとしてNIH/3T3とB104−1−1を使用した。
この転移実験は、実質的にWexlerが1966年に発表した方法により実施 した。簡単に説明すると、病原菌なし、生後6週間の雌ヌードマウス(Harl and)を1週間隔離した後本実験で使用した。マウス 7〜10匹毎に1群を 作り、尾部を横に走る静脈に0.1mlあたりI X 105個の細胞を含むP BSを接種し、接種の日を第0日とした。各細胞は2つの継代数によって評価し た。マウスは注射後第21日に殺し、墨汁を浸透させてから肺転移数を測定した 。肺の結節は直径1mm以上の結節のみを数えた。さらに調べたが、肺以外の転 移を認めなかった。マウスの肺全体の外観の代表的な写真を図11bに示す。一 方、本実験の定量的データを次の表1に示す。
表1 実験的に作った転移 B−EIA−5neu+EIA 1/10 0.1±04neuを介する転移を 阻止するEIAの効果は、図11bに明示されている。さらに、この成果1つだ けで本研究全体を代表できるものである。負のコントロールであるマウス、NI H/3T3、EIAを移入したNIH/3T3 (N−EIA)で、転移した肺 の結節を認めたものはなかった。しかしながら、正のコントロール(B104− 1−1とB−n e o)ではすべて、平均頻度的10で転移性の結節を認めた 。これとは対照的に、実験細胞系(B−EIA−1〜 B−EIA−5)は、頻 度範囲1〜3(おのおの10および9のうち)で転移の可能性を低下させたし、 また正のコントロールであるマウスの平均結節数は01〜08であった。2つの 実験細胞系、B−EIA−1とB−EIA−3には、転移が全くなかったことに 注目すべきである。
これまでに、細胞運動が増加すると、転移の可能性も高くなることが証明されて いる。したがって、化学誘引剤のフィブロネクチンまたは肝臓洞様毛細血管の内 皮細胞で調節した培地を使って運動検定を実施した。
図10aで示す通り、化学誘引剤を変えて行った検定においてすべてのB−EI A移入体の泳動率は、B104−1−1にネオマイシン耐性(neo’)遺伝子 のみを移入して形成したB−neo細胞系の泳動率よりも低かった。N−E I  A細胞の泳動率も低く、NIH3T3細胞のそれに匹敵していた。
転移過程のもう1つの段階として、組織と基底膜の侵襲を挙げることができる。
in vitro侵襲検定では、B−neo細胞とB−EIA細胞系との間には 著しい相違があることを示した。B−neo細胞は、B104−1−1細胞と同 様に高い侵襲率を示したが、B−EIA移入体はマトリゲル(Matrigel )を侵襲することもできなかった。B−neo細胞と5種のB−EIA細胞系を ヌードマウスの尾部静脈に注射したところ、肺結節の頻度と数について劇的な相 違があることを認めた(図10aおよび表1)。5種のB−EIA移入体のうち 2つでは、転移性腫瘍を実験的に作ることは全くできなかった。
残る3種のB−EIA細胞系で実験的に作ることができる転移は、B neo細 胞と比較すると非常に低率であった(P>0.01)。予想していた通り、N− EIA細胞では転移性の肺結節を作ることはできなかった。これらの結果から、 neuによってトランスフォーメーションされた3T3細胞が転移しようとする 場合、EIA遺伝子生成物がneuの転写による発現を抑制することにより転移 を減少することができるのは明白である。
図11bで代表される本発明の結果から、E1八遺伝子生成物はneu遺伝子が 介する腫瘍形成とトランスフォーメーションを抑制するばかりでなく (実施例 ■)、neuが介する転移も抑制することか証明された。
********* 上記のごとく本発明の組成及び方法を最良の実施形態として開示してきたが、当 業者にとって明白なように、本発明の思想、趣旨および範囲から逸脱することな く、本明細書で述べられている組成、方法および方法の段階または段階の配列に ついて変法を適用することができる。より詳しくは、化学的および生理学的に関 連している薬剤により、本明細書で述べている薬剤を置き換えて、同一あるいは 類似の結果を達成することが可能であることも明白である。当業者にとり明白な 上記の類似する置換物及び改良物はすべて、後述の請求の範囲で定めている本発 明の趣旨、範囲および思想の範囲内にあるものとみなす。
参考文献 下記の文献は、ここで採用された方法、技術、および/または組成物のためのま たはそれらを教示する背景を補い、説明し、提供する限りにおいて、参照するこ とにより本明細書の一部をなすものとする。
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B−EIA−10/6 0/6 0/6 5/6 6/6 N、D。
B−εIA−20/6 2/6 1’t/6 6J6 6/6 216土538 −EIA−30/6 6/6 6/6 6/6 6/6 481土74NIH3 T3 B−EIA−28104−1−1国際調査報告 F+ym PCI/l5N2+ O(tuppmtwn+a1露噛嘱1211  ・Pu+ 2805jt+

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 1.細胞のトランスフォーメーション、腫瘍形成および転移の可能性の減少とし て現れるようながん遺伝子の表現型の抑制に有効であるようにして、E1A遺伝 子生成物を細胞に導入することよりなる、neuがん遺伝子を介して起こる細胞 のトランスフォーメーションの抑制方法。
  2. 2.上記E1A遺伝子生成物をエンコードするDNAセグメントを導入すること により、該生成物が細胞に導入される請求項1に記載の方法。
  3. 3.上記DNAセグメントがE1A遺伝子とそれに関連するコントロール配列よ りなる請求項2に記載の方法。
  4. 4.上記DNAセグメントがベクター上に所在する請求項3に記載の方法。
  5. 5.上記ベクターがプラスミドベクターからなる請求項4に記載の方法。
  6. 6.上記ベクターがウイルスベクターからなる請求項4に記載の方法。
  7. 7.上記ベクターがレトロウイルスベクターからなる請求項6に記載の方法。
  8. 8.上記E1A遺伝子生成物がE1A12Sまたは13S遺伝子生成物からなる 請求項1に記載の方法。
  9. 9.上記DNAセグメントがE1A12Sまたは13S遺伝子生成物の何れかを エンコードする請求項2に記載の方法。
  10. 10.上記DNAセグメントがE1A12Sおよび13S遺伝子生成物の双方を エンコードする請求項9に記載の方法。
  11. 11.上記細胞の腫瘍形成の可能性が抑制される請求項1に記載の方法。
  12. 12.上記細胞の転移の可能性が抑制される請求項1に記載の方法。
  13. 13.neu p185トランスメンプランタンパク質の細胞内含量を抑制する のに有効であるようにして、E1A遺伝子生成物を細胞に導入することよりなる 、neu遺伝子を有する細胞のneu遺伝子の発現の抑制方法。
  14. 14.上記E1A遺伝子生成物をエンコードするDNAセグメントを導入するこ とにより、該生成物が細胞に導入される請求項13に記載の方法。
  15. 15.上記DNAセグメントがE1A遺伝子とその関連するコントロール配列か らなる請求項14に記載の方法。
  16. 16.上記DNAセグメントがベクター上に所在している請求項15に記載の方 法。
  17. 17.上記ベクターがプラスミドベクターからなる請求項16に記載の方法。
  18. 18.上記ベクターがウイルスベクターからなる請求項16に記載の方法。
  19. 19.上記ベクターがレトロウイルスベクターからなる請求項18に記載の方法 。
  20. 20.上記E1A遺伝子生成物が12Sまたは13S遺伝子生成物からなる請求 項13に記載の方法。
  21. 21.上記DNAセグメントがElA12Sまたは13S遺伝子生成物の何れか をエンコードする請求項14に記載の方法。
  22. 22.上記DNAセグメントがE1A12Sおよび13S遺伝子生成物の双方を エンコードする請求項21に記載の方法。
  23. 23.neu遺伝子を介して起こるトランスフォーメーションを抑制する組成物 の製造におけるE1A遺伝子または遺伝子生成物の使用。
  24. 24.neu遺伝子が介するトランスフォーメーションを抑制する組成物の製造 において、E1A遺伝子生成物をエンコードする遺伝子セグメントを使用するこ とよりなる請求項23に記載の使用。
  25. 25.上記遺伝子セグメントがE1A遺伝子とそれに関連するコントロール配列 からなる請求項24に記載の使用。
  26. 26.上記DNAセグメントがベクター上に所在する請求項25に記載の使用。
  27. 27.上記ベクターがプラスミドベクターからなる請求項26に記載の使用。
  28. 28.上記ベクターがウイルスベクターからなる請求項26に記載の使用。
  29. 29.上記ウイルスベクターがレトロウイルスベクターからなる請求項28に記 載の使用。
  30. 30.上記DNAセグメントがE1A12Sおよび13S遺伝子生成物の双方を エンコードする請求項24に記載の使用。
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