JPH0649935Y2 - 複合軸受装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 A.産業上の利用分野 本考案は立軸回転機の複合軸受装置に関し、特に、複合
軸受装置のスラスト軸受とガイド軸受両方に冷油を効果
的に供給する装置に関する。

B.考案の概要 本考案による複合軸受装置は、分割構造のスラスト軸受
を下から支持する支持部材にパッド間に開口する給油路
を設け、且つ、この給油路に冷油供給管を接続すること
によりスラスト軸受の摺動面に下から直接冷油を供給
し、また、前記支持部材の内周にスラストランナーの内
周に延びたシール部材を設けることにより冷油を熱油か
ら分離し、更に、ガイド軸受を下から支持する支持部材
にメタル間に開口する給油路を設け、且つ、この給油路
に冷油供給管を接続することによりガイド軸受の摺動面
に下から直接冷油を供給して、両軸受の冷却性能を向上
させたものである。

C.従来の技術 第７図により従来の立形水力発電機の複合軸受装置の構
造を説明する（実開昭52-5206号参照）。

スラスト軸受１はピポット２を介して油槽３の底面に設
置され、主軸のスラストボス４のスラストランナー５を
下から支持している。ガイド軸受６は、油槽３内のフレ
ーム７に設けたメタル受け８のボルト９によりスラスト
ボス４の外周面に押付けて、これを案内している。

スラストランナー５にはポンプ作用をする孔10があり、
またスラストランナー５の外方に環状集油箱11があり、
集油箱11は油槽３を貫通した熱油排出管12によりオイル
クーラ13に接続されている。

オイルクーラ13からの冷油給油管14は油槽３を貫通し
て、スラスト軸受１の中央外側寄り付近まで延びてい
る。また、他の冷油給油管15が油槽３を貫通して、ガイ
ド軸受６付近まで延びている。

ガイド軸受６の上方にはメタル受け８の上部に設けた仕
切カバー16があり、冷油室17を形成している。また、仕
切カバー16の側面には孔18があり、孔18に調整板19を設
けて油室20への冷油流出量を調整可能としている。21は
油面、22はオイルリテイナーである。

潤滑油の流れは矢印で示すように、スラストランナー５
の孔10のポンプ作用によって潤滑後の熱油が集油箱11に
集まり、排油管12を通ってオイルクーラ13に送られる。
オイルクーラ13からの冷油は一方の給油管14を通ってス
ラスト軸受１付近に噴出され、また他方の給油管15を通
ってガイド軸受６付近に噴出される。

D.考案が解決しようとする問題点 従来の構造では、スラスト軸受１を通って発生する熱油
23と、ガイド軸受６を通って発生する熱油24とが合流し
て、給油管14を通ったオイルクーラ13からの冷油に混合
するため、スラスト軸受１の摺動面に冷油が直接供給さ
れ難く、比較的温たかい油25が供給されることになり、
軸受温度が高く軸受性能が良くない。

また、スラストランナー５のポンプ孔10には熱油に混ざ
って、給油管14からの冷油26も吸込まれるため、オイル
クーラ13の性能を有効に利用できない。

更に、ガイド軸受６に関して、給油管15の先端がガイド
軸受６の摺動面から離れて上方に位置するため、冷油が
直接摺動面に供給されず、熱油と混合してから供給され
るので軸受温度が高く軸受性能が良くない。

本考案の目的は上述した従来技術の問題点に鑑み、冷油
を熱油から分離し、直接摺動面に供給する複合軸受装置
を提供することにある。

E.問題点を解決するための手段 本考案による複合軸受装置は、立形回転機の主軸のスラ
ストボスのポンプ孔を有するスラストランナーを下から
支持するスラスト軸受と、前記スラストボスの外周面に
押付けられたガイド軸受とを有し、両軸受に冷油を供給
する構造の立形回転機の複合軸受装置において、前記ス
ラスト軸受は支持部材により下から支持され周方向に間
隔をおいて配置された複数個のパッドからなる分割構造
の軸受であり、前記パッド用支持部材にはパッド間の内
周寄り部分で上向きに開口する給油路が設けられ、この
給油路に冷油供給管が接続され、更に、前記パッド用支
持部材の内周には前記ポンプ孔付近までスラストランナ
ーの内周に延びたシール部材が設けられていること、前
記ガイド軸受は支持部材により下から支持され周方向に
間隔をおいて配置された複数個のメタルからなる分割構
造の軸受であり、このメタル用支持部材にはメタル間の
内周寄り部分で上向きに開口する給油路が設けられ、こ
の給油路に冷油供給管が接続されていることを特徴とす
るものである。

F.作用 上記構成において、スラスト軸受への給油は、冷油がパ
ッド間に下から噴出して摺動面に直接供給され、冷却効
果が向上する。

ガイド軸受への給油も、冷油がメタル間に下から噴出し
て摺動面に直接供給され、冷却効果が向上する。

更に、シール部材が排出されるべき熱油とスラスト軸受
へ給油する冷油とを分離し、冷却効果が一層向上する。

G.実施例 第１図〜第６図に示す実施例とともに本考案を説明す
る。

第１図は一実施例の複合軸受装置全体の断面図、第２図
は第１図のII-II断面図、第３図は第２図のIII-III断面
図、第４図は第２図のIV-IV断面図、第５図は第１図の
Ｖ−Ｖ断面図、第６図は第５図のVI-VI断面図である。

これらの図において、主軸27のスラストボス４の下面に
スラストランナー５が固定され、スラストボス４を囲む
油槽３がブラケット28により固定物に取付けられてい
る。

スラスト軸受の各パッド29はパッド座30を介して環状の
支持部材31上に設置し、スペーサ31aを介して支持部材3
1の内外周の壁32,33間に挾入し、ピン34により回転方向
への移動を規制している。支持部材31はピポット２を介
して油槽３の底面に設置してある。

支持部材31には各パッド29,28間に相当する所の内周近
くの上面に孔があり、この孔に通じる外周面の孔とで給
油路35を形成している。この給油路35に接続した環状の
冷油供給管36を油槽３内に設置し、外部の冷油供給管37
によりオイルクーラ13と接続している。

支持部材31の内周壁32は、スラストランナー５のポンプ
孔10の開口部近くまで延び、スラストランナー５の内周
をシールするシール部材としている。

ガイド軸受の各メタル38はメタル受け39に固定した環状
の支持部材（メタル支え）40上に設置し、ボルト39aで
半径方向の位置決めをしている。支持部材40内には骨41
を残して環状の空間があり、支持部材40の内周上部を切
除して給油路42としている。従って、給油路42は各メタ
ル38,38間の内周部分で開口する。この給油路42に接続
した冷油供給管43を油槽３内に設置し、外部の冷油供給
管44によりオイルクーラ13と接続している。45は冷油量
調整弁である。メタル受け39はその外周のフランジ46に
より油槽３内壁のフレーム47に固定してある。

メタル受け39には孔48aを設け、フランジ46に設けた孔4
8bとで排出路を形成するようにしている。孔48aの位置
は、停止時の油面49がメタル38の1/2に達するように
し、多量の熱油がメタル38周囲に溜らないようにしてい
る。

スラストランナー５の外周に沿って配置した環状の集油
箱11は熱油排出管12によりオイルクーラ13に接続してい
る。

上述した構造により、冷油はスラスト軸受の各パッド2
9,29間に下から噴出して低い給油温度で直接摺動面に当
り、またガイド軸受のメタル38,38間にも下から噴出し
て低い給油温度で直接摺動面に当り、軸受温度を効果的
に下げる。

また、冷油にパッド29,29間、メタル38,38間とも内周部
分から噴出し、冷却効果を一層上げている。

更に、スラスト軸受を通った熱油及びガイド軸受を通っ
た熱油は、スラストランナー５のポンプ孔10に入るとき
シール部材32により、冷油との混合をしゃ断される。従
って、スラスト軸受には冷油だけが供給され、冷却効果
を一層上げている。

更にまた、スラストランナー５のポンプ孔10には熱油だ
けが入り、冷油が混入しないので、オイルクーラ13の性
能が有効に利用できる。

H.考案の効果 本考案によれば、冷油と熱油が分離し、冷油がスライド
軸受のパッド間、ガイド軸受のメタル間にそれぞれ下か
ら直接噴出するので、冷油が直接摺動面を冷却し軸受温
度が効果的に下がる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による複合軸受装置の一実施例の断面
図、第２図は第１図のII-II断面図、第３図は第２図のI
II-III断面図、第４図は第２図のIV-IV断面図、第５図
は第１図のＶ−Ｖ断面図、第６図は第５図のVI-VI断面
図、第７図は従来例の断面図である。 図面中、３は油槽、４はスラストボス、５はスラストラ
ンナー、11は集油箱、12は熱油排出管、13はオイルクー
ラ、29はスラスト軸受のパッド、31はその支持部材、32
はシール部材、35は給油路、36,37は冷油供給管、38は
ガイド軸受のメタル、40はその支持部材、42は給油路、
43,44は冷油供給管である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】立形回転機の主軸のスラストボスのポンプ
   孔を有するスラストランナーを下から支持するスラスト
   軸受と、前記スラストボスの外周面に押付けられたガイ
   ド軸受とを有し、両軸受に冷油を供給する構造の立形回
   転機の複合軸受装置において、 前記スラスト軸受は支持部材により下から支持され周方
   向に間隔をおいて配置された複数個のパッドからなる分
   割構造の軸受であり、前記パッド用支持部材にはパッド
   間の内周寄り部分で上向きに開口する給油路が設けら
   れ、この給油路に冷油供給管が接続され、更に、前記パ
   ッド用支持部材の内周には前記ポンプ孔付近までスラス
   トランナーの内周に延びたシール部材が設けられている
   こと、 前記ガイド軸受は支持部材により下から支持され周方向
   に間隔をおいて配置された複数個のメタルからなる分割
   構造の軸受であり、このメタル用支持部材にはメタル間
   の内周寄り部分で上向きに開口する給油路が設けられ、
   この給油路に冷油供給管が接続されていることを特徴と
   する複合軸受装置。