JPH0649753A - 横編機における選針装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ニードルベッドの選針部領域を少なくし、且
つ、休止位置にあるニードルに対する押圧力を少なくす
ることのできる横編機における選針装置を得る。 【構成】 針溝５内に摺動自在にニードル８を挿入して
なるニードルベッド尾部７上位に、ニードル８の尾部に
当接し、ニードルバット12を針溝５内に押し込むことを
可能に揺動自在に支持され、セレクタバット20を有する
セレクタ16と、上記セレクタ16をニードル押込位置にお
いて固定するセレクタ固定部材17とを設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、横編機においてニード
ルのポジションを選択する選針機構に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来横編機においては、ニードルベッド
の針溝に摺動自在に挿入されたニードルは、針溝のニー
ドルベッド尾部に位置する部分に挿入されたセレクタジ
ャック，セレクタ等を介してセレクタレイジングカム，
クリアカム，アクチュエータ等のキャリッジ選針部に設
けられた各装置により適宜選択されていた。そのため、
ニードルベッドの針溝はニードル挿入範囲の他に、上記
セレクタ，セレクタジャックを挿入した選針部の範囲が
必要で、選針部の領域がニードルベッドの針溝の長手方
向に亘って設けられ、ニードルベッドが大型化し、それ
につれキャリッジも大型化，重量増加の傾向となり、４
ベッド方式の横編機の場合には特に上段のベッドが操作
上支障となる事態が考えられる。また、それらの機構が
複雑で部品の加工及び組付調整にも時間を要しコストが
かかるという結果ともなった。

【０００３】更に、休止位置にあるニードルは、プレッ
サーカムによりニードルベッド内に沈め、ニードルバッ
ト或いはニードルジャックバットがライジングカムと当
接しないようにしなければならないが、そのためプレッ
サーカムと上記バットとの当接によるニードルの押し上
げのため該部の摩耗，動力費は増加し、或いはプレッサ
ーカムの押し下げに対向するバットの反発力に耐え得る
キャリッジの各部構造を強くしなければならず、何れを
見ても装置の長大化は免れなかった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明装置は上記の点
に鑑みて、ニードルベッドの選針部領域を少なくし、且
つ、休止位置にあるニードルに対する押圧力を少なくす
ることのできる横編機における選針装置を得ることを目
的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】針溝内に摺動自在にニー
ドルを挿入してなるニードルベッド尾部上位に、ニード
ルの尾部に当接し、ニードルバットを針溝内に押し込む
ことを可能に揺動自在に支持されセレクタバットを有す
るセレクタと、上記セレクタをニードル押込位置におい
て固定するセレクタ固定部材とを設けた。

【０００６】

【作用】本発明装置にあっては、ニードルベッドの尾部
上位にセレクタ及びセレクタ固定部材を設けることによ
ってニードルベッドのニードル進退動方向の長さを短く
している。セレクタバットは、後退させる方向と針溝に
沈める方向の２方向から固定カムで押圧される。沈める
方向の押圧を受けたとき、セレクタは旋回動し、その縦
腕頂部をセレクタ固定部材に係止されたときのみ休止位
置をとる。セレクタを後退させる方向に押圧を受け、押
圧されたセレクタをアクチュエータが吸引したときニッ
ト位置をとり、吸引しなかったときはスプリングにより
押し返されタック位置となる。

【０００７】

【実施例】本発明装置の実施の一例を図面と共に次に説
明する。

【０００８】ニードルベッド１はニードルプレート２と
スペーサ３とを交互に積層し、ワイヤ４で固定され、ニ
ードルプレート２間を針溝５とし、ニードルベッド頭部
６とニードルベッド尾部７との間を摺動可能にニードル
８を挿入している。図示のニードル８は、ニードル本体
９にスライダ10を摺動自在に設け、ニードルジャック11
によって前記スライダ10の端部を挾持すると共に、ニー
ドルジャック11の先端部をニードル本体に係止している
が、爾後の説明ではニードル８とそれに係合するニード
ルジャック11を含めてニードル８と表現する。従って、
ニードルジャックバットをニードルバット12と表現す
る。13はニードル本体９に対しスライダ10を進退動さ
せ、ニードルフック14を開閉するためのスライダバット
である。

【０００９】ニードルプレート２はニードルベッド尾部
７に位置する部分に立ち上がり部15を設け、立ち上がり
部15において隣接するニードルプレート２，２間にセレ
クタ16，セレクタ固定部材17を設ける。セレクタ16は、
縦腕18と横腕19とよりなるＬ字状をなした薄板状で、横
腕19先端上部にセレクタバット20を、横腕19中央上部に
スプリング係止突起21を、横腕19基部の下縁に案内凹部
22をそれぞれ設け、セレクタ16は、ニードルプレート２
の立ち上がり部15を通して設けたセレクタ支持ワイヤ23
を上記案内凹部22に係止させて、立ち上がり部15のニー
ドルプレート２，２間に支持されている。上記案内凹部
22はセレクタ支持ワイヤ23の直径に対しそれよりも長く
構成されている。そして、セレクタ16は、セレクタ支持
ワイヤ23及びその上位のセレクタ案内ワイヤ24，25に案
内され、横腕19先端下部をニードルジャック11の上縁に
当接し針溝５内を摺動し前後に移動すること、及びセレ
クタ支持ワイヤ23を中心に図１時計針方向に揺動するこ
とができる。上記セレクタ16の横腕19の下向揺動時、横
腕19の先端はニードルジャック11に当接しニードル８を
針溝５内に押し下げ、ニードルバット12を不作用位置に
することができる。26はセレクタ16の前進位置を規制す
るストップワイヤである。セレクタ16は、一端をスプリ
ング係止ワイヤ27に係止したスプリング28をスプリング
係止突起21に当接し、セレクタ16をニードルベッド６側
に移動するように付勢している。しかし上記の付勢力に
よってニードルバット12を沈めることはできない。29は
スプリングストッパである。

【００１０】セレクタ16の上位にセレクタ固定部材17を
設ける。セレクタ固定部材17はセレクタ固定腕30とそれ
に反時計針方向（図２）の旋回力を付勢するためのスプ
リング31とよりなる。セレクタ固定腕30は垂下腕32と横
腕33とよりなる逆Ｌ字形をなした薄板で、垂下腕32の先
端にバット34を、横腕33の中央下部にセレクタ係止突起
35をそれぞれ設けている。セレクタ固定腕30はニードル
プレート２の立ち上がり部15を通して設けたセレクタ固
定腕支持ワイヤ36に屈折部を引掛けて、前記ニードルプ
レート２，２の間隙内に揺動可能に支持されている。屈
折部上縁の凹陥部37内に位置して設けたストップワイヤ
38によって、セレクタ固定腕30の揺動量を規制してい
る。スプリング係止ワイヤ27に端部を係止したＵ字形の
スプリング31の一端を垂下腕32に当接し、垂下腕32をセ
レクタ固定腕支持ワイヤ36を中心に反時計針方向に旋回
するよう付勢している。

【００１１】50はセレクタ用アクチュエータ、51はセレ
クタ固定腕用アクチュエータで、共にキャリッジ52（図
２）上に設けられ、電磁石によりセレクタ16或いはセレ
クタ固定腕30を吸引し揺動する。

【００１２】キャリッジ52の基板53には公知のロック54
が設けられている。図示のロック54は、ライジングカム
55，ニッテイングカム56にトランスファーロック57を設
けたもので、ライジングカム55内に編目受けニードルラ
イジングカム58を、その上部に編目渡しニードルライジ
ングカム59，トランスファーガイドカム60を設けてい
る。ライジングカム55の下位にセパレータカム61，複数
のプレッサーカム62を設けている。図２に示す例は、２
つのロック54，54を有し、その前後に、セレクタ16及び
セレクタ固定腕30を作動させるためのカム部材63が設け
られている。即ち、64はセレクタバット20に当接しセレ
クタ16を図１で時計針方向に旋回するプレッサ、65はセ
レクタ固定腕30のバット34に当接しセレクタ固定腕30を
図２で時計針方向に旋回するプレッサ、プレッサ64の両
側にセレクタ16をアクチュエータ50側に押しやる固定カ
ム66，67、セレクタ固定腕30の反時計針方向への旋回を
止めているセパレータカム68などがキャリッジ52上に設
けられている。

【００１３】次に、本発明装置によりニードル８を休止
位置，ニット位置，タック或いは目移し位置にそれぞれ
選針する方法につき説明する。

【００１４】図２に示すキャリッジ52が図２において左
から右に図１に示すニードルベッド１上を進行したとす
る。この場合、キャリッジ52は図１においては紙面の下
から垂直に上方に向かうことになる。ニードルベッド１
においてセレクタ16とセレクタ固定腕30とはそれぞれス
プリング28，31の付勢により図１Ａの位置を保ってい
る。その前にキャリッジの進行につれ固定カム66は、セ
レクタ16のバット20と当接し、セレクタ16をアクチュエ
ータ50側に摺動するが、バット20が固定カム66を通過す
ると、スプリング28によってセレクタ16は図１のＡに示
す位置に戻っている（図２のに示す位置）。

【００１５】キャリッジの進行につれ、図２のの位置
において、セレクタバット20はプレッサ64に下方に押さ
れ、セレクタ16をセレクタ支持ワイヤ23を中心にしてニ
ードル８の弾発力に抗して時計針方向に旋回する。そし
て上記プレッサ64によるセレクタ16の時計針方向への旋
回中に、プレッサ65がセレクタ固定腕30のバット34と当
接し、セレクタ固定腕30を時計針方向に旋回する（図１
のＢ，図２のの位置）が、バット34がプレッサ65の頂
部を通過し、プレッサ65の下り斜面をバット34が下降す
る。それにつれセレクタ固定腕30はスプリング31の弾発
力によって反時計針方向に反転旋回動し（この位置では
まだ横腕33とセパレータカム68との係合はない）、横腕
33のセレクタ係止突起35が下降しセレクタ16の縦腕18の
頂部と係合する（図１のＣ，図２のの位置）。そのた
めキャリッジの進行につれ、プレッサ64によるセレクタ
バット20への下方向への押圧がなくなってもセレクタ16
は反時計針方向へ旋回することができず、従ってセレク
タ16はニードル８を押し下げた状態を継続し、ニードル
バット12は針溝５内に没したままとなり、ロック54内の
如何なるカムとも当接せず、ニードル８は上昇すること
はなく休止位置を保つ。

【００１６】上記の休止位置を保つ場合において、セレ
クタバット20を押し下げる作用をするのはプレッサ64に
セレクタ16のバット20が当接するときだけであって、一
旦押し下げが完了するとセレクタ16とセレクタ固定腕30
との係合によってセレクタバット20の押し下げ状態が継
続されるために、キャリッジ52上のどのカムも押し下げ
のための作用は全くしていない。従って、その分ニード
ルバット12を押し下げるための付勢も必要なく、ニード
ルバット12とどのカムとの接触摩擦も勿論生じない。

【００１７】ニット位置或いは目移し（編目渡し側）位
置を選定する場合を次に説明する。ニット位置の場合、
前記図１のＢに示すプレッサ65によるセレクタ固定腕30
のバット34の押圧によるセレクタ固定腕30の横腕33の時
計針方向揺動時（図２のの位置）にアクチュエータ51
を作動させる。アクチュエータ51の作動によりセレクタ
固定腕30の横腕33はアクチュエータ51の電磁石に吸引さ
れ図１のＢに示す位置を保っているが、その間、セレク
タ固定腕30のバット34がプレッサ65の頂部を通過し、横
腕33が反時計針方向に揺動し下降を開始しようとする
（図２のの位置）。しかし、セレクタ固定腕30の横腕
33がアクチュエータ51と離れる前に、上記上昇している
横腕33の先端がセパレータカム68に係止し（図２のの
位置）、該横腕33がアクチュエータ51と離れてからも横
腕33は水平状態を保つ。そのためにセレクタ16の頂部は
横腕33のセレクタ係止突起35とは抵触しない。この状態
のときに、セレクタ16のバット20は固定カム67と当接
し、図１のＤに示す如くニードルベッド尾部７の方向に
スプリング28の弾発力に抗して押され（図２のの位
置）、縦腕18はアクチュエータ50に接近する。アクチュ
エータ50はこのとき通電されており、その電磁石は作動
しているので、固定カム67の頂部に位置したセレクタ16
の縦腕18はアクチュエータ50に吸引され図１のＤの状態
を持続する。

【００１８】セパレータカム68は１つのロック54の端部
から端部までの全域をカバーできる長さを有しているか
ら、１つのロック54での編成が終了するまでセレクタ固
定腕30の横腕33を上挙位置に保っている。そしてアクチ
ュエータ50で吸引されたセレクタ16はそのバット20がセ
パレータカム61より下がった位置にあるため、キャリッ
ジ52の進行につれてセレクタ16の縦腕18がアクチュエー
タ50と離れ、スプリング28の弾発力によって図１の右
方、図２の上方に押し返されようとしてもセレクタバッ
ト20がセパレータカム61に当接し、それ以上の復帰は行
われない。そして当該位置においては、セレクタバット
20は編成途中において針溝５内に押し込まれるような作
用は受けることはないから、セレクタ16によりニードル
８のバット12が針溝に押し込まれることはなく、ニット
位置を保ち、当該ニードル８はロック54のライジングカ
ム55と当接し編地の編成が行われる。

【００１９】上記編地編成の際は、トランスファーロッ
ク57は不作用の位置に没しているが、目移し（編目渡し
側）のニードル上昇には編目渡しライジングカム59，ト
ランスファーガイドカム60をそれぞれ作用位置にし、ニ
ードル８を際上昇位置まで上昇させる。

【００２０】タック或いは目移し（受け側）位置に選針
する場合は次の如くである。図２に示す固定カム67によ
ってセレクタバット20をニードルベッド１の尾部７の方
にセレクタ16が押されても（図２の，図１のＤ）、こ
のときアクチュエータ50には通電されておらず、アクチ
ュエータ50による縦腕18の吸引が行われない。このため
バット20が固定カム67を通過すると、セレクタ16はスプ
リング28の弾発力によって押し返されストップワイヤ26
に当接し停止している。そしてセレクタ支持ワイヤ23を
中心とする旋回力をも受けていないため、セレクタバッ
ト20は針溝５から突出している（図１のＥ，図２のの
位置）。その位置はセパレータカム61よりもニードルベ
ッド頭部６側であるため、プレッサーカム62と同位相に
あり、キャリッジ52の進行につれてプレッサーカム62に
当接することになる。そのため、ライジングカム55の斜
面を昇りつつあるニードルバット12は、プレッサーカム
62の作動範囲によって、タック位置或いは目移し位置
（受け側）において沈められることになり、それ以上の
上昇はなく、ライジングカム55を横切ってから或いはラ
イジングカム55内において編目受けニードルライジング
カム58の作用を受けてから再度針溝５より突出し、ニッ
ティングカム56により引き下げられタック編目を編成す
るか或いは編目受け動作をする。

【００２１】上記３ポジションを選択する場合における
アクチュエータ50，51の作動状態を表に示すと表１の通
りである。

【００２２】

【表１】

【００２３】

【発明の効果】本発明装置は、針溝内に摺動自在にニー
ドルを挿入してなるニードルベッド尾部上位に、ニード
ルの尾部に当接し、ニードルバットを針溝内に押し込む
ことを可能に揺動自在に支持され、セレクタバットを有
するセレクタと、上記セレクタをニードル押込位置にお
いて固定するセレクタ固定部材とを設けたため、ニード
ルベッド尾部における選針領域を少なくすることがで
き、且つ、休止位置にあるニードルの押圧はセレクタ固
定部材によりセレクタがニードルを押し込んだ位置で固
定することができるので、キャリッジのカムが１本１本
のニードルにつき、そのバットを押し込むようなことを
することがなくなり、キャリッジへの負荷を少なくする
ことができる。

【００２４】セレクタバット操作用，セレクタ固定腕バ
ット操作用の各カムを固定カムとすることができるため
に、作動カムを制御するための制御台，制御機構が不要
となることによりコストダウンが行える。

【図面の簡単な説明】

【図１】セレクタを含むニードルベッドの断面を示し、
Ａはセレクタの通常位置を、Ｂは選針のスタート時のセ
レクタの状態を、Ｃは休止位置を選択するセレクタを、
Ｄはニット位置或いは目移し（編目渡し）を選択するセ
レクタを、Ｅはタック或いは目移し（編目受け）位置を
選択するセレクタを示す。Ｂ乃至Ｅはアクチュエータの
図示を省略している。

【図２】キャリッジの平面図である。

【図３】スプリングの側面図である。

【符号の説明】

５ 針溝 ７ ニードルベッド尾部 ８ ニードル 12 ニードルバット 16 セレクタ 17 セレクタ固定部材 20 セレクタバット

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 針溝内に摺動自在にニードルを挿入して
   なるニードルベッド尾部上位に、ニードルの尾部に当接
   し、ニードルバットを針溝内に押し込むことを可能に揺
   動自在に支持されセレクタバットを有するセレクタと、
   上記セレクタをニードル押込位置において固定するセレ
   クタ固定部材とを設けた横編機における選針装置。