JPH0649488A - 石鹸汚れ用洗浄剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】無機過酸化物５０〜９５重量％、非イオン系界
面活性剤及び／又はアニオン系界面活性剤１〜３０％、
漂白活性化剤０.１〜２０％からなる混合物を必須成分
として含有することを特徴とする石鹸汚れ用洗浄剤。 【効果】本発明洗浄剤は洗濯機の壁面に付着する石鹸汚
れの除去力が大きく、貯蔵安定性が良好で、強酸、強ア
ルカリ剤を使用しないので、人体に対して安全であり、
洗濯機等に対しても腐食しない利点があり、従って取扱
いが手軽で、付着蓄積汚れを効果的に分解、剥離除去す
る利点を有し、さらに、粉末状態のブロッキング及びケ
ーキングの点がない利点を有する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は無機過酸化物、界面活性
剤、漂白活性化剤を含む洗浄剤に関し、詳しくは、石鹸
を使用する家庭用設備、例えば、一槽式全自動洗濯機の
内外槽間、又は浴槽面に付着蓄積した金属石鹸を主成分
とする汚れを分解、剥離除去するのに優れた粉末状の洗
浄剤に関する。

【０００２】

【従来の技術】家庭用洗濯機を分類すると、洗濯槽と脱
水槽が分離した二槽式型と、洗濯と脱水を同一槽で行な
う一槽式の全自動式型がある。近年、全自動式洗濯機は
主婦の家事労働からの開放などよりその普及には目覚ま
しいものがある。しかし、全自動式洗濯機はその構造
上、内槽と外槽が存在する。この洗濯機に洗濯用洗浄剤
として脂肪酸石鹸を長時間使用した場合には、洗濯水中
のカルシウム、マグネシウムなどの多価金属イオンによ
り脂肪酸石鹸が水に不溶性の金属石鹸汚れを生成し壁面
に付着する。この生成金属石鹸汚れは、洗濯物から除去
された油脂、鉱物油、土、糸くず等の微少物を含みなが
ら内外槽間の槽壁面に徐々に汚れとして付着蓄積する。
長時間を経て付着蓄積した汚れは、一般に灰色〜黒色の
層状で、時々洗濯時の振動などで剥離し、洗濯物を汚す
問題が起こる。又、夏場などの気温の高い季節には、腐
敗による異臭やカビを発生させる事がある。同様の石鹸
汚れが浴槽、浴室、風呂桶、洗面器等に付着することも
ある。合成洗剤を使用した場合には、洗濯水中の多価金
属イオンを配合キレート剤が封鎖し、又、界面活性剤成
分そのものが、脂肪酸石鹸に比較して水に不溶性の成分
を生成しにくく、この様な問題は発生しない。この石鹸
汚れ付着問題の解決法として、従来は洗濯機を分解掃
除する方法、過酸化物を含む液体洗浄剤を使用する方
法で付着石鹸汚れを除去している。しかしながら、洗濯
機を分解掃除する方法は専門知識、工具、時間を要し、
一般の家庭では困難である。また、過酸化物を含む液体
洗浄剤を使用して取り除く場合には、その液体洗浄剤の
液性が過酸化物の安定性を維持する目的で酸性となって
おり、充分な効果を発揮させる為にはアルカリ性の粉末
状合成洗剤などを適量を調合して別に併用する必要があ
り煩雑である。又、液体の過酸化物は法規制や安定性
上、その有効酸素濃度は低く、使用量が多く必要で即効
性も劣る。また、粉末状洗浄剤は吸湿等によりブロッキ
ング（荷重負荷による固化）及びケーキング（湿度吸収
による固化）が起こり易い欠点がある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、洗濯槽など
に付着する石鹸汚れを簡単に除去できる洗浄剤であって
湿気を吸収しやすい粉末のブロッキング及びケーキング
のない洗浄剤を提供することを目的とするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記のよ
うな問題のない、最近の要望にそった全自動式洗濯機に
適した石鹸汚れ用洗浄剤を鋭意研究した結果、無機過酸
化物と非イオン界面活性剤等と漂白活性剤との特定の配
合によって石鹸汚れを簡単に除去できることを見出し本
発明を完成するに至った。

【０００５】即ち、本発明は、無機過酸化物５０〜９５
重量％、非イオン系界面活性剤及び／又はアニオン系界
面活性剤１〜３０％、漂白活性化剤０.１〜２０％から
なる混合物を必須成分として含有する石鹸汚れ用洗浄
剤、特に、該組成物において常温で液状の非イオン系界
面活性剤を、非晶質シリカ粉末に吸収することにより粉
末化した石鹸汚れ用洗浄剤を提供するものである。本発
明洗浄剤に用いる無機過酸化物には、例えば、過炭酸ナ
トリウム（Ｎａ₂ＣＯ₃・３／２Ｈ₂Ｏ₂）、過硼酸ナトリ
ウム及び硫酸ナトリウムやケイ酸ナトリウム及びオルト
リン酸ナトリウムなどの過酸化水素付加物を使用するこ
とができる。特に安定性、低温での効果の点から過炭酸
ナトリウムが望ましい。

【０００６】本発明洗浄剤に用いる非イオン系界面活性
剤としては、例えば、ポリオキシエチレン長鎖アルキル
又はアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキル
フェニルエーテル、ポリオキシエチレン長鎖アルキルア
ミンエーテル、脂肪酸ソルビタンエステル、脂肪酸シュ
ガーエステルなどが含まれる。特に性能面よりポリオキ
シエチレン長鎖アルキル又はアルケニルエーテル、ポリ
オキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシ
エチレン長鎖アルキルアミンエーテルを使用することが
望ましい。本発明洗浄剤に用いる非イオン界面活性剤が
液体又は軟固体に近い高粘度の場合がある。本発明に用
いる界面活性剤がこのような液体の場合は、ブロッキン
グ又はケーキングが確実に起こり該組成物の保存安定性
が低下する。この安定性を良くするために、油状物吸収
率の高い非晶質シリカに吸収することにより粉末化して
使用することができる。この場合、液状の界面活性剤に
前以て添加して粉末化してから、他の物質と混合するの
が望ましい。通常、液状界面活性剤が粉末化する量まで
添加すればよく、通常３０〜１００重量％程度で粉末化
することができる。

【０００７】本発明洗浄剤に用いるアニオン系界面活性
剤としては、例えば、長鎖アルキルベンゼンスルホン酸
塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩、α−オレフィンスル
ホン酸塩、ポリオキシエチレン長鎖アルキルエーテル硫
酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエ
ーテル硫酸エステル塩、脂肪酸塩などが含まれ、これら
成分と炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウムなどを含んだ状
態の固形状でも良い。非イオン系界面活性剤及び／又は
アニオン系界面活性剤の形状としては、粉末、フレー
ク、ニードル状などがある。このアニオン系界面活性剤
は通常粉末状であるが、非イオン系界面活性剤の固体状
のものを用いた場合も含めて、保存中の吸湿によるブロ
ッキング又はケーキングを防止するために、あらかじめ
本発明洗浄剤に非晶質シリカを界面活性剤の１〜１００
重量％程度添加することができる。

【０００８】本発明洗浄剤に用いる漂白活性化剤として
は、例えば、テトラアセチルエチレンジアミン、テトラ
アセチルグリコールウリル、ペンタアセチルグルコース
などがあり、無機過酸化物の安定性より、漂白活性化剤
の表面を高融点の流動点を持つポリアルキレングリコー
ルでコーティングしたものが適する。本発明洗浄剤には
前記の必須成分の他に、増量剤としてのアルカリ金属の
炭酸塩、ケイ酸塩、硼酸塩、リン酸塩、硫酸塩。水質の
影響を低減するポリカルボン酸系高分子化合物、ニトリ
ロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸及びこれらのアルカ
リ金属塩などのキレート剤。商品の価値を高める微量の
香料、着色料。付着蓄積汚れの分解除去を助けるタンパ
ク質分解、油脂分解、セルロース分解などの作用を持つ
酵素などを適量添加することができる。

【０００９】上記例示における長鎖なる語はアルキル基
又はアルケニル基のＣ数１０〜２２を意味し、特に好ま
しいＣ数は１２〜１８である。アルキルフェニルのアル
キルはＣ数６〜１０を意味する。ポリオキシエチレンの
語はエチレンオキサイド（ＥＯ）付加モル数が４〜８０
モルを意味し、特に好ましいＥＯ付加モル数は６〜５０
である。本発明洗浄剤は、無機過酸化物が５０〜９５
％、非イオン系界面活性剤及び／又はアニオン系界面活
性剤が１〜３０％、漂白活性化剤が０.１〜２０％であ
る。さらに、所望により、非晶質シリカを界面活性剤１
００重量％当たり１〜１００重量％添加される。

【００１０】これらの範囲より、配合量が少ない場合に
はそれぞれの成分が果たす効果が十分に発揮されず従っ
て洗浄効果が不十分となり、非イオン系界面活性剤及び
／又はアニオン系界面活性剤や漂白活性化剤が多過ぎる
場合には、製品の外観不良、保存時にブロッキング及び
ケーキングを起こしやすく、また、無機過酸化物の貯蔵
安定性が低下する。本発明洗浄剤の石鹸汚れ分解、剥離
除去機構は明らかではないが、無機過酸化物は水中で発
生期の酸素を放出し、これが漂白力を有するため、洗濯
槽壁面と付着蓄積汚れの結合を弱める。更には生成する
気体の酸素は、洗濯槽壁面や付着汚れの内部及び洗濯槽
壁面と付着汚れの間で泡を形成し、機械的な力を与え、
汚れの剥離除去に関与していると推定することができ
る。特に発泡が重要な役割を果たしているものと推定す
ることができる。

【００１１】本発明洗浄剤に用いる非イオン系界面活性
剤及び／又はアニオン系界面活性剤は、水中に溶解した
無機過酸化物や漂白活性化剤の汚れへの湿潤、浸透を助
け、更には剥離除去した汚れを乳化、分散させ、被洗浄
面への汚れの再付着を防止する役割を果たす。本発明洗
浄剤に用いる漂白活性化剤は、無機過酸化物をより漂白
力の強い過酸に変化させる作用を有し、漂白力を高める
役割を果たす。本発明洗浄剤の非イオン系界面活性剤及
び／又はアニオン系界面活性剤は、保存中のブロッキン
グやケーキングを防止するために、その形状を常温で粉
末、フレーク、ニードル状などの固体が好適である。つ
まり、常温で軟固体〜液状の非イオン系界面活性剤など
を無機過酸化物及び漂白活性化剤と直接混合した場合、
これらの成分との接触面積が広く、又、無機過酸化物や
その他の配合原料に一部が吸収されるため、ブロッキン
グやケーキングを起こしやすく、保存中における無機過
酸化物の安定性を低下する問題が起こる。

【００１２】常温で軟固体〜液体の非イオン系界面活性
剤に関しては、一旦、油状物吸収率の非常に高い非晶質
シリカに吸収させ、その形状を粉末状とする。この粉末
状物は無機過酸化物などとの接触面積が小さく、又、非
晶質シリカは油状物保持能力が大のため、経時による形
状破壊も無く長期間安定な状態を保つことができる。特
に、非晶質シリカの具体例としては、徳山曹達株式会社
製商品名のトクシールが好適に使用することができ、特
に非晶質シリカ重量の２倍以上の油状物吸収能力を有す
るトクシールＰ，トクシールＮ、トクシールＡＬ−１な
どが優れる。常温で硬い固体の非イオン系界面活性剤及
びアニオン系界面活性剤は、製造及び保管時に固形状を
保つため、非晶質シリカに吸収させる必要はない。

【００１３】

【実施例】以下に本発明を実施例により更に詳細に説明
する。

【００１４】実施例１ 表１に示す各成分を混合して洗浄剤を調製する。この組
成物の１００ｇをポリエチレン袋に詰め込み、熱にてシ
ールした後に５kgの荷重を掛け、２４時間静置後のブロ
ッキングの程度を評価した。尚、ケーキング試験は、直
径７cm、高さ２cmのシャーレ中に洗浄剤を１５ｇ入れ、
相対湿度６５％、温度２０℃の恒温恒湿室に７日間静置
してケーキング状態及び吸湿率を評価した。 ＜判定＞ 組成物外観： ○（サラサラ状で流動性良好） △（流動性やや劣る） ×（湿った状態で流動性劣る） ブロッキング、ケーキング： ○（粉末状） △（やや固化） ×（固化強い） 吸湿率(％)＝(試験後の重量−試験前の重量)／試験前の
重量×１００

【００１５】

【表１】

【００１６】注 １）配合原料欄のＰ、Ｆ、Ｎ、Ｌは粉
末状、フレーク状、ニードル状、液状を、ＰＯＥはポリ
オキシエチレンを意味する。非晶質シリカはトクシール
Ｐ（徳山曹達株式会社製商品名）である。

【００１７】実施例２ 標準付着汚れとして、牛脂脂肪酸ナトリウムの１０ｇを
温水で一旦溶解後、塩化カルシウムを３.５ｇ添加し、
約２分間撹拌混合してカルシウム石鹸を調製する。液面
に分離浮上したカルシウム石鹸を分離水洗後、その２ｇ
を５００ml透明プラスチックカップの側面に均一に塗布
し８０℃で５時間乾燥した。このカップ中に、本発明洗
浄剤及び比較品の０.５％溶液を５００ml入れ、５時間
静置後におけるカルシウム石鹸の剥離除去度合いを評価
した。但し、組成物１３（比較品）の過酸化水素系の液
体洗浄剤に関しては、１％濃度溶液で試験し、併用アル
カリ剤としてはオレイン酸石鹸（炭酸ナトリウムを含む
有効分５０％品）を０.１％濃度使用した。 判定：○（ほぼ剥離する） △（ある程度剥離する） ×（剥離少なく劣る）

【００１８】組成物１０（本発明品） 過炭酸ナトリウム ８０％ ヤシ脂肪酸ナトリウム ５％ α−オレフィンスルホン酸ナトリウム １３％ テトラアセチルエチレンジアミン ２％ 組成物１１（本発明品） 過炭酸ナトリウム ８０％ ラウリル硫酸エステルナトリウム ５％ ＰＯＥラウリルエーテル(ＥＯ８モル付加物) １０％ ／非晶質シリカ（２／１）混合物 ペンタアセチルグルコース ５％ 組成物１２（比較品） 過炭酸ナトリウム １００％ 組成物１３（比較品） 過酸化水素（３５％品） １４.５％ リン酸（８５％品） ０.０５％ 水 残量 組成物ｐＨ約２.５ 組成物１４（比較品） 過炭酸ナトリウム ８５％ ポリオキシエチレンオレイルエーテル １０％ （ＥＯ５０モル付加物） オレイン酸ナトリウム ５％

【００１９】

【表２】

【００２０】実施例３ １年以上の期間、脂肪酸石鹸を継続使用している全自動
式洗濯機の家庭５軒を対象に、本発明洗浄剤１５及び１
６の性能を評価した。試験に当っては事前に回転翼のパ
ールセーターを取り外して付着蓄積汚れが存在すること
を確認した。試験はススギ水位まで給水し、本発明品２
００ｇを５分間要し撹拌溶解する。この状態で１夜間
（１２時間）静置して、翌日洗濯槽内に剥離分散してい
る汚れの量を観察した。更に、洗濯物のない状態で一工
程洗濯後、パールセーターを取り外して、洗濯機内外槽
間の壁面に残留している汚れを評価した。

【００２１】 組成物１５（本発明品） 過炭酸ナトリウム ８０％ α−オレフィンスルホン酸ナトリウム １０％ ポリオキシエチレンオレイルエーテル ８％ （ＥＯ５０モル付加物） テトラアセチルエチレンジアミン ２％ 組成物１６（本発明品） 過炭酸ナトリウム ７５％ ＰＯＥアルキルエーテル（Ｃ₁₂〜₁₃、ＥＯ９付加物） １５％ ／非晶質シリカ（２／１）混合物 ペンタアセチルグルコース ５％ 炭酸ナトリウム ５％

【００２２】

【表３】

【００２３】

【発明の効果】本発明洗浄剤は洗濯機の石鹸汚れの除去
力が大きく、貯蔵安定性が良好で、強酸、強アルカリ剤
を使用しないので、人体に対して安全であり、洗濯機等
に対しても腐食しない利点があり、従って取扱いが手軽
で、付着蓄積汚れを効果的に分解、剥離除去する利点を
有し、さらに、粉末状態のブロッキング及びケーキング
の点がない利点を有する。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】無機過酸化物５０〜９５重量％、非イオン
   系界面活性剤及び／又はアニオン系界面活性剤１〜３０
   ％、漂白活性化剤０.１〜２０％からなる混合物を必須
   成分として含有することを特徴とする石鹸汚れ用洗浄
   剤。
2. 【請求項２】非晶質シリカ粉末を添加したことを特徴と
   する請求項１記載の石鹸汚れ用洗浄剤。
3. 【請求項３】洗濯機の洗浄に用いることを特徴とする請
   求項１又は２記載の石鹸汚れ用洗浄剤。