JPH0649414Y2 - 大型タンディッシュの羽口レンガ及び浸漬ノズルの予熱装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、大型タンデッシュの内張耐火物の予熱、乾燥
用の燃焼ガスを利用して羽口レンガ及び浸漬ノズルの予
熱、乾燥を行なうのに好適な装置に関する。

〔従来の技術〕

溶隔金属、例えば鋼の連続鋳造においては、一般に製鋼
炉例えば転炉で溶製された溶鋼を取鍋に入れて連鋳機上
に輸送し、直接取鍋からの注入は注入流量の制御が困難
であるため、該溶鋼を一旦タンディッシュに溜めて、上
記連鋳機に注入することが行われている。

また、鋼の連続鋳造においては、鋳込み温度は狭い範囲
を要求され、この範囲より高すぎればブレークアウト、
低過ぎればノズル詰まりを生じることが知られている。
そこで、ブレークアウトを防止し、ノズル内面への付着
物の堆積によりノズルが閉塞するのを防止する為に、タ
ンディッシュ及び浸漬ノズルを予め850〜900℃程度に予
熱している。

上記浸漬ノズルを予熱、乾燥を行う装置として本出願人
が先に提案した実開昭62-15860号公報記載の溶隔金属注
入ノズルの加熱装置が知られている。第５図及び第６図
には上記溶隔金属注入ノズルの加熱装置10を示すが、図
に示すように、下部にエアシリンダー11、アーム12によ
って昇降し内側には保温材13が配置された予熱用筒14
と、該予熱用筒14の両側に形成された側部の小室15、16
に設けられた空気吹き出し管17と排気管（ディフュザー
ともいう）18によって構成されるエジェクター19、20と
を有し、上記空気吹き出し管17から空気を吹き出すこと
によって周囲を負圧にし、上部のタンディッシュ内の熱
風を予熱用筒14が被せられた浸漬ノズル21の上部開口部
22から下部開口部23に、そして該浸漬ノズル21の周囲を
通って上記エジェクター19、20に向けて流し、該流入す
る熱風によって該浸漬ノズル21を予熱するようにしてい
た。なお、図において、24は浸漬ノズル21の固定具を、
25はバルブを、26は制御装置を示す。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、第６図に示すように空気吹き出し管17と
排気管18との間の連接部分が上記小室15、16の中央にあ
るので、排気管18側の気流の流れが悪いという問題点が
あった。

また、空気吹き出し管17の流路が細い直線状であるの
で、圧力損失が大きく、また工場内のエアの圧力及び流
量の変動に影響され易く、定常的にエアーの吐き出しが
悪く、更にはエアーの乱れによる圧損が生じるという問
題点があった。

更には、排気管の吸い込み口部分が直線状てあるため、
燃焼ガスが吸い込み口に流れる場合、気流に曲がりを生
じこれによって圧力損失を生じるという問題点があっ
た。

本考案はかかる事情に鑑みてなされたもので、圧力損失
が少なく、工場内の圧力変動にも対応でき、従って効率
の良い大型タンディッシュの羽口レンガ及び浸漬ノズル
の予熱装置を提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的に沿う本考案に係る大型タンディッシュの羽口
レンガ及び浸漬ノズルの予熱装置は、浸漬ノズルを予熱
用筒に挿入し、予熱用筒の側部の小室に設けられた空気
吹き出し管と該空気吹き出し管に対向して設けられた排
気管とを有するエジェクターによって上部のタンデッシ
ュから高温ガスを吸引し、羽口レンガ及び浸漬ノズルを
予熱する大型タンディッシュの羽口レンガ及び浸漬ノズ
ルの予熱装置において、上記空気吹き出し管の内径を充
分大きくすると共に先部を先端方向に細くなるテーパー
状とし、上記排気管の入口部にテーパー状のガス導入部
を設け、しかも、該ガス導入部は上記側部の小室の排気
側に形成されて構成されている。

なお、ここで、上記空気吹き出し管のテーパー状に細く
なった先部の先端吹き出し口は、曲線的に末拡がりとな
って、吹き出し口の圧損を減少させ、また吹き込みエア
の拡散を防いだ構造とするのが好ましく、これによって
先端吹き出口の周囲に発生する渦を減少させ、エアの拡
散を防止できエジェクターの性能を向上することができ
る。

〔作用〕

本考案に係る大型タンディッシュの羽口レンガ及び浸漬
ノズルの予熱装置においては、側部の小室に設けられた
エジェクターの空気吹き出し管の内径が充分に大きくな
っていると共に、先端方向に細くなるテーパー状となっ
ているので、内部の流速が遅くなってエアを溜めること
ができ、これによって種々の圧力変動に対応できる。

そして、排気管の入口部にテーパー状のガス導入部を設
け、しかも該ガス導入部は上記小室の排気側に形成され
ているので、該小室内の空気の流れが円滑になり、これ
によって全体の圧力損失が減少する。

〔実施例〕

続いて、添付した図面を参照しつつ、本考案を具体化し
た一実施例につき説明し、本考案の理解に供する。

ここに、第１図は本考案の一実施例に係る大型タンディ
ッシュの羽口レンガ及び浸漬ノズルの予熱装置の平断面
図、第２図は該大型タンディッシュの羽口レンガ及び浸
漬ノズルの予熱装置を使用した場合と前記従来例の予熱
装置を使用した場合のトラブルの実績を比較するグラ
フ、第３図は上記実施例に係る予熱装置と従来例に係る
予熱装置を使用した場合の各測定点の温度変化を示すグ
ラフ、第４図は上記実施例に係る予熱装置と従来例に係
る予熱装置を使用した場合の吸引エア圧力損失を示すグ
ラフである。

第１図に示すように本考案に係る大型タンディッシュの
羽口レンガ及び浸漬ノズルの予熱装置30は、小室31、32
が両側に設けられた予熱用筒33と、上記小室31、32にそ
れぞれ設けられた空気吹き出し管34及び排気管（ディフ
ュザーともいう）35を備えてなるエジェクター36、37と
を有して構成されている。以下、これらについて詳しく
説明する。

上記予熱用筒33は従来例と同様内側にカオウール等の断
熱材が配置され、両側には小室31、32が形成されてい
る。そして、この小室31、32にエジェクター36、37が同
一方向を向いて配置されているが、該エジェクター36、
37の空気吹き出し管34は内径（先端部の吹き出し口径の
２倍以上、３〜５倍程度が好ましい）が大きく入口側に
は空気接続口38が取付けられ、先端側はテーパー状に細
くなっている。そして、先端部は曲線的に末拡がりとな
って、吹き出口の圧損を減少し、またエアの拡散を防止
するようになっている。

一方、上記排気管35の入口部には上記空気吹き出し管32
の先端部が位置し、しかも該排気管35の入口側にはテー
パー状のガス導入部39が設けられているが、該ガス導入
部39は小室31、32の中央より排気側に設けられ、円滑に
熱風を吸い込むようになっている。

従って、この大型タンディッシュの羽口レンガ及び浸漬
ノズルの予熱装置30を使用する場合には、ますタンディ
ッシュの底部に予熱される浸漬ノズル40を装着した状態
で、予熱用筒を下部から被せ、全体を密封する。そし
て、上記空気接続口38からエアを供給すると、空気吹き
出し管34の内部にエアが入り、先端部から吹き出し、排
気管35内に入り、エジェクター効果によって周囲に負圧
を生じさせる。

ここで、この実施例においては、空気吹き出し管34の内
径が比較的大きくなってエアを溜めることができるよう
になっているので、工場内のエアに圧力変動があっても
これを押さえるように作用する。

そして、空気吹き出し管34の先部をテーパー状に細く成
形しているので、噴出口の周囲に乱流の発生を防止さ
せ、また排気管35の入口側にテーパー状のガス導入部39
を設け、しかもその位置を上記小室31、32のそれぞれ排
気側に配置しているので、エジェクター回りの圧力損失
を低減させている。

これによってタンディッシュからの熱風は、羽口レンガ
を予熱すると共に、該浸漬ノズル40の内外を加熱するの
で、比較的早期の内にこれが所定温度に予熱される。

この様子を第２図〜第４図に示すが、第２図において
は、従来例に係る装置においては、空気吹き出し管及び
排気管とも直管であって、しかもその連接部分は小室の
中央であったので、調整が極めて手間であり、少しのエ
アの変動でも効果が大きく作用し、再度の調整等を必要
としたが、本実施例においては、排気管の前部にテーパ
ー状のガス導入部を設け、しかも空気吹き出し管の先端
部に先細りのテーパー管を設けることによって上記トラ
ブルが大きく解消した。

第３図において、実線が該実施例に係る大型タンディッ
シュの羽口レンガ及び浸漬ノズルの予熱装置を使用した
場合の、点線が従来例に係る予熱装置を使用した場合の
各点の温度を示すが、図に示すように該実施例に係る大
型タンディッシュの羽口レンガ及び浸漬ノズルの予熱装
置を使用することによって、浸漬ノズルの温度の上昇度
合いが従来の装置に比較して、早いことが分かる。な
お、第３図において〜は本考案の実施例を、〜
は従来装置を使用した場合を示し、矢視Ａは測定時に外
乱が生じてデーターが不明となった部分を示す。

そして、第４図においては、実線が該実施例に係る大
型タンディッシュの羽口レンガ及び浸漬ノズルの予熱装
置の場合のエジェクターの吸入エアー圧を、点線が従
来例に係る予熱装置のエジェクターの吸入エアー圧を示
し、該実施例装置における吸入エアー圧の負圧が進めら
れ、従来装置に比較してエジェクター性能が向上したこ
とを示している。

〔考案の効果〕

本考案に係る大型タンディッシュの羽口レンガ及び浸漬
ノズルの予熱装置は、以上の説明からも明らかなよう
に、空気吹き出し管の内径が大きくなって先端部がテー
パー状に細くなっているので、圧力変動があっても支障
なくエジェクターを働かせることができ、更には排気管
の前部にテーパー状のガス導入部を設け、しかもその位
置を小室の排気側に設けたので、エジェクター部分の圧
力損失も軽減し、熱風の吸い込み効率が大きくなり、全
体として圧力損失の少ない装置となった。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係る大型タンディッシュの
羽口レンガ及び浸漬ノズルの予熱装置の平断面図、第２
図は該大型タンディッシュの羽口レンガ及び浸漬ノズル
の予熱装置を使用した場合と前記従来例の予熱装置を使
用した場合のトラブルの実績を比較するグラフ、第３図
は上記実施例に係る予熱装置と従来例に係る予熱装置を
使用した場合の各測定点の温度変化を示すグラフ、第４
図は上記実施例に係る予熱装置と従来例に係る予熱装置
を使用した場合の吸引エア圧力損失を示すグラフ、第５
図は従来例に係る溶隔金属注入ノズルの加熱装置の概略
側面図、第６図は同断面図である。 〔符号の説明〕 30……大型タンディッシュの羽口レンガ及び浸漬ノズル
の予熱装置、31、32……小室、33……予熱用筒、34……
空気吹き出し管、35……排気管、36、37……エジェクタ
ー、38……空気接続口、39……ガス導入部、40……浸漬
ノズル

フロントページの続き (72)考案者 岡田 一士 千葉県君津市坂田370番地 濱田重工株式 会社君津支店内 (72)考案者 安藤 憲三 千葉県君津市坂田370番地 濱田重工株式 会社君津支店内 (56)参考文献 実開 昭61−182654（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭64−10359（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】浸漬ノズルを予熱用筒に挿入し、予熱用筒
   の側部の小室に設けられた空気吹き出し管と該空気吹き
   出し管に対向して設けられた排気管とを有するエジェク
   ターによって上部のタンデッシュから高温ガスを吸引
   し、羽口レンガ及び浸漬ノズルを予熱する大型タンディ
   ッシュの羽口レンガ及び浸漬ノズルの予熱装置におい
   て、上記空気吹き出し管の内径を充分大きくすると共に
   先部を先端方向に細くなるテーパー状とし、上記排気管
   の入口部にテーパー状のガス導入部を設け、しかも、該
   ガス導入部は上記側部の小室の排気側に形成されている
   ことを特徴とする大型タンディッシュの羽口レンガ及び
   浸漬ノズルの予熱装置。