JPH0648733A - 酸化物超電導物質 - Google Patents

酸化物超電導物質

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JPH0648733A
JPH0648733A JP5056796A JP5679693A JPH0648733A JP H0648733 A JPH0648733 A JP H0648733A JP 5056796 A JP5056796 A JP 5056796A JP 5679693 A JP5679693 A JP 5679693A JP H0648733 A JPH0648733 A JP H0648733A
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superconducting
plane
crystal structure
superconducting material
substance
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Toshiya Doi
俊哉 土井
Yukio Saito
幸雄 斉藤
Yuichi Kamo
友一 加茂
Toshihide Namatame
俊秀 生田目
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

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  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明の目的は、c軸方向に印加した磁場条件
で、高いJc を有する酸化物超電導体を形成すること及
びその酸化物超電導体を用いた線材及び薄膜の形成方法
を提供しようとするものである。 【構成】酸化物超電導体の結晶構造の中でCu−O面と
Cu−O面との間に位置する元素にその元素よりイオン
半径の小さな元素を置換することで、Cu−O面とCu
−O面の距離を短くすることで達成できる。 【効果】c軸方向に印加した磁場条件で高いJc を有す
る酸化物超電導体を形成することで、この酸化物超電導
体を原料とした磁場中で高いJc を有する線材の形成が
可能なことから、超電導コイルへの応用が可能なこと及
び高いJc を有する薄膜を形成できることから、エレク
トロニクスへの応用が図れる効果がある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化物超電導物質に関
するもので、特に磁場中で高い臨界電流密度を得ること
のできる酸化物超電導物質に関するものである。
【0002】
【従来の技術】超電導物質を臨界温度Tc 以下のある温
度Tに冷却すると超電導物質は超電導状態に転移し、臨
界電流密度Jc と呼ばれる電流密度以下の電流であれば
電気抵抗ゼロで物体中を流れることができる。この時、
超電導物体に外部から磁場Hを印加してゆくと、ゼロ抵
抗で電流を流せる上限の値、Jc が低下してゆき、遂に
はJc=0 になる。そのときの磁場の事を不可逆磁場と
呼び、本発明の説明の中では“H*”の記号をもって表
すことにする。
【0003】層状ペロブスカイト構造を有するY−Ba
−Cu−O系,Bi(Pb)−Sr−Ca−Cu−O系,
Tl(Pb)−Sr−Ca−Cu−O系,Tl−Ba−C
a−Cu−O系の酸化物超電導材料では、臨界温度
(Tc)が液体窒素温度(77K)以上であり、安価な液体
窒素を冷媒とした超電導磁石,コイル或いはエレクトロ
ニクスデバイスの製作が可能となるため、将来大きな発
展が期待されている。この中で超電導磁石,コイル分野
では、磁場中において高い臨界電流密度(Jc)を有する
ことが必須条件である。
【0004】これまでに酸化物超電導物質の磁場中のJ
c の大きさは、超電導物質に印加された磁場の内で特に
結晶構造のc軸に平行な成分によって、決まっているこ
とが知られている(ref:Proceedings of the 3rd Inter
national Symposium on Superconductivity (ISS'90),
Nov.6-9, 1990, p555)。また、Cu−O面を含む層状ペ
ロブスカイト構造の酸化物超電導物質においては、結晶
のc軸に平行は方向に印加された磁場が、超電導物質に
ゼロ抵抗で流れる電流の大きさを制限していて、結晶構
造中でCu−O面とCu−O面との距離のうちで最も長
い部分(d)の長さが短いもの程、より大きな磁場中にお
いてもゼロ抵抗で流れる電流を確保できることが“Phys
ica C, vol.177(1991)p431”に示されている。即ち、超
電導物質の磁場中におけるJcの値は、c軸に平行な方
向のH*によって強く支配され、そのc軸方向のH*
は、結晶構造中でCu−O面とCu−O面との距離のう
ちで最も長い部分(d)の長さが短いものほど高い。
【0005】このd値は物質の結晶構造によって決まる
ものであり、基本的な元素構成では一義的に決まるもの
であった。例えば、d値はY1Ba2Cu37で0.83
nm,(Tl0.5Pb0.5)1Sr2Ca2Cu39で0.87
nm,Tl1Ba2Ca2Cu39で0.96nm,Tl2Ba2
Ca2Cu310で1.14nm, (B
i/Pb)2Sr2Ca2Cu310で1.21nm である(r
ef.;Nature 327(1987)687., Physica C 1
59(1989)245., Phy.Rev.B 38(1988)
6624.,Physica C 177(1991)431., Physi
ca C 157(1989)495.)。
【0006】一方、酸化物超電導物質は比較的フレキシ
ブルな物質であり、種々の元素の置換を行ってもそのま
まの結晶構造を保つことが知られている。例えば特開昭
64−61346 号で示されるようにLn−M−Cu−O系
(ここでLnはSc,Y及びランタノイド元素であり、
MはBa,Sr)においては、Mの一部がLi,K,N
aの何れかで置換できること、特開平1−305816 号で示
されるようにTlCaxBa2Cux+1y及びTl2Cax
Ba2Cux+1yにおいてTlをIn,Ga,Sb,B
iで置換できることが示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術では、各
々の酸化物超電導物質に対応して、前記d値が決まって
しまうため、不可逆磁場(H*)の十分に高いものが得
られなかった。酸化物超電導物質を用いた高磁場中での
マグネット等の商品化を考えた場合、より高いH*が要
望されるが、従来の技術ではd値が決まっているために
高いH*を得ることが非常に困難であった。それゆえ、
これら従来の技術で作成された酸化物超電導物質を用い
た線材の磁場中におけるJcは低い状況であった。
【0008】そこで、本発明においては、d値を小さく
することによって高いH*を有する酸化物超電導物質を
提供し、更にそれらを用いて磁場中で高いJc を有する
線材を提供し、また特性の良い超電導利用機器を提供す
ることを目的としている。
【0009】尚、現実的に超電導線材を作製する場合、
超電導物質はその中で多結晶体の状態で使用されざるを
得ない。従って、コイル,線材への実際的な応用を考え
た場合、超電導物質そのものの特性のみではなく、超電
導物質同士が形成する結晶粒界の性質の重要なファクタ
ーである。言い換えれば、超電導物質の結晶粒内のJc
即ちH*だけでなく、粒界部を越えて流れる超電導電流
の大きさも重要である。目安として、温度が77K,1
テスラーの磁場が印加された状態において、粒界部を流
れうる超電導電流の大きさが結晶粒内部のJc 値の1/
5以下に減少してしまうような超電導物質は実用を考え
た場合、有効な物質ではない。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的は、Cu−O面
を有する層状ペロブスカイト構造の酸化物超電導物質の
結晶構造中で、最も距離の長いCu−O面とCu−O面
の間に位置する元素の部分をよりイオン半径の小さな元
素で置換することで達成できる。また、前記イオン半径
の小さな元素を置換した酸化物超電導物質を原料とする
ことで、磁場中で高いJcを有する線材及び薄膜を作成
できる。
【0011】しかしながら、イオン半径が小さい元素で
あればどのようなものでも良いと言うわけではなく、や
はり置換される側の物質と置換する元素との相性が良く
なくてはならない。我々は、種々の酸化物超電導物質に
対して、種々の元素を置換することを試み、次の様な組
み合わせの時にH*の高い超電導物質を得ることができ
ることを見いだした。即ち、(Tl1-xPbx)−Sr−
Cay−Cuy+1−Oz(0<x<1,0≦y≦3,3+
2y<z<4+2y)及び(Bi1-xPbx)2−Sr2
Cay−Cuy+1−Oz(0<x<1,0≦y≦2,5+2y
<z<7+2y)のSr元素を置換する元素としてはL
i,Naのアルカリ金属,Be,Mgのアルカリ土類金
属,Sc,Y,Ln(ランタノイド元素)のIIIa族及び
Ag,Pt,Pd,Niが適切であり、Tl1−Ba2
Cay−Cuy+1−Oz(0≦y≦3,3+2y<z<4+
2y)及びTl2−Ba2−Cay−Cuy+1−Oz(0≦y
≦3,5+2y<z<7+2y)のBa元素を置換する
元素としてはLi,Naのアルカリ金属,Be,Mg,
Srのアルカリ土類金属,Sc,Y,Ln(ランタノイ
ド元素)のIIIa 族及びAg,Pt,Au,Pd,Ni
が適切であり、(Tl1-xPbx)−Sr−Cay−Cu
y+1−Oz(0<x<1,0≦y≦3,3+2y<z<4
+2y)及びTl1−Ba2−Cay−Cuy+1−Oz(0≦
y≦3,3+2y<z<4+2y)及びTl2−Ba2
Cay−Cuy+1−Oz(0≦y≦3,5+2y<z<7+
2y)のTlあるいはPb元素を置換する元素としては
In,Ga,AlのIIIb 族,Sn,Ge,SiのIVb
族及びSb,AsのVb族が適切であり、(Bi1-xPb
x)2−Sr2−Cay−Cuy+1−Oz(0<x<1,0≦y
≦2,5+2y<z<7+2y)のBiあるいはPb元
素を置換する元素としてはIn,Ga,AlのIIIb
族,Sn,Ge,SiのIVb族及びSb,AsのVb族
が適切であるということを見いだした。この時に、置換
する割合は単に置換元素が被置換物質に固溶する範囲に
限定されるわけではない。なぜなら置換するべき元素が
固溶しきれずに異相として析出することがあっても、超
電導物質同士が電気的に良好な接合をすることを特に妨
げない範囲であれば特に実用上問題はないからである。
我々の経験では30%以上の置換を試みた領域で、磁場
中におけるJcが急激に低下し始めた。
【0012】
【作用】本発明においてCu−O面とは、例えば図1の
結晶構造モデル(図1は単位結晶を2つc軸方向に積み
重ねて示した図である)を例に説明すると、ある特定の
方向(図の場合はc軸方向)に…(Tl/Pb)1-qq
O面,Sr1-PP−O面,Cu−O面,Ca面,Cu−
O面,Ca面,Cu−O面,Sr1-PP−O面,(Tl
/Pb)1-qq−O面,Sr1-PP−O面,Cu−O面,
Ca面,Cu−O面,Ca面,Cu−O面,Sr1-PP
−O面,(Tl/Pb)1-qq−O 面,…のように原子
の面が周期的に繰り返すような結晶構造を持つ超電導物
質においてのCu原子とO原子から出来ているCu−O
面のことを示すものとする。
【0013】本発明におけるCu−O面の距離とは上記
の周期的な原子の面の繰り返しのなかでのCu−O面の
距離が最も長くなっているところの距離、即ち図1に例
を示している部分の距離をdとして表している。
【0014】本発明において不可逆磁場(H*)とは、
ある温度において超電導物質に磁場を外部より印加して
いったとき、超電導物質の内部に侵入した磁束線が、動
き始めることができるようになる最小の磁場の強さのこ
とである。その値の決定方法はいろいろあるが、微小な
電流を超電導物質試料に流しながら、印加磁場の強さを
変えながら、抵抗の値が零になる温度を測定する。この
時の磁場の値がその温度における不可逆磁場(H*)と
なる。
【0015】そしてこのH*の値が高いことは即ち、そ
の超電導物質が磁場に対して強い性質を有していること
を表しており、そのような超電導物質は磁場中での臨界
電流密度が大きい。また臨界温度が高いほど、ある温度
で使用した場合の超電導状態と常伝導状態のエネルギー
差が大きくなるので、超電導状態はより安定になり、臨
界電流密度は大きくなる。
【0016】通常の銅線を使用して作成したマグネット
においても1テスラーまでの磁場を発生することはそれ
ほど難しくはなく超電導物質を利用するメリットは1テ
スラー以上の発生磁場領域において得られる。
【0017】本発明によれば、Cu−O面を有する層状
ペロブスカイト構造の酸化物超電導物質では、Cu−O
面とCu−O面の間に位置するイオン半径が0.127
nmのSr及び/あるいは0.143nm のBaの部分
を、イオン半径が0.078nmのLi,0.098nm
のNaのアルカリ金属,0.034nm のBe,0.0
78nm のMgのアルカリ土類金属,0.083nm
のSc,0.106nmのY,0.099nmから0.1
22nmのランタノイド元素(Ln)のIIIa族及び0.1
13のAg,0.053nm のPt,0.137nm の
Au,0.050nmのPd,0.078nm のNiで置換
することによってCu−O面とCu−O面との距離(d)
を短くでき、その結果、c軸方向のH*を増大させるこ
とができる。また、Cu−O面とCu−O面の間に位置
するイオン半径が0.106nmのTl及び/あるいは0.
132nmのPb及び/あるいは0.120nmのBi
の部分を、イオン半径が0.074nmのSn,0.04
4nmのGe,0.039nmのSiのIVb族、0.0
92nmのIn,0.062nmのGa,0.057nm
のAlのIIIb 族及び0.090nm のSb,0.06
9nm のAsのVb族を置換することでも上記と同様
にCu−O面とCu−O面との距離(d)を短くでき、
その結果、c軸方向のH*を増大させることができる。
さらに、この前記イオン半径の小さい元素を置換した酸
化物超電導物質を線材の原料に用いると、原料自身のH
*が高いために、磁場中における線材のJc向上が可能
となる。本発明による超電導物質を使用して作製した超
電導体を使用することによって、液体窒素冷却で動作す
る、特性の良い超電導マグネットの作製が可能になる。
そしてこのマグネットを使用することによって液体窒素
冷却で動作するNMR装置, SQUID装置,MRI装
置, 磁気浮上列車等の作製が可能になる。超電導マグネ
ットを利用した装置の全てを、本発明の超電導体を使用
した線材を使用した超電導で置き換えることが可能であ
り、そのことによって液体窒素冷却で動作する様にでき
る。液体窒素冷却で動作するようにすることによって、
単に運転コスト(液体ヘリウムと液体窒素の価格差)が
安くなるメリット以上に超電導装置の信頼性(クエンチ
と呼ばれる超電導が急激に破壊する現象を抑え込む為
に、種々の措置が施される必要がある)を確保するため
のコスト,冷凍機に掛かるコスト,断熱にかかるコスト
が大幅に低減さる。従って、本発明による超電導線材,
コイルを用いて超電導装置を作製することによって、装
置の価格を大幅に低減することが可能になる。
【0018】
【実施例】以下、実施例に従って本発明を具体的に説明
する。
【0019】<実施例1>本発明に使用した(Tl1-x
Pbx)1(Sr1-pp)2Ca2Cu3z系超電導物質の結
晶構造を図1に示す。結晶構造で最も長いCu−O面と
Cu−O面との距離(d)を図中に示した。作成方法を
以下に示す。Tl2z,PbO,SrO,CaO,Cu
Oの基本構成元素とM=Li2O,Na2O,BeO,Mg
O,Sc23,Y23,La23,Ce23,Pr
23,Nd23,Pm23,Sm23,Eu23,Gd
23,Tb23,Ho23,Er23,Tm23,Yb
23,Lu23,Ag2O,Pt,Pd,Niを(Tl
1-xPbx):(Sr1-pp):Ca:Cu=1:2:
2:3の組成比(但しx=0.05, 0.1, 0.2, 0.
3,0.4, 0.5, 0.6, 0.7, 0.8, 0.9, 1.
0, p=0, 0.05, 0.1,0.2, 0.3, 0.4,
0.5)で調合し、ライカイ機で混合した後、ペレット
成型した。このペレットを空気中840−950℃で1
0−50時間熱処理を行って超電導物質とした。X線回
折測定の結果、p値が多くなるにつれて未同定ピークの
異相も増加したが、主結晶相は図1にその結晶構造を示
しているTl−(1223)相であることがわかった。
また、通常の四端子法による抵抗測定の結果、いずれの
組成においてもTc=88−120Kの値を示した。
【0020】尚、(Tl1-xPbx)1(Sr1-pp)2Ca1
Cu2z系超電導物質の場合も、Mに上記と同様の元素
を置換して同様の熱処理を行えば、主結晶相としてTl
Sr2CaCu27と同様の結晶構造を有しているTc
70−90Kの超電導物質を得ることができた。
【0021】また、(Tl1-xPbx)1(Sr1-pp)2
1z 系超電導物質の場合も、Mに上記と同様の元素
を置換して同様の熱処理を行えば、主結晶相として(T
0.5Pb0.5)Sr2CuO5と同様の結晶構造を有して
いるTc=40−80Kの超電導物質を得ることができ
た。
【0022】さらに、(Tl1-xPbx)1(Sr1-pp)2
Ca3Cu4z系超電導物質の場合も、Mに上記と同様
の元素を置換して同様の熱処理を行えば、主結晶相とし
てTlSr2Ca3Cu49と同様の結晶構造を有してい
るTc=70−120K の超電導物質を得ることができ
た。
【0023】一方、((Tl1-xPbx)1-qq)1Sr2
2Cu3z系超電導物質の場合も、Tl23,Pb
O,SrO,CaO,CuOの基本構成元素とN=Sb
23,As23,SnO2,GeO2,SiO2,In2
3,Ga23,Al23を(Tl1-xPbxq):Sr:
Ca:Cu=1:2:2:3の組成比(但し0<x<
1,0<q<1)で調合し、ライカイ機で混合した後、
ペレット成型した。このペレットを空気中840−95
0℃で10−50時間熱処理を行って超電導物質とし
た。X線回折測定の結果、q値が多くなるにつれて未同
定ピークの異相も増加したが、図1にその結晶構造を示
しているTl−(1223)相であることがわかった。ま
た、通常の四端子法による抵抗測定の結果、Tc=88
−120Kの値を示した。
【0024】尚、((Tl1-xPbx)1-qq)1Sr2Ca1
Cu2z 系超電導物質の場合も、Nに上記と同様の元
素を置換して同様の熱処理を行えば、主結晶相としてT
lSr2CaCu27と同様の結晶構造を有しているTc
=70−90Kの超電導物質を得ることができた。
【0025】また、((Tl1-xPbx)1-qq)1Sr2Cu
1z系超電導物質の場合も、Nに上記と同様の元素を置
換して同様の熱処理を行えば、主結晶相として(Tl
0.5Pb0.5)Sr2CuO5と同様の結晶構造を有してい
るTc=40−80Kの超電導物質を得ることができ
た。
【0026】さらに、((Tl1-xPbx)1-qq)1Sr2
3Cu4z 系超電導物質の場合も、Nに上記と同様の
元素を置換して同様の熱処理を行えば、主結晶としてT
lSr2Ca3Cu49と同様の結晶構造を有しているT
c=70−120K の超電導物質を得ることができる。
【0027】そして、M,Nに上記と同様の元素置換を
ほどこした(Tl1-xPbx)1(Sr1-pp)2Ca2Cu3
z系,(Tl1-xPbx)1(Sr1-pp)2Ca1Cu2z
系,(Tl1-xPbx)1(Sr1-pp)2Cu1z系,
(Tl1-xPbx)1(Sr1-p
p)2Ca3Cu4z系,((Tl1-xPbx)1-qq)1Sr2
Ca2Cu3z系, ((Tl1-x
Pbx)1-qq)1Sr2Ca1Cu2z系,((Tl1-xPbx)1-q
q)1Sr2Cu1z系及び((Tl1-xPbx)1-qq)1Sr2
3Cu4z 系超電導物質の焼結体ペレット(いずれも
ここではx=0.4, p=0.2, p=0.1 の組成のも
のを用いた)をターゲットに用いて、レーザ蒸着法によ
り薄膜の形成を行った。レーザ光に248nmのKrF
エキシマレーザを用いてレーザエネルギー密度が0.3
−5J/cm2,周波数1−10Hz,チェンバー内圧力
P=0.03torrで基板温度100℃のMgO(10
0)基板上に成膜した。得られた膜は非晶質なため、タ
ーゲットと同一組成の粉末間に前記膜を設置して空気中
810−900℃で10−70時間熱処理して超電導薄
膜を得た。この薄膜の組成は、化学定量分析の結果、タ
ーゲットと同一組成であることがわかった。また、X線
回折測定の結果、いずれの薄膜の場合でも基板面に対し
てc軸が並んだc軸配向膜であり、Tc=40−120
Kの超電導転移温度(Tc)を示した。X線回折測定より
求めた各々の酸化物超電導物質のd値、及び7Tの外部
磁場のもとで測定したH*の温度依存性より求めた規格
化温度(T/Tc)=0.6 においてのH*の値を表1に
示した。尚、規格化温度とは温度Tをその超電導物質の
Tcで割ったものである。また基本構成元素のd値と規
格化温度(T/Tc)=0.6 におけるのH*値を図2に
示す。
【0028】
【表1】
【0029】また、成膜方法としてスパッタリング法及
びMBE法を用いた場合も上記と同様のプロセスを行っ
て、表1と同様の結果を得た。
【0030】<実施例2>(Bi1-xPbx)2(Sr1-p
p)2Ca2Cu3z系超電導物質の結晶構造を図3に示
す。この超電導物質の作成方法を以下に示す。Bi
23,PbO,SrO,CaO,CuOの基本構成元素
とM=Li2O,Na2O,BeO,MgO,Sc23
23,La23,Ce23,Pr23,Nd23,P
23,Sm23,Eu23,Gd23,Tb23,H
23,Er23,Tm23,Yb23,Lu23,A
2O,Pt,Pd,Niを(Bi1-xPbx):(Sr
1-pp):Ca:Cu=2:2:2:3の組成比(但しx
=0.05, 0.1, 0.2,0.3, 0.4, 0.5, 0.
6,0.7,0.8,0.9,1.0, p=0,0.05,
0.1, 0.2, 0.3, 0.4, 0.5)で調合し、ライ
カイ機で混合した後、ペレット状に成型した。このペレ
ットを空気中830−850℃で50−240時間熱処
理を行って超電導物質とした。X線回折測定の結果、p
値が多くなるにつれて未同定ピークの異相も増加した
が、主結晶相は図3にその結晶構造を示しているBi−
(2223)相であることがわかった。また、通常の四
端子法による抵抗測定の結果、いずれの組成においても
c=78−110Kの値を示した。
【0031】尚、(Bi1-xPbx2(Sr1-pp)2
1Cu2z系超電導物質の場合も、Mに上記と同様の
元素を置換して同様の熱処理を行えば、主結晶相として
Bi2Sr2CaCu28 と同様の結晶構造を有してい
るTc=70−90Kの超電導物質を得ることができ
た。
【0032】また、(Bi1-xPbx2(Sr1-pp2
Cu1z系超電導物質の場合も、Mに上記と同様の元素
を置換して同様の熱処理を行えば、主結晶相としてBi
2Sr2CuO6と同様の結晶構造を有しているTc=40
−80Kの超電導物質を得ることができた。
【0033】一方、((Bi1-xPbx)1-qq)2Sr2Ca
2Cu3z 系超電導物質の場合も、Bi23,PbO,
SrO,CaO,CuOの基本構成元素とN=Sb
23,As23,SnO2,GeO2,SiO2,Tl2
3,In23,Ga23, Al23を(Bi1-xPbx
q):Sr:Ca:Cu=2:2:2:3の組成比(但し
x=0.05, 0.1, 0.2, 0.3, 0.4, 0.5,
0.6, 0.7, 0.8, 0.9, 1.0, p=0, 0.0
5, 0.1, 0.2, 0.3, 0.4, 0.5)で調合し、
ライカイ機で混合した後、ペレット状に成型した。この
ペレットを空気中830−850℃で50−240時間
熱処理を行って超電導物質とした。X線回折測定の結
果、p値が多くなるにつれて未同定ピークの異相も増加
したが、主結晶相は図3にその結晶構造を示しているB
i−(2223)相であることがわかった。また、通常
の四端子法による抵抗測定の結果、いずれの組成におい
てもTc=73−110Kの値を示した。
【0034】尚、((Bi1-xPbx)1-qq)2Sr2Ca1
Cu2z系超電導物質の場合も、Nに上記と同様の元素
を置換して同様の熱処理を行えば、主結晶相としてBi
2Sr2CaCu28と同様の結晶構造を有しているTc
=68−90K の超電導物質を得ることができた。
【0035】また、((Bi1-xPbx)1-qq)2Sr2Cu
1z系超電導物質の場合も、Nに上記と同様の元素を置
換して同様の熱処理を行えば、主結晶相としてBi2
2CuO6と同様の結晶構造を有しているTc=40−
78Kの超電導物質を得ることができた。
【0036】そして、様々な組成(x=0.2, p=0.
1, q=0.2)のターゲットを作製して、実施例1と同
様にして、レーザー蒸着法により超電導薄膜を作製し
た。実施例1と同様な方法で測定したd値及びH*の値
を表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】また、成膜方法としてスパッタリング法及
びMBE法を用いた場合も上記と同様のプロセスを行っ
て、表2と同様の結果を得た。
【0039】<実施例3>本発明に使用したTl1(Ba
1-pp)2Ca2Cu3z 系超電導物質の結晶構造を図4
に示す。超電導物質の作成方法を以下に示す。Tl
23,BaO,CaO,CuOの基本構成元素とM=L
2O,Na2O,K2O ,BeO,MgO,SrO,S
23,Y23,La23,Ce23,Pr23,Nd2
3,Pm23,Sm23,Eu23,Gd23,Tb2
3,Ho23,Er23,Tm23,Yb23,Lu2
3,Ag2O ,Au,Pt,Pd,NiをTl:(Ba
1-pp):Ca:Cu=1:2:2:3の組成比(但し
0<p<1)で調合し、ライカイ機で混合した後、ペレ
ット成型した。このペレットを空気中820−850℃
で50−240時間熱処理を行って超電導物質とした。
X線回折測定の結果、p値が多くなるにつれて未同定ピ
ークの異相も増加したが、主結晶相は図4にその結晶構
造を示しているBi−(2223)相であることがわか
った。また、通常の四端子法による抵抗測定の結果、い
ずれの組成においてもTc=82−115Kの値を示し
た。
【0040】尚、Tl1(Ba1-pp)2Ca1Cu2z
超電導物質の場合も、Mに上記と同様の元素を置換して
同様の熱処理を行えば、主結晶相としてTlBa2CaCu
27と同様の結晶構造を有しているTc=70−92K
の超電導物質を得ることができた。
【0041】また、Tl1(Ba1-pp)2Cu1z系超電
導物質の場合も、Mに上記と同様の元素を置換して同様
の熱処理を行えば、主結晶相としてTlBa2CuO5
同様の結晶構造を有しているTc=50−90K の超電
導物質を得ることができた。さらに、Tl1(Ba
1-pp)Ca3Cu4z系超電導物質の場合も、Mに上記
と同様の元素を置換して同様の熱処理を行えば、主結晶
相としてTlBa2Ca3Cu411と同様の結晶構造を
有しているTc=70−90Kの超電導物質を得ること
ができた。
【0042】一方、(Tl1-qq)1Ba2Ca2Cu3z
系超電導物質の場合も、Tl23,BaO,CaO,C
uOの基本構成元素とN=Sb23,As23,SnO
2,GeO2,SiO2,In23,Ga23,Al23
を(Tl1-qq):Ba:Ca:Cu=1:2:2:3の
組成比(但し0<q<1)で調合し、ライカイ機で混合
した後、ペレット成型した。このペレットを空気中82
0−850℃で50−240時間熱処理を行って超電導
物質とした。X線回折測定の結果、q値が多くなるにつ
れて未同定ピークの異相も増加したが、図4にその結晶
構造を示しているTl−(1223)相であることがわ
かった。また、通常の四端子法による抵抗測定の結果、
c=78−115Kの値を示した。
【0043】尚、(Tl1-qq)1Ba2Ca1Cu2z
超電導物質の場合も、Nに上記と同様の元素を置換して
同様の熱処理を行えば、主結晶相としてTlBa2Ca
Cu27と同様の結晶構造を有しているTc=70−9
0Kの超電導物質を得ることができた。
【0044】また、(Tl1-qq)1Ba2Cu1z 系超
電導物質の場合も、Nに上記と同様の元素を置換して同
様の熱処理を行えば、主結晶相としてTlBa2CuO5
と同様の結晶構造を有しているTc=40−80K の超
電導物質を得ることができた。
【0045】さらに、(Tl1-qq)1Ba2Ca3Cu4
z系超電導物質の場合も、Nに上記と同様の元素を置
換して同様の熱処理を行えば、主結晶相としてTlBa
2Ca3Cu411と同様の結晶構造を有しているTc=7
0−90Kの超電導物質を得ることができた。
【0046】そして、様々な組成(p=0.2, q=0.
1)のターゲットを作製して、実施例1と同様にして、
レーザー蒸着法により超電導薄膜を作製した。実施例1
と同様な方法で測定したd値及びH*の値を表3に示
す。
【0047】
【表3】
【0048】また、成膜方法としてスパッタリング法及
びMBE法を用いた場合も上記と同様のプロセスを行っ
て、表3と同様の結果を得た。
【0049】<実施例4>Tl2(Ba1-pp)2Ca2
3z 系超電導物質の結晶構造を図5に示す。超電導
物質の作成方法を以下に示す。Tl23,BaO,Ca
O,CuOの基本構成元素とM=Li2O,Na2O,K
2O,BeO,MgO,SrO,Sc23,Y23,L
23,Ce23,Pr23,Nd23,Pm23,S
23,Eu23,Gd23,Tb23,Ho23,E
23,Tm23,Yb23,Lu23,Ag2O,A
u,Pt,Pd,NiをTl:(Ba1-pp):Ca:
Cu=2:2:2:3の組成比(但し0<p<1)で調
合し、ライカイ機で混合した後、ペレット成型した。こ
のペレットを空気中820−870℃で10−80時間
熱処理を行って超電導物質とした。X線回折測定の結
果、p値が多くなるにつれて未同定ピークの異相も増加
したが、主結晶相は図5にその結晶構造を示しているT
l−(2223)相であることがわかった。また、通常
の四端子法による抵抗測定の結果、いずれの組成におい
てもTc=82−125K の値を示した。
【0050】尚、Tl2(Ba1-pp)2Ca1Cu2z
超電導物質の場合も、Mに上記と同様の元素を置換して
同様の熱処理を行えば、主結晶相としてTl2Ba2CaCu
28と同様の結晶構造を有しているTc=70−90K
の超電導物質を得ることができた。
【0051】また、Tl2(Ba1-pp)2Cu1z系超電
導物質の場合も、Mに上記と同様の元素を置換して同様
の熱処理を行えば、主結晶相としてTl2Ba2CuO6
と同様の結晶構造を有しているTc=40−80K の超
電導物質を得ることができた。
【0052】さらに、Tl2(Ba1-pp)Ca3Cu4z
系超電導物質の場合も、Mに上記と同様の元素を置換し
て同様の熱処理を行えば、主結晶相としてTl2Ba2
3Cu412と同様の結晶構造を有しているTc=70
−90K の超電導物質を得ることができた。
【0053】一方、(Tl1-qq)2Ba2Ca2Cu3z
系超電導物質の場合も、Tl23,BaO,CaO,C
uOの基本構成元素とN=Sb23,As23,SnO
2,GeO2,SiO2,In23,Ga23,Al23
を(Tl1-qq):Ba:Ca:Cu=2:2:2:3
の組成比(但し0<q<1)で調合し、ライカイ機で混
合した後、ペレット成型した。このペレットを空気中8
20−850℃で50−240時間熱処理を行って超電
導物質とした。X線回折測定の結果、q値が多くなるに
つれて未同定ピークの異相も増加したが、図5にその結
晶構造を示しているTl−(2223)相であることが
わかった。また、通常の四端子法による抵抗測定の結
果、Tc=78−125Kの値を示した。
【0054】尚、(Tl1-qq)2Ba2Ca1Cu2z
超電導物質の場合も、Nに上記と同様の元素を置換して
同様の熱処理を行えば、主結晶相としてTl2Ba2CaCu
28と同様の結晶構造を有しているTc=70−90K
の超電導物質を得ることができた。
【0055】また、(Tl1-qq)2Ba2Cu1z 系超
電導物質の場合も、Nに上記と同様の元素を置換して同
様の熱処理を行えば、主結晶相としてTl2Ba2CuO
5 と同様の結晶構造を有しているTc=40−80K の
超電導物質を得ることができた。
【0056】さらに、(Tl1-qq)2Ba2Ca3Cu4
z系超電導物質の場合も、Nに上記と同様の元素を置
換して同様の熱処理を行えば、主結晶相としてTl2
2Ca3Cu49 と同様の結晶構造を有しているTc
70−90K の超電導物質を得ることができた。
【0057】そして、様々な組成(p=0.2, q=0.
2)のターゲットを作製して、実施例1と同様にして、
レーザー蒸着法により超電導薄膜を作製した。実施例1
と同様な方法で測定したd値及びH*の値を表4に示
す。
【0058】
【表4】
【0059】また、成膜方法としてスパッタリング法及
びMBE法を用いた場合も上記と同様のプロセスを行っ
て、表4と同様の結果を得た。
【0060】<実施例5>実施例1と同様にして、(1)
(Tl0.6Pb0.4)(Sr0.9Na0.1)2Ca2Cu3z及び
(2)SrTiO3 の組成を持つ2種類ターゲットを作
製する。実施例1でおこなったものと同様のレーザー蒸
着法によって、まず、(1)のターゲットを用いて、
(Tl0.6Pb0.4)(Sr0.9Na0.1)2Ca2Cu39の膜
を100nm成膜した後、次に(2)のターゲットを用
いて、SrTiO3 の膜を30nm成膜する。さらにこ
の上に再び(1)の膜を100nm成膜して多層膜を形
成した。得られた多層膜に、フォトレジストによりパタ
ーンを形成し、ジョセフソン接合を形成して、SQUI
D,μ波応用機器の母体とした。上記(1)の酸化物超
電導物質として本発明によるどの酸化物超電導物質を用
いた場合でも、同様のプロセスを行うことによって、同
様のジョセフソン結合が作製できる。
【0061】図6に、上記のようにして作製したSQU
ID素子の構成図を示す。2つのジョセフソン接合部分
を有するdc−SQUID であり、上部及び下部超電導
体として、本発明による超電導物質(Tl0.6Pb0.4)
(Sr0.9Na0.1)2Ca2Cu39を用いており、中間層に
は絶縁性の酸化物SrTiO3を用いている。このSQUID
素子を用いてSQUID装置を組立,微小な磁場を測定
したところ、素子の冷却温度が77Kにおいて、1/1
00ガウスの磁場を検出できることが確認できた。
【0062】また作製したジョセフソン接合を用いて作
製したマイクロ波検出器の動波管マウントの構成を、図
7に示す。液体窒素に浸漬して冷却し、基本動作を確認
した。
【0063】<実施例6>本発明による超電導物質(T
0.9In0.1)(Ba0.9Na0.1)2Ca2Cu39の粉末
を有機溶剤に分散させて、ドクターブレード法によっ
て、幅10mm,厚さ0.05mmの銀テープと厚さ0.1mm
のステンレス鋼のテープを張り合わせた複合金属テープ
の上に、超電導物質の薄い膜を0.1mm 程度の厚さに形
成した。図8にこの線材の断面図を示す。コイル状にも
の線材を巻いたときに互いの絶縁を取るために、薄い酸
化ニッケルの層を形成してある。
【0064】この様な超電導線材をもちいて図7に示す
様な構造を持つコイルを巻いた。ステンレス製の内径4
5mm, 外径50mm, 長さ100mmの円筒ボビン(16)
の表面を絶縁し、その周りに上記の超電導線材を400
ターン巻いて1つのパンケーキ型コイル(17)を形成
し、それを縦方向に10個積み重ねるような構成にし
た。巻き線が終了した後、コイル全体を電気炉に入れ
て、830℃で30時間、熱処理を行った。
【0065】最上部と最下部のパンケーキ型コイルの外
側に電流供給用の銅製の電流リード(18)を接続し
た。
【0066】この超電導コイルを図10に示すようなコ
イルシステムに組み上げて、液体窒素で冷却して外部よ
り電流を供給しながら、磁場を発生させていったとこ
ろ、超電導状態で少なくとも2.1 テスラーの磁場が発
生できることが確認できた。
【0067】<実施例7>実施例6で作製した超電導マ
グネットを使用してNMR装置を作製し、水素原子の核
磁気共鳴が測定できることを確認した。市販のHe冷却
で運転するタイプの物に比べて、断熱が簡略化出来るこ
とから、製造コストが10%以上削減出来ることが分か
った。また高価な液体ヘリウムを用いないですむことか
ら運転コストも大幅に低減出来ることが分かった。NM
R装置とMRI装置の基本的な動作原理は同じであるの
で本発明による超電導物質を用いて作製した超電導線材
を使用した超電導マグネットを使ったMRI装置の作製
が可能であることが分かる。製造コストを見積ったとこ
ろ、ヘリウム冷凍機の代わりに構造がずっと簡単で安価
な窒素冷凍機で済むこと、断熱が1重で済むことから、
少なくとも20%のコストダウンが可能であることが分
かった。
【0068】<実施例8>本発明で作製した超電導線材
を使用した磁気浮上列車の製造コストを見積った。ヘリ
ウム冷凍機の代わりに構造がずっと簡単で安価な窒素冷
凍機で済むこと、断熱が1重で済むこと、超電導線材の
比熱が大きいことから、磁気浮上列車の信頼性が大きく
向上するとともに、少なくとも5%の製造コストダウン
が可能であることが分かった。
【0069】<実施例9>本発明で作製した超電導物質
を使用した磁気シールドを作製した。厚さ3cmの超電導
物質の板で立方体を作製し、78Kの窒素ガスで冷却
し、シールド超電導状態にして、外部より50ガウスの
磁場を与えた。内部に入れたホール素子で内部の磁場を
測定したところ、ホール素子の検出可能限界以下の小さ
な磁場であった。外部磁場を3000ガウスにしたとき
内部の磁場は1ガウス程度であった。本発明による超電
導物質を用いて作製した磁気シールドは十分な特性を有
することが確認できた。
【0070】<実施例10>大型の粒子加速器、例えば
リングの直径が1kmの加速器リングにつける粒子ビー
ム収束用の4極電磁石をすべて本発明による超電導線材
を用いたマグネットで作製した場合、従来の液体ヘリウ
ム冷却の超電導マグネットで作製した場合に比べてどの
程度のコスト低減になるかを見積った。ヘリウム冷凍機
の代わりに構造がずっと簡単で安価な窒素冷凍機で済む
こと、断熱が簡単で良いこと、比熱の大きい液体窒素で
あることから冷媒を超電導マグネットに供給するシステ
ムが非常に簡略化出来ることから、20%以上のコスト
低減になることが分かった。
【0071】
【発明の効果】以上のように、酸化物超電導体の結晶構
造のCu−O面とCu−O面の間に位置するSr及びB
a元素に上記両者よりイオン半径の小さな元素を置換す
ることで、Cu−O面とCu−O面の距離(d)を短く
でき、その結果c軸方向のH*を大きく向上できた酸化
物超電導体を提供することができた。また、同様に酸化
物超電導体の結晶構造のCu−O面とCu−O面の間に
位置するTl及びPb及びBi元素に上記両者よりイオ
ン半径の小さな元素を置換することで、Cu−O面とC
u−O面の距離(d)を短くでき、その結果c軸方向の
H*を大きく向上できた酸化物超電導体及びその薄膜を
提供することができた。
【0072】さらに、上記c軸方向のH*を大きく向上
できた酸化物超電導体の粉末を用いることで、磁場中に
おいて高いJc を有する酸化物超電導マグネットを形成
できた。
【0073】以上、c軸方向のH*の大きな酸化物超電
導体及びその薄膜及び超電導線材を形成できることによ
り、超電導磁石,コイル及びエレクトロニクスへの応用
が図れる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる(Tl1-xPbx)1(Sr1-pp)2
Ca2Cu3z系超電導体の結晶構造式。
【図2】基本構成元素におけるd値とH*との関係。
【図3】本発明になる(Bi1-xPbx)2(Sr1-pp)2
Ca2Cu3z系超電導体の結晶構造式。
【図4】本発明になるTl1(Ba1-pp)2Ca2Cu3
z系超電導体の結晶構造式。
【図5】本発明になるTl2(Ba1-pp)2Ca2Cu3
z系超電導体の結晶構造式。
【図6】図6(a)及び図6(b)は本発明になるdc−S
QUIDの 構造を示す平面図及び斜視図。
【図7】図7(a)及び図7(b)は本発明になるμ波応答
機器の構造を示す平面図及び斜視図。
【図8】本発明による超電導物質を使用した超電導線材
の断面構造。
【図9】図9(a)及び図9(b)は本発明による超電導物
質を使用した超電導線材を用いて作製した超電導コイル
の構造を示す平面図及び縦断図。
【図10】本発明による超電導物質を使用した超電導線
材を用いて作製した超電導コイルの構造。
【符号の説明】
1…dc−SQUID 、2…ジョセフソン接合部、3…
上部超電導薄膜層、4…SrTiO3層 、5…下部超電
導薄膜層、6…μ波検出器の動波管マウント、7…微小
ジョセフソン接合部、8…チョークプランジャー、9…
スタブプランジャー、10…上部超電導薄膜層、11…
SrTiO3層 、12…超電導層、13…銀層、14…
ステンレス層、15…酸化ニッケル絶縁層、16…ボビ
ン、17…超電導コイル、18…電流リード、19…超
電導コイル、20…外部電源、21…永久電流スイッ
チ、22…保護抵抗、23…クライオスタット。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01B 13/00 565 D 8936−5G (72)発明者 生田目 俊秀 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Cu−O面を有する層状ペロブスカイト構
    造の酸化物超電導物質で、超電導物質同士が形成する結
    晶粒界を介して流れうる超電導電流の大きさが、超電導
    物質の結晶粒子内部を流れうる超電導電流の大きさの1
    /5以上であって、その超電導物質の結晶構造中に含ま
    れるCu−O面とCu−O面との距離の最も長い部分の
    長さ(d)が0.3≦d<9.0nmの範囲内であること
    を特徴とする超電導物質。
  2. 【請求項2】Cu−O面を有する層状ペロブスカイト構
    造の酸化物超電導物質で、超電導物質同士が形成する結
    晶粒界を介して流れうる超電導電流の大きさが、温度7
    7K、磁場1Tの状況において10,000A/cm2以上
    であって、その超電導物質の結晶構造中に含まれるCu
    −O面とCu−O面との距離の最も長い部分の長さ
    (d)が0.3≦d<9.0nm の範囲内であることを
    特徴とする超電導物質。
  3. 【請求項3】結晶からの酸素原子の出入りが、1単位格
    子当たり0.5 個以下である酸化物超電導物質で、その
    超電導物質の結晶構造中に含まれるCu−O面とCu−
    O面との距離の最も長い部分の長さ(d)が0.3≦d
    <9.0nmの範囲内であることを特徴とする超電導物
    質。
  4. 【請求項4】(Tl1-xPbx)−Sr−Cay−Cuy+1
    −Oz(0<x<1,0≦y≦3,3+2y<z<4+
    2y)からなる酸化物超電導物質において、Tlもしく
    はPbもしくはSrもしくはCaもしくはそれらの複数
    の構成元素を、それら該当元素より結晶中におけるイオ
    ン半径の小さな元素で置換することによって、結晶構造
    中に含まれるCu−O面とCu−O面との距離の最も長
    い部分の長さ(d)を、置換前の該酸化物超電導物質の
    結晶構造中に含まれるCu−O面とCu−O面との距離
    の最も長い部分の長さ(d0)よりも小さくしたことを特
    徴とする超電導物質。
  5. 【請求項5】Tl1−Ba2−Cay−Cuy+1−Oz(0≦
    y≦3,3+2y<z<4+2y)からなる酸化物超電
    導物質において、TlもしくはBaもしくはCaもしく
    はそれらの複数の構成元素を、それら該当元素より結晶
    中におけるイオン半径の小さな元素で置換することによ
    って、結晶構造中に含まれるCu−O面とCu−O面と
    の距離の最も長い部分の長さ(d)を、置換前の該酸化
    物超電導物質の結晶構造中に含まれるCu−O面とCu
    −O面との距離の最も長い部分の長さ(d0)よりも小さ
    くしたことを特徴とする超電導物質。
  6. 【請求項6】Tl2−Ba2−Cay−Cuy+1−Oz(0≦
    y≦3,5+2y<z<7+2y)からなる酸化物超電
    導物質において、TlもしくはBaもしくはCaもしく
    はそれらの複数の構成元素を、それら該当元素より結晶
    中におけるイオン半径の小さな元素で置換することによ
    って、結晶構造中に含まれるCu−O面とCu−O面と
    の距離の最も長い部分の長さ(d)を、置換前の該酸化
    物超電導物質の結晶構造中に含まれるCu−O面とCu
    −O面との距離の最も長い部分の長さ(d0)よりも小さ
    くしたことを特徴とする超電導物質。
  7. 【請求項7】(Bi1-xPbx)2−Sr2−Cay−Cuy+1
    −Oz(0<x<1,0≦y≦2,5+2y<z<7+2
    y)からなる酸化物超電導物質において、Tlもしくは
    BaもしくはCaもしくはそれらの複数の構成元素を、
    それら該当元素より結晶中におけるイオン半径の小さな
    元素で置換することによって、結晶構造中に含まれるC
    u−O面とCu−O面との距離の最も長い部分の長さ
    (d)を、置換前の該酸化物超電導物質の結晶構造中に
    含まれるCu−O面とCu−O面との距離の最も長い部
    分の長さ(d0)よりも小さくしたことを特徴とする超
    電導物質。
  8. 【請求項8】請求項2又は7記載の超電導物質におい
    て、Sr元素が前記イオン半径の小さな元素であるL
    i,Naのアルカリ金属,Be,Mgのアルカリ土類金
    属,Sc,Y,Ln(ランタノイド元素)のIIIa族及び
    Ag,Pt,Pd,Niの単独または複数で置換され、
    そのときの置換率が被置換元素であるSr全体の1%以
    上30%以下であることを特徴とする酸化物超電導物
    質。
  9. 【請求項9】請求項5または請求項6電導体において、
    Ba元素が前記イオン半径の小さな元素であるLi,N
    aのアルカリ金属,Be,Mg,Srのアルカリ土類金
    属,Sc,Y,Ln(ランタノイド元素)のIIIa族及び
    Ag,Pt,Au,Pd,Niの単独または複数で置換さ
    れ、そのときの置換率が被置換元素であるBa全体の1
    %以上30%以下であることを特徴とする酸化物超電導
    物質。
  10. 【請求項10】請求項4,5又は6記載の超電導物質に
    おいて、Tl元素あるいはPbが前記イオン半径の小さ
    な元素であるIn,Ga,AlのIIIb 族、Sn,G
    e,SiのIVb族及びSb,AsのVb族の単独または
    複数で置換され、そのときの置換率が被置換元素である
    TlおよびPb全体の1%以上30%以下であることを
    特徴とする酸化物超電導物質。
  11. 【請求項11】請求項7において、BiあるいはPbが
    前記イオン半径の小さな元素であるIn,Ga,Alの
    IIIb 族、Sn,Ge,SiのIVb族及びSb,Asの
    Vb族の単独または複数で置換され、そのときの置換率
    が被置換元素であるBiおよびPb全体の1%以上30
    %以下であることを特徴とする酸化物超電導物質。
  12. 【請求項12】請求項1ないし請求項11のいずれかに
    記載の該超電導物質を含む超電導線材。
  13. 【請求項13】請求項1ないし請求項11のいずれかに
    記載の該超電導物質を含む超電導線材を使用したマグネ
    ット。
  14. 【請求項14】請求項1ないし請求項11のいずれかに
    記載の該超電導物質を含む超電導線材を使用したマグネ
    ットを使用したNMR装置。
  15. 【請求項15】請求項1ないし請求項11のいずれかに
    記載の該超電導物質を含む超電導線材を使用したマグネ
    ットを使用したMRI装置。
  16. 【請求項16】請求項1ないし請求項11のいずれかに
    記載の該超電導物質を含む超電導線材を使用したマグネ
    ットを使用した磁気浮上列車。
  17. 【請求項17】請求項1ないし請求項11のいずれかに
    記載の該超電導物質を含む超電導線材を使用した発電装
    置。
  18. 【請求項18】請求項1ないし請求項11のいずれかに
    記載の該超電導物質を含む超電導線材を使用したエネル
    ギー貯蔵装置。
  19. 【請求項19】請求項1ないし請求項11のいずれかに
    記載の該超電導物質含む超電導線材を使用した磁気シー
    ルド装置。
  20. 【請求項20】請求項1ないし請求項11のいずれかに
    記載の該超電導物質を含む超電導線材を使用したシンク
    ロトロン放射光発生装置。
  21. 【請求項21】請求項1ないし請求項11のいずれかに
    記載の該超電導物質を含む超電導線材を使用したマグネ
    ットを使用した磁気分別装置。
  22. 【請求項22】請求項1ないし請求項11のいずれかに
    記載の該超電導物質を含む超電導線材を使用したマグネ
    ットを使用した素粒子加速器。
  23. 【請求項23】請求項1ないし請求項11のいずれかに
    記載の該超電導物質を用いて作製したSQUID素子。
  24. 【請求項24】請求項1ないし請求項11のいずれかに
    記載の該超電導物質を用いて作製したSQUID素子を
    使用したマイクロ波検出装置。
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