JPH0648508Y2 - 遠隔ｘ線透過検査装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は水圧鉄管の現地工事等に適用される遠隔Ｘ線透
過検査装置に関する。

〔従来の技術〕

従来、Ｘ線やγ線等を用いて溶接継手部の非破壊検査を
行う場合は、対象溶接継手部にＸ線フイルムを作業者が
取付けていた。また、取付けを自動化している場合もフ
イルムを１枚づつ搬送する手段を採用していた。

〔考案が解決しようとする課題〕

水圧鉄管の現地据付工事は岩盤に囲まれた状態で鉄管
（直径約３〜6m）を挿入して、接続部を突き合わせ、溶
接している。

上記鉄管外面と岩盤の間隔は、従来600mm前後であつた
が、岩盤穴明工数低減のために上記間隔を300mmにする
計画がある。この場合には、組み立て作業や溶接作業も
困難となるが、溶接継手部のＸ線透過検査でのＸ線フイ
ルム貼付作業が300mm間隔では不可能となる。

本考案は、鉄管外面と岩盤の間隔が300mmの場合にも、
上記Ｘ線フイルム貼付作業が可能となる装置を提供しよ
うとするものである。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は、溶接継手を有する構造物に対向し鉛を内張し
た支持板にそれぞれ上記構造物に沿うように配設され上
部に開口部を有する撮影前フイルム格納ボツクスと撮影
後フイルム格納ボツクス、上記それぞれのボツクスの支
持板が設けられた面の反対側の面に設けられＸ線フイル
ムを上記構造物に沿つて移動させる左右方向移動装置と
上下方向移動装置、同上下方向移動装置に設けられた上
記Ｘ線フイルムを溶接継手方向に向ける回転装置、およ
び同回転装置の先端に設けられ上記Ｘ線フイルムを溶接
継手に押し付ける前後方向移動装置を有し吸盤よりなる
フイルム保持装置を備えたことを特徴としている。

〔作用〕

上記において、本考案の装置は、撮影前フイルム格納ボ
ックス内にＸ線フイルムが積み重ねて収納された後、検
査対象の溶接継手のある位置に設置される。

上記本考案の装置が所定の位置に設置されると、上下方
向移動装置がフイルム保持装置を撮影前フイルム格納ボ
ツクス内に下降させ、吸盤が上記Ｘ線フイルム上に達す
るで降ろし、上記吸盤が上記Ｘ線フイルムを保持する。

上記吸盤がＸ線フイルムを保持すると、上記上下方向移
動装置は検査対象の溶接継手のある高さまで上昇し停止
する。上記上下方向移動装置が停止すると、回転装置が
回転して上記Ｘ線フイルムを上記溶接継手方向に向け、
次に前後方向移動装置を作動させ、上記Ｘ線フイルムを
溶接継手に押し付ける。

上記の状態で、Ｘ線を透過し、溶接継手部をＸ線フイル
ムに撮影する。

上記撮影を終了すると、上記前後方向装置が戻り、回転
装置が回転してＸ線フイルムを下向きとし、次に左右方
向移動装置が作動してＸ線フイルムを撮影前フイルム格
納ボツクス上から撮影後フイルム格納ボツクス上へ移動
させる。

上記撮影後のＸ線フイルムが上記撮影後フイルム格納ボ
ツクス上まで移動すると、上記上下方向移動装置が上記
Ｘ線フイルムを上記撮影後フイルム格納ボツクス内で下
降させ、Ｘ線フイルムを吸盤より離し、上記ボツクス内
に格納する。

上記Ｘ線フイルムを上記ボツクス内に格納すると、上記
上下方向移動装置は上昇し、次に左右方向装置が作動し
て上記フイルム保持装置を上記撮影前フイルム格納ボツ
クス上の元の位置まで戻す。

上記一連の作動が終了すると、上記本考案の装置は次の
検査対象のある位置で移動され、上記作動を繰返す。

上記により、鉄管と岩盤の間隔が、例えば、300mmちう
作業者が入れない狭隘な場所においても、Ｘ線フイルム
の貼付作業が自動的に低コストで行え、品質保証ができ
るようになつた。

なお、上記支持板には鉛が内張されているため、Ｘ線に
よつてボツクス内のＸ線フイルムが感光することはな
い。

〔実施例〕

本考案の一実施例を第１〜８図に示す。

第１〜８図に示す本実施例は、溶接継手40を有する構造
物39に対向し厚さ数mmの鉛1aを内張した支持板１にそれ
ぞれ脚２を介し上記構造物39に沿うように配設され中央
部に径が30〜40mmの孔4cを有する中底4a,4bが内部にそ
れぞれ設けられ上部に開口部を有する撮影前フイルム格
納ボツクス3aと撮影後フイルム格納ボツクス3b、上記そ
れぞれの中底4a,4bの４隅に接続されたワイヤロープ
８、上記ボツクス3a,3bの下側に配設され上記ワイヤロ
ープ８が滑車６を介して接続された巻取車７と軸９と脚
10と平歯車11とモータ12よりなる中底巻上げ巻降し装置
５、上記ボツクス3a,3bの上記支持板１への配設面と反
対の面側に上記溶接継手40に沿うように配設されたガイ
ド軸15,16とネジ17と上記支持板１に配設された上記の
ネジ17とガイド軸15,16の支持脚14と同支持脚14に配設
され上記ネジ17を傘歯車18を介して駆動するモータ19よ
りなるＸ軸方向移動装置13、上記ガイド軸15,16が貫通
する孔21a,21bと上記ネジ17が螺合する孔21cとガイド22
とエアシリンダ24が設けられたＸ軸方向スライド台21と
上記ガイド22を貫通するガイド軸23と上記エアシリンダ
24のピストンロツド24aが接合された取付板25よりなる
Ｙ軸方向移動装置20、上記取付板25に配設された枠27と
同枠27にピン結合されエアシリンダ29の伸縮により上記
構造物に沿つた水平方向を軸として回転する枠28よりな
る回転装置26、および上記枠28に設けられたガイド33を
貫通する軸34と上記枠28に設けられたエアシリンダ35の
ピストンロツド36が接合された取付板37と同取付板37に
配設された吸盤31とセンサ32よりなるＺ軸方向移動及び
フイルム保持装置30を備えており、上記本実施例の装置
は図示していない台車に搭載される。

上記において、撮影前フイルム格納ボツクス3aには、両
面に螢光増感紙が設けられ袋内に密封されたＸ線フイル
ム38を満載する。Ｘ線フイルム38が上記ボツクス3a内に
満載された本実施例の装置は、図示していない台車を移
動してＸ線検査対象の溶接継手40部分に設置される。

上記本実施例の装置が検査対象部分に設置されると、第
７図に示すようにエアシリンダ24を縮めて吸盤を上記ボ
ツクス3a内に満載されたＸ線フイルム38上に置き、上記
吸盤31はＸ線フイルム38を１枚保持する。

上記吸盤31がＸ線フイルム38を保持すると、Ｙ軸方向移
動装置20のエアシリンダ24のピストンロツド24X線ａを
伸長し、第８図に示すようにＸ線フイルム38を保持した
Ｚ軸方向移動及びフイルム保持装置30と回転装置26を上
方すなわちＹ軸方向の溶接継手40のある高さまで移動す
る。次に、回転装置26のエアシリンダ29のピストンロツ
ド29aを収縮し、枠28を回転させ、第９図に示すように
上記Ｘ線フイルム38を溶接継手40の方向に向ける。次
に、Ｚ軸方向移動及びフイルム保持装置30のエアシリン
ダ35のピストンロツド36を伸長し、第１図及び第10図に
示すように上記Ｘ線フイルム38を上記溶接継手40に押し
付け、Ｘ線を透過し上記溶接継手40部分をＸ線フイルム
38に撮影する。

上記撮影が終ると、上記ピストンロツド36を収縮させて
Ｘ線フイルム38を溶接継手40部分より離す。次に、上記
ピストンロツド29aを伸長し、枠28を回転させＸ線フイ
ルムを下方に向け、Ｘ軸方向移動装置13のモータ19を駆
動し、傘歯車18を介してネジ17を回転させてＸ軸方向ス
ライド台21を移動し、第５図に示すように上記Ｘ線フイ
ルム38を撮影後フイルム格納ボツクス3bの上まで移動す
る。

上記Ｘ線フイルム38が上記ボツクス3b上まで移動する
と、上記エアし24のピストンロツド24aを収縮させ、Ｘ
線フイルム38を吸盤31より離し、上記ボツクス3b内に格
納する。

上記Ｘ線フイルム38が吸盤から離れると、上記ピストン
ロツド24aを伸長して上記フイルム保持装置30を上昇さ
せ、更に、上記ネジ17を逆転させてＸ軸方向スライド台
21を上記撮影前フイルム3aの位置まで戻す。

上記Ｘ軸方向スライド台21が上記ボツクス3aの位置まで
戻されると、中底巻上げ巻降し装置５のモータ12を駆動
し、平歯車11と軸９を介して巻取車７を回転させてワイ
ヤロープ８の巻取り巻戻しを行いＸ線フイルム381枚分
だけ中底4aを上昇させ、中底4bを下降させる。

上記中底巻上げ巻降し装置５を作動させた後は、台車を
次のＸ線検査対象の位置まで移動し上記作業を繰り返
す。

上記撮影前フイルム格納ボツクス3aが空になるとフイル
ム保持装置30に設けられたセンサ32が上記中底4aに設け
られた孔4cを検知して作業を終了する。

上記により、鉄管と岩盤の間隔が300mmという作業者が
入れない狭隘な場所においても、Ｘ線フイルムの貼付作
業が自動的に低コストで行え、品質保証ができるように
なつた。

なお、上記支持板１には鉛1aが内張されているためにＸ
線によつてボツクス3a,3b内のＸ線フイルム38が感光す
ることはない。

〔考案の効果〕

本考案は、鉛が内張された支持板に配設された撮影前フ
イルム格納ボツクスと撮影後フイルム格納ボツクス、及
びＸ線フイルムを保持移動する左右方向移動装置と上下
方向移動装置と回転装置と前後方向移動装置とフイルム
保持装置を備えたことによつて、鉄管と岩盤の間隔が例
えば300mmという作業者が入れない狭隘な場所において
も、Ｘ線フイルムの貼付作業が自動的に低コストで行
え、品質保証ができるようになつた。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例のＸ線フイルムを溶接継手に
押付けている状態の斜視図、第２図は上記一実施例のボ
ツクス部分の正面図、第３図は上記一実施例の中底の説
明図、第４図は上記一実施例の回転装置とＺ方向移動装
置及びフイルム保持装置の詳細図、第５図は上記一実施
例のＸ線フイルムを溶接継手からボツクスに格納しつつ
ある状態の斜視図、第６図は上記一実施例のＸ線フイル
ムをボツクスに格納した状態の斜視図、第７図は上記一
実施例のＸ線フイルムをボツクス内でクランプした状態
の側断面図、第８図は上記一実施例のＸ線フイルムをボ
ツクス内から持ち上げた状態の側断面図、第９図は上記
一実施例のＸ線フイルムを溶接継手に押し付けつつある
状態の側断面図、第10図は上記一実施例のＸ線フイルム
を溶接継手に押し付けた状態の側断面図、 １…支持板、1a…鉛、２…脚、3a…撮影前フイルム格納
ボツクス、3b…撮影後フイルム格納ボツクス、4a,4b…
中底、4c…孔、５…中底巻上げ巻降し装置、６…滑車、
７…巻取車、８…ワイヤロープ、９…軸、10…脚、11…
平歯車、12…モータ、13…Ｘ軸方向移動装置、14…支持
脚、15,16…ガイド軸、17…ネジ、18…傘歯車、19…モ
ーター、20…Ｙ軸方向移動装置、21…Ｘ軸方向スライド
台、21a,21b,21c…孔、22…ガイド、23…ガイド軸、24
…エアシリンダ、24a…ピストンロツド、25…取付板、2
6…回転装置、27,28…枠、29…エアシリンダ、29a…ピ
ストンロツド、30…Ｚ軸方向移動及びフイルム保持装
置、31…吸盤、32…センサー、33…ガイド、34…軸、35
…エアシリンダ、36…ピストンロツド、37…取付板、38
…Ｘ線フイルム、39…構造物、40…溶接継手部。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 仁科 直行 兵庫県神戸市兵庫区和田崎町１丁目１番１ 号 三菱重工業株式会社神戸造船所内 (72)考案者 渡辺 望 兵庫県神戸市兵庫区和田崎町１丁目１番１ 号 三菱重工業株式会社神戸造船所内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】溶接継手を有する構造物に対向し鉛を内張
   した支持板にそれぞれ上記構造物に沿うように配設され
   上部に開口部を有する撮影前フイルム格納ボツクスと撮
   影後フイルム格納ボツクス、上記それぞれのボツクスの
   支持板が設けられた面の反対側の面に設けられＸ線フイ
   ルムを上記構造物に沿つて移動させる左右方向移動装置
   と上下方向移動装置、同上下方向移動装置に設けられ上
   記Ｘ線フイルムを溶接継手方向に向ける回転装置、およ
   び同回転装置の先端に設けられ上記Ｘ線フイルムを溶接
   継手に押し付ける前後方向移動装置を有すると共に吸盤
   よりなるフイルム保持装置を備えたことを特徴とする遠
   隔Ｘ線透過検査装置。