JPH0647442A - ペイオフリールのドラム拡大径調整用スリーブ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ペイオフリールのドラム拡大径調整用スリー
ブの変形を防止する。 【構成】 マンドレル外周面の円周方向に沿って配備し
た接触端面の一方をくの字形の凸形状、他方をくの字形
の凹形状とした複数個の所望厚さの樹脂製ブロックと、
その複数の樹脂製ブロックの外周面上に外装したゴムリ
ングとからなるペイオフリールのドラム拡大径調整用ス
リーブ。 【効果】 ペイオフリールへのドラム拡大径調整用スリ
ーブの装着が容易になり、作業能率が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、電縫鋼管の素材とな
るスリット鋼帯を、広幅鋼帯からスリットして得る際等
に使用する、ペイオフリールのドラム拡大径調整用ゴム
スリーブに関する。

【０００２】

【従来の技術】電縫鋼管等の素材となるスリット鋼帯
を、広幅鋼帯のコイルからスリットして得る際には、図
５に示すように、ペイオフリールのドラム２１に圧延し
たままの広幅鋼帯のコイル２２を装入し、広幅鋼帯のコ
イル２２の先端をピンチロール２３ではさみ、ピンチロ
ール２３を広幅鋼帯のコイル２２の先端が前進する方向
に回転させるとともに、ペイオフリールのドラム２１は
広幅鋼帯のコイル２２が巻き戻される方向に回転させ
る。そして、ピンチロール２３の後方に配置されたレベ
ラー２４で広幅鋼帯のコイル２２の巻きぐせを矯正した
後、スリッター２５で広幅鋼帯を複数条の狭幅鋼帯にス
リットするとともに、スリットされた狭幅鋼帯２６は、
スリッター２５後方に配置された巻取リールのドラム２
７で巻き取られる。

【０００３】広幅鋼帯のコイル２２を巻き戻どすときに
は、ペイオフリールのドラム２１は広幅鋼帯を保持する
とともに、たるみのないようにバックテンションをかけ
る必要があるので、ペイオフリールのドラム２１外周面
と広幅鋼帯のコイル２２内径面とが接触して両面間に滑
りがないようにしなければ、広幅鋼帯のコイル２２がペ
イオフリールのドラム２１の回りに空回りして、巻き戻
どすことができない。そのため、ペイオフリールのドラ
ム２１の外径は、拡大、縮小が可能な構造となってい
る。そして、広幅鋼帯のコイル２２を装入する時には、
ペイオフリールのドラム２１外径を広幅鋼帯のコイル２
２内径よりも小さくなるように縮小しておき、広幅鋼帯
のコイル２２を装入した後外径を拡大して、ペイオフリ
ールのドラム２１外周面と広幅鋼帯のコイル２２内径面
を接触させ、両面間に滑りが発生しないようにしてい
る。

【０００４】上述したペイオフリールのドラム２１の拡
大径は当然のことながら上限があり、装入する広幅鋼帯
のコイル２２内径が大きくなると、単にペイオフリール
のドラム２１径を拡大させても、ペイオフリールのドラ
ム２１外周面は広幅鋼帯のコイル２２内径面に接触でき
なくなる。そして、このようなときには、径を縮小した
ペイオフリールのドラム２１に一定の厚さを持ったゴム
スリーブを被せ、この状態のペイオフリールのドラム２
１に広幅鋼帯のコイル２２を装入した後、ペイオフリー
ルのドラム２１径を拡大させる。こうすると、ゴムスリ
ーブの外径も拡大されるので、ゴムスリーブの外周面が
広幅鋼帯のコイル２２内径面に接触する。すなわち、ペ
イオフリールのドラム２１と広幅鋼帯のコイル２２間の
滑りは、間にゴムスリーブを介在させることにより、発
生しないようにすることができる。

【０００５】上記したペイオフリールのドラム２１拡大
径調整用ゴムスリーブは、内径５００ｍｍ以上、厚み７
５ｍｍ程度である上に、ドラム２１の外径が拡大するた
めの十分な弾性がなければならないため、ゴムスリーブ
の軸線を水平にして床面等に置くと、自重により断面を
円筒形を保つことができず楕円形に変形する。そのた
め、従来ゴムスリーブをペイオフリールのドラム２１に
装着するときには、図６の斜視図および図６のＡ−Ａ矢
視図である図７に示すように、ゴムスリーブ３１が円筒
形を保つことができるように、ゴムスリーブ３１の外径
と同じ凹部３２を有するゴムスリーブ変形防止用治具３
３にゴムスリーブ３１を載せ、これをさらに台車３４に
載せてレール３５上を移動させて、ゴムスリーブ２３を
ペイオフリールのドラム２１に装着するようにしてい
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来のペイオフリールのドラム拡大径調整用ゴムスリ
ーブは、ペイオフリールに装着するときに、必ず変形防
止用治具を使用しなければならず、作業能率が低下する
という問題点があった。また、スリーブの変形を防止す
るため、鋼片をゴムスリーブ外周面の円周方向に沿って
複数固着することも考えられるが、重量が重くなるので
特別な搬送手段が必要になるという問題点があった。

【０００７】この発明は、従来技術の上述のような問題
点を解消するためになされたものであり、変形もせず、
重量も重くならないので、作業能率が向上するペイオフ
リールのドラム拡大径調整用スリーブを提供することを
目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この発明に係るペイオフ
リールのドラム拡大径調整用スリーブは、マンドレル外
周面の円周方向に沿って配備した接触端面の一方をくの
字形の凸形状、他方をくの字形の凹形状とした複数個の
所望厚さの樹脂製ブロックと、その複数の樹脂製ブロッ
クの外周面上に外装したゴムリングとからなるものであ
る。さらには、上記ゴムリングの外周面の円周方向に沿
って複数個の樹脂製ブロックを配備したものである。

【０００９】

【作用】この発明に係るペイオフリールのドラム拡大径
調整用スリーブは、ゴムリングの内側に配備した複数個
の所望厚さの樹脂製ブロックのそれぞれ隣合う樹脂製ブ
ロック同志が、接触部分で一方のくの字形の凸形状が他
方のくの字形の凹形状に挟まり合う状態となっているの
で、複数個の樹脂製ブロックで筒状体が形成される。し
たがって、ゴムリングのみのスリーブでは変形するが、
本スリーブは複数個の樹脂製ブロックで形成された筒状
体により、変形することはない。そして、ブロックが樹
脂製であるため、スリーブの重量が著しく増加すること
はない。

【００１０】また、本スリーブを使用するときには、径
を縮小したペイオフリールのドラムに装着した後、ペイ
オフリールのドラム径を拡大するが、ドラム径の拡大に
ともない、隣合う樹脂製ブロック同志は接触部分が容易
に離間できるので、ゴムリングの径が拡大され、所定の
径にスリーブの外径を拡大することができる。

【００１１】さらには、ゴムリングの外周面の円周方向
に沿って複数個の樹脂製ブロックを設けることにより、
スリーブに偏摩耗があっても、これらの樹脂製ブロック
を部分的に取り替えることで、正常な状態に復帰させる
ことができ、スリーブの寿命を延ばすことができる。

【００１２】

【実施例】本発明の第一の実施例のペイオフリールのド
ラム拡大径調整用スリーブを、図１により説明する。図
１（ａ）は本調整用スリーブの拡大前の横断面図、図１
（ｂ）は本調整用スリーブの拡大後の横断面図、図１
（ｃ）は図１（ａ）のＢ−Ｂ矢視図である。

【００１３】本調整用スリーブは、径を縮小した状態の
ペイオフリールのドラム２１の外周面に、円周方向に沿
ってお互いに接触して設けた、一側端が凸くの字形状で
他側端が凹くの字形状をした複数の樹脂製ブロック１
と、この複数の樹脂製ブロック１の外周面に外装した円
筒状のゴムリング２とから構成されている。複数の樹脂
製ブロック１は、その隣合う樹脂製ブロック１の接触す
る側端が一方は凸くの字形状部１ａを、他方は凹くの字
形状部１ｂを有するので、凸くの字形状部１ａが凹くの
字形状部１ｂに挟まった状態になっているので、外側の
ゴムリング２の圧縮力により、全体として筒状体となっ
ており、スリーブをペイオフリールのドラム２１に装着
する以前においても、この筒状体が強度部材として働
き、スリーブが楕円形に変形することがない。したがっ
て、従来のゴム製スリーブのように変形防止用治具を用
いる必要はなく、作業能率が向上する。

【００１４】そして、本調整用スリーブを径を縮小した
状態のペイオフリールのドラム２１に装着した後、ペイ
オフリールのドラム２１の形を拡大すると、ゴムリング
２の形が拡大されるとともに、樹脂製ブロック１の凸く
の字形状部１ａは、隣合う樹脂製ブロック１の凹くの字
形状部１ｂから抜け出し、スリーブが所望の径となる。
なお、樹脂製ブロックの厚さは、ペイオフリールのドラ
ム２１に装着する以前に、スリーブが変形しない程度の
厚さを選択すればよい。

【００１５】次に、本発明の第二の実施例のペイオフリ
ールのドラム拡大径調整用スリーブを、図２により説明
する。図２（ａ）は本調整用スリーブの拡大前の横断面
図、図２（ｂ）は本調整用スリーブの拡大後の横断面
図、図２（ｃ）は図２（ａ）のＣ−Ｃ矢視図である。本
調整用スリーブは、径を縮小した状態のペイオフリール
のドラム２１の外周面に、円周方向沿ってお互いに接触
して設けた、一側端が凸くの字形状で他側端が凹くの字
形状をした複数の樹脂製ブロック１１と、この複数の樹
脂製ブロック１１の外周面に外装した円筒状のゴムリン
グ１２と、このゴムリング１２の外周面に円周方向に一
定の間隔をあけて設けた複数の樹脂製弧状片１３とから
構成されている。このスリーブも、前述した第一の実施
例のスリーブと同じ理由で、装着前の変形を防止するこ
とができるとともに、スリーブの外周面に偏摩耗が発生
したとき、樹脂製弧状片１３を部分的に交換することで
正常な状態に復帰させることができるので、スリーブの
寿命を延ばすことができる。

【００１６】なお、この実施例のスリーブにおいては、
図３に示すように、ゴムリング１２の形状に工夫をこら
し、より合理的にスリーブの変形を防止することができ
る。すなわち、図３（ａ）はゴムリング１２の内面に凸
状リング部１２ａを複数（図では２条）設けたもの、図
３（ｂ）はゴムリング１２の外面に凸状リング部１２ｂ
を複数（図では２条）設けたもの、図３（ｃ）はゴムリ
ング１２の内外面に凸状リング部１２ｃおよび１２ｄを
複数（図では２条ずつ）設けたものである。

【００１７】図４は樹脂製ブロックあるいは樹脂製弧状
片とゴムリングの接続方法を示した説明図であり、図４
（ａ）は第一の実施例に対するもの、図４（ｂ）は第二
の実施例に対するものであり、樹脂製ブロックあるいは
樹脂製弧状片とゴムリングを貫く貫通孔を複数箇所に設
け、この貫通孔にボルト１４ａまたは１４ｂを差込み、
ナット１５ａまたは１５ｂをこれらのボルトに螺合し
て、相互に固着するようにしている。

【００１８】なお、樹脂には耐摩耗ナイロン等耐摩耗性
の樹脂を使用するとよい。また、ゴムリングは、凸状リ
ング部１２ａ、１２ｂ、１２ｃおよび１２ｄにのみ嵌合
する紐状のものとしてもよい。さらに、凸状リング部１
２ａ、１２ｂ、１２ｃおよび１２ｄは、両端部双方ある
いは中間部に一つ広幅のものを設ける等の設計変更をし
てもよい。

【００１９】

【発明の効果】この発明により、ペイオフリールのドラ
ム拡大径調整用スリーブの変形を、スリーブの重量を大
幅に増やすことなく防止できるので、調整用スリーブの
装着作業の作業能率が向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）は本調整用スリーブの拡大前の横断面
図、（ｂ）は本調整用スリーブの拡大後の横断面図、
（ｃ）は（ａ）のＢ−Ｂ矢視図である。

【図２】（ａ）は本調整用スリーブの拡大前の横断面
図、（ｂ）は本調整用スリーブの拡大後の横断面図、
（ｃ）は（ａ）のＣ−Ｃ矢視図である。

【図３】（ａ）はゴムリングの内面に凸状リング部を複
数設けたもの、（ｂ）はゴムリングの外面に凸状リング
部を複数設けたもの、（ｃ）はゴムリングの内外面に凸
状リング部を複数設けたものの説明図である。

【図４】樹脂製ブロックまたは樹脂製弧状片とゴムリン
グの接続方法を示した説明図であり、（ａ）は第一の実
施例に対するもの、（ｂ）は第二の実施例に対するもの
である。

【図５】スリット鋼帯を広幅鋼帯のコイルからスリット
して得る際の工程図である。

【図６】ゴムスリーブ変形防止用治具ゴムリングの斜視
図である。

【図７】図６のＡ−Ａ矢視図である。

【符号の説明】

１ 樹脂製ブロック １ａ 凸くの字形状部 １ｂ 凹くの字形状部 ２ ゴムリング １１ 樹脂製ブロック １２ ゴムリング １２ａ ゴムリングの凸状リング部 １２ｂ ゴムリングの凸状リング部 １２ｃ ゴムリングの凸状リング部 １２ｄ ゴムリングの凸状リング部 １３ 樹脂製弧状片 １４ａ ボルト １４ｂ ボルト １５ａ ナット １５ｂ ナット

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 マンドレル外周面の円周方向に沿って配
   備した接触端面の一方をくの字形の凸形状、他方をくの
   字形の凹形状とした複数個の所望厚さの樹脂製ブロック
   と、その複数の樹脂製ブロックの外周面上に外装したゴ
   ムリングとからなることを特徴とするペイオフリールの
   ドラム拡大径調整用スリーブ。
2. 【請求項２】 前記ゴムリングの外周面の円周方向に沿
   って複数個の樹脂製ブロックを配備したことを特徴とす
   る請求項１記載のペイオフリールのドラム拡大径調整用
   スリーブ。