JPH0646874A - 植物細胞における外来遺伝子及びその産物の生産 - Google Patents

植物細胞における外来遺伝子及びその産物の生産

Info

Publication number
JPH0646874A
JPH0646874A JP5122189A JP12218993A JPH0646874A JP H0646874 A JPH0646874 A JP H0646874A JP 5122189 A JP5122189 A JP 5122189A JP 12218993 A JP12218993 A JP 12218993A JP H0646874 A JPH0646874 A JP H0646874A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plant
rna
cdna
gene
virus
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP5122189A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3098353B2 (ja
Inventor
Masayuki Mori
正之 森
Tetsuo Okuno
哲郎 奥野
Iwao Furusawa
巌 古澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nihon Nohyaku Co Ltd
Original Assignee
Nihon Nohyaku Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nihon Nohyaku Co Ltd filed Critical Nihon Nohyaku Co Ltd
Priority to JP05122189A priority Critical patent/JP3098353B2/ja
Publication of JPH0646874A publication Critical patent/JPH0646874A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3098353B2 publication Critical patent/JP3098353B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】RNA植物ウイルスのRNA複製酵素遺伝子の
cDNA、及び外被蛋白質遺伝子のcDNAの本来の翻
訳開始コドン(5’末端から数えて1番目のATG)よ
り下流のATG以降を所望の外来遺伝子と置き換えた組
換え体ウイルスゲノムRNAcDNA(以下、組換え体
ウイルスゲノムRNAcDNAという)を植物ゲノムに
導入することによって、又は、植物ウイルスのRNA複
製酵素遺伝子のcDNAを植物ゲノムに導入した植物細
胞に、組換え体ウイルスゲノムRNAcDNAから合成
したRNAを接種することによって、植物細胞において
外来遺伝子又はその産物を生産する方法。 【効果】 目的とする外来遺伝子産物が大量に生産され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、遺伝子工学的手法によ
り、RNA植物ウイルス例えばブロムモザイクウイルス
(brome mosaic virus、以下BMVと
いう)のRNA複製酵素(RNA replicas
e)遺伝子を生産する植物細胞中で外来遺伝子及びその
産物を大量生産することによって、植物細胞中において
農業及び医薬分野に有用な物質を生産する方法、あるい
は有用形質を発現する形質転換植物体を作出することに
関する。また、本発明は、植物形質転換用ベクター、組
換え体RNA生産ベクター及び形質転換植物細胞に関す
る。
【0002】
【従来の技術】植物細胞に有用ポリペプチドを生産させ
る技術、あるいはそれによって植物に有用形質例えば植
物ウイルス耐性を提供する方法として、Tiプラスミド
形質転換系を用いて外来遺伝子を植物ゲノムに導入し発
現させる方法と植物ウイルスの増殖系を利用した方法が
開発されつつある。タバコモザイクウイルス(TMV)
の外被蛋白質遺伝子をTiプラスミド形質転換系を用い
て植物ゲノムに導入した場合、外被蛋白質の生産量は多
くても総植物蛋白質の0.01%であることが知られて
いる(Beachyら、(1990)Annu.Re
v.Phytopath.28:451−474)。こ
の方法では、外来遺伝子産物の生産量は転写量を調節す
るプロモーター活性に依存しており、より強力な転写活
性を賦与するプロモーターの探索が必要になる。一方、
TMVは宿主植物中に最大2g/生重葉kgのウイルス
粒子を生産するが、TMV外被蛋白質の遺伝子部分を目
的物質の外来遺伝子に置き換え宿主植物に接種するとい
う植物ウイルスの増殖系を利用した方法の場合、目的物
質の生産量は約1mg/生重葉kgであった(Taka
matsuら、(1987)EMBO J.6:307
−311)。TMVの問題点として、TMVは一種類の
1本鎖RNAに3種類の遺伝子がオーバーラップしてコ
ードされているため、外来遺伝子の置き換えによってT
MV複製の制御機構が影響を受けることによると考えら
れている。そのため、ウイルスゲノムが数種の一本鎖R
NAに分散している植物ウイルスを利用することも検討
されている。
【0003】その例として、ブロモウイルス群(bro
mo virus group)に属しイネ科に属する多
くの植物を宿主とするBMVがあげられる。BMVのゲ
ノムは3種の(+)の一本鎖RNAからなり、分子量の
大きいものから順にRNA1、2及び3と呼ばれてい
る。さらに、BMVにはサブゲノムRNAと呼ばれるR
NA4も存在する。これらのRNAは、直径約26nm
の球状粒子中にRNA1及び2はそれぞれ単独で、RN
A3と4は共に抱含されている(Laneら、(197
4)Adv.Virus Res.19:151−22
0)。BMVを用いる利点は、感染植物細胞内におけ
る増殖量が多いこと、ゲノムが分割されているという
特徴から、複製酵素のみが複製に必要であり、RNA3
の産物である3a蛋白質およびRNA4の産物である外
被蛋白質ともウイルス複製に関与しないことから、外被
蛋白質遺伝子への外来遺伝子の置き換えによってウイル
ス複製の制御機構が影響を受けにくいことである。
【0004】BMV全ゲノムの塩基配列は解明されてお
り(Ahlquistら、(1984)J.Mol.B
iol.172:369−383)、RNA1は全長3
234塩基で1a蛋白質(分子量109キロダルトン
(KD))をコードし、RNA2は全長2865塩基で
2a蛋白質(分子量94KD)をコードしており、1a
及び2a蛋白質はRNA複製酵素のサブユニットと考え
られている。(+)鎖のBMV RNAは植物細胞中
で、このRNA複製酵素によって、(+)鎖から(−)
鎖が合成され、次に合成された(−)鎖を鋳型として
(+)鎖が大量に合成されると考えられている。一方、
RNA3は全長2134塩基で3a蛋白質(分子量34
KD)及び外被蛋白質(分子量20KD)の二つの遺伝
子産物をコードしているが、RNA3から直接翻訳され
るのは5’側の3a蛋白質だけである。RNA4は全長
876塩基でRNA3の外被蛋白質遺伝子部分と同一の
配列を持ち外被蛋白質のmRNAとなり、RNA4は宿
主細胞中でRNA3から合成される(Ahlquist
ら、(1981)J.Mol.Biol.153:23
−38)。
【0005】その機構は、RNA3(+)鎖から(−)
鎖が合成され、この(−)鎖の内部からRNA4(+)
鎖が合成されることによることが明らかになった(Mi
llerら、(1985) Nature 313:6
8−70)。Ahlquistらは、RNA3から外被
蛋白質遺伝子の大部分を取り除き、その部分にクロラム
フェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺
伝子を導入した組換えRNA3をRNA1及び2ととも
にオオムギプロトプラストに感染させ、高レベルのCA
Tが発現することに成功したが、植物体レベルでのCA
T遺伝子の発現には利用できなかった(Ahlquis
tら、(1986)Science 231:1294
−1297)。上述のように、BMV、cucumbe
r mosaic virus(以下CMVと記す)、a
lfalfa mosaic virus(以下AMVと
記す)に代表されるウイルスゲノムが4本のRNA鎖に
分れているウイルスのベクター化の場合、BMVが最も
良く研究されているが、外被蛋白質遺伝子を外来遺伝子
と置換した組換え体RNA3とRNA1及び2を混合し
て植物プロトプラストに接種し、プロトプラスト内で外
来遺伝子を生産する方法は、プロトプラストへのRNA
感染効率が低いこと並びに組換えウイルスRNAが全身
感染できないこともあり、個々の細胞における発現量が
少ないという問題点が存在する。それとともに、遺伝的
に形質転換された植物を得ることには利用できない。
【0006】さらに、ウイルスRNAをin vitr
o的に生産することは、コストという点で産業化におけ
る大きな欠点である。それらの問題点を克服するため
に、以下の方法が開発された(Moriら、(199
2)J.Gen.Virol.73:169−17
2)。それは、BMVを含めたRNA植物ウイルスのゲ
ノムRNAcDNA、並びにウイルスゲノムRNAcD
NAの外被蛋白質遺伝子を外来遺伝子と置換した組換え
体cDNAを構築し、植物細胞中でウイルスRNAとし
て発現できるように改造し、それらを例えばTiプラス
ミド等の植物細胞形質転換法あるいはエレクトロポレー
ション等のDNA直接導入法によって植物ゲノムに導入
する等の遺伝子工学技術を用いることにより、ウイルス
RNA複製酵素が全ての細胞で生産され外来遺伝子を含
む組換え体RNAが複製されることによって、外来遺伝
子のmRNAが大量に発現し、外来遺伝子およびその産
物を大量生産する方法である。この場合、ウイルスRN
Aが大量に増殖すると植物に対して病徴を引き起こし植
物の生育に悪影響を及ぼすため、外来遺伝子以外のウイ
ルスRNAの増殖は必ずしも必要でないと考えられるこ
とから、ウイルスRNA複製酵素遺伝子を含むゲノムR
NA、例えばBMVの場合RNA1及び2の増殖能を欠
如し翻訳能のみを残し、その結果、1a及び2a蛋白質
(BMV RNA複製酵素)のみが翻訳されるように、
ウイルスゲノムを改造する方法も同時に開発されている
(Moriら、(1992)、J.Gen.Viro
l.73:169−172)。
【0007】また、BMVを例に取った場合、融合蛋白
質ではない目的とする蛋白質を産生させるための外来遺
伝子との置き換え部位として、1a、2a、3aあるい
は外被蛋白質遺伝子部分が考えられる。BMVでは系統
によって20KDの本来の外被蛋白質(CP1)の他に
19KDの外被蛋白質(CP2)も産生されることが知
られており(Sacher及びAhlquist、(1
989)J.Virology 63:4545−45
52)、本発明者は、さらに優れた生産方法を提供すべ
くBMV遺伝子を研究した結果、本発明を完成した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】植物ウイルスのRNA
複製酵素遺伝子のcDNA、および外被蛋白質遺伝子と
外来遺伝子を置き換えた組換えウイルスゲノムRNAc
DNAとをそれぞれ別個に植物ゲノムに導入し、又は、
植物ウイルスのRNA複製酵素遺伝子のcDNAを植物
ゲノムに導入した植物細胞に組換え体ウイルスゲノムR
NAcDNAから合成したRNAを接種し、植物細胞に
おいて外来遺伝子を発現させる方法を用いて、外来遺伝
子及びその産物を大量に、しかも、効率的に生産する方
法が待ち望まれている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、RNA植物ウ
イルスのRNA複製酵素遺伝子を植物ゲノムに導入し、
植物細胞中で生産されたウイルスRNA複製酵素によっ
て所望の外来遺伝子のmRNAを大量に合成し、その遺
伝子産物であるポリペプチドを大量に生産する方法、あ
るいは植物の形質に影響を及ぼすポリペプチド若しくは
アンチセンスRNAを植物細胞において大量生産させ有
用形質を有する植物体を作出する方法を提供し、より詳
しくは、RNA植物ウイルスのRNA複製酵素遺伝子の
cDNA、及び外被蛋白質遺伝子のcDNAの本来の翻
訳開始コドン(5’末端から数えて1番目のATG)よ
り下流のATG以降を所望の外来遺伝子と置き換えた組
換え体ウイルスゲノムRNAcDNA(以下組換え体ウ
イルスゲノムRNAcDNAという)を植物ゲノムに導
入することによって、又は、植物ウイルスのRNA複製
酵素遺伝子のcDNAを植物ゲノムに導入した植物細胞
に、組換え体ウイルスゲノムRNAcDNAから合成し
たRNAを接種することによって、植物細胞において外
来遺伝子又はその産物を生産する方法を提供する。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。本発明者
は、植物ウイルスゲノム中の考え得るほとんど全ての部
位に外来遺伝子を導入し、外来遺伝子産物の産生量を比
較した。その結果、驚くべきことに、外被蛋白質遺伝子
のcDNAの本来の翻訳開始コドン(5’末端から数え
て1番目のATG)より下流のATG以降を所望の外来
遺伝子と置き換えた場合、外来遺伝子産物の予想外の高
効率生産が行われることが明らかとなった。本発明はそ
の知見に基づくものである。
【0011】(1)RNA植物ウイルス 本発明において、利用されるRNA植物ウイルスは、好
ましくはウイルスゲノムが数本の(+)鎖RNAから構
成されるものである。更に好ましくは、BMV、CM
V、AMVである。これらのウイルスのRNA複製酵素
遺伝子を含むゲノムRNAcDNAは植物ゲノムに導入
される。外来遺伝子を組み込んだ外被蛋白質遺伝子を含
むゲノムRNAcDNAは、植物ゲノムに導入される
か、若しくはin vitroで合成されたRNAとし
て接種される。BMV、CMV、AMVの場合、ゲノム
は4種類のRNAに分れており(図1)、本発明におい
て最も扱いやすいウイルスである。これら以外のウイル
スでも、RNA複製酵素遺伝子と外被蛋白質遺伝子を、
それぞれを単独で発現できる状態で植物ゲノムに組み込
むことができれば、本発明が適用できる。
【0012】BMV、CMV、AMVを例にとれば、本
発明において、植物ゲノムに導入されるべく改造される
部分は、RNA1、2及び3であり、改造されたRNA
3のうち所望の外来遺伝子によって置き換えられるのは
3’末端側の外被蛋白質遺伝子部分である。ウイルスゲ
ノムが導入される植物としては、タバコ、ダイズ、キュ
ウリ、ジャガイモ、イネ、コムギ、オオムギ、トウモロ
コシなどがあげられるが、これらに限られるわけではな
い。
【0013】上記した植物ウイルスは、それぞれの宿主
となる植物が異なる。例えば、BMVはイネ科に属する
多くの植物を宿主とするが、タバコ植物へのウイルス粒
子又はウイルスRNAの接種では、BMVは植物体中で
増殖しないために、タバコはBMVの宿主と考えられて
いない。しかし、BMV粒子又はRNAをタバコプロト
プラストに接種すると、細胞中でウイルスRNAが複製
され外被蛋白質の生産がおこることが報告されている
(Maekawaら、(1985)Ann.Phyto
path.Soc.Japan 51:227−23
0)。このことは、ウイルス遺伝子を植物細胞中で発現
できれば、従来のウイルスと宿主の関係に捕らわれる必
要はないことを示唆している。従って、本発明によって
ウイルス遺伝子を植物ゲノムに導入する場合にも、従来
のウイルスと宿主の概念に捕らわれずに本発明を適用す
る植物を選ぶことができる。又、植物細胞とはプロトプ
ラストを含む概念である。
【0014】(2)植物形質転換用ベクターの構築 ウイルスRNAは、RNA抽出法として公知の方法たと
えばグアニジン法、熱フェノール法、ラウリル硫酸ナト
リウム(SDS)フェノール法等を用いウイルス粒子か
ら抽出する。BMV、CMV、AMVの場合、ゲノムが
数種類のRNAからなるため、アガロースゲル電気泳動
でRNA1、2及び3として分画精製する。それぞれの
RNAの相補性DNA(cDNA)の構築は、常法の遺
伝子操作技術を利用して行なうことができる(Ahlq
uistら、(1984)J.Mol.Biol.17
2:369−383;Moriら、(1991)J.G
en.Virol.72:243−246)。
【0015】本発明において、RNA複製酵素遺伝子を
含むゲノムRNA、例えばBMV、CMV、AMVの場
合、RNA1及び2は、i)植物で機能するプロモータ
ー、ii)RNA1又は2のcDNA、iii)植物で
機能するターミネーターからなるDNA分子として、そ
れぞれ植物ゲノムに導入される。そのようなDNA分子
が導入された形質転換体植物細胞では、RNA1及び2
が転写され、1a及び2a蛋白質が生産される。RNA
3のcDNAの外被蛋白質遺伝子領域は所望の外来遺伝
子と組換えられ組換え体RNA3cDNAが構築された
後、i)植物で機能するプロモーター、ii)組換え体
RNA3cDNA、iii)植物で機能するターミネー
ターからなるDNA分子として、上述の1a及び2a蛋
白質が生産される植物のゲノムに導入される。あるい
は、転写ベクターによってin vitro的に生産さ
れた組換え体RNA3として、上述の1a及び2a蛋白
質が生産されている植物細胞に接種される。
【0016】i)植物で機能するプロモーター、ii)
植物ウイルスのRNA複製酵素遺伝子cDNA、例えば
RNA1、2又は組換え体ウイルスゲノムRNAのcD
NA、例えばRNA3のcDNA、iii)植物で機能
するターミネーターからなるDNA分子を植物ゲノムに
導入するために使用される形質転換用ベクターとして
は、例えば図2に示した第一型(pBICBRベクタ
ー)及び第二型(pBICBMRベクター)の2種類の
ベクターがある(Moriら、(1992)J.Ge
n.Virol.73:169−172)。2種類のベ
クターとも完全な1aあるいは2a翻訳領域を保持する
とともに、第一型ベクターは、ウイルスRNAの5’末
端及び3’末端の完全な非翻訳領域のcDNAを保持す
る。それに対して、第二型ベクターは、完全な5’末端
非翻訳領域のcDNAを持つが、3’末端非翻訳領域に
相当するヌクレチオド部分のcDNAに欠失を持つ。ウ
イルスRNAの5’末端非翻訳領域は、翻訳能及び
(−)鎖から(+)鎖の合成に必須であり、3’末端非
翻訳領域は、(+)鎖から(−)鎖の合成に必須であ
る。そのため、3’末端非翻訳領域の欠失は、(+)鎖
から(−)鎖の合成の欠失につながりウイルスRNAの
増殖能を失わせることになるが、翻訳能に影響を及ぼさ
ない。
【0017】第一型ベクターを用いて植物ゲノム内にウ
イルスRNAの完全長cDNAを導入した場合、導入細
胞では生産された転写物は野生型ウイルスRNAと同じ
ように増殖し、また翻訳も行なわれる。一方、第二型ベ
クターを用いて植物ゲノム内にウイルスRNAの3’末
端欠失cDNAを導入した場合、導入細胞では生産され
た転写物は増殖しないが翻訳は行なわれ翻訳産物のみが
生産される。ウイルスRNAが大量に増殖すると植物に
対して病徴を引き起こし植物の生育に悪影響を及ぼすと
考えられることから、このような問題点を解決するため
には第二型ベクターを使用すれば良い。
【0018】植物で機能的なプロモーター及びターミネ
ターとしては、カリフラワーモザイクウイルス(cau
liflower mosaic virus、以下C
aMV)35Sプロモーター及びCaMVターミネータ
ー等で代表される植物細胞中で機能的なターミネター等
がある。5’末端に余分な7塩基の塩基配列を持つ変異
BMV RNA株は感染能力を持たないこと(Jand
aら、(1987)Virology 158:259
−262)が明らかになっているため、植物細胞に導入
したウイルスRNAの完全長cDNAの核内転写物に翻
訳能力を持たせるためには、cDNAの転写開始点をウ
イルスRNAの5’末端と正確に一致させる必要があ
る。CaMVの35Sプロモーターを用いた場合、Mo
riらの方法(Moriら、(1991)J.Gen.
Virol.72:243ー246)により転写開始点
のすぐ下流にウイルスRNAの完全長cDNAを導入す
る(図3)。
【0019】所望の外来遺伝子によって置き換え可能な
部分は、1a蛋白質、2a蛋白質、3a蛋白質および外
被蛋白質遺伝子の1番目の翻訳開始コドン、あるいは外
被蛋白質遺伝子の1番目以降にある翻訳開始コドン、例
えば2番目、3番目など、からの部分である。所望の外
来遺伝子をこれらの部位に導入するためには、置き換え
られる遺伝子の翻訳開始コドン(ATG)および外来遺
伝子の翻訳開始コドンにKunkelらの方法(Kun
kelら、(1987)Methods inEnzy
mology 154:367−382)によってNs
iI切断部位を導入しておき、NsiIで切断後T4D
NAポリメラーゼで一本鎖部分を取り除き平滑末端化し
た後結合することによって、翻訳の読み枠を変えること
なく(インフレームに)外来遺伝子の置き換えが行える
(図4)。
【0020】(3)植物形質転換用ベクターによる形質
転換体の作製 アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agroba
cterium tumefaciens)を用いた植
物形質転換法しては、リーフディスク法(Horsch
ら、(1985)Science 227:1229−
1231)が最も一般的に利用される。Tiプラスミド
にはvir領域があり、この領域の働きによって、Ti
プラスミド中のT−DNA領域をA.tumefaci
ensの宿主細胞ゲノム中に導入できる(Nester
ら、(1984)Ann.Rev.Plant Phy
siol.35:387−413)。Tiプラスミドを
用いた遺伝子導入法としては、現在バイナリーベクター
法が広く用いられている。これは、TiプラスミドをT
−DNAの欠失しvir領域を持つTiプラスミドとT
−DNAを含むバイナリーベクターに分割して用いるも
のである。バイナリーベクターとはA.tumefac
iensでも大腸菌でも増殖できるベクターである。プ
ロモーター、ウイルスRNAのcDNA、ターミネータ
ーで構成されるDNAは、バイナリーベクター中のT−
DNA領域に組み込まれ、形質転換用ベクターが構築さ
れる。
【0021】このような形質転換用ベクターをT−DN
Aの欠失しvir領域を持つTiプラスミドを保持する
A.tumefaciens細胞中に導入し、該A.t
umefaciensを宿主植物に接種すれば、vir
領域の働きによって、該組み合わせの構成からなるDN
Aを含むT−DNA領域を宿主ゲノム中に導入しうる。
その他の公知の遺伝子導入法、すなわちプロトプラスト
へのエレクトロポーレーション(electropor
ation)法、リポゾーム融合、マイクロインジェク
ション、植物組織へのパーティクルガン(partic
le gun)あるいはそれらに準じた方法等によって
も、上記構成からなるDNAを植物細胞に導入できる。
【0022】形質転換体の選抜には、カナマイシン、ハ
イグロマイシン、ホスホノトリシン等の薬剤を用いるこ
とが出来る。形質転換体は、適宜の培地で培養してカル
ス形成、カルス増殖、さらに必要に応じて不定胚分化ま
たは器官分化を行ない、ついで植物ホルモンを添加した
植物体再分化用培地で植物体に再生させることができ
る。双子葉植物に本発明を使用する場合には、対象の植
物は、マメ科(アルファルファ、ダイズ、クローバーな
ど)、セリ科(ニンジン、セロリなど)、アブラナ科
(キャベツ、ダイコン、ナタネなど)、ナス科(ジャガ
イモ、タバコ、トマトなど)がある。単子葉植物に使用
する場合には、A.tumefaciensを用いた手
法は利用できないが、プロトプラストへのエレクトロポ
ーレーション(electroporation)法、
リポゾーム融合、マイクロインジェクション、植物組織
へのパーティクルガン(particle gun)を
用い導入可能であり、対象の植物は、イネ科(イネ、コ
ムギ、オオムギ、トウモロコシなど)がある。
【0023】第一型あるいは第二型ベクターを用いてR
NA1及び2のcDNAがゲノムに導入された形質転換
細胞を得る方法としては、RNA1cDNAが導入さ
れた形質転換植物体とRNA2cDNAが導入された形
質転換植物体との間で交雑を行ない、1a及び2a蛋白
質を発現している植物体を選抜する。あるいは、別々
の選抜用薬剤耐性マーカーを備え付けたRNA1cDN
Aを組み込んだベクターとRNA2cDNAを組み込ん
だベクターとによって同一植物体を形質転換するか、
エレクトロポレーション法を用いて同一細胞にco−t
ransformationを行なう等の方法によって
作出できる。1a及び2a蛋白質の発現は、植物体から
得たプロトプラストにRNA3を接種しウエスタンブロ
ッティングによる外被蛋白質の存在により確認される。
さらに、RNA1及び2の両cDNAを植物ゲノム中に
ホモに持つ純系植物体を得るためには、1a及び2a蛋
白質を発現する形質転換植物体のやく培養(anthe
r culture)を行ない、花粉由来の半数体植物
の染色体を倍加することによって純系二倍体を得た後、
上記した方法によって1a及び2a蛋白質を発現する形
質転換植物体を選抜すれば良い。
【0024】(4)組換え体ウイルスゲノムRNA転写
ベクターの構築 本発明において、所望の生産すべきポリペプチドをコー
ドするDNAは、invitro的に転写産物を生産す
るための転写ベクターに組換えられた後、該組換え転写
ベクターにより、RNAとして生産しても良い。ウイル
スRNAをinvitro的に合成するには、DNA依
存RNAポリメラーゼを使用することができる。DNA
依存RNAポリメラーゼにはT7RNAポリメラーゼ、
SP6RNAポリメラーゼ及び大腸菌RNAポリメラー
ゼ等が市販されている。好ましくは、プロモーター領域
の塩基配列並びに転写開始点が正確に明らかになってお
り並びに高転写活性を有するT7RNAポリメラーゼ
(Dunnら、(1983)J.Mol.Viol.1
66:477−535)を用いることができる。ウイル
スRNAの5’末端の核酸の構造は、ウイルスRNAの
複製や翻訳等において非常に重要な機能を持っており、
5’末端に余分な塩基配列が付加されるとウイルスRN
Aの生物活性は激減することが報告されている(Jan
daら、(1987)Virology 158:25
9−262)。そのため、野生型と同一の5’末端の塩
基配列を持つウイルスRNAをin vitro的に合
成するには、cDNAの5’末端から正確に転写が開始
することが好ましい。BMVを例にとれば、BMVRN
A3の転写ベクターpBTF3が構築されている(Mo
riら、(1991)J.Gen.Virol.72:
243ー246)(図5)。
【0025】組換え体BMVRNA3転写ベクターを構
築するための材料としてはpBTF3ベクターが利用さ
れる。pBTF3ベクターは、T7プロモーターとBM
VRNA3cDNA及び大腸菌のベクターであるpUC
ベクターの遺伝子とを含むベクターである。上記ベクタ
ーの外被蛋白質遺伝子部分内にある翻訳開始コドンにK
unkelらの方法によってNsiI切断部位を付与し
ておき、外被蛋白質遺伝子部分内にあるStuI制限酵
素切断部位にリンカー等を接合させることによってSa
cI制限酵素切断部位に置き換え、NsiI/SacI
断片を取り除き、外来遺伝子を含むNsiI/SacI
断片を組み込むことによって、読み枠を変えずに外来遺
伝子を導入することができる。転写産物の生産にあたっ
ては、組換えpBTF3ベクターをEcoRIで切断す
ることによってリニアーなDNAの形状にして鋳型とし
て用い、ATP、UTP、CTP、GTP、キャップア
ナログ(m7GpppG)、T7RNAポリメラーゼを
含むin vitro転写システムによって組換え体R
NA3を大量生産する。
【0026】(5)RNA複製酵素を生産する形質転換
体プロトプラストにおける外来遺伝子の発現 RNA複製酵素遺伝子、例えばRNA1及び2の両cD
NAを導入した形質転換細胞中では生物活性を持つRN
A複製酵素、例えば1a及び2a蛋白質が全ての細胞で
発現される(Moriら、(1992)J.Gen.V
irol.73:169−172)。つまり、このよう
な形質転換細胞中では、ウイルスゲノムを植物の転写及
び翻訳機構によって発現させることができる。又、まず
RNA複製酵素遺伝子、例えばRNA1及び2の両cD
NAを導入した形質転換植物ゲノムに、形質転換用ベク
ターを用いて組換え体ウイルスゲノムRNA、例えば組
換え体RNA3のcDNAを導入し、植物の転写機構に
よって組換え体RNA3を転写させ、植物細胞中に生産
されているRNA複製酵素、例えば1a及び2a蛋白質
によって組換え体ウイルスゲノムRNA、例えば組換え
体RNA3が複製されるとともにサブゲノムである組換
え体RNA4も大量に合成され、導入された外来遺伝子
及び産物が大量生産されることになる。若しくは、RN
A1及び2の両cDNAを導入した形質転換植物細胞に
組換え体RNA3を接種すれば、組換え体RNA3の複
製及びサブゲノムである組換え体RNA4も大量に合成
される。
【0027】形質転換植物ゲノム中の組換え体ウイルス
ゲノムRNAcDNA、例えばRNA3のcDNAの確
認はサザンブロティングによって、組換え体RNA3の
複製及び組換え体RNA4の合成の確認はノーザンブロ
ティングによって、外来遺伝子産物の生産は、例えばヒ
ト由来γ−インターフェロン(以後IFNという)遺伝
子を導入した場合、抗IFN抗体によるウエスタンブロ
ッティングによって確認することができる。外来遺伝子
として、β−グルクロニダーゼ(以後GUSという)を
用いる場合には、一般的に用いられる蛍光分光法(Gu
s gene fusion system use
r’s manual)によって確認できる。
【0028】RNA1cDNA、RNA2cDNA、組
換え体RNA3cDNAをゲノムに導入した形質転換植
物細胞中で、例えば外来遺伝子をβーグルグロニダーゼ
とした場合、βーグルグロニダーゼが生産されることが
既に確認されている(米国特許出願第07/66316
4号)。そのため、外来遺伝子置換部位を決定するため
の遺伝子発現効率の比較は、RNA1cDNA、RNA
2cDNA及び外来遺伝子を置換した組換え体RNAc
DNAの3者を植物ゲノムに導入した植物体を用いて検
討するよりも、i)RNA1cDNA及びRNA2cD
NAをゲノムに導入した組換え体植物のプロトプラスト
に合成した組換え体RNAを接種するか、若しくはi
i)合成したRNA1、RNA2及び組換え体RNAを
植物プロトプラストに同時接種することによって、簡
便、正確かつ再現性高く行うことができる。なぜなら
ば、組換え体RNAcDNAを植物ゲノムに導入する場
合、ゲノム中における導入部位、導入数によって、細胞
中で転写される組換え体RNAの量に差異が認められる
からである。接種の方法としては、ポリカチオン法、ポ
リエチレングリコール法、エレクトロポーレーション法
等の公知の方法が用いられる。
【0029】BMVは1a、2a、3a及び外被蛋白質
を生産する。また、系統によって20KDの本来の外皮
蛋白質(CP1)の他19KDの外皮蛋白質(CP2)
も生産することが知られている。(Sacher an
d Ahlquist、(1989)J.Virol.
63:4545−4552)。本発明者は、BMV,A
TCC66系統を用いて1a蛋白質、2a蛋白質、3a
蛋白質および外被蛋白質遺伝子の1番目の翻訳開始コド
ンからの部分、あるいは外被蛋白質遺伝子の1番目以降
の翻訳開始コドンからの部分を、外来遺伝子、例えばI
FN若しくはGUSと置き換え、外来遺伝子置換部位と
外来遺伝子産物生産量の関係を検討した結果、驚くべき
ことにCP2を外来遺伝子と置き換えたときに飛躍的に
外来遺伝子の生産量が高まることを見い出した。この理
由として、本発明者は理論に拘束されるものではない
が、上記の外被蛋白質遺伝子cDNAの5’末端非翻訳
領域から、外被蛋白質構造遺伝子中の2番目の翻訳開始
コドンまでのヌクレオチド部分の配列が重要であると考
る。
【0030】この配列は、5’GTATTTAATGT
CGACTTCAGGAACTGGTAAGATG(配
列番号:1)であることが判明した。すなわち、BMV
ATCC66外被蛋白質遺伝子cDNAの5’末端非
翻訳領域に相当するヌクレオチド部分から1番目の翻訳
開始コドン周辺のヌクレオチド配列が翻訳に不適切であ
り、かつ、2番目の翻訳開始コドン付近のヌクレオチド
配列が翻訳に適した構造であり、2番目の翻訳開始コド
ンから翻訳が行なわれることが、ATCC66のCP2
からの翻訳能を高めている可能性がある。また、本発明
はATCC66のCP2を外来遺伝子と置き換えること
によって、外被蛋白質との融合蛋白質ではない目的とす
る外来遺伝子産物が大量に生産されるという優れた効果
を有する画期的な発明である。
【0031】このことから、本発明によれば、他の植物
RNAウイルスであっても、外被蛋白質遺伝子cDNA
の5’末端非翻訳領域に相当するヌクレオチド部分に、
Kunkelらの方法(Kunkelら、(1987)
Methods in Enzymology 15
4:367−382)による部位特異的突然変異等によ
って欠失若しくは置換などの遺伝子操作を行ない、1番
目の翻訳開始コドン周辺のヌクレオチド配列を翻訳に不
適切にし、かつ、2番目の翻訳開始コドン周辺のヌクレ
オチド配列を翻訳に適した構造にし、2番目の翻訳開始
コドンから翻訳が行なわれるように改変するような遺伝
子操作を行うことによって、飛躍的に目的とする遺伝子
産物の生産を高めることができることができる。また、
人為的に本来の翻訳開始点より下流にATG部位を作出
し、人為的に作出したATG部位から翻訳を開始させる
ことも可能である。
【0032】組換え体RNAは、ウイルスが植物体全身
に転移するときに必要な外被蛋白質(Allison
ら、(1990)Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA 87:1820−1824)遺伝子部分を
取り除いているため、接種法では植物体全体で外来遺伝
子を発現させることは不可能である。本発明では、RN
A複製酵素遺伝子のcDNAを植物ゲノムに導入した組
換え植物に、組換え体RNAcDNAをさらに導入し組
換え植物体で外来遺伝子を発現させる方法もとっている
ため、植物体全体で外来遺伝子を発現させることが可能
になる。
【0033】本発明の方法は、RNA植物ウイルスのゲ
ノムにコードされたウイルスRNA複製酵素を植物ゲノ
ムに導入し、植物の転写翻訳機構によってRNA複製酵
素を生産させ、植物細胞中において所望の遺伝子のmR
NAを大量に合成し、さらに翻訳能を高め、遺伝子産物
の効率的な生産を可能とするので、産業上の利用価値は
極めて大きいものである。本発明の方法では、外来遺伝
子はウイルスゲノムRNAの外被蛋白質遺伝子と置き換
えられてから植物形質転換用ベクターに組み込まれ植物
ゲノムに導入され、植物細胞中で組換え体RNAとして
転写させるか、又は、組換え体転写ベクターに組み込ま
れin vitro的に合成された組換え体RNAとし
て植物に接種されるため、in vitro的にすべて
のウイルスゲノムRNAを合成して植物に接種するより
も、極めて効率的な利用法になる。また、BMV AT
CC66のように、5’末端非翻訳領域から外被蛋白質
遺伝子内の2番目の翻訳開始コドンまでのヌクレオチド
配列をKunkelらの方法(Kunkelら、(19
87)Methods in Enzymology
154:367−382)による部位特異的突然変異等
によって欠失若しくは置換などの改変を行い、外来遺伝
子と置き換えられる部分を外被蛋白質遺伝子の2番目の
翻訳開始コドン以降にすると、外被蛋白質との融合蛋白
質ではなく目的とする外来遺伝子産物が飛躍的に生産さ
れることから、さらなる産業上の利用価値が高まってい
る。
【0034】組換え体ウイルスゲノムRNA、例えば組
換え体RNA3に導入される遺伝子としては、種々のも
のが考えられる。たとえば、農業上有用な蛋白質、機能
性蛋白質、医薬となる蛋白質例えばインターフェロン
等、の遺伝子が導入可能である。この場合、細菌を用い
た方法では活性のある蛋白質が得られないもの、例えば
糖鎖構造の付与が蛋白質の活性に重要なものが導入可能
である。さらには、動物細胞あるいは細菌では細胞が死
滅してしまう毒性のある蛋白質がもし植物細胞にたいし
て毒性がなければ、本方法は極めて有効な手段となりう
る。又、作物育種に利用する場合には、従来の植物ゲノ
ムに数コピーの外来遺伝子を組み込む方法より、外来遺
伝子のmRNA生産量が多いため、より高い形質の発現
が獲得できる。例えば、外来遺伝子がウイルスの外被蛋
白質遺伝子であればウイルス抵抗性植物の育種につなが
り、ササゲトリプシンインヒビター遺伝子であればスペ
クトラムの広い害虫抵抗性植物の育種につながる。さら
に、内在性RNAに相補的なアンチセンスRNAを組込
み、植物細胞中でアンチセンスRNAを大量に合成すれ
ば、内在性RNAの翻訳を抑制することができ、植物遺
伝子の発現を調節することが可能である。
【0035】
【実施例】以下に実施例を示して本発明をさらに具体的
に説明するが本発明はこれらに限定されるべきものでは
ない。 実施例1.BMVRNA転写ベクター及び植物形質転換
用ベクターの構築 A.BMV RNA1、2及び3のcDNAの作製 BMVはATCC66系統を用いた。ウイルス増殖には
オオムギ(Hordeum vulagare L.品
種:五畝四石)を用い、公知の分画遠心分離法(Oku
noら、(1978)J.Gen.Viol.38:4
09−418))によってウイルス粒子を純化し、純化
BMVを用いてベントナイト及びSDS存在下でフェノ
ール抽出を3ー4回繰り返し、エチルエーテル処理、エ
タノール沈澱を行ないRNAを得た。
【0036】得られたRNAの溶液を、標準的な低融点
アガロース電気泳動を用いた分離法(Sambrook
ら、(1989)Molecular Cloning
2nd、CSH Laboratory)により、R
NA1、2及び3をそれぞれ得た。得られた各RNAか
ら、公知の方法(Ahlquistら、(1984)
J.Mol.Biol.172:369−383)によ
ってRNA1、2および3の完全長cDNAを調製しp
UCベクターにクローニングしたものがそれぞれpBB
1、2及び3である。pBB1、2及び3は、完全長c
DNAのBMV RNA5’末端に相当する部位にSn
aBI部位を持ち3’末端のすぐ下流にEcoRI部位
を持っている。
【0037】B.BMV RNA転写ベクターの構築と
感染性RNAのin vitro合成 B−1 BMV RNA転写ベクター(pBTF1、2
及び3)の構築 BMV RNAをin vitro的に合成するには、
DNA依存RNAポリメラーゼが不可欠である。DNA
依存RNAポリメラーゼにはT7RNAポリメラーゼ、
SP6RNAポリメラーゼ及び大腸菌RNAポリメラー
ゼ等が市販されているが、本実験では、プロモーター領
域の塩基配列並びに転写開始点が正確に明らかになって
おり並びに高転写活性を有することから、T7RNAポ
リメラーゼ(Dunnら、(1983)J.Mol.B
iol.166:477−535)を用いたin vi
tro BMV RNA合成系を確立した。ウイルスR
NAの5’末端の核酸の構造は、ウイルスRNAの複製
や翻訳等において非常に重要な機能を持っており、5’
末端に余分な塩基配列が付加されるとウイルスRNAの
生物活性は激減することが報告されている(Janda
ら、(1987)Virology 158:259−
262)。そのため、野生型と同一の5’末端の塩基配
列を持つウイルスRNAをin vitro的に合成す
るには、cDNAの5’末端から正確に転写が開始され
ねばならない。従って、転写開始点を平滑末端化し、B
MV RNAの完全長cDNAを導入するために、T7
プロモーターの転写開始点に制限酵素認識部位を導入す
ることを試みた。
【0038】B−1−1 T7プロモーターの合成 DNA合成装置(Applied Biosystem
s社モデル381A)を用いて、2種の31塩基からな
るオリゴヌクレチオド5’pd(CTAGATGCAT
ATAGTGAGTCGTATTAATTTA)(配列
番号:2)及び5’pd(AGCTTAAATTAAT
ACGACTCACTATATGCAT)(配列番号:
3)を合成した。合成終了後、常法に従って高速液体ク
ロマトグラフィーによって精製し、回収したオリゴヌク
レチオド溶液に1/200容量の2N HClを加え中
和した後、NENSORB20(Du Pont社製)
に添加して脱塩を行なった。
【0039】まず、2mlのメタノール(高速液体クロ
マトグラフィー用、ナカライテスク社製)、2mlのA
液(0.1M トリス−HCl、10mM Triet
hylamine(TEA)、1mM Na2−EDT
A)、pH7.7)によってカラムの平衡化を行なっ
た。次にサンプルに1.4μg/mlの割り合いでTE
Aを加えたものをカラムに添加し吸着させた。6ー9m
lのA液及び3mlのイオン交換水でカラムを洗浄した
後、400μlの50%エタノール(特級、ナカライテ
スク社製)により、オリゴヌクレチオドを溶出した。溶
出したオリゴヌクレチオド溶液をエバポレーターによっ
て減圧乾固後イオン交換水に溶解し、1μg/mlのオ
リゴヌクレチオド溶液を調製した。これらの合成オリゴ
ヌクレチオドの5’及び3’末端をリン酸化した。すな
わち、1μlのオリゴヌクレチオド(1μg/ml)、
20μlの10mM ATP、20μlの10Xキナー
ゼ溶液(500mM トリス−HCl、pH7.5、1
00mM MgCl2、100mM ジチオスレイトール
(DTT))、4μlのT4ポリヌクレオチドキナーゼ
(4unit/μl、宝酒造社製)及び155μlのイ
オン交換水を含む反応液を37℃、1時間反応させ、オ
リゴヌクレチオドのリン酸化を行なった。反応後、65
℃、10分間の熱処理によって酵素の不活化を行なっ
た。
【0040】反応液にフェノール処理2回、フェノール
/クロロホルム処理1回、クロロホルム処理1回及びエ
チルエーテル処理3回を行ない、その後減圧下に30ー
40分間置き、反応液中に混在するエチルエーテルを完
全に除去した。この反応液をNENSORB20カラム
に添加し、上述と同様の方法によってリン酸化オリゴヌ
クレチオドの精製を行なった後、減圧乾固し50ng/
mlとなるように蒸留水に溶解し、以後の操作に供試し
た。これらの合成オリゴヌクレチオドをアニーリングし
てT7プロモーターを合成した。このプロモーター配列
はT7プロモーターのコンセンサス配列の他に5’末端
にHindIII部位、3’末端にXbaI部位を突出
して持ち、さらに、転写開始点から(+4)の位置にN
siI部位を持つ。
【0041】B−1−2 転写ベクターpUCTへの
BMV RNAの完全長cDNAの導入(図5) 合成T7プロモーターをpUC19のHindIII/
XbaI部位に導入し転写ベクターpUCTを構築し
た。pUCTにNsiIおよびT4DNAポリメラーゼ
処理を行ない、T7プロモーターの(+1)位までの塩
基を除去し(−1)位の塩基対で平滑末端を形成させる
ことができる。pBB1、pBB2、pBB3それぞれ
のBMV RNA全長cDNAを含むSnaBI/Ec
oRI断片と,NsiI及びT4ポリメラーゼ処理後E
coRI処理を行なったpUCTの大断片とライゲーシ
ョンし、BMV RNA1、2および3の転写ベクター
pBTF1、2及び3をそれぞれ構築した。
【0042】B−2 感染性RNAのin vitr
o合成(図5) T7プロモーターの転写写開始点のすぐ下流にRNA
1、2及び3のそれぞれの完全長cDNAが導入され、
さらに、完全長cDNAのすぐ下流にEcoRI部位が
存在する転写ベクターpBTF1、2及び3のそれぞれ
のDNAを塩化セシウム遠心分離法(Sambrook
ら、(1989)Molecular Cloning
2nd、CSH Laboratory)によって精製
した。それぞれの精製DNA3μgをEcoRIで切断
後、フェノール/クロロホルム処理を行ない、20μg
のtRNAをキャリアとして用いエタノール沈澱した。
【0043】得られた沈澱に16.8μlの蒸留水、1
0μlの5X転写緩衝液(200mM,トリス−HCl
(pH7.5)、30mM MgCl2、10mM S
permidine、50mM NaCl)、5μlの
100mM,DTT、1.8μlのDNase/RNa
seフリー牛血清アルブミン(2.8mg/ml)、
2.5μlのRNasin(40unit/ml)、
2.5μlの10mM ATP、2.5μlの10mM
UTP、2.5μlの10mM CTP、0.4μl
の10mM GTPおよび5μlの5mMキャップアナ
ログ(m7GpppG)を加え、軽く混ぜた後、1μl
のT7ポリメラーゼを加え、37℃で反応させた。1時
間後、さらに2μlの10mM GTPおよび1μlの
T7ポリメラーゼを加え、37℃、1時間反応させた。
その後、1.3μlのDNase(1unit/ml)
を加え、37℃、1時間反応させ、鋳型DNAを分解し
た。この反応液をフェノール/クロロホルム及びクロロ
ホルムでそれぞれ1回ずつ処理し、20μgのtRNA
をキャリアとしてエタノール沈澱した後、10μlの蒸
留水に懸濁した。
【0044】上述の方法でin vitro合成したB
MV RNA1、2および3cDNAのそれぞれの転写
物を混合し、それに等量の2X接種緩衝液(100m
M,トリス−リン酸(pH8.0)、500mM Na
Cl、10mM EDTA、1%(W/V)ベントナイ
ト)を加え接種液とした。全身感染宿主であるオオムギ
葉の上に軽くカーボランダム(600メッシュ)を振り
かけ、5ー10μlの接種液滴を塗沫接種した。接種
後、すぐに葉上のカーボランダムを水道水で洗い流し
た。約2週間、25℃のグロースチャンバー(8,00
0LUX)で育成したところ、全身感染病徴を発現した
ため、転写ベクターpBTF1、2及び3の転写物は感
染性のあることが確認された。
【0045】C.植物形質転換用ベクターの構築 C−1 CaMV 35Sプロモーターの転写開始点へ
の制限酵素認識部位の導入 植物細胞内に存在するDNA依存RNAポリメラーゼに
よって認識されるプロモーター及びターミネーターの間
にBMV RNAの完全長cDNAを導入することを試
みた。プロモーターとしては、転写量が多く、転写開始
点及びプロモーター領域の塩基配列が明らかにされてい
ることを考慮して、CaMVの35Sプロモーターを用
いた。また、5’末端に余分な7塩基の塩基配列を持つ
変異BMVRNA株は感染能力を持たないこと(Jan
daら、(1987)Virology 158:25
9−262)が明らかになっているため、植物細胞に導
入したBMV RNAの完全長cDNAの核内転写物に
増殖能力を持たせるためには、cDNAの転写開始点を
BMV RNAの5’末端と正確に一致させる必要があ
る。そこで、転写開始点のすぐ下流にBMV RNAの
完全長cDNAを導入するために、CaMVの35Sプ
ロモーターの転写開始点に部位特異的突然変異導入法に
よって制限酵素の認識部位を導入した。
【0046】C−2 部位特異的突然変異導入法(図
3) 京都大学農学部植物病理学研究室保存のCaMV CM
1841株の35Sプロモーター領域(7016−74
34)をpUC18由来のポリリンカー配列及びCaM
V CM1841株の35Sターミネーター領域(74
36−7606)の直前に持つpCAM35を用いた。
35Sプロモーター領域の一本鎖DNAを調製するため
に、pCAM35のPstI/EcoRI断片をpUC
118のPstI/EcoRI部位に導入し、pCAM
35EPを構築した。pCAM35EPで大腸菌MV1
184株を形質転換し、ヘルパーファージM13K07
を利用して一本鎖DNAを調製した。
【0047】転写開始点にStuI部位を導入するため
に、調製した一本鎖DNAの転写開始点に3個所のミス
マッチを除いては相補的な25塩基のオリゴヌクレチオ
ド5’pd(GTAGGCCTCTCCAAATGAA
ATGAAC)(配列番号:4)をB−1−1に述べた
方法で合成及び調製した。1μlの一本鎖DNA(20
μg/μl)、1μlの合成オリゴヌクレチオド(2μ
g/μl)、20μlの10Xアニーリング緩衝液(2
00mM,トリス−HCl(pH7.5)、100mM
MgCl2、500mM NaCl、10mM DT
T)、178μlの蒸留水を1.5ml用エッペンチュ
ーブに入れ、62℃、15分間処理を行なった後、7分
間室温で徐冷し、一本鎖DNAに合成オリゴヌクレチオ
ドをアニールさせた。徐冷後、40μlのKlenow
緩衝液(100mM,トリス−HCl(pH7.5),
50mM MgCl2,50mM DTT)、20μl
のdNTP溶液(dATP、dCTP、dGTP、dT
TPそれぞれ2mM)、10μlのKlenow Fr
agment(4unit/ml)及び130μlの蒸
留水を加え、22℃、5時間の酵素反応を行ない、合成
オリゴヌクレチオドをプライマーとして相補的なDNA
鎖を合成した。
【0048】反応後、フェノール処理及びフェノール/
クロロホルム処理、エチルエーテル処理後、エタノール
沈澱を行ない、二本鎖DNAの沈澱を得た。この二本鎖
DNAをPvuIIにより切断した後、フェノール/ク
ロロホルム処理、エタノール沈澱を行ない、得られた沈
澱に1.5μlのローディング緩衝液(0.89M ト
リス−ホウ酸、2mM EDTA、0.2%(W/
V))ブロムフェノールブルー、0.2%(W/V)キ
シレンシアノール)及び432μlのホルムアルデヒド
を混合し、95℃、5分間の熱処理後、氷中で急冷し
た。
【0049】このサンプルを3.5%ポリアクリルアミ
ド7M尿素ゲル(15cmX15cm、厚さ2mm、ス
ロット幅1cm)にロードし、200V、2時間電気泳
動し、プライマーによって合成された一本鎖DNAを分
離した。エチジウムブロミド(0.5μg/ml)でゲ
ルを染色した後、約30mlのイオン交換水で3回洗浄
し、余分なエチジウムブロミドと尿素の除去を行なっ
た。UV照射下で目的とするバンドを切出し、1mlの
シリンジ(テルモ)を通してゲルを細片化した。細片化
したゲルを7mlの溶出緩衝液(500mM 酢酸アン
モニウム、10mM酢酸マグネシウム、1mM EDT
A、0.1%SDS)に入れ、37℃で一夜放置した。
5000Xg、30分間遠心分離した後、上澄にフェノ
ール処理2回、フェノール/クロロホルム処理1回、ク
ロロホルム処理1回およびエチルエーテル処理3回を行
なった。この液を2−ブタノールで4倍に濃縮した後、
2倍量のエタノール及び10μlのtRNA(2mg/
ml)を加え、エタノール沈澱によって一本鎖DNAの
沈澱を得、30μlの蒸留水に溶解した。
【0050】5μlの回収した一本鎖DNA(0.2μ
g/μl)、1.5μlのM13リバースプライマー
(50ng/μl、M13プライマーRV、宝酒造
社)、1μlのアニーリング緩衝液(100mM トリ
ス−HCl(pH7.5)、100mM MgCl2
500mM NaCl)、1.5μlのTE緩衝液(1
0mMトリス−HCl(pH8.0)、1mM EDT
A)及び1μlのKlenowFragment(4u
nit/μl)を混合して二本鎖DNA断片を合成し、
転写開始点にStuI部位を導入した。合成した35S
プロモーター領域の断片をEcoRIで切断したものを
pUC18のEcoRI/SmaI部位に導入し、改変
した35Sプロモーター領域を含むpCaP35を構築
した。pCaP35をStuIで切断することによって
転写開始点を平滑末端にすることができ、BMV RN
Aの完全長cDNAを転写開始点のすぐ下流に導入する
ことができる。
【0051】C−3 植物形質転換用ベクター(pB
ICBRシリーズ)の構築(図6) 植物ゲノム内にBMV RNAの完全長cDNAを導入
し、導入細胞で合成された転写産物が野生型ウイルスR
NAと同様な翻訳及び増殖能を持つ形質転換植物作出の
ためのベクターを構築した。植物形質転換用のアグロバ
クテリウム・バイナリーベクターpBIN19(Bev
anら、(1984)Nucl.Acids Res.
12:8711−8721)のEcoRI/HindI
II部位にCaMVの35Sプロモーター、pUC18
由来のポリリンカー部位およびCaMVターミネーター
を導入したプラスミドがpBIC35である。pBIC
35をEcoRIで切断後T4DNAポリメラーゼ処理
によって平滑末端化し、SalIリンカーを付加し、そ
の後SalIで切断しセルフライゲーションを行ない、
35Sプロモーターを欠失したpBICT(−E)を構
築した。次に、SmaIで切断したpBICT(−E)
をさらにEcoRIリンカーを付加した後にセルフライ
ゲーションを行ない、SmaI部位をEcoRI部位に
改変したpBICTEを構築した。
【0052】一方、CaMVの35Sプロモーターの転
写開始点に部位特異的突然変異導入法によってStuI
部位を導入した改変型35Sプロモーターを含むpCa
p35をEcoRI切断後、T4DNAポリメラーゼ処
理によって両端を平滑末端化し、その両端にSalIリ
ンカーを付加し、SalIおよびBamHIによって切
断することによって、改変35Sプロモーターを含むD
NA断片を得た。この断片をpBICTEのSalI/
BamHI部位に導入しpBICP35を構築した。次
に、BMV RNA1、2および3の完全長cDNA断
片を含むpBB1、pBB2及びpBB3のSnaBI
/EcoRI断片をそれぞれpBICP35のStuI
/EcoRI部位に導入し、植物形質転換用ベクターp
BICBR1、2及び3をそれぞれ構築した(図6)。
【0053】C−4 植物形質転換用ベクター(pB
ICBMRシリーズ)の構築(第7図そのないし図9) 植物ゲノム内にBMV RNAの3’末端欠失cDNA
を導入し、導入細胞で合成された転写産物が翻訳能は持
つが野生型ウイルスRNAのような増殖能は持たない形
質転換体作出のためのベクターを構築した。BMV R
NA1の完全長cDNAを含むpBB1をXhoI切断
後T4DNAポリメラーゼ処理を行ない、両端を平滑末
端化した後EcoRIリンカーを付加し、さらにEco
RI切断した後セルフライゲーションを行なった。その
結果、RNA1 cDNAの3’末端非翻訳領域のXh
oIから下流の約200塩基の欠失を持つpBB1(−
3)を得た。pBB1(−3)のRNA1 cDNAを
含むSnaBI/EcoRI断片をpBICP35のS
tuI/EcoRI部位に導入し、植物形質転換用ベク
ターpBICBMR1を構築した(第7図)。
【0054】BMV RNA2の完全長cDNAを含む
pBB2をPstIおよびHindIII切断後、cD
NA断片をpUC18のPstI/HindIII部位
に導入し、RNA2の3’末端の非翻訳領域を欠失した
cDNAを含むpBB2(−H)を得た。pBB2(−
H)をHindIII切断後T4DNAポリメラーゼ処
理を行ない、両端を平滑末端化した後EcoRIリンカ
ーを付加し、さらにEcoRI切断した後セルフライゲ
ーションを行なった。その結果、RNA2の3’末端の
非翻訳領域のHindIIIから下流約200塩基の欠
失を持つpBB2(−3)を得た。pBB2(−3)の
RNA2 cDNAを含むSnaBI/EcoRI断片
をpBICP35のStuI/EcoRI部位に導入
し、植物形質転換用ベクターpBICBMR2を構築し
た(図8)。
【0055】BMV RNA3の完全長cDNAを含む
pBB3をPstIおよびHindIII切断後、cD
NA断片をpUC18のPstI/HindIII部位
に導入し、RNA3の3’末端の非翻訳領域を欠失した
cDNAを含むpBB3(−H)を得た。pBB3(−
H)をHindIII切断後T4DNAポリメラーゼ処
理を行ない、両端を平滑末端化した後EcoRIリンカ
ーを付加し、さらにEcoRI切断した後セルフライゲ
ーションを行なった。その結果、RNA3の3’末端の
非翻訳領域のHindIIIから下流約200塩基の欠
失を持つpBB3(−3)を得た。pBB3(−3)の
RNA3 cDNAを含むSnaBI/EcoRI断片
をpBICP35のStuI/EcoRI部位に導入
し、植物形質転換用ベクターpBICBMR3を構築し
た(図9)。
【0056】実施例2.形質転換植物細胞内における導
入されたBMV各ゲノムの発現 A.A.tumefaciensへの植物形質転換用ベ
クターの導入 1枚のNB寒天培地(0.8% Nutrient B
roth、1.5% Bacto Agar)上に大腸
菌DH5α株(pBICBRもしくはpBICBMRベ
クターを保持する)、大腸菌HB101株(ヘルパープ
ラスミドpRK2013を保持する)及びA.tume
faciensLBA4404株(T−DNA領域を欠
失したTiプラスミドを保持する)をそれぞれ接種し、
30℃、2日間培養した。培養後、殺菌した白金耳で3
種の細菌を混合し、さらに30℃、2日間培養した。5
0μg/mlのカナマイシンを含有するAB寒天培地
(表1)上に混合培養した細菌を画線し、30℃、2日
間培養し、シングルコロニーを得た。このコロニーが形
質転換用ベクターを保持するA.tumefacien
sLBA4404株である。
【0057】B.タバコへのA.tumefacien
sの接種及び形質転換体の選抜 接種用タバコ(Nicotiana tabacum
cv.Petit Habana SR1)としては、
殺菌処理した種子由来の無菌植物を供試した。1.5m
l用エッペンチューブに約100μlのタバコ種子を入
れ、1mlの70%エタノールでタバコ種子を洗浄し
た。次に、1.5mlの20%アンチホルミンを加え4
分間おきに1秒間の攪はんを行ないながら、室温に20
分間放置し、種子殺菌を行なった。殺菌後、殺菌水で3
ー4回種子を洗浄し、LS1培地(表2)を入れたプラ
スチックシャーレ(西部社、径90mm、深さ20m
m)に播種し、26℃、8,000luxで育成した。
約1cmに生長した幼植物をLS8培地(表2)の入っ
たバイオポット(日本医化器械株式会社)に移植し、体
長約10cmに生長したものをA.tumefacie
ns接種に用いた。形質転換用ベクターを保持するA.
tumefaciensを50μg/mlのカナマイシ
ン含有AB液体培地で30℃、2日間振とう培養(12
0回転/分)した。
【0058】これ以後の操作はすべて無菌的に行なっ
た。無菌培養したタバコの葉を1cmX1cmに切り抜
き、上述のA.tumefaciens培養液に1分間
浸漬した。あらかじめ殺菌しておいたペータータオルの
上にこの葉片を置き、過剰の細菌液を除き、LS1培地
(表2)上に葉片の裏面を上にして置いた。26℃、4
8時間から72時間培養後、A.tumefacien
sを完全に除去するために、500μg/mlのカルベ
ニシリンを含有するLS1液体培地に移し、26℃、7
00luxで2日間培養した。培養後あらかじめ殺菌し
ておいたペータータオルの上にこの葉片を置き、MS1
液体培地を除き、150μg/mlのカナマイシン及び
100μg/mlのカルベニシリンを含有するLS4培
地(表2)に移し、26℃、 8,000luxで約2
ー3週間培養した。
【0059】発芽した5ー10mmのシュートを殺菌し
たメスでカルスから切り取り、100μg/mlのカナ
マイシン及び150μg/mlのカルベニシリン含有M
SR培地(525μg/mlのナフタレン酢酸と100
μg/mlの6−ベンジルアデニンを含み、寒天の代わ
りにGelangumを用いたLSプレート培地)に移
した。2週間後、全身約5cmに育成した幼植物を直径
12cmの植木鉢に鉢上げし、透明なプラスチックボッ
クスで植物を覆い、数日間馴化させた後、グロースチャ
ンバー内で育成した。
【0060】形質転換用ベクターpBICBR1、pB
ICBR2およびpBICBR3によるカナマイシン耐
性形質転換タバコをそれぞれBR1、BR2及びBR
3、また、形質転換用ベクターpBICBMR1、pB
ICBMR2及びpBICBMR3によるカナマイシン
耐性形質転換タバコをそれぞれBMR1、BMR2及び
BMR3と名付けた。
【0061】C.タバコに導入したBMV各遺伝子産物
の発現分析 カナマイシン耐性を示した形質転換植物の中で導入され
たBMVの各遺伝子が発現しているかどうかを調べる方
法として、導入された1a遺伝子の発現の分析は、形質
転換タバコから調製したプロトプラストにRNA2およ
び3の混合物を接種することによって、また、2a遺伝
子の発現の分析はRNA1および3の混合物を接種する
ことによって行なった。RNA1、2及び3は、実施例
1Bの項で述べた方法によってpBTF1、2及び3か
らin vitro的に合成した。 $ ウイルスRNA複製酵素である1a及び2a蛋白質が発
現している細胞中では、接種したRNA3から外被蛋白
質のmRNAであるRNA4が転写され、細胞内にBM
Vの外被蛋白質が蓄積するものと考えられる。外被蛋白
質はRNA3から直接翻訳されることはなく、BMVの
RNA複製酵素によって(−)鎖RNA3から転写され
たRNA4をとおして翻訳されると考えられており(M
illerら、(1985)Nature 313:6
8−70)、外被蛋白質の発現を検出することによっ
て、間接的にRNA複製酵素あるいは同酵素のサブユニ
ットである1a及び2a蛋白質の発現の検出を行なうこ
とができる。そこで、抗BMV抗体を用いたウエスタン
ブロット法によって外被蛋白質の発現の分析を行なっ
た。
【0062】C−1 プロトプラストの調製 プロトプラストの調製には、葉長15ー20cmのタバ
コ第4ー5葉を用いた。切り取ったタバコ葉の裏表皮を
剥離し、100mlコルベンに入れた1%セルラーゼオ
ノズカR−10(近畿ヤクルト)、0.05%マセロザ
イム(近畿ヤクルト)を含む0.5Mマンニトール液
(KOHでpH5.6ー5.8に調製したもの)に浸
し、15分毎にコルベンを軽く振り混ぜ、26℃で2時
間処理した。得られたプロトプラスト懸濁液に含まれる
未分解組織を、4ー6層のガーゼで濾別し、50ml用
ガラス遠沈管に移し、100Xg、2分間の遠心分離に
よってプロトプラストを集め、さらに、0.5Mのマン
ニトール液による遠心洗浄を2回繰り返した。
【0063】C−2 タバコプロトプラストへのBMV
RNAの接種 0.5Mマンニトールに懸濁したプロトプラストを4ー
6本の10ml容ポリプロピレン製培養チューブ(日水
製薬#06480)に移し、100Xg、2分間の遠心
分離でプロトプラストを集め、上清を除去した。プロト
プラストに2−10μgのBMV RNAと10μgの
tRNAを含むT液(0.5Mマンニトール、40mM
CaCl2)を0.7ml加えよく混和した後、直ち
にPEG溶液(40% PEG4000、0.5Mマン
ニトール、40mM CaCl2)を0.7ml加え、
上下逆さまにしてゆるやかに混ぜ、氷上で30分間低速
振とうした。
【0064】その後、約8mlのT液を加え上下逆さま
にしてゆるやかに混ぜ、氷上に30分間静置した。10
0Xg、2分間の遠心分離でプロトプラストを集めた
後、PEGや未吸着のRNAを除去するためHigh−
pH, High−Ca2+緩衝液(0.7Mマンニトー
ル、50mM,CaCl2、50mMグリシン、pH8.
5)による遠心洗浄を3回繰り返した。プロトプラスト
を3mlの0.7i培地(0.2mM KH2PO4、
1mM KNO3、1mM MgSO4・7H2O、10
mM CaCl2 ・2H2O、0.1μM KI、0.
01μM CuSO4 ・5H2 O、0.7Mマンニト
ール、 2500unit/mlマイコスタチン、20
0μg/mlクロラムフェニコール、pH6.5)に懸
濁し、26℃、48時間培養した。
【0065】C−3 抗体の調製とウエスタンブロッ
ト分析 抗BMV血清を硫酸アンモニウム法によって精製し、γ
−グロブリン画分を得た。タバコプロトプラストからア
セトンパウダーを調製し、これに上述の精製抗BMV抗
体と反応させ、非特異的に植物成分と結合する抗体を除
去した。BMVR NAを接種したプロトプラストから
抽出した蛋白質をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気
泳動した後、分離された蛋白質をTowbinらの方法
(Towbinら、(1979)Pro.Natl.A
cad.Sci.USA 76:4350−4354)
によって電気的にメンブレン(Immobilon−
P、ミリポア社製)に転写した。転写後、一次抗体に精
製抗BMV抗体を1/400に希釈したもの、二次抗体
にアルカリホスファターゼでラベルした抗ウサギIgG
−ヤギIgGを用い、NBT−BCIPを基質とした発
色反応によってBMV外被蛋白質の検出を行なった。
【0066】C−4 BR1および2植物細胞におけ
る導入した遺伝子産物の分析 BR1植物から調製したプロトプラストに試験管内で合
成したRNA2+3、また、ポジティブコントロールと
してRNA1+2+3を接種した。接種48時間後に、
形質転換植物内で合成された外被蛋白質の相対的評価を
ウエスタンブロット分析により行なった。ポジティブコ
ントロールにおける外被蛋白質遺伝子の発現量の平均値
を100%とした場合、次のように検出された。
【0067】 ──────────────────────────────────── 外被蛋白質発現の平均値 ──────────────────────────────────── BR1植物 RNA1+2+3接種区 100 BR1植物 Mock(偽)接種区 0 BR1植物 RNA1+3接種区 0 BR1植物 RNA2+3接種区 110 ────────────────────────────────────
【0068】RNA2+3接種区でRNA1+2+3接
種区と同程度の外被蛋白質が検出された。RNA1を接
種せずにRNA2とRNA3のみを接種した場合にも、
RNA1+2+3を接種した場合と同程度の外被蛋白質
がプロトプラスト内で合成されたことから、BR1植物
ではすべての細胞で完全な1a蛋白質が発現されている
と考えられた。BR2植物から調製したプロトプラスト
にRNA1+3を接種した場合にも、外被蛋白質が次の
ように検出された。
【0069】 ──────────────────────────────────── 外被蛋白質発現の平均値 ──────────────────────────────────── BR2植物 RNA1+2+3接種区 100 BR2植物 Mock接種区 0 BR2植物 RNA2+3接種区 0 BR2植物 RNA1+3接種区 98 ────────────────────────────────────
【0070】RNA2を接種せずにRNA1+3のみを
接種した場合にも、RNA1+2+3を接種した場合と
同程度の外被蛋白質がプロトプラスト内で合成されたこ
とから、BR2植物ではすべての細胞で完全な2a蛋白
質が発現されていると考えられた。
【0071】C−5 BMR1及び2植物細胞における
導入した遺伝子産物の分析 BMR1及び2から調製したプロトプラストにin v
itroで合成したRNAを接種した。接種48時間後
にプロトプラスト内の外被蛋白質をウエスタンブロット
法で検出した。
【0072】 ──────────────────────────────────── 外被蛋白質発現の平均値 ──────────────────────────────────── BMR1植物 RNA1+2+3接種区 100 BMR1植物 Mock接種区 0 BMR1植物 RNA2+3接種区 105 BMR1植物 RNA1+3接種区 0 BMR2植物 RNA1+2+3接種区 100 BMR2植物 Mock接種区 0 BMR2植物 RNA2+3接種区 0 BMR2植物 RNA1+3接種区 90 ────────────────────────────────────
【0073】その結果、3’末端の非翻訳領域にのみ欠
失をもつpBICBMRベクターを用いてRNA1のc
DNAを導入したBMR1から調製したプロトプラスト
にRNA2+3を接種した場合にも、RNA1+2+3
を接種した場合と同程度の外被蛋白質が検出され、ま
た、BMR2にRNA1+3を接種した場合にも外被蛋
白質が検出された。BMR1もしくはBMR2では、植
物ゲノム中に導入されたRNA1もしくはRNA2のc
DNAの転写物は複製能力を持たないため、ウイルスの
複製に必要な全ての1a蛋白質もしくは2a蛋白質を植
物ゲノムからの転写および翻訳に依存されることができ
たことを示している。また、ウイルスの各遺伝子をウイ
ルスの複雑な制御機構から独立させ、植物の転写、翻訳
機構に依存することができたことが明らかになった。
【0074】C−6 BMV RNA複製酵素を産生
するタバコ植物の作出 BR1植物とBR2植物、BMR1植物とBMR2植
物、それぞれの交雑を行なった。交雑法は、開花中の花
粉親BR1植物のやくをピンセットで取り、除雄した母
本R2植物の雌しべに受粉させ、その約4週間後に種子
を収穫した。BMR1植物とBMR2植物の交雑も同様
の方法で行なった。採取した種子をカナマイシン含有
(50μg/ml)LS1培地上で発芽させ、カナマイ
シン耐性のタバコを選抜した。RNA1及びRNA2の
両cDNAをゲノムに導入された植物体は1a及び2a
蛋白質を生産するため、そのプロトプラストへのRNA
3接種によって外被蛋白質を生産できる。そこで、〔実
施例2〕C−4及び5と同様の方法によって、カナマイ
シン耐性タバコ植物中から外被蛋白質を生産したタバコ
植物体を選抜した。上述した方法によって得た、BR1
植物とBR2植物のF1植物をBR(1+2)植物、B
MR1植物とBMR2植物のF1植物をBMR(1+
2)植物と名付けた。これらはRNA1及びRNA2の
両cDNAをゲノムに導入された植物体であり、1a及
び2a蛋白質を生産している。
【0075】次に、BR(1+2)植物及びBMR(1
+2)植物の純系二倍体を得るために、Imamura
らの方法(Imamuraら、(1982) Plan
t Cell Physiol.23:713−71
6)により、やく培養(anther cultur
e)を行ない、得られた半数体幼植物の第2葉が出た時
に、幼芽の先端に0.2%コルヒチン水溶液を処理し
た。倍加植物とみられる植物体を選び、〔実施例2〕C
−4及び5と同様な方法によって外被蛋白質を生産する
個体を選抜し、純系二倍体とした。BR(1+2)植物
及びBMR(1+2)植物から得た純系二倍体をそれぞ
れBRP(1+2)植物及びBMRP(1+2)植物と
名付けた。
【0076】実施例3.IFNの産生 RNA植物ウイルスとしてBMV ATCC66系統
を、所望の外来遺伝子として、ヒト由来γ−インターフ
ェロン(IFN)遺伝子を用いた。IFN遺伝子の特徴
として、動物由来の遺伝子である、翻訳後に糖鎖が付加
され、さらに、N端及びC端がプロセシング(切断)さ
れるといったことが挙げられる。IFN遺伝子は約50
0bpで、約170アミノ酸の蛋白質をコードし、この
遺伝子を動物細胞中で発現させると、糖鎖付加及び両端
のプロセシングによって3種の成分が検出される(Gr
ayら、(1982)Nature 295:503−
505)。
【0077】A.BMVーIFNキメラRNA転写ベク
ターの構築(図10−図15) BMV−IFNキメラRNA転写ベクターの構築には、
BMV RNA1、2及び3の完全長cDNAがT7プ
ロモーターの下流に挿入されたプラスミドpBTF1、
2及び3(図5)をそれぞれ用いた。1a、2a及び2
種の外被蛋白質遺伝子(CP1及び2)をそれぞれコー
ドするウイルス遺伝子をIFN遺伝子と置換するため
に、BMVcDNA及びIFN遺伝子の開始コドンの位
置にNsiI部位をKunkelらの方法(Kunke
lら、(1987)Methodsin Enzymo
logy 154:367−382)によって導入した
(図4)。
【0078】該方法による部位特異的突然変異を行うた
めに以下のオリゴヌクレオチドを〔実施例1〕B−1−
1の方法に従って合成した。pBTF1における1a蛋
白質遺伝子には5’pd(GTTTTTCACCAAC
AAAATGCATAGTTCTATCGATTTG
C)(配列番号:5)、pBTF2における2a蛋白質
遺伝子には5’pd(CACCAAGATGCATTC
GAAAACC)(配列番号:6)、pBTF3におけ
る3a蛋白質遺伝子には5’pd(GTTCCCGAT
GCATAACATAGTTT)(配列番号:7)、p
BTF3におけるCP1遺伝子には5’pd(GTAT
TTAATGCATACTTCAGGAAC)(配列番
号:8)、pBTF3におけるCP2遺伝子には5’p
d(TGGTAAGATGCACGCGCGCAGC)
(配列番号:9)、pMKC(第一製薬から譲渡され
た)におけるIFN遺伝子には5’pd(TCTCTC
GGAATGCATGCATGAAATATAC)(配
列番号:10)を各々用いた。
【0079】これらを用い、pBTF1a、pBTF2
a、pBTF3a、pBTFpCP1、pBTFpCP
2およびpUCpIFN(Nsi)をそれぞれ構築し
た。さらに、pUCpIFN(Nsi)の終始コドンの
すぐ下流にオリゴヌクレオチド5’pd(CCCAGT
AATGGAGCTCCTGCCTGC)(配列番号:
11)を用いてSacI部位を導入し、pUCIFN
(Nsi)を構築した。
【0080】pBTF3aをClaI及びStuIで切
断後T4DNAポリメラーゼ処理によって平滑末端化を
行い、SacIリンカーを付加し、さらに、SacI切
断後セルフライゲーションを行った。この結果得られた
プラスミドpBTF3a1は、サブゲノムRNAプロモ
ーターを消失し、ClaI部位がSacI部位に置換さ
れている。pBTF3aをSacI及びStuIで切断
後T4DNAポリメラーゼ処理によっては平滑末端化を
行い、セルフライゲーションした。この結果得られたプ
ラスミドpBTF3a2はNsiI部位を消失してい
る。pBTF3a2をClaIで切断後T4DNAポリ
メラーゼによって平滑末端化し、SacIリンカーを付
加した。さらに、SacI切断後、セルフライゲーショ
ンした。この結果得られたプラスミドpBTF3a3で
はClaI部位がSacI部位に置換されている。
【0081】pBTFpCP1およびpBTFpCP2
をStuIで切断後、SacIリンカーを付加した。さ
らに、SacI切断後セルフライゲーションした。この
結果得られたプラスミドpBTFCP1及びpBTFC
P2ではStuI部位がSacI部位に置換されてい
る。pBTF2a、pBTF3a1、pBTF3a3、
pBTFCP1及びpBTFCP2をNsiI及びSa
cIで切断することによって得られた大断片(プラスミ
ドを含む断片)と、pUCIFN(Nsi)をNsiI
及びSacIで切断することによって得られたIFN遺
伝子断片をライゲーションし、pBTF2apIFN、
pBTF3a1pIFN、pBTF3a3pIFN、p
BTFCP1pIFN及びpBTFCP2pIFNを構
築した。
【0082】pBTF1aをNruI(平滑末端切断)
及びNsiIで切断した。得られた大断片と、pUCI
FN(Nsi)をSacI切断後T4DNAポリメラー
ゼ処理によって平滑末端化後NsiI切断によって得ら
れたIFN遺伝子断片をライゲーションし、pBTF1
apIFNを構築した。pBTF1apIFN、pBT
F2apIFN、pBTF3a1pIFN、pBTF3
a3pIFN、pBTFCP1pIFN及びpBTFC
P2pIFNをNsiI切断後T4DNAポリメラーゼ
処理によって平滑末端化し、セルフライゲーションする
ことによって、pBTF1aIFN、pBTF2aIF
N、pBTF3a1IFN、pBTF3a3IFN、p
BTFCP1IFN及びpBTFCP2IFNを構築し
た。pBTF3a3IFNをBglII及びEcoRI
で切断することによって得られた大断片と、pBTF3
をBglII及びEcoRIで切断することによって得
られた小断片をライゲーションし、pBTF3a4IF
Nを構築した。pBTF3a4をBssHI切断後、T
4DNAポリメラーゼ処理によって平滑末端化し、セル
フライゲーションを行った。その結果得られたプラスミ
ドpBTF3a5IFNではBMVの外被蛋白質遺伝子
にフレームシフトが導入されている。
【0083】B.感染性BMVRNAのIn vitr
o合成及びタバコプロトプラストへの接種 BMVRNA1、2、及び3のそれぞれ完全長cDNA
転写用のプラスミドpBTF1、2及び3、あるいはB
MV−IFNキメラRNA転写用プラスミドpBTF1
aIFN、pBTF2aIFN、pBTF3a1IF
N、pBTF3a4INF、pBTF3a5INF、p
BTFCP1IFN及びpBTFCP2IFNから、
〔実施例1〕B−2の方法に従って、感染性BMVRN
AのIn vitro合成を行った。その結果、BMV
RNA1、2、3及び7種のBMV−IFNキメラRN
Aが得られた。得られたBMV−IFNキメラRNAを
それぞれ、F1aIFN、F2aIFN、F3a1IF
N、FNF3a3IFN、F3a4IFN、F3a5I
FN、FCP1IFN及びFCP2IFN(第図16)
と名付けた。
【0084】各BMV−IFNキメラRNA及び対照の
野性型BMVRNA3をそれぞれRNA1、2と混合し
て、〔実施例2〕Cの方法に従って、タバコプロトプラ
ストに接種した。
【0085】C.BMV−IFNキメラRNAの複製 各BMV−IFNキメラRNA及び対照の野性型BMV
RNA3をそれぞれRNA1、2と混合してタバコプロ
トプラストに接種した。接種48時間後に、タバコプロ
トプラストから全RNAを調製し、全BMVRNAに共
通の3’末端配列部分をプローブとしてノーザンブロッ
ティングを行い、各実験区におけるキメラRNAの複製
及びサブゲノムRNAの合成の相対的評価をノーザンブ
ロッティングにより行なった。ポジティブコントロール
である野性株BMVRNA3におけるキメラRNAの複
製及びサブゲノムRNAの合成を100%とした場合、
次のように検出された。
【0086】 ──────────────────────────────────── キメラRNAの複製 サブゲノムRNAの合成 ──────────────────────────────────── F1aIFN 1 − F2aIFN 1 − F3a1IFN 1 − F3a4IFN 60 60 F3a5IFN 80 80 FCP1IFN 40 20 FCP2IFN 40 20 RNA3 100 100 ────────────────────────────────────
【0087】その結果、F3a4IFN、F3a5IF
N、FCP1IFN及びFCP2IFNのみが複製し、
かつ、サブゲノムRNAも合成された。FCP1IFN
あるいはFCP2IFNから合成されたサブゲノムRN
Aは、野性株のRNA3から合成されたRNA4の20
%に相当した。一方、F3a4IFNあるいはF3a5
IFNから転写されたRNAの量は、野性株のRNA3
から転写されたRNA4の量と大きな差異はなかった。
また、プロトプラスト中における全RNA量を定量し、
FCP2IFNから合成されたサブゲノムRNAの量と
比較したところ、FCP2IFNから合成されたRNA
の量は全RNA中のおよそ1%であった。
【0088】D.BMV−IFNキメラRNAを接種し
たプロトプラストにおけるIFN産生量分析 上述の各BMV−IFNキメラRNA及び対照の野性型
BMVRNA3をそれぞれRNA1、2と混合してタバ
コプロトプラストに接種した。接種48時間後に、タバ
コプロトプラストから全蛋白質を抽出し、各実験区にお
けるIFN産生量を抗IFN抗体を用いたウエスタンブ
ロティング分析により測定した。最も高いIFN産生量
を示したFCP2IFNを用いた実験区におけるIFN
産生量の平均値を100%とした場合、次のように検出
された。
【0089】 ──────────────────────────────────── IFN産生量 ──────────────────────────────────── F1aIFN 0 F2aIFN 0 F3a1IFN 0 F3a4IFN 15 F3a5IFN 15 FCP1IFN 15 FCP2IFN 100 ────────────────────────────────────
【0090】その結果、F3a4IFN、F3a5IF
N、FCP1IFN及びFCP2IFNを用いた実験区
でのみ、糖鎖付加及び両端のプロセシングによるものと
思われるIFNの3成分が産生された。これらのうち
で、FCP2IFNを用いた区で最も高レベルのIFN
の産生が認められ、この実験区におけるIFN産生量を
100として他の実験区におけるIFN産生の相対量を
算出した。F3a4IFN、F3a5IFN及びFCP
1IFNを用いた区では、FCP2IFNのおよそ15
%のIFNが産生された。
【0091】一方、FCP1IFNを用いた区では抗I
FN抗体を用いた蛍光免疫染色法によっておよそ10%
のプロトプラストでIFNが産生されていることが明ら
かとなった。市販のIFN(JCR社)を用いた対照区
との比較からIFNの絶対量を測定したところFCP2
IFNが感染した細胞あたり、およそ50pgであり、
これは細胞内の全蛋白質のおよそ5%に相当した。すな
わち、IFNの産生量は外被蛋白質に匹敵するレベルで
あった。以上の結果から、CP遺伝子の2番目の翻訳開
始コドン以降をIFN遺伝子と置換した場合、1番目の
翻訳開始コドン以降を置換するという通常の方法を用い
た場合に比べて6倍以上の蛋白質産生能があるというこ
とが分かった。
【0092】E.CP2遺伝子をIFN遺伝子と置換し
たBMVーIFNキメラRNA4及び野性型RNA4転
写ベクターの構築及びin vitro RNA転写
(図17) 上述のように、IFNのin vivoにおける翻訳産
物は翻訳後の修飾によって3種類認められるため、FC
P2IFNにおいて、1番目の翻訳開始コドンあるいは
2番目すなわちIFNの翻訳開始コドンのいずれから翻
訳が開始されているかが明らかではなかった。そこで、
翻訳後の修飾の影響を排除するために、in vitr
oタンパク質翻訳系を用いることを試みた。また、BM
V RNA3には外被蛋白質翻訳能はなく、外被蛋白質
は感染細胞内でRNA3から合成されたRNA4から翻
訳される。したがって、RNA4中のCP2遺伝子をI
FN遺伝子と置換し、in vitro蛋白質翻訳系に
おいてIFN翻訳能を持つBMV−IFNキメラRNA
4を調製することを試みた。
【0093】プラスミドpBB3はBMV完全長cDN
A3を持ち、そのcDNAはSnaBI−EcoRI断
片としてプラスミドから切り出される。プラスミドpU
CT7はT7プロモーター配列及びNsiI部位を保持
している。オリゴヌクレオチド5’pd(GTATTT
AATG)(配列番号:12)及び5’pd(TCGA
CATTAAATAC)(配列番号:13)をアニーリ
ング後、得られた断片をpBB3のSnaBIーEco
RI部位に導入し、pBB4を構築した。
【0094】pBB4はBMVcDNA4の5’末端と
一致する部位にSnaBI切断部位を持つ。pUCT7
をNsiI切断後T4DNAポリメラーゼ処理によって
平滑末端化し、EcoRI切断を行った。さらに、得ら
れたDNAをpBB4のSnaBIーEcoRI断片
(BMVcDNA4インサート)とライゲーションし、
pBTF4を構築した。pBTF4をSalI及びEc
oRIで切断して得られた大断片を、pBTFCP2I
FNをSalI及びEcoRIで切断して得られた小断
片とライゲーションし、pBTFsCP2IFNを構築
した。これらのプラスミドから、〔実施例1〕B−2の
方法に従ってin vitroでRNAを転写し、野性
型BMVRNA4及びCP2をIFN遺伝子と置換した
BMV−IFNキメラRNA4であるFsCP2IFN
を得た。
【0095】F.CP2をIFN遺伝子と置換したBM
V−IFNキメラRNA4からinvitroで翻訳さ
れた蛋白質の解析 野性型BMVRNA4及びFsCP2IFNを小麦胚芽
抽出物in vitro蛋白質翻訳系(アマシャム社)
に加え、in vitroで蛋白質を翻訳し、SDSポ
リアクリルアミドゲル電気泳動後、フルオログラフィー
によって翻訳産物を比較、分析した。その結果、2番目
のATGから翻訳されたIFNの量は、1番目のATG
から翻訳されたIFNの量のおよそ50倍であることが
分かった。一方、野性型RNA4からはほぼ同量のCP
1及びCP2が翻訳された。以上の結果から、CP2を
外来遺伝子と置換した場合、2番目の翻訳開始コドン即
ち外来遺伝子の翻訳開始コドンから蛋白質の翻訳が始ま
り、外被蛋白質との融合ではなく、真の外来遺伝子産物
が高効率で翻訳されることが分かった。
【0096】G.BMVRNA複製酵素発現植物細胞中
におけるBMV−IFNキメラRNAの複製 〔実施例2〕C−6で作出したBMRP(1+2)植
物、即ち、3’末端非翻訳領域を欠失したBMVRNA
1及び2が細胞内で転写されるため、BMVRNA複製
酵素である1a及び2a蛋白質は細胞内で産生されてい
るが、BMVRNA1及び2は複製されない植物、から
プロトプラストを調製した。得られたプロトプラスト
に、各BMV−IFNキメラRNA及び対照の野性型B
MVRNA3をそれぞれRNA1、2と混合して接種し
た後、全RNAを調製し、全BMVRNAに共通の3’
末端配列部分をプローブとしてノーザンブロッティング
を行い、各実験区におけるキメラRNAの複製及びサブ
ゲノムRNAの合成を野性株BMVRNA3と比較し
た。
【0097】 ──────────────────────────────────── キメラRNAの複製 サブゲノムRNAの合成 ──────────────────────────────────── F1aIFN 1 − F2aIFN 1 − F3a1IFN 1 − F3a4IFN 20 80 F3a5IFN 10 40 FCP1IFN 50 20 FCP2IFN 50 20 RNA3 100 100 ────────────────────────────────────
【0098】その結果、F1aIFN、F2aIFN及
びF3a1IFNはほとんど複製しなかったが、F3a
4IFN、F3a5IFN、FCP1IFN及びFCP
2IFNは野性株RNA3を用いた場合には劣るもの比
較的高い効率で複製し、その結果は、〔実施例3〕Cと
ほぼ同様であった。。したがって、〔実施例3〕A−F
までで得られた結果全ては、形質転換植物を用いた場合
でも有効であることが分かった。
【0099】実施例4 GUSの産生 RNA植物ウイルスとしてBMV ATCC66系統
を、所望の外来遺伝子として、β−グルクロニダーゼ遺
伝子(GUS)を用いた。GUS遺伝子は、酵素活性測
定の容易さ及び感度の高さからレポーター遺伝子として
頻繁に用いられるものである。また、遺伝子の大きさ
は、BMVの外被蛋白質遺伝子のおよそ3倍である。
【0100】A.BMV−GUSキメラRNA転写ベク
ターの構築、in vitro RNA転写及びタバコ
プロトプラストへの接種 BMV−IFNキメラRNA転写ベクターの構築の場合
と同様の方法によって、1a、2a、3a、CP1及び
CP2遺伝子をGUS遺伝子と置換した。プラスミドp
BI101(クロンテックラボラトリー社)中のGUS
遺伝子における開始及び終始コドンに、NsiI及びS
acI部位をそれぞれオリゴヌクレオチド5’pd(G
TGGTCAGTCATGCATGTTACGTA)
(配列番号:14)及び5’pd(AATGAATCA
AGAGCTCTCCTGGCG)(配列番号:15)
を用いて導入し、pUCGUS(Nsi)を構築した。
【0101】転写ベクターpBTF1aGUS、pBT
F2aGUS、pBTF3a1GUS、pBTF3a4
GUS、pBTF3a5GUS、pBTFCP1IFN
及びpBTFCP2IFNを、pUCIFN(Nsi)
の代わりにpUCGUS(Nsi)を用いて、〔実施例
3〕Aで述べたBMV−IFNキメラRNA転写ベクタ
ーの構築の場合と同様な方法によって構築した。
【0102】得られたプラスミドから、〔実施例1〕B
−2の方法に従ってin vitroでRNAを転写
し、得られた7種のRNAをそれぞれF1aGUS、F
2aGUS、F3a1GUS、F3a4GUS、F3a
5GUS、FCP1GUS及びFCP2GUSと名付け
た(図16)。各BMV−GUSキメラRNA及び対照
の野性型BMVRNA3をそれぞれRNA1+2と混合
し、〔実施例2〕Cの方法に従ってタバコプロトプラス
トに接種した。
【0103】B.BMV−GUSキメラRNAの複製 各BMV−GUSキメラRNAをそれぞれRNA1、2
と混合して接種したタバコプロトプラストから全RNA
を調製し、全BMVRNAに共通の3’末端配列部分を
プローブとしてノーザンブロッティングを行い、各実験
区におけるキメラRNAの複製及びサブゲノムRNAの
合成を比較した。しかし、これらキメラRNAの複製は
野性型BMVRNAの複製に比べて、非常に低レベルで
あり、野性型RNAとの比較は不可能であった。 そこ
で、GUS遺伝子に特異的なプローブを用いてノーザン
ブロッティングを行った。最も高いキメラRNAの複製
およびサブゲノムRNAの合成を示したFCP2GUS
を用いた実験区における該RNAの平均値をそれぞれ1
00%とした場合、以下のように検出された。 ──────────────────────────────────── キメラRNAの複製 サブゲノムRNAの合成 ──────────────────────────────────── F1aGUS 0 − F2aGUS 0 − F3a1GUS 0 − F3a4GUS 100 − F3a5GUS 50 − FCP1GUS 100 100 FCP2GUS 100 100 ────────────────────────────────────
【0104】その結果、F3a4GUS、F3a5GU
S、FCP1GUS及びFCP2GUSのみが複製し、
かつ、FCP1GUS及びFCP2GUSではサブゲノ
ムRNAも検出された。
【0105】C.BMV−GUSキメラRNAを接種し
たプロトプラストにおけるGUS産生量及びGUS活性
の分析 上述の各BMV−GUSキメラRNAをそれぞれRNA
1、2と混合してタバコプロトプラストに接種した。接
種48時間後に、タバコプロトプラストから全蛋白質を
抽出し、抗GUS抗体を用いたウエスタンブロティング
によって、各実験区におけるGUS産生量を比較した。
また、以下の方法を用いて、GUS活性を測定した。ま
ず、Jeffersonらの方法(Jefferson
ら、(1987)EMBO J.6:3901−390
7)に従って、プロトプラスト抽出物を調製した。GU
S活性レベルは、基質である4ーメチルウンベリフェリ
ルグルクロニドの4ーメチルウンベリフェロンへの酵素
的変換を、長波長紫外線によって標品のGUSの活性と
比較して行った。最も高いGUS産生量及びGUS活性
を示したFCP2IFNを用いた実験区におけるGUS
産生量及びGUS活性の平均値を100%とした場合、
以下のように検出された。
【0106】 ──────────────────────────────────── GUS産生量 GUS活性 ──────────────────────────────────── F1aGUS 0 3 F2aGUS 0 3 F3a1GUS 0 3 F3a4GUS 20 30 F3a5GUS 10 15 FCP1GUS 0 3 FCP2GUS 100 100 ────────────────────────────────────
【0107】ウエスタンブロティングの結果、F3a4
GUS、F3a5GUS及びFCP2GUSを用いた実
験区でのみ、GUSが産生され、これらのうちで、FC
P2GUSを用いた区で最も高レベルのGUSの産生が
認められた。しかし、FCP1GUSを用いた区では、
ウエスタンブロティングによっては、GUSは認められ
なかった。そこで、各実験区におけるGUS活性を測定
した結果、FCP2GUSを用いた区ではFCP1GU
Sを用いた区に比較して、同レベルのサブゲノムRNA
合成量であるにもかかわらず(〔実施例4〕B)、およ
そ30倍のGUSが産生されていることが明らかとなっ
た。
【0108】以上の結果から、GUSのような分子量の
比較的大きな蛋白質を産生する場合には、IFNの場合
以上に、CP1遺伝子ではなくCP2遺伝子との置換に
よる蛋白質産生能の向上が認められた。
【0109】実施例5 BMVの全ゲノムRNAを発現
する植物の作出 A.BMVRNA3を発現する植物の作出 [実施例2]A.の方法に従ってpBICBR3(図
6)をA.tumfaciensに導入し、[実施例
2]B.の方法に従って、タバコへのA.tumefa
ciens(pBICBR3)の接種及び形質転換体の
選抜を行った。植物ゲノム中に組み込まれたRNA3の
発現の確認は、[実施例2]Cで述べた形質転換植物か
ら得られたプロトプラストへのRNA1+2の接種及び
抗BMV抗体を用いたウエスタンブロット法によって行
った。 ウエスタンブロット法によってRNA3の発現
を確認した植物においては、植物ゲノムから転写された
RNA3からBMVRNA複製酵素によってサブゲノム
RNA4が合成され、このサブゲノムRNA4から外皮
タンパク質が翻訳されている。RNA3の発現を確認し
た植物から[実施例2]C−6のやく培養法によってR
NA3を発現する純系二倍体を選抜し、BRP3植物と
名付けた。
【0110】B.BMVRNA複製酵素を発現するタバ
コ植物のゲノムへのBMVRNA3cDNAの導入 [実施例2]C−6で作出したBRP(1+2)植物及
びBMRP(1+2)植物のゲノムへBMVRNA3c
DNAを導入するため、BRP(1+2)植物とBRP
3植物、BMRP(1+2)植物とBRP3植物のそれ
ぞれの交雑を行った。得られたF1植物をそれぞれBR
P(1+2+3)植物、BMRP(1+2+3)植物と
名付けた。両植物を育成し、[実施例2]C−3の抗B
MV抗体を用いたウエスタンブロット法によって外皮蛋
白質遺伝子の発現量を比較した。BRP(1+2+3)
植物における外皮蛋白質の発現量の平均値を100%と
した場合、次のように検出された。
【0111】 ──────────────────────────────────── 外皮蛋白質の平均値 ──────────────────────────────────── BRP(1+2)植物 0 BRP(1+2+3)植物 100 BMRP(1+2)植物 0 BMRP(1+2+3)植物 130 ────────────────────────────────────
【0112】したがって、BRP(1+2+3)植物及
びBMRP(1+2+3)植物においては、外部からB
MVRNAを導入する必要がなく、植物ゲノムから転写
されたウイルスRNAによってRNA複製酵素の生産、
複製酵素によるサブゲノムRNAの合成、外皮蛋白質の
生産というウイルスの増殖サイクルが進行することがわ
かった。
【0113】実施例6 BMVRNA複製酵素を発現す
るタバコ植物のゲノムに導入されたIFN遺伝子の発現 A.BMV−IFNキメラRNA3cDNAを導入した
植物形質転換用ベクターpBICIFNの構築(図1
8) CP2遺伝子をIFN遺伝子と置換したBMV−IFN
キメラRNA3cDNAを植物ゲノムに導入するための
ベクターpBICIFNを構築した。pBTFCP2I
FN(図15)からIFN遺伝子を含有するXbaI/
EcoRI断片を切り出し、形質転換ベクターpBIC
BR3(図6)のRNA3cDNAにおけるXbaI部
位とEcoRI部位の間を除去した部分に挿入し、pB
ICIFNを構築した。
【0114】B.BMV−IFNキメラRNA3を発現
する植物の作出 [実施例2]A.の方法に従ってpBICIFNをA.
tumfaciensに導入し、[実施例2]B.の方
法に従って、タバコへのA.tumefaciensの
接種及び形質転換体の選抜を行った。植物ゲノム中に組
み込まれたBMV−IFNキメラRNA3の発現の確認
は、[実施例2]C.で述べた形質転換植物から得られ
たプロトプラストへのRNA1+2の接種及び抗IFN
抗体を用いたウエスタンブロット法によって行った。
ウエスタンブロット法によってキメラRNA3の発現を
確認した植物においては、植物ゲノムから転写されたキ
メラRNA3からBMVRNA複製酵素によってキメラ
サブゲノムRNA4が合成され、このキメラサブゲノム
RNA4からIFNが翻訳されている。ウエスタンブロ
ット法によってBMV−IFNきめらRNA3の発現を
確認した植物から[実施例2]C−6のやく培養法によ
ってBMV−IFNキメラRNA3を発現する純系二倍
体を選抜し、BRP3IFN植物と名付けた。
【0115】C.BMVRNA複製酵素を発現するタバ
コ植物のゲノムへのBMV−IFNキメラRNA3cD
NAの導入 [実施例2]C−6で作出したBRP(1+2)植物及
びBMRP(1+2)植物のゲノムへBMV−IFNキ
メラRNA3cDNAを導入するため、BRP(1+
2)植物とBRP3IFN植物、BMRP(1+2)植
物とBRP3IFN植物のそれぞれの交雑を行った。得
られたF1植物をそれぞれBRP(1+2+3IFN)
植物、BMRP(1+2+3IFN)植物と名付けた。
両植物を育成し、 [実施例2]C−3の抗IFN抗体を
用いたウエスタンブロット法によってIFNの発現量を
比較した。BRP(1+2+3IFN)植物におけるI
FNの発現量の平均値を100%とした場合、次のよう
に検出された。
【0116】 ──────────────────────────────────── IFNの平均値 ──────────────────────────────────── BRP(1+2)植物 0 BRP(1+2+3IFN)植物 100 BMRP(1+2)植物 0 BMRP(1+2+3IFN)植物 130 ────────────────────────────────────
【0117】BRP(1+2+3IFN)植物及びBM
RP(1+2+3IFN)植物のIFNの発現がキメラ
RNA3からサブゲノムとして合成されるキメラRNA
4から翻訳されたものであることを確認するために、B
RP(1+2+3IFN)植物及びBMRP(1+2+
3IFN)植物を用いてノーザンブロット分析を行っ
た。それぞれのタバコ葉から純化した全RNA(20マ
イクロg)をアガロース電気泳動によって分離し、ナイ
ロン膜に転写し、IFN遺伝子を含有するpUCIFN
(NsiI)のNsiI/SacI断片をプローブとし
て調べた。その結果、キメラRNA3とキメラRNA4
に相当するバンドが反応した。BRP(1+2+3IF
N)植物におけるキメラRNA3の複製量及びキメラR
NA4の合成量を100%とした場合、次のように検出
された。
【0118】 ──────────────────────────────────── キメラRNA3 キメラRNA4 の複製 の合成 ──────────────────────────────────── BRP(1+2)植物 0 0 BRP(1+2+3IFN)植物 100 100 BMRP(1+2)植物 0 0 BMRP(1+2+3IFN)植物 120 130 ────────────────────────────────────
【0119】したがって、BRP(1+2+3IFN)
植物及びBMRP(1+2+3IFN)植物において
は、外部からBMVRNA及び外来遺伝子を含むキメラ
BMVRNAを導入する必要がなく、植物ゲノムから転
写されたウイルスRNAによってRNA複製酵素の生
産、複製酵素によるキメラRNA4の合成及び外来遺伝
子の発現が行われることがわかった。
【0120】 AB培地(表1) ──────────────────────────────────── 溶液1 K2HPO4 12g NaH2PO4 4g 溶液2 NH4Cl 4g MgSO4・7H2O 1.2g KCl 0.6g CaCl2 0.6g FeSO4・7H2O 10mg 溶液3 Glucose 20g ────────────────────────────────────
【0121】 LS培地 (表2) LS培地の作製法(200ml当たり) ──────────────────────────────────── ストック1 K2HPO4 12g NaH2PO4 4g ストック2 NH4Cl 4g MgSO4・7H2O 1.2g KCl 0.6g ストック3 CaCl2 ・2H2O 8.8g ストック4 Na2−EDTA 0.666g ストック5 H2BO3 0.124g MnSO4・4H2O 0.172g ZnSO4・4H2O 0.446g KI 0.017g Na2MoO4・2H2O 0.005g ストック5’ CuSO4・5H2O 0.05g CoCl2・6H2O 0.005g ストック6 チアミン−塩酸 0.008g Myo−イノシトール 2.0g ストック7 ナフタレン酢酸(NAA) 0.042g ストック8 6−ベンジルアデニナ(BAP) 0.004g ストック9 6−ベンジルアデニナ(BAP) 0.1g ストック10 Myo−イノシトール 2.0g グリシン 0.04g プリドキシン−塩酸 0.01g ニコチニックアシッド 0.01g チアミン−塩酸 0.02g ────────────────────────────────────
【0122】BAPはまず0.1N HCl 30ml
に溶解(湯煎)し、その後水を加えて、200mlとす
る。 LS培地の作製法(1リットル) 1. 2mlのストック5’を200mlの新しいスト
ック5に加え、以後これを使用する。 2. ストック1,2,3,4,5,6を各10mlず
つ入れる。 3. 下表にしたがってホルモンストックを加える。 4. シュクローズ 30gを加え、イオン交換水で1
mlとする。 5. NaOH或いは、KOHでpHを5.8〜6.2
に調整する。 6. 0.8〜1%の寒天を加え、培養用ポットでオー
トクレーブする。 7. 50〜60℃にした後、ポットを軽く振り混ぜ、
室温に放置し、固化させる。
【0123】抗生物質を添加する場合は、50〜60℃
にした後、フィルター滅菌した抗生物質を添加する。
【0124】 ホルモン濃度(タバコの場合) (1ml当り) ──────────────────────────────────── ストック7 ストック8 ストック9 ────────────────────────── カルス用(LS1) 10ml 10ml − 発芽用 (LS4) 0.5ml − 10ml 発振用 (LS7) 2.5ml 5ml − 幼植物用(LS8) − − − ────────────────────────────────────
【配列表】 配列番号:1 配列の長さ:34 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ゲノムRNAのcDNA 配列 GTATTTAATG TCGACTTCAG GAACTGGTAA GATG 配列番号:2 配列の長さ:31 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成オリゴヌクレオチド 配列 CTAGATGCAT ATAGTGAGTC GTATTAATTT A 配列番号:3 配列の長さ:31 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成オリゴヌクレオチド 配列 AGCTTAAATT AATACGACTC ACTATATGCA T 配列番号:4 配列の長さ:25 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成オリゴヌクレオチド 配列 GTAGGCCTCT CCAAATGAAA TGAAC 配列番号:5 配列の長さ:38 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成オリゴヌクレオチド 配列 GTTTTTCACC AACAAAATGC ATAGTTCTAT CGATTTGC 配列番号:6 配列の長さ:22 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成オリゴヌクレオチド 配列 CACCAAGATG CATTCGAAAA CC 配列番号:7 配列の長さ:23 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成オリゴヌクレオチド 配列 GTTCCCGATG CATAACATAG TTT 配列番号:8 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成オリゴヌクレオチド 配列 GTATTTAATG CATACTTCAG GAAC 配列番号:9 配列の長さ:22 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成オリゴヌクレオチド 配列 TGGTAAGATG CACGCGCGCA GC 配列番号:10 配列の長さ:28 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成オリゴヌクレオチド 配列 TCTCTCGGAA TGCATGCATG AAATATAC 配列番号:11 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成オリゴヌクレオチド 配列 CCCAGTAATG GAGCTCCTGC CTGC 配列番号:12 配列の長さ:10 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成オリゴヌクレオチド 配列 GTATTTAATG 配列番号:13 配列の長さ:14 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成オリゴヌクレオチド 配列 TCGACATTAA ATAC 配列番号:14 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成オリゴヌクレオチド 配列 GTGGTCAGTC ATGCATGTTA CGTA 配列番号:15 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成オリゴヌクレオチド 配列 AATGAATCAA GAGCTCTCCT GGCG
【図面の簡単な説明】
【図1】 BMVの遺伝子発現様式を示す。
【図2】 BMV各遺伝子のタバコ形質転換用ベクタ
ー。
【図3】 部位特異的突然変異導入法によるCaMV3
5Sプロモーターの転写開始点への制限酵素部位(St
u1)の導入。
【図4】 BMV遺伝子を外来遺伝子と置換するための
方法を示す。
【図5】 BMV RNAの完全長cDNAの転写ベク
ター(pUCT)への導入と、T7 RNAポリメラー
ゼを用いたインビトロBMV RNA合成。
【図6】 BMV RNAの完全長cDNAを導入した
形質転換用ベクターpBICBR1−3の構築。
【図7】 BMV RNAの3’末端の非翻訳領域に相
当するヌクレオチド部分に欠失を持つBMV RNAの
cDNAを導入した植物形質転換用ベクターpBICB
MR1の構築。
【図8】 BMV RNAの3’末端の非翻訳領域に相
当するヌクレオチド部分に欠失を持つBMV RNAの
cDNAを導入した植物形質転換用ベクターpBICB
MR2の構築。
【図9】 BMV RNAの3’末端の非翻訳領域に相
当するヌクレオチド部分に欠失を持つBMV RNAの
cDNAを導入した植物形質転換用ベクターpBICB
MR3の構築。
【図10】 pBTF1aIFNの構築を示す。
【図11】 pBTF2aIFNの構築を示す。
【図12】 pBTF3aIFNの構築を示す。
【図13】 pBTF3a4IFN及びpBTF3a5
IFNの構築を示す。
【図14】 pBTFCP1IFNの構築を示す。
【図15】 pBTFCP2IFNの構築を示す。
【図16】 BMV−IFNキメラRNA及びBMV−
GUSキメラRNAの模式図を示す。
【図17】 pBTFsCP2IFNの構築を示す。
【図18】 BMV−IFNキメラRNA3を導入した
植物形質転換用ベクターpBICIFNの構築。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 15/11 15/83 ZNA //(C12N 15/11 C12R 1:92)

Claims (34)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】RNA植物ウイルスのRNA複製酵素遺伝
    子のcDNA、及び外被蛋白質遺伝子のcDNAの本来
    の翻訳開始コドン(5’末端から数えて1番目のAT
    G)より下流のATG以降を所望の外来遺伝子と置き換
    えた組換え体ウイルスゲノムRNAcDNA(以下組換
    え体ウイルスゲノムRNAcDNAという)を植物ゲノ
    ムに導入することによって、又は、植物ウイルスのRN
    A複製酵素遺伝子のcDNAを植物ゲノムに導入した植
    物細胞に、組換え体ウイルスゲノムRNAcDNAから
    合成したRNAを接種することによって、植物細胞にお
    いて外来遺伝子又はその産物を生産する方法。
  2. 【請求項2】上記の外被蛋白質遺伝子のcDNAの2番
    目のATG以降を所望の外来遺伝子と置き換えることを
    特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】上記のRNA複製酵素遺伝子cDNA及び
    外被蛋白質遺伝子を含むウイルスゲノムRNAcDNA
    が、完全長若しくはウイルスRNAの3’末端非翻訳領
    域に相当するヌクレオチド部分に欠失を持つcDNAで
    ある請求項1又は2記載の方法。
  4. 【請求項4】上記のRNA複製酵素遺伝子と外被蛋白質
    遺伝子が異なる一本鎖(+)RNAに存在する請求項1
    又は2記載の方法。
  5. 【請求項5】上記のウイルスがbrome mosai
    c virus(BMV)、cucumber mosa
    ic virus(CMV)、alfalfamosa
    ic virus(AMV)からなる群から選ばれる請
    求項4記載の方法。
  6. 【請求項6】上記のウイルスがbrome mosai
    c virusである請求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】上記の外被蛋白質遺伝子cDNAの5’末
    端非翻訳領域に相当するヌクレオチド部分に、欠失若し
    くは置換などの遺伝子操作を行なうことによって、1番
    目の翻訳開始コドン周辺のヌクレオチド配列を翻訳に不
    適切にし、かつ、2番目のATG周辺のヌクレオチド配
    列を翻訳に適した構造にし、2番目のATGから翻訳が
    行なわれるように改変した組換え体ウイルスゲノムRN
    AcDNAを用いる請求項1又は2記載の方法。
  8. 【請求項8】該2番目のATGが人為的に作出されたも
    のである請求項7記載の方法。
  9. 【請求項9】上記の外被蛋白質遺伝子cDNAの5’末
    端非翻訳領域から、外被蛋白質構造遺伝子中の2番目の
    ATGまでのヌクレオチド部分の配列が、5’GTAT
    TTAATGTCGACTTCAGGAACTGGTA
    AGATG(配列番号:1)である請求項7記載の方
    法。
  10. 【請求項10】上記のRNA複製酵素遺伝子cDNA及
    び外被蛋白質遺伝子を含むウイルスゲノムRNAcDN
    Aが、完全長若しくはウイルスRNAの3’末端非翻訳
    領域に相当するヌクレオチド部分に欠失を持つcDNA
    である請求項7ないし9記載いずれか1項記載の方法。
  11. 【請求項11】上記のRNA複製酵素遺伝子と外被蛋白
    質遺伝子が異なる一本鎖(+)RNAに存在する請求項
    7ないし9いずれか1項記載の方法。
  12. 【請求項12】上記のウイルスがbrome mosa
    ic virus(BMV)、cucumber mos
    aic virus(CMV)、alfalfamos
    aic virus(AMV)からなる群から選ばれる
    請求項11記載の方法。
  13. 【請求項13】上記のウイルスがbrome mosa
    ic virusである請求項12記載の方法。
  14. 【請求項14】植物細胞で機能するプロモーター、植物
    ウイルスのRNA複製酵素遺伝子cDNA、植物で機能
    するターミネーターを含有するDNA分子。
  15. 【請求項15】上記cDNAが完全長若しくはウイルス
    RNAの3’末端非翻訳領域に相当するヌクレオチド部
    分に欠失を持つcDNAである請求項14記載のDNA
    分子。
  16. 【請求項16】請求項1記載の方法に使用するための、
    請求項14又は15記載のDNA分子を持つ形質転換用
    ベクター。
  17. 【請求項17】植物細胞で機能するプロモーター、組換
    え体ウイルスゲノムRNAcDNA、植物で機能するタ
    ーミネーターを含有するDNA分子。
  18. 【請求項18】上記cDNAが完全長若しくはウイルス
    RNAの3’末端非翻訳領域に相当するヌクレオチド部
    分に欠失を持つcDNAである請求項17記載のDNA
    分子。
  19. 【請求項19】請求項1記載の方法に使用するための、
    請求項17又は18記載のDNA分子を持つ形質転換用
    ベクター。
  20. 【請求項20】インビトロ的に機能的なプロモーターと
    ウイルスゲノムRNAのcDNAからなるベクターであ
    って、組換え体ウイルスゲノムRNAを生産する転写ベ
    クター。
  21. 【請求項21】請求項15記載のDNA分子を植物ゲノ
    ム中に含有する形質転換植物細胞。
  22. 【請求項22】請求項21記載の細胞を再分化させて得
    た植物体。
  23. 【請求項23】請求項22記載のDNA分子を植物ゲノ
    ム中に含有する形質転換植物細胞。
  24. 【請求項24】請求項23記載の細胞を再分化させて得
    た植物体。
  25. 【請求項25】請求項15記載のDNA分子及び請求項
    18記載のDNA分子を植物ゲノム中に含有する形質転
    換植物細胞。
  26. 【請求項26】請求項25記載の細胞を再分化させて得
    た植物体。
  27. 【請求項27】上記の植物が、マメ科、セリ科、アブラ
    ナ科、ウリ科、ナス科及びイネ科から選んだ科に属する
    請求項22記載の植物。
  28. 【請求項28】上記の植物が、マメ科、セリ科、アブラ
    ナ科、ウリ科、ナス科及びイネ科から選んだ科に属する
    請求項24記載の植物。
  29. 【請求項29】上記のウイルスがbrome mosa
    ic virusである請求項17記載のDNA分子。
  30. 【請求項30】請求項29記載のDNA分子を植物ゲノ
    ム中に含有する形質転換植物細胞。
  31. 【請求項31】請求項30記載の細胞を再分化させて得
    た植物体。
  32. 【請求項32】上記の植物が、マメ科、セリ科、アブラ
    ナ科、ウリ科、ナス科及びイネ科から選んだ科に属する
    請求項31記載の植物。
  33. 【請求項33】上記の植物がタバコ植物である請求項3
    1記載の植物。
  34. 【請求項34】上記の所望の外来遺伝子がインターフェ
    ロンである請求項7ないし9いずれか1項記載の方法。
JP05122189A 1992-04-28 1993-04-27 植物細胞における外来遺伝子及びその産物の生産 Expired - Fee Related JP3098353B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP05122189A JP3098353B2 (ja) 1992-04-28 1993-04-27 植物細胞における外来遺伝子及びその産物の生産

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4-152593 1992-04-28
JP15259392 1992-04-28
JP05122189A JP3098353B2 (ja) 1992-04-28 1993-04-27 植物細胞における外来遺伝子及びその産物の生産

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0646874A true JPH0646874A (ja) 1994-02-22
JP3098353B2 JP3098353B2 (ja) 2000-10-16

Family

ID=26459370

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP05122189A Expired - Fee Related JP3098353B2 (ja) 1992-04-28 1993-04-27 植物細胞における外来遺伝子及びその産物の生産

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3098353B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP3098353B2 (ja) 2000-10-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6608241B1 (en) Protection of plants against viral infection
KR0154872B1 (ko) 발아하는 식물종자의 아크로박테리움 매개된 형질전환
AU617433B2 (en) Chemically regulatable dna sequences and genes and uses thereof
JPH09508786A (ja) バショウ種のアグロバクテリウム・ツメファシエンス(agrobacterium tumefaciens)形質転換
JPH07500970A (ja) 植物寄生線虫に対する低下された感受性を有する植物の生産方法
JPH03280883A (ja) Rna型ウイルス由来の配列を包含する組換えdnaおよびそれを用いる遺伝子操作方法
US5418153A (en) Process for production of exogenous gene or its product in plant cells
EP0558944A2 (en) RNA and DNA molecules for producing virus resistance
US5824856A (en) Process for production of exogenous gene or its product in plant cells
JP2008283978A (ja) パパイヤ輪紋ウイルス遺伝子
JP3098353B2 (ja) 植物細胞における外来遺伝子及びその産物の生産
HU217421B (hu) Eljárás proteinszintézis-inhibitort kódoló DNS és a kódolt protein előállítására, valamint eljárás ezek alkalmazására patogének leküzdésében
KR100255474B1 (ko) 형질전환된 벼 고엽고 바이러스 저항성 벼 및 그 제조방법
JP2006042730A (ja) 単子葉植物の雄性不稔体の生産方法およびこれを用いて得られる植物体、並びにその利用
US6613960B1 (en) Phloem-loading-specific promoter
WO1999058644A1 (en) Compositions and methods for genetic transformation of pineapple
US20040214318A1 (en) Method for enhancing RNA or protein production using non-native 5' untranslated sequences in recombinant viral nucleic acids
JPWO2003004649A1 (ja) 根と茎頂で外来遺伝子を発現するプロモーター
KR102677434B1 (ko) 벼 Os03g52870 유전자 유래 화분 특이적 발현 프로모터 및 이의 용도
US8901372B2 (en) Plant resistance to banana bunchy top virus
JP4092110B2 (ja) プロモーター活性を有するdna断片およびその利用方法
KR20220161020A (ko) 벼 Os03g52870 유전자 유래 화분 특이적 발현 프로모터 및 이의 용도
Liu et al. Cloning of the Self-incompatibility SFB Gene from Chinese Apricot ‘Xiaobaixing’and Construction of the SFB Expression Vectors
JPH03277291A (ja) 光合成関連遺伝子及びそのプロモーター
JPH0690632A (ja) 矮性ペチュニアの作成法

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20000718

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees