JPH0646831A - 細胞培養基材及びその製造方法 - Google Patents
細胞培養基材及びその製造方法Info
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- JPH0646831A JPH0646831A JP20350892A JP20350892A JPH0646831A JP H0646831 A JPH0646831 A JP H0646831A JP 20350892 A JP20350892 A JP 20350892A JP 20350892 A JP20350892 A JP 20350892A JP H0646831 A JPH0646831 A JP H0646831A
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- phospholipid
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- culture
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 スチレン系ポリマー及び/またはジエン系合
成ゴムとリン脂質とを混合し、リン脂質の濃度を5〜8
0wt%とした組成物を細胞培養基材とし、この基材を
上記ポリマー及び/またはゴムとリン脂質の共通溶媒溶
液を用いて、培養用容器の表面に塗布して、細胞培養器
具を得る。 【効果】 従来の細胞培養シャーレでは、接着して剥離
の困難な足場非依存性細胞を、接着させずに培養可能
で、無傷で容易に回収でき、また、従来の細胞培養シャ
ーレでは、機能低下の生じる単層培養しかできなかった
足場依存性細胞を、ほとんど接着させずに経時的にスフ
ェロイドを形成させ、その機能を高く維持しつつ培養す
ることが可能である。
成ゴムとリン脂質とを混合し、リン脂質の濃度を5〜8
0wt%とした組成物を細胞培養基材とし、この基材を
上記ポリマー及び/またはゴムとリン脂質の共通溶媒溶
液を用いて、培養用容器の表面に塗布して、細胞培養器
具を得る。 【効果】 従来の細胞培養シャーレでは、接着して剥離
の困難な足場非依存性細胞を、接着させずに培養可能
で、無傷で容易に回収でき、また、従来の細胞培養シャ
ーレでは、機能低下の生じる単層培養しかできなかった
足場依存性細胞を、ほとんど接着させずに経時的にスフ
ェロイドを形成させ、その機能を高く維持しつつ培養す
ることが可能である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、細胞培養基材、及びそ
れを使用した細胞培養器具の製造方法に関するものであ
る。
れを使用した細胞培養器具の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】リンパ球などの足場非依存性細胞は、従
来、市販の低温プラズマ処理を施した培養器具や、未処
理の細菌培養器具などを用いて培養されてきた。しか
し、これらの培養器具では、リンパ球の中でも特にNS
−1やMOLT4のように、培養器具に接着し回収が困
難な細胞が少なくない。このような場合、トリプシン等
の酵素やEDTA(エチレンジアミンテトラアセティッ
クアシッド)を用いるか、あるいはセルスクレーパーな
どを用いる物理的方法で、細胞を剥離する方法がとられ
ているが、細胞へのダメージが大きく、細胞の生存率を
低下させるなどの問題があった。
来、市販の低温プラズマ処理を施した培養器具や、未処
理の細菌培養器具などを用いて培養されてきた。しか
し、これらの培養器具では、リンパ球の中でも特にNS
−1やMOLT4のように、培養器具に接着し回収が困
難な細胞が少なくない。このような場合、トリプシン等
の酵素やEDTA(エチレンジアミンテトラアセティッ
クアシッド)を用いるか、あるいはセルスクレーパーな
どを用いる物理的方法で、細胞を剥離する方法がとられ
ているが、細胞へのダメージが大きく、細胞の生存率を
低下させるなどの問題があった。
【0003】一方、足場依存性細胞は、基本的には親水
性を制御した低温プラズマ処理培養器具等を用いて、単
層培養する方法が主として行なわれている。しかし、最
近になって、親水性のPHEMA(ポリヒドロキシエチ
ルメタクリレート)を塗布した培養器具で、肝細胞がス
フェロイドを形成すること(EXPERIMENTAL
CELL RESEARCH,200,326−33
2(1992))が報告されており、また、セルロース
にプロピルイソシアネートで表面修飾した材料上では、
血管内皮細胞が線状凝集塊を形成する(生体材料,vo
l.10,No.1(1992))などが報告されるよう
になってきた。
性を制御した低温プラズマ処理培養器具等を用いて、単
層培養する方法が主として行なわれている。しかし、最
近になって、親水性のPHEMA(ポリヒドロキシエチ
ルメタクリレート)を塗布した培養器具で、肝細胞がス
フェロイドを形成すること(EXPERIMENTAL
CELL RESEARCH,200,326−33
2(1992))が報告されており、また、セルロース
にプロピルイソシアネートで表面修飾した材料上では、
血管内皮細胞が線状凝集塊を形成する(生体材料,vo
l.10,No.1(1992))などが報告されるよう
になってきた。
【0004】これは、足場依存性細胞は単に単層培養す
るよりも、3次元的な細胞構造を形成させる方が、その
機能維持に有利であると言われるようになってきた為で
ある。しかし、種々の足場依存性細胞についての、この
ような研究はほとんどなされておらず、かなり広範な足
場依存性細胞について、ほぼ普遍的にこのような凝集塊
を形成させるような基材もまだ見出されていない。
るよりも、3次元的な細胞構造を形成させる方が、その
機能維持に有利であると言われるようになってきた為で
ある。しかし、種々の足場依存性細胞についての、この
ような研究はほとんどなされておらず、かなり広範な足
場依存性細胞について、ほぼ普遍的にこのような凝集塊
を形成させるような基材もまだ見出されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、足場非依存
性細胞を接着させずに培養し、無傷のままの回収を容易
にし、また、足場依存性細胞についてもほとんど接着さ
せずに経時的に凝集塊を形成させ、その機能を維持向上
させるような培養基材もしくは培養器具を提供すること
を目的としている。
性細胞を接着させずに培養し、無傷のままの回収を容易
にし、また、足場依存性細胞についてもほとんど接着さ
せずに経時的に凝集塊を形成させ、その機能を維持向上
させるような培養基材もしくは培養器具を提供すること
を目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、スチレン
系ポリマー及び/またはジエン系合成ゴムとリン脂質と
の混合組成物であって、リン脂質の濃度が組成物全体の
5乃至80wt%であることを特徴とする細胞培養基材
であり、更に、スチレン系ポリマー及び/またはジエン
系合成ゴムとリン脂質とを、これらの組成物中に占める
リン脂質の濃度が5乃至80wt%、溶媒に対する該組
成物の濃度が1乃至35wt%になるように有機溶媒に
溶解して溶液を調製し、ディッシュ、プレート、フラス
コ等の培養用容器に塗布した後、乾燥することを特徴と
する細胞培養器具の製造方法である。
系ポリマー及び/またはジエン系合成ゴムとリン脂質と
の混合組成物であって、リン脂質の濃度が組成物全体の
5乃至80wt%であることを特徴とする細胞培養基材
であり、更に、スチレン系ポリマー及び/またはジエン
系合成ゴムとリン脂質とを、これらの組成物中に占める
リン脂質の濃度が5乃至80wt%、溶媒に対する該組
成物の濃度が1乃至35wt%になるように有機溶媒に
溶解して溶液を調製し、ディッシュ、プレート、フラス
コ等の培養用容器に塗布した後、乾燥することを特徴と
する細胞培養器具の製造方法である。
【0007】本発明者らは先に、基材表面にリン脂質を
疎水結合させると超親水性の表面が得られ、該表面には
足場依存性細胞も足場非依存性細胞もほとんど接着しな
いことを見出し、特願平3−330940号及び特願平
4−149104号に開示した。しかしながら、こられ
の発明ではリン脂質が比較的大量に必要であること、リ
ン脂質処理層の厚みにばらつきがあることなどの問題が
あった。そこで、鋭意研究を進めてこれらの問題を解決
し、本発明を完成させるに至った。
疎水結合させると超親水性の表面が得られ、該表面には
足場依存性細胞も足場非依存性細胞もほとんど接着しな
いことを見出し、特願平3−330940号及び特願平
4−149104号に開示した。しかしながら、こられ
の発明ではリン脂質が比較的大量に必要であること、リ
ン脂質処理層の厚みにばらつきがあることなどの問題が
あった。そこで、鋭意研究を進めてこれらの問題を解決
し、本発明を完成させるに至った。
【0008】本発明に於いて使用するスチレン系ポリマ
ーは特に限定しないが、ポリスチレン、スチレン−ブタ
ジエン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン3元共
重合体(俗にSEBSと呼ばれる。)等が利用できる。
また、ジエン系合成ゴムも特に限定しないが、イソプレ
ン重合体、ブタジエン−スチレン共重合体、線状ポリブ
タジエン、1,2−ポリブタジエン、プチルゴム(イソ
プレン−イソブチレン共重合体)、クロロプレン重合体
等が利用できる。
ーは特に限定しないが、ポリスチレン、スチレン−ブタ
ジエン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン3元共
重合体(俗にSEBSと呼ばれる。)等が利用できる。
また、ジエン系合成ゴムも特に限定しないが、イソプレ
ン重合体、ブタジエン−スチレン共重合体、線状ポリブ
タジエン、1,2−ポリブタジエン、プチルゴム(イソ
プレン−イソブチレン共重合体)、クロロプレン重合体
等が利用できる。
【0009】ここで重要なことは、これらのスチレン系
ポリマー及びジエン系合成ゴムが、他の高分子とは異な
り、リン脂質との共通溶媒が見出せる点である。従っ
て、スチレン系ポリマーやジエン系合成ゴムとリン脂質
との混合溶液が、極めて容易に調製可能で、これによっ
て本発明が実現し得たものである。
ポリマー及びジエン系合成ゴムが、他の高分子とは異な
り、リン脂質との共通溶媒が見出せる点である。従っ
て、スチレン系ポリマーやジエン系合成ゴムとリン脂質
との混合溶液が、極めて容易に調製可能で、これによっ
て本発明が実現し得たものである。
【0010】本発明に於ける、これらのの共通溶媒はヘ
キサン、エチルエーテル、石油エーテル、ベンゼン、ト
ルエン、クロロホルム等である。スチレン系ポリマー及
びジエン系合成ゴムとリン脂質との組合わせあるいは配
合比によって、これらの溶媒を適宜選択することが重要
であり、場合によってはこれらの溶媒の任意の比率の混
合溶媒を用いることもできる。
キサン、エチルエーテル、石油エーテル、ベンゼン、ト
ルエン、クロロホルム等である。スチレン系ポリマー及
びジエン系合成ゴムとリン脂質との組合わせあるいは配
合比によって、これらの溶媒を適宜選択することが重要
であり、場合によってはこれらの溶媒の任意の比率の混
合溶媒を用いることもできる。
【0011】本発明に於いて使用するリン脂質は、ホス
ファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチ
ジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、
スフィンゴミエリン、レシチン及びこれらの不飽和脂肪
酸を水添したもの、あるいはこれらの誘導体からなる群
から選ばれた少なくとも1種のリン脂質からなってい
る。
ファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチ
ジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、
スフィンゴミエリン、レシチン及びこれらの不飽和脂肪
酸を水添したもの、あるいはこれらの誘導体からなる群
から選ばれた少なくとも1種のリン脂質からなってい
る。
【0012】本発明による細胞培養基材中に於ける、ス
チレン系ポリマー及びジエン系合成ゴムとリン脂質との
混合割合、あるいは各成分の濃度は極めて重要である。
細胞をほとんど接着させないためには、リン脂質の濃度
は全組成物に対して、5乃至80wt%が好ましい。リ
ン脂質が5wt%未満では細胞が接着し易く、80wt
%を越えると組成物が培養液中で膨潤し易くなるなどの
欠点が生ずる。実際的には、コスト及び性能の両面か
ら、リン脂質の全組成物に対する割合は20乃至60w
t%が好ましい。
チレン系ポリマー及びジエン系合成ゴムとリン脂質との
混合割合、あるいは各成分の濃度は極めて重要である。
細胞をほとんど接着させないためには、リン脂質の濃度
は全組成物に対して、5乃至80wt%が好ましい。リ
ン脂質が5wt%未満では細胞が接着し易く、80wt
%を越えると組成物が培養液中で膨潤し易くなるなどの
欠点が生ずる。実際的には、コスト及び性能の両面か
ら、リン脂質の全組成物に対する割合は20乃至60w
t%が好ましい。
【0013】また、この細胞培養基材を容器に塗布する
際の、全組成物の有機溶媒中での濃度は、培養用容器へ
の塗布時の塗布厚みを調節する上で重要であり、1乃至
35wt%が良く、好ましくは5乃至25wt%が良
い。また、組成物の塗布厚みは、最低1μmあれば効果
を発揮するが、塗布時のばらつきを考慮すると、平均5
乃至10μmの厚みに塗布することが好ましい。本発明
の細胞培養器具の製造方法に於いては、スチレン系ポリ
マー及びジエン系合成ゴムとリン脂質の内、配合比の多
い方を優先的に溶媒に溶解することが好ましい。これ
は、均一な組成物溶液を調製する上で重要である。
際の、全組成物の有機溶媒中での濃度は、培養用容器へ
の塗布時の塗布厚みを調節する上で重要であり、1乃至
35wt%が良く、好ましくは5乃至25wt%が良
い。また、組成物の塗布厚みは、最低1μmあれば効果
を発揮するが、塗布時のばらつきを考慮すると、平均5
乃至10μmの厚みに塗布することが好ましい。本発明
の細胞培養器具の製造方法に於いては、スチレン系ポリ
マー及びジエン系合成ゴムとリン脂質の内、配合比の多
い方を優先的に溶媒に溶解することが好ましい。これ
は、均一な組成物溶液を調製する上で重要である。
【0014】これらの溶液を塗布する培養用容器は特に
限定するものではなく、プラスチック製、ガラス製、金
属製の容器が利用可能である。但し、プラスチック製の
培養用容器はほとんどのものがポリスチレン製であり、
耐溶剤性が十分ではないが、本発明に使用し得る溶媒の
内、ヘキサン等を用いて迅速に乾燥工程に着手すれば十
分に効果的に塗布することが可能である。
限定するものではなく、プラスチック製、ガラス製、金
属製の容器が利用可能である。但し、プラスチック製の
培養用容器はほとんどのものがポリスチレン製であり、
耐溶剤性が十分ではないが、本発明に使用し得る溶媒の
内、ヘキサン等を用いて迅速に乾燥工程に着手すれば十
分に効果的に塗布することが可能である。
【0015】このようにして得られた細胞培養器具の表
面(基材)上に足場非依存性細胞を播種すると、細胞は
市販の組織培養ディッシュ上とほぼ同様の増殖性・細胞
生存率を示しながら、かつ基材に接着することなく容易
に回収が可能である。
面(基材)上に足場非依存性細胞を播種すると、細胞は
市販の組織培養ディッシュ上とほぼ同様の増殖性・細胞
生存率を示しながら、かつ基材に接着することなく容易
に回収が可能である。
【0016】また、足場依存性細胞を播種すると、細胞
はほとんど接着せず、増殖性が抑制されながら次第に凝
集塊を形成しその機能を維持向上させることが可能であ
る。さらに、ここで重要なことは、足場依存性細胞の場
合、本発明の基材への接着性は細胞の種類によって微妙
に異なり、自ずからその機能発現性も異なってくること
である。例えば、同じ神経細胞であっても、PC−12
よりもNB69は、リン脂質の量がかなり少なくても接
着しにくく、凝集塊を作り易い傾向がある。従って、厳
密には、足場依存性細胞の種類によって、本発明に於け
る基材のリン脂質の配合比や塗布厚みを制御することが
重要であり、また、それらを簡単に制御できることが本
発明の大きな特徴の一つでもある。
はほとんど接着せず、増殖性が抑制されながら次第に凝
集塊を形成しその機能を維持向上させることが可能であ
る。さらに、ここで重要なことは、足場依存性細胞の場
合、本発明の基材への接着性は細胞の種類によって微妙
に異なり、自ずからその機能発現性も異なってくること
である。例えば、同じ神経細胞であっても、PC−12
よりもNB69は、リン脂質の量がかなり少なくても接
着しにくく、凝集塊を作り易い傾向がある。従って、厳
密には、足場依存性細胞の種類によって、本発明に於け
る基材のリン脂質の配合比や塗布厚みを制御することが
重要であり、また、それらを簡単に制御できることが本
発明の大きな特徴の一つでもある。
【0017】
【実施例】以下、実施例によって本発明の効果を説明す
る。 実施例1 スチレン−ブタジエン系熱可塑性エラストマー(JSR
製TR2000)をクロロホルムに溶解し、濃度15w
t%の溶液を調製した。これに、卵黄レシチン(和光純
薬製、生化学グレード)を上記ポリマーに対して40w
t%に相当する量だけ添加し、室温下で1時間攪拌し均
一溶液を得た。
る。 実施例1 スチレン−ブタジエン系熱可塑性エラストマー(JSR
製TR2000)をクロロホルムに溶解し、濃度15w
t%の溶液を調製した。これに、卵黄レシチン(和光純
薬製、生化学グレード)を上記ポリマーに対して40w
t%に相当する量だけ添加し、室温下で1時間攪拌し均
一溶液を得た。
【0018】この溶液をピペットで0.5ml取り、直
径35mmのガラス製シャーレに注ぎ、シャーレの底及
び側壁に塗布し、クリーンベンチ内で1時間風乾した
後、40℃の乾燥器で2時間乾燥した。その後、クリー
ンベンチ内で紫外線を30分照射して滅菌した。こうし
て得られたシャーレにマウス由来骨髄腫P3/NS1/
1−Ag4−1(第日本製薬(株)製)を1×104 個
/mlの濃度で2ml播種した。使用した培地はRPM
I−1640(フローラボラトリー社製)500mlに
グルタミン0.15mg(日水製薬製)及び牛胎児血清
(フローラボラトリー社製)50mlを添加したものを
使用した。一方、比較として、実施例1と同じ細胞を同
条件で、市販の組織培養シャーレ(岩城硝子(株)製、
corning 35N)に播種した。
径35mmのガラス製シャーレに注ぎ、シャーレの底及
び側壁に塗布し、クリーンベンチ内で1時間風乾した
後、40℃の乾燥器で2時間乾燥した。その後、クリー
ンベンチ内で紫外線を30分照射して滅菌した。こうし
て得られたシャーレにマウス由来骨髄腫P3/NS1/
1−Ag4−1(第日本製薬(株)製)を1×104 個
/mlの濃度で2ml播種した。使用した培地はRPM
I−1640(フローラボラトリー社製)500mlに
グルタミン0.15mg(日水製薬製)及び牛胎児血清
(フローラボラトリー社製)50mlを添加したものを
使用した。一方、比較として、実施例1と同じ細胞を同
条件で、市販の組織培養シャーレ(岩城硝子(株)製、
corning 35N)に播種した。
【0019】いずれも、三日後に細胞の状態を倒立顕微
鏡にて観察し、細胞数を血球計算盤にて計数した。ま
た、細胞液を10μlサンプリングし、トリパンプルー
で染色することによって、細胞の生存率を求めた。尚、
接着が強く細胞の回収が困難なものはセルスクレーパー
(住友ベークライト(株)製)にて剥離し、ピペッティ
ング後に計数した。その結果は表1に示した通りで、本
発明による細胞培養器具(基材)はリンパ球のような足
場非依存性細胞の接着を大幅に抑制し、培養後の回収が
極めて容易で、かつ市販シャーレと同等以上の細胞増殖
性を示す新規な培養基材であることが分る。
鏡にて観察し、細胞数を血球計算盤にて計数した。ま
た、細胞液を10μlサンプリングし、トリパンプルー
で染色することによって、細胞の生存率を求めた。尚、
接着が強く細胞の回収が困難なものはセルスクレーパー
(住友ベークライト(株)製)にて剥離し、ピペッティ
ング後に計数した。その結果は表1に示した通りで、本
発明による細胞培養器具(基材)はリンパ球のような足
場非依存性細胞の接着を大幅に抑制し、培養後の回収が
極めて容易で、かつ市販シャーレと同等以上の細胞増殖
性を示す新規な培養基材であることが分る。
【0020】
【表1】
【0021】実施例2 スチレン−エチレン−ブチレン3元共重合体(旭化成
(株)製タフテックH1041)をn−ヘキサンに溶解
し、10wt%の溶液を調製した。これに、上記ポリマ
ーと同量のジパルミトイルホスファチジルコリンを溶解
し均一溶液を得た。
(株)製タフテックH1041)をn−ヘキサンに溶解
し、10wt%の溶液を調製した。これに、上記ポリマ
ーと同量のジパルミトイルホスファチジルコリンを溶解
し均一溶液を得た。
【0022】次いで、直径35mmのシャーレ(住友ベ
ークライト(株)製、スミロンMS−1035F)に上
記溶液を1ml添加し、速やかにこの溶液を排出し、温
風乾燥機内で40℃にて12時間乾燥した。その後、ク
リーンベンチ内で5分間、紫外線滅菌した。続いて、ヒ
ト肝癌由来株細胞(Hep G2)を無血清培地(味の
素(株)社製、ASF104)を用いて1×104 個/
mlの濃度に調製し、上記のシャーレ及び比較として上
記スミロンMS−1035Fに2mlずつ播種し、37
℃5%CO2 インキュベータ内で7日間培養した。
ークライト(株)製、スミロンMS−1035F)に上
記溶液を1ml添加し、速やかにこの溶液を排出し、温
風乾燥機内で40℃にて12時間乾燥した。その後、ク
リーンベンチ内で5分間、紫外線滅菌した。続いて、ヒ
ト肝癌由来株細胞(Hep G2)を無血清培地(味の
素(株)社製、ASF104)を用いて1×104 個/
mlの濃度に調製し、上記のシャーレ及び比較として上
記スミロンMS−1035Fに2mlずつ播種し、37
℃5%CO2 インキュベータ内で7日間培養した。
【0023】上記の実施例及び比較例について、下記の
方法で細胞の形態観察及びアルブミンの分泌能を評価し
た。その結果は表2に示した通りで、本発明に於ける培
養基材上では、肝細胞はスフェロイドを形成し、単層培
養に比較して極めて高いアルブミン合成能を示し、細胞
の機能が十分に維持されていたことが分る。 1) 培養形態 7日目に倒立顕微鏡にて観察した。 2) アルブミン分泌能の測定 培地中のアルブミン濃度をELISA法により測定し、
同時にシャーレ中の細胞数を測定して、単位細胞数あた
りのアルブミン量を比較した。結果は実施例の単位細胞
数あたりの分泌量を100として比較した。
方法で細胞の形態観察及びアルブミンの分泌能を評価し
た。その結果は表2に示した通りで、本発明に於ける培
養基材上では、肝細胞はスフェロイドを形成し、単層培
養に比較して極めて高いアルブミン合成能を示し、細胞
の機能が十分に維持されていたことが分る。 1) 培養形態 7日目に倒立顕微鏡にて観察した。 2) アルブミン分泌能の測定 培地中のアルブミン濃度をELISA法により測定し、
同時にシャーレ中の細胞数を測定して、単位細胞数あた
りのアルブミン量を比較した。結果は実施例の単位細胞
数あたりの分泌量を100として比較した。
【0024】
【表2】
【0025】
【発明の効果】以上のように、スチレン系ポリマー及び
/またはジエン系合成ゴムとリン脂質との混合組成物で
ある培養基材上では、足場非依存性細胞は接着せずに増
殖して高い生存率を示し、また、足場依存性細胞は接着
せずに経時的にスフェロイドを形成して、その機能を高
く維持することが可能になった。このように、本発明の
細胞培養基材およびそれを使用した細胞培養器具は、広
範囲の足場依存性細胞、足場非依存性細胞にとって極め
て有用である。
/またはジエン系合成ゴムとリン脂質との混合組成物で
ある培養基材上では、足場非依存性細胞は接着せずに増
殖して高い生存率を示し、また、足場依存性細胞は接着
せずに経時的にスフェロイドを形成して、その機能を高
く維持することが可能になった。このように、本発明の
細胞培養基材およびそれを使用した細胞培養器具は、広
範囲の足場依存性細胞、足場非依存性細胞にとって極め
て有用である。
Claims (4)
- 【請求項1】 スチレン系ポリマー及び/またはジエン
系合成ゴムとリン脂質との混合組成物であって、リン脂
質の濃度が組成物全体の5乃至80wt%であることを
特徴とする細胞培養基材。 - 【請求項2】 リン脂質が、ホスファチジルコリン、ホ
スファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミ
ン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリ
ン、レシチン、及びこれらの不飽和脂肪酸を水添したも
の、あるいはこれらの誘導体からなる群から選ばれた少
なくとも1種のリン脂質からなることを特徴とする、請
求項1記載の細胞培養基材。 - 【請求項3】 スチレン系ポリマー及び/またはジエン
系合成ゴムとリン脂質とを、これらの組成物中に占める
リン脂質の濃度が5乃至80wt%、溶媒に対する該組
成物の濃度が1乃至35wt%になるように、前記ポリ
マー及び/またはゴムとリン脂質との共通有機溶媒に溶
解して溶液を調製し、これをディッシュ、プレート、フ
ラスコ等の培養用容器に塗布した後、乾燥することを特
徴とする細胞培養器具の製造方法。 - 【請求項4】 共通有機溶媒が、ヘキサン、エチルエー
テル、石油エーテル、ベンゼン、トルエン、及びクロロ
ホルムから選ばれた1種、もしくはこれらの混合物であ
ることを特徴とする、請求項3記載の細胞培養器具の製
造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20350892A JPH0646831A (ja) | 1992-07-30 | 1992-07-30 | 細胞培養基材及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20350892A JPH0646831A (ja) | 1992-07-30 | 1992-07-30 | 細胞培養基材及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0646831A true JPH0646831A (ja) | 1994-02-22 |
Family
ID=16475322
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20350892A Pending JPH0646831A (ja) | 1992-07-30 | 1992-07-30 | 細胞培養基材及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0646831A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1998053800A1 (en) * | 1997-05-29 | 1998-12-03 | Applied Biotechnologies, Inc. | Compositions and methods for preventing adhesion |
WO2010147122A1 (ja) * | 2009-06-15 | 2010-12-23 | 株式会社資生堂 | 細胞凝集塊形成用容器及び細胞凝集塊の形成方法 |
-
1992
- 1992-07-30 JP JP20350892A patent/JPH0646831A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1998053800A1 (en) * | 1997-05-29 | 1998-12-03 | Applied Biotechnologies, Inc. | Compositions and methods for preventing adhesion |
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US9347031B2 (en) | 2009-06-15 | 2016-05-24 | Shiseido Company, Ltd. | Container for forming a cell aggregate and a method for forming a cell aggregate |
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