JPH0646650Y2 - 射出成形機のノズルシャットオフ機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は射出成形機におけるノズル装置の構造に関し、
より具体的にはノズルを開閉するためのノズルシャット
オフ機構に関する。

（従来技術） 周知のように射出成形機は樹脂材等の成形材料を可塑化
して圧送するシリンダの先端にノズルを設け、該ノズル
を通して金型に成形材料を射出するが、前記シリンダ内
で材料を可塑化して計量する際や材料替え、色替え時等
にはノズルを閉塞する必要がある。その場合のノズルシ
ャットオフ機構としては、従来、第４図に示すようにノ
ズル１内にニードル２を軸方向に移動可能に設け、ニー
ドル後端の作動レバー３によってニードル２の先端をノ
ズル１の後端にテーパ係合させて閉止するかニードル，
ノズル間の隙間を調整し、シリンダ４のピストン５によ
り圧送されてくる成形材料のノズル流量を制御する構造
のもの、あるいは第５図に示すようにスプリング６によ
ってノズル１の内端にシャットオフピン７を押し付けて
閉塞し、ノズル開成時にはスプリング６に抗して図示し
ない作動レバー等でシャットオフピン７をノズル内端か
ら離す構造のものが知られている。

（考案が解決しようとする課題） 上述した従来のノズルシャットオフ機構は、いずれもニ
ードルあるいはシャットオフピンを軸方向に移動させ、
そのテーパ状先端をノズル内に挿入してノズル閉塞を行
うものであるため、ニードルやピンをノズルの軸芯上に
位置決めする手段や軸方向に移動させる機構等の点で構
造が複雑となり、成形樹脂の樹脂替え，色替え性がオー
プンスクリューアッシィのものに比べて劣り、またニー
ドルやピンの周囲に樹脂滞留部が生じる欠点がある。ま
たスプリング力を利用したシャットオフピンの機構は作
動不良が起り易く、耐久性の点でも問題があった。

（課題を解決するための手段） そこで本考案は、ノズル後方に設けた可動軸の偏心回転
によって該可動軸の軸端面でノズルを閉塞し、また該可
動軸の偏心孔を介してノズルとシリンダとを連通させて
ノズルの開成またはノズル開度の制御を行うようにする
ことにより上述した従来の問題点を解決したものであ
る。即ち本考案の射出成形機のノズルシャットオフ機構
は、ノズル後方に偏心孔を有するノズルハウジングと、
前記偏心孔に回転可能に嵌合されかつその中心に対して
偏心した成形材流路を有する可動軸と、前記ノズルハウ
ジングのノズルと同芯のシリンダ連通孔を有しかつ前記
可動軸の軸端を前記偏心孔のノズル側孔底面に密着する
ように軸方向に固定している可動軸固定部材と、前記可
動軸に取り付けられた可動軸回転駆動レバーとを有し、
前記可動軸の成形材流路が該可動軸の回転位置により前
記ノズルおよび前記可動軸固定部材のシリンダ連通孔と
整合または不整合の状態となるようにしたものである。

（実施例） 次に、本考案を実施例について図面を参照して説明す
る。

第１図は本考案の実施例に係る射出成形機のノズルシャ
ットオフ機構の縦断面図である。シリンダ10の先端に先
細テーパ形の樹脂絞出孔11をもつ加熱シリンダヘッド12
が固着され、さらに該シリンダヘッド12の先端にノズル
ハウジング13が固着されている。ノズルハウジング13の
先端部には成形金型（図示省略）に連通するノズル14が
形成され、このノズルに続いてその後方に該ノズルに対
してｅだけ偏心した偏心孔15が形成され、該偏心孔内に
後述する可動軸16が回転可能に嵌合されている。さらに
ノズルハウジング13の後端部には可動軸16を偏心孔15の
孔底面に押し付けかつ該可動軸16の軸方向移動を拘束す
る可動軸固定部材17が固着されている。可動軸固定部材
17は、ノズル14と同芯でかつシリンダヘッド12の樹脂絞
出孔11に通じるシリンダ連通孔18が形成されている。

可動軸16はその中心Ｃから前記偏心孔15の偏心量ｅと同
じだけずれた位置で軸方向に貫通した樹脂流路19が形成
されている。また可動軸16の側部には可動軸駆動レバー
20が圧入，ねじ込み等の手段で取り付けられている。可
動軸駆動レバー20はノズルハウジング13の側部に形成さ
れた周方向の円弧形切欠部21を通してハウジング外方へ
のびている。第１図，第２図のように可動軸16の樹脂流
路19がノズルハウジング13の中心からずれているとき
は、ノズル14および可動軸固定部材17のシリンダ連通孔
18はそれぞれ可動軸16の各端部によって閉塞され、ノズ
ル14が全閉となる。この状態から可動軸16を駆動レバー
20によって回転させると、或る特定の回転位置、即ち可
動軸16の樹脂流路19がノズルハウジング13の中心と一致
した位置ノズル14およびシリンダ連通孔18は樹脂流路19
と整合し、ノズル14は全開となる（第３図）。また可動
軸16の樹脂流路19がノズル14およびシリンダ連通孔18と
一部分で重なることにより任意のノズル開口面積に制御
することができる。具体的に成形材料である樹脂をシリ
ンダ内で可塑化する計量時には可動軸16を駆動レバー20
によって回転させてシリンダ連通孔18の出口端で閉とす
る。また射出の際には可動軸16を回転させてその開度を
制御する。このような操作によりノズル開閉、流量制御
または金型の圧力制御が可能となる。

上述の実施例では可動軸16に１つの樹脂流路19を形成し
たが、大きさの異なる樹脂流路を複数個設けてもよい。
またノズルハウジング13の内面と可動軸16は耐食，耐摩
耗のため適当なメッキあるいは表面処理を行う。可動軸
16は回転動作の際のトルク低減のために第１図に示すよ
うに複数の周方向溝22を軸外周に形成するのがよい。可
動軸駆動レバー20は油圧シリンダ，エヤシリンダその他
適当な駆動装置に連結されて駆動される。

（考案の効果） 以上説明したように本考案によれば、可動軸の回転動作
で該可動軸に形成した樹脂流路とノズルを連通，閉止す
るので、従来のニードル等を用いたノズルシャットオフ
機構に比べて構造および操作が簡単となり、保修も容易
となる。ノズル閉止時の樹脂滞留部がなく、樹脂替え、
色替え性が向上し、また熱安定性が悪く滞留をきらう樹
脂材にも適用が可能となる。金型からノズルを離しても
可塑化，計量が可能であり、いわゆる糸ひきが防止され
精密安定成形が実現できる。その他可動軸の回転制御に
より、金型内の樹脂圧力制御，射出制御が可能となる
等、多くの効果がもたらされる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例に係る射出成形機のノズルシャ
ットオフ機構の縦断面図、第２図および第３図はそれぞ
れノズル全閉時および全開時の第１図Ａ−Ａ線に沿った
断面図、第４図は従来のニードルを用いたノズルシャッ
トオフ機構の縦断面図、第５図は従来のシャットオフピ
ンを用いたノズルシャットオフ機構の概略的な縦断面図
である。 10……シリンダ、12……加熱シリンダヘッド、13……ノ
ズルハウジング、14……ノズル、15……偏心孔、16……
可動軸、17……可動軸固定部材、18……シリンダ連通
孔、19……樹脂流路、20……可動軸駆動レバー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ノズル後方に偏心孔を有するノズルハウジ
   ングと、前記偏心孔に回転可能に嵌合されかつその中心
   に対して偏心した成形材流路を有する可動軸と、前記ノ
   ズルハウジングのノズルと同芯のシリンダ連通孔を有し
   かつ前記可動軸の軸端を前記偏心孔のノズル側孔底面に
   密着するように軸方向に固定している可動軸固定部材
   と、前記可動軸に取り付けられた可動軸回転駆動レバー
   とを有し、前記可動軸の成形材流路が該可動軸の特定回
   転位置では前記ノズルおよび前記可動軸固定部材のシリ
   ンダ連通孔と整合し他の位置ではノズルが該可動軸の軸
   端で閉止されることを特徴とする射出成形機のノズルシ
   ャットオフ機構。