JPH0645998Y2 - 電子楽器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は電子楽器に関し、特にプリセツトスイツチの
操作性を改善しようとするものである。

〔考案の概要〕

この考案は、複数のプリセツトスイツチを鍵盤と共に配
設してなる電子楽器のプリセツト装置において、プリセ
ツトスイツチを鍵盤のキーの位置を基準にして配設した
ことにより、演奏者が訓練によつて覚えたキーの位置に
基づいて各プリセツトスイツチをその都度目視確認せず
に容易かつ確実に選択操作できるようにし得る。

〔従来の技術〕

一般に電子楽器においては、楽音の音色、音量、効果等
のパラメータを、例えば自己復帰型スイツチでなく設定
スイツチや、多段スイツチ構成のボリユーム等を手動操
作することによつて演奏者が設定し得るようになされて
いる。

ところで実際上演奏時には、曲の途中又は曲と曲の間
に、パラメータの設定を切り換えることによつて演奏者
の好みに応じて異なる音色、音量、効果等を切り換えな
がら演奏を続けることができれば、表現力の豊かな演奏
をなし得る。

このような問題を解決する方法として、従来、例えば特
開昭59−126595号公報に開示されているように、演奏者
が演奏に先立つて多数の組のパラメータを所望に応じて
予め記憶設定しておき（これをプリセツトと呼ぶ）、各
組のパラメータを手動の操作スイツチ（これをプリセツ
トスイツチと呼ぶ）を操作することによつて、それぞれ
格別に読み出して楽音信号発生装置に供給するようにし
たパラメータ設定装置が提案されている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

この種のプリセツトスイツチは、演奏者が鍵盤のキーを
操作することによつてメロデイ部や、伴奏部を演奏して
いる間に、できるだけ容易に操作できるようにする必要
があるため、従来、第２図に示すように、鍵盤部１のキ
ー近傍の所定位置、例えば鍵盤部１の奥行き方向の突き
当り位置にある操作パネル２上に、キーの配列方向の一
直線上に多数の（例えば10個の）プリセツトスイツチ３
を１つにまとめて配設するような方法が用いられている
（特開昭56−52800号公報参照）。

このように多数のプリセツトスイツチ３をキー近傍位置
にキーの配列方向に沿つて配設すれば、演奏者はキーを
演奏している手を僅かな距離だけ動かして所望とするパ
ラメータの組の番号に対応するプリセツトスイツチを押
圧操作するだけの簡単な操作によつて、プリセツトデー
タを読み出すことができる。

しかしこの従来の構成によると、複数のプリセツトスイ
ツチ３のキートツプが鍵盤の各キーに対してそれ程密接
な関係をもつように配慮されておらず、単に等間隔に配
列されているにすぎないため、その１つを演奏者が選択
して指先で誤りなく押そうとすれば、指を注意深く所望
のプリセツトスイツチ位置に動かして行わなければなら
ず、かかる操作は実際上煩雑で、誤つて隣のスイツチを
押してしまうおそれが大きい。

これに加えて、プリセツトスイツチ３の配設位置が鍵盤
１の奥行き方向の突当たり 位置にあるパネル２上に選
定されているので、黒鍵５を押鍵するために指を黒鍵５
の根元部分に運んで行つた際に、誤つてプリセツトスイ
ツチ３を押してしまうおそれもあつた。

この考案は以上の点を考慮してなされたもので、プリセ
ツトスイツチの選択操作を一段と簡易かつ正確になし得
るようにした電子楽器を提案しようとするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

かかる問題点を解決するためこの考案においては、複数
のプリセツトスイツチ（15）を複数のグループに分け、
各グループに属するプリセツトスイツチ（15）を鍵盤
（11L）の各オクターブ（OC1〜OC4）のキーのうち、隣
合う黒鍵の間に対応する操作パネル部上の位置に配設す
るようにする。

〔作用〕

複数のプリセツトスイツチを操作する際に、演奏者は訓
練によつて指先が覚えている鍵盤の各オクターブのキー
の位置を基準にして、各プリセツトスイツチをその都度
目視確認せずに選択操作することができる。

かくするにつき、鍵盤のキーの位置は演奏者が事前に十
分な訓練を経て手先に覚え込ませているものであるの
で、各プリセツトスイツチの操作は、容易かつ正確にな
る。

〔実施例〕

以下図面について、この考案の一実施例を詳述する。

第１図において、10は全体として電子楽器を示し、それ
ぞれ例えば４オクターブ分に相当するキー（すなわち49
個のキー）を有する上鍵盤11U及び下鍵盤11Lを有するい
わゆる２段鍵盤構造を有する。この実施例の場合、手前
から奥行き方向に順次下鍵盤11L、上鍵盤11Uが配設さ
れ、上鍵盤11Uの奥行き方向の突当り位置に立設された
操作子パネル12上に、例えば自己復帰型スイツチでなく
パラメータ選択スイツチ、多段スイツチ構成のボリユー
ム等のパラメータ設定操作子13が配列されている。

下鍵盤11L及び上鍵盤11U間には、下鍵盤11L近傍の後方
位置に段部でなる口棒14が形成され、この口棒14による
段差を操作パネル部として利用して、演奏者が下鍵盤11
L及び上鍵盤11Uを容易かつ確実に区別しながらキーを見
ずに演奏することができる。

因に演奏者は通常、各オクターブの音名に対応するキー
の位置を所定のホームポジシヨンから指の感覚で覚えて
いる運指量だけ指を動かすことによつて、誤りなく当該
オクターブ内の白鍵及び黒鍵を押すことができるのみな
らず、隣合うオクターブに属する白鍵及び黒鍵をも指の
感覚によつて選択できるように訓練されている。

以上の構成に加えて、下鍵盤11L及び上鍵盤11U間の段部
でなく口棒14の前面に、複数のプリセツトスイツチ15が
キーの配列方向に沿うように、例えば一直線上に配列さ
れている。

この実施例の場合、各プリセツトスイツチ15の配設位置
は、下鍵盤11Lの各オクターブOC1〜OC4にそれぞれ含ま
れる白鍵16及び黒鍵17の位置に基づいて決められてお
り、隣合う黒鍵17間に位置するように位置決めされてい
る。

第１図の実施例の場合、プリセツトスイツチ15は、各オ
クターブに割り当てられた５つの黒鍵の間にそれぞれ１
つずつ配設されており、合計16個のプリセツトスイツチ
15が４個ずつ４つのグループに割り振るように口棒14上
に配列されている。

以上の構成において、演奏者は各プリセツトスイツチ15
にそれぞれ割り当てられたプリセツト番号を、各オクタ
ーブの白鍵16及び黒鍵17との位置関係に基づいて予め覚
えておけば、演奏時に所望のプリセツト番号のプリセツ
トスイツチ15を押す際に、対応するオクターブの白鍵16
及び黒鍵17の位置を基準にして、確実に選定操作し得
る。

すなわち、演奏者は各オクターブの白鍵及び黒鍵の位置
を目視確認しないでも確実に選択して押鍵操作できるよ
うな訓練をしているのに対して、プリセツトスイツチ15
は、各オクターブごとに、隣合う黒鍵17間の位置に配設
されているので、あたかもキー（すなわち白鍵16又は黒
鍵17）を演奏するのと同じような要領でプリセツトスイ
ツチ15を確実に選択して指先で押すことができる。

かくするにつき、プリセツトスイツチ15が、隣合う黒鍵
17の間の位置に配設されていることにより、下鍵盤11L
の黒鍵17を押圧操作する際に、奥行き方向の端部を押さ
えたときに口棒14の表面に指先が触れるようなことがあ
つても、この部分には、プリセツトスイツチ15が配設さ
れていないので、誤つてプリセツトスイツチ15を操作す
るおそれを有孔に回避し得る。

このように第１図の構成によれば、プリセツトスイツチ
15を鍵盤の各オクターブのキーの位置を基準にして下鍵
盤11Lの後方にある操作パネル部上の所定位置に配設す
るようにしたことにより、演奏者が各オクターブの音名
に対応するキーを押鍵するために訓練によつて覚えてい
る指の感覚を有効に利用して、各オクターブのキーをホ
ームポジシヨンとしてプリセツトスイツチ15を選択操作
することができることにより、たとえ一曲の演奏の途中
でプリセツトスイツチ15を切り換えるような場合であつ
ても、容易かつ確実に所望のプリセツト番号のプリセツ
トスイツチ15を目視確認することなく選択操作し得る。

なお、上述の実施例においては、16個のプリセツトスイ
ツチ15を４個ずつ４つのグループに分けて４オクターブ
分のキーに均等に割り振るようにした実施例を述べた
が、グループ数、各グループにおけるプリセツトスイツ
チ15の数等は、必要に応じて任意の数に選定し得る。

また、上述の実施例においては、２段鍵盤構成のキーボ
ードにおいて、上鍵盤11U及び下鍵盤11L間の段部を操作
パネル部として利用して、プリセツトスイツチ15を配設
した実施例について述べたが、例えば上鍵盤11Uの上部
の口棒の部分にプリセツトスイツチ15を配設しても良
く、場合によつてはパラメータ設定操作子13が配設され
ている操作子パネル12の下部に上鍵盤11Uのキーに対応
する所定位置に配設するようにしても良い。

また、上述の実施例においては、複数のプリセツトスイ
ツチ15を鍵の配列方向に沿つて一直線上に配設させた構
成を述べたが、これに代え、１つ置き又は複数個置きに
千鳥状に配列させるようにしても良く、要は各オクター
ブのキー（白鍵16、又は黒鍵17）を基準にして所定位置
に規則的に位置決めするようにすれば、上述の場合と同
様の効果を得ることができる。

また、上述の実施例においては、２段構成の鍵盤を有す
る電子楽器にこの考案を適用したが、これに限らず複数
段又は１段の鍵盤を具えた電子楽器にもこの考案を広く
適用し得る。

〔考案の効果〕

以上のようにこの考案によれば、各オクターブに含まれ
るキーを基準にして操作パネル部上の黒鍵の間に対応す
る位置に複数のプリセツトスイツチを配設するようにし
たことにより、演奏者はプリセツトスイツチをその都度
目視確認することなく容易かつ確実に選択して押鍵操作
することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案による電子楽器の一実施例を示す斜視
図、第２図は従来の構成を示す斜視図である。 11U,11L……上、下鍵盤、13……パラメータ設定操作
子、14……口棒、15……プリセツトスイツチ、16……白
鍵、17……黒鍵。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】a.複数のプリセツトスイツチを鍵盤後方の
   操作パネル部に設けるようにした電子楽器において、 b.上記複数のプリセツトスイツチを複数のグループに分
   け、 c.上記各グループに属する上記プリセツトスイツチを、
   上記鍵盤の各オクターブのキーのうち隣合う黒鍵の間に
   対応する上記操作パネル部上の位置に配設した ことを特徴とする電子楽器。