JPH0645834B2 - 複合材料部を有するアルミニウム合金鋳物の製造方法 - Google Patents

複合材料部を有するアルミニウム合金鋳物の製造方法

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JPH0645834B2
JPH0645834B2 JP63055873A JP5587388A JPH0645834B2 JP H0645834 B2 JPH0645834 B2 JP H0645834B2 JP 63055873 A JP63055873 A JP 63055873A JP 5587388 A JP5587388 A JP 5587388A JP H0645834 B2 JPH0645834 B2 JP H0645834B2
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    • F05C2201/00Metals
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    • F05C2201/021Aluminium

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、アルミニウム合金鋳物の製造方法に係り、更
に詳細にはアルミニウム合金をマトリックスとし短繊維
やウイスカを強化材とする複合材料部であって熱衝撃特
性、強度、摩擦摩耗特性、耐凝着性に優れた複合材料部
を有するアルミニウム合金鋳物の製造方法に係る。
従来の技術 複合材料の摩擦摩耗特性を向上させるために複合材料中
に金属間化合物を形成させることが有効であることが知
られており、例えば特開昭61−132260号公報に
は、強化材としての鋳鉄繊維の表面層にマトリックスと
の金属間化合物を生成させた複合材料が記載されてい
る。
また本願出願人と同一の出願人により本願と同日付にて
出願された特願昭63−55872号明細書には、アル
ミニウム合金をマトリックスとする複合材料の摩擦摩耗
特性や耐熱性当を向上させるべく、マトリックス中にA
1と特定の金属元素との金属間化合物が微細に分散され
た複合材料の製造方法が記載されており、この先の提案
にかかる複合材料の製造方法によれば、金属間化合物を
含まない従来の複合材料及び上述の特開昭61−132
260号公報に記載されれた複合材料よりも摩擦摩耗特
性や耐熱性等に優れた複合材料を得ることができる。
発明が解決しようとする課題 しかし金属間化合物は硬くて脆い性質の物質であるた
め、金属間化合物が含まれる複合材料に於てはその脆化
が避けられず、特に金属間化合物を含む複合材料が厳し
い冷熱サイクルを受ける場合には熱疲労に起因して複合
材料に亀裂が生じることがある。
本願発明者等は金属間化合物を含む複合材料に於て熱疲
労に起因する亀裂が生じることを防止すべく種々の実験
的研究を行ったところ、複合材料部を有し該複合材料部
により表面の一部が郭定されたアルミニウム合金鋳物に
於て複合材料部に存在する特定の形態の金属間化合物の
量を適宜に限定することにより、アルミニウム合金鋳物
が比較的厳しい冷熱サイクルを受ける場合にも複合材料
部に熱疲労に起因する亀裂が生じることを回避し、また
複合材料部の強度等を向上させ得ることを見い出した。
本発明は、本願発明者等が行った実験的研究の結果得ら
れた知見に基づき、アルミニウム合金をマトリックスと
し短繊維若しくはウイスカを強化材とする複合材料部を
有し該複合材料部により表面の一部が郭定されたアルミ
ニウム合金鋳物であって、比較的厳しい冷熱サイクルを
受ける場合にも熱疲労に起因する亀裂が生じることがな
く、また強度等にも優れたアルミニウム合金鋳物を製造
することのできる方法を提供することを目的としてい
る。
課題を解決するための手段 上述の如き目的は、本発明によれば、アルミニウム合金
をマトリックスとしセラミック短繊維、セラミックウイ
スカ、炭素短繊維若しくは鉱物短繊維を強化材とする複
合材料部を有し該複合材料部により少なくとも表面の一
部が郭定されたアルミニウム合金鋳物の製造方法にし
て、前記強化材とFe、Ni、Co、Cr、Cu、M
n、Mo、V、W、Ta、Nb、Ti、Zrよりなる群
より選択された少なくとも一種の金属元素の微細片との
実質的に均一な化合物よりなる多孔質の成形体を形成
し、前記成形体中にアルミニウム合金の溶湯を浸透さ
せ、しかる後前記溶湯を凝固させて前記複合材料部を形
成し、これにより前記強化材の間の前記マトリックス中
にA1と少くとも一種の前記金属元素との金属間化合物
を実質的に均一に且微細に分散させ、前記複合材料部の
表面部の任意の断面でみて前記金属間化合物の長さ及び
幅をそれぞれL及びDとするL/D>3である金属間化
合物の面積比を金属間化合物の総量に対し30%以下に
することを特徴とするアルミニウム合金鋳物の製造方法
によって達成される。
発明の作用及び効果 本発明の方法によれば、複合材料部のマトリックス中に
はA1と特定の金属元素との金属間化合物が実質的に均
一に且微細に分散され、金属間化合物によって強化材の
間のマトリックスが強化、即ち地固めされ、これにより
高温度に於ても強化材が所定の状態に保持され、マトリ
ックスが直接相手材に接触することが回避されるので、
金属間化合物が含まれていない従来の複合材料に比して
強度、体摩耗性及び高温度に於ける耐凝着性に優れたア
ルミニウム合金鋳物を製造することができ、また複合材
料部の表面部の任意の断面でみて金属間化合物の長さ及
び幅をそれぞれL及びDとするとL/D>3である金属
間化合物、即ち方向性を有する針状の金属間化合物の面
積比が金属間化合物の総量に対し30%以下に設定され
るので、後に本願発明者等が行った実験的研究の結果よ
り明らかである如く、比較的厳しい冷熱サイクルを受け
る場合にも複合材料部に熱疲労に起因する亀裂が生じる
ことのない熱衝撃特性に優れたアルミニウム合金鋳物を
容易に製造することができる。
また例えば金属間化合物形成材料、即ちマトリックス中
のA1と反応して金属間化合物を形成する金属元素より
なる材料のみをマトリックスと混合し、金属間化合物形
成材料の表面部をマトリックス中のA1と反応させて金
属間化合物を形成し、金属間化合物形成材料の中心部を
一種の強化材として未反応の状態にて残存させる方法も
考えられる。
しかしかかる方法の場合には、金属間化合物は実質的に
未反応の金属間化合物形成材料の周囲にこれと一体の状
態に於てしか生成せず、金属間化合物を強化材の間のマ
トリックス中に均一に且微細に分散させることができな
い。また未反応の金属間化合物形成材料は強化材として
十分な機能を果たすことができず、強化材はA1と反応
して金属間化合物を形成する特定の金属よりなるものに
限定され、金属間化合物形成材料はその中心部が未反応
の状態にて残存する必要があることから比較的大きいも
のでなければならず、そのため金属間化合物形成材料の
表面部をマトリックス中のA1と十分に反応させるため
に金属間化合物形成材料とマトリックスとの混合物を熱
処理しなければならない。更に複合材料に必要とされる
特性に応じて金属間化合物の体積率や大きさを強化材の
体積率や大きさとは独立に設定することが非常に困難で
あり、特にA/D>3である金属間化合物の面積比を金
属間化合物の総量に対し30%以下にすることが非常に
困難である。
これに対し本発明の方法に於ては、金属間化合物形成材
料は強化材とは別の微細片として与えられ、強化材自身
は実質的に金属間化合物の形成に関与しない。従ってマ
トリックスがそれに実質的に均一に且微細に分散された
金属間化合物にて均一に強化され、強化材が金属間化合
物によって良好に地固めされたマトリックスによって良
好に保持されるだけでなく、強化材は金属に比して硬
度、高温安定性等に優れたセラミックよりなる強化材で
ありマトリックスの溶湯との反応劣化を生じることなく
その本来の機能を十分に発揮するので、金属間化合物形
成材料のみをマトリックスと混合する方法の場合に比し
て複合材料部の熱衝撃特性等の性質を向上させることが
できる。
また金属間化合物形成材料は中心部が未反応のまま残存
する必要のない微細片であり、成形体中にマトリックス
の溶湯を浸透させることによる複合化と同時にマトリッ
クス中のA1と容易に反応するので、成形体中にマトリ
ックスの溶湯が浸透された後にそれらを熱処理する必要
がない。更に金属間化合物の体積率や大きさを強化材の
体積率や大きさとは独立にその好ましい範囲内の値に容
易に且確実に設定することができ、特にL/D>3であ
る金属間化合物の面積比を容易に且確実に金属間化合物
の総量に対し30%以下に設定することができる。
また例えば互いに化合反応して金属間化合物を形成する
金属元素を含有するマトリックス粉末と強化材とを混合
しそれを焼結することによってもマトリックス中に金属
間化合物を分散された複合材料を製造することができ
る。
しかしかかる方法の場合には強化材とマトリックス粉末
との混合物を圧縮することによって本発明に於ける多孔
質の成形体よりも高密度の成形体を形成しなければなら
ないため、強化材が折損等の劣化を生じ易く、マトリッ
クス中の組成が特定の金属元素を含有するものに限定さ
れると共に、生成される金属間化合物の体積率を所定の
範囲に制御することが困難であり、また焼結により生成
される金属間化合物は非常に小さく、焼結に起因する小
孔が生じ易く、そのため複合材料部の熱衝撃特性等の性
質を十分に向上させることができない。更にマトリック
ス粉末の大きさが強化材の大きさに比して大きい場合に
はミクロ的に見て強化材が元のマトリックス粉末の周り
の領域に偏在し、元のマトリックス粉末の内部に相当す
る領域に強化材が存在しない不均一な組織になり易い。
これに対し本発明の方法に於ては、強化材と特定の金属
元素の微細片との実質的に均一な混合物よりなる多孔質
の成形体中にアルミニウム合金の溶湯が浸透せしめられ
ることにより金属間化合物が形成されるので、上述の焼
結法による場合に比して強化材及び金属間化合物を均一
に且微細に分散させることができ、また成形体は焼結の
場合に比して低密度の多孔質の成形体であり混合物を高
圧に圧縮する必要がないので、強化材の折損等の劣化を
低減し、これにより高性能な複合材料部を形成すること
ができる。
また本発明の方法によれば、マトリックスの組成が特定
の金属元素を含有するものに限定されることはなく、例
えば成形体中の微細片の体積率や大きさを適宜に設定す
ることにより金属間化合物の体積率を容易に且確実にそ
の好ましい範囲内の値に制御することができると共にそ
の大きさをも容易に制御することができ、更には実質的
に小孔のない複合材料部を形成することができるので、
熱衝撃特性等の性質に優れた複合材料部を有するアルミ
ニウム合金鋳物を容易に製造することができる。
本願発明者等が行った実験的研究の結果によれば、L/
D>3である金属間化合物の面積比が金属間化合物の総
量に対し30%以下である層が複合材料部の表面より1
mm、特に1.5mm以上の深さに亙り形成されている場合
に複合材料部の表面層に熱疲労による亀裂が生じること
を確実に回避することができる。従って本発明の方法の
一つの詳細な特徴によれば、L/D>3である金属間化
合物の面積比が金属間化合物の総量に対し30%以下で
ある層が複合材料部の表面より1mm、特に1.5mm以上
の深さに亙り形成される。
また本願発明者等が行った実験的研究の結果によれば、
強化材の体積率が低過ぎる場合には複合材料部の耐摩耗
性や耐凝着性を十分に向上させることができず、逆に強
化材の体積率が高過ぎる場合には相手材の摩耗量が増大
する。また金属間化合物の体積率が低過ぎる場合には複
合材料部の耐凝着性を十分に向上させることができず、
逆に金属間化合物の体積率が高過ぎる場合には複合材料
部の脆化が著しくなり、複合材料部の強度を確保するこ
とが困難になる。従って本発明の方法の他の一つの詳細
な特徴によれば、強化材の体積率は3〜50%に設定さ
れ、金属間化合物の体積率は5〜60%に設定される。
また本願発明者等が行った実験的研究の結果によれば、
複合材料部の耐熱衝撃性を向上させしかも複合材料部全
体の強度等を向上させるためには、複合材料部の表面部
については上述の如く針状の金属間化合物の比率を低い
値に設定し表面部より内側の部分に於ける針状の金属間
化合物の比率を高く設定することが好ましい。従って本
発明の方法の更に他の一つの詳細な特徴によれば、L/
D>3である金属間化合物の面積比が金属間化合物の総
量に対し30%以下である表面部より内側にはL/D>
3である金属間化合物の面積比が金属間化合物の総量に
対し20%以上である領域、好ましくは40%以上であ
る領域が形成される。
また本願発明者等が行った実験的研究の結果によれば、
金属間化合物はできるだけ均一に分散されていることが
好ましく、金属間化合物間の最短距離の平均値は100
μm以下、特に50μm以下であることが好ましく、ま
たマトリックスの脆化を回避するためには金属間化合物
間の最短距離の平均値は3μm以上、特に5μm以上で
あることが好ましい。従って本発明の方法の更に他の一
つの詳細な特徴によれば、金属間化合物間の最短距離の
平均値は3〜100μm、特に5〜50μmに設定され
る。
また本願発明者等が行った実験的研究の結果によれば、
金属間化合物はA1と上述の金属元素の何れかとの金属
間化合物であればよいが、特に金属間化合物のビッカー
ス硬さが300以上であることが好ましく、また強化材
の硬さよりも低いことが好ましい。従って本発明の方法
の更に他の一つの詳細な特徴によれば、金属間化合物の
ビッカース硬さは300以上であり、強化材の硬さより
も低い値に設定される。
更に本願発明者等が行った実験的研究の結果によれば、
金属間化合物が粒状である場合にはその最大粒径が50
μm以下、特に30μm以下であることが好ましく、金
属間化合物が針状である場合にはその最大長さ100μ
m以下、特に50μm以下であることが好ましい。
尚、本発明の方法に於ける強化材は従来より複合材料の
製造に使用されている任意の材質の強化材であってよい
が、セラミック製の強化材、炭素短繊維、鉱物短繊維は
一般に金属よりなる強化材に比して強度、硬度、耐摩耗
性向上効果、高温安定性等に優れマトリックスの溶湯と
の反応性が低いので、本発明に於ては強化材としてセラ
ミック短繊維、セラミックウイスカ、炭素短繊維若しく
は鉱物短繊維が使用される。
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を実施例について
詳細に説明する。
実施例1 平均繊維径2mm、繊維長2〜3mmのアルミナ短繊維(9
5%A1、5%SiO、ICI社製「サフィル
RF」と粒径3〜7μmのNi粉末(純度99%)とを
重量比で5.6:8.9の割合にてコロイダルシリカ水
溶液中に混入し、これを十分に攪拌した後吸引成形を行
うことにより、第1図に示されている如き成形体10を
3個形成した。この場合成形体は外径95mm、内径89
mm、高さ20mmの円筒状をなし、アルミナ短繊維及びN
i粉末の体積率はそれぞれ10%、5%であり、これら
は実質的に互いに均一に混合された状態にあった。
次いで各成形体を窒素ガス中にて400℃に予熱した
後、第2図に示されている如く、各成形体10を高圧鋳
造装置12の温度400℃の鋳型14のモールドキャビ
ティ16内に圧入により固定し、それぞれのモールドキ
ャビティ内に750℃、800℃、850℃のアルミニ
ウム合金(JIS規格AC8A、12%Si、1%C
u、1%Mg、1%Ni、残部実質的にA1)の溶湯1
8を注湯し、該溶湯をプランジャ20により1000kg
/cm2の圧力に加圧し、その加圧状態を溶湯が完全に凝
固するまで保持した。
次いでかくして形成された各鋳物を鋳型より取り出し、
それらの鋳物に対し機械加工を施すことにより、第3図
に示されている如く各鋳物より外径93mm、厚さ7mmの
円板状の熱衝撃試験片22(試験片No.1〜3)を2個
ずつ形成した。尚各試験片の径方向の外周面には深さ2
mmの範囲に亙りアルミナ短繊維てに複合強化された複合
材料よりなる部分22aが存在していた。
次いで各組の試験片の一方について複合材料よりなる部
分の組織を調査したところ、元の成形体中に含まれてい
たNi粉末が高圧鋳造時にマトリックスであるアルミニ
ウム合金中のA1と反応して形成された金属間化合物N
iA1がアルミニウム合金中に微細に分散されている
ことが認められ、各試験片の複合材料の部分に生成した
金属間化合物の体積率は約27%であった。これらの金
属間化合物を更に詳細に調査すると、金属間化合物の形
態は高圧鋳造時のアルミニウム合金の溶湯の温度によっ
て異なっていることが認められた。第4図乃至第5図は
それぞれアルミニウム合金の溶湯の温度を750℃、8
00℃、850℃に設定することにより形成された試験
片No.1〜3の複合材料の部分の断面の金属組織を40
0倍にて示す光学顕微鏡写真である。尚これらの図に於
て、白色乃至灰色の島状又は粒状の部分がNi−A1金
属間化合物の部分であり、黒色の棒状又は丸い部分がア
ルミナ短繊維である。
これら第4図乃至第6図の比較より、形成される金属間
化合物の形態はマトリックスの溶湯の温度に依存してお
り、溶湯の温度が高くなる程金属間化合物の形態が粒状
より針状へ変化することが解る。尚金属間化合物の形態
に影響する因子として、上述の溶湯の温度の他に鋳型の
温度や形成体の予熱温度があることが認められている。
次に組織の調査に供されなかった他方の試験片No.1〜
3について各試験片をアセチレンガスバーナにて400
℃まで加熱した後水焼入を行うことにより第7図に示さ
れている如き冷熱サイクルによる熱衝撃試験を500サ
イクルまで行った。その結果を第8図に示す。
第8図より、試験片No.1及び2に於ては亀裂が全く発
生していないのに対し、試験片No.3に於ては冷熱サイ
クルが50サイクルの時点に於て既に亀裂が発生してお
り、冷熱サイクルの増大と共に亀裂の長さが増大してい
くことが解る。
この熱衝撃試験の結果より、複合材料のマトリックス中
に実質的に同量の金属間化合物が分散されている場合で
あっても、金属間化合物の形態により熱衝撃特性が大き
く相違し、金属間化合物が粒状の場合に耐熱衝撃性が高
く、金属間化合物が針状である場合に耐熱衝撃性が低い
ことが解る。また第5図に示された複合材料は粒状の金
属間化合物と針状の金属間化合物とを含んでおり、第5
図に示された金属組織を含む試験片No.2に於ては亀裂
が発生していないことから判断すると、針状の金属間化
合物が存在することが全く許容されないわけではなく、
その比率が所定の値に抑制されればよいことが解る。
実施例2 上述の実施例1の試験結果より、複合材料のマトリック
ス中に存在する針状の金属間化合物の比率が重要である
ことが解ったので、針状の金属間化合物の比率が複合材
料の熱衝撃特性に如何なる影響を及すかを検討する試験
を行った。
先ず実施例1の場合と同一の成形体を形成し、高圧鋳造
時のマトリックスとしてのアルミニウム合金(JIS規
格AC8A)の溶湯の温度を840℃、830℃、82
0℃、810℃に設定した点を除き、上述の実施例1の
場合と同一の要領及び条件にて鋳物を製造し、各鋳物よ
り熱衝撃試験片No.4〜7を形成した。
次いで実施例1に於て形成された試験片No.1〜3及び
この実施例に於て形成された試験片No.4〜7の複合材
料部の表面部の断面をそれぞれ光学顕微鏡にて10視野
観察し、金属間化合物NiA1の長さをLとし幅をD
とするL/D>3である金属間化合物を針状の金属間化
合物として、各視野について金属間化合物の総量に対す
る針状の金属間化合物の面積比を測定した。その結果を
下記の表1に示す。
表1No. 溶湯温度 針状金属間化合物の面積比 3 850℃ 60% 4 840℃ 50% 5 830℃ 40% 6 820℃ 30% 7 810℃ 25% 2 800℃ 20% 1 750℃ 0% この表1より、アルミニウム合金の溶湯の温度が低くな
ればなる程複合材料のマトリックス中に生成する針状の
Ni−A1金属間化合物の比率が減少することが解る。
次いでこの実施例に於て形成された試験片No.4〜7に
ついて実施例1の場合と同一の要領及び条件にて熱衝撃
試験を行った。その結果を第8図に示す。
第8図より、L/D>3である針状の金属間化合物の面
積率が30%を越えると複合材料の熱衝撃特性が悪化
し、従って複合材料の耐熱衝撃性を向上させるためには
針状の金属間化合物の面積比が30%以下であることが
好ましいことが解る。
実施例3 上述の実施例1に於けるNi粉末の代りに平均粒径10
μmのTi粉末、平均粒径3μmのCr粉末、平均粒径
3μmのFe粉末、平均粒径10μmのCu粉末、平均
粒径5μmのTa粉末が使用された点を除き上述の実施
例1の場合と同一の要領及び条件にて成形体を形成し、
各成形体について実施例2の場合と同様の要領にてアル
ミニウム合金の溶湯の温度を種々の値に設定して鋳物を
製造し、各鋳物よりそれぞれ2個ずつ熱衝撃試験片を形
成した。
次いで各組の試験片の一方について実施例1の場合と同
一の要領にて金属間化合物の種類を調査したところ、そ
れぞれマトリックスとしてのアルミニウム合金中にTi
A1、CrA1、FeA1、CuA1、TaA
が微細に分散されていることが認められた。また各
試験片の複合材料部の表面部についてL/D>3である
針状の金属間化合物の面積比を測定し、更に各対の試験
片の他方について実施例1の場合と同一の要領及び条件
にて熱衝撃試験を行った。この試験を結果を第9図に示
す。尚第9図に於て、各元素記号は金属間化合物を形成
するために使用された粉末の元素を示している。
第9図より、複合材料のマトリックス中に生成される金
属間化合物の種類に拘らず、L/D>3である針状の金
属間化合物の面積比が30%以下の場合に複合材料の耐
熱衝撃性を向上させることができることが解る。
実施例4 上述の実施例1の場合と同一の要領の吸引成形法によ
り、外径95mm、内径73mm、高さ20mmの円筒状の成
形体を形成した。尚使用されたアルミナ短繊維及びNi
粉末は実施例1に於て使用された繊維及び粉末と同一で
あり、これらの体積率は実施例1の場合と同一であっ
た。
次いで各成形体を窒素ガス中にて400℃に予熱した
後、各成形体を高圧鋳造装置の鋳型内に配置し、該鋳型
内に温湯850℃のアルミニウム合金(JIS規格AC
8A)の溶湯を注湯し、実施例1の場合と同一の要領及
び条件にて高圧鋳造を行った。この場合鋳型の温度が4
00℃、350℃、300℃、250℃、200℃、1
50℃100℃に設定され、それぞれの条件にて鋳物の
製造が行われた。
次いで上述の如く鋳型の温度を種々の値に設定して形成
された鋳物を鋳型より取り出し、実施例1の場合と同一
寸法及び形状の熱衝撃試験片No.8〜14を機械加工に
より形成した。尚各試験片の径方向外周面より深さ10
mmの範囲の部分はアルミナ短繊維にて複合強化された複
合材料よりなっていた。
次いで各試験片の複合材料の断面を調査したところ、鋳
物を製造する際の鋳型の温度によって複合材料内に生成
するNi−A1金属間化合物の形態が異なっていること
が認められた。かくして形成された各試験片の複合材料
部の表面部マトリックス中に生成されたL/D>3であ
る針状の金属間化合物の面積比が30%である組織(以
下X組織という)の幅と鋳型の温度との関係を下記の表
2に示す。
表2No. 鋳型温度(℃) X組織の幅(mm) 8 400 0 9 350 0.5 10 300 1.5 11 250 1.5 12 200 2 13 150 3 14 100 4 表2より、鋳型の温度が400℃である場合にはX組織
の幅は0であるのに対し、鋳型の温度が350℃以下の
場合には、鋳型の温度が低下するに連れてX組織の幅が
次第に増大していることが解る。
次いで各試験片No.8〜14について実施例1の場合と
同一の要領及び条件にて熱衝撃試験を行った。その結果
を第10図に示す。
第10図より複合材料の部分の熱衝撃特性を向上させる
ためには、複合材料部の表面よりX組織の幅が1mm、特
に1.5mm以上であることが好ましいことが解る。
尚上述の実施例2及び3の結果より針状の金属間化合物
の面積比が小さい値である程複合材料の耐熱衝撃性が向
上することが解っているので、L/D>3である針状の
金属間化合物の面積比が30%未満である組織の複合材
料に於ても、その組織の幅が上述の範囲にあれば、良好
な耐熱衝撃性を確保し得ることは明らかである。
実施例5 実施例4の成形体中の繊維及び粉末の種類及び重量比が
それぞれ下記の表3に示されている如く変更された点を
除き、実施例4の場合と同一の要領及び条件にて鋳物を
製造し、各鋳物について実施例4の場合と同一の要領及
び条件にて熱衝撃試験を行った。尚表3に示された何れ
の場合に於ても成形体中の繊維及び粉末の体積率はそれ
ぞれ10%、5%であり、各粉末の粒径は10μm以上
であり、純度は99%以上であった。
何れの試験片の場合にも、X組織の幅が1mm以上、特に
1.5mm以上の場合に鋳物の複合材料の部分に良好な耐
熱衝撃性を確保することができることが認められた。
尚この実施例には示されていないが、成形体中に含まれ
る粉末がTi粉末、Zr粉末、Nb粉末、Ta粉末、C
u粉末、W粉末である場合にもX組織の幅が1mm以上、
特に1.5mm以上であることが好ましいことが認められ
た。
以上に於ては本発明を本願発明者等が行った実験的研究
との関連に於て幾つかの特定の実施例について詳細に説
明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施例が可能で
あることは当業者にとって明らかであろう。例えば上述
の各実施例に於ける鋳物の形状は円板状であるが、本発
明による鋳物の形状は任意の形状であってもよく、また
L/D>3である金属間化合物の面積比が30%以下で
ある表面層は鋳物の任意の特定の部分又は鋳物の外周部
全体の何れであってもよい。
【図面の簡単な説明】
第1図はアルミナ短繊維とNi粉末とよりなる円筒状の
成形体を示す斜視図、第2図は第1図に示された成形体
を用いて行われる高圧鋳造を示す解図、第3図は第2図
に示された高圧鋳造により得られた鋳物より形成された
熱衝撃試験片の一部を破断して示す斜視図、第4図乃至
第6図はそれぞれ第2図に示された高圧鋳造に於てアル
ミニウム合金の溶湯の温度を750℃、800℃、85
0℃に設定することにより形成された鋳物の複合材料の
断面の金属組織400倍にて示す光学顕微鏡写真、第7
図は熱衝撃試験に於ける冷熱サイクルを示すグラフ、第
8図は熱衝撃試験の結果を冷熱サイクル数を横軸にとっ
て示すグラフ、第9図は熱衝撃試験の結果をL/D>3
である針状の金属間化合物の面積比を横軸にとって示す
グラフ、第10図は熱衝撃試験の結果をL/D>3であ
る針状の金属間化合物の面積比が30%である組織の幅
を横軸にとって示すグラフである。 10…成形体,12…高圧鋳造装置,14…鋳型,16
…モールドキャビティ,18…アルミニウム合金の溶
湯,20…プランジャ、22…熱衝撃試験片,22a…
複合材料よりなる部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−163249(JP,A) 特開 昭61−104037(JP,A) 特開 昭61−163250(JP,A) 特開 平1−205041(JP,A) 特開 平1−152229(JP,A) 特開 昭63−312901(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニウム合金をマトリックスとしセラ
    ミック短繊維、セラミックウイスカ、炭素短繊維若しく
    は鉱物短繊維を強化材とする複合材料部を有し該複合材
    料部により少なくとも表面の一部が郭定されたアルミニ
    ウム合金鋳物の製造方法にして、前記強化材とFe、N
    i、Co、Cr、Cu、Mn、Mo、V、W、Ta、N
    b、Ti、Zrよりなる群より選択された少なくとも一
    種の金属元素の微細片との実質的に均一な混合物よりな
    る多孔質の成形体を形成し、前記成形体中にアルミニウ
    ム合金の溶湯を浸透させ、しかる後前記溶湯を凝固させ
    て前記複合材料部を形成し、これにより前記強化材の間
    の前記マトリックス中にA1と少くとも一種の前記金属
    元素との金属間化合物を実質的に均一に且微細に分散さ
    せ、前記複合材料部の表面部の任意の断面でみて前記金
    属間化合物の長さ及び幅をそれぞれL及びDとするとL
    /D>3である金属間化合物の面積比を金属間化合物の
    総量に対し30%以下にすることを特徴とするアルミニ
    ウム合金鋳物の製造方法。
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