JPH0645568B2 - 生理活性物質p−23924、その製造法および製剤 - Google Patents

生理活性物質p−23924、その製造法および製剤

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JPH0645568B2
JPH0645568B2 JP59035074A JP3507484A JPH0645568B2 JP H0645568 B2 JPH0645568 B2 JP H0645568B2 JP 59035074 A JP59035074 A JP 59035074A JP 3507484 A JP3507484 A JP 3507484A JP H0645568 B2 JPH0645568 B2 JP H0645568B2
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ethyl acetate
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尚良 岡崎
和彦 太田
武範 石丸
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
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【発明の詳細な説明】 本発明は、プロトコラーゲン・プロリン水酸化酸素阻害
作用、コラーゲン生合成抑制作用などを有する新規な生
理活性物質P−23924誘導体,その製造法および製
剤に関する。
プロトコラーゲン・プロリン水酸化酵素は、動物細胞内
のリボゾームで合成されたプロトコラーゲン中のプロリ
ンを特異的に水酸化する酵素であり、コラーゲン生合成
を律速する重要な因子の一つである。従来、本酵素活性
を阻害するものとしては、鉄キレーター(例えばa,
a′−ジピリジルなど)、SH酵素阻害剤(例えばp−
クロロマ−キューリ−ベンゾエートなど)、ある種の重
金属(例えばCu ,Zu など)などが知られているが、
これらの物質はいずれもコラーゲンおよび非コラーゲン
性蛋白質の生合成を非特異的に阻害するために副作用が
大きく、医薬とはなり得なかった。非コラーゲン性蛋白
質の生合成を阻害せず、コラーゲンの生合成のみを特異
的に阻害する物質が見いだされれば、その物質は動脈硬
化症、肝硬変症、強皮症、ケロイド、リューマチ性関節
炎、肺線維症などのコラーゲンの過剰蓄積を伴う臓器線
維症を含めた疾病の予防治療に使用することができる。
本発明者らはプロトコラーゲン・プロリン水酸化酵素活
性を阻害する物質を微生物代謝生産物中に求め、鋭意検
索を行なった結果、コラーゲンの生合成を特異的に抑制
する生理活性物質P−23924A,BおよびCを見い
だし、またこれら化合物は、それらの還元体へ変換でき
ることを見いだした。
本発明者らは、これらの知見に基づいてさらに研究した
結果、本発明を完成した。
本発明は、(1)一般式 〔式中、Rは水素,またはメチルを、Rは水素また
はメトキシCOOHをそれぞれ示す。〕で表わされる化合
物, (2)一般式 〔式中、Rは水素,またはメチルを、Rは水素また
はメトキシをそれぞれ示す。〕で表わされる化合物を還
元反応に付すことを特徴とする一般式(I)で表わされ
る化合物の製造法,および一般式(I)で表される化合
物を含有する線維化抑制剤である。
本明細書においては、一般式 で表わされる化合物を、下表のとおり称することもあ
る。
また、本明細書においては、一般式(I)または(II)
で表わされる化合物を総称して、あるいは単一化合物を
指称して、生理活性物質P−23924あるいは単にP
−23924と称することもある。
本発明方法に使用される微生物は、ストレプトミセス属
に属し、生理活性物質P−23924Bおよび/または
Cを生産する能力を有する微生物(以下、「P−239
24生産菌」と略称することもある。)であればいずれ
でもよい。
その具体例としては、たとえば沖縄県石垣島の土壌から
分離されたストレプトミセス・エスピ−No.23924
株(以下、「No.23924株」と略称することもあ
る。)が挙げられる。
No.23924株について、インターナショナル・ジャ
ーナル・オブ・システマティック・バクテリオロジー
(International Journal of Systematic Bacteriolog
y),16巻,3号,313〜340頁(1966年)
記載の方法に準じて検討した性状は下記のとおりであ
る。なお、培地上の所見は、特に記載しないかぎり、2
8℃において14日間培養し、観察したものである。
(I)形態的特徴 基生菌糸より、らせん状、時により不完全ならせん状、
開放型らせん状、あるいは鈎状に短かい胞子鎖形成菌糸
を単純分枝状に伸長し、輪生枝は認められない。成熟し
た胞子鎖は一般に5〜10個の胞子の連鎖を認める。胞
子は円筒形ないし楕円形で大きさは0.4〜0.7×
0.7〜1.2μ、その表面は平滑である。
(II)各種培地上での成育状態 各種培地における生育の程度(G)、気菌糸(AM)の
生育および色調、可溶性色素(SP)の有無および色調
などについて以下に列記する。なお、色の記載について
()で示す標準色調記号はコンティナー・コーポレーショ
ン・オブ・アメリカ(Container Corporation of Ameri
ca)のザ・カラー・ハーモニー・マニュアル(The Calo
r Harmony Manual)第4版、1958年によった。
(ア)シュークロース・硝酸塩寒天培地 (G):貧弱 (AM):貧弱,淡灰褐色(3ge) (SP):なし (イ)グルコース・アスパラギン寒天培地 (G):貧弱 (AM):なし (SP):なし (ウ)グリセリン・アスパラギン寒天培地 (G):なし (エ)スターチ・無機塩寒天培地 (G):豊富 (AM):豊富、粉状、灰色(3ih) (SP):黄褐色(4gc) (オ)チロシン寒天培地 (G):貧弱 (AM):貧弱,灰色(3ba) (SP):淡黄赤色(4ea) (カ)栄養寒天培地 (G):中程度 (AM):なし (SP):なし (キ)イースト・麦芽寒天培地 (G):中程度 (AM):貧弱,灰色(3fe) (SP):淡黄褐色(4ne) (ク)オートミール寒天培地 (G):中程度 (AM):貧弱,淡灰褐色(3ge) (SP):なし (III)生理的性質 (ア)生育温度範囲:15〜35℃ (イ)ゼラチンの液化(グルコース・ペプトン・ゼラチン
培地、24℃、3週間):陽性(弱) (ウ)殿粉の加水分解:陽性 (エ)脱脂乳の凝固・ペプトン化:共に陰性 (オ)硝酸塩の還元性:陰性 (カ)メラニン様色素の生成: チロシン寒天培地:凝陽性 ペプトン・イースト鉄寒天培地:陰性 (IV)炭素源の同化性(プリードハム・ゴットリーブ寒
天培地) L−アラビノース ± イノシトール − D−キシロース L−ラムノース− D−グルコース ラフイノース − D−フラクトース ± D−マンニット− シュークロース ± 対照 − (注)::豊富な生育、±:僅かに生育、 −:生育せず 上記形態的特徴からみて、本菌株がストレプトミセス
(Streptomyces)属に属することは明らかである。
上記No.23924株は、昭和57年9月20日に財団
法人発酵研究所(IFO)に受託番号IFO14205
として寄託されている。また本微生物は昭和57年10
月1日に通商産業省工業技術院微生物工業技術研究所
(FRI)に受託番号FERM P−6739として寄
託され、該寄託はブダペスト条約に基づく寄託に切換え
られて受託番号FERM BP−338として同研究所
(FRI)に保管されている。
一般に、ストレプトミセス属菌はその性状が変化しやす
く、たとえばX線照射,紫外線照射,放射線照射,人工
変異剤を用いる人工変異手段などで容易に変異し得る。
このような変異株であっても、P−23924A,Bお
よび/またはC生産能を有するものはすべて本発明の方
法に使用し得る。
P−23924生産菌の培養にあたっては、培地は液状
でも固状でもよいが通常は液体培地による振蘯培養また
は通気攪拌培養が便利である。培地は放線菌の生育に適
し、P−23924A,Bおよび/またはCを生産させ
得るものであればどのようなものでもよい。すなわち、
炭素源として例えばグルコース,ラクトース,グリセリ
ン,澱粉,シュークロース,デキストリン,糖蜜,有機
酸類(例、酢酸、酒石酸など)など、窒素源としては例
えばペプトン,カザミノ酸(デイフコ社製),N−Zア
ミンA(シエフイ−ルド社製)などの蛋白加水分解物、
酵母エキス,麦芽エキス,大豆粕,コーン・スティープ
リカー,アミノ酸類(例、アスパラギン酸,グルタミン
酸など),各種アンモニウム塩(例、硫酸アンモニウ
ム,塩化アンモニウムなど)などが用いられる。無機塩
として各種リン酸塩(例、第一リン酸ナトリウム,第二
リン酸カリウムなど),硫酸マグネシウム,塩化ナトリ
ウム,硫酸第一鉄などの金属塩,重金属塩(例、硫酸マ
ンガン,硫酸亜鉛など)などを添加してもよく、また菌
の生育を促進する目的でビタミン類(例、ビタミン
,パントテン酸カルシウムなど),該酸関連化合物
(例、アデニン,ウラシルなど)などを添加してもよ
い。また培養方法および培養条件によっては、シリコー
ン,ポリプロピレン・グリコール誘導体(例、アクトコ
ール(武田薬品工業株式会社製)など〕,大豆油などの
消泡剤を培地に加えることにより、P−23924A,
Bおよび/またはCの生産量を増大させるのに効果的な
場合もある。
培養温度,培養時間,培地の液性などの培養条件は使用
する微生物の種類、培地組成などによって変動するが、
最終的にはP−23924A,Bおよび/またはCの生
産量が最大となるよう適当に選択、調節されればよく、
多くの場合好気的条件下に約20〜40℃でおよそ24
時間〜240時間培養し、この間培地の液性をpH約4〜
9付近に保つのがよい。
このようにして得られた培養液から生理活性物質P−2
3924A,Bおよび/またはC採取するにあたっては
本物質の性状に基づいて、種々の方法を適当に組み合わ
せることによって容易に行ないうる。すなわち、例え
ば、中性ないし微酸性で、水と混和しない有機溶媒、例
えば酢酸エチル,酢酸ブチル,クロロホルム,ブタノー
ル,ベンゼン,トルエン,ジエチルエーテル,メチレン
クロライド,メチルイソブチルケトンなどによる抽出、
活性炭,シリカゲル,アルミナなどを用いる吸着クロマ
トグラフィー、セファデックスカラムによるゲル過、
イオン交換樹脂によるイオン交換クロマトグラフィーな
どである。
これらの手段を適当に組み合わせて使用することによ
り、生理活性物質P−23924A,Bおよび/または
Cは培養物から結晶あるいは結晶性粉末として単離され
る。
後述の参考例2で得られた生理活性物質P−23924
A,BおよびCの理化学的性質を以下に示す。
(a)融点:A 186〜188℃;B 200〜202
℃;C 187〜190℃ (b)元素分析値(実測値): (c)分子量(マス・スペクトルによる)および分子式: (e)溶解性:P−23924AおよびBはいずれもジメ
チルスルホキシド,ジメチルホルミアミド,ピリジン,
5%炭酸水素ナトリウム水に易容。メタノール,ジオキ
サン,酢酸に可溶。水,アセトン,クロロホルム,n−
ヘキサン,石油エーテルに難溶ないし不溶。P−239
24Cはジメチルスルホキシド,ジメチルホルムアミ
ド,ピリジン,5%炭酸水素ナトリウム水に易溶。メタ
ノール,ジオキサン,アセトン,酢酸に可溶。水,クロ
ロホルム,n−ヘキサン,石油エーテルに (f)紫外部および可視部吸収スペクトル:第1〜第3図
に示す。各溶剤に溶解した直後の極大吸収を示す波長
(nm)および 値は下記の第1表の通りである。なお、第1〜第3図に
おいて はメタノール中での測定結果を、 は0.1N HC1−90%メタノール水中での測定結果
を、 は0.1N NaOH−90%メタノール水中での測定結果
をそれぞれ示す。
(g)赤外線吸収スペクトル:臭化カリウム錠により測定
した赤外線吸収スペクトルを第4〜6図に示す。極大吸
収を示す主要な波数は次のとおりである。
()P−23924A 3300,2930,1710,1665,1640, 1620,1570,1540,1500,1460, 1420,1380,1335,1280,1240, 1200,1180,1110,1040,1000, 970, 900, 860, 800 第4図参照 ()P−23924B 3300,2950,1725,1705,1660, 1630,1590,1540,1460,1420, 1370,1330,1300,1270,1210, 1190,1170,1130,1100,1060, 1020, 980, 950, 890, 860, 790, 760, 700 第5図参照 ()P−23924C 3400,3070,2940,1720,1680, 1635,1600,1540,1490,1460, 1420,1380,1350,1310,1250, 1220,1180,1120,1100,1040, 990, 930, 880, 820, 800, 705 第6図参照 (h)呈色反応:P−23924A,BおよびC,はいず
れも塩化第二鉄反応、アルコール性酢酸マグネシウム反
応、リドン−スミス反応陽性。
ニンヒドリン反応、エールリッヒ反応陰性。
(f)性状:P−23924A,BおよびCはいずれも酸
性脂溶性であり、黄色ないし黄橙色又は橙黄色の結晶、
結晶性粉末あるいは粉末を示す。
(j)該磁気共鳴スペクトル:400メガヘルツ、ジメチ
ル−dスルホキシド中で測定したスペクトルを第7〜
9図に示す。特徴的ピークを以下に示す。
()P−23924A δ DMSO−d6ppm:1.86(3H,s),2.09 (3H,d,J=1.6Hz),2.71(1H,d
d,J=8.8,13,6Hz),2.91(1H,d
d,J=5.0,13.6Hz),3.66(1H,
d,J=12.9Hz),3.78(1H,d,J=1
2.9Hz),3.96(3H,s),4.47(1
H,dtlike,J=5.0,8.3,8.8Hz)6.8
9(1H,q,J=1.6Hz)7.09(1H,
s),8.18(1H,d,J=8.3Hz),12.
40(1H,s) 第7図参照 ()P−23924B δ DMSO−d6ppm:1.86(3H,s),1.95 (3H,s),2.70(1H,dd,J=8.8,1
3,7Hz),2.89(1H,dd,J=4.9,1
3.7Hz),3.65(1H,d,J=13.1H
z),3.77(1H,d,J=13.1Hz),3.
95(3H,s),4.03(3H,s),4.47
(1H,dtlike,J=4.9,8.1,8.8Hz),
7.11(1H,s),8.18(1H,d,J=8.
1Hz),12.59(1H,s) 第8図参照 ()P−23924C δ DMSO−d6ppm:1.85(3H,s),2.71(1
H,dd,J=8.8,13.7Hz),2.91(1
H,dd,J=4.9,13.7Hz),3.66(1
H,d,J=12,9Hz),3.77(1H,d,J
=12.9Hz),3.88(3H,s),3.95
(3H,s),4.47(1H,dtlike,J=4.9,
8.1,8.8Hz),6.26(1H,s),7.1
5(1H,s),8.18(1H,d,J=8.1H
z),12.73(1H,s) 第9図参照 (k)薄層クロマトグラフィーのRf値:シリカゲル・プレ
ート(メルク社製、商品番号5729)および逆相系HPTLC
プレート、RP−8(メルク社製、商品番号1372
5)上でのRf値は下記の通りである。
上記の理化学的諸性質から、P−23924A,Bおよ
びCの推定構造式は以下に示される。
化合物(II)は遊離のカルボキシ基を有するので、塩を
形成することができる。該塩を形成するには、自体公知
の方法が用いられる。該塩としてはたとえばカルシウム
塩,マグネシウム塩,バリウム塩,ナトリウム塩,カリ
ウム塩,マンガン塩,鉄塩,銅塩,亜鉛塩などが挙げら
れる。
化合物Iは、化合物(II)を還元反応に付すことにより
製造される。
本発明の還元反応は、自体公知の方法を採用すればよ
い。たとえば、接触還元,電解還元,還元剤を用いる還
元などが挙げられる。
接触還元を行なうには、化合物(II)を触媒の存在下に
還元を行なう。化合物(II)をまず溶媒(例、アルコー
ル(例、メタノール,エタノール,イソプロパノー
ル),ジオキサン,テトラハイドロフラン,ジメチルホ
ルムアミドあるいはそれらの混合物など〕に溶かし、触
媒〔例、ラネーニッケル,パラジウム−炭素,パラジウ
ム−炭酸バリウム,酸化白金,ロジウムコンプレック
ス,コバルトのラネー型触媒,鉄のラネー型触媒,銅の
ラネー型触媒など〕の存在下に上記溶液中に水素ガスを
導入する。
本反応は、約20℃ないし100℃、さらに好ましくは
約60℃ないし80℃の温度で、約10分ないし10時
間反応させることにより行なわれる。常圧でも反応は進
行するが、約5ないし200kg/cm2の加圧下に行なう
と好都合である。
還元剤を用いる還元を行なうには、化合物(II)を、還
元剤〔例、金属水素化合物(例、水素化アルミニウムリ
チウム,水素化ホウ酸ナトリウム,トリブチル錫ハイド
ライドなど),アルカリ金属(例、リチウム,ナトリウ
ムなど),金属塩(例、塩化クロム,酢酸クロムなどの
二価のクロム塩類など),亜鉛,亜鉛アマルガムなど〕
と、溶媒〔例、メタノール,エタノール,t−ブタノー
ル,アミルアルコール,ジメチルホルムアミド,ジオキ
サン,テトラヒドロフラン,ジメチルスルホキシド,エ
チレングリコール,エチレンジアミン,ジエチレントリ
アミンなど〕中で処理することにより行なわれる。本反
応は、約−50℃ないし150℃、さらに好ましくは室
温ないし約80℃で、約0.5ないし10時間反応させ
る。
電解還元を行なうには、化合物(II)を適当な溶媒に溶
かし、通常用いられる方法で行なわれる。たとえば、化
合物(II)を溶媒〔例、アルコール(例、メタノール,
エタノール),アンモニア,ジメチルホルムアミドな
ど〕に溶解し、低過電圧電極(例、白金,タングステン
など)または高過電圧電極(例、鉛,亜鉛,水銀など)
を用いて行なわれる。この場合、溶液のpHを酸性側に、
たとえばpH3ないし5に調整すると好都合である。本反
応は、約20℃ないし100℃で、さらに好ましくは約
60ないし80℃で、約1ないし5時間反応させる。
このようにして得られた化合物(I)を採取,精製する
にあたっては、本物質の性状に基づいて、種々の方法を
適当に組み合せることによって容易に行ないうる。すな
わち、例えば、中性ないし微酸性で、水と混和しない有
機溶媒、例えば酢酸エチル,酢酸ブチル,クロロホル
ム,ブタノール,ベンゼン,トルエン,ジエチルエーテ
ル,メチレンクロライド,メチルイソブチルケトンなど
による抽出、活性炭,シリカゲル,アルミナなどを用い
る吸着クロマトグラフィー、セファデックスカラムによ
るゲル過、イオン交換樹脂によるイオン交換クロマト
グラフィーなどである。これらの手段を適当に組み合わ
せて使用することにより、化合物Iを結晶あるいは結晶
性粉末として精製,単離される。
後述の状態1〜3で得られたP−23924AR,BR
およびCRの物理化学的性質を以下に記載する。
(a)融点: P−23924AR145〜149℃;BR156〜159
℃;CR210〜212℃ (b)元素分析値(実測値): (c)分子量(マススペクトルによる)および分子式 (d)比旋光度▲〔a〕23 D▼(ジメチルスルホキシド中,
c=0.20%) AR 0° BR 0° CR 0° (e)溶解性: P−23924AR,BR,CRはいずれもジメチルス
ルホキシド,ピリジン,酢酸エチル,クロロホルム,ジ
オキサンに易溶又は可溶。水,n−ヘキサン,石油エー
テルに難溶又は不溶。
(f)紫外部および可視部吸収スペクトル: 第10〜12図に示す。
各溶剤に溶解した直後の極大吸収を示す波数(nm)お
よび 値は下記の第2表の通りである。なお、第10〜12図
において はメタノール中での測定結果を、 は0.1NHCl−90%メタノール水中での測定結果を、 は0.1N NaOH−90%メタノール水中での測定結果を
それぞれ示す。
(e)赤外線吸収スペクトル:臭化カリウム錠により測定
した赤外線吸収スペクトルを第13〜15図に示す。極
大吸収を示す主要な波数は次のとおりである。
(1)AR 3400−3450,2900−3000,1660, 1630,1605,1570,1490,1420, 1370,1330,1310,1275,1240, 1200,1165,1140,1060,1000, 910, 870, 810, 800, 700, 620 第3図参照 (2)BR 3400−3500,2960 1670,1630, 1600,1490,1455,1420,1380, 1330,1290,1230,1220,1150, 1110,1080,1020, 980, 920, 870, 820, 790, 705, 第14図参照 (3)CR 3400−3450,2930 1680,1640, 1600,1485,1420,1380,1350, 1310,1260,1250,1220,1210, 1140,1120,1015, 980, 960, 920, 870, 850, 790, 710 第15図参照 (h)呈色反応:P−23924AR,BR,CRはいず
れも塩化第二鉄反応、ハイドロサルファイトによる還元
反応陽性。
ニンヒドリン反応、p−アニスアルデヒド−硫酸反応陰
性。
()性状:P−23924AR,BR,CRはいずれも
弱酸性脂溶性であり、橙色ないし橙赤色ないし赤橙色の
結晶又は結晶性粉末を示す。
(j)該磁気共鳴スペクトル:400メガヘルツ・ジメチ
ル−d・スルホキシド中で測定したスペクトルを第1
6〜18図に示す。特徴的ピークとその帰属を以下に示
す。
(1)AR δDMSO-d6ppm:2.085(3H,d,J=1.6H
z,2−CH3),6.867(1H,q,J=1.6H
z,3−H),7.057(1H,s,5−H),3.
952(3H,s,6−OCH3),2.049(3H,
s,7−CH3),12.314(1H,s,重水置換に
より消失,8−OH) 第16図参照 (2)BR δDMSO-d6ppm:1.949(3H,s,2−CH3),
4.026(3H,s,3−OCH3),7.100(1
H,s,5−H),3.949(3H,s,6−OC
H3),2.053(3H,s,7−CH3),12.51
0(1H,s,重水置換により消失,8−OH) 第17図参照 (3)CR δDMSO-d6ppm:6.242(1H,s,2−H),3.
870(3H,s,3−OCH3),7.127 (1H,s,5−H),3.949(3H,s,6−OC
H3),2.063(3H,s,7−CH3),12.63
1(1H,s,重水置換により消失,8−OH) 第18図参照 (k)薄層クロマトグラフィーのRf値;シリカゲル・プレ
ート(メルク社製,商品番号5729)および逆相系HP
TLCプレート,RP−18(メルク社製,商品番号13
724)上でのRf値は下記の通りである。
P−23924の生物学的性質を以下に示す。
(a)プロトコラーゲン・プロリン水酸化酵素阻害作用:
阻害活性の測定はK.I.KivirrikoらおよびJ.Halmeらの方
法〔Journal of Biological Chemistry242,4007(196
7)およびBiochimica et Biophysica Acta 198,460(1
967)〕に準じて、鶏胚より調製した部分精製酵素標品
を使用し、(Pro-Pro-Gly)・4H2O(蛋白質研究奨励
会製,大阪)を基質として、R.E.Rhoadsらの方法〔Meth
ods in Enzymology XVII B,306(1971)〕に準じて行
なった。本法により部分精製酵母100μg(蛋白質と
して)の活性を50%阻害するのに必要なP−2392
4の濃度は下記の通りであった。
P−23924A:6.7×10−5M P−23924B:9.5×10−5M P−23924C:5.7×10−5M 上記と同様の方法で、P−23924AR,BRまたは
CRのプロトコラーゲン・プロリン水酸化酵素阻害作用
を測定した。結果を下表に示す。
上記の結果から明らかなように、P-23924は、プロトコ
ラーゲン・プロリン・水酸化酵素活性を強く阻害する作
用を有する。
(b)コラーゲン生合成抑制作用:T.Ishimaruらの方法〔B
iochemical Pharmacology 31,915(1982)〕に
準じて、P−23924を1日1回、6日間、SD−系
ラット(雌,3週令)の腹腔内に投与し、子宮のコラー
ゲン量および非コラーゲン蛋白質量を対照群と比較し
た。以下の第3表に示したようにP−23924はそれ
ぞれコラーゲンの生合成を選択的にかつ有意に抑制し
た。
尚、実験は1群10匹のラットを使用した。
P−23924の急性毒性(LD50値(ラット、腹腔
内投与)〕を以下に示す。
P−23924A:100〜200mg/kg,P−239
24B:50〜100mg/kg,P−23924C:10
0〜200mg/kg 上記したように、P−23924は、プロコトラーゲン
・プロリン水酸化酵素阻害作用および選択的なコラーゲ
ン生合成抑制作用を有するので、例えば生化学的試薬あ
るいは動物組織の線維化抑制剤などとして有用である。
すなわち、P−23924は、哺乳動物(ウサギ,ラッ
ト,マウス,イヌ,ネコ,人など)の臓器線維症の予防
・治療剤としてたとえば肺線維症,肝硬変症,腎硬化
症,動脈硬化症,強皮症,骨髄線維症,慢性関節炎など
の予防・治療のために用いられる。
P−23924の投与量は対象疾患,症状,投与対象,
投与方法によって異なるが、臓器線維症の予防・治療剤
として投与する場合は哺乳動物1日あたり0.2ないし
20mg/kgとなる量を1ないし3回に分けて投与され
る。
P−23924を投与するにあたっては、それ自体ある
いは適宜の薬理的に許容される担体,賦形剤,希釈剤と
混合し、粉剤,顆粒剤,錠剤,カプセル剤,注射剤など
の剤型で経口的または非経口的に投与することができ
る。
上記経口製剤、例えば錠剤を製造する際には、結合剤
(例、ヒドロキシプロピルセルロース,ヒドロキシプロ
ピルメチルセルロース,マクロゴールなど),崩壊剤
(例、デンプン,カルボキシメチルセルロースカルシウ
ムなど),賦形剤(例、乳糖,デンプンなど),滑沢剤
(例、ステアリン酸マグネシウム,タルクなど)などを
適宜配合することができる。
また、非経口製剤、たとえば注射剤を製造する際には、
等張化剤(例、ブドウ糖,D−ソルビトール,D−マン
ニトール,塩化ナトリウムなど),防腐剤(例、ベンジ
ルアルコール,クロロブタノール,パラオキシ安息香酸
メチル,パラオキシ安息香酸プロピルなど),緩衝剤
(例、リン酸塩緩衝液,酢酸ナトリウム緩衝液など)な
どを適宜配合することができる。
P−23924は、生化学的試薬として、たとえば動物
の培養細胞におけるコラーゲン生合成の阻害剤として、
あるいはプロトコラーゲン・プロリン水酸化酵素活性に
対する特異的阻害剤として有効に利用できる。
以下に本発明を参考例および実施例によりさらに具体的
に説明する。培地のパーセントは、重量/容量パーセン
トを示す。
参考例1 ストレプトミセス・エスピーNo.23924(IFO 14
205,FERM BP−338)をグルコース2.0%、グ
リセリン1.0%、生大豆粉0.5%、コーン・スティ
ープ・リカー0.5%、ポリペプトン(大五栄養化学株
式会社製)0.3%、塩化ナトリウム0.3%、炭酸カ
ルシウム0.5%、pH7.0からなる液体培地400ml
を含む2容坂口フラスコ5本に接種し、28℃で2日
間往復振盪培養して培養液約2を得た。この培養液を
上記と同一の培地100を含む200容タンクに移
し、28℃で2日間、通気攪拌培養した。得られた培養
液60を可溶性澱粉4%、脱脂大豆粉2%、チオ硫酸
ナトリウム0.1%、硫酸マグネシウム0.05%、リ
ン酸二カリウム0.05%、塩化カリウム0.03%
(pH6.0)からなる液体培地1200を含む200
0タンクに移殖し、24℃で5日間通気攪拌培養を行
なった。得られた培養液約1150に、トプコパーラ
イト34(東興パーライト工業株式会社製)15kgを
加え、ハイフロスーパーセル(ジョンズ・マンビル社
製,米国)34kgをプレコートしたフイルタープレスを
用いて菌体および固形物を過し、液約1000を
得た。菌体および固形物は水150で洗浄後再過し
て洗液150を得た。この液と洗液を合わせ、硫酸
でpH3.0に調整し、1/2容の酢酸エチルを用いて61
50型ポドビルニアック抽出装置(ポドビルニアック社
製,米国)により向流抽出した。得られた抽出液約43
0は1%炭酸水素ナトリウム水1/2容で同じ装置を用
いて転溶し、転溶液215を得た。転溶液を硫酸でpH
3.0に調整したのち、再び1/2容の酢酸エチルで抽出
し、1/2容の水で2回繰返し洗浄後、減圧濃縮した。濃
縮液(400ml)をシリカゲル(メルク社製,西ドイ
ツ)カラム(4.6×65cm)に流し、酢酸エチル50
0ml、つづいて1%蓚酸含有酢酸エチル3で溶出し
た。活性区分(約3)を集め、500mlの水で2回洗
浄したのち減圧下濃縮乾固し、得られた固形物をジメチ
ルスルホキサイド約300mlに溶解した。この溶液に水
30mlを加えたのち、Prep PAK−500/C18 カラ
ムを装着したPrep LC/System500A型分取用液体ク
ロマトグラフ装置(ウオーターズ社製、米国)に導入
し、メタノール−水(1:1)に混液3、つづいてメ
タノール−水(3:2)混液5、最後にメタノール2
を用いて溶出し、溶出液を500mlづつ分取した。主
としてP−23924A,C,DおよびEを含有する画
分(フラクション2〜8)3.5と、主としてP−2
3924Bを含有する画分(フラクション9〜13)
2.5に分けた。P−23924B含有画分は室温で
放置すると約2.3gの黄橙色のP−23924B結晶
が析出したのでこれを別したのち、母液を減圧濃縮し
て約1とし、1/3溶の酢酸エチルで3回抽出し、抽出
液に無水硫酸ナトリウム50g添加して脱水後、約30
mlまで濃縮し、n−ヘキサン200mlを加えると黄橙色
結晶性のP−23924B粗粉末約7.1gがえられ
た。この粗粉末をメタノール溶液から再結晶し、P−2
3924Bの結晶約3gを得た。P−23924A,
C,DおよびE含有画分を約100mlまで濃縮し、シリ
カゲル・カラム(4.0×42cm)に流し、1%蓚酸含
有酢酸エチル2で溶出した。溶出液は100mlづつ分
散し、主としてP−23924AおよびDを含有する画
分(フラクション2〜7)600mlと、主としてP−2
3924CおよびEを含有する画分(フラクション8〜
14)700mlとに分けた。主としてP−23924A
およびDを含有する画分(600ml)を水洗後、濃縮乾
固し、メタノール50mlに溶解し、水50mlを加えて希
釈したのち、上記と同一の分取用液体クロマトグラフ装
置にかけ、メタノールー水(1:1)混液5.5で溶
出した。溶出液は500mlづつ分取し、フラクション1
3〜15までの区分1.5を集め、約700mlまで減
圧濃縮したのち、200mlの酢酸エチルを添加して3回
反復抽出した。抽出液を合わせて無水硫酸ナトリウム3
0gを添加して脱水後、減圧濃縮し、濃縮液約30mlに
n−ヘキサン200mlを加えると、P−23924Aお
よびDを含有する黄橙色粗粉末1.7gがえられた。こ
の粗粉末をクロロホルム−酢酸(4:1)混液100ml
に溶解し、シリカゲル・カラム(3.5×52cm)に流
し、クロロホルム−酢酸(4:1)混液400ml、クロ
ロホルム−酢酸(7:3)混液1を用いて溶出した。
溶出液は10mlづつ分取し、主としてP−23924A
を含有する区分(フラクション25〜29)主としてP
−23924Dを含有する区分(フラクション36〜1
36)に分けた。P−23924A含有画分(50ml)
を減圧下に濃縮乾固し、メタノール200mlに溶解した
のち、水200mlを添加し、上記分取用液体クロマトグ
ラフ装置を用いて再クロマトグラフィーを行ないP−2
3924A区分を集めた。この区分を減圧濃縮後、酢酸
エチルを加えて抽出、脱水したのち濃縮するとP−23
924Aの粗粉末約250mgがえられた。この粗粉末を
メタノール溶液から再結晶すると黄橙色のP−2392
4A結晶約100mgがえられた。次いでP−23924
Dを含有する区分1を減圧下に濃縮乾固し、乾固物を
酢酸エチル約500mlに溶解し、200mlの水で3回繰
返し洗浄した。洗浄酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウム
50gで脱水後、酢酸エチルを減圧下に留去し、濃縮液
約30mlにn−ヘキサン200mlを加えると黄橙色のP
−23924D粗粉末約0.7gがえられた。この粗粉
末をクロロホルム−酢酸(4:1)混液25mlに溶解
し、シリカゲル・カラム(3×45cm)に流し、クロロ
ホルム−酢酸(4:1)混液で溶出し、P−23924
D区分を集めた。この区分400mlを減圧濃縮し、濃縮
液80mlに水100mlを加えたのち、1/3溶の酢酸エチ
ルで3回反復抽出した。抽出液を合わせ、水洗、脱水し
たのち、酢酸エチルを留去してえられた粗粉末約500
mgをメタノール−酢酸エチル(1:5)混液から再結晶
すると黄橙色のP−23924Dの結晶性粉末約330
mgがえられた。次に、シリカゲル・クロマトグラフィー
によってえられた主としてP−23924C,Eを含有
する区分(フラクション8〜14)700mlを水洗、脱
水後、酢酸エチルを留去し、残渣をメタノール50mlに
溶解した。この溶液を水で2倍に希釈したのち、分取用
液体クロマトグラフ装置(上記と同一カラム)にかけ、
メタノール−水(1:1)混液に溶出した。溶出液は2
00mlづつ分取し、主としてP−23924Eを含有す
る区分(フラクション10〜13)800mlとP−23
924Cを含有する区分(フラクション14〜18)1
とに分けた。P−23924E含有画分を減圧濃縮
し、1/3溶の酢酸エチルで3回反復抽出、脱水後、約2
0mlまで濃縮し、n−ヘキサン200mlを添加すると黄
橙色のP−23924Eの粗粉末約120mgがえられ
た。この粗粉末をクロロホルム−メタノール(3:2)
混液30mlに溶解し、シリカゲル・カラム(3×45c
m)に流し、クロロホルム−メタノール(3:2)で溶
出し、P−23924E含有区分を集めて濃縮し、濃縮
液10mlに酢酸エチル10ml、n−ヘキサン50mlを加
えると黄橙色のP−23924Eの結晶性粉末約30mg
がえられた。P−23924Cを含有する画分1は、
減圧下に濃縮乾固し、乾固物をクロロホルム15mlに溶
解し、シリカゲル・カラム(3.0×45cm)に流し、
クロロホルム−酢酸(4:1)混液で溶出し、P−23
924Cを含有する区分を集めた。この区分を濃縮乾固
するとP−23924Cの粗粉末約150mgがえられ
た。この粗粉末を酢酸エチル70mlを加えて溶解し、2
0mlの水で3回繰返し洗浄したのち、無水硫酸ナトリウ
ム2.5gを加えて脱水、酢酸エチル溶液を減圧濃縮し
て約10mlとし、n−ヘキサン25mlを加えると黄橙色
のP−23924Cの結晶約85mgがえられた。
次に前記と全く同じ方法で、培養液から酢酸エチルによ
る抽出,1%炭酸水素ナトリウム水による転溶,酸性側
での酢酸エチルによる抽出,水洗,濃縮等の操作を経て
得られた濃縮液(200ml)をシリカゲル(メルク社
製、西ドイツ)カラム(4.6×65cm)に流し、酢酸
エチル2、つづいて1%蓚酸含有酢酸エチル7で溶
出した。主としてP−23924Fを含有する区分2
を集め、300mlの水で2回洗浄したのち、減圧下濃縮
乾固し、得られた固形分をクロロホルム−酢酸(9:
1)混液80mlに溶解した。この溶液をシリカゲルカラ
ム(3.4×54cm)に流し、クロロホルム−酢酸
(9:1)混液1.2、同(8:2)混液1.2、
同(7:3)混液1.2で溶出し、主としP−239
24Fを含有する区分(約1.5)を集めて減圧下に
濃縮乾固し、得られた残渣をメタノール−水(1:1)
混液400mlに溶解したのちPrep PAK−500/C18
カラムを装着したPrep LC/System500A型分取用液体
クロマトグラフ装置に導入し、メタノール−水(3:
2)混液5を用いて溶出した。
主としP−23924Fを含有する区分を集めて減圧下
に濃縮乾固するとP−23924Fの粗粉末1.3gが
得られた。これをメタノール:水(8:2)混液から再
結晶すると黄橙色のP−23924Fの結晶約500mg
が得られた。
参考例2 参考例1と同様の種培養液60を、可溶性澱粉4%、
デキストリン1%、脱脂大豆粉2%、チオ硫酸ナトリウ
ム0.1%、硫酸第一鉄・7結晶水0.05%、リン酸
二カリウム0.05%、塩化カリウム0.03%pH6.
0からなる液体培地1200を含む2000溶タン
クに移植し、24℃で6日間通気攪拌培養を行なった。
えられた培養液約1100を実施例1と同様の方法
で、過、酢酸エチル抽出、炭酸水素ナトリウム溶液へ
の転溶、酢酸エチル再抽出したのち、濃縮し、濃縮液7
00mlを得た。この濃縮液をシリカゲル・カラム(5.
4×6cm)に流し、酢酸エチル3で、つづいて1%蓚
酸含有酢酸エチル10で溶出し、主としてP−239
24A,BおよびDを含有する区分2.6と、主とし
てP−23924CおよびEを含有する区分4.2
と、主としてP−23924Fを含有する区分3.0
とに分けた。P−23924A,BおよびD含有画分は
水洗、脱水後、酢酸エチルを留去して得られた残渣を2
00mlのメタノールに溶解した。この溶液にジメチルス
ルホキサイド200mlおよび水200mlを加え、Prep P
AK−500/C18カラムを装着したPrep LC/System5
00A型分取用液体クロマトグラフ装置に導入し、メタ
ノール−水(1:1)混液で溶出し、主としてP−23
924AおよびDを含有する区分2.5と主としてP
−23924Bを含有する区分3.1とを集めた。P
−23924AおよびD含有区分は上記液体クロマトグ
ラフ装置で再クロマトグラフしたのち、濃縮、酢酸エチ
ル抽出、脱水、濃縮操作を行ない濃縮液50mlをえた。
これをシリカゲル・カラム(4.5×70cm)に流し、
ジクロルメタン−酢酸(9:1)混液1.5、同
(8:2)混液5.0、同(7:3)混液2の順に
溶出し、主としてP−23924Aを含有する区分1
とP−23924Dを含有する区分1.2を集めた。
P−23924A含有区分を300mlの水で3回水洗し
たのちジクロルメタン層を分散して濃縮乾固し、乾固物
をメタノール200mlに溶解し、水200mlを加えて、
前記と同一の条件で分取用液体クロマトグラフ装置にか
けた。P−23924A含有区分を集め、濃縮してメタ
ノールを留去し、1/3容酢酸エチルで3回抽出を繰返し
たのち、抽出液を合わせて脱水し、濃縮乾固した。乾固
物をメタノールに溶解し、放置するとP−23924A
の結晶300mgが得られた。つぎにP−23924D含
有区分(1.2)を減圧濃縮し、濃縮液30mlをシリ
カゲル・カラム(3.5×50cm)に流し、ジクロルメ
タン−酢酸(9:1)混液1、同(8:2)混液、同
(7:3)混液各1で順次溶出した。主としてP−2
3924Dを含有する区分1.4を集めて減圧下に濃
縮乾固し、乾固物にメタノール200mlを加えて溶解し
た。この溶液に水200mlを加え、前記と同一の条件で
分取用液体クロマトグラフを行ない、P−23924D
区分2.7を集めた。この画分を減圧下にメタノール
を留去して得た濃縮液1.5に1/3容酢酸エチルを加
えて3回反復抽出したのち、脱水し、約25mlまで濃縮
放置するとP−23924D結晶約1gがえられた。P
−23924Bを含有する画分(3.1)は室温で放
置するとP−23924Bの結晶が析出した。これを集
めメタノールから再結晶してP−23924Bの結晶約
3gがえられた。次に前記の主としてP−23924C
およびEを含有する画分(4.2)は1の水を用い
て3回洗浄液、無水硫酸ナトリウム30gを用いて脱
水、酢酸エチルを留去して得られた残渣をメタノール2
00mlに溶解した。これに水200mlを加えて前記と同
一の条件で液体クロマトグラフを繰返し、P−2392
4Eを含有する区分1.8とP−23924Cを含有
する区分2.4を集めた。P−23924E含有画分
1.8は約50mlまで減圧濃縮し、あらかじめメタノ
ールに懸濁して充填したセファデックスLH−20(フ
ァルマシア社製、スエーデン)カラム(3.5×52c
m)に流し、メタノールで溶出し、P−23924Eの
みを含有する区分200mlを集めた。この画分を減圧濃
縮し、濃縮液20mlに酢酸エチル20mlとn−ヘキサン
200mlを加えると黄橙色のP−23924Eの結晶性
粉末約700mgが得られた。次に主としてP−2392
4Cを含有する区分2.4を減圧濃縮し、濃縮液1.
2に1/3容の酢酸エチルを加えて3回繰返し抽出した
のち、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウム20gを用い
て脱水し、酢酸エチルを留去して得られた残渣をメタノ
ールにとかし放置するとP−23924Cの粗結晶が析
出した。これをメタノールから再結晶すると、P−23
924Cの結晶1.5gが得られた。
次に前記の主としてP−23924Fを含有する区分
(3.0)は水洗、脱水後、酢酸エチルを留去して得
られた残渣をクロロホルム−酢酸(9:1)混液100
mlに溶解した。この溶液をシリカゲルカラム(3.4×
54cm)に流し、クロロホルム−酢酸(9:1)混液1
、同(8:2)混液1、同(7:3)混液1の順
に溶出し、主としてP−23924Fを含有する区分
1.8を集め、濃縮乾固した。乾固物をメタノール−
水(1:1)400mlに溶解し、Prep PAK−500/C
18カラムを装着したPrep LC/System500A型分取
用液体クロマトグラフ装置に導入し、メタノール−水
(3:2)混液で溶出し、主としてP−23924Fを
含有する区分(2.4)を集めた。これを減圧下に濃
縮するとP−23924Fの粗結晶が析出した。これを
メタノール:水(3:2)から再結晶するとP−239
24Fの結晶2.5gが得られた。
実施例1 P−23924A1gをメタノール300mlに溶解し、
溶解液を500ml容のオートクレープに入れ、ラネーニ
ッケル5gを添加したのち、初圧100kg/cm2、反応
温度70℃で5時間接触還元した。
反応液を過して触媒を除去したのち液を約20mlま
で減圧濃縮し、濃縮液を水で希釈して約300mlとし
た。
この液を100mlの酢酸エチルで3回抽出を繰返したの
ち、抽出液を50mlの水で2回水洗したのち、酢酸エチ
ル層を分取脱水後、約20mlまで減圧濃縮すると橙赤色
のP−23924ARの結晶119mgが得られた。
実施例2 P−23924B2.5gをメタノール500mlに溶解
し、溶解液を1容のオートクレープに入れ、ラネーニ
ッケル15gを添加したのち、初圧100kg/cm2,反
応温度70℃で5時間接触還元した。
反応液を過して触媒を除去したのち、液を減圧下で
濃縮乾固した。乾固物を酢酸エチル250mlに溶解し、
溶解液を100mlの水で3回水洗したのち、酢酸エチル
層を分取脱水後、約25mlまで減圧濃縮すると橙赤色の
P−23924BRの結晶0.9gが得られた。
実施例3 P−23924C3gをメタノール700mlに溶解し、
溶解液を1容のオートクレープに入れ、ラネーニッケ
ル15gを添加したのち、初圧100kg/cm2,反応温
度70℃で5時間接触還元した。
反応液を過して触媒を除去したのち液を減圧下で濃
縮乾固した。乾固物を酢酸エチル800mlに溶解し、溶
解液を水300mlで3回水洗したのち、酢酸エチル層を
分取脱水後、約50mlまで減圧濃縮すると、橙赤色のP
−23924CRの結晶1.23gが得られた。
実施例4 上記の成分を常法(湿式法)にしたがって打錠し、錠剤
とする。
実施例5 上記の成分(1),(2),(3)および(4)の1/2を混和したの
ち、常法に従って顆粒化する。これに、成分(4)の残り
を加え、常法に従って1号ゼラチンカプセル(第10改
正日本薬局方)に封入し、カプセル剤とする。
実施例6 上記の成分を常法(湿式法)にしたがって打錠し、錠剤
とする。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第3図および第10図ないし12図は生理
活性物質P−23924A,B,C,AR,BR,およ
びCRの紫外部および可視部吸収スペクトルを、第4図
ないし第6図および第13図ないし第15図は生理活性
物質P−23924A,B,C,AR,BRおよびCR
の赤外部吸収スペクトルを、第7図ないし第9図および
第16図ないし第18図は生理活性物質P−23924
A,B,C,AR,BRおよびCRの該磁気共鳴スペク
トルをそれぞれ表わす。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 31/12 ADD 9283−4C C12P 7/66 Z 9282−4B // C07C 323/59 7419−4H (C12P 7/66 C12R 1:465)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 [式中、Rは水素またはメチルを、Rは水素または
    メトキシをそれぞれ示す。]で表される化合物。
  2. 【請求項2】一般式 [式中、Rは水素またはメチルを、Rは水素または
    メトキシをそれぞれ示す。]で表される化合物を還元反
    応に付すことを特徴とする一般式 [式中、RおよびRは前記と同意義を有する。]で
    表される化合物の製造方法。
  3. 【請求項3】一般式 [式中、Rは水素またはメチルを、Rは水素または
    メトキシをそれぞれ示す。]で表される化合物を含有す
    る繊維化抑制剤。
JP59035074A 1983-10-15 1984-02-24 生理活性物質p−23924、その製造法および製剤 Expired - Lifetime JPH0645568B2 (ja)

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EP83110283.5 1983-10-15
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