JPH0645278B2 - 筆記用チップの筆記液リザーバへのねじ込み装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 「技術分野」 本発明は、筆記具に関し、特に筆記用チップの筆記液リ
ザーバへのねじ込み装置に関する。

「従来技術およびその問題点」 この種の筆記具は、いわゆるシングルユース、あるいは
使い捨ての筆記具であって、筆記用チップと調整システ
ムの寿命、および筆記液リザーバ内の液体の量とが互い
に見合うように作られている。この筆記具においては、
使用前に、筆記用チップが筆記液リザーバにねじ込まれ
る。この筆記用チップには、そのねじ部分の端部に位置
させて突起が設けられ、この突起が筆記液リザーバのダ
イアフラムに嵌入することにより、筆記液が筆記用チッ
プへ流れるようになる。この点に関しての詳細は、西ド
イツ特許2538427に記載されている。

筆記用チップに、これを筆記液リザーバにねじ込むため
に、６角軸を設けることは、既によく知られている。６
角形の穴を有するレンチがこの６角軸と係合する。この
６角形の穴は、筆記具のキャップに、あるいは筆記具の
軸に設けることが可能である。この点に関しての詳細
は、例えば、西ドイツ意匠特許7100878、西ドイツ特許2
222593、および日本意匠登録出願58-42132に記載されて
いる。

これらの従来装置はしかし、筆記用チップが、レンチに
よって部分的にあるいは完全に、外すことができるとい
う欠点がある。このような不完全なねじ込み状態が、筆
記液を使い切る前に生じると、汚染、空気の混入あるい
は閉塞が生じる可能性がある。さらに筆記用チップが完
全に外れてしまうと、既に使ってしまったチップを再使
用しようとすることがしばしば起こる。

「発明の目的」 したがって本発明は、筆記用チップを筆記液リザーバに
ねじ込むことはできるが、外すことはできない装置を構
成することを目的とする。

「発明の概要」 本発明は、この目的を達成するため、使用前に筆記用チ
ップが筆記液リザーバにねじ込み動作によって結合さ
れ、この結合によって筆記液リザーバ内の筆記液が筆記
用チップに供給される筆記用チップの筆記液リザーバへ
のねじ込み装置において、筆記用チップに少なくとも一
つの作用面を設けるとともに、この筆記用チップに回転
を与えるためのレンチにはこの筆記用チップの作用面に
作用する少なくとも一つの作用面を設け、かつこれらの
筆記用チップおよびレンチの作用面を、筆記用チップの
ねじ込み方向においてのみ結合し、これと反対の方向へ
の相対回転は許容するラチェット−歯機構として形成さ
れ、このラチェット−歯機構によって筆記用チップを筆
記液リザーバにねじ込むことができ外すことはできない
ことを特徴としている。

この構成によれば、レンチによって筆記用チップをねじ
込むことはできても、外すことはできない。

「発明の実施例」 以下図示実施例について本発明を説明する。筆記液リザ
ーバ１は、その先端部分が、リザーバ内の液体が使用前
に乾くのを防止するダイアフラム２によって閉じられて
いる。この筆記液リザーバ１は、この先端部分に、筆記
用チップ４をねじ込むことができるコレット３を有して
いる。この筆記用チップ４は、図示実施例では、調整シ
ステム５を有している。この筆記用チップ４は、ねじ部
分の端部に突起６を有し、この突起６は、ダイアフラム
２に向けてねじ込まれたとき、ダイアフラム２内に入り
込む。この筆記用チップ４は、本筆記具を使う直前にお
いて筆記液リザーバ１にねじ込まれる。図示例および従
来例では、筆記用チップ４は、方形断面の端部７を有し
ていて、これをねじ込むときには、この端部７に、方形
の孔を有するレンチが装着される。この筆記用チップ４
は、このレンチによって、いかなるときでも、筆記液リ
ザーバ１から外すことができる。ところが外すことがで
きると、種々の問題が生じることは前述の通りである。

本発明は、筆記用チップ４が外れるのを防止するため
に、第１図に示すように、筆記用チップ４とレンチ８と
の間に、ラチェット−歯機構が設けられている。このラ
チェット−歯機構は、レンチ８と筆記用チップ４とのね
じ込み方向の回転に関しては、両者の摩擦結合を可能と
する。しかし、ねじを緩める方向の回転が与えられたと
きには、両者の間に摩擦が働かないようにする。よって
これら二部材の相対回転が可能である。

図示したラチェット−歯機構は、軸方向動作のラチェッ
ト−歯機構である。しかし、このラチェット−歯機構に
関しては『精密機構の構造要素(Bauelemente der Feinm
echanics)』（リヒター(Richter)、フォス(Voss)、コザ
ー(Kozer)著、1959年第８版）の43.8図から43.10図およ
び43.29図から43.36図に記載の構造のものもまた使用可
能である。

図示した最も簡単な構造では、ラチェット−歯機構は、
筆記用チップ４上においてその軸方向に延びる突起９を
有し、この突起９が軸方向に延びる作用エッジ１０を構
成している。レンチ８の穴１２内に形成された、同様に
ほぼ軸方向に延びる作用エッジ１１は、この作用エッジ
１０に当接する。穴１２は、これに対して傾斜して延び
るエッジ１３に連なっている。レンチ８がねじ込み方向
に回転すると、二つの作用エッジ１０、１１、つまり筆
記用チップ４側の作用エッジ１０とレンチ８側の作用エ
ッジ１１に当接し、レンチ８は筆記用チップ４をともに
回転させる。他方、レンチ８がこれと反対方向に回転す
ると、ある角度をなして延びるエッジ１３が常に突起９
上をスライドするため、レンチ８は筆記用チップ４をと
もに回転させない。

図示例においては、レンチ８は接続した作用エッジ１１
と傾斜エッジ１３を有し、これにより軸方向歯１５を有
する歯付きリムが構成されている。連続した作用エッジ
１０と、このエッジ１０に対してある角度をなすエッジ
１４は、筆記用チップ４に設けることもでき、この場合
には、これらが軸方向歯１６を有する歯付きリムを構成
する。

穴１２の反対側には、別の穴１２′が設けられていて、
これらの穴は、これらより小さい直径の中間穴１７によ
て互いに接続され、かくして穴１７と１２′の間の中間
域に、歯付きリム１８が同様に形成されている。この構
成によれば、レンチ８は、筆記用チップ４に対して、そ
の表裏のいずれからでも装着することができる。

レンチ８は、筆記用具のケーシング、筆記用具軸、ある
いは筆記用具のキャップに設け、これらと共用すること
が可能である。

「発明の効果」 以上のように本発明によれば、筆記用チップを筆記液リ
ザーバにねじ込むことはできるが、外すことはできない
装置を構成するができ、したがって筆記用チップを外す
ことに起因する汚染、空気の混入、および閉塞の事故を
防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は本発明の実施例を示すもので、 第１図は本発明による筆記用チップとレンチの一部を断
面とした側面図、 第２図は第３図のレンチの側面図、 第３図はこのレンチの軸断面図である。 第４図、第５図は、従来のこの種筆記用チップの筆記液
リザーバへのねじ込み装置を示すもので、 第４図は筆記用チップが筆記液リザーバに途中迄ねじ込
まれて止まった状態を示す、先端部分の断面図、 第５図は同完全にねじ込まれた状態を示す断面図であ
る。 １……筆記液リザーバ、２……ダイアフラム、３……コ
レット、４……筆記用チップ、５……調整システム、６
……突起、８……レンチ、９……突起、１０……作用
面、１１……作用エッジ、１２、１２′、１７……穴、
１３……傾斜エッジ、１４……作用エッジ、１５、１６
……軸方向歯。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】使用前に、筆記用チップが筆記液リザーバ
   にねじ込み動作によって結合され、この結合によって筆
   記液リザーバ内の筆記液が筆記用チップに供給される筆
   記用チップの筆記液リザーバに対するねじ込み装置にお
   いて、筆記用チップは少なくとも一つの作用面を備え、
   この筆記用チップに回転を与えるためのレンチはこの筆
   記用チップの作用面に作用する少なくとも一つの作用面
   を有し、かつこれらの筆記用チップおよびレンチの作用
   面は、筆記用チップのねじ込み方向においてのみ係合
   し、これと反対の方向への相対回転は許容するラチェッ
   ト−歯機構として形成され、このラチェット−歯機構に
   よって筆記用チップを筆記液リザーバにねじ込むことが
   でき外すことはできないことを特徴とする筆記用チップ
   の筆記液リザーバへのねじ込み装置。