JPH0645165U - 自在継手用ブーツ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 小型化しても、良好な屈曲性、耐摩耗性、耐
久性が得られること。 【構成】 蛇腹部１４の互いに隣接する少なくとも２つ
の斜面を、大径取付部１３側または小径取付部側１２の
いずれか一方に屈曲する複数の面ａ，ｂおよびｃ，ｄに
より構成する。これにより、その展開長が増し、ブーツ
をコンパクトに形成しても良好な屈曲性が得られる。ま
た、各斜面を構成する複数の面ａ，ｂおよびｃ，ｄがそ
れぞれ同方向に屈曲しているので、圧縮時に山どおしが
きちんと折り重なり、また面圧も小さくなるので、耐摩
耗性および耐疲労性が増加して耐久性を向上させること
ができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、自動車、産業機械等の動力伝達系に使用され、互いの角度が相対変 位する軸と軸とを結合する自在継手の防塵、防水等を図るための自在継手用ブー ツに関する。

【０００２】

【従来の技術】

図５は従来の自動車用等速自在継手の一例を示している。この等速自在継手１ は、一方の軸となるドライブシャフト２の先端部に固定された内輪３と、車輪側 となる他方の軸４の先端部に形成された外輪５と、内輪３と外輪５との間に設け られた回転伝達用のボール６とを備えている。ゴムまたは樹脂製のブーツ７は、 ドライブシャフト２にバンド８で固定される小径取付部７ａと、軸４の外輪５に バンド９で固定される大径取付部７ｂと、小径取付部７ａと大径取付部７ｂとを 連結する蛇腹部７ｃとからなり、その内部空間には潤滑のためのグリースが封入 されている。

【０００３】 ドライブシャフト２からの回転力は、ボール６を介して車輪側の軸４に伝達さ れる。車輪側の軸４は、ドライブシャフト２に対して相対角度変位するので、そ の角度変化および角速度変化が等速自在継手１で吸収される。そして、ドライブ シャフト２および軸４が相対角度変位すると、ブーツ７がそれに追随して伸縮す る。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

このような等速自在継手に使用されるブーツは、自動車のエンジンルーム内の 実装密度が高まるにつれて、より一層の小型化が要求され、しかも高作動角およ び高速回転で使用される等速自在継手の動きに確実に追随しなければならない。 ブーツを小型化するためには、軸方向の寸法を短くして山数を少なくすればよい が、単にこうしただけでは、等速自在継手が高作動角を取ったときに、十分な可 撓性または屈曲性が得られず、またたとえ得られたとしても、撓み量が大きくな って疲労が増し、圧縮時には各山が重なって面圧が大きくなり、耐摩耗性が低下 するとともに応力集中が生じ、耐久性が劣化するという問題があった。

【０００５】 本考案は、このような従来の問題を解決するものであり、屈曲性および耐久性 が良好でコンパクトな自在継手用ブーツを提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は、上記目的を達成するために、蛇腹部の互いに隣接する少なくとも２ つの斜面を、大径取付部側または小径取付部側のいずれか一方に屈曲する複数の 面により構成したことを特徴とする。

【０００７】

【作用】

したがって、本考案によれば、蛇腹部の斜面を複数の面で構成することにより 、その展開長が増すので、ブーツをコンパクトに形成しても高い屈曲性を得るこ とができる。また、各斜面を構成する複数の面がそれぞれ同方向に屈曲している ので、圧縮時に山どおしがきちんと折り重なり、また面圧も小さくなるので応力 集中が減少し、耐疲労性および耐摩耗性が増加して耐久性を向上させることがで きる。

【０００８】

【実施例】

図１は本考案の第１の実施例を示している。ブーツ１１は、上記した従来例と 同様な自動車用等速自在継手用の合成樹脂製ブーツであり、小径取付部１２と、 大径取付部１３と、両者をつなぐ蛇腹部１４とからなる。蛇腹部１４の各山の斜 面は、小径取付部１２に隣接する最初の斜面１２ａと大径取付部１３に隣接する 最後の斜面１３ａとを除いて、それぞれ大径取付部１３側に屈曲する２つの面ａ ，ｂおよびｃ，ｄにより構成されている。面ａ，ｂは小径取付部１２側の２つの 面であり、ｃ，ｄは大径取付部１３側の２つの面である。面ａとｂとがなす角度 αと、面ｃとｄとがなす角度βはほぼ等しくされている。また、蛇腹部１４の山 頂を挟む２つの斜面の山頂から第１屈曲点までの距離すなわち面ａおよびｃの距 離は、互いにほぼ等しい。

【０００９】 次に上記実施例の動作について説明する。図２に示すように、ブーツ１１を取 り付けた等速自在継手に作動角がついてブーツ１１が屈曲すると、その蛇腹部１ ４の各斜面が２つの面ａ，ｂおよびｃ，ｄにより構成されているので、蛇腹部１ ４の軸方向の寸法を短くして山数を少なくしても、その展開長が増加するので、 良好な屈曲性が得られる。また、各山の斜面を構成する面ａ，ｂおよびｃ，ｄが 、すべて大径取付部１３側に屈曲しており、また角度αとβがほぼ等しく、面ａ およびｃがほぼ同じ距離のため、圧縮時にその圧縮側において各山がきちんと折 り重なるようになり、また面圧も小さくなるので、ブーツ１１をコンパクトに形 成しても、耐疲労性および耐摩耗性が増して耐久性を向上させることができる。

【００１０】 図３は本考案の第２の実施例を示している。この等速自在継手用のブーツ２１ もまた、小径取付部２２と、大径取付部２３と、両者をつなぐ蛇腹部２４とから なる。蛇腹部２４の各山の斜面は、小径取付部２２に隣接する最初の斜面２２ａ と大径取付部２３に隣接する最後の斜面２３ａとを除いて、それぞれ大径取付部 ２３側に屈曲する複数の面から構成されている。すなわち、小径取付部２２側の 斜面は３つの面ａ，ｂ，ｃにより構成され、大径取付部２３側の斜面は２つの面 がｄ，ｅにより構成されている。面ａとｃとがなす角度αと、面ｄとｅとがなす 角度βはほぼ等しい。また、蛇腹部２４の山頂を挟む２つの斜面の山頂から第１ 屈曲点までの距離すなわち面ａおよびｄの距離はほぼ等しい。

【００１１】 次に上記実施例の動作について説明する。図４に示すように、ブーツ２１を取 り付けた等速自在継手に作動角がついてブーツ２１が屈曲すると、その蛇腹部２ ４の各斜面が複数の面ａ，ｂ，ｃおよびｄ，ｅにより構成されているので、蛇腹 部２４の軸方向の寸法を短くして山数を少なくしても、その展開長が増加するの で、良好な屈曲性が得られる。また、各山の斜面を構成する面ａ，ｂ，ｃおよび ｄ，ｅがすべて大径取付部２３側に屈曲しており、角度αとβがほぼ等しくまた 面ａおよびｄがほぼ同じ距離のため、その圧縮時に圧縮側において各山がきちん と折り重なるようになり、また面圧も小さくなるので、ブーツ２１をコンパクト に形成しても、耐疲労性および耐摩耗性が増して耐久性を向上させることができ る。

【００１２】 なお、上記各実施例では、蛇腹部１４，２４の各斜面を大径取付部１３，２３ 側に屈曲させた複数の面により構成しているが、これを小径取付部１２，２２側 に屈曲させた複数の面により構成してもよい。また、複数の面により構成する斜 面は、最低限１つの山または谷を構成する隣接する２つの面であればよい。

【００１３】

【考案の効果】

以上のように、本考案によれば、蛇腹部の互いに隣接する少なくとも２つの斜 面を、大径取付部側または小径取付部側のいずれか一方に屈曲する複数の面によ り構成したので、その展開長が増し、ブーツをコンパクトに形成しても良好な屈 曲性が得られる。また、各斜面を構成する複数の面がそれぞれ同方向に屈曲して いるので、圧縮時に山どおしがきちんと折り重なり、また面圧も小さくなるので 、耐摩耗性および耐疲労性が増加して耐久性を向上させることができる。 また、本考案を合成樹脂製ブーツに使用した場合には、屈曲点により山谷への 応力集中が緩和されるのでより効果的である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１の実施例を示す自在継手用ブーツ
の断面図。

【図２】本考案の第１の実施例における動作を説明する
ための断面図。

【図３】本考案の第２の実施例を示す自在継手用ブーツ
の断面図。

【図４】本考案の第２の実施例における動作を説明する
ための断面図。

【図５】従来の自在継手用ブーツの一例を示す断面図。

【符号の説明】

１１，２１ ブーツ １２，２２ 小径取付部 １３，２３ 大径取付部 １４，２４ 蛇腹部 ａ，ｂ，ｃ，ｄ，ｅ 斜面を構成する面

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 一方の軸に固定される小径取付部と、他
   方の軸に固定される大径取付部と、前記小径取付部と大
   径取付部との間を連結する蛇腹部とを備え、前記蛇腹部
   の互いに隣接する少なくとも２つの斜面を、前記大径取
   付部側または小径取付部側のいずれか一方に屈曲する複
   数の面により構成したことを特徴とする自在継手用ブー
   ツ。
2. 【請求項２】 小径取付部に隣接する斜面および大径取
   付部に隣接する斜面を除いて、すべての山の斜面を複数
   の面により構成した請求項１記載の自在継手用ブーツ。
3. 【請求項３】 山頂を挟む２つの斜面の山頂から第１屈
   曲点までの距離がほぼ等しい請求項１または２記載の自
   在継手用ブーツ。