JPH0645156U - シフトロック時に於けるプッシュボタンの空振り構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 自動変速機用チェンジレバーにおける誤操作
によるロックブラケットの変形等を防止するようにした
プッシュロッドの空振り構造を提供する。 【構成】 チェンジレバー内のプッシュロッドとガイド
ピンとの間、又はプッシュロッドの途中に一対の空振り
部材を介設し、シフトロック状態におけるプッシュボタ
ンの無理な押込み力で空振り部材をそのテーパー面でず
らせてプッシュロッドの下方スライドを空振りさせるよ
うにしたことを特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、自動変速機のチェンジレバーにおいて誤操作によるロックブラケ ットの変形等を防止するようにしたシフトロック時に於けるプッシュボタンの空 振り構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

最近の自動車では、走行中における運転操作の軽減を図るべく、自動変速装置 が種々採用されており、例えばチェンジレバーの操作によって油圧の供給等を制 御して変速ギアを自動的に切替えるようにしたものが知られている。 かかる自動変速装置には、ノブのプッシュボタンを押し込んでプッシュロッド を介してガイドピンを下方にスライドさせ、ガイドプレートによるガイドピンの 係止を解除してチェンジレバーを揺動可能とし、もってチェンジレバー操作を行 えるようにしたチェンジレバー構造が採用されているが、かかる構造ではパーキ ングレンジＰから走行レンジ、例えばドライブレンジＤに切替える際に、ブレー キペダルと誤ってアクセルペダルを踏み込んでいると、暴走が懸念される。 そこで従来の自動車用チェンジレバーには、ガイドピンの下方にロックプレー トを設けてパーキング位置でのロックピンの下方スライドを制限し、ブレーキペ ダルを踏み込んだ時にロックプレートを揺動させてガイドピンの下方スライドを 可能とし、走行レンジへの切替え操作をできるようにしたものがある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、上記従来の自動車用チェンジレバーでは、ガイドピンの下方スライド が制限されたシフトロック状態において誤ってノブのプッシュボタンを強く押し 込むと、ガイドピンがロックプレートと強く当たってロックプレートに大きな荷 重が作用し、ロックプレートが変形するという問題があった。特に、運転者が操 作に慣れていない場合には、チェンジレバーのロック解除に、プッシュボタンの 押込み力が不足していると判断し、プッシュボタンを無理に強く押し込む傾向が あり、上述の問題が懸念されていた。 その為、誤操作によるロックプレートの変形を防止すべく、ロックプレートを 厚肉の鉄板で製作する必要があった。 この考案は、かかる問題点に鑑み、誤操作によるロックプレートの変形等を防 止できるようにした構造を提供することを課題とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本件考案者は上述の課題を解決すべく鋭意研究した結果、通常はプッシュロッ ドからガイドピンに荷重を伝達する一方、シフトロック状態においてプッシュボ タンが強く押し込まれた時に、プッシュロッドを空振りさせて大荷重がガイドピ ンに伝達するのを防止すればよいことに着目し、本考案を完成した。 即ち、本考案に係るシフトロック時に於けるプッシュボタンの空振り構造は、 「プッシュボタンの押込みによってガイドピンを下方にスライドさせてガイド プレートとの係止を解除する一方、パーキング位置でのガイドピンの下方スライ ドを揺動可能なロックプレートによって制限するようにしてなる自動車用チェン ジレバーにおいて、 チェンジレバー内にはプッシュボタンの押込み力をガイドピンに伝達するプッ シュロッドが内装され、該プッシュロッドとガイドピンとの間又は上記プッシュ ロッドの途中にはテーパ面で相互に接触する一対の空振り部材が設けられ、 所定値未満の荷重作用時には上記空振り部材がテーパー面で相互に摩擦接続さ れてプッシュロッドとガイドピンとが連携されている一方、所定値以上の荷重作 用時には上記空振り部材がテーパー面で相互に横方向にずれてプッシュロッドと ガイドピンとの連携が解除されているようにした」ことを要旨とする。

【０００５】

【作用】

シフトロックが解除されている状態においては、ガイドピンが下方にスライド 自在となっており、空振り部材に作用する荷重は所定値未満であって、空振り部 材は相互に摩擦接続されているので、プッシュボタンが押し込まれ、プッシュロ ッドが下方にスライドすると、空振り部材を介してガイドピンがそのまま下方に 押し下げられる。 他方、シフトロック状態において、誤ってプッシュボタンが強く押し込まれる と、ガイドピンがロックプレートによって下方スライドを制限されていることか ら、空振り部材には所定値以上の荷重が作用する。 すると、空振り部材に作用する荷重のスラスト方向の分力がテーパー面での摩 擦力より大きくなり、空振り部材はそのテーパー面で相互に横方向にずれつつ、 プッシュロッドのみが下方にスライドするので、プッシュロッドとガイドピンと の連携が解除され、ガイドピンには過大な荷重は作用しない。

【０００６】

【実施例】

以下、本考案を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。 図１ないし図３は本考案の一実施例によるシフトロック時に於けるプッシュボ タンの空振り構造を示す。自動車用チェンジレバー１において、チェンジレバー ２はパイプを用いて形成され、該チェンジレバー２の下端には取付軸２０が設け られてチェンジレバー２は装置ボディＢに前後方向に揺動自在に取付けられてい る。このチェンジレバー２の上端部にはノブ２２が設けられ、該ノブ２２にはプ ッシュボタン３が出没自在に取付けられている。 また、チェンジレバー２の下部にはスライド溝２１が軸線方向に形成され、該 スライド溝２１にはガイドピン４がスライド自在にかつ一部を突出させて挿入さ れ、該ガイドピン４の下側にはガイドピン４を上方に付勢するばね部材８が縮装 されている。 他方、装置ボディＢにはチェンジレバー２の側方にガイドプレート５がボルト によって固定され、該ガイドプレート５にはチェンジレバー２の操作時にガイド ピン４をガイドし係止するガイド溝５０が形成されている。 また、チェンジレバー２の取付軸２０にはロックプレート６が回転自在に取付 けられ、該ロックプレート６はパーキング位置にあるガイドピン４の下方に位置 してガイドピン４の下方スライドを制限し（図１の(b) 参照) 、ブレーキペダル の踏込み時には前方に揺動してガイドピン４のロックを解除するようになってい る（図１(b) の矢印Ａ参照）。 また、チェンジレバー２内にはプッシュロッド７が内装され、該プッシュロッ ド７の上端部にはプッシュボタン３の操作部３０と連携するカム部７０が形成さ れている。

【０００７】 このプッシュロッド７とガイドピン４との間には図２に示すように一対の空振 り部材９０、９１が配設され、一方の空振り部材９０はプッシュロッド７の下端 に固定され、その下端には所定角度のテーパー面９０ａが形成されている。 他方の空振り部材９１は円筒状をなし、その外周面には上記ガイドピン４が固 定され、空振り部材９１の内面には空振り部材９０のテーパー面９０ａと接触す るテーパー面９１ａが形成されている。 また、プッシュロッド７にはばね押板９３が取付けられ（但し、取付部分は図 示していない）、該ばね押板９３には長穴が形成されてプッシュロッド７が挿通 され、ばね押板９３と他方の空振り部材９１との間にはばね部材９２が介設され 、又他方の空振り部材９１とチェンジレバー２の内面との間にはガイドピン４の 外周にてばね部材９４が介設されている。 なお、テーパー面９０ａ、９１ａは所定値以上の荷重の作用でずれが発生する ように表面性状を設定する、例えば微少凹凸を設け、あるいは摩擦係数の高いゴ ムや合成樹脂等の表面層を設けるのがよい。

【０００８】 次に、作用効果について説明する。 変速レンジをパーキングＰから走行レンジ、例えばドライブＤに切替える場合 、ブレーキペダルを踏込むと、ロックプレート６が前方に揺動されてシフトロッ クが解除される。 この状態において、プッシュボタン３を押し込むと、プッシュボタン３の操作 部３０が横方向に変位し、それがカム部７０を介してプッシュロッド７に伝えら れ、プッシュロッド７が下方にスライドする。 その際、ロックプレート６によるガイドピン４のロックが解除されているので 、図３(a) に示すように、空振り部材９０、９１に作用する荷重は所定値未満で 、空振り部材９０、９１はテーパー面９０ａ、９１ａで相互に摩擦接続されてい るので、空振り部材９０、９１は一体となってそのまま下方にスライドし、ガイ ドピン４もばね部材８のばね力に抗して下方にスライドし、これによってガイド プレート５との係止が解除されてチェンジレバー２は操作可能となる。

【０００９】 他方、シフトロック状態において、誤ってプッシュボタン３が強く押し込まれ た場合、ガイドピン４がロックプレート４によって下方スライドを制限されてい るので、空振り部材９０、９１には所定値以上の荷重が作用し、その荷重のスラ スト方向の分力がテーパー面９０ａ、９１ａの摩擦力を越える。 すると、図３(b) に示すように、一方の空振り部材９０が図３(b) の左方に、 他方の空振り部材９１がばね部材９４のばね力に抗して図３(b) の右方に各々ず れて両者の連結が外れ、これによって空振り部材９０のみが下方にスライドして プッシュロッド７がばね部材９２を収縮させつつ空振りし、ガイドピン４には大 きな押込み荷重は作用しない。 その結果、ロックプレート６の変形が防止されて耐久性が確保でき、又ロック プレート６に大荷重が作用しないので、薄肉の鉄板や合成樹脂で安価なロックプ レート６を製作することが可能となる。 プッシュボタン３から手を離すと、空振り部材９０、９１はばね部材９２、９ ４のばね力によって元の位置に復帰し、そのテーパー面９０ａ、９１ａが相互に 接触して元の状態に戻る。

【００１０】 また、図４は本考案の第２の実施例を示し、図１ないし図３と同一符号は同一 又は相当部分を示す。 本実施例では、プッシュロッド７が２つに分割され、上側プッシュロッド７の 下端には一方の空振り部材９０が固定され、下側プッシュロッド７の上端には他 方の空振り部材９１が固定されている。 このように空振り部材９０、９１をプッシュロッド７とガイドピン４との間で となく、プッシュロッド７の途中に介設してもよいものである。

【００１１】

【考案の効果】 以上のように、本考案に係るシフトロック時に於けるプッシュボタンの空振り 構造によれば、シフトロック状態においてプッシュボタンを無理に押込んだ時に は空振り部材を相互にテーパー面でずらせてプッシュロッドの下方スライドを空 振りさせるようにしたので、誤操作によるロックプレートの変形等を確実に防止 して耐久性を保証でき、材料選択の自由度をアップしてロックプレートを安価に 製作できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の一実施例によるプッシュボタンの空
振り構造を有する自動車用チェンジレバーの全体及びロ
ックプレートとガイドピンとの関係を示す図である。

【図２】 上記プッシュボタンの空振り構造の要部を示
す図である。

【図３】 上記プッシュボタンの空振り構造における通
常動作及びシフトロック時の動作を説明するための図で
ある。

【図４】 本考案の第２の実施例によるプッシュボタン
の空振り構造を示す図である。

【符号の説明】

１ 自動車用チェンジレバー ２ チェンジレバー ３ プッシュボタン ４ ガイドピン ６ ロックプレート ７ プッシュロッド ９０ 空振り部材 ９０ａ テーパー面 ９１ 空振り部材 ９１ａ テーパー面

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 プッシュボタンの押込みによってガイド
   ピンを下方にスライドさせてガイドプレートとの係止を
   解除する一方、パーキング位置でのガイドピンの下方ス
   ライドを揺動可能なロックプレートによって制限するよ
   うにしてなる自動車用チェンジレバーにおいて、 チェンジレバー内にはプッシュボタンの押込み力をガイ
   ドピンに伝達するプッシュロッドが内装され、該プッシ
   ュロッドとガイドピンとの間又は上記プッシュロッドの
   途中にはテーパ面で相互に接触する一対の空振り部材が
   設けられ、 所定値未満の荷重作用時には上記空振り部材がテーパー
   面で相互に摩擦接続されてプッシュロッドとガイドピン
   とが連携されている一方、所定値以上の荷重作用時には
   上記空振り部材がテーパー面で相互に横方向にずれてプ
   ッシュロッドとガイドピンとの連携が解除されているこ
   とを特徴とするシフトロック時に於けるプッシュボタン
   の空振り構造。