JPH0644849Y2 - スクリューキャップ付き容器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はスクリューキャップ付き容器に関する。さらに
詳しくは、容器に収容される内容物の鮮度を保持するた
めの鮮度保持剤を、内容物から隔離し収納するための仕
切り膜を設けたスクリューキャップ付き容器に関する。

〔従来の技術〕

従来から、湿気、酸素、微生物等の影響による食品、薬
品等の品質低下を防止するために、食品や薬品等の保存
物品と乾燥剤、防腐剤、防虫剤、脱酸素剤等の鮮度保持
剤とを一緒に密封容器内に同封することが行われてき
た。その際鮮度保持剤が食品等と直接接触すると食品等
の油や水分等で鮮度保持剤が汚染されその機能が損なわ
れることがしばしば起こり、また逆に鮮度保持剤が食品
等の内容物に紛れ誤食されたりする危険性もあった。

こうしたことから、容器内に収容する鮮度保持剤と食品
とを隔絶することが行われてきた。すなわち、容器に収
容した食品の鮮度を保持するため該容器の一部に隔離膜
を設け、食品と鮮度保持剤とをその隔離膜の両側にそれ
ぞれ配することにより食品と鮮度保持剤とを分離する試
みがなされてきた。

しかしながら、スクリューキャップの場合、キャップと
しての本来の機能、つまり密閉性、脱着性を維持しなが
ら、鮮度保持剤を収納した仕切り膜をスクリューキャッ
プに保持させることは、構造上、製造コスト上から難点
があり、まして、既存のスクリューキャップに仕切り膜
を設けることは不可能であった。また、スクリューキャ
ップ内に装着される仕切り膜は、その賦形性、強度、弾
性、剛性および通気性が良好でありかつ鮮度保持剤の機
能を低下させることがない密閉性を付与できるものがな
いのが実情であった。

〔考案が解決しようとする課題〕

本考案の課題は、上記した従来技術の有する問題点に鑑
み、スクリューキャップ付き容器において、スクリュー
キャップの内側に容易に密閉性よくかつ鮮度保持機能を
損なうことなく仕切り膜を装着することである。

〔課題を解決するための手段〕

上記の課題を解決するための手段は、 保存物品を収納するスクリューキャップ付き容器におい
て、容器本体とスクリューキャップとの間に容器本体の
口部に適合する皿型の中蓋状仕切り膜であって容器本体
側へ凸状の鮮度保持剤収納部と該鮮度保持剤収納部の外
側に広がる円輪状の鍔部とから形成されたプラスチック
シートの賦形体からなる中蓋状仕切り膜を設けてなり、
前記仕切り膜の円輪状の鍔部の外径はスクリューキャッ
プの内径より大きくかつスクリューキャップを容器に螺
合したとき円輪状鍔部の外縁がスクリューキャップ内面
の上部平面部の最も近傍に位置する螺子山に達しない大
きさであり、前記仕切り膜の鮮度保持剤収納部には単数
または複数の突起部を設けかつ該突起部の膜厚を仕切り
膜の突起部以外の膜厚より小さくしてなり、仕切り膜の
酸素透過度を1,000〜30,000cc/m²・atm・24hr（25℃、6
0％RH）の範囲になるようにしたことである。

なお、上記解決手段において、仕切り膜は、プラスチッ
クシートの賦形体からなるものであり、容器密閉時に容
器本体とスクリューキャップとの間に嵌合される中蓋と
して設けられる。その形状は容器本体の口部に適合する
皿形であり容器本体側へ凸状の鮮度保持剤収納部と該鮮
度保持剤収納部の外側に広がる円輪状の鍔部とから形成
される。

仕切り膜の円輪状の鍔部の外径は、スクリューキャップ
の内径より大きくかつスクリューキャップを容器本体に
螺合したとき円輪状鍔部の外縁がスクリューキャップ内
面の上部平面部（実質的に蓋を形成する部位）の最も近
傍に位置する螺子山（最上位置の螺子山）に達しない大
きさに設定される。

仕切り膜の鮮度保持剤収納部には鮮度保持剤の保存物品
への作用を図るため通気性が付与される。仕切り膜を形
成するプラスチックシートに通気性を付与する手段は、
単数または複数の突起部を設けかつ該突起部の膜厚を仕
切り膜の突起部以外の膜厚より小さくしたことである。
仕切り膜全体の膜厚を薄くすることも考えられるが、仕
切り膜全体の膜厚を薄くすることは強度、弾性、剛性な
どが低下し賦形性の点から全く好ましくなく、仕切り膜
に突起部を設けかつその膜厚を薄くすることによって、
仕切り膜の賦形性、強度等を保持しつつ、好適に通気性
を付与することが可能となるのである。しかも、鮮度保
持剤と保存物品との隔離性、および鮮度保持効果を得る
ための通気性の確保に鑑み、仕切り膜の酸素透過度は1,
000〜30,000cc/m²・atm・24hr（25℃、60％RH）の範囲
になるように設定されたものである。

本考案の容器を物品保存に適用する態様を例示すれば、
スクリューキャップ用容器に予め所要の食品または医薬
品類等を充填後、容器口部に鮮度保持剤収納用仕切り膜
の円輪状鍔部を掛止することにより載置し、次に該仕切
り膜の皿型凹部に鮮度保持剤を投入し、しかる後スクリ
ューキャップを容器口部に嵌装する。スクリューキャッ
プを口部に嵌装することにより、スクリューキャップ内
部の螺子部上部空間に仕切り膜の円輪状鍔部の上記掛止
部分が入りで変形し、せり合って部分的に成形された状
態となり、該仕切り膜は鮮度保持剤を封入したままスク
リューキャップ内に完全に装着され、以後スクリューキ
ャップの開閉操作に関係なく仕切り膜はスクリューキャ
ップ内に固定、維持される。

〔作用〕

上記解決手段は、以下のように作用する。

本考案の容器では、仕切り膜として円輪状の鍔部を設け
たプラスチックシートの賦形体を用い、かつ該仕切り膜
に円輪状の鍔部が適切に設置されているため、仕切り膜
を容器本体の開口端に載置し鮮度保持剤を投入しスクリ
ューキャップを容器本体に螺合することによって物品を
好適に鮮度保持しうるものとなるとともに、再び開栓し
た際スクリューキャップに仕切り膜が固定され脱落する
ことがない。スクリューキャップ内部の螺子山上部空間
を利用して該仕切り膜の円輪状鍔部のスクリューキャッ
プの内径より大なる掛止部分を容器口部に載置してスク
リューキャップで一度嵌装することにより鮮度保持剤仕
切り膜をスクリューキャップ内に装着、固定することが
できる。

なお、仕切り膜は、スクリューキャップを容器本体に螺
合した際容器が密閉性を保つようにするパッキングとし
ての作用も有する。

また、本考案の容器では、仕切り膜の物品収納部が突起
部を設けるごとく賦形されているため、突起部の数、薄
みにより保存対象に応じた通気性を付与できるととも
に、鮮度保持剤と保存物品との隔離を完全にすることが
できる。

〔実施例〕

本考案の実施例を図面について説明する。

第１図は本考案の容器の一態様を示す断面図である。ま
た、第２図および第３図は本考案の容器を構成する仕切
り膜の一態様の断面図および平面図を表し、第４図はス
クリューキャップとともに容器に嵌装された状態の仕切
り膜を表すものである。

第１図の容器は、容器本体１と、それに螺合するスクリ
ューキャップ２と、該スクリューキャップ２の内側に嵌
合される仕切り膜３とからなる。第２図〜第４図は本考
案を形成する部材である仕切り膜３を表す。仕切り膜３
の形状は皿型でスクリューキャップ２の内径よりやや大
きな円輪状の鍔部34と鮮度保持剤収納部32とから形成さ
れている。この円輪状の鍔部34が瓶等のスクリューキャ
ップ付き容器に装着された場合スクリューキャップ２の
内部に仕切り膜３を装着保持する為の掛止部分となる。
そして、容器本体１にスクリューキャップ２を螺合した
場合、上記鍔部34はスクリューキャップ２の内面のわん
曲に沿って第４図に示すようにわん曲し、しかも鍔部の
外縁はスクリューキャップ螺子山より上方に位置してい
る。（第１図参照） 仕切り膜３の材料としては、強度、剛性および通気性が
良好で、しかも収納する鮮度保持剤の機能を低下させる
ことがなく、かつ、スクリューキャップによる封止時シ
ール効果が働いて密閉性が保持されるものが好ましい。
たとえば、ポリエチレンまたはポリプロピレン等、好ま
しくはポリプロピレンからなるプラスチックシートが用
いられる。このプラスチックシート材料の厚みは、仕切
り膜の強度および剛性さらに通気性を付与するために突
起部分を設ける際の賦形性、作業性を考慮すると、100
μ〜2,000μの範囲のものが好ましく用いられ、150μ〜
1,500μの範囲がより好ましい。

この仕切り膜に設けられる突起部36は、容器内部の保存
物品収納部側に凸であってもよく、凹であってもよい
が、賦形時の作業性、鮮度保持剤収納状態に鑑み凸に設
ける方が好ましい。また、突起部の形状に時に限定はな
いが、半球状、円柱状、蒲鉾状、角柱状または円錐状等
があげられるが、作業性から半球状または円柱状が好ま
しい。

上記突起部36の最薄部の厚みは、仕切り膜に良好な通気
性を付与するために、１〜10μが好ましく、２〜８μが
より好ましい。また、膜の厚みの薄い部分の面積は、仕
切り膜の通気性と強度、剛性とを考慮すると、鮮度保持
剤仕切り膜の表面積に対して膜厚が１〜10μである部分
の占める面積の割合が１〜50％の範囲であることが好ま
しく、２〜40％の範囲であることがより好ましい。

なお、プラスチックシートに単数または複数の突起部を
設けるごとく賦形するためには、たとえば、プラスチッ
クシートに部分的に突起部が設置されるように加熱成形
する方法が挙げられる。そしてかかるシート材料に加え
られる賦形または成形操作において突起部を設けるとと
もに、必要に応じて、鮮度保持剤を収納しうるように適
切な形状、厚みを賦形しようとするプラスチックシート
材料に与え、また得られる仕切り膜３に強度と剛性を持
たせることもできる。

容器はスクリューキャップにより密閉しうる構造となっ
ているものであり、たとえば金属、ガラス、プラスチッ
ク、紙とプラスチックとの積層体、セラミックス等から
なる容器が挙げられる。容器の形状は、たとえば円筒
状、角柱状等あり、特に限定されない。

鮮度保持剤収容空間４に収納される鮮度保持剤として
は、乾燥剤、防腐剤、防虫剤、脱臭剤、エチレン吸収
剤、脱酸素剤等が挙げられ、特に脱酸素剤が好ましい。
脱酸素剤としては、酸素を吸収する作用を有するもので
あれば特に限定されないが、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、
亜二チオン酸塩、第一鉄塩、ヒドロキノン、カテコー
ル、レゾルシル、ピロガロール、没食子酸、ロンガリッ
ト、アスコルビン酸および／またはその塩、イソアスコ
ルビン酸および／またはその塩、ソルボース、グルコー
ス、リグニン、ジブチルヒドロキシトルエンまたはブチ
ルヒドロキシアニソール等を含有する脱酸素剤、または
鉄粉等の金属粉を含有する脱酸素剤が用いられ、アスコ
ルビン酸および／またはその塩、イソアスコルビン酸お
よび／またはその塩、もしくは、鉄粉を含有する脱酸素
剤が好適に用いられる。これらのうち鉄粉を含有する脱
酸素剤が特に好ましく用いられる。さらに炭酸ガス発生
型脱酸素剤または炭酸ガス吸収型脱酸素剤等も用いるこ
とができる。賦形体に収納する脱酸素剤の形態は、特に
限定されないが、好ましくは、上記各脱酸素剤の組成物
の混合粉体のままのもの、脱酸素剤の組成物をタブレッ
ト状等に成形したものの、各種方法によりシート状とし
たもの、脱酸素剤の組成物を通気性包材からなる小袋に
充填包装したもの等が挙げられる。

〔特有の効果〕

本考案の容器は前記した構成を有するため以下のような
特有の効果を奏する。

本考案の容器では、容器口部に鮮度保持剤収納用仕切り
膜を載置し鮮度保持剤を仕切り膜の皿型凹部に投入した
後、スクリューキャップを嵌装することによって仕切り
膜を鮮度保持剤を封入した状態でスクリューキャップ内
に保持、固定することができる。

その上、既存のスクリューキャップ付き容器に対して簡
単に取りつけることができ、容器内容物の取り出し時に
おいても何ら支障をきたすことなく極めて便利である。

さらに、上記仕切り膜をスクリューキャップ内に装着、
固定させた場合、内容物の一部取り出し操作を繰り返し
行った場合でもスクリューキャップ内に装着、固定され
た仕切り膜は脱落することなく、かつ、仕切り膜内に隔
離された鮮度保持剤の残余の性能を働かせて容器内容物
の再度の鮮度保持を図れる等の利点を有している。

本考案の容器を用いると、固形、粒状、顆粒状の物品は
もとより、粉末、微粉末、液状、半液状練物等の物品の
鮮度保持を好適に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の容器の一態様を示す断面図である。第
２図および第３図は本考案の容器を構成する仕切り膜の
一態様の断面図および平面図を表す。第４図はスクリュ
ーキャップとともに容器に嵌装された状態の仕切り膜を
表す。 １……容器本体 11……容器口部 ２……スクリューキャップ ３……仕切り膜 32……鮮度保持剤収納部 34……円輪状鍔部 36……突起部 ４……鮮度保持剤収容空間

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】保存物品を収納するスクリューキャップ付
   き容器において、容器本体とスクリューキャップとの間
   に容器本体の口部に適合する皿型の中蓋状仕切り膜であ
   って容器本体側へ凸状の鮮度保持剤収納部と該鮮度保持
   剤収納部の外側に広がる円輪状の鍔部とから形成された
   プラスチックシートの賦形体からなる中蓋状仕切り膜を
   設けてなり、前記仕切り膜の円輪状の鍔部の外径はスク
   リューキャップの内径より大きくかつスクリューキャッ
   プを容器に螺合したとき円輪状鍔部の外縁がスクリュー
   キャップ内面の上部平面部の最も近傍に位置する螺子山
   に達しない大きさであり、前記仕切り膜の鮮度保持剤収
   納部には単数または複数の突起部を設けかつ該突起部の
   膜厚を仕切り膜の突起部以外の膜厚より小さくしてな
   り、仕切り膜の酸素透過度を1,000〜30,000cc/m²・atm
   ・24hr（25℃、60％RH）の範囲になるようにしたことを
   特徴とするスクリューキャップ付き容器。