JPH0644720A - 光ディスクのハブ取付方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ハブ取り付けによる光ディスクの機械特性の
悪化を防ぐ。 【構成】 円筒部とつば部を有する樹脂モールドタイプ
のハブにおいて、予めアニーリングしてからディスクに
接着する。 【効果】 ハブを成型した際の歪が緩和され、接着剤が
均一に分布し、機械特性の優れた光ディスクを提供する
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は光により情報の記録再生
を行うことができる光磁気ディスクに代表される光ディ
スクのハブ取付方法に関するものであり、とりわけ３．
５インチ光磁気ディスクのような単板構造のディスクに
対して使用されるインサート型ハブの取付方法に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】光ディスクは情報処理の分野において急
速に普及しつつある媒体である。なかでも光磁気ディス
クは書換え可能な記録媒体として期待されており、その
構造はおおよそ図１に示される。ポリカーボネート等の
プラスチック又はガラスからなるディスク基板11は、そ
の一方の面に予めグルーブと呼ばれる案内溝が形成され
ており、反対側が情報読み取り面とされている。該基板
のグルーブ面には記録膜13及びオーバーコート14が設け
られている。ディスク基板がプラスチックの場合には、
情報読み取り面は表面傷つき防止のためにハードコート
処理されることが多い。大容量の情報を処理する場合に
は、このような光ディスクを記録膜面を内側にして、ホ
ットメルト接着剤等で貼り合わせたタイプの光ディスク
が用いられる。

【０００３】光ディスクの中心位置には、光ディスク駆
動装置への調芯用クランプ部材であるハブ３が取り付け
られる。図１にはインサート型のハブが示されている
が、インサート型のハブは一般に３．５インチ光磁気デ
ィスクのような単板構造の光ディスクで使用される。
５．２５インチ光磁気ディスクのように貼り合わせ構造
をもつ大容量光ディスクの場合には、貼り合わせを行っ
た後に円盤型のハブが取り付けられることが多い。光デ
ィスクの記録再生時には、ハブは光ディスク駆動装置内
のスピンドルにクランプ固定され、そして該ハブの中心
に設けられた調芯用穴がスピンドルの調芯用シャフトに
嵌合することによって光ディスクの回転中心が決定され
る。そのため、ハブが光ディスクに接着固定されるとき
にハブの調芯用穴と光ディスクに設けられている案内溝
の中心との偏芯が大きくなると、光ディスク駆動装置の
動作時に光ピックアップがトラッキングエラーを起こ
す。光ピックアップのトラッキングが確実に行われるた
めには、光ディスクへのハブの取り付けが高精度になさ
れる必要がある。とりわけ情報転送速度の高速化に際し
ては光ディスクの高速回転が必要であり、高い偏芯精度
が要求されている。

【０００４】ハブの取り付け方法には超音波溶着法と紫
外線硬化樹脂等の接着剤を用いた方法とが一般に用いら
れている。前者は取り付けに要する時間が短く、生産性
において優れるが、後者は基本的にディスク基板やハブ
の材質として、様々な材料が使用可能となる点で有利で
ある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】図１に示されるインサ
ート型ハブには、メタル材質のものや磁性板を樹脂でモ
ールドしたタイプのものが用いられている。後者につい
て詳述すると、射出成型によってハブの円筒部に磁性板
が埋め込まれた形状をしており、つば部がディスクに接
着される。

【０００６】しかしながら、このような樹脂でモールド
されたハブをそのまま接着剤にてディスクに接着しよう
とすると、成型時の内部歪みのためにハブのつば部に波
うちや傾斜が生じるので接着剤のむらが発生し、ディス
クの機械特性が悪化する問題が起こっていた。その結
果、ディスク回転時の軸方向の振れ（AXIAL DEFLECTIO
N）の安定したディスクの製造が難しく、光ディスク駆
動装置で動作させた場合にフォーカスエラーが発生する
ことがあった。

【０００７】本発明が解決しようとする課題は、単板構
造の光ディスクにインサート型ハブを取り付ける際に、
機械特性の良好な光ディスクを製造できるハブ取付方法
を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、光ディスクの中心に紫外線硬化型接着剤を
用いてハブを取り付ける方法において、ハブが円筒部と
つば部とを有する合成樹脂製であって、かつ、予めアニ
ーリングしたものであることを特徴とする光ディスクの
ハブ取付方法を提供する。

【０００９】以下、本発明について詳細に説明する。

【００１０】本発明に用いられるハブは、樹脂で磁性板
がモールドされたタイプのインサート型ハブである。ハ
ブのつば部は０．５mm程度と薄く、水平に成型すること
が難しい。一般には円筒部とは逆方向に反ってしまった
り円周方向に波うつことが多い。このようなハブを接着
剤にてディスクに接着しようとすると、接着剤がむらに
なりやすくディスク表面に接着剤がはみ出す場合があ
る。さらにこれを硬化するとハブの内部歪がディスクに
影響し、ディスクの機械特性、とりわけ、AXIALDEFLECT
IONを増大させる。しかしながら、ハブを一旦アニーリ
ングすると内部歪が緩和され、つば部の波うちがなくな
る。アニーリング条件としては、温度は５０℃乃至１２
０℃が望ましい。さらに好ましくは７０℃乃至９０℃が
望ましい。高温すぎればハブをかえって変形させること
になり、低温ではアニーリングの効果が薄い。予めアニ
ーリングしたハブを光ディスクに接着すると、接着剤は
接着面に均一に分布することになり、接着剤硬化後の光
ディスクでは安定したAXIALDEFLECTIONが得られる。

【００１１】

【実施例】以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更
に詳細に説明する。

【００１２】（実施例１）３．５インチの光ディスク基
板（出光石油化学社製）の光入射面にハードコート剤
「ＥＸ−７０４」（大日本インキ化学工業製）を塗布
し、グルーブ面には光磁気記録膜としてＳｉＮ_x、Ｔｂ
ＦｅＣｏ、ＳｉＮ_x、Ａｌを順にスパッタリングにて製
膜した後、保護コート剤「ＳＤ−３０１」（大日本イン
キ化学工業(株)製）を塗布した。このディスクに対して
光ディスク用ハブ（加藤スプリング社製）を接着した。
ハブは予め８０℃で２時間アニーリングし、その後室温
で２日間放置した後に接着に用いた。接着剤には、３４
９（ロックタイト社製）を用いた。

【００１３】（実施例２）予め５０℃で２時間アニーリ
ングし室温で２日間放置したハブを、実施例１と同様に
して作成したディスクに接着した。

【００１４】（比較例）光ディスク用ハブの購入品を２
日間室温で放置し、実施例１と同様に作成したディスク
に接着した。

【００１５】これらハブ取付後の光磁気ディスクの機械
特性評価結果を表１に示す。

【００１６】

【表１】

【００１７】

【発明の効果】ハブを高温にてハブをアニーリングする
ことによりハブの接着部分の歪みが緩和され、接着剤が
均一に分布し、機械特性の安定した光ディスクが得られ
た。

【図面の簡単な説明】

【図１】一般的な光磁気ディスクの構造を示す縦断面図
である。

【符号の説明】 １ 光ディスク ３ ハブ ６ 光ピックアップ １１ ディスク基板 １２ ハードコート １３ 記録膜 １４ オーバーコート ３０ フライング磁気ヘッド

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 光ディスクの中心に紫外線硬化型接着剤
   を用いてハブを取り付ける方法において、ハブが円筒部
   とつば部とを有する合成樹脂製であって、かつ、予めア
   ニーリングしたものであることを特徴とする光ディスク
   のハブ取付方法。