JPH064466U - ディーゼルエンジン用メタルヘッドガスケット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 本考案は、ディーゼルエンジン用メタルヘッ
ドガスケットにおいて、シールに必要な環状ボアビード
部の全屈を防止するためのストッパーの設定位置に自由
性を与えるとともに、シリンダーヘッドと副燃焼室間に
発生する隙間のシールをなすことを目的とする。 【構成】 本考案は、環状ボアビード部８の内側３に位
置し、且つ燃焼室３の周縁との間にあって、燃焼室３並
びに副燃焼室２を平面的に囲む位置に溶射・溶接・接着
剤等によって耐熱性環状シール部９をメタルヘッドガス
ケット５の中間板７又は単板の片面又は両面に設けるこ
とにある。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、金属ガスケットに必要なボアビードの全屈防止用ストッパーの設定 位置に自由性を与え、又、副燃焼室とシリンダーヘッドの間に発生する隙間を完 全にシールすることを可能としたディーゼルエンジン用メタルヘッドガスケット に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、ディーゼルエンジン用メタルヘッドガスケットとしては図３並びに図４ で示されるようなものが一般的である。これらの図面で示されるメタルヘッドガ スケットは、ディーゼルエンジンの燃焼室ａ並びに副燃焼室ｂを平面的に囲む位 置、即ち図４の平面図で示す如き位置にボアビードとしての環状ビード部ｃを図 ３の如く作成し、且つ該ビード部ｃの内側に位置し、しかも副燃焼室ｂを横断す る位置で中間板ｄの折り返し部ｅが前記環状ビード部ｃの全屈防止のためのスト ッパーとして位置づけされている。このストッパー用の折り返し部ｅの平面配置 状態は、図４において符号ｅとして理解される。即ち、図３のｆとして示すシリ ンダーヘッドの中に組み込んだ副燃焼室ｂの中間を横切るような位置で、メタル ヘッドガスケットの折り返し部ｅによるストッパーが環状ビード部ｃに過重の面 圧を受けて発生する全屈を防止するための部分として位置しているわけである。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、このような従来のディーゼルエンジン用メタルヘッドガスケットにお いては、その環状ビード部ｃは、図５〜７並びに図８の如く、燃焼室であるシリ ンダーボアａ並びに副燃焼室ｂを囲む位置でこれらをシールするが、環状ビード 部ｃの全屈防止用折り返し部ｅは、前述の如く副燃焼室ｂを横切る結果、図５〜 ７の如く副燃焼室ｂとシリンダーヘッドｆとの間の隙間、即ち図中ｇ及びｇ′と して示す環状の隙間を横断する状態で配される為に、この隙間ｇ及びｇ′の全体 並びに非シール部ｈを囲む位置に折り返し部ｅがないことから図８の符号ｈで示 される非シール部分が発生し、、そのシール性において問題があるばかりでなく 、環状ビード部の全屈防止のためのストッパーとしての設定位置を自由に設定で きないという問題点があった。

【０００４】 本考案は従来のこのような問題点に鑑み、環状ボアビード部の全屈防止のため のストッパーの設定位置に自由性を与え、更に副燃焼室とシリンダーヘッドとの 間に発生する隙間を完全にシールするためのディーゼルエンジン用メタルヘッド ガスケットを提供せんとするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

前記本考案の目的は、単又は複数枚のメタルシートからなるメタルヘッドガス ケットにおける中間板又は単板におけるディーゼルエンジンの燃焼室並びに副燃 焼室を平面的に囲む位置に環状ビード部を作成するとともに前記ビード部の内側 に位置し且つ燃焼室の周縁との間にあって前記燃焼室並びに副燃焼室を平面的に 囲む位置に溶射・溶接・接着剤等による接合によって耐熱性環状シール部を前記 中間板の片面又は両面に設けてなるディーゼルエンジン用メタルヘッドガスケッ トによって達成される。

【０００６】

【作用】

以上の如く、本考案にかかるディーゼルエンジン用メタルヘッドガスケットは 、ディーゼルエンジンの燃焼室並びに副燃焼室を平面的に囲む位置に環状ビード 部があり、該環状ビード部の内側に位置し、且つシリンダーボアの周縁との間に あって前記燃焼室及び副燃焼室を平面的に囲む位置に耐熱性環状シール部を中間 板又は単板の片面又は両面に設けているので、単にこのメタルヘッドガスケット をディーゼルエンジンのシリンダーヘッドに固定するだけで、該耐熱性環状シー ル部は副燃焼室とシリンダーヘッドとの間の隙間の外側に位置させることができ 、且つこの位置は前記環状ビード部の内側に位置することから、環状ビード部が 上下からの過重な面圧を受けたときに全屈をすることが防止される上に、この耐 熱性環状シール部を設定する位置も該環状ビード部から内端までの間の自由な位 置に設定しえて、ストッパーとしての耐熱性環状シール部の設置位置に自由性を 与え、又前記隙間のシールを完全にするのである。

【０００７】

【実施例】

本考案の詳細を更に図示した実施例により説明する。図１〜３は本考案に係る メタルヘッドガスケットをディーゼルエンジンのヘッド部に取付けた状態の要部 断面説明図であり、図中１がシリンダーヘッド、２が副燃焼室であって、３が燃 焼室であるシリンダーボアである。又、４はシリンダーブロックであって、シリ ンダーヘッド１とシリンダーブロック４との間に本考案にかかるメタルヘッドガ スケット５が設けられている（なお、図示したものはヘッドガスケットを分解し た状態を端面図で示している）。このメタルヘッドガスケット５は、単又は複数 枚のメタルシートからなるものであって、図例のものは、２枚の表面板６、６と その間に位置する１枚の中間板７によって構成されている。図中８が従来のメタ ルヘッドガスケット５でも採用されている燃焼室３並びに副燃焼室２を囲む位置 に設定した環状ビード部８であって、このビード部８の内側に位置する９は、溶 射・溶接・接着剤等による接合によって設けられた耐熱性環状シール部９である 。

【０００８】 この耐熱性環状シール部９は、図示した例の如く、前記環状ビード部８の内側 に位置し、且つ燃焼室３の周縁との間にあって、燃焼室３並びに副燃焼室２を平 面的に囲む位置にあたる中間板７の片面又は両面に設けられている。通常、該耐 熱性環状シール部９としては、溶射で形成することが望ましいが、溶接、接着剤 等で接合されうる。

【０００９】 そして、その設定位置は、前記環状ビード部８と、シリンダーヘッド１並びに 副燃焼室２間の隙間10及び11との間に設定することが望まれるが、場合によって は従来の折り曲げ部によるストッパーの設定位置と同様な位置やその他内周端迄 の適宜な位置にも設定しうる。当然、このときには、前記シリンダーヘッド１と 副燃焼室２間の隙間10及び11を完全にシールすることは困難となる。このような 耐熱性環状シール部９を用いている結果、表面板６並びに中間板７からなる該メ タルヘッドガスケット５では、従来のメタルヘッドガスケット５のようにその中 間板７において、部分的な折り曲げによるストッパーを設ける必要はなく、単に 自由端又は積層端として設定しておくことは自由となる。尚、図１〜３のこれら の図面は、メタルヘッドガスケット５を理解し易くするために、分解した状態の 端面図をもって示している。

【００１０】 而して、このようなメタルヘッドガスケット５をディーゼルエンジンのヘッド ガスケット５として図１〜３の如く用いたときには、環状ビード部８は、従来の メタルヘッドガスケットと同様に、燃焼室３並びに副燃焼室２に対しシール効果 を発揮し、そしてこの環状ビード部８に与えられるボルト締めや他の過重な面圧 で環状ビード部８が全屈する場合があるときに、該耐熱性環状シール部９がその ストッパーとして支持効果を発揮し、環状ビード部８の全屈を防止すると同時に 、該シール部がシリンダーヘッド１と副燃焼室２間の隙間10及び11の外側で、し かも前記環状ビード部８の内側に位置して設けられているときには、該隙間10及 び11からのもれをも更に効率よく適切にシールし、本メタルヘッドガスケットの シール効果を高めるのである。

【００１１】

【考案の効果】

以上のような本考案に係るディーゼルエンジン用メタルヘッドガスケットによ れば、そのメタルヘッドガスケットの中間板の片面又は両面に溶射・溶接・接着 剤等による接合によって耐熱性環状シール部を設けてなるから、そのシール部を 設ける位置はビード部とシリンダーボアの周縁との間で自由に設定でき、メタル ヘッドガスケットとして採用する材料、厚み、又枚数等種々の条件に応じた位置 の選択に自由性を与えることができる。

【００１２】 又、該シール部の作成は溶射又は溶接等によって作成されるから、種々の複雑 な曲線であっても中間板の表面に形成することは比較的容易である。とりわけ、 溶射を利用した場合には、該シール部の作成は自由に設定でき、種々の形状に対 する適応性が高くなり、高いシール効果を期待できる。加えて該耐熱性環状シー ル部を前記環状ビード部とシリンダーヘッド並びに副燃焼室間に形成される隙間 との間に設定することで、該隙間からの洩れ防止をも期待できるのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るディーゼルエンジン用メタルヘッ
ドガスケットの配置状態を分解して示す要部断面説明図

【図２】本考案に係るディーゼルエンジン用メタルヘッ
ドガスケットの配置状態を分解して示す他の要部断面説
明図

【図３】本考案に係るディーゼルエンジン用メタルヘッ
ドガスケットの配置状態を分解して示す更に他の要部断
面説明図

【図４】図１における環状ビード部とシール部の平面配
置状態を示した説明図

【図５】従来のディーゼルエンジン用メタルヘッドガス
ケットの配置状態を分解して示す要部縦断面図

【図６】従来のディーゼルエンジン用メタルヘッドガス
ケットの配置状態を分解して示す他の要部縦断面図

【図７】従来のディーゼルエンジン用メタルヘッドガス
ケットの配置状態を分解して示す更に他の要部縦断面図

【図８】図５における環状ビード部と折り曲げ部による
ストッパーの平面配置状態を示す説明図

【符号の説明】

１ シリンダーヘッド ２ 副燃焼室 ３ 燃焼室 ４ シリンダーブロック ５ メタルヘッドガスケット ６ 表面板 ７ 中間板 ８ 環状ビード部 ９ 耐熱性環状シール部 10 隙間 11 隙間

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 単又は複数枚のメタルシートからなるメ
   タルヘッドガスケットにおける中間板又は単板における
   ディーゼルエンジンの燃焼室並びに副燃焼室を平面的に
   囲む位置に環状ビード部を作成するとともに前記ビード
   部の内側に位置し且つ燃焼室の周縁との間にあって前記
   燃焼室並びに副燃焼室を平面的に囲む位置に溶射・溶接
   ・接着剤等による接合によって耐熱性環状シール部を前
   記中間板の片面又は両面に設けてなるディーゼルエンジ
   ン用メタルヘッドガスケット。