JPH0642677Y2 - 電動式搾乳器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、産婦の乳房から母乳を搾乳するための電動式
搾乳器に関し、特に電動式負圧源への母乳の流入を防止
するチェックバルブに係る。

［従来の技術］ 従来の電動式搾乳器としては、例えば特公昭59−41364
号公報に記載されているようなものがある。

このものは、ボトルと、電動機構でダイヤフラムを振動
させることにより空気を吸引してボトル内を負圧にする
電動式吸引部と、側方に開口したラッパを有する吸乳部
とを備え、これら吸引部と吸乳部とボトルとを上下方向
に連通したことを特徴としている。

［考案が解決しようとする問題点］ しかしながら、上記従来の電動式搾乳器にあっては、空
気吸入口を介してボトルとダイヤフラムとを連通する構
造となっていたため、例えば搾乳した母乳をボトル内に
溜めた状態で本搾乳器を転倒させると、ボトル内の母乳
が空気吸入口を通ってダイヤフラム内に流れ込むことが
ある。このようにダイヤフラム内に母乳が流れ込むと、
流入した母乳を完全に洗浄・除去することができないた
め、残った母乳が雑菌の巣となり、カビが発生して不衛
生になるという問題点があった。

本考案は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので
あり、吸引動作時は弁を開き、吸引動作を中止した時に
は直ちに弁を閉じる構造とすることにより上記問題点を
解決することを目的としている。

［問題点を解決するための手段］ 上記目的を達成するため、本考案は、容器及び搾乳カッ
プ内を電動式負圧源により負圧にして母乳を搾乳する電
動式搾乳器において、前記容器又は前記搾乳カップと前
記電動式負圧源との間に、搾乳した前記母乳の電動式負
圧源側への流入を阻止するフランジ部、筒体および半球
殻部分を有するゴム状弾性体から成り、前記半球殻部分
にスリットを有するチェックバルブを設けたことを特徴
としている。

［作用］ 而して、本考案では、電動式負圧源の作動により発生し
た負圧がチェックバルブに作用すると、チェックバルブ
が開いて負圧が容器及び搾乳カップ側に作用し、これに
より搾乳動作が行われる一方、吸引動作を中止後本搾乳
器を転倒させる等によってボトル内の母乳がチェックバ
ルブに流れ込んでも当該チェックバルブは閉じた状態を
保持するため、その母乳が電動式負圧源に流入するのを
阻止することができる。

［実施例］ 次に、本考案の実施例について図面を参照して説明す
る。

第１図は、本考案の一実施例を示す一部を断面した説明
図、第２図は、本考案に係るチェックバルブの一例を示
す斜視図であり、第３図及び第４図は、その動作を説明
するための夫々断面図である。

まず、構成を説明すると、図中１は搾乳カップであり、
ラッパ状に拡開した乳当部２と、この乳当部２の基端に
連続して一体に形成したキャップ部３とからなり、キャ
ップ部３の斜め上方に乳当部２が延びている。

キャップ部３は、同心に配置した外筒４及び内筒５と、
両筒4,5を上端部にて連結し且つ液路６を有する上面板
７とからなり、外筒４の内側にはメネジを設けており、
この外筒４に、搾乳瓶等の容器８のオネジを設けた容器
口９を螺合している。10は、パッキンである。

また、キャップ部３の内筒５には連結部材11のテーパ軸
部12を挿入し、これにより連結部材11をキャップ部３に
着脱自在に構成している。連結部材11は、テーパ軸部12
に一端が開口する貫通路13を有し、その貫通路13の他端
には当該貫通路13よりも大径の嵌合穴14を設けている。
そして嵌合穴14には、連通路15を有する取付部材16の軸
部17を嵌合し、これにより取付部材16を連結部材11に連
結して固定している。

20は、取付部材16と連結部材11との間に介在したチェッ
クバルブである。このチェックバルブ20は、第２図に拡
大して示すように、一端を半球殻状にして閉じた筒体21
と、この筒体21の開口側に設けたフランジ22とを有し、
これらはゴム或は軟質プラスチック等からなるゴム状弾
性体により一体に形成しているとともに、その半球殻部
分には十文字状をなすスリット23を形成している。そし
て、筒体21を取付部材16側に向け、その軸部17の先端と
嵌合穴14の底部とでフランジ22を挟みつけ、これにより
チェックバルブ20を固定している。

上記取付部材16には電動式負圧源18が連結され、その接
続部19を連通路15と接続することにより、電動式負圧源
18の作動によって作られた負圧が連通路15及び貫通路13
を経て容器８及び搾乳カップ１内に供給される。なお、
電動式負圧源18は、例えば電動モータ、ダイヤフラム式
吸引ポンプ等を有して構成される。

また、前記貫通路13には一端が外部に開口する通路24を
連通し、その通路24に関連して、連結部材11には圧力調
整手段25を設けている。圧力調整手段25は、搾乳カップ
１及び容器８内の負圧の大きさを自由に調整することが
できる圧力調整機構と、即時に外気を流入して搾乳カッ
プ１内の負圧を解放することができる圧力解放機構とを
有している。

次に、本実施例の動作について説明する。

電動式負圧源18が不作動状態にある時、チェックバルブ
20は第３図に示すように、筒体21内外の圧力の均衡によ
りスリット23を閉じている。

この状態から電動式負圧源18を作動すると、それによっ
て作られた負圧が、連通路15内において筒体21の外側か
らチェックバルブ20に作用する。これにより、筒体21内
外の圧力バランスがやぶれ、その圧力差により筒体21、
特に先端の半球殻部分が第４図に示すように弾性変形し
て外側に開くため、その負圧が当該チェックバルブ20及
び貫通路13を経て容器８及び搾乳カップ１内に作用す
る。

かかる電動式搾乳器の、搾乳カップ１の乳当部２を乳房
に当てると、当該搾乳カップ１内の負圧により乳房が吸
引されて母乳が流出する。流出した母乳は、乳当部２か
ら液路６を経て容器８内に流れ込み、当該容器８に貯留
される。

ここで、吸引動作中止後容器８に母乳が入った状態の本
電動式搾乳器を誤って転倒させることにより、その容器
８内の母乳が貫通路13内に流れ込むと、その母乳の流れ
はチェックバルブ20に達したところで停止する。このよ
うに貫通路13内に入り込んだ母乳の流動圧は小さなもの
であるため、その圧力によって母乳がチェックバルブ20
のスリット23を押しあけて連通路15内に入り込むことが
ない。

これにより、母乳が電動式負圧源18のダイヤフラム式吸
引ポンプ等の内部に入り込むのを防止することができ、
そのため母乳の付着に起因して当該ポンプ等に雑菌が付
いてカビを発生させることがない。また、電動式負圧源
18の金属部分にサビを生じさせることがないから、吸引
力の低下や作動不良等の機械的トラブルの発生を防止す
ることができる。さらに、チェックバルブ20の作動に
は、それ自体が持つ弾性により常に復元力が働いて微細
な振動を発生させるため、これが乳房を刺激して母乳の
出を活発にさせることができる。

なお、上記実施例では、容器８と電動式負圧源18との間
にチェックバルブ20を設ける例について説明したが、こ
れに限定されるものではなく、搾乳カップ１と電動式負
圧源18との間にチェックバルブ20を設ける構造としても
よいことは勿論であり、そのように構成することによっ
ても上記実施例と同様の効果を得ることができる。

［考案の効果］ 以上説明してきたように、本考案によれば、容器又は搾
乳カップと電動式負圧源との間にチェックバルブを設け
る構造としたため、吸引動作中止後誤って本搾乳器を転
倒させたような場合にも、搾乳した母乳が電動式負圧源
のダイヤフラム等に流れ込むのを防止することができ、
これにより母乳の付着によるカビの発生等の不衛生を防
ぐことができる。しかも、前後が電動式負圧源のダイヤ
フラム、その他の電気機器に付着して短絡を起したりサ
ビを生じさせることがないから、作動不良や吸引力の低
下等の機械的・電気的トラブルの発生を防ぐことができ
るという効果が得られる。また、チェックバルブの開閉
動作によって微細な振動が発生し、その振動が乳房を刺
激して母乳の出を活発にさせ、搾乳量の増加を図ること
ができるという効果も得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す一部を断面した正面
図、第２図は本考案に係るチェックバルブの一例を示す
斜視図、第３図はそのチェックバルブの閉状態を示す断
面図、第４図は同じく開状態を示す断面図である。 1:搾乳カップ、8:容器 11:連結部材、13:貫通路 14:嵌合穴、15:連通路 16:取付部材、18:電動式負圧源 20:チェックバルブ、21:筒体 22:フランジ、23:スリット

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】容器及び搾乳カップ内を電動式負圧源によ
   り負圧にして母乳を搾乳する電動式搾乳器において、前
   記容器又は前記搾乳カップと前記電動式負圧源との間
   に、搾乳した前記母乳の電動式負圧源側への流入を阻止
   するフランジ部、筒体および半球殻部分を有するゴム状
   弾性体から成り、前記半球殻部分にスリットを有するチ
   ェックバルブを設けたことを特徴とする電動式搾乳器。