JPH0642660Y2 - 医療用小型光照射器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、例えば歯科治療用のコンポジットレジンを硬
化させるために使用される医療用小型光照射器に関する
ものである。

〔従来技術とその問題点〕

光硬化型のレジンは、各種の用途に使用されているが、
そのひとつとして、歯科治療用に光硬化型のコンポジッ
トレジンが使用されている。これは、患部にコンポジッ
トレジンを充填し、所定の波長の光を照射して硬化させ
るものである。また、最近では、主として前歯にコンポ
ジットレジンをコートし、光を照射して硬化させること
も行われている。このレジンを硬化させるために使用さ
れる医療用小型光照射器は、合成樹脂製の本体ケースの
内部に、光源部と、この光源部よりの光を波長選択的に
前方に放射させる光放射部が保持されている。そして、
光源部の光源ランプからの直接光およびコールドミラー
からの反射光が、光放射部のフィルター保持具に保持さ
れた熱線吸収フィルタおよび紫外線カットフィルターに
導かれ、これらのフィルターを透過した光が光ファイバ
ーを束ねたライトガイドにて患部に導かれるようになっ
ている。

ところで、この医療用小型光照射器は、当初は主として
奥歯の患部に充填されたコンポジットレジンを硬化させ
るために使用されていたので、外径が8mmφ程度の細く
て長いライトガイドを取り付けて使用していたが、最近
では、前歯にコートされたコンポジットレジンを硬化さ
せるために、広い面積を照射できる外径が13mmφ程度の
太くて短いライトガイドも使用するようになった。つま
り、当初の医療用小型光照射器は、8mmφ程度の細いラ
イトガイド専用であったが、最近の医療用小型光照射器
は、両方のライトガイドを取り付け可能であるのが好ま
しい。このため、例えば、細いライトガイドの基端部に
筒部材を固着して太いライトガイドと同径にして交換可
能にしている。しかし、細いライトガイドの基端部を太
いライトガイドと同径にすると、この細いライトガイド
を当初の医療用小型光照射器に取り付けることができな
い。つまり、当初の医療用小型光照射器と最近の医療用
小型光照射器の間で細いライトガイドの互換性がない不
具合があった。

〔考案の目的〕

そこで本考案は、細いライトガイド専用の医療用小型光
照射器と細いライトガイドと太いライトガイドを交換可
能な医療用小型光照射器の間で細いライトガイドの互換
性があり、かつ交換が簡単で確実に取り付けることが可
能な医療用小型光照射器を提供することを目的とする。

〔考案の構成とその作用〕

本考案の構成は、合成樹脂製の本体ケースの内部に、光
源部と、この光源部よりの光を波長選択的に前方に放射
させる光放射部が保持され、本体ケース先端の口金に着
脱自由に嵌着された光ファイバー製の第１ライトガイド
により光を所定の方向に導く医療用小型光照射器におい
て、口金に直接嵌着される第１ライトガイドよりも細径
の第２ライトガイドはアダプターを介して口金に嵌着さ
れ、アダプターを口金に嵌着すると、口金に取り付けら
れたＵ字状の第１バネがアダプターの外周に形成された
溝に係合して位置決めされるとともに、第２ライトガイ
ドをアダプターに嵌着するとアダプターに取り付けられ
たＵ字状の第２バネが同じく第２ライトガイドの外周に
形成された溝に係合して位置決めされ、第２ライトガイ
ドのアダプターへの嵌着力が、アダプターの口金への嵌
着力よりも大きいことを特徴とするものである。

すなわち、アダプターを介して細径の第２ライトガイド
を口金に嵌着するようにしたので、細いライトガイド専
用の医療用小型光照射器には、アダプターを第２ライト
ガイドから外せば取り付け可能であり、互換性がある。
そして、口金とアダプターおよびアダプターと第２ライ
トガイドは、いずれも一方に取り付けられたＵ字状のバ
ネが他方の溝に係合するので正確に位置決めされる。ま
た、第２ライトガイドのアダプターへの嵌着力がアダプ
ターの口金への嵌着力よりも大きいので、照射器から大
きく突出する第２ライトガイドを引き抜くと、照射器か
らわずかしか突出しないアダプターが口金と分離し、そ
れから第２ライトガイドをアダプターを分離するので、
取り扱いが非常に容易である。

〔実施例〕

以下に図面に示す実施例に基いて本考案を具体的に説明
する。

第１図において、本体ケース10は、合成樹脂にて射出成
形された小型で軽量なものであるが、前ケース11と後ケ
ース12の二分割型であり、光源部20と光放射部30が内蔵
される部分が砲弾型をしており、後ケース12の下方に握
り部14が一体に連設されたハンディータイプである。前
ケース11にはスリット状の冷却風吸入孔13が形成され、
握り部14に取付けられた送風機40が作動すると、この冷
却風吸入孔13から冷却風が入り、光源部20および光放射
部30を冷却する。

光源部20は、光源ランプ21として、例えば定格が24V,10
0Wのハロゲンランプが使用されているが、この光源ラン
プ21は、赤外線を吸収する碗状のコールドミラー22で取
り囲まれている。後カバー29の底部には、ソケット23が
固定されており、コールドミラー22の頂部に取付けられ
たベース25がソケット23に螺着されている。コールドミ
ラー22は、ランプカバー24で覆われている。このランプ
カバー24は有底筒状であり、その前面に光通過用の開口
24aが設けられており、ビス32によってフィルター保持
具31、そして前ケース11に固定されている。開口24aと
コールドミラー22の開口縁の間には、内面に鏡面処理が
施されたテーパー筒状の反射部材26が介装され、開口24
aとコールドミラー22の間の空間がこの反射部材26によ
って覆われている。そして、光源ランプ21は、電源ケー
スから伸びる中継コード（図示せず）によって通電さ
れ、手元スイッチ27を操作して点灯させる。そして、光
源ランプ21が点灯すると、10秒間隔でブザー（図示せ
ず）が鳴り、照射時間が分かるようになっている。握り
部14にはサーモスタット28が内蔵されており、長時間光
源ランプ21を点灯して雰囲気温度が80℃以上になると、
サーモスタット28が働いて手元スイッチ27が開き、光源
ランプ21が消灯するようになっている。更には、温度ヒ
ューズ（図示せず）が取付けられており、何らかの異常
のためにサーモスタット28が働かず、雰囲気温度が139
℃以上になると、温度ヒューズが切れて光源ランプ21が
消灯する安全回路が付加されている。

つぎに、光放射部30は、ランプカバー24の開口24aを通
過した光を波長選択的に前方に放射させるものである
が、フィルター保持具31には２枚の熱線吸収フィルター
34とその前方に紫外線カットフィルター35が重ねて配置
されている。この熱線吸収フィルター34は、波長が550n
m以上の光を吸収し、紫外線カットフィルター35は、波
長が400nm以下の光を反射する特性を有するものであ
り、波長が400〜550nmの光がこれらのフィルター34,35
を透過するようになっている。これは、歯科治療用のコ
ンポジットレジンが波長が470nm前後の光によって硬化
するが、400nm以下の波長の短い紫外線は人体に有害で
あり、熱線吸収フィルター34の前方に紫外線カットフィ
ルター35が配置されているのは、紫外線カットフィルタ
ー35が熱線によって破損しないようにするためである。

前カバー11の先端には口金50が配置されており、第１図
は外径が13mmφの太い第１ライトガイド60が口金50に直
接嵌着された例を示す。口金50は、第２図と第３図に示
すように、外周に首部52が形成され、この首部52に一対
の切欠き51が対向して形成されており、この切欠き51に
よって口金50の内部孔53が外部と連通している。第１バ
ネ91は、第６図に示すように、Ｕ字状をしており、この
第１バネ91が口金50の首部52に嵌め込まれている。従っ
て、第７図に示すように、第１バネ91が切欠き51から口
金50の内部孔53に突出している。また、口金50の内部孔
53にＯリング54が嵌め込まれ、第１ライトガイド60を嵌
着したときのガタツキと光の漏れを防止するようになっ
ている。一方、第１ライトガイド60は、直径が150μｍ
の光ファイバーを例えば2000本程度束ねたものであり、
その基端部にはステンレス管61が取り付けられ、このス
テンレス管61に円周方向の溝62が形成されている。従っ
て、第１ライトガイド60のステンレス管61を口金50の内
部孔53に挿入すると、内部孔53に突出している第１バネ
91が溝62に係合し、第１ライトガイド60が位置決めされ
るとともに確実に嵌着される。そして、コールドミラー
22から反射する円錐状の光束は、第１ライトガイド60に
導かれて所定範囲を照射する。また、第１ライトガイド
60を取り外すときは第１ライトガイド60を引き抜けばよ
く、第１バネ91と溝62の係合が解除されて容易に取り外
すことができる。

次に、第１ライトガイド60よりも細径の第２ライトガイ
ド70を取り付ける構造を説明する。第４図と第５図に示
すように、アダプター80は、口金50と同様に、外周に首
部82が形成され、この首部82に一対の切欠き81が対向し
て形成されており、この切欠き81によってアダプター80
の内部孔83が外部と連通している。そして、アダプター
80の大径部86の外径は口金50の内部孔53の内径に等し
く、この大径部86に円周方向の溝85が形成されている。
第２バネ92は、第１バネ91と同様にＵ字状をしており、
この第２バネ92がアダプター80の首部82に嵌め込まれて
いる。従って、第８図に示すように、第２バネ92が切欠
き81から内部孔83に突出している。また、アダプター80
の内部孔83にもＯリング84が嵌め込まれ、第２ライトガ
イド70を嵌着したときのガタツキと光の漏れを防止する
ようになっている。一方、第２ライトガイド70は、外径
が8mmφであり、奥歯治療用であるが、その基端部には
ステンレス管71が取り付けられ、このステンレス管71に
円周方向の溝72が形成されている。従って、第２ライト
ガイド70のステンレス管71をアダプター80の内部孔83に
挿入すると、内部孔83に突出している第２バネ92が溝72
に係合し、第２ライトガイド70が位置決めされるととも
に確実に嵌着される。次に、このアダプター80を口金50
の内部孔53に挿入すると、内部孔53に突出している第１
バネ91が溝85に係合し、アダプター80が位置決めされる
とともに確実に嵌着される。つまり、細径の第２ライト
ガイド70は、アダプター80を介して口金50に正確な位置
で確実に嵌着される。そして、コールドミラー22から反
射する円錐状の光束は、第２ライトガイド70に導かれて
所定範囲を照射する。ここで、第２ライトガイド70のア
ダプター80への嵌着力が、アダプター80の口金50への嵌
着力よりも大きくなっている。従って、第２ライトガイ
ド70を取り外すときは、先ず、前カバー11から大きく突
出する第２ライトガイド70を持って引き抜くと、アダプ
ター80が口金50から外れ、次に第２ライトガイド70をア
ダプター80から分離すればよいので、極めて容易に第２
ライトガイド70を取り外すことができる。そして、この
第２ライトガイド70を細径のライトガイド専用の医療用
小型光照射器にも取り付けることができ、互換性が確保
される。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案の医療用小型光照射器は、
アダプターを介して細径のライトガイドを口金に嵌着し
たので、細径のライトガイドの互換性が確保されるが、
口金とアダプターおよびアダプターとライトガイドは、
いずれも一方に取り付けられたＵ字状のバネが他方の溝
に係合するようにしたので、ライトガイドが正確に位置
決めされて容易に交換することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は医療用小型光照射器の断面説明図、第２図は口
金の側面図、第３図は第２図のIII−III線での断面図、
第４図はアダプターの側面図、第５図は第４図のＶ−Ｖ
線での断面図、第６図は第１バネの正面図、第７図と第
８図は嵌着構造の説明図である。 10…本体ケース、11…前ケース、12…後ケース 20…光源部、21…光源ランプ、22…コールドミラー、27
…手元スイッチ、28…サーモスタット 30…光放射部、31…フィルター保持具、34…熱線吸収フ
ィルター、35…紫外線カットフィルター 50…口金、51…切欠き、52…首部、53…内部孔 60…第１ライトガイド、70…第２ライトガイド、62,72
…溝 80…アダプター、83…内部孔、85…溝 91…第１バネ、92…第２バネ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】合成樹脂製の本体ケースの内部に、光源部
   と、この光源部よりの光を波長選択的に前方に放射させ
   る光放射部が保持され、本体ケース先端の口金に着脱自
   由に嵌着された光ファイバー製の第１ライトガイドによ
   り光を所定の方向に導く医療用小型光照射器において、 該口金に直接嵌着される第１ライトガイドよりも細径の
   第２ライトガイドはアダプターを介して口金に嵌着さ
   れ、 該アダプターを口金に嵌着すると、該口金に取り付けら
   れたＵ字状の第１バネが該アダプターの外周に形成され
   た溝に係合して位置決めされるとともに、第２ライトガ
   イドをアダプターに嵌着するとアダプターに取り付けら
   れたＵ字状の第２バネが同じく第２ライトガイドの外周
   に形成された溝に係合して位置決めされ、 該第２ライトガイドのアダプターへの嵌着力が、アダプ
   ターの口金への嵌着力よりも大きいことを特徴とする医
   療用小型光照射器。