JP2004275276A - ファイバーロッド及び光照射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】一様な照射光を照射させる。
【解決手段】歯科用光照射装置100は、複数の発光ダイオードからの光を第1レンズ111、第2レンズ12及び第3レンズ13を介してライトガイド20の入射面20Aに結像させる。この像は第1ロッド21によってボケ、その後、第2ロッド22に導かれる。このため、出射面20Bから照射される光は、複数のスポット光に分割されることなく、一様な光となる。
【選択図】 図1
【解決手段】歯科用光照射装置100は、複数の発光ダイオードからの光を第1レンズ111、第2レンズ12及び第3レンズ13を介してライトガイド20の入射面20Aに結像させる。この像は第1ロッド21によってボケ、その後、第2ロッド22に導かれる。このため、出射面20Bから照射される光は、複数のスポット光に分割されることなく、一様な光となる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ファイバーロッド及びこれを用いた光照射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
歯科保存修復用の歯科材料として光重合型レジンが普及している。光重合型レジンは、患者の口腔内の歯牙に充填され、光照射装置から照射される光によって硬化される。このような光照射装置として、ハロゲンランプやキセノンランプを光源として用いるものの他、複数の発光ダイオードを備えたものが知られている。
【0003】
特許文献1には、複数の発光ダイオードを備え、これらの発光ダイオードから照射される光を集光させて、光ファイバーを介して出力する装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特許第2979522号公報(図2)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、光ファイバーには、1本のファイバーからなるクラッドロッド型のものと、複数のファイバーを束ねたファイバーアレイ型のものがある。クラッドロッド型は、湾曲させると入射光が乱反射して減衰率が大きくなる。
【0006】
歯科用の光照射装置は、その先端を患者の口腔内に差し入れて歯牙に光を照射する必要があるので、光ファイバーの一部を湾曲させることが多い。このため、光照射装置では光ファイバーとしてファイバーアレイ型を採用するのが一般的である。
【0007】
しかしながら、複数の発光ダイオードのように複数の点光源から照射される光線をファイバーアレイ型の光ファイバーを用いて導光すると、照射光が入光部20Aにおける光の分布を反映させたものとなる。図8は、複数の発光ダイオードからの光をファイバーアレイ型の光ファイバーを介して出力する様子を示す説明図である。この図に示すように照射光は、複数のスポット光S1、S2、…に分割されてしまう。
【0008】
このため、被照射物に一様に光を照射することができず、光が当たる部位と光が当たらない部位が生じる。歯科用の光照射装置は光重合型レジンに光を照射することにより光重合型レジンを硬化させるものであるから、ファイバーアレイ型の光ファイバーを用いると、光重合型レジンの中に硬化された部位と未硬化の部位が出てきて、一様に硬化させることができないといった不都合が生じる。
【0009】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、複数の点光源からの光を低い減衰率で導光し、且つ、照射光を一様とすることができるファイバーロッド又はこれを用いた光照射装置を提供することを解決課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以下、本発明の課題を解決するための手段について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0011】
本発明に係るファイバーロッド(20)は、高屈折率のコア(C1)と前記コアを覆う低屈折率のクラッド(C2)とを備えたファイバーを用いて、入射面(20A)に入射した光を導光して出射面(20B)から出射するものであって、一方の端部が前記入射面(20A)となる1本のファイバーを有する第1ロッド(21)と、複数の前記ファイバーを有し、前記第1ロッド(21)の他方の端部から出た光を一方の端部から取り込み前記出射面(20B)となる他方の端部から出射する第2ロッド(22)とを備えたことを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、入射側にクラッドロッド型の第1ロッドを設け、出射側にファイバーアレイ型の第2ロッドを備える。クラッドロッド型の第1ロッドは、入射光を拡散させて第2ロッドへ導くため、出射面から照射される光に広がりをもたせることができる。これにより、入射光が複数の点光源からの光であっても、照射光が複数のスポット光に分割されることなく、一様な照射光を得ることが可能となる。
【0013】
ここで、前記第1ロッド(21)は直線状の形状をしており、前記第2ロッド(22)は湾曲部(23)を有することが好ましい。ファイバーアレイ型はクラッドロッド型に比較して湾曲によって減衰率が増加し難いので、第2ロッドに湾曲を設けることによって、入射光を低い減衰率で導光することが可能となる。
【0014】
次に、本発明に係る光照射装置は、複数の発光ダイオード(D1〜D8)と、上述したファイバーロッド(20)と、前記複数の発光ダイオードから照射される光を前記入射面(20A)に集光させる光学系(111、12、13)とを備える。この場合、入射面は光学系の一方の焦点近傍に配設することが好ましい。
【0015】
この発明によれば、複数の点光源からの光を低い減衰率で導光し、且つ、照射光を一様とすることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態においては、光照射装置の一例として、光重合型レジンを硬化させるための歯科用光照射装置を取り上げる。
【0017】
図1は、実施形態に係る歯科用光照射装置の構成を示す断面図である。歯科用光照射装置100は、本体10とその端部に設けられたライトガイド20とを備える。本体10は砲弾型やペンシル型などの形状をしており、そこには図示したようにグリップ10Aが設けられている場合もある。本体10やグリップ10Aには操作スイッチ等が設けられており(図示略)、歯科医が本体10やグリップ10Aを保持しながら照射のオン・オフを操作できるようになっている。
【0018】
また、本体10は、LED発光部11、第2レンズ12、及び第3レンズ13を内蔵する。LED発光部11は、第1レンズ111及び複数の発光ダイオードが配設されたLEDパッケージ112を有する。LEDパッケージ112に設けられた発光ダイオードは点光源として機能する。
【0019】
一方、ライトガイド20(ファイバーロッド)は、光伝送損失が少ないガラス製光ファイバー又はプラスチック製光ファイバーなどを備える。このライトガイド20の先端側は口腔内の歯牙に充填される光重合型レジンに光を照射し易くするため、図示するように若干湾曲していることが好ましい。このライトガイド20は、その入射面20Aに入射する光を出射面20Bから出射する導光部として機能する。
【0020】
図2は、ライトガイド20の外観構成を示す斜視図である。この図に示すようにライトガイド20は、クラッドロッド型の第1ロッド21とファイバーアレイ型の第2ロッド22とを連結して構成される。図3(A)に第1ロッド21の断面を、同図(B)に第2ロッド22の断面を示す。
【0021】
第1ロッド21は1本のファイバーによって構成されており、高屈折率のコアC1とコアC1を覆う低屈折率のクラッドC2を備える。屈折率の異なる二つの透光性物質の境界面では、一定の角度以内の光は完全に反射される。ファイバーは全反射の性質を利用して光を導光する。第2ロッド22は複数のファイバーFを束ねて構成される。各ファイバーFは第1ロッド21に用いられるものと同様にコアC1とこれを覆うクラッドC2とを備える。
【0022】
図2に説明を戻す。ライトガイド20は、患者の口腔内に差し入れて作業がし易いように湾曲部23を有する。湾曲部23を第2ロッド22に設けたのは、ファイバーアレイ型の第2ロッド22は、クラッドロッド型の第1ロッド21と比較して、湾曲に対する減衰率の増加が少ないからである。これによって、入射光を低い減衰率で導光することが可能となる。
【0023】
このような歯科用光照射装置100において、複数の発光ダイオードから照射された光は、第1レンズ111、第2レンズ12、及び第3レンズ13で構成される光学系によって、ライトガイド20の入射面20Aに集光され、ライトガイド20を介してその出射面20Bから出射される。
【0024】
光学系の態様としては各種のものがあるが、本実施形態では、代表的な2つの態様について説明する。図4は、第1態様に係る光学系の光跡を示す説明図である。この図に示されるように、LEDパッケージ112の直近に配設される第1レンズ111は、その入射面及び出射面が凸形状をした凸レンズである。また、第2レンズ12は入射面が平面である一方、出射面が凸形状をした凸レンズである。なお、この例において、第1レンズ111の出射面は非球面、第2レンズ12の出射面は球面である。
【0025】
第1レンズ111及び第2レンズ12は、LEDパッケージ112に配設された複数の発光ダイオードからの光を光軸に対して略平行な光に変換する機能を有する。ところで、第1レンズ111のみを用いて、平行光線を作ることも可能であるが、そのような場合は、第1レンズ111の入射面及び出射面の曲率を大きく設定する必要があるため、第1レンズ111の出射面において内部反射される光が増加し、光の利用効率が低下する。このため、本実施形態では、第1レンズ111と第2レンズ12とで光の屈折を分担させることによって、第1レンズ111の出射面における内部反射を防止している。これにより、光の利用効率を大幅に高めることができ、歯科用光照射装置100を小型で大出力のものにできる。
【0026】
第3レンズ13は、入射面が球面で出射面が平面の凸レンズである。これにより、第3レンズ13に入射する光軸に略並行な光がライトガイド20の入射面20Aに集光される。ここで、LEDパッケージ112は、光学系の第1焦点より少し内側(第1レンズ111寄り)に配置され一方、ライトガイド20の入射面20Aは、光学系の第2焦点に配置される。このため、光軸から離れた位置に配置された発光ダイオードから照射される光も入射面20Aに集光させることができる。
【0027】
さて、ライトガイド20の入射面20Aは光学系の第2焦点に配置されるため、入射面20Aで像を結ぶ。この像には、LEDパッケージ112に配置されている複数の発光ダイオードの位置関係がそのまま倒立像として反映される。仮に、ライトガイド20を第2ロッド22のみによって構成すると、第2ロッド22の各ファイバーのうち光が入射するものと、光が入射しないものができてしまう。このため、出射面20Bから照射される光が複数のスポット光になってしまう。
【0028】
これに対して、本実施形態にあっては、第1ロッド21を介して第2ロッド22へ集光された光が導かれるので、第1ロッド21と第2ロッド22の接合面では、焦点を結ばず像がぼやけたものになっている。これにより、第2ロッド22から射出される光は、複数のスポット光とならず、明るさが一様なものとなる。
【0029】
図5は、第2態様に係る光学系の光跡を示す説明図である。第2態様に係る光学系は、第1レンズ111の入射面が平面である点、及び第2レンズ12の入射面が凹形状をしている点を除いて、図2に示す第1態様の光学系と同様である。第1レンズ111に入射面を平面としたのは、生産性の向上を図るためである。なお、この入射面は、球面、楕円面、非球面であってもよい。
【0030】
また、第2レンズ12の入射面を凹形状としたのは、球面収差を低減するためである。即ち、第2レンズ12の出射面及び第3レンズ13の入射面は球面となっているため、球面収差が発生する。この球面収差によって、第2レンズ12及び第3レンズ13の外周部を通ってきた光のうち、入射面20Aに当たらないものや、入射角が入射可能角を超えてしまうものが増加する。そこで、第2レンズ12の入射面を凹面とすることで、球面収差を減少させている。これにより、入射面20Aに入射する光量を増加させ、光の利用効率を高めることができる。
【0031】
また、第1態様と同様に、第1ロッド21を介して第2ロッド22へ集光された光が導かれるので、第2ロッド22から射出される光は、複数のスポット光とならず、明るさが一様なものとなる。
【0032】
次に、LED発光部11について説明する。図6は、LED発光部11の外観を示す斜視図であり、図7はLED発光部11の平面図である。これらの図に示されるように、LED発光部11は、ヒートシンク120にLEDモジュールMがねじ止めして構成される。LEDモジュールMには、第1レンズ111とLEDパッケージ112とが一体に形成されている。
【0033】
LEDパッケージ112は、発光ダイオードD1、及びD2〜D8を備える。このうち発光ダイオードD1は、発光波長が350nm〜430nmの波長においてピークを有する一方、発光ダイオードD2〜D8は、発光波長が430nm〜500nmの波長においてピークを有する。
【0034】
このように2種類のピーク波長を有する発光ダイオードを用いたのは、以下の理由による。歯科用光照射装置100は、光重合型レジンを硬化させるために用いられるが、この光重合型レジンには、モノマー中に2種類の光重合触媒(例えば、カンファーキノンとアシルホスフインオキサイド等)が配合されている。光重合触媒は、光が照射されると、光を吸収してラジカルを発生し、これがモノマーの重合反応を開始させる。ところが、光重合触媒の種類によって反応する波長領域が異なる。そこで、光重合触媒の種類に応じた波長の光を照射できるように、2種類のピーク波長を有する発光ダイオードを用いたのである。これにより、光重合反応を予備硬化と完全硬化といったように2段階に分けて行うことが可能となり、さらに、光重合型レジンを十分に硬化させ未重合部分が残ってしまうといった不都合を解消できる。
【0035】
また、この例において、発光ダイオードD1を発光ダイオードD2、D4、D6及びD8よりも中央よりに配置したのは、発光ダイオードD1からの光を照射スポットの中央に位置させるためである。上述した光学系によれば、光軸に近い入射光は光軸の近傍に集光される。従って、発光ダイオードD1を中央よりに配置することによって、発光ダイオードD1からの光を照射スポットの中央に位置させることができる。発光ダイオードD1〜D8のうち、異なる発光波長を有するのは発光ダイオードD1のみである。歯科医は、照射スポットの中央に光重合型レジンがくるように歯科用光照射装置100を操作するので、発光ダイオードD1からの光を光重合型レジンに確実に照射することが可能となる。
【0036】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下の変形が可能である。
(1)上述した光学系とライトガイド20の入射面20Aの間に凹レンズを配置してもよい。この場合には、面積のより小さい入射面20Aであっても光学系を小型のまま開口数(NA)の小さいファイバーアレイに発光部11からの光を集光させることができる。
【0037】
(2)また、上述した歯科用光照射装置100をUV硬化樹脂用のスポット光源装置として利用してもよし、あるいは、ファイバー照明装置として利用してもよい。
【0038】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、複数の点光源からの光を低い減衰率で導光し、且つ、照射光を一様とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る歯科用光照射装置の機械的な構成を示す断面図である。
【図2】同装置に用いるライトガイドの外観構成を示す斜視図である。
【図3】(A)は第1ロッドの断面図であり、(B)は第2ロッドの断面図である。
【図4】同装置に用いる第1態様に係る光学系の光跡を示す説明図である。
【図5】同装置に用いる第1態様に係る光学系の光跡を示す説明図である。
【図6】同装置に用いるLED発光部11の外観を示す斜視図である。
【図7】同装置に用いるLED発光部11の外観を示す平面図である。
【図8】従来のライトガイドの問題点を説明するための説明図である。
【符号の説明】
100 歯科用光照射装置
D1〜D8 発光ダイオード(点光源)
C1 コア
C2 クラッド
20 ライトガイド(ファイバーロッド)
21 第1ロッド
22 第2ロッド
111 第1レンズ
12 第2レンズ
13 第3レンズ
【発明の属する技術分野】
本発明は、ファイバーロッド及びこれを用いた光照射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
歯科保存修復用の歯科材料として光重合型レジンが普及している。光重合型レジンは、患者の口腔内の歯牙に充填され、光照射装置から照射される光によって硬化される。このような光照射装置として、ハロゲンランプやキセノンランプを光源として用いるものの他、複数の発光ダイオードを備えたものが知られている。
【0003】
特許文献1には、複数の発光ダイオードを備え、これらの発光ダイオードから照射される光を集光させて、光ファイバーを介して出力する装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特許第2979522号公報(図2)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、光ファイバーには、1本のファイバーからなるクラッドロッド型のものと、複数のファイバーを束ねたファイバーアレイ型のものがある。クラッドロッド型は、湾曲させると入射光が乱反射して減衰率が大きくなる。
【0006】
歯科用の光照射装置は、その先端を患者の口腔内に差し入れて歯牙に光を照射する必要があるので、光ファイバーの一部を湾曲させることが多い。このため、光照射装置では光ファイバーとしてファイバーアレイ型を採用するのが一般的である。
【0007】
しかしながら、複数の発光ダイオードのように複数の点光源から照射される光線をファイバーアレイ型の光ファイバーを用いて導光すると、照射光が入光部20Aにおける光の分布を反映させたものとなる。図8は、複数の発光ダイオードからの光をファイバーアレイ型の光ファイバーを介して出力する様子を示す説明図である。この図に示すように照射光は、複数のスポット光S1、S2、…に分割されてしまう。
【0008】
このため、被照射物に一様に光を照射することができず、光が当たる部位と光が当たらない部位が生じる。歯科用の光照射装置は光重合型レジンに光を照射することにより光重合型レジンを硬化させるものであるから、ファイバーアレイ型の光ファイバーを用いると、光重合型レジンの中に硬化された部位と未硬化の部位が出てきて、一様に硬化させることができないといった不都合が生じる。
【0009】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、複数の点光源からの光を低い減衰率で導光し、且つ、照射光を一様とすることができるファイバーロッド又はこれを用いた光照射装置を提供することを解決課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以下、本発明の課題を解決するための手段について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0011】
本発明に係るファイバーロッド(20)は、高屈折率のコア(C1)と前記コアを覆う低屈折率のクラッド(C2)とを備えたファイバーを用いて、入射面(20A)に入射した光を導光して出射面(20B)から出射するものであって、一方の端部が前記入射面(20A)となる1本のファイバーを有する第1ロッド(21)と、複数の前記ファイバーを有し、前記第1ロッド(21)の他方の端部から出た光を一方の端部から取り込み前記出射面(20B)となる他方の端部から出射する第2ロッド(22)とを備えたことを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、入射側にクラッドロッド型の第1ロッドを設け、出射側にファイバーアレイ型の第2ロッドを備える。クラッドロッド型の第1ロッドは、入射光を拡散させて第2ロッドへ導くため、出射面から照射される光に広がりをもたせることができる。これにより、入射光が複数の点光源からの光であっても、照射光が複数のスポット光に分割されることなく、一様な照射光を得ることが可能となる。
【0013】
ここで、前記第1ロッド(21)は直線状の形状をしており、前記第2ロッド(22)は湾曲部(23)を有することが好ましい。ファイバーアレイ型はクラッドロッド型に比較して湾曲によって減衰率が増加し難いので、第2ロッドに湾曲を設けることによって、入射光を低い減衰率で導光することが可能となる。
【0014】
次に、本発明に係る光照射装置は、複数の発光ダイオード(D1〜D8)と、上述したファイバーロッド(20)と、前記複数の発光ダイオードから照射される光を前記入射面(20A)に集光させる光学系(111、12、13)とを備える。この場合、入射面は光学系の一方の焦点近傍に配設することが好ましい。
【0015】
この発明によれば、複数の点光源からの光を低い減衰率で導光し、且つ、照射光を一様とすることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態においては、光照射装置の一例として、光重合型レジンを硬化させるための歯科用光照射装置を取り上げる。
【0017】
図1は、実施形態に係る歯科用光照射装置の構成を示す断面図である。歯科用光照射装置100は、本体10とその端部に設けられたライトガイド20とを備える。本体10は砲弾型やペンシル型などの形状をしており、そこには図示したようにグリップ10Aが設けられている場合もある。本体10やグリップ10Aには操作スイッチ等が設けられており(図示略)、歯科医が本体10やグリップ10Aを保持しながら照射のオン・オフを操作できるようになっている。
【0018】
また、本体10は、LED発光部11、第2レンズ12、及び第3レンズ13を内蔵する。LED発光部11は、第1レンズ111及び複数の発光ダイオードが配設されたLEDパッケージ112を有する。LEDパッケージ112に設けられた発光ダイオードは点光源として機能する。
【0019】
一方、ライトガイド20(ファイバーロッド)は、光伝送損失が少ないガラス製光ファイバー又はプラスチック製光ファイバーなどを備える。このライトガイド20の先端側は口腔内の歯牙に充填される光重合型レジンに光を照射し易くするため、図示するように若干湾曲していることが好ましい。このライトガイド20は、その入射面20Aに入射する光を出射面20Bから出射する導光部として機能する。
【0020】
図2は、ライトガイド20の外観構成を示す斜視図である。この図に示すようにライトガイド20は、クラッドロッド型の第1ロッド21とファイバーアレイ型の第2ロッド22とを連結して構成される。図3(A)に第1ロッド21の断面を、同図(B)に第2ロッド22の断面を示す。
【0021】
第1ロッド21は1本のファイバーによって構成されており、高屈折率のコアC1とコアC1を覆う低屈折率のクラッドC2を備える。屈折率の異なる二つの透光性物質の境界面では、一定の角度以内の光は完全に反射される。ファイバーは全反射の性質を利用して光を導光する。第2ロッド22は複数のファイバーFを束ねて構成される。各ファイバーFは第1ロッド21に用いられるものと同様にコアC1とこれを覆うクラッドC2とを備える。
【0022】
図2に説明を戻す。ライトガイド20は、患者の口腔内に差し入れて作業がし易いように湾曲部23を有する。湾曲部23を第2ロッド22に設けたのは、ファイバーアレイ型の第2ロッド22は、クラッドロッド型の第1ロッド21と比較して、湾曲に対する減衰率の増加が少ないからである。これによって、入射光を低い減衰率で導光することが可能となる。
【0023】
このような歯科用光照射装置100において、複数の発光ダイオードから照射された光は、第1レンズ111、第2レンズ12、及び第3レンズ13で構成される光学系によって、ライトガイド20の入射面20Aに集光され、ライトガイド20を介してその出射面20Bから出射される。
【0024】
光学系の態様としては各種のものがあるが、本実施形態では、代表的な2つの態様について説明する。図4は、第1態様に係る光学系の光跡を示す説明図である。この図に示されるように、LEDパッケージ112の直近に配設される第1レンズ111は、その入射面及び出射面が凸形状をした凸レンズである。また、第2レンズ12は入射面が平面である一方、出射面が凸形状をした凸レンズである。なお、この例において、第1レンズ111の出射面は非球面、第2レンズ12の出射面は球面である。
【0025】
第1レンズ111及び第2レンズ12は、LEDパッケージ112に配設された複数の発光ダイオードからの光を光軸に対して略平行な光に変換する機能を有する。ところで、第1レンズ111のみを用いて、平行光線を作ることも可能であるが、そのような場合は、第1レンズ111の入射面及び出射面の曲率を大きく設定する必要があるため、第1レンズ111の出射面において内部反射される光が増加し、光の利用効率が低下する。このため、本実施形態では、第1レンズ111と第2レンズ12とで光の屈折を分担させることによって、第1レンズ111の出射面における内部反射を防止している。これにより、光の利用効率を大幅に高めることができ、歯科用光照射装置100を小型で大出力のものにできる。
【0026】
第3レンズ13は、入射面が球面で出射面が平面の凸レンズである。これにより、第3レンズ13に入射する光軸に略並行な光がライトガイド20の入射面20Aに集光される。ここで、LEDパッケージ112は、光学系の第1焦点より少し内側(第1レンズ111寄り)に配置され一方、ライトガイド20の入射面20Aは、光学系の第2焦点に配置される。このため、光軸から離れた位置に配置された発光ダイオードから照射される光も入射面20Aに集光させることができる。
【0027】
さて、ライトガイド20の入射面20Aは光学系の第2焦点に配置されるため、入射面20Aで像を結ぶ。この像には、LEDパッケージ112に配置されている複数の発光ダイオードの位置関係がそのまま倒立像として反映される。仮に、ライトガイド20を第2ロッド22のみによって構成すると、第2ロッド22の各ファイバーのうち光が入射するものと、光が入射しないものができてしまう。このため、出射面20Bから照射される光が複数のスポット光になってしまう。
【0028】
これに対して、本実施形態にあっては、第1ロッド21を介して第2ロッド22へ集光された光が導かれるので、第1ロッド21と第2ロッド22の接合面では、焦点を結ばず像がぼやけたものになっている。これにより、第2ロッド22から射出される光は、複数のスポット光とならず、明るさが一様なものとなる。
【0029】
図5は、第2態様に係る光学系の光跡を示す説明図である。第2態様に係る光学系は、第1レンズ111の入射面が平面である点、及び第2レンズ12の入射面が凹形状をしている点を除いて、図2に示す第1態様の光学系と同様である。第1レンズ111に入射面を平面としたのは、生産性の向上を図るためである。なお、この入射面は、球面、楕円面、非球面であってもよい。
【0030】
また、第2レンズ12の入射面を凹形状としたのは、球面収差を低減するためである。即ち、第2レンズ12の出射面及び第3レンズ13の入射面は球面となっているため、球面収差が発生する。この球面収差によって、第2レンズ12及び第3レンズ13の外周部を通ってきた光のうち、入射面20Aに当たらないものや、入射角が入射可能角を超えてしまうものが増加する。そこで、第2レンズ12の入射面を凹面とすることで、球面収差を減少させている。これにより、入射面20Aに入射する光量を増加させ、光の利用効率を高めることができる。
【0031】
また、第1態様と同様に、第1ロッド21を介して第2ロッド22へ集光された光が導かれるので、第2ロッド22から射出される光は、複数のスポット光とならず、明るさが一様なものとなる。
【0032】
次に、LED発光部11について説明する。図6は、LED発光部11の外観を示す斜視図であり、図7はLED発光部11の平面図である。これらの図に示されるように、LED発光部11は、ヒートシンク120にLEDモジュールMがねじ止めして構成される。LEDモジュールMには、第1レンズ111とLEDパッケージ112とが一体に形成されている。
【0033】
LEDパッケージ112は、発光ダイオードD1、及びD2〜D8を備える。このうち発光ダイオードD1は、発光波長が350nm〜430nmの波長においてピークを有する一方、発光ダイオードD2〜D8は、発光波長が430nm〜500nmの波長においてピークを有する。
【0034】
このように2種類のピーク波長を有する発光ダイオードを用いたのは、以下の理由による。歯科用光照射装置100は、光重合型レジンを硬化させるために用いられるが、この光重合型レジンには、モノマー中に2種類の光重合触媒(例えば、カンファーキノンとアシルホスフインオキサイド等)が配合されている。光重合触媒は、光が照射されると、光を吸収してラジカルを発生し、これがモノマーの重合反応を開始させる。ところが、光重合触媒の種類によって反応する波長領域が異なる。そこで、光重合触媒の種類に応じた波長の光を照射できるように、2種類のピーク波長を有する発光ダイオードを用いたのである。これにより、光重合反応を予備硬化と完全硬化といったように2段階に分けて行うことが可能となり、さらに、光重合型レジンを十分に硬化させ未重合部分が残ってしまうといった不都合を解消できる。
【0035】
また、この例において、発光ダイオードD1を発光ダイオードD2、D4、D6及びD8よりも中央よりに配置したのは、発光ダイオードD1からの光を照射スポットの中央に位置させるためである。上述した光学系によれば、光軸に近い入射光は光軸の近傍に集光される。従って、発光ダイオードD1を中央よりに配置することによって、発光ダイオードD1からの光を照射スポットの中央に位置させることができる。発光ダイオードD1〜D8のうち、異なる発光波長を有するのは発光ダイオードD1のみである。歯科医は、照射スポットの中央に光重合型レジンがくるように歯科用光照射装置100を操作するので、発光ダイオードD1からの光を光重合型レジンに確実に照射することが可能となる。
【0036】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下の変形が可能である。
(1)上述した光学系とライトガイド20の入射面20Aの間に凹レンズを配置してもよい。この場合には、面積のより小さい入射面20Aであっても光学系を小型のまま開口数(NA)の小さいファイバーアレイに発光部11からの光を集光させることができる。
【0037】
(2)また、上述した歯科用光照射装置100をUV硬化樹脂用のスポット光源装置として利用してもよし、あるいは、ファイバー照明装置として利用してもよい。
【0038】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、複数の点光源からの光を低い減衰率で導光し、且つ、照射光を一様とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る歯科用光照射装置の機械的な構成を示す断面図である。
【図2】同装置に用いるライトガイドの外観構成を示す斜視図である。
【図3】(A)は第1ロッドの断面図であり、(B)は第2ロッドの断面図である。
【図4】同装置に用いる第1態様に係る光学系の光跡を示す説明図である。
【図5】同装置に用いる第1態様に係る光学系の光跡を示す説明図である。
【図6】同装置に用いるLED発光部11の外観を示す斜視図である。
【図7】同装置に用いるLED発光部11の外観を示す平面図である。
【図8】従来のライトガイドの問題点を説明するための説明図である。
【符号の説明】
100 歯科用光照射装置
D1〜D8 発光ダイオード(点光源)
C1 コア
C2 クラッド
20 ライトガイド(ファイバーロッド)
21 第1ロッド
22 第2ロッド
111 第1レンズ
12 第2レンズ
13 第3レンズ
Claims (3)
- 高屈折率のコアと前記コアを覆う低屈折率のクラッドとを備えたファイバーを用いて、入射面に入射した光を導光して出射面から出射するファイバーロッドであって、
一方の端部が前記入射面となる1本のファイバーを有する第1ロッドと、
複数の前記ファイバーを有し、前記第1ロッドの他方の端部から出た光を一方の端部から取り込み前記出射面となる他方の端部から出射する第2ロッドと
を備えたことを特徴とするファイバーロッド。 - 前記第1ロッドは直線状の形状をしており、前記第2ロッドは湾曲部を有することを特徴とする請求項1に記載のファイバーロッド。
- 複数の発光ダイオードと、
請求項1又は2に記載のファイバーロッドと、
前記複数の発光ダイオードから照射される光を前記入射面に集光させる光学系と
を備えることを特徴とする光照射装置。
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