JPH064188Y2 - 汚泥用流動層焼却炉 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、湿潤廃棄物である下水処理で生成する汚泥や
し尿処理で生成する汚泥等を脱水したケーキ（以下、汚
泥と言う）を炉内に均一に供給することができる流動層
焼却炉に関するものである。

〔従来の技術〕

汚泥を焼却する焼却炉として従来から第６図に示すよう
な流動層焼却炉がある。図において１は流動層焼却炉
で、堅形炉体内の下部に設けた分散板１２上に硅砂、川
砂等の耐熱製の流動媒体１３を適量に装入してあって、
炉内の下部の空気吹き込み口１４から空気を送気し、こ
の空気を分散板１２上に配置した空気ノズル１５を通じ
て流動媒体１３内に噴出し、これによって流動媒体１３
に流動層を形成させる一方、流動媒体１３内に向け燃料
ノズル１６により液体燃料を供給して流動層内で燃焼さ
せて流動層の温度を６００〜９００℃に維持する。この
ように高温となった流動層に対して投入口からスクリュ
ーフィーダー１８によって搬送されてきた汚泥１７を供
給して瞬時に焼却処理するものである。

なお、焼却炉に備えるフィーダーとしては、上記のスク
リューフィーダーの外に、回転軸に間隔を設けてパドル
を取り付けたもの（特開昭５４−１１３９７４号公報）
や、翼体を放射状に設けて形成された駆動回転翼車を有
するもの（実開昭５３−２５１７２号公報）など処理物
をはね飛ばして投入する型式のものがある。

〔考案が解決しようとする問題点〕

従来のように流動層焼却炉にスクリューフィーダーを使
用する場合、供給物が炉壁に近い部分だけに落下し、炉
内全面に散布するようにならないため燃焼性に問題があ
った。特に汚泥のような分散性の悪い供給物の場合に
は、炉の燃焼性に問題が生じやすかった。更に又炉が大
きい場合はこの影響が大きくなるので、スクリューフィ
ーダーの基数を増して、炉内周辺から廃棄物を供給する
必要があった。しかもこのようにフィーダーの基数を増
しても炉内広範囲に均一散布することが出来ないので完
全な問題解決にはならなかった。

そして、処理物をはね飛ばす形式のフィーダーを使用し
た場合には、新たな問題が発生する。即ち、パドルを設
けたフィーダーを使用すると、パドルとパドルの間に入
った汚泥は散布されずに投入シュート内に付着して溜ま
り、この汚泥の付着物がフィーダー全体に蓄積するよう
になる。又、翼体を放射状に配置したフィーダーを使用
すると、翼車の中心付近に翼体と翼体で囲まれた空間
（凹部）が形成されているので、この凹部に汚泥が付着
して次第に蓄積し、翼車が汚泥で埋められてしまう。従
って、上記何れのフィーダー（はね飛ばす型式）を使用
しても、これらのフィーダーは、使用時間の経過ととも
に汚泥を正常な状態で散布する機能を発揮できなくな
り、焼却炉を停止しなければならない状態を招来する。

本考案は、かかる問題を解決するためになされたもの
で、汚泥を散布する機能を常に正常な状態で維持させる
ことができ、かつ、汚泥を炉内に均一に散布できて燃焼
性を向上させることができる流動層焼却炉を得ることを
目的とするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明はこの目的を達成するためになされたもので、供
給物投入ケーシングの排出口近くにおいて、ケーシング
を横断する回転軸と、該回転軸の軸線方向の排出口口径
の全長にわたって回転軸に取りつけられ、かつ該回転軸
を中心として対称の位置に配置された２枚の羽根と、該
羽根によって汚泥を回転軸の下側から排出するように回
転軸を回転し、かつ回転数を一定の範囲内で増減自在と
する機構とを備えたフィーダーを設けている。

〔作用〕

本考案に備えるフィーダーにおいては、回転軸に取り付
ける羽根の数を２枚だけにし、且つこの２枚の羽根を回
転軸を中心として対称の位置に配置しているので、回転
軸の近傍には凹部が形成されず、従って汚泥の付着・蓄
積は起こらない。

又、回転軸に取り付けられた羽根は排出口口径の全長に
わたっているので、汚泥が供給物投入ケーシング内に残
留する問題は起こらない。

更に、フィーダーは、供給物投入ケーシングの排出口の
近くに配置されており、はね飛ばされた汚泥はすべて炉
内に投入されるので、供給物投入ケーシングの出口部に
推積するようなことは起こらない。

従って、本考案に備えるフィーダーは、汚泥を正常な状
態ではね飛ばすと言うフィーダーの機能が維持される。

そして、本考案においては、上述のような作用をなすフ
ィーダーを備えることによって汚泥を炉内の遠くまでは
ね飛ばし、かつフィーダーの回転軸の回転数を自在に変
化させることにより、はね飛ばされる汚泥の位置を遠近
自在に調節することができる。

〔実施例〕

第１図は本考案の一実施例を模式的に示したもので、フ
ィーダーと流動層焼却炉との取合部の縦断面図である。
図において１は流動層焼却炉、２は供給物投入ケーシン
グ、３はケーシング２の出口部付近に配置されたフィー
ダーの回転軸、４は回転軸３に軸を中心として対称に取
り付けられた平板状の２枚の羽根である。この２枚の羽
根４は回転軸３の軸線方向の排出口口径の全長にわたっ
て取りつけられている。又、フィーダーの回転軸３に
は、汚泥を回転軸３の下側から排出するように回転さ
せ、又、この回転軸３の回転数を一定の範囲内で増減自
在にすることができる機構が備えられている。

次に第１図に示すフィーダーの一実施結果について説明
する。本実施例は、下水汚泥の脱水ケーキをスクリュー
フィーダーで輸送して混練した汚泥を用いて実験したも
のである。汚泥１７を供給物投入ケーシング２に投入し
ながら回転軸３の回転数を６０ｒｐｍ〜２４０ｒｐｍま
で可変速制御を行った結果、汚泥１７の画く放物線は、
第１図に示すように回転軸３を基準とし、基準より１ｍ
低い位置において水平距離１ｍ〜５ｍとなった。

第２図はこのように可変速制御の周期運転をした時の炉
床の汚泥散布状態を示す平面図で、図に示すように一定
の長さＡ、幅Ｂに均一に汚泥１７が分散するようになっ
た。

第３図は、回転軸３の回転数を一定のまま汚泥１７を投
入した場合の炉床の平面図で図に示すように汚泥１７は
一定の直径Ｃとなり中央部が盛り上った状態となる。

第４図、第５図はフィーダーが複数基の場合汚泥１７の
散布状態を示す平面図で、第４図はフィーダーを直角方
向に配置した場合、第５図はフィーダーを並列に配置し
た場合である。何れの場合も軸の回転数を変化したこと
により大型の炉の場合でも汚泥１７は炉床のほぼ全面に
わたり均一に散布されることを示している。

〔考案の効果〕

本考案における汚泥用流動層焼却炉は、排出口口径の全
長にわたって回転軸に取りつけられ、且つこの回転軸を
中心として対称の位置に配置された２枚の羽根を有する
フィーダーを備えているので、汚泥の付着・推積による
フィーダーの詰まりがなく、常に正常な機能を維持する
ことができると共に、このフィーダーはその回転軸の回
転数を増減自在とする機構を備えているので、大型流動
層焼却炉であっても、１〜２基のフィーダーを設置すれ
ば、流動層焼却炉内の広い範囲に汚泥を分散供給するこ
とができ、燃焼効率が向上し、加えて稼働率が向上す
る。

【図面の簡単な説明】 第１図はこの考案の一実施例の縦断面図、第２図、第３
図は羽根の回転数の変化により炉床上に散布される汚泥
の変化を示す平面図、第４図、第５図はフィーダーの配
置の相違による汚泥散布の相違を示す平面図、第６図は
流動層焼却炉の全体構成を示す従来例の模式図である。 図において、１は流動層焼却炉、２は投入ケーシング、
３は回転軸、４は羽根である。 なお、各図中同一符号は同一または相当部分を示す。

フロントページの続き 審判長 林 征四郎 審判官 伊藤 頌二 審判官 柳 五三 (56)参考文献 特開 昭54−113974（ＪＰ，Ａ) 実開 昭53−25172（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭53−111677（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】供給物投入ケーシングの排出口近くにおい
   て、ケーシングを横断する回転軸と、該回転軸の軸線方
   向の前記排出口口径の全長にわたって前記回転軸に取り
   つけられ、かつ該回転軸を中心として対称の位置に配置
   された２枚の羽根と、該羽根によって汚泥を回転軸の下
   側から排出するように回転軸を回転し、かつ回転数を一
   定の範囲内で増減自在とする機構とを備えたフィーダー
   を設けたことを特徴とする汚泥用流動層焼却炉。