JPH0641827U - 空気供給手段を有する湿式排煙脱硫装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 排ガスから吸収したＳＯ₂ によって吸収液中
に生ずる亜硫酸塩を無動力で酸化させて石膏を副生する
湿式排煙脱硫装置に関する。 【構成】 ＳＯ₂ を含む排煙とカルシウム化合物を含有
する吸収液とを気液接触させる吸収塔の直下部に排煙か
らＳＯ₂ を吸収した吸収液を捕捉する液溜を設け、該液
溜の下部に吸収液循環タンクを配し、前記液溜の底部か
ら前記吸収液循環タンクに貯留する吸収液の液面下で下
端が開口する複数の底排管を垂下して設け、該底排管と
の接合部の直下部の底排管側面には該底排管と連通する
複数の空気供給手段を接合してなる湿式排煙脱硫装置に
おいて、前記底排管の下端開口部外周囲に液伴流ガイド
管を設けてなる空気供給手段を有する湿式排煙脱硫装
置。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は空気供給手段を有する湿式排煙脱硫装置に関するもので、排ガスから 吸収したＳＯ₂ によって吸収液中に生ずる亜硫酸塩を酸化して石膏を副生できる 湿式排煙脱硫装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、カルシウム化合物を吸収剤として排煙脱硫し、石膏を副生する湿式排煙 脱硫装置においては、カルシウム化合物とＳＯ₂ の反応によって生成する亜硫酸 カルシウムを石膏化する方法として、循環タンクから吸収ＳＯ₂ 量に見合った量 論量の石膏や亜硫酸カルシウムを含んだスラリーが抜き出され、該スラリーを別 置の酸化塔で酸化させて亜硫酸カルシウムを石膏化させたり、又、最近は別置酸 化塔を省略し循環タンクへ直接空気あるいは酸素含有ガスを吹き込んで該循環タ ンク内で亜硫酸カルシウムを酸化して石膏化する方法が特公昭５０−１７３１８ 号、特開昭５１−１８２６９号各公報に示されており、又、吸収液受けタンクで 受けた吸収液を循環タンク内に再噴霧させて、その際循環タンク液面上部に空気 を供給しておく方式が特公昭５８−３７２５２号公報に開示されており、さらに は吸収塔流下液の液面上部に空気を吹き込んで酸化を促進させる方式も実公昭５ ８−１７８３２６号、特開昭６１−１６７４３２号各公報に開示されている。

【０００３】 これら方式は何れも空気を吹き込んで亜硫酸カルシウムの酸化を行わせ石膏化 を図ったものであり、これら従来例は何れもブロワー等の手段を用いて空気を供 給するものであって空気供給用に動力を必要とする欠点があった。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

以上述べたように、従来の方式では吸収塔でＳＯ₂ の吸収によって生成される 亜硫酸塩を酸化するために用いる空気を供給するのに多大の動力を有するという 問題があった。

【０００５】 本考案は上記技術水準に鑑み、動力なしで亜硫酸塩を酸化するために用いる空 気を供給しうる湿式排煙脱硫装置を提供しようとするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案はＳＯ₂ を含む排煙とカルシウム化合物を含有する吸収液とを気液接触 させる吸収塔の直下部に排煙からＳＯ₂ を吸収した吸収液を捕捉する液溜を設け 、該液溜の下部に吸収液循環タンクを配し、前記液溜の底部から前記吸収液循環 タンクに貯留する吸収液の液面下で下端が開口する複数の底排管を垂下して設け 、該底排管との接合部の直下部の底排管側面には該底排管と連通する複数の空気 供給手段を接合してなる湿式排煙脱硫装置において、前記底排管の下端開口部外 周囲に液伴流ガイド管を設けてなることを特徴とする空気供給手段を有する湿式 排煙脱硫装置である。

【０００７】

【作用】

本考案は液溜に貯留された吸収塔落下液が循環タンクへと底排管を介して流下 する際、前記吸収液が液溜底部から底排管へと流入するとき流れに剥離が生じ、 該剥離部の負圧と該剥離部から吸収液循環タンク貯留吸収液の液面高さとの差分 の落差とによる吸引力を利用して空気を自動的に吸入させるようにし、前記底排 管からの吸収液と空気の混相流の噴出速度を利用して、液伴流ガイド管と底排管 外径の隙間に前記混相流と同方向の液流れを発生させ循環タンク内貯留吸収液の 混合を促進できるようにしたものである。

【０００８】

【実施例】

本考案を図１の一実施態様例を用いて具体的に説明する。 図１において、吸収塔１に導入されるＳＯ₂ を含んだ未処理排ガスＡは該吸収 塔１内で循環タンク６に貯留された吸収液７を循環ポンプ１０で掲液しスプレー ノズル２から吸収塔１内に散布されるカルシウム化合物を含有する吸収液と気液 接触処理され、脱硫されて吸収塔１から処理排ガスＢとして排出される。

【０００９】 一方、吸収塔１内でＳＯ₂ を吸収した前記吸収液は吸収塔１の塔底の液溜３に 落下し貯留される。該貯留液４は液溜３の底部に接合され該液溜３の直下部の循 環タンク６の天井を貫通して設けられた底排管５を通って循環タンク６の貯留液 ７へ落下する。該底排管５の下端は循環タンク６の貯留液７中に没していると共 に、前記液溜３の底部との接合部直下には大気と連通した複数の空気配管８が接 合してある。該空気配管８は前記底排管５と連通すると共に前記したように他方 は大気に開口しているが途中に遮断弁１１が設けてある。該遮断弁１１は通常前 記循環ポンプ１０が運転されている状態で「開」運用される。前記底排管５の下 端開口部の外周囲を囲んで上下とも開口している液伴流ガイド管９を設けてある 。

【００１０】 図２は図１における液伴流ガイド管９部分の拡大図である。図２において、底 排管５から下方に向かって流下する吸収液と空気との混相流は底排管５の底部の 開口部から下方に向け噴出しており、この気液混相流の噴出速度に応じて液伴流 ガイド管９と底排管５外径との隙間に該混相流と同方向の液流れが発生し、循環 タンク６内貯留吸収液７の循環タンク６内での循環が促進される。

【００１１】 吸収液と共に循環タンク６に流入した空気Ｃは吸収塔１内でＳＯ₂ を吸収して 液中に生成した亜硫酸カルシウムに作用して石膏化させ、量論量の酸素を消費し 循環タンク６の貯留吸収液７液面から排出され排気管１２を介して処理排ガスＡ と合流し排出される。

【００１２】

【考案の効果】

本考案によれば吸収塔内で散布された吸収液を一旦液溜に集めて底排管を介し て流すようにし、その際液溜底部で液流れに剥離が生じ負圧が発生し、この負圧 と液の落差とを推進力として空気が底排管内に吸入され、底排管を流下する吸収 液の落下速度は空気の吸入により増速され、底排管底部からの該気液混相流の噴 射速度に応じて、液伴流ガイド管と底排管外径との隙間に該混相流と同方向の液 流れが発生し、循環タンク内貯留吸収液の循環タンク内での循環が促進される。 これにより、動力なしで調達できた空気と亜硫酸カルシウムとの反応効率が向上 できた。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の湿式排煙脱硫装置の一態様の説明図

【図２】本考案の液伴流ガイド管部分の拡大図

【符号の説明】

１ 吸収塔 ２ スプレーノズル ３ 液溜 ５ 底排管 ６ 循環タンク ７ 液伴流ガイド管

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ＳＯ₂ を含む排煙とカルシウム化合物を
   含有する吸収液とを気液接触させる吸収塔の直下部に排
   煙からＳＯ₂ を吸収した吸収液を捕捉する液溜を設け、
   該液溜の下部に吸収液循環タンクを配し、前記液溜の底
   部から前記吸収液循環タンクに貯留する吸収液の液面下
   で下端が開口する複数の底排管を垂下して設け、該底排
   管との接合部の直下部の底排管側面には該底排管と連通
   する複数の空気供給手段を接合してなる湿式排煙脱硫装
   置において、前記底排管の下端開口部外周囲に液伴流ガ
   イド管を設けてなることを特徴とする空気供給手段を有
   する湿式排煙脱硫装置。