JPH0641655B2 - ポリエステル系ディップコードの製造方法 - Google Patents

ポリエステル系ディップコードの製造方法

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JPH0641655B2
JPH0641655B2 JP59019158A JP1915884A JPH0641655B2 JP H0641655 B2 JPH0641655 B2 JP H0641655B2 JP 59019158 A JP59019158 A JP 59019158A JP 1915884 A JP1915884 A JP 1915884A JP H0641655 B2 JPH0641655 B2 JP H0641655B2
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polyester
strength
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和夫 栗田
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明はポリエステルディップコードの製造方法に関す
るものであり、優れた寸法安定性、優れた耐疲労性、高
タフネスを同時に兼ね備え、特に、ラジアルタイヤのカ
ーカスプライに用いた時に、タイヤの操縦安定性を向上
させるとともに、転がり抵抗を低減し、かつ、タイヤ自
体の軽量化も可能とするポリエステルディップコードの
製造方法に関するものである。
従来、タイヤの周方向に極めて剛性の高いベルトプライ
層で補強されたクラウン部を有し、かつタイヤの赤道面
に対してほぼ直角に配置されたカーカスプライ層で補強
されたサイドウォール部を有する、いわゆるラジアルタ
イヤにおいては、サイドウォール部の剛性が小さいと、
クラウン部剛性とのアンバランスによって操縦安定性を
著しく低下させることが知られている。
そこでサイドウォール部にも乗心地を損なわない程度の
剛性を与える必要があり、比較的モジュラスの高い有機
繊維コード、とりわけ高モジュラスのレーヨンコード、
あるいはポリエステルコードがラジアルタイヤのカーカ
スプライ層に使用されていた。
しかしながら、レーヨンコードは吸湿性が大きく吸湿に
よる強力およびモジュラスの低下が著るしいために、使
用にあたっては十分な水分率管理を必要とする問題点が
あり、極めて生産性の悪い材料である。
一方、ポリエステルコードは、レーヨンに比較して吸湿
による強力、モジュラス等の低下はほとんどなく、また
強力が高い、フラットスポットがない、耐熱性が良いな
どの利点がある。しかし、レーヨンコードに比較してモ
ジュラスはやや低く、また熱収縮率が大きいために、タ
イヤのユニフォーミティ性に問題を生じやすいだけでな
く、タイヤ加硫中にコードの収縮が起こり、さらにモジ
ュラスの低下を招く欠点があった。
かかる欠点に対処するため、通常ではビードフイラーゴ
ムを高くしたり、カーカスプライのビード部層に沿った
折り返し高さを高くしたり、あるいは高モジュラスのビ
ードフィラーゴムを使用するなどの方法が試みられた
が、タイヤの軽量化あるいは転がり抵抗の低減の点から
は必ずしも好ましい方法ではない。
また、より高モジュラスのポリエステルを得るために、
コード撚数の低減、あるいは熱処理時の張力アップなど
によって、コード自体の特性を加工工程で変化させる方
法もあるが、前者ではコードの耐疲労性の低下を招き、
後者では耐疲労性の低下もさることながら、熱収縮率の
著るしい増大により、タイヤのユニフォーミティ性を著
るしく悪化させる欠点がある。
また、熱寸法安定性に優れ、高モジュラス性を付与しや
すい低重合度ポリエステルコードをラジアルタイヤのカ
ーカスプライに用いる方法もあるが、通常のポリエステ
ルコードに比較して重合度が低いために強度が低く、か
つ耐疲労性も劣るのでタイヤの耐久性能を十分に確保す
ることは不可能であった。
一方、ポリマーの重合度を低下させず寸法安定性を向上
させる方法としては、USP4195032に見られる様に、PO
Yを延伸する方法があるものの、寸法安定性向上のため
タフネスを犠牲としている。
そこで本発明はかかる従来の欠点を解消すべくなされた
ものであり、優れた寸法安定性を有し、同時に、優れた
耐疲労性、タフネスを有するポリエステルディップコー
ドを提供するものであって、本発明による、ポリエステ
ルディップコードをラジアルタイヤのカーカスプライに
用いると、タイヤの操縦安定性を向上させるとともに、
転がり抵抗を低減し、かつ、タイヤ自体の軽量化も可能
になるなどの特徴を有するものである。
即ち上記目的は (1) エチレンテレフタレートの繰返し構造単位が85モ
ル%以上のポリエステル系ポリマーからなり、固有粘度
が0.80以上、好ましくは0.80〜1.20の高重合度を有する
ポリエステルを溶融紡糸すること、 (2) 紡出糸条を未延伸糸の単糸デニールが30d以下で
複屈折率0.002〜0.010となる条件で引取ること、 (3) 引取ロールを通過した糸条を連続して又は一旦巻
取った後、全延伸倍率が6.0倍以上となる様に熱延伸す
ること、 (4) 延伸糸(ポリエスエル繊維)の破断強度DTが11
g/d以上であり、好ましくは下記(ロ)〜(ヘ)の特性を有
していること、 (ロ) 10≧破断伸度DE(%)≧5 (ハ) Tα≧160℃ (ニ) 繊維の複屈折率Δn≧195×10-3 (ホ) 小角X線回折による長周期LP ≧170Å (ヘ) 繊維の単糸デニールが4d以下 (5) 延伸糸(ポリエステル繊維のマルチフィラメント
ヤーン)に撚係数1400〜1800の下撚および上撚を施して
生コードを作成すること、 (6) 該生コードまたは該生コードより織成した簾織物
をゴムとの接着性を改善するためのディップ液処理に引
き続いて3%以下のホットストレッチを行うことによっ
て達成たれる。
そして、この方法によると、エチレンテレフタレートの
繰返し構造単位が85モル%以上のポリエステルポリマー
からなり、固有粘度が、0.80以上の高重合度を有するポ
リエステル系繊維よりなり、ゴムとの接着性を改善する
ためのディップ液が付着している撚係数が1400〜1800の
上撚及び下撚を有するポリエステル系ディップコードあ
って、下記特性を同時に有する高強力、高モジュラスで
且つ寸法安定性及び耐疲労性の著しく改善されたポリエ
ステル系ディップコードが得られる。
(a) ディップコードの破断強度A ≧ 7.5g/d 好ましくはA≧ 8.0g/d (b) ディップコードの中間伸度B≦5% (c) ディップコードの乾熱収縮率C≦5% (d) C≦−B+8.5 このディップコードは、従来のポリエステルディップコ
ードとは低収縮率、高モジュラスで且つ高強力である点
に関し、著しく相違する。
更に具体的に本発明の方法について記述する。
本発明で意図するポリエステルコードの原料たるポリエ
ステルとは、P−クロロフェノール/テトラクロロエタ
ン=3/1(重量比)の溶媒中30℃で測定した固有粘度
が0.80以上、好ましくは0.80〜1.20で、構成単位の85モ
ル%以上、好ましくは95モル%以上がエチレンテレフタ
レートからなるものである。ここで固有粘度が0.8未満
であると、本発明が目的とする高強力糸が得られないの
みならず、コードとしたときの耐疲労性も低下してしま
う。また、少量混合させることのできる他の構成単位と
してはジエチレングリコール、炭素数が1〜10の他のポ
リエチレングリコール、ヘキサヒドロ−P−キシリレン
グリコール、イソフタル酸、ジ安息香酸、P−tert−フ
エニール−4,4′−ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレ
フタル酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸等の脂肪
族ジカルボン酸、ヒドロキシ酢酸等のヒドロキシ酸等が
挙げられ、この様なポリエステル素材は通常の溶融紡糸
法によって繊維化される。
このようなポリエステルには、必要に応じて艶消し剤、
顔料、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、
染色性向上剤或いは接着性向上剤等を配合することがで
き、配合の如何によって本発明の特性に重大な悪影響を
与えるもの以外は、全て利用できる。
通常、水分率0.03%以下に乾燥した上記ポリエステルを
溶融紡糸機で紡糸するが、このとき好ましくはエクスト
ルーダ型紡糸機を用いる。
紡糸引取り速度は採取した糸条の単糸デニールが30デニ
ール以下で複屈折率が0.002〜0.010となるように設定さ
れる。前記糸質に対応する紡糸条件は引取り速度VW
けではなく、ノズル吐出線速度V0、ノズル孔径D、単
孔吐出量Q等の要因を最適化することにより決定でき
る。
特に紡糸基本要因パラメーターが下記(1)〜(2)式を満足
することは本発明では重要であり、更に(3)〜(4)式を満
足することが本発明に利用されている高重合度で且つ単
糸デニールの小さい繊維を実現する上で好ましい。
Q/πD≧23500〔g/cm3・min〕 …(1) V/V≦200 ……(2) LH :30〜200 〔mm〕 ……(3) TA :280 〜330 〔℃〕 ……(4) 但し上記(1)〜(4)式において Q :単孔あたりのポリマー吐出量[g/min〕 D :ノズル孔径〔cm〕 V:紡糸引取り速度〔m/min〕 V:ノズル吐出線得度〔m/min〕 LH :ノズル直下の加熱ゾーン長〔mm〕 TA :ノズル直下の加熱ゾーンの糸条雰囲気温度〔℃〕
を示す。
ここで(1)式が満たされないと、高重合度のポリマーを
安定的に低配向で押し出す事が困難になり、また(2)式
を満たさない場合には、本発明で必要とされる低配向の
紡出糸条が得られない。
引取り糸条の複屈折率が0.010を越えると安定的に破断
強度DTが11g/d以上の高強力糸にならない。
ポリマーの重合度が一定の場合、高強力糸を得るには引
取糸条の複屈折率はできるだけ小さいことが好ましい
が、引取り糸条の複屈折率を0.002未満とすると、
紡糸操業性が損なわれるため好ましくない。
又、引取り糸条の単糸デニールが30デニールを越える
と、高倍率に安定的に延伸することが困難であり、本発
明で意図しているような高倍率延伸により得られた高強
力糸を用いることが困難となる。
上記の様にして得られた未延伸糸を紡糸に連続して、又
は一旦巻取った後延伸する際に、未延伸糸第1供給ロー
ラと100℃以下に繊維された未延伸糸第2供給ローラと
の間において、1.10倍以下の予備延伸を行い、次いで未
延伸糸第2供給ローラと第1延伸ローラとの間において
全延伸倍率の40%以上の第1段延伸を行うのが良く、必
要に応じて未延伸糸第2供給ローラと第1延伸ローラと
の間に高温加圧蒸気噴出ノズルを設け、ノズル温度を20
0℃以上にして高温蒸気を噴出させ、高温加圧蒸気噴出
ノズル付近に延伸点を固定させる。更に第2段延伸を行
う際に、第1延伸ローラと第2延伸ローラとの間に設け
られた雰囲気温度、170〜420℃のスリットヒーター(糸
条走行路としてスリットを設けた加熱装置で、該スリッ
ト中に非接触状態で糸条を走行させながら加熱するも
の:雰囲気温度とは該スリット内の温度を言う)中を糸
条が0.3秒以上滞在できる様に通過せしめ、しかる後、
第2延伸ローラに供する。その際、スリットヒーター中
に温度勾配を設け、糸条入口の雰囲気温度を170℃以
上、出口雰囲気温度を420℃以下とし、且つ200〜420℃
の雰囲気に糸条が0.3秒以上滞在できる様に糸条を通過
させることが好ましい。又、2段延伸終了後、一旦巻取
ることなく連続的に、あるいは一旦巻取った後に、165
〜230℃で10%以下のリラックス処理を行うことによ
り、寸法安定性を更に向上させることも可能である。
全延伸倍率は6.0倍以上に設定される。
ここで、延伸倍率が6倍を下廻ることになると、本発明
で必要とする高強度を有する繊維が得られなくなるので
好ましくない。
本発明に用いられる高強力、低伸度糸を得るため、最高
延伸倍率の85%以上、好ましくは90%以上の高倍率で延
伸し、切断伸度が5〜10%となるようにするが、個々の
試料の延伸倍率は、それぞれの引取糸の配向度によって
基本的に決定される。
なお、最高延伸倍率とは、延伸可能な最大延伸倍率をn
=5で測定し、その平均値をいう。
かくして得られたポリエステル繊維は次の特性を備えて
いる。
(イ) 破断強度DT≧11.0g/d 好ましくは (ロ) 10%≧破断伸度DE≧5% ここで、繊維の破断強度が11g/d未満となると、本発
明の目的物である優れた寸法安定性、優れた耐疲労性、
高タフネスを兼ね備えたディップコードが得られなくな
るので好ましくない。
更に110C/Sで測定した力学的損失正接Tanδの温度分
散に現われる主分散のピーク温度Tαが160℃以上であ
ることは、非晶鎖が十分伸ばされたことを示しており、
(イ)、(ロ)の糸質を微細構造的に反映したものといえる。
更にこれらの特性は、下記の微細構造的パラメーターを
満足することにより、更に安定的に製造可能でる。
(ニ) Δn≧195×10-3 (ホ) 小角X線回折による長周期 LP≧170Å (ニ)(ホ)は、微視的に見て、平均の配向性を代表するΔ
n、及び結晶部、非晶部の繊維軸方向の伸張度を代表す
るLPが大きいことを示している。
又、延伸糸の単糸デニールが4d以下とすることにより
糸条の半径が小さくなり、紡糸、延伸工程における内外
層の熱履歴、応力履歴差が小さくなり、フィラメント内
外層の構造差が小さくなり、強力利用率が高くなること
により高強力発現が容易となる。
本発明の1つの特徴は高重合度で且つ単糸デニールの小
さい繊維の製造を可能とすることにより、高強力、低伸
度の高重合度を有するポリエステル繊維をディップコー
ドに利用できるようになったことにある。
上記によって得られたポリエステルマルチフィラメント
ヤーンは、これを常法に準じて撚糸し、生コードとす
る。
更に、該生コードまたは該生コードより織成した簾織物
をゴムとの接着性を改善するためのディップ液処理に引
き続いてホットストレッチを行う。
本発明者らは、これらの生コード作成からディップ処理
までの工程を鋭意検討し、ディップコードを高強力化
し、中間伸度低くし、且つ収縮率を低くでき、従来のポ
リエステルディップコードでは発現できない優れた性能
を実現できることを見出し本発明に至った。
即ち、本発明に用いる高強力低伸度ポリエステル繊維の
場合、撚係数 が通常良く用いられる2000〜2200(たとえば840d/2
撚では47turn/10cm)では生コードの強力利用率が低下
するが、撚係数を1400〜1800の範囲に設定すると強力利
用率が非常に優れており、ディップ工程でのホットスト
レッチ比を3%以下と低くすることにより、低収縮率
で、中間伸度の低いディップコードが得られる。
ここで撚係数が1400を下廻るとディップコードの耐疲労
性が悪くなり、実用化が困難となる。一方、撚係数が18
00を越えると寸法安定性が悪くなるので好ましくない。
また、ホットストレッチ比が3%を越える場合にあって
は、コードの低収縮化と寸法安定性が達成できなくなる
ので好ましくない。
中間伸度は、コードのモジュラスに相当するメジャーで
あるが、前記のディップコードの中間伸度が低いという
ことは、該コードのモジュラスが高いことを示してい
る。
本発明の特徴は、高強力糸製造段階で従来のポリエステ
ル高強力糸に比較して分子鎖をより伸張せしめることに
より、すでに高強力、高モジュラス低伸度糸を作成して
おき、撚糸後、ディップ工程においてホットストレッチ
によりディップコードのモジュラスを高くする、即ち中
間伸度を低くする必要はないため、ディップ処理工程に
おいてコードに対する負荷が小さくなり、結果的に従来
では考えられなかったような低収縮率、低中間伸度(高
モジュラス)の高強力ポリエステル系ディップコードを
達成したことにある。
従来のポリエステルディップコードは、ディップコード
の破断強度Aが7.5g/d以上、好ましくは8.0g/d以
上で、中間伸度B及び乾熱収縮率Cがそれぞれ下記の式
を満足するものはなかった。
(第1図参照) (b) B≦5% (c) C≦5% (d) C≦−B+8.5 これらのディップコード特性は撚糸係数を1400〜1800の
低撚数領域で、ディップ工程でのホットストレッチ比3
%以下の低ストレッチ条件ではじめて達成できる。
撚数を減少させることは、撚糸速度をアップでき、コス
トダウンが図れるというメリットがあるが、従来の知見
では耐疲労性が落ちてくるという欠点があった。
しかし、本発明のディップコードは(a)〜(d)の式を満足
することにより、低撚コードでも従来の撚数のコード以
上の耐疲労性を有している。これらの特性は、たとえば
ディスク疲労テスト後の残留強度が高いことより明らか
である。
ここで、本発明の前記(a)〜(d)で示される式の個々の要
件について説明する。
(a) ディップコードの破断強度A≧7.5g/dの要件が必
要な理由としては、ゴム補強用に使用する際、コードの
打ち込む本数を減らすことができれば、構造の簡略化、
製品の軽量化などが可能となることから、この目的を達
成するためにはコードの破断強度が7.5g/d以上であるこ
とが必要である。
(b) ディップコードの中間伸度B≦5%の要件が必要
な理由としては、ディップコードをラジアルタイヤに使
用する際、操縦安定性の観点から、乗り心地を損なわな
い程度のコードのモジュラスが必要であり、ディップコ
ードの中間伸度はコードのモジュラスに相当する指標で
あり、この値は5%以下であることが必要である。5%
以上ではゴム強化用の織物の構造を変えないと操縦安定
性に問題が生じることになる。
(c) ディップコードの乾熱収縮率C≦5%の要件が必
要な理由としては、コードの乾熱収縮率が5%以上にな
ると、タイヤとしたときにタイヤのユニフォーミティー
に問題を生じ易くなることからコードの乾熱収縮率が5
%以下であることが必要である。
(d) C≦−B+8.5の要件が必要な理由は次のとお
りである。すなわち、上述のようにディップコードとし
ては中間伸度(b)、乾熱収縮率(c)は、規定の式の上値値
より低い方が良く(第1図参照)且つ、コードの高モジ
ュラス、低収縮率の特徴を保持する為に(d)式を満足さ
せることが必要である。
熱処理温度は一般的には225〜255℃の範囲であり、好ま
しくは230〜245℃の範囲である。熱処理温度が225℃に
達しないと処理コードの熱収縮率が大きくなって十分な
セットが得られず、タイヤの成長が大きくなり、またタ
イヤのユニフォミティを悪くする。一方、255℃を越え
ると処理コード強度が著るしく低下する。熱処理時間は
通常では1.0〜4.0分であり、好ましくは2.0〜3.0分であ
る。熱処理時間が1.0分に達しないと熱処理温度と同様
に処理コードのセットが不十分となり、4.0分を越える
と強力の低下を招く。
以上述べた如く本発明によれば、熱収縮性を高めること
なく、中間伸度を低くして、高モジュラスのポリエステ
ル系ディップコードが得られる。この結果、タイヤの操
縦安定性が向上し、転がり抵抗の低減が達成されるだけ
でなくタイヤのユニフォミティ性も向上させることがで
きる。
本発明のポリエステルタイヤコードは、特にラジアルタ
イヤのカーカスプライ用として好適であり、従来のポリ
エステルコードを用いる場合のようにカーカスプライに
適用された場合、サイドウォール部の剛性を高める寸法
を採用せずに十分な剛性が得られる。
以下、本発明の実施例を述べるが、前記していない特性
及び測定法は次の通りである。
〈複屈折率(Δn)の測定法〉 ニコン偏光顕微鏡POH型ライツ社ベレックコンペンセ
ーターを用い、光源としてはスペクトル光源用起動装置
(東芝SLS−8−B型)を用いた(Na光源)。5〜
6mm長の繊維軸に対し45゜の角度に切断した試料を、切
断面を上にして、スライドグラス上に載せる。試料スラ
イドグラスを回転載物台にのせ、試料が偏光子に対し、
45゜になる様、回転載物台を回転させて調節し、アナラ
イザーを挿入し暗視界とした後、コンペンセーターを30
にして縞数を数える(n個)。コンペンセーターを右ネ
ジ方向にまわして試料が最初に暗くなる点のコンペンセ
ーターの目盛a、コンペンセーターを左ネジ方向にまわ
して試料が最初に一番暗くなる点のコンペンセーターの
目盛bを測定した後(いずれも1/10目盛まで読む)、
コンペンセーターを30にもどしてアナライザーをはず
し、試料の直径dを測定し、下記の式にもとづき複屈折
率(Δn)を算出する(測定数20個の平均値)。
Δn=Γ/d (Γ:レターデーション Γ=nλ+ε) λ=589.3mμ ε:ライツ社のコンペンセーターの説明書のC/10000
とiより求める。
i=(a−b)(:コンペンセーターの続みの差) 〈固有粘度の測定法〉 75重量%のp−クロロフェノールと25重量%のテトラク
ロルエタンからなる混合溶剤中で測定する。
重合体を室温において溶剤中に溶解し且つ粘度を測定を
オストワルドーフェンスケ毛細粘度計中で30℃において
行なう。
固有粘度は、溶液粘度の溶媒粘度に対する比の自然対数
を溶液100ml当りの重合体のグラム数で表わした重合体
溶液の濃度によって除した値が濃度ゼロに近づくときの
極限値である。
〈繊維及びコードの強伸度特性の測定法〉 JIS−L1017の定義による。試料をカセ状にとり、20
℃、65%RHの温湿度調節された部屋で24時間放置後、
“テンシロン”UTM−4L型引張試験機〔東洋ボール
ドウィン(KK)製〕を用い、試長20cm、引張速度20cm
/分で測定した。但し、生コードは上撚ボビンに捲いた
まま、コンディショニングした後、測定を行った。
〈撚係数の計算式〉 撚係数K=撚数×(デニール)1/2 撚数:turn/10cm 〈ディスク疲労の測定法〉 通常のディスク疲労試験機を用い、ディップコードを埋
め込んで加硫して作成した試験片をセットし、圧縮比1
2.5%、伸長比6.3%の下に2500rpmの速度で48時間回転
による強制疲労を与えた後、ディップコードをゴムから
取出して残留強力を測定した。
〈中間伸度の測定法〉 JIS−L1017の定義による。一定荷重W(kg)におけ
る伸び率を測定する。伸び率測定条件は強伸度特性の測
定条件に準ずる。一定荷重Wは、下記の式で定義され
る。
:試料デニール、d:基準デニールで原糸の場合
1000デニール、コードの場合2000デニールである。
〈比 重〉 n−ヘプタンと四塩化炭素よりなる密度勾配管を作成
し、30℃±0.1℃に調温された密度勾配管中に十分に脱
泡した試料を入れ、5時間放置後の密度勾配管中の試料
位置を、密度勾配管の目盛りで読みとった値を、標準ガ
ラスフロートによる密度勾配管目盛〜比重キャリブレー
ショングラフから比重値に換算し、n=4で測定。比重
値は原則として小数点以下4桁まで読む。
〈定長昇温熱応力ピーク温度〉 試長45cm、昇温速度20℃/分、初荷重0.05g/dの条件
で、室温より溶断温度までの熱収縮応力を測定し、熱応
力が最大となる温度を求める。
〔詳細はTextile Research Journal,vol.47,732(1977)
参照。〕 〈単糸デニール〉 JIS−L1073(1977)に従って測定。
〈乾熱収縮率の測定法〉 試料をカセ状にとり、20℃、65%RHの温湿度調節室で
24時間以上放置したのち、試料の0.1g/dに相当する
荷重をかけて測定された長さlの試料を、無張力状態
で150℃のオーブン中に30分放置した後、オーブンから
取り出して上記温湿度室で4時間放置し、再び上記荷重
をかけて測定し、長さlから次式により算出した。
〈小角X線回折による繊維長周期LPの測定法〉 小角X線散乱パターンの測定は、例えば理学電機社製X
線発生装置(RU−3H型)を用いて行なう。測定には
管電圧45KV、管電流70mA、銅対陰極、ニッケルフィルタ
ーで単色化したCuKα(λx=1.5418Å)を使用す
る。サンプルホルダーに繊維試料を単糸どうしが互いに
平行になるように取り付ける。試料の厚さは0.5〜1.0mm
位になるようにするのが適当である。この平行に配列し
た繊維の繊維軸に垂直にX線を入射させ理学電機社製P
SPC(Position Sensitive Proportional Counter)シ
ステムを用いて測定する。本システムの概要は、例えば
〔Polmer Journal,vol.13,501(1981)〕に詳しく紹介さ
れている。
測定条件は、0.3mmφ×0.2mmφ中ピンホールコリメータ
を用い、 試料とプローブ間距離:400mm MCA(マルチチャンネルアナライザー) 測定チャンネル数:256 測定時間:600秒 とした。データの処理は、測定散乱強度から空気散乱強
度を差し引いたものを移動平均処理により求め、その強
度最大位置を読みとることにより、長周期小角散乱角度
2αから下記式に従い、繊維長周期を算出する。〔第2
図(A)、(B)参照:図中1′は試料、2′はPSPCプロー
ブ、3′はポジション・アナライザー、4′はMCA、
5′は表示部を夫々示す〕。
移動平均処理は、次式に従って算出する。
ただし、上式中、I(S)N及びI(S)iは、それぞ
れチャンネルナンバーN及びiの測定散乱強度(空気散
乱強度を差し引いた強度)、Kは移動平均の採用点数
(ここではK=7)、N−K>0、N+K≦256 〈力学温度分散〉 東洋測器社製Rheovibronを使用し、初糸長4cm、昇温速
度2℃/分、測定時の正弦周波数110 Hzの条件で測定
し、損失正接tanδ=E′/ E″が最大となる温度〔T
α〕を求める。
実施例1 第1表に示す固有粘度のポリエチレンテレフタレートを
原料とし、同表に示す条件で紡糸を行い、同表に示す複
屈折率の未延伸糸を得た。紡糸にあたっては、未延伸糸
引取り前に適量の紡糸油剤を糸条表面に付着させた。
得られた未延伸糸を第2表に示す条件で延伸し、第3表
に示す糸質の延伸糸を得た。第3表中に比較例2とし
て、市販の高強力グレードのタイヤコード用ポリエステ
ル繊維の糸質を併記する。
次いで、実施例1及び比較例2の延伸糸を夫々合糸し、
1000デニールのマルチフィラメントヤーンを得た。
得られたヤーンにそれぞれ49T/10cm、37T/10cm、及
び28T/10cmの上撚及び下撚をかけ1000d/2plyの2
本撚りコードとなした。
こうして得た生コードを、レゾルシン・ホルマリン・ラ
テックス液よりなるポリエステルディップ液中に浸漬
し、次いで120℃で3分間、伸張を伴なわないストレッ
チの下に熱風乾燥した。
引き続いてホットストレッチゾーンに導入し、240℃の
加熱空気中で1%、5%ホットストレッチした後、更に
1%のリラックス状態で240℃の加熱空気中で45秒間熱
処理を行って、ディップコードを製造した。
本実施例による生コード及びディップコードの特性は第
4表に示す通りであった。
本発明で得たディップコードは、比較例で得たディップ
コードに比べて、著しく強度が向上するとともに、低中
間伸度でかつ寸法安定性のメジャーである乾熱収縮率も
小さく、低撚領域での耐疲労性は比較例よりもはるかに
優れている。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のディップコード特性を示す図であり、
縦軸は乾熱収縮率、横軸は中間伸度を示し、斜線で示し
た領域が本発明のディップコードの特性を示す領域であ
る。 第2図(A)は本発明において小角X線回析による繊維長
周期を測定するために用いられPSPCシステムにおけ
る試料及びフィルム面等の配置を示す模式図、同(B)は
本発明繊維の小角X線回析パターンを示す模式図であ
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エチレンテレフタレートの繰返し構造単位
    が85モル%以上、固有粘度IVが0.80以上のポリエステル
    系ポリマーを溶融紡糸し、紡出糸条の複屈折率が0.002
    〜0.010となる様に下記(1)〜(2)式で示す紡糸引取条件
    を満足し、 全延伸倍率6.0倍以上で延伸して、破断強度11g/d以
    上のポリエステル繊維を得、次いで該ポリエステル繊維
    に撚係数1400〜1800の下撚および上撚を施して生コード
    とし、次いでゴムとの接着性を改善するディップ液処理
    に引き続いて3%以下のホットストレッチを行うことを
    特徴とする下記(a)〜(d)の特性を有するポリエステル系
    ディップコードの製造方法。 (a) ディップコードの破断強度A≧7.5g/d (b) ディップコードの中間伸度B≦5% (c) ディップコードの乾熱収縮率C≦5% (d) C≦−B+8.5
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