JPH0640856U - 超音波探傷検定用治具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ＵＳＴのエコー強度の読み込みの際、各測定
者によって、その強度等の読み込み方もバラツキがな
く、更に、欠陥位置を算定する算出式も簡単で、計算間
違えあるいは、計算に長時間を要さない。 【構成】 板厚がＵＳＴプローブの幅以上で、一辺が探
傷すべき鋼管外周と同一曲率になる如く形式すると共
に、外円周から曲率中心方向に外周からの距離を順次大
きくした複数の貫通孔を設ける。又、該貫通孔の最端の
孔を基準にしてＵＳＴの屈折角確認用の表示を付してお
く。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、溶接鋼管の溶接部の欠陥を判定する超音波探傷における超音波探傷 検定用治具に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来溶接鋼管の溶接部の欠陥の探傷方法としては、超音波探傷装置（以下、Ｕ ＳＴという）によって、溶接部周辺を探傷し、欠陥を探傷した時点のエコーの強 度、ＵＳＴの屈折角度から、その欠陥位置を各測定者がＵＳＴで検知した欠陥ま での距離と角度をその鋼管の円周長と板厚から、鋼管表面からの深さと、溶接ビ ード部センターからの距離を計算により算出するという方法で行っていた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、前記従来方法では、以下に述べる問題点があった。まず、ＵＳＴのエ コー強度の読み込みの際、各測定者によって、どのエコーを読み込むか、あるい はその強度の読み込み方にもバラツキがあった。更に、欠陥位置を算定する算出 式も煩雑で、計算間違えあるいは、計算に長時間を要するという問題があった。 本考案は前述の問題点を解決し、溶接欠陥の検定を正確にかつ容易に行うこと ができる治具を提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案の要旨は、超音波探傷における溶接欠陥検定用厚鋼板製治具であって、 板厚が超音波探傷装置のプローブの幅以上の厚みで、且つ、一辺を探傷すべき鋼 管外円周と同じ曲率に形成し、探傷すべき鋼管の板厚の範囲で外円周から曲率中 心方向に外円周からの距離を順次大きくした複数の貫通孔を設け、複数の貫通孔 の間隔が、超音波探傷装置で一つの孔の検定時に、隣接した孔の干渉を受けない 距離とし、該複数の貫通孔の最端の孔を基準に超音波探傷装置の屈折角を確認で きる位置に角度表示を付した事を特徴とする超音波探傷検定用治具である。

【０００５】

【実施例】

以下、図によって詳細に説明する。図１は、本考案による超音波探傷検定用治 具の斜視図と平面図である。 治具は、厚鋼板製であり、その厚みはＵＳＴプローブの幅と同程度のものであ る。これは、ＵＳＴプローブをこの治具の疑似外円周に接触し、検定する時にＵ ＳＴプローブの幅よりも狭いとＵＳＴプローブが安定しない。広すぎると治具の 重量が大きくなり、作業困難となるのでＵＳＴプローブの幅と同程度とすること が好ましい。

【０００６】 又、治具の形状は、その一辺は、探傷すべく鋼管の探傷面と同じ曲率、つまり 、該当鋼管の外円周と同一曲率であり、これが、図１の疑似探傷面１となる。 次に、その疑似探傷面１に沿って複数のドリル孔２を設けてある。孔は、端か ら順次疑似探傷面１から距離を離して配置されており、このドリル孔２が鋼管の 欠陥に相当する。そして、各々の孔から疑似探傷面に鉛直に下ろした距離４を印 してあり、これが欠陥深さを表している。欠陥深さの間隔は、小さすぎると、孔 数が多くなり、治具が大きくなり過ぎ、作業が困難になる。逆に間隔が大きすぎ ると、欠陥の位置の判定精度が悪くなるので、間隔は２mm程度が好ましい。孔径 は、０．５mm未満ではＵＳＴの検出が困難となり、３mm超ではＵＳＴの距離の読 み取り精度が悪くなるので、孔径についても２mm程度が好ましい。又、孔と孔と の間隔は、一つの孔を探傷している時に、隣接している他の孔の影響を受けない 距離を確保している。 更に、その最端の孔を基準として、ＵＳＴの屈折角を検定する位置３に、その 角度表示５を印し、明確にしている。

【０００７】 図２は、本考案の超音波探傷検定用治具を使用した時の作業手順を示したもの である。 探傷鋼管の溶接ビード部近傍にＵＳＴプローブを設置し、欠陥により発生した エコーの位置と、溶接ビード中心からＵＳＴプローブまでの距離を読み取る。 次に、本考案による超音波探傷検定用治具に同ＵＳＴプローブを設置し、で 検出したエコー位置と同じエコー位置を表す人工欠陥（ドリル孔）を探索する 。同じエコー位置の人工欠陥が得られたら、その人工欠陥の疑似外円周からの 距離を読み取る。 ＵＳＴプローブを再度、鋼管のエコー検出位置にあて、溶接ビード中心からＵ ＳＴ検出端までの距離に設置し、エコー位置が初回の探傷時と同じ事を確認し 、欠陥深さを検定する。 以上の手順により、容易に且つ、正確に鋼管溶接ビード部の欠陥位置を探傷す ることができる。

【０００８】 図３は、横軸を鋼管の板厚、縦軸が欠陥の測定位置と実際の位置の誤差を表し たものである。従来例では、鋼管の板厚が大きくなるほどその測定誤差は、大き くなる傾向にあり、２５mmの板厚ではＭＡＸ９mmの誤差がでている。それに比較 し、本考案によると板厚が厚くても誤差は大きくならず、全ての板厚においても 誤差は３mm以内である。

【０００９】 又、図４は、板厚毎の探傷時間を従来例と本考案とで比較したものである。従 来例ではやはり、板厚が大きくなる程探傷時間は長くなり、板厚２５mmでは９０ 秒程度になる。それに比較し、本考案では、板厚２５mmでも４０秒ほどで探傷を 完了してしまう。

【００１０】

【考案の効果】

以上の様に、本考案による超音波探傷検定用治具を使用して鋼管溶接部の欠陥 を探傷すれば、誤差も小さくなり、且つ、探傷時間も従来の半分以下になる。こ の事により、従来熟練工に頼っていた探傷作業も、若年者でも精度良く出来、且 つ、その作業時間も飛躍的に短縮でき、その結果、作業要員の確保も容易になり 、生産効率も向上できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による超音波探傷検定用治具の斜視図と
平面図。

【図２】本考案による超音波探傷検定用治具を使用した
場合の鋼管溶接部の探傷作業の手順を示す図。

【図３】鋼管の板厚による欠陥位置の探傷誤差について
従来例と本考案とを比較した図。

【図４】鋼管の板厚による探傷時間について従来例と本
考案とを比較した図。

【符号の説明】

１ 疑似探傷面 ２ ドリル孔 ３ 屈折角検定位置 ４ 疑似探傷面からドリル孔までの距離 ５ 探傷装置の屈折角

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 山下 英一 千葉県君津市君津１番地 新日本製鐵株式 会社君津製鐵所内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 板厚が超音波探傷装置のプローブの幅以
   上の厚みで、且つ、一辺を探傷すべき鋼管外円周と同じ
   曲率に形成し、探傷すべき鋼管の板厚の範囲で外円周か
   ら曲率中心方向に外円周からの距離を順次大きくした複
   数の貫通孔を設け、該複数の貫通孔の最端の孔を基準に
   超音波探傷装置の屈折角を確認できる位置に角度表示を
   付した事を特徴とする超音波探傷検定用治具。