JPH0639543Y2 - 歩行型田植機における補助苗載台構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、補助苗載台が苗載台の前方に配されて成る歩
行型田植機における補助苗載台構造に関するものであ
る。

［従来技術及び考案が解決しようとする問題点］ 一般に、この種歩行型田植機では、植付け爪によつて掻
取られる植付け苗が載置される苗載台に前方に補助苗を
載置する補助苗載台が配設されているものがある。そし
てこの様な田植機においては、植付作業中に苗載台上の
植付苗が残り少なくなつたり空になつたりした場合、補
助苗載台に載置された補助苗を補給していた。しかる
に、補助苗載台は、機体の前後バランスを保つために、
走行車輪略上方に配設することが好ましく、このため作
業者と補助苗の距離が遠くなつて補給作業がしづらいと
いう欠点があつた。そこで従来、補助苗載台を前後方向
移動可能にし、補助苗の補給作業時、補助苗載台を手前
側に引寄せるようにしたものがあるが、これらのものは
何れも補助苗載台全体を移動するようにしたものである
ため、これが機体中央およびその左右側方にそれぞれ補
助苗載台を有するものである場合、載置する補助苗の総
重量が大きくなつて、補助苗載台を引寄せる操作が容易
でなく、反つて作業性を低下させる惧れがある許りか、
補助苗載台を移動自在に支持する固定支持部を殊更強固
に補強されたものとするなどの必要があり問題があつ
た。

［問題を解決するための手段］ 本考案は、上記の如き実情に鑑みこれらの欠点を一掃す
ることができる歩行型田植機における補助苗載台構造を
提供することを目的として創案されたものであり、苗載
台前方に配設される補助苗載台を、複数の補助苗が左右
方向並列状に載置可能に構成して成る歩行型田植機にお
いて、前記補助苗載台を、中央載置部と、該中央載置部
の左右側方に配設される左右載置部とで構成すると共
に、前記載置部のうち中央載置部のみを前後方向移動可
能に構成したことを特徴とするものである。

そして本考案は、この構成によつて、補助苗の補給を極
めて容易に行うことができるようにしたものである。

［実施例］ 次に、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。図
面において、１は歩行型田植機の走行機体であつて、該
走行機体１の機体フレーム1aの前方にはエンジン２が設
けられており、該エンジン２からの動力が、トランスミ
ツシヨンケース３を経由して、機体フレーム1a内の動力
伝動機構を介して機体フレーム後方に連設の、植付部４
側の植付フレーム4aと、機体左右両側のスイングケース
５内の動力伝動機構を介して走行車輪６側とにそれぞれ
伝達されるようになつていること等は何れも従来通りで
ある。さらに図中、７はフロート、８は苗載台、９は運
転ハンドル、10はエンジン２上方を覆うボンネツトであ
る。

11はボンネツト10の後側の機体フレーム1a部位をボンネ
ツト10よりも低位で覆う後部カバーであつて、該後部カ
バー11は機体フレーム1a側に一体的に取付けられるもの
であるが、この後部カバー11の上部には、補助苗が充填
された苗箱12を上下二段に載置可能な補助苗載台13が形
成されている。補助苗載台13の下側載置部は、後部カバ
ー11の上面11aによつて構成されているものであつて、
苗箱12は後部カバー11の後方から上面11aをスライドさ
せるようにして載置されるようになつている。一方、上
側載置部は、左右の側方フレーム14を介して組付けられ
るものであるが、この上側載置部は、左右の側方フレー
ム14間に形成される上側中央載置部15と、該上側中央載
置部15の左右側方に形成される上側左右載置部16によつ
て構成されている。即ち、左右の側方フレーム14の上端
部にはそれぞれ断面略冂形状の取付け部材14が固設さ
れ、この取付け部材25の外側に、苗箱12を載置可能に枠
組み形成された上側左右載置部16が一体的に固設されて
いる。ここで上側左右載置部16は、上側中央載置部15側
に向つて傾斜しており、また傾斜下端には苗箱12のずれ
止めをする係止部16aが一体的に設けられている。一
方、左右の取付け部材25間には２本の支持部材17が支架
されるが、この支持部材17には、固定具18を介して縦横
枠組み形成された上側中央載置部15が前後方向摺動自在
に設けられており、これによつて上側載置部が形成され
ている。そしてこの上側中央載置部15は、その重心が、
植付走行状態における走行車輪６の略車軸位置上方に位
置する前方位置と、それよりも後方の苗載台８に近接す
る後方位置とに変位できるようになつている。

一方、19は植付フレーム4aに突設される縦送り爪であつ
て、該縦送り爪19は、植付部４による苗載台８の横送り
作動にタイミングを合わせて後述する縦送りベルト20を
回動させるようになつている。即ち、縦送りベルト20
は、幅広な無端状ベルトで、かつその表面には左右及び
上下方向所定間隔を存して規則的に複数の突起20aが形
成されるものであるが、このものは、苗載台８に開設さ
れた取付け孔8a部位に回動自在に軸承される上下一対の
ローラ21、22に懸回されている。そして、前記縦送り爪
19が回動すると、下側ローラ22に突設される作動腕22a
がこれに接当して下側ローラ22を回動させ、これにより
縦送りベルト20が植付苗を下方に縦送りするべく回動す
るようになつている。

さらに、23は苗載台８下端部の苗ホルダ部8bに基端部が
枢支される苗ストツパであつて、該苗ストツパ23は、先
端が前記縦送りベルト20に接当する作用姿勢から立姿す
る非作用姿勢まで揺動可能であるが、苗ストツパ23と苗
ホルダ部8bの間には弾機24が介装されており、この弾機
24は、常時は苗ストツパ23を非作用姿勢に保持し、また
死点超えをした状態では苗ストツパ23の先端が縦送りベ
ルト20に弾圧状に接当すべく付勢するようになつてい
る。さらに苗ストツパ23の先端には切欠き23aが形成さ
れている。つまり切欠き23aは苗ストツパ23の先端と前
記縦送りベルト20の突起20aとの接当を避けるべく形成
されている。そして、苗ストツパ23は、作用姿勢におい
て、先端部のストツパ片23bが植付苗の縦送りを規制す
るものであるが、このとき苗ストツパ23の先端が回動す
る縦送りベルト20に弾圧状に接当することで縦送りベル
ト20に付着する床土等の付着物を掻き落すようになつて
いる。

叙述の如く構成された本考案の実施例において、田植作
業は、機体フレーム1aの上方に設けた補助苗載台13に補
助苗が充填された苗箱12を載置した状態で行い、そして
植付作業中に苗載台８上の植付苗が残り少なくなつた場
合には、上側中央載置部15を運転操作部側に引寄せて植
付苗を補給する。次に左右いずれか一方の載置部16に載
置されている苗箱12を手前側に引き寄せることになる
が、この場合、該外側の苗箱12を、前記手前側に移動し
ている中央載置部15上に引き寄せるようにして移動さ
せ、そして引き寄せた植付け苗を苗載台８に補強するこ
とができる。

この様に本考案においては、補助苗載台13に複数の苗箱
12を左右並列状に載置するようにしたものでありなが
ら、この補助苗を苗載台８に補給する場合に、まず中央
載置部15を手前側に引き寄せてここに載置される植付け
苗を苗載台８に補給し、そして空となつた手前側に有る
中央載置部15を橋渡しとして左右側方載置部16に載置さ
れる補助苗を手前側に引き寄せて苗載台８への苗補給が
できることになる。従つて、補助苗載台13の全体が前後
移動するようにした従来のものの様に、全てに補助苗が
載置されて重い補助載置台13をいちいち移動させること
なく、中央載置部15のみを移動させるだけでよく、しか
もこの移動させた中央載置部15に側方載置部の補助苗を
引き寄せて乗せ、ここから苗載台８に苗補給することに
より、あたかも側方載置部も手前側に移動させたと同じ
ようにして苗補給ができることに成り、この結果、作業
性が著しく向上することになる。しかも、このものは、
上側中央載置部15のみを移動可能に構成すればよいもの
であるから、上側載置部15を支持する支持部が受ける荷
重が小さくなつて、支持部を、従来のものの如く殊更補
強することなく、極めて簡略な構造のもので構成するこ
とができることになつて極めて都合がよい。

また本実施例の苗ストツパ23は、植付け苗の移動を規制
する作用姿勢において、縦送りベルト20に付着する床土
等の付着物を確実に掻き落すことができる。従つて、付
着物を落すための別途専用の部材を用いる必要がなく、
部材の兼用化と共に構造の簡略化が大いに計れることと
なる。しかもこのものは滑り止め用の突起を回避するも
のであるため、突起が損傷してしまうこともない。尚、
このものの場合には、苗ストツパ23の先端にブラシ等を
取付けるようにしてもよいものである。

［作用効果］ 以上要するに、本考案は叙述の如く構成されたものであ
るから、補助苗載台の中央載置部及び左右載置部に載置
された補助苗を後方の苗載台に補給する場合、中央載置
部を後方に引き寄せてここから苗載台側に苗補給をし、
また左右載置部に載置される補助苗については、前記後
方に引き寄せられた中央載置部を橋渡しとして手前側に
引き寄せ、そしてここから苗載台に補給することができ
る。従つて、補助苗の苗載台への補給は、引き寄せられ
た中央載置部によつてあたかも側方載置部が引き寄せら
れたものと同様の極めて容易な補強作業ができることと
なる。そして補助苗載台の引き寄せ操作は、左右側方も
含めた補助載置台全体を引寄せるもののごとく重く重労
働が強いられることことはなく、中央載置部のみとして
軽快かつ容易になり、これらのことが相俟つて、補助苗
の補給作業の作業性が大幅に向上でき、しかも苗載台に
前後移動を支持する支持部は、中央載置部のみを支持す
れば良いので、従来の全体を移動させるもののように移
動支持部を大型にする必要も無く、簡略な構造のもので
充分に構成し得て軽量コンパクト化に大いに寄与できる
ことになる。

【図面の簡単な説明】

図面は、本考案に係る歩行型田植機における補助苗載台
構造の実施例を示したものであつて、第１図は歩行型田
植機の側面図、第２図は同上平面図、第３図は補助苗載
台の断面側面図、第４図は同上断面正面図、第５図は要
部側面図、第６図は要部斜視図、第７図は要部縦断面図
である。 図中、1aは機体フレーム、２はエンジン、４は植付部、
８は苗載台、12は苗箱、13は補助苗載台、15は上側中央
載置部、16は上側左右載置部である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】苗載台の前方に配設される補助苗載台を、
   複数の補助苗が左右方向並列状に載置可能に構成して成
   る歩行型田植機において、前記補助苗載台を、中央載置
   部と、該中央載置部の左右側方に配設される左右載置部
   とで構成すると共に、前記載置部のうち中央載置部のみ
   を前後方向移動可能に構成したことを特徴とする歩行型
   田植機における補助苗載台構造。