JPH0639337B2

JPH0639337B2 - 燐酸塩系レ−ザ−ガラス

Info

Publication number: JPH0639337B2
Application number: JP6829487A
Authority: JP
Inventors: 邦雄竹内; 皓己北山; 孝松浦
Original assignee: ホ−ヤ株式会社
Priority date: 1987-03-23
Filing date: 1987-03-23
Publication date: 1994-05-25
Anticipated expiration: 2009-05-25
Also published as: JPS63233024A

Description

【発明の詳細な説明】（産業上の利用分野）本発明は燐酸塩系レーザーガラスに関し、特に熱膨張係
数が小さく、かつ熱伝導率が大きいことを特長とする燐
酸塩系レーザーガラスに関するものである。

（従来の技術）レーザー光の発振は、Ｎｄ_２Ｏ_３を含有するガラスを外
部よりキセノンランプ等により照射し、その光をガラス
中のＮｄ^３＋イオンに吸収させ特定の波長の光を放出さ
せることにより起る。従来よりこのような用途のガラス
として特公昭５３−４２３３４号公報に記載されたよう
な燐酸塩系ガラスが良い結果を出すことが知られてお
り、種々の燐酸塩系ガラスが製造され、使用されてい
る。

（発明が解決しようとする問題点）しかし、従来の燐酸塩系レーザーガラスはいずれも熱膨
張係数が８０〜１３０（×１０^−７／℃）と大きく、ま
た熱伝導率も低いため、スラブ型レーザー等にて励起の
為のランプの出力を大きくしていくと割れが発生してし
まうという欠点がある。

従って本発明の目的は、十分なレーザー光の螢光寿命、
化学的耐久性、溶融成形性等のレーザーガラスとして要
求される特性を維持しつつ、熱膨張係数が小さく、かつ
熱伝導率が大きい燐酸塩系レーザーガラスを提供するこ
とにある。

（問題点を解決するための手段）本発明者らは、この問題を解決するために研究を重ねた
結果、モル百分率で、Ｐ_２Ｏ_５６０〜８０Ａ_２Ｏ_３１１〜２４Ｎｂ_２Ｏ_５０．２〜２ＭｇＯ＋ＣａＯ＋ＳｒＯ＋ＢａＯ４〜２０からなる基礎ガラス１００モル％に対しＮｄ_２Ｏ_３を
０．１〜５モル％加えてなる燐酸塩系レーザーガラスが
本発明の目的を達成し得ることを見い出し本発明を完成
させるに到った。

上の成分組成を見ると明らかなように本発明の燐酸塩系
レーザーガラスは、Ｋ_２Ｏ、Ｎａ_２Ｏ、Ｌｉ_２Ｏ、Ｃｓ
_２Ｏ等のアルカリ成分（Ｒ_２Ｏ）を含まず、さらに従来
の燐酸塩系ガラスにおけるよりも多量のＡ_２Ｏ_３を含
むことを組成的特徴の１つとするものであり、これによ
りレーザーガラスの熱膨張係数が小さくなり、熱伝導率
が大きくなって、高繰り返し発振を行なったときに発生
する熱によってガラスが割れることがない。

また本発明の燐酸塩系レーザーガラスは、ＳｉＯ_２を含
まないことを組成的特徴とするものでもあるが、これは
上述の如く本発明の燐酸塩系レーザーガラスにおいて
は、アルカリ成分を用いていないので、化学的耐久性付
与成分であるＳｉＯ_２を用いなくても化学的耐久性が十
分維持されるからである。またＳｉＯ_２は溶融成形性を
改善するための成分でもあるが、本発明の燐酸塩系レー
ザーガラスにおいては、ＳｉＯ_２を含まなくても、溶融
成形性は、多量に含まれるＡ_２Ｏ_３によって十分に維
持される。

以下、各成分の限定理由について説明する。

Ｐ_２Ｏ_５は６０モル％未満では、熱膨張係数を下げ、熱
伝導率を上げる効果のあるＡ_２Ｏ_３が多量に溶け込ま
ず、本発明の目的を達成することができず、また８０モ
ル％を超えると、ガラスが不安定な領域に入ってしまう
ため、６０〜８０モル％に限定される。特に好ましいＰ
_２Ｏ_５の範囲は６２〜７８モル％である。

Ａ_２Ｏ_３は１１モル％未満では熱膨張係数を下げ、熱
伝導率を上げる効果が小さく、また２４モル％を超える
とガラスが不安定になってしまうので、１１〜２４モル
％に限定される。特に好ましいＡ_２Ｏ_３の範囲は１３
〜２１モル％である。

Ｎｂ_２Ｏ_５はガラスのソーラリゼーション防止に有用な
成分であるが、２モル％を超えると非線形屈折率が大き
くなるので、ソーラリゼーション防止目的のためには
０．２〜２モル％で十分であり、特に好ましい範囲は
０．３〜１．５モル％である。なおこの目的のために、
ＣｅＯ_２、ＭｏＯ_３、ＷＯ_３、ＴｉＯ_２等を用いても良
いが、ガラスに紫外部の吸収を与えるため本発明におい
てはＮｂ_２Ｏ_５を使用する。

ＲＯ成分としてはIIａ族酸化物であるＭｇＯ、ＣａＯ、
ＳｒＯ、ＢｒＯが有効であり、これらの合量が４モル％
未満ではガラスが不安定となり（失透しやすく）、２０
モル％を超えると熱膨張係数が大きくなってしまうの
で、４〜２０モル％に限定される。これらの合量の特に
好ましい範囲は５〜２０モル％であり、また個々のＲＯ
成分について見ると、ＭｇＯが０〜２０モル％、ＣａＯ
が０〜１２モル％、ＳｒＯが０〜６モル％、ＢａＯが０
〜８モル％であるのが好ましい。

本発明の燐酸塩系レーザーガラスは、６０〜８０モル％
のＰ_２Ｏ_５、１１〜２４モル％のＡ_２Ｏ_３、０．２〜
２モル％のＮｂ_２Ｏ_５及び４〜２０モル％のＲＯ成分を
含有する基礎ガラス１００モル％に対しＮｄ_２Ｏ_３を
０．１〜５モル％加えてなるものである。このＮｄ_２Ｏ
_３はレーザーガラスにとって発振のために不可欠の成分
であり、０．１〜５モル％に限定した理由は、０．１モ
ル％未満であると、レーザー光を発振しないかもしくは
発振しても微弱であり、５モル％を超えると利得係数が
低下するからである。なおロッドタイプレーザーガラス
の場合は０．１〜２モル％、スラブタイプのレーザーガ
ラスの場合は２〜５モル％が好ましい。

（実施例）以下、実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明
はこれらの実施例に限定されるものではない。

本発明の燐酸塩系レーザーガラスの製造後掲の表−１に示された組成となるように各原料成分を
秤量し、充分に混合したのち、白金またはセラミック製
ルツボを用いて１２００〜１４００℃で溶解及び清澄
（未溶解物の消失、脱泡）を行い、１１００〜１２５０
℃で充分均質化撹拌を行ったのち、予め予熱され型中に
鋳込成形し、その後精密徐冷によって残留歪を除去し、
歪のないレーザーガラスを得た。さらに所定の形状に精
密加工及び研磨を行いレーザーガラス製品を得た。

物性試験得られた６種の本発明の燐酸塩系レーザーガラスについ
てその熱膨張係数、熱伝導率及び螢光寿命を測定した。
なお比較のための従来例として従来の代表的な燐酸塩系
レーザーガラス（組成は表−１に記載してある）につい
ても同様にその熱膨張係数、熱伝導率及び螢光寿命を測
定した。これらの測定結果をまとめて表−１に示した。

上表より明らかなように、本実施例の燐酸塩系レーザー
ガラスは従来例のものよりも熱膨張係数が著しく低く、
かつ熱伝導率が著しく高いので、耐熱的強度（割れにく
さ）は従来のものの約２．５倍となる。中でも実施例２
の燐酸塩系レーザーガラスは熱膨張係数が６０（×１０
^−７／℃）、熱伝導率が０．８３（Kcal/m.hr.℃）であ
り、特に優れている。また本実施例の燐酸塩系レーザー
ガラスは従来例の燐酸塩系レーザーガラスと遜色のない
螢光寿命を有する。

なお本実施例の燐酸塩系レーザーガラスの化学的耐久
性、溶融成形性については特に試験データを示さないが
十分に満足すべきものであった。

（発明の効果）アルカリ成分及びＳｉＯ_２を含まず、多量のＡ_２Ｏ_３
を含む本発明の燐酸塩系レーザーガラスの技術的効果を
列挙すると以下の通りである。

(i)従来品に比べ熱膨張係数が著しく小さくなり、熱伝
導率が著しく大きくなったので、高繰り返し発振を行な
ったときに発生する熱によってガラスが割れることがな
い。

(ii)レーザー発振のために十分な螢光寿命を有し、化学
的耐久性、溶融成形性も満足すべきものである。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】モル百分率で、Ｐ_２Ｏ_５６０〜８０Ａ_２Ｏ_３１１〜２４Ｎｂ_２Ｏ_５０．２〜２ＭｇＯ＋ＣａＯ＋ＳｒＯ＋ＢａＯ４〜２０からなる基礎ガラス１００モル％に対しＮｄ_２Ｏ_３を
０．１〜５モル％加えてなる燐酸塩系レーザーガラス。
【請求項２】モル百分率で、Ｐ_２Ｏ_５６２〜７８Ａ_２Ｏ_３１３〜２１Ｎｂ_２Ｏ_５ 0.3〜1.5 ＭｇＯ０〜２０ＣａＯ０〜１２ＳｒＯ０〜６ＢａＯ０〜８ＭｇＯ＋ＣａＯ＋ＳｒＯ＋ＢａＯ５〜２０からなる基礎ガラス１００モル％に対しＮｄ_２Ｏ_３を
０．１〜５モル％加えてなる特許請求の範囲第１項記載
の燐酸塩系レーザーガラス。