JPH0638882Y2 - 道床更換装置における台車沈降防止装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は鉄道の道床バラストを更換する場合に用いる
道床更換装置における台車の沈降防止装置に関する。

〔従来の技術〕

鉄道線路の道床バラストは長期間の使用により土砂の混
入が増加して排水が悪くなるなどの問題が生じてくるの
で、道床更換装置を用いて古い道床バラストをふるい分
けたり、土砂の混入の著しいものはこれを廃棄して新し
いバラストと入れ換えるなどの必要がある。

上記の道床更換装置はレール上の台車の両側から道床の
両側へ向けて斜下方に延びた左右のトラフの下端に、ま
くらぎの下に設置した中間ステーの両端を固定し、左右
のトラフと中間ステーに沿ってスクレーパチェンを走行
させて、道床の旧バラストをかき出し、この旧バラスト
を一方のトラフ内に沿って上方に搬送してコンベヤによ
り貨車上へと搬出する。

〔考案が解決しようとする課題〕 上記のような従来の道床更換装置の場合、台車を支える
車輪の全てが中間ステーの後方にあるため、作業中はス
クレーパチェンにより下部の旧バラストが除去されたレ
ールで台車を支える状態となる。

このようにバラストで支えていないレール上に台車が載
ると、その荷重により台車がレールとともに若干沈降す
る。

このため、中間ステーも台車とともに若干沈降するの
で、予定されている深さよりさらに深い部分のバラスト
をかき出してしまうことになる。

このように必要以上に深くバラストをかき出すと、処理
するバラスト量が予定量より多くなり作業能率が低下す
るなどの問題が生じる。

この考案の課題は、上記の問題点を解決するために、中
間ステーの前方において、台車の前部を支えることによ
り正しい深さのバラストをかき出せるようにした台車の
沈降防止装置を提供することである。

〔課題を解決するための手段〕

上記の課題を解決するために、この考案は、道床更換装
置の台車の前部に中間ステーの前方に位置する昇降自在
の昇降車輪と、この昇降車輪を昇降させ、この昇降車輪
の下降時には、この昇降車輪をレール上に押し付け台車
の前部の荷重をバラスト除去前のレールにより支承せし
める荷重支持手段を設けた台車沈降防止装置を提供す
る。

〔作用〕

この考案は上記の構成であるから、作業現場までの移動
中や作業終了後などの道床更換装置の走行中においては
荷重支持手段の作用により昇降車輪を上昇させてレール
から浮かせることにより支障なく移動できる。

作業現場においては、中間ステーをまくらぎの下方のバ
ラスト中に挿入するとともに、荷重支持手段を働かせて
昇降車輪をレール上に押し付け、台車の前部を荷重支持
手段により支承せしめたのち通常通りの作業を開始す
る。

この作業において、スクレーパチェンでかき出す旧バラ
ストは昇降車輪の後方となるので台車の前部は沈降せ
ず、正しい深さで旧バラストの除去が行える。

〔実施例〕

図面はこの考案を実施した道床更換装置の一実施例であ
る。この図で１は線路２上に載った台車で、この台車１
上の枠体３の後部から左右のトラフ４、５が左右に開き
ながら、斜下方に延びて線路２の両側に達している。

６はレール、７はまくらぎで、中間ステー８はまくらぎ
７の下になるように道床を構成するバラスト17中に挿入
し、この中間ステー８の両端と左右のトラフ４、５の先
端とを結合する。

第１図のＡは無端状のスクレーパチェンでローラチェン
９に多数のスクレーパ10を外向きに固定したものであ
り、このスクレーパチェンＡを左右のトラフ４、５と中
間ステー８と前記枠体３に設けた駆動用チェンホイル11
間に張り渡し、このホイル11を枠体３内のモータ12によ
り駆動してスクレーパチェンＡを第１図矢印方向に走行
させることにより道床のバラスト17をかき出してトラフ
３内を経てベルトコンベヤ13上に落し、このコンベヤ13
により貨車などへ搬出するものである。

従って、トラフ４は搬送側、トラフ５は戻り側である。

16は台車１の下部の両側前後に設けた通常のフランジ付
きの車輪でレール６上に載っている。

台車１の前端部両側には左右一対のフレーム19を固定
し、この両フレーム19の下端に左右一対のアーム20の後
端を固定した軸筒14を軸21により上下方向に揺動自在に
取付け、この両アーム20の前端を連結枠22の両端に固定
する。

上記連結枠22の両端前部に固定した左右一対のブラケッ
ト23の外側に外向きに固定した軸24にはレール６上に載
る昇降車輪25を回転自在に装着するが、この車輪25の位
置は前記連結ステー８により前方に位置させる。

Ｂは荷重支持手段で図示例では、前記フレーム19の上端
に上端をピン27により連結して前後方向揺動自在とした
エアまたは油圧作動のシリンダ26とし、その下端から突
出したピストンロッド29を進退させるものである。この
各ロッド29の下端をピン30により前記ブラケット23の前
端上部に連結してピストンロッド29の進退によりアーム
20が上下に揺動する構造とする。ただし、荷重支持手段
Ｂの機構は図示例以外の任意の機構となし得る。

なお、上記車輪25は実施例ではフランジなしの広巾車輪
としてあるが、フランジ付きの通常車輪でもよい。

つぎに上記実施例の作用を説明すれば、他の車輌にけん
引されるなどにより線路２上を走行中はシリンダ26の作
用でロッド29を引込めアーム20を上げてその先端の昇降
車輪25をレール６上より浮かせておく。

作業現場に到着すると、中間ステー８をまくらぎ７より
下のバラスト17中に挿入してその両端に左右のトラフ
４、５を連結する。

そして、スクレーパチェンＡを張り渡して作業を開始す
る前にシリンダ26を働かせてロッド29を進出させ、アー
ム20を下げて昇降車輪25をレール６上に押し付けて台車
１の前部を支承する状態とする。

上記のように中間ステー８の前方に位置する昇降車輪25
が台車１の前部を支承する状態にしたのち、モータ12に
よりスクレーパチェンＡを駆動しながら台車１を徐々に
第１図、第２図の矢印方向に前進させる。

上記の作業により中間ステー８の後方のバラスト17はス
クレーパチェンＡによりかき出されてトラフ４を経てコ
ンベヤ13へと送り出される。

このため、車輪16が載っている部分のレール６は若干沈
降するが、台車１の前部は、まだバラスト17で支えられ
ているレール６上の車輪25により支えられているから、
中間ステー８は所定深さのバラスト17をかき出す。

〔考案の効果〕

この考案は上記のように台車の前部に荷重支持手段によ
り昇降する昇降車輪を設けて、道床更換作業中は荷重支
持手段により昇降車輪を下降させて、この昇降車輪を中
間ステーの前方においてレールに押し付けることにより
台車前部を支承せしめるのでバラストのかき出し作業を
はじめても台車の前部の沈降はなく、正しい深さでバラ
ストのかき出しが行える。

また、作業前や作業終了後の通常走行中は昇降車輪を上
昇させてレールから浮かすことができるので、通常走行
の場合に昇降車輪がじゃまになることはないなどの効果
がある。

【図面の簡単な説明】 第１図はこの考案装置を実施した道床更換装置の平面
図、第２図は同上の側面図、第３図は同上の拡大正面
図、第４図は要部の拡大側面図、第５図は荷重支持手段
付近の一部切欠拡大側面図である。 １……台車、２……線路、 ４、５……トラフ、６……レール、 ７……まくらぎ、８……中間ステー、 16……車輪、17……バラスト、 20……アーム、25……昇降車輪、 26……駆動用シリンダ、 Ａ……スクレーパチェン、 Ｂ……荷重支持手段。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】鉄道線路のまくらぎの下部に設置する中間
   ステーの両端に、鉄道線路上の台車の両側から延びたト
   ラフの先端を連結して、トラフと中間ステーに沿ってス
   クレーパチェンを走行させることにより、道床の旧バラ
   ストをかき出すようにした道床更換装置において、上記
   台車の前部に中間ステーの前方に位置する昇降自在の昇
   降車輪と、この昇降車輪を昇降させ、この昇降車輪の下
   降時には、この昇降車輪をレール上に押し付け台車の前
   部の荷重をバラスト除去前のレールにより支承せしめる
   荷重支持手段を設けたことを特徴とする道床更換装置に
   おける台車沈降防止装置。