JPH0638508B2 - 半導体サージ保護素子 - Google Patents

半導体サージ保護素子

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JPH0638508B2
JPH0638508B2 JP63113526A JP11352688A JPH0638508B2 JP H0638508 B2 JPH0638508 B2 JP H0638508B2 JP 63113526 A JP63113526 A JP 63113526A JP 11352688 A JP11352688 A JP 11352688A JP H0638508 B2 JPH0638508 B2 JP H0638508B2
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豊 林
正明 佐藤
弘章 吉原
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工業技術院長
株式会社サンコーシャ
青梅コスモス電機株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、誘導雷やスイッチング・サージ等、各種サー
ジ要因に基く異常電圧から電気、電子機器や通信回路系
を保護するための半導体サージ保護素子に関する。
[従来の技術] 半導体サージ保護素子とは、一般的に定義すれば、“降
伏電圧”または“動作電圧”と呼ばれる規定電圧値以上
の高電圧が印加されたとき、以降の過程において自身の
内に、速やかに等価的な低インピーダンス電流路を形成
することにより、その高電圧に伴う大電流を放流させ、
素子両端電圧を一定電圧値以下にクランプして、保護す
べき電気回路系にそうした異常電圧の影響が及ばないよ
うするものを言う。
この種のサージ保護素子として、従来から市場に供され
ている中で最も代表的、古典的なものは、放電管の一種
である避雷管と、酸化亜鉛バリスタである。
しかし、最近の小型化、半導体化された各種の電子、電
気機器においては、取扱う信号レベルそのものが微小化
する傾向にあり、したがってその見返りとして、サージ
等の異常電圧に対する耐性も著しく低下している。
そこで、上記した避雷管やバリスタ等では、優秀なもの
が多々あるとは言え、そうした低レベルにまで及び保護
機能を完全に期待するのは少し苦しいような状況も、無
きにしもあらずとなってきた。
一方、雷等の自然放電現象の頻度は、当然のことなが
ら、毎度減るべくもなく、逆に人為的要因により発生す
るサージ、例えば機器は取り巻く電磁環境等は、益々に
して悪化の一途をたどっている。
こうしたことから、従来においても、上記のようにある
意味で古典的なサージ保護素子に対し、新たに、より低
電圧なオーダでも十分な保護機能を発揮し得るように、
幾つかのソリッド・ステートな半導体サージ保護素子が
提案されてきた。
そうした中で、現在の所、比較的良く普及している素子
は、 従来例:シリコンpn接合による雪崩(なだれ)降伏現
象(アバランシェ降伏現象)を利用した定電圧ダイオー
ド型, のもので、特に電流容量を増すように工夫されている。
これに対し、 従来例:ターン・オンした後、負性抵抗領域を経て低
電圧オン状態に移行するサイリスタ型, のものも開示されている。
さらに、これらに対する改良として、本発明者等が開発
し、特開昭61−259501号に開示した、 従来例:パンチ・スルー効果利用型, もある。この従来例は、基本的には、 半導体基板自体として形成されるか、または該半導体基
板に対して分離的に形成された第一導電型の第一半導体
領域と; この第一半導体領域の上下両表面の中、一方の表面側に
形成され、第一導電型とは逆導電型で、第一半導体領域
との間でpn接合ダイオードを形成する第二の半導体領域
と; 第一半導体領域とは反対側から上記の第二半導体領域に
接触することにより、第一半導体領域との間の離間距離
をして第二半導体領域の実効厚味を規定する第三領域
と; 第一半導体領域の上記上下両表面の中、上記一方に対向
する他方の表面側に形成され、第一半導体領域と注入接
合を形成する第四領域と; を有して成っており、その動作メカニズムは、上記のpn
接合ダイオードの逆バイアスで生ずる空乏層が第三領域
に到達したときに起きる第一半導体領域と第三領域との
間のパンチ・スルーに依存している。
[発明が解決しようとする問題点] 先にも述べたように、昨今のサージ保護素子としては、
単にサージを吸収ないし放流可能であるという基本機能
だけでは満足でなく、より低電圧からの保護も行なえる
こと、また平常時においては保護対象の回路系に影響を
与えることのないよう、できるだけ高インピーダンスか
つ低静電容量であること、さらに異常電圧の消滅後は続
流遮断機能を有し、速やかに自己復帰できること、望ま
しくは両極性のサージも簡単な構成で吸収ないし放流可
能なこと等々、実用的な機能も極めて重視されてきてい
る。
してみるに、上記した従来例〜は、少なくともどれ
かの機能要求には応えられないことが多く、したがって
サージ保護素子として万全ななものとは到底、言えなか
った。
まず、上記従来例の定電圧ダイオード型は、サージ応
答特性こそ、10-9秒以下と優れてはいるが、アバランシ
ェ降伏動作後は、素子両端電圧をほぼ一定としてサージ
電流放流経路を形成するため、素子の内部で当該素子内
を流れる電流、電圧積によるエネルギを消費し、実際
上、これはかなりな大きさになり、結局は素子としての
サージ耐量に制限を生んでしまっていた。換言すれば、
ある程度のサージ耐量を得るには、降伏電圧や不純物濃
度の関係もあるが、一般にはチップ面積を相当大きく
し、しかもかなり大型なヒート・シンクを設けねばなら
なかった。
さらに静電容量の観点からも望ましくない。上述した大
型化の故もあるが、例えば100Vのアバランシュ型定電圧
サージ保護素子では、サージ波形10/1000μSを印加し
たときに僅か 10A程度のサージ耐量を示す素子を作成し
た場合にも、その静電容量は1000PF以上になった。これ
では被保護回路の周波数特性をも悪化させる要因とな
る。
そこで実際には、こうした定電圧型のサージ保護素子
は、単体として用いられるよりは、小耐量の素子とか避
雷管と併せて用いられることが多く、結局はサージ保護
素子というより、サージ保護回路として、回路的にも面
積的にも不利な状態で組まれねばならなかった。
これに対し、上記従来例のサイリスタ型は、降伏動作
後、より低電圧に移行するので、その点では上記定電圧
ダイオード型よりましである。
しかしこの素子も、動作電圧の規定とか、正負両極性サ
ージの吸収、続流遮断機能等に関し、望ましい結果は未
だ得られておらず、多くは外部的に抵抗とかダイオード
等を付加して用いねばならなかった。
すなわち、続流遮断機能を高めるには、そのサイリスタ
の保持電流値を大きくしなければならないので、カソー
ド−ゲート間に抵抗を挿入し、また、動作電圧を規定す
るためには、アノード−ゲート間にアバランシェ型の定
電圧ダイオードを挿入し、素子動作用のゲート信号を得
る等していたのである。
したがって、このように素子単体で用い得ないことが多
いという点では、先に定電圧ダイオード型に関し述べた
と全く同様の欠点と言わざるを得ない。両極性のサージ
吸収や多回線保護用の集積化等に関しても、このタイプ
のサージ保護素子構造を用いる限り、今の所、かなり難
しい状況にある。
これに対し、本発明者が開発した上記従来例のパンチ
・スルー型は、アバランシェ降伏原理による以前の半導
体サージ保護素子においては不可能であって、相当程度
に簡易かつ任意な降伏電圧の規定を許す点で優れてお
り、基板ウエハの抵抗率に依らず、素子の降伏電圧(パ
ンチ・スルー電圧)をプロセス条件だけでも決定するこ
とができる。
また、少数キャリアの注入部が設けられているため、ブ
レーク・オーバする特性を有し、したがって大きなサー
ジ耐量を得ることができる。
しかし、こうした素子においても、上記のように注入接
合部があるがため、実際上、両極性の素子を作ることは
かなり厄介で、あえて両極性素子とするには、各素子の
注入接合部の降伏電圧を十分に高くした上で、互いに逆
並列接続する等、図らねばならなかった。
こうした逆並列接続は組立が面倒で、チップを切り出
し、裏返しに貼る等の工程を必要とし、ために集積化も
難しかった。
静電容量に関しても、逆並列接続するということは、当
然、単位素子の持つ静電容量を、さらに用いた素子数分
だけ、倍増させる結果となり、やはり望ましいとは言え
ない。
本発明は以上のような従来の実情にかんがみて成された
もので、大きなサージ耐量、低電圧からの動作、小さな
接合容量、良好な続流遮断効果等、電気的な特性はもと
より、両極性素子や集積化も簡単な基本構造を有する半
導体サージ保護素子を提供せんとするものである。
[問題点を解決するための手段] 上記目的を達成するため、本発明においては、構造的に
は既述の本発明者開発になる従来例の改良を図り、た
だし動作機構的には上記パンチ・スルーに限らずアバラ
ンシェ降伏も含んだ形でよく広く展開しながら、さらに
保持電流や逆方向降伏電圧の調整、規定が可能なよう
に、注入キャリアの制御が可能な補助領域を設けるとい
う構成を提案する。
これがあれば、後述の作用の項や実施例の項に明らかな
ように。上記電気的諸特性の向上に加え、両極性素子を
得る逆直列構成も簡単に得ることができ、またそうした
逆直列構成を採用すれば、等価静電容量は順逆の別な
く、直列であることによって、当該直列数分の一に低減
し得ることになる。
詰まる所、本発明の半導体サージ保護素子に要求される
最低限度の基本構成を挙げれば、 『半導体基板自体として形成されるか、または該半導体
基板に対して分離的に形成された第一導電型の第一半導
体領域と; 該第一半導体領域の上下両表面の中、一方の表面側に形
成され、上記第一導電型とは逆導電型であって上記第一
半導体領域との間でpn接合ダイオードを形成する第二の
半導体領域と; 上記第一半導体領域とは反対側から上記第二半導体領域
に接触することにより、該第一半導体領域との間の離間
距離をして上記第二半導体領域の実効厚味を規定する第
三領域と; 上記第一半導体領域の上記上下両表面の中、上記一方に
対向する他方の表面側に形成され、該第一半導体領域と
同一導電型であって高不純物濃度の補助領域と; 上記補助領域に対して注入接合を形成する第四領域と; から単位の基本構造が形成され、上記第一半導体領域と
上記第二半導体領域とで構成される上記pn接合ダイオー
ドの逆バイアスで生ずる空乏層が上記第三領域に到達し
たときに生ずる上記第一半導体領域と上記第三領域との
間のパンチ・スルーか、または上記第一半導体領域と上
記第二半導体領域との間で生ずる雪崩降伏によりサージ
電流を吸収し始めると共に、上記補助領域の厚さか不純
物濃度のどちらか一方または双方が、逆耐圧と保持電流
の中、一方または双方を規定する半導体サージ保護素
子』 となる。
そして、上記の単位基本構造を有する素子を複数個用
い、それら複数個の単位基本構造の各々の第四領域を、
他の全ての単位基本構造の第四領域に対し電気的に接続
する構成も提案する。
上記全ての第四領域相互の電気的な接続に関しては、そ
れ自体、幾種類かの手法が考えられ、一つには、各第四
領域表面に形成したオーミック電極を共通の導電膜また
は導電板上に載置、接触させる手法がある。
また一つには、全ての第四領域を共通領域として形成す
る手法もある。
さらに、第四領域に加え、補助領域も全ての単位基本構
造に共通の領域とするか、あるいはまた、こうした第四
領域と補助領域に加え、第一半導体領域をも共通領域と
する構成も提案することができる。
そしていずれの場合にも、そうした全ての単位基本構造
に共通な領域部分を除いて、隣接する素子間には空間的
な切り通しや、絶縁物埋設等による絶縁分離機能を備え
ても良く、逆に第一領域まで共通領域として構成されて
いるような場合には、特に絶縁分離を図らなくても良
い。
もちろん、第四領域には専用ないし共通のオーミック電
極を設ける構成も提案することができる。
[作用および効果] まず、本発明の適用された最も基本的な素子形態とし
て、主として請求項1にのみ即して構成された場合に相
当する、素子単体での作用とその効果につき、考える。
本発明の半導体サージ保護素子においては、第一の半導
体領域と第二の半導体領域とにより構成されるpn接合ダ
イオードに対し、サージに伴う逆バイアスが印加された
場合、当該接合に生成される空乏層は、第一半導体領域
に向けて伸びると同時に、第三の領域に向けても伸びて
いく。
そして、素子降伏電圧の規定をアバランシェ原理による
べく構成した場合には、上記の逆バイアスが当該アバラ
ンシュ降伏電圧に至ったとき、また、パンチ・スルー原
理によるべくした場合には、上記の空乏層が第三領域に
達したときのパンチ・スルーで、素子内部にサージ電流
の放流経路が形成される。
こうしたアバランシェ降伏電圧またはパンチ・スルー動
作開始電圧は、第4図中において“降伏電圧”として示
されている。
しかるに、素子内への放流電流は、第四領域から補助領
域を介し、第一半導体領域に至る経路で流れ出し、換言
すれば、要旨構成中に記したように、当該第四領域が補
助領域に対し、少数キャリアを注入し得る注入接合を形
成する材料(例えば補助領域とは逆導電型の半導体とか
シリサイド、さらにはまた補助領域がp型である場合に
は電子注入の可能な金属等)から構成されている限り、
当該第四領域からまず補助領域に対し、少数キャリアの
注入が始まり、ここで多数キャリアとの再結合が生じ始
める。
しかし、さらに通過電流量が増して行くと、この再結合
速度が少数キャリアの供給速度に追い付かなくなるか、
あるいはまた補助領域の欠陥密度が少数キャリアにより
埋め尽された状態が起こり、こうなると、少数キャリア
は当該補助領域をそのまま通過し始める。
すると、例えば外部端子や表面導電層を介し、第二半導
体領域と第三領域とが電気的に短絡されているようなこ
とがあっても(そうでない場合はもちろんのこと)、当
該少数キャリアが第二半導体領域に流れ込んだ結果とし
て、第二半導体領域には電圧降下が生じ、第三領域から
第二半導体領域に対してキャリアの注入が起こる。
このようなキャリア注入過程が繰返されていきながら、
やがてのことに第4図にブレーク・オーバ電流として示
された値以上の大きさの電流が流れると、正帰還現象を
介し、素子の両端電圧、すなわちクランプ電圧は極端に
低電圧となる。
そのため、本発明の半導体サージ保護素子では、素子内
で消費されるエネルギを極力小さな値に抑え込むことも
でき、素子の発熱を抑えながら大電流の放流が可能とな
る。
なお、ブレーク・オーバ電流を呈する電圧をブレーク・
オーバ電圧と呼ぶことができ、一般にこのブレーク・オ
ーバ電圧は、第4図に示されるように、先に定義した降
伏電圧よりは高くなる。
したがって、本発明素子の初期動作から電圧クランプま
での素子両端の電圧履歴を追うと、サージ印加に伴い、
それが降伏電圧以上であればアバランシェ降伏またはパ
ンチ・スルー動作により素子内に印加サージの放流電流
が生じ、この放流電流がブレーク・オーバ電流に至るま
では素子両端電圧はいく分か上昇するが、一旦でもブレ
ーク・オーバ電流を越えるとブレーク・オーバ電圧から
極端に値の低いクランプ電圧に移る。
サージに基づく異常電圧が消失すると、素子内を流れる
放流電流分が減少して行き、やがてのことに補助領域を
通過する少数キャリアがある値以下にまで減少すると、
素子は高インピーダンスを呈するオフ状態に自己復帰す
る。つまりは続流防止機能を有し、しかも高速な復帰能
力を持っている。
こうした補助領域の作用は、結局、素子をオン状態に維
持し得る最小の電流値である保持電流の規定をも意味す
る。
このようにして、本発明の素子構成を採用した場合、上
記したブレーク・オーバ電流や保持電流の値に関して
は、補助領域における不純物濃度やその厚み等がその規
定要因となる。
例えば補助領域の不純物濃度を濃くすれば、少数キャリ
アの注入効率は低下するので、第二半導体領域において
の電圧降下分を低下し、第三領域からのキャリア注入も
止め易くなる結果、電流の値が相当な大きな所でもオフ
状態に移行可能なものとなる。
逆に、補助領域の不純物濃度を薄目にすれば、もちろ
ん、逆の結果に帰結する。
こうした関係をも含め、本発明により得られる半導体サ
ージ保護素子のV−I特性については、当該第4図を元
に、もう少し詳しく説明する。
まず、図中、実線で示されたV−I特性に着目する(こ
れに係る各電流、電圧値には単に数字符号“1”を付
す)と、上記のように、ブレーク・オーバ電流1と保持
電流1の値は、本発明により設けられた補助領域の不純
物濃度により決定される。これはまた、補助領域の厚さ
によっても規定することができる。
一方、補助領域と第四半導体領域とで構成されるpn接合
ダイオードは、逆方向降伏電圧1において、ツェナ降伏
またアバランシェ降伏する。
これに対し、補助領域のない、本発明者既開発になる既
述の従来例のような半導体サージ保護素子では、保持
電流の値は、本発明のようなキャリアの注入、再結合機
構がない分だけ、小さな値となり、逆に第四半導体領域
に対し、補助領域がない故に直接に接触する第一半導体
領域と当該第四半導体領域とで構成されるpn接合ダイオ
ードの逆耐圧は、本発明におけるよりも高い値となる。
結局、補助領域の存在は、上記のような事実をして有意
であ、保持電流、逆耐圧等の諸パラメータを相当程度、
任意な設計下に置ける作用を有する。
第4図中、仮想線で示されるV−I特性に示されるよう
に、補助領域の不純物濃度を増してキャリア再結合中心
の量を増やしてやれば、保持電流値は例えば値2で示さ
れるように増加させることができる。対して、補助領域
と第四半導体領域とで構成されるpn接合ダイオードの逆
方向降伏電圧2は、絶対値において小さな値になる。
こうしたことから、一般的に言って、保持電流値の増加
は逆方向降伏電圧の絶対値における低下を伴う関係にあ
り、補助領域の不純物濃度調整は、この関係に基づき、
保持電流値、逆方向降伏電圧値(逆耐圧)を調整するこ
とになる。
ただし、上記保持電流の制御や、さらにブレーク・オー
バ電圧、ブレーク・オーバ電流の制御は、第二半導体領
域の抵抗値調整や、第三半導体領域、第一半導体領域に
対する形状の如何によってもなすことができる。第四半
導体領域の第一半導体領域に対する形状とか、第一半導
体領域が直接に外部端子に接続されている場合には当該
第一半導体領域の抵抗や、さらに当該第一半導体領域に
おける第四半導体領域近傍の形状の如何によっても、こ
れら値は調整可能である。
すでに明らかなように、本発明の半導体サージ保護素子
においては、そもそも降伏を開始するときのメカニズム
については、アバランシェ降伏でもパンチ・スルー原理
でも良いようになっている。実際上、静的な構造上は原
理的、図面的に示すと何等変りなくとも、各種のパラメ
ータの条件如何により、アバランシェ降伏となるパンチ
・スルー動作となるかが決定されることも多い。
しかし、本発明の効果を共に享受し得るという事実を除
き、単にこれら両者を比較する限りにおいては、どちら
かと言えばパンチ・スルー利用型とした方が有利であ
る。
アバランシェ降伏型素子におけるアバランシェ降伏電圧
は、pn接合を形成する両領域の中、高比抵抗側を形成す
る一方の半導体領域、したがって本発明のような構造で
は第一半導体領域の不純物濃度、結局は出発ウエハの不
純物濃度により、ほぼ一義的に定まってしまう。
そのため、これに付随した動作抵抗や静電容量等、他の
パラメータも制約を受け易くなってしまう。そして、こ
れらのパラメータが素子の降伏電圧に依存するという事
実が、素子設計の自由度や適用範囲を狭めることもあ
る。また、異なる降伏電圧の製品を得ようとするなら、
それに応じて不純物濃度の異なった半導体ウエハを用い
ねばならない点でも好ましくはない。
これに対し、既述の従来例にて提案されているよう
に、パンチ・スルー型を利用すると、これらの点につい
て特に有利となる。
換言すれば、本発明の効果は、アバランシェ降伏型の半
導体サージ保護素子においても十分に有意に発揮され、
したがってこの種の半導体サージ保護素子をも本発明の
範囲内には含むものではあるが、特に本発明をパンチ・
スルー型の半導体サージ保護素子を適用すると、その効
果は最大となる。
つまり、本発明の請求項に記載された要旨構成が、特に
パンチ・スルー型として規定された場合、まず、パンチ
・スルー動作を開始せしめる降伏電圧は、第一半導体領
域に対し、その反対側で第二半導体領域に接する第三半
導体領域の高さ位置をどの程度に設定するか、すなわち
中間の第二半導体領域の実効厚味をどの程度に設定する
かにより、相当程度、任意に変更、制御できるものとな
る。
例えば中間の第二半導体領域の実効厚味を厚く設定する
と、他の条件が同一であれば、生成した空乏層が第三領
域にまで伸びるにはより大きな逆方向バイアスが必要と
なり、これは結局、素子が降伏する降伏電圧を高めたこ
とになるし、逆に中間の第二半導体領域の実効厚味を薄
くすれば、生成した空乏層は比較的低い印加電圧でも容
易に第三領域に到達することになるから、降伏電圧を低
目に設定したことになる。
もちろん、こうした降伏電圧は、中間の第二半導体領域
の不純物濃度によっても制御し得るが、いづれにして
も、このようにパンチ・スルー型として構成されると、
第一半導体領域として適当な市販の半導体ウエハをその
まま用いても、そしてまた同一種類の半導体ウエハを出
発部材としても、任意所望の降伏電圧の半導体サージ保
護素子が得られることになる。
また、第二半導体領域の実効厚味の制御とその不純物濃
度の制御とを適当に操作すれば、降伏電圧の如何に対し
て接合容量や直列抵抗を独立にも設計できるようにな
る。
したがって、出発ウエハに抵抗率の高いものを選べば、
アバランシェ降伏型として構成した場合よりも小さな静
電容量の素子を得るのが簡単になり、この種の半導体サ
ージ保護素子の適用可能な周波数帯域をさらに広げ得る
ことにもなる。
なお、半導体基板(ウエハ)そのもの、ないし半導体基
板に分離的に形成された第一半導体領域に対し、順次に
第二半導体領域、第三領域を形成していく手法自体は、
既存のエピタキシャル成長技術によっても良いし、イオ
ン打込み、選択拡散等々によっても良いが、いずれによ
るにしても、第二半導体領域の実効厚味とか不純物濃度
の制御は、現在の技術でも極めて高いものが得られるか
ら、結局は本発明を適用するのにパンチ・スルー利用型
として作成される半導体サージ保護素子は、要すればそ
の精度を特に高いものとすることができる。
請求項1に加えて請求項2の構成も加味された本発明の
半導体サージ保護素子においては、複数個用いられる単
位基本構造の中、例えば二つを一組として一回線用と考
えると、各単位基本構造に関し、これまで説明してきた
基本作用を共に期待し得る外、さらに両極性のサージ電
流をも放流可能となる。
すなわち、これら二つの単位基本構造の各第四領域相互
が電気的に接続されていれば、とちらか一方の単位基本
構造の第一、第二半導体領域間にサージによる逆バイア
スが印加されるとき、他方の単位基本構造の第一、第二
半導体領域間は順バイアスとなる。
逆に、第一、第二半導体領域間にサージによる逆バイア
スが印加されている方の単位基本構造では、補助領域と
第四領域とで構成されるpn接合は順バイアスとなり、他
方の単位基本構造におけるそれは逆バイアスとなって、
ある逆方向降伏電圧を持つ。
こうした関係において一方の素子でブレーク・オーバ電
流として示された値以上の電流が印加されると、既述の
正帰還現象を介し、その単位基本構造両端のクランプ電
圧自体は極端に小さな値に低下し始める。
しかし、一対の単位基本構造の各第三領域に接続された
端子の各々をそれぞれ、この両極性用サージ保護素子の
一対の端子の一方あてとして見た場合、これら端子間が
導通した後の両極性サージ保護素子としてのクランプ電
圧は、上記一方の単位基本構造に係るクラプ電圧に対
し、他方の補助領域と第四領域との逆耐圧が加わった値
となる。
したがって、これ言い直せば、この種の逆直列構成によ
る両極性サージ保護素子では、当該両極性サージ保護素
子としてのクランプ電圧は、補助領域と第四領域とのpn
接合に規定される逆方向降伏電圧によっても調整できる
ものとなり、こうしたクランプ電圧の規定はまた、上記
のようにアバランシェ降伏またはツェナ降伏に係る各領
域の不純物濃度制御や厚さ制御等により、相当自由にな
すことができる。
このように、素子としてのクランプ電圧がかなり任意に
設計できるということは、この両極性サージ保護素子を
適用する回路系の電源電圧に応じ、続流現象を生じせな
いために最適なクランプ電圧を求め得るということにも
なる。
ここで、こうした続流現象の防止について考えると、こ
れには主として二つの方法がある。
一つは電流に鑑みてのそれであって、本発明の場合、上
記した保持電流を回路系の供給電流値より大きく設定す
ることで、この手法を満たすことができる。
第二には電圧に鑑みての遮断で、これには上記のよう
に、素子のクランプ電圧を回路系の回路電圧より高目に
設定して置けば良い。
両方式共、異常電圧が去った後は速やかにサージ保護素
子をして高インピーダンス状態に復帰させるのに役立つ
が、明らかなように、本発明によると、そのいずれの方
式をも良く満たし得ることが分かる。上記のように、保
持電流の制御もクランプ電圧の制御も可能だからであ
る。
なお、基本的な逆直列構成として、最低二つの単位基本
構造を逆直列接続しただけでも、そうした直列素子の等
価静電容量は単体の半分になるから、その点でも有利で
ある。
さらに、上記した電気的特性上からの有利性に加え、構
造的にも、本発明は上記逆直列構成の両極性サージ保護
素子や、さらに多回線同時保護用集積回路の構築に極め
て都合の良い構成を提案している。
例えば、二つの逆直列構成を、それぞれ単体として別途
に構築した単位基本構造から得る場合にも、せいぜい、
それら各単位基本構造の第四領域表面(第一半導体領域
表面から見れば素子裏面)側にオーミック接触層を形成
し、このオーミック接触層ないしオーミック電極の部分
で適当なる共通の導電体ないし導電膜上にそれらを載置
するだけで、目的の構造が得られる。これは極めて簡単
な組立手続である。
また、両単位基本構造の第四領域を共通領域として構成
するという思想に即すれば、一連のプロセスによってこ
れら両単位基本構造を同時に形成できるので、単体の単
位基本構造を製造するに要するとほぼ変りない手間と時
間で、こうした逆直列構造を得ることができる。
その場合にも、共通の第四領域を残した他の領域相互
は、酸化手続とかエッチング処理等、適当なる絶縁分離
手段の採用により、当該隣接方向に電気的に分離される
ようにしても良いし、そうでなく、特に絶縁分離手段を
採用せず、適宜に隣接素子との間に距離を採るでけで
も、所期の作用を営ませることができる。
これは、結果として最も低インピーダンスな線路に電流
が支配的に流れるという単純な基本原理に即して考えて
も間違いでなく、素子積層構造の厚さ方向への電流線路
が十分に横方向に比し、例えば単純に距離が短い等の理
由によっても低インピーダンスありさえすれば、例えば
複数回線のどれか一つにのみ、選択的にサージが印加さ
れても、当該サージが印加された線路に関しての単位基
本構造のみが、隣接する他の単位基本構造の影響をほと
んど受けることなく、所期通りにブレーク・オーバする
結果を得ることができる。
したがって、いわゆるラテラル構造における望ましくな
い寄生効果は、本発明のような構造の場合、余り考慮し
なくても済む。
そして、このような共通領域構成に関する理屈は、結
局、第四領域のみならず、補助領域や、さらには第一半
導体領域をまで、共通領域とし得ることをも意味し、ま
た、単に一対の単位基本構造に対してのみならず、これ
らを多数個集積して、多回線用とする場合にも、同様に
簡単な製造工程ないし組立手順の採用で済むことが分か
る。
逆に、第四領域のみならず、補助領域をまで共通領域と
した場合、むしろ電気的な動作特性上も望ましい結果を
得ることができる。
例えば、全ての単位基本構造に同時に雷サージ等が印加
されたような条件下では、補助領域が全ての単位基本構
造に共通の領域となっていると、ここにおける電位は、
当然のことながら、ある共通の電位となる。
そのため、全ての単位基本構造におけるブレーク・オー
バ動作速度をほとんど同じにし得るという効果も生ま
れ、従来のように個々の素子の動作速度にむらのあった
避雷管利用時のように、どれか一つはオンとなっている
が、他は未だにオフとなっている過渡状態が生じ、その
間、望ましくない線間電圧が生ずるという問題も解決す
ることができる。
もちろん、製造上もこの方が簡単になるし、さらに第四
領域、補助領域、第一半導体領域をまで、全ての単位基
本構造に共通の領域とし、かつ、それらの併置方向ない
し隣接方向に特には絶縁分離を施さないという構成が、
製造上、最も簡単になる。
本発明に基づき、平衡多回線用サージ保護素子集積構造
を構成し、かつ、各回線ごとに上記した逆直列構成を採
用する場合、各逆直列構成中における一方の単位基本構
造の第三領域に付した端子は、一般に全て共通に、接地
端子として取出されることが多い。
こうした場合には、単に外部的にそれら端子群を共通接
続するのみならず、ある一つの単位基本構造が面積的な
いし体積的にも共通の大きな一つ領域を占めるように構
成し、他方の各回線用の単位基本構造をそれぞれ、共通
にこの大きな接地側単位基本構造に対して逆直列接続と
なるように臨ませるのも良い配慮である。そうした外部
線路接続も必要なくなり、より一層、簡便化するからで
ある。特に、接地側の単位基本構造におけるサージ耐量
を大きくし得ることでも、この共通単位基本構造の大型
化構造は望ましいと言える。
一方でそのように、各逆直列接続構成の各一方を共通に
兼ねる単位基本構造を体積的に大型化しても、各回線ご
との各逆直列構成の等価静電容量は、この共通単位基本
構造に対して接続される当該個々に専用の単位基本構造
の持つ静電容量の存在により、それ程に大きくなること
はないし、当然、線間サージの吸収も可能である。
[実施例] 以下、図示する本発明実施例の幾つかにつき詳記する。
もちろん、各請求項に対応した実施例が存在するが、す
でに述べてきたように、これらは極めて密接な関連にあ
るので、互いに参考にすることができる。
第1図に示す半導体サージ保護素子10は、主として請求
項1に基づいて構成された本発明の比較的基本的な実施
例の一つであって、半導体基板を第一導電型の第一半導
体領域1としてそのまま用い、その上下両表面の中、一
方の表面に順次、第二半導体領域2、第三領域3を二重
拡散技術で形成し、他方の表面、すなわち裏面には、補
助領域5、第四領域4をそれぞれ半導体製を選び、これ
を拡散技術で形成している。
このような関係において、例えば半導体基板ないし第一
半導体領域1がn型半導体であった場合には、ホウ素等
の適当な不純物の拡散技術により、第二半導体領域2及
び第四半導体領域4はp型とする。
第三領域3は、本素子10が導通した際の主電流線路の一
端部を形成するので、望ましくは高導電率であることが
良く、この実施例では高不純物濃度n型、すなわちn
型領域として、第二半導体領域2内への不純物の二重拡
散により形成されている。実際にはこれは、高濃度燐拡
散等により得ることができる。
同様に、本発明により特徴ある領域として設けられてい
る補助領域5は、その不純物濃度が既述したように、少
なくとも逆耐圧と保持電流の中、一方または双方を規定
することができるが、相対的な問題としては、第一半導
体領域1と同一の導電型で、より高不純物濃度なn
領域として構成される。これも実際上、高濃度燐拡散等
により得ることができる。
図示実施例の場合、第二半導体領域2と第三領域3と
は、その表面に付された金属層等適当なるオーミック電
極により、あらかじめ接続が採られており、したがって
第三領域3の引き出し端子3tは、実際上、第二半導体領
域2の引き出し端子をも兼ねている。
ここで、端子3tと第四半導体領域4の引き出し端子4tと
の間にサージが印加されたものとし、かつその極性が、
第一半導体領域1と第二半導体領域2とで形成されるpn
接合に逆バイアスを印加する方向であったとすると、当
該pn接合に生成される空乏層は、第一半導体領域1に向
けて伸びると同時に、第三領域3に向けても伸びてい
く。
そして、素子降伏電圧の規定をアバランシェ原理による
べく構成した場合には、上記の逆バイアスが当該アバラ
ンシェ降伏電圧に至ったとき、また、パンチ・スルー原
理によるべくした場合には上記の空乏層が第三領域3に
達したときのパンチ・スルーで、素子10の内部にサージ
電流の放流経路が形成される。
こうしたアバランシェ降伏電圧またはパンチ・スルー動
作開始電圧は、先にも述べたように、第4図中において
“降伏電圧”と示されている。
しかるに、素子内への放電電流は、第四領域4から補助
領域5を介し、第一半導体領域1に至る経路で流れ出す
が、これに伴い、補助領域5においては、第四領域4か
ら第一半導体領域1に向けて注入される少数キャリアが
多数キャリアと再結合する現象が生じ始める。
しかし、さらに通過電流量が増して行くと、この再結合
速度が少数キャリアの供給速度に追い付かなくなるか、
あるいはまた補助領域5の欠陥密度が少数キャリアによ
り埋め尽された状態が起こり、こうなると、少数キャリ
アは当該補助領域5をそのまま通過し始める。
すると、図示の場合、第三領域3に対し、電気的に接続
されている第二半導体領域2に当該少数キャリアが流れ
込んだ結果として、第二半導体領域2には電圧降下が生
じ、第三領域3から第二半導体領域2に対してキャリア
の注入が起こる。
このようなキャリア注入過程が繰返されていきながら、
やがてのことに第4図中にブレーク・オーバ電流として
示された値以上の電流が流れると、正帰還現象を介し、
素子10の両端電圧、すなわちクランプ電圧は極端な低電
圧となる。
これが、素子10の発熱を抑えながら大電流の放流を可能
とする理由であることは先に作用の項において述べた通
りである。
もう一度、第1図示の素子10の初期動作から電圧クラン
プまでの素子両端の電圧履歴を追うと、サージ印加に伴
い、それが降伏電圧以上であればアバランシェ降伏また
はパンチ・スルー動作により素子内に印加サージの放流
電流が生じ、この放流電流がブレーク・オーバ電流に至
るまでは素子両端電圧はいく分か上昇するが、一旦でも
ブレーク・オーバ電流を越えるとブレーク・オーバ電圧
から極端に値の低いクランプ電圧に移る。
サージに基づく異常電圧が消失すると、素子内を流れる
放流電流分が減少して行き、これに連れて補助領域5を
通過する少数キャリアがある値以下になると、当該少数
キャリアの注入が断たれ、素子は高インピーダンスを呈
するオフ状態に自己復帰する。
したがって、本素子10は、続流防止機能も有し、しかも
高速な復帰能力を持っている。
換言すると、補助領域5は、素子をオン状態に維持し得
る最小の電流値である保持電流の値を規定し得る能力を
持っている。
例えば補助領域5の不純物濃度を濃くすれば、少数キャ
リアの注入効率は低下するので、第二半導体領域2にお
いての電圧降下分も低下し、第三領域3からのキャリア
注入も止め易くなる結果、電流の値が相当に大きな所で
もオフ状態に移行可能になる。逆に補助領域5の不純物
濃度を薄目にすれば、当然、上記とは逆の結果に帰結す
る。
こうした関係をも含め、第1図示の半導体サージ保護素
子10のV−I特性について再度、第4図に即してみる
と、図中、実線で示されたV−I特性におけるブレーク
・オーバ電流値1と保持電流値1は、本発明により設け
られた補助領域5の不純物濃度により決定される。これ
はまた、補助領域5の厚さによっても規定することがで
きる。
一方、補助領域5と第四半導体領域4とで構成されるpn
接合ダイオードは、逆方向降伏電圧1においてツェナ降
伏またはアバランシェ降伏する。
補助領域5はまた、この逆方向降伏電圧の値も、相当程
度、任意な設計下に置ける働きを有する。
つまり、第4図中、仮想線で示されるV−I特性に示さ
れるように、補助領域5の不純物濃度を増してキャリア
再結合中心の量を増やしてやれば、保持電流値は例えば
値2で示されるように増加するのに対し、補助領域5と
第四半導体領域4とで構成されるpn接合ダイオードの逆
方向降伏電圧2は、絶対値において小さな値になる。
すなわち、これも既述の理由により、一般的に保持電流
値の増加は逆方向降伏電圧の絶対値における低下を伴う
関係にあり、補助領域5の不純物濃度調整は、この関係
に基づき、保持電流値、逆方向降伏電圧値を調整するこ
とになる。
ただし、上記保持電流の制御や、さらにブレーク・オー
バ電圧、ブレーク・オーバ電流の制御は、第二半導体領
域2の抵抗値調整や、第三半導体領域3、第一半導体領
域1に対する形状の如何によってもなすことができる。
第四半導体領域4の第一半導体領域1に対する形状と
か、第一半導体領域1が直接に外部端子に接続されてい
る場合の当該第一半導体領域1の抵抗や、さらに当該第
一半導体領域1における第四半導体領域4の近傍の形状
の如何によっても、これら値は調整可能である。
すでに述べたように、本発明においては、第1図示のよ
うな半導体サージ保護素子10の構成自体は静的に見てほ
ぼ同一ではあっても、その降伏動作に関与する原理機構
は、アバランシェ降伏でもパンチ・スルー原理でも良い
ようになっており、確かに、補助領域の介在による効果
は共に満たすことができる。
しかし、先に作用の項において述べたように、単にこれ
ら両者を比較する限りにおいては、どちらかと言えばパ
ンチ・スルー利用型とした方が有利である。
と言うのも、第1図示の半導体サージ保護素子10におい
てパンチ・スルー動作を開始せしめる降伏電圧は、第一
半導体領域1に対し、その反対側で第二半導体領域2に
接する第三領域3の高さ位置をどの程度に設定するか、
すなわち中間の第二半導体領域2の実効厚味をどの程度
に設定するかにより、相当程度、任意に変更、制御でき
るからである。
例えば中間の第二半導体領域2の実効厚味を厚く設定す
ると、他の条件が同一であれば、生成した空乏層が第三
領域3にまで伸びるにはより大きな逆方向バイアスが必
要となり、これは結局、第4図中に示されている降伏電
圧を高めたことになるし、逆に中間の第二半導体領域2
の実効厚味を薄くすれば、生成した空乏層は比較的低い
印加電圧でも容易に第三領域3に到達することになるか
ら、降伏電圧を低目に設定したことになる。
この降伏電圧はまた、中間の第二半導体領域2の不純物
濃度によっても制御し得るが、いずれにしても、このよ
うにパンチ・スルー型として構成されると、第一半導体
領域1として適当な市販の半導体ウエハをそのまま用い
てさえ、そしてまた同一種類の半導体ウエハを出発部材
としても、任意所望の降伏電圧の半導体サージ保護素子
10が得られることになる。アバランシェ型では一般にそ
うは行かない。
実際にも本発明者における実験によれば、本発明半導体
サージ保護素子をパンチ・スルー利用型とした場合、降
伏電圧の設計幅は、数ボルトから数百ボルトに及ぶこと
が確かめられている。
また、第二半導体領域2の実効厚味の制御とその不純物
濃度の制御とを適当に操作すれば、降伏電圧の如何に対
して接合容量や直列抵抗を独立にも設計できるようにな
る。
したがって、出発ウエハに抵抗率の高いものを選べば、
アバランシェ降伏型として構成した場合よりも小さな静
電容量の素子を得るのが簡単になる。これは、この種の
半導体サージ保護素子の適用可能な周波数帯域を広げ得
ることになる。
なお、半導体基板(ウエハ)そのもの、ないし半導体基
板に分離的に形成された第一半導体領域1に対し、順次
に第二半導体領域2、第三領域3を形成して行く手法
や、その反対側において補助領域5、第四領域4を形成
して行く手法自体は、既存のエピタキシャル成長技術に
よっても良いし、イオン打込み、選択拡散等々によって
も良いが、いずれによるにしても、上記の第二半導体領
域2の実効厚味とか不純物濃度の制御は、既述した補助
領域5に関するそれらと全く同様に、現在の技術でも極
めて高いものが得られるから、結局は本発明を適用する
にもパンチ・スルー利用型として作成された半導体サー
ジ保護素子は、要すればその精度を特に高いものとする
ことができる。
なお、図示実施例では半導体領域としたが、第四領域4
は補助領域5に対して注入接合が形成できれば良く、し
たがってこの第四領域4にシリサイド等を選ぶこともで
きるし、第一半導体領域1、補助領域5がp型の場合に
は、適当なる金属等も選ぶことができる。
第2図に示されているサージ保護素子は、両極性のサー
ジ電流をも放流可能なように、第1図示の上記半導体サ
ージ保護素子10を単位の基本構造10とし、本発明の請求
項2以降に関し、ただしその比較的基本的な構成例とし
て、この単位基本構造を二つ(10-1,10-2)用い、これ
らを逆直列接続した場合の一例を示している。
なお、特にどちらかの構造やそれに含まれる各領域を特
定する必要のある場合には、上記のように弁別用のサフ
ィックス“-1′、“-2”を用い、例えば第三領域3-1
か3-2等と記すが、どちらの単位基本構造に関しても共
通に言える事項とか、単位基本構造の一方を特定したが
故にその領域についてまで、あえて特定表記しなくても
分かるときには、そうしたサフィックスを省略し、先と
同様、例えば第三領域3等と記す。特に図中において
は、各単位基本構造全体を示す符号10にのみ、各サフィ
ックスを付すに留め、他の領域には簡明化のため、これ
らを省いた。
各々の単位基本構造10-1,10-2共、個別に見れば、第一
半導体領域1、第二半導体領域2、第三領域3、第四領
域4、補助領域5を先の第1実施例に関して述べたと同
様の形状、配置関係で有し、したがって、個々の作用も
本質的には先の第一実施例におけると同様である。
ただ、第三領域3に関しては、単一連続領域ではなく、
複数の要素領域31,32,33,……,3n(図示の場合n=
5)の集合から構成されている点で異なっている。
これは、本単位基本構造10を既述のようにパンチ・スル
ー原理に従って動作させようとする場合に、第一、第三
領域1,3間でパンチスルーが起きた後のサージ電流の
分布をさらに均一化しようとした結果であり、このよう
にすると、電流容量もほぼ素子面積に比例して増大させ
ることができる。
したがって、この第三領域3に関する分割構成は、第1
図示の基本構成においても採用することができ、逆にも
ちろん、この第2図示の構成や、後述の第3各図示の構
成に関し、基本構成中における単一かつ連続的な第三領
域構成を採用しても、原理的には何等、差支えない。
また当然、この第2図示の実施例でも、第一実施例につ
いて述べた他の配慮は同様に援用することができる。
さて、第2図示の両極性サージ保護素子においては、少
なくとも第四領域4-1,4-2は、幾何構造的に必ずしも
連続している必要はないが、互いに電気的には接続して
いなければならない。
そこでまず、この基本的な実施例においては、各第四領
域4-1,4-2の表面(裏面)に、共通のオーミック電極
6を付している。
しかるに、このように、二つの単位基本構造の各第四領
域相互が電気的に接続されていれば、どちらか一方の単
位基本構造(例えば10-1とする)の第一、第二半導体領
域1,2間にサージによる逆バイアスが印加されると、
他方の単位基本構造(したがってこの場合、10-2)の第
一、第二半導体領域1,2間は順バイアスとなる。
逆に、第一単位基本構造10-1では、補助領域5と第四領
域4とで構成されるpn接合は順バイアスとなり、他方の
単位基本構造10-2におけるそれは逆バイアスとなる。
こうした関係において一方の単位基本構造10-1でブレー
ク・オーバ電流値以上の電流が印加されると、既述の正
帰還現象を介し、この単位基本構造両端のクランプ電圧
自体は極端に小さな値に低下し始める。
しかし、一対の単位基本構造10-1,10-2の各第三領域
3,3に接続された端子3t,3tの各々を、この両極性用
サージ保護素子の一対の端子の一方あてとして見た場
合、これら端子3t,3t間が導通した後の両極性サージ保
護素子としてのクランプ電圧は、上記一方の単位基本構
造10-1に係るクランプ電圧に対し、他方10-2の補助領域
5と第四領域4との逆方向降伏電圧が加わった値とな
る。
このようなメカニズムに即しての本逆直列構成素子の特
性例を示すと、第5図中、実線で示される曲線のように
なる。素子接続法からして明らかなように、この特性自
体は原点に関し、点対称となる。
この実線曲線上に示されている本第2図示素子のクンラ
ンプ電圧1は、上記の理由によ、第1,4図に示された
ような単体のみの場合におけるより、高くなっている。
パンチ・スルーを起こしていない他方の単位基本構造10
-2の補助領域5と第四領域4との間のツェナ降伏または
アバランシェ降伏電圧が加わっているからである。
降伏電圧やブレーク・オーバ電圧、ブレーク・オーバ電
流1、さらに保持電流1等は、既に説明したように、設
計的に規定可能である。
してみるとまた、続流防止効果に関しても、この第2図
示の逆直列構成の素子は、第1図示構成よりさらに有利
なことが分かる。
まず、クランプ電圧は、補助領域5と第四領域4とのpn
接合に規定される逆方向降伏電圧によっても調整できる
ものとなっているので、この両極性サージ保護素子を適
用する回路系の電源電圧に応じ、続流現象を生じせない
十分高い値1にまで、クランプ電圧を設定可能となって
いる。
一方、これも先に述べたように、保持電流を回路系の供
給電流値より大きく設定することで続流防止効果を得よ
うとする場合にも、当該保持電流の値は既述の通り、補
助領域5の不純物濃度や厚さ等で相当程度任意かつ設計
性良く制御できるから、必要に応じ、この手法を採用す
ることもできる。
ちなみに、第5図中の仮想線で示される特性曲線は、補
助領域5中の不純物濃度を高めた結果、先の保持電流1
の値よりも大きな値2を得た場合の特性例を示してい
る。
ただし、このときのクランプ電圧2は先の値1より低く
なる。他方の単位基本構造の第四領域4と補助領域5と
の逆耐圧加算において、当該逆耐圧自体が補助領域5の
高不純物濃度比により、低電圧方向に移行するためであ
る。
しかし、クランプ電圧1を採るか、保持電流2を採る
か、というように、電圧に鑑みるか電流に鑑みるかの選
択が許され、いずれを選択しても高い続流防止効果が得
られる点で、この逆直列構成も望ましいものがある。
また、上記のように、基本的な逆直列構成として、最低
二つの単位基本構造を逆直列接続しただけでも、そうし
た直列素子の等価静電容量は単体の半分になるから、そ
の点でも有利である。
さらに、上記した電気的特性上からの有利性に加え、構
造的にも、第2図は上記逆直列構成の両極性サージ保護
素子や、さらに多回線同時保護用集積回路の構築に極め
て都合の良い基本構成を示唆している。
例えば、一般的に集積化する単位基本構造10の数をm個
に展開して考えると、第3図に示すような集積化ないし
組立手続を例示することができる。
第3図(A)は、それぞれ単体として別途に構築した単位
基本構造10-1,……,10-mを、第一半導体領域表面側か
ら見ての裏面に形成されたオーミック接触層ないしオー
ミック電極6の部分で、適当なる共通の導電体ないし導
電膜8上に他に併置したものである。これは極めて簡単
な組立手続である。
第3図(B)に示される構造は、全ての単位基本構造1
0-1,……,10-mの第四領域4をまで、全ての共通領域
としたもので、この場合にも、共通、一連の第四領域4
の裏面(ないし露出表面)側にはオーミック電極6を設
けても良い。
このような構造は、一連のプロセスによってこれら単位
基本構造群10-1,……,10-mを同時に形成した後、共通
とすべき第四領域を残した他の領域相互間を、酸化手続
とかエッチング処理等、適当なる絶縁分離手続により、
当該隣接方向に絶縁分離することにより得られる。
そして、このような共通領域構成に関する思想は、結
局、第四領域のみならず、補助領域や、さらには第一半
導体領域をまで、共通領域とする構成を導き得る。
第3図(C)は第四領域4のみならず、補助領域5をまで
共通領域とした場合を示しており、このようにすると、
製造がより一層、簡単になるのみならず、むしろ電気的
な動作特性上も望ましい結果が得られる。
例えば、全ての単位基本構造10-1,……,10-mに同時に
雷サージ等が印加されたような条件下では、補助領域5
が全ての単位基本構造に共通の領域となっていると、こ
こにおける電位は、当然のことながら、ある共通の電位
となる。そのため、全ての単位基本構造におけるブレー
ク・オーバ動作速度をほとんど同じにし得るという効果
も生まれ、従来のように個々の素子の動作速度にむらの
あった避雷管利用時のように、どれか一つはオンとなっ
ているが、他は未だにオフとなっている過渡状態が生
じ、その間、望ましくない線間電圧が生ずるという問題
も解決することができる。
最後に、製造上、最も簡単な方法を追い究めると、第一
半導体領域1をまで、全ての単位基本構造10-1,……,
10-mに共通の領域とし、それらの併置方向ないし隣接方
向に特には絶縁分離を施さないという構成に至る。
これは第3図(D)に例示されているが、同図中で隣接素
子間に示されている点線7は、あくまで仮想的に各々の
素子領域境界を示すだけの仮想分離線であって、特にこ
の部分に分離手段が適用されている訳ではない。
ここで、このように横方向ないし単位基本構造の隣接方
向に何の絶縁分離を図らなくてもそれで大丈夫なのかと
の疑問が起きるかも知れない。
結論から言って、問題は生じない。幾つかある電流線路
の中、支配的には最も低インピーダンスな線路に電流が
流れるという単純な基本原理が適用されるものと考えて
間違いでなく、したがって素子積層構造の厚さ方向への
電流線路が、横方向に比し、例えば単純に距離が短い等
の理由によっても十分に低インピーダンスでありさえす
れば、例え複数回線のどれか一つにのみ、選択的にサー
ジが印加された場合でも、当該サージが印加された線路
に関しての単位基本構造のみが、隣接する他の単位基本
構造の影響をほとんど受けることなく、所期通りにブレ
ーク・オーバすることができる。
したがって、いわゆるラテラル構造における望ましくな
い寄生効果は、本発明のような構造の場合、余り考慮し
なくても済む。
しかるに、上記本発明の実施例に即し、多回線用サージ
保護素子集積構造を構成し、かつ、各回線ごとに上記し
た逆直列構成を採用する場合、各逆直列構成中における
一方の単位基本構造の第三半導体領域3に付した端子3t
は、一般に全て共通に、接地端子として取出されること
が多い。
このような場合に、本発明を適用しての両極性サージ保
護素子を構築したときの外観構造概念を示すと、第6図
(A) のようになる。
すなわち、図示の場合は四回線L1,L2,L3,L4の各々と
接地E間に対し、第2図に示したような逆直列構成を満
たすため、第3図示の集積例を参考に、各一対の単位基
本構造10-11,10-21;10-12,10-22;10-13,10-23;10-14,10
-24 を四組、集積化した構成を例示しているが、各単位
基本構造対における一方の単位基本構造10-11;10-12;10
-13;10-14 の端子3tは、それぞれ対応する各回線L1,L
2,L3,L4に独立に接続するが、他方の単位基本構造10
-21;10-22;10-23;10-24 の端子3tは、共通に接地線Eに
外部結線で接続している。
もちろん、このような構成でも良いのであるが、こうし
た場合には、さらに第6図(B) に示されているように、
ある一つの単位基本構造10-20 が面積的ないし体積的に
も共通の大きな一つの領域を占めるように構成し、他方
の各回線専用の単位基本構造10-11;10-12;10-13;10-14
を、それぞれ共通にこの大きな接地側単位基本構造10
-20 に対して逆直列接続となるように臨ませるのが良い
配慮である。外部線路接続も必要なくなり、より一層、
簡便化する。
特にこれは、接地側の単位基本構造10-20 におけるサー
ジ耐量を大きくし得ることでも望ましいと言え、一方で
そのように、各逆直列接続構成の各一方を共通に兼ねる
単位基本構造10-20 を体積的に大型化しても、各回線ご
との各逆直列構成の等価静電容量は、この共通単位基本
構造10-20 に対して接続される当該個々に専用の単位基
本構造10-11;10-12;10-13;10-14 の持つ静電容量の存在
により、それ程に大きくなることはない。
もちろん、第6図 (A),(B)のいずれの構造の場合にも、
四つの中の二つを採る組合せで、それら一対の線間に印
加されるサージをも吸収ないし放流できることは明らか
である。
最後に、上記いずれの実施例によるにしても、本発明に
基づく半導体サージ保護素子を既述したパンチスルー現
象によってのみ、動作させようとした場合、当該パンチ
・スルーによる降伏電圧が第一半導体領域1と第二半導
体領域2のアバランシェ降伏電圧に近くなってくると、
制御性が悪くなることも考えられる。
そのような危惧のある時には、図示されていないが、第
二半導体領域2の端部の接合で生じ始めるアバランシェ
降伏を初期の段階で防ぐか抑えるため、第二半導体領域
2の周囲を囲むように、これと同一の導電型のガード・
リング領域を形成するか、第二半導体領域2と第三半導
体領域3との表面に一連に形成されたオーミック電極の
端縁部を、適当なる表面絶縁膜を介して、第二半導体領
域2の端部における第一半導体領域1との接合を越える
ように、さらに張り出させると良い。
このようにすれば、第二半導体領域2の端部における電
界の集中を緩和し、実効的にアバランシェ降伏電圧を増
加させることにより、パンチスルーによってのみの降伏
電圧の設計性を拡大、改善することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に従う比較的基本的な実施例の概略構成
図、第2図は両極性サージに関して保護可能とした基本
的実施例の概略構成図、第3図は本発明によるサージ保
護素子集積化に関しての構成例の説明図、第4図は第1
図示実施例の特性例を示す説明図、第5図は第2図示実
施例の特性例を示す説明図、第6図は集積化に関しての
基本構造例と改良構造例を比較対照的に示すための概略
構成図、である。 図中、1は第一半導体領域ないし半導体基板、2は第二
半導体領域、3は第三領域、31〜3nは第三領域要素、4
は第四領域、5は補助領域、6はオーミック電極、8は
導電体、10は全体としての本発明サージ保護素子ないし
その単位基本構造、である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 正明 神奈川県相模原市宮下1丁目1番12号 株 式会社サンコーシヤ相模工場内 (72)発明者 吉原 弘章 東京都青梅市藤橋3丁目3番12号 青梅コ スモス電機株式会社内 審査官 北島 健次 (56)参考文献 特開 昭62−65382(JP,A) 特開 昭61−187374(JP,A)

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半導体基板自体として形成されるか、また
    は該半導体基板に対して分離的に形成された第一導電型
    の第一半導体領域と; 該第一半導体領域の上下両表面の中、一方の表面側に形
    成され、上記第一導電型とは逆導電型であって上記第一
    半導体領域との間でpn接合ダイオードを形成する第二の
    半導体領域と; 上記第一半導体領域とは反対側から上記第二半導体領域
    に接触することにより、該第一半導体領域との間の離間
    距離をして上記第二半導体領域の実効厚味を規定する第
    三領域と; 上記第一半導体領域の上記上下両表面の中、上記一方に
    対向する他方の表面側に形成され、該第一半導体領域と
    同一導電型であって高不純物濃度の補助領域と; 上記補助領域に対して注入接合を形成する第四領域と; から単位の基本構造が形成され、上記第一半導体領域と
    上記第二半導体領域とで構成される上記pn接合ダイオー
    ドの逆バイアスで生ずる空乏層が上記第三領域に到達し
    たときに生ずる上記第一半導体領域と上記第三領域との
    間のパンチ・スルーか、または上記第一半導体領域と上
    記第二半導体領域との間で生ずる雪崩降伏により、サー
    ジ電流を吸収し始めると共に、上記補助領域の厚さか不
    純物濃度のどちらか一方または双方が、逆耐圧と保持電
    流の中、一方または双方を規定する半導体サージ保護素
    子。
  2. 【請求項2】上記単位の基本構造が複数個、用いられ、
    それら各々の第四領域は相互に電気的に接続しており、
    その中の少なくとも一対の単位基本構造の逆直列接続で
    双方向のサージ保護が可能となっていると共に、第一、
    第二半導体領域が逆バイアスされている単位基本構造に
    対し、注入接合が逆バイアスされている単位基本構造に
    より、上記逆直列接続素子としてのクランプ電圧が規定
    されること; を特徴とする請求項1に記載の半導体サージ保護素子。
  3. 【請求項3】全ての第四領域相互の電気的な接続は、該
    各第四領域表面に形成したオーミック電極を、共通の導
    電膜または導電板上に載置、接触させることによりなさ
    れていること; を特徴とする請求項2に記載の半導体サージ保護素子。
  4. 【請求項4】隣接する単位基本構造の間は、当該隣接方
    向に互いに絶縁分離されていること; を特徴とする請求項3に記載の半導体サージ保護素子。
  5. 【請求項5】全ての第四領域相互の電気的な接続は、該
    全ての第四領域を共通領域として形成することによりな
    されていること; を特徴とする請求項2に記載の半導体サージ保護素子。
  6. 【請求項6】共通の第四領域には、共通のオーミック電
    極が付されていること; を特徴とする請求項5に記載の半導体サージ保護素子。
  7. 【請求項7】隣接する単位基本構造の間は、上記共通の
    第四領域を除き、該隣接方向に互いに絶縁分離されてい
    ること; を特徴とする請求項6に記載の半導体サージ保護素子。
  8. 【請求項8】補助領域までも共通領域として形成されて
    いること; を特徴とする請求項5または6に記載の半導体サージ保
    護素子。
  9. 【請求項9】隣接する単位基本構造の間は、上記共通の
    第四領域と上記共通の補助領域を除き、該隣接方向に互
    いに絶縁分離されていること; を特徴とする請求項8に記載の半導体サージ保護素子。
  10. 【請求項10】さらに、第一半導体領域も全ての単位素
    子構造に共通の領域として形成されていること; を特徴とする請求項8に記載の半導体サージ保護素子。
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