JPH0638013Y2 - 歯付ベルトによる物品搬送装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は歯付ベルトによる物品搬送装置に関し、歯付プ
ーリと噛合状に掛装されて、十分な確動が期待される歯
付ベルトは、所定の物品を数量的に又時間的に移送せし
める手段として、スプロケットとの噛合によりその正確
な物品搬送の分野において主要な地位にあったチェン搬
送に代るものとして注目を集めており、本考案に係る装
置は歯付ベルトをして物品搬送装置の主要一構成部とし
て使用することを提案するものである。

（従来の技術） 物品の時間的に又数量的に正確な搬送手段としてスプロ
ケットに噛合掛装されたチェンが多用され、具体的に一
定量の物量を移送せしめる手段として、所定のピッチに
チェン上にアタックメントを装備せしめ、このアタッチ
メントを介してバケットその他物品の支承具あるいは支
承部材を取付け、物品の搬送が多年に亘り実行されて来
た。

（考案が解決しようとする問題点） しかし永年物品の正確な搬送手段として多用されて来
た、スプロケットとこれに噛合されたチェンから構成さ
れた物品の搬送装置はチェンの駆動時、即ちチェンのス
プロケットとの嵌合時発生する騒音は大きく、かつ円滑
なチェンの回動を維持するためには定期的な注油が必要
であり、この注油の手間とは別に油分の不測の付着など
が起り、搬送物品が食品などの場合、特に注意が必要
で、またこの装置自体大型化の傾向にあり、かつ装置自
体重量的に重く、その組立機構は複雑で、装置の簡素化
には一定の制約があり、これらの改善は困難なものであ
り、このように幾多の問題点が山積していた。

（問題点を解決するための手段） 本考案に係る歯付ベルトによる物品搬送装置の一部を構
成するベルトはベルト引張部内に長手方向に伸びる抗張
体を埋設せしめると共に、ベルト引張部内周面に歯形部
を一定のピッチにて引張部と一体に形成したゴム状弾性
体からなる歯付ベルト本体の背面に、一定のピッチにて
その内部にベルト幅方向にのびる空隙部を形成した突起
群をベルト引張部と一体に隆設せしめた構成からなり、
以上の構成からなる同大同形の歯付ベルトを２本１組と
して同期駆動下にて平行状態に配し、１対のベルト間に
ベルト背面上に隆設した突起群を介して、相対応する突
起間にバー群を横架せしめた構成からなる。

（作用） 以上の構成からなる装置にあって、２本の歯付ベルトは
それぞれ相対設する１対の駆動歯付プーリと従動歯付プ
ーリ間に巻掛け、張架された１対のベルト間に、即ちベ
ルト背面に隆設した相対応する突起の空隙部にプラスチ
ックバーをベルト幅方向に挿通し、１対のベルト間にて
ベルト全周に亘ってバー群がスダレ状に配設され、平行
して架設されたバー群上には所望する物品、例えば生鮮
食品、各種雑貨物を収容した包装函などが載置される搬
送面が形成され、一対の駆動歯付プーリの同期回転に伴
い歯付ベルトもスリップのない正確な同期回動を持続
し、物品の確動が約束、維持される。

（実施例） つぎに本考案を実施した歯付ベルトを用いた物品搬送装
置の具体的実施例を図面を用いて説明する。

第１図はこの考案に係る装置に用いる歯付ベルトの一部
の正面図で、図中、（１）は無端の物品搬送用歯付ベル
トで、ポリウレタン弾性体、天然ゴム、合成ゴム又は天
然ゴムと合成ゴムとをブレンドしてなるゴム状弾性体か
らなるべルト引張部（２）内には低伸度高強力の、例え
ばスチールワイヤ、ガラス繊維、脂肪族ポリアミド繊
維、芳香族ポリアミド繊維、カーボン繊維などからなる
ロープ抗張体（３）がベルト長手方向に並列状に埋設さ
れ、又ベルト引張部（２）の内周面にはベルト引張部
（２）と同材質の歯形部（４）（４）が一定のピッチに
てベルト引張部（２）と一体に形成されて歯付ベルト本
体を形成している。歯付ベルト本体の背面部にはベルト
引張部（２）と同材質の突起（５）が一定のピッチに
て、より具体的に歯付ベルト本体の歯形部（４）とのベ
ルト背面側相対的位置にてベルト引張部（２）と一体に
隆設され、これら各突起（５）内部にはベルト幅方向に
のびる空隙部（６）がそれぞれ形成されている。この場
合各突起（５）は円弧状部材をベルト長手方向に波状に
連続せしめることにより各突起（５）各所のごく自然な
伸張変形が確保される。

つぎに以上の構成からなる同形同大の１対の歯付ベルト
（１）（１）は平行状態を保ち、かつ１対のベルト
（１）（１）間に所定の間隔を保って１対の同期駆動す
る駆動歯付プーリ（Dr）（Dr）および１対の従動歯付プ
ーリ（Dn）（Dn）間にベルト歯形部（４）をプーリの歯
溝に咬合せしめて巻掛け、１対のベルト（１）（１）の
相対応する突起（５）（５）の空隙部（６）（６）にそ
れぞれプラスチックバー（イ）を挿入して１対のベルト
（１）（１）間に差し渡されたバー（イ）群にてベルト
全周面に亘ってスダレ状の物品搬送面を形成する。

駆動プーリ（Dr）（Dr）を矢印方向に駆動することによ
り、バー付き歯付ベルト（１）（１）が同期駆動し、バ
ー上に搬置された各種物品（ロ）はベルトの回動に伴い
搬送される。

（考案の効果） 本考案にあってはバー群にて形成されたスダレ状の搬送
面の構成により、物品搬送中にても、適宜の振動を伴
い、商品の水切りが容易なものとなり、またバーの長さ
を選択することにより、搬送物品の形状に対応しうる搬
送面を容易に形成することができる。また、駆動輪に巻
装されるベルト本体はゴム状弾性体にて構成されている
ため、従来のチェンに比べ騒音が著しく減少し、特にチ
ェンとスプロケットによる叩き音を著しく減少し、より
具体的にチェンの音圧は80dBであったが本考案にあって
はその音圧は66dBとその騒音の軽減は顕著なものがあっ
た。又本考案にあっては注油作業が一切不要となるので
手数が省け、さらに注油に伴う装置自体の汚損もなく、
又搬送物への油の付着などの懸念がなくなる。又重量的
には本考案の歯付ベルトはチェンに比べ軽量で、具体的
重量比はチェン／歯付ベルト＝100/15で、その分取扱い
が簡易、軽便なものとなる。

又歯付ベルト本体の背面部に隆設せしめた突起群はベル
ト本体同様ゴム状弾性体にて形成されているため突起部
の空隙部に挿入されるバーは突起部の弾力性を利用し
て、ベルト背面上にごく自然な形にて安定して取付ける
ことができ、又ベルト本体が歯付プーリ上を回動する折
には突起部に大きな伸張力が作用するも、この突起群は
ベルトの歯形部の上に位置していることで、ベルト屈曲
時、突起の伸張変形は極力抑制され、これによりこの突
起群はその応力に十分堪えて、常時該部にて支持するバ
ー群を安定的にかつ長期に亘って保持することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る装置に使用する歯付ベルト一部の
正面図、第２図は本考案に係る装置の一部の平面図、第
３図は本考案に係る物品の搬送装置を概略的に示す斜視
図である。 図中、（１）は歯付ベルト、（２）はベルト引張部、
（３）はロープ抗張体、（４）（４）は歯形部、（５）
（５）は突起、（６）は空隙部、（イ）はプラスチック
バー、（ロ）は搬送物品を示す。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ベルト引張部内に長手方向に伸びる抗張体
   を埋設せしめると共に、ベルト引張部内周面に歯形部を
   一定のピッチにて引張部と一体に形成したゴム状弾性体
   からなる歯付ベルト本体の背面に、一定のピッチにてそ
   の内部にベルト幅方向にのびる空隙部を形成した突起群
   をベルト引張部と一体に隆設せしめた構成からなる一対
   の歯付ベルトを所定の間隔をもって同期回転可能に並設
   し、相対応する一対の歯付ベルトの空隙部間にバーを横
   架せしめて、一対のベルト間にこれらバー群にてスダレ
   状の物品搬送面を形成してなる歯付ベルトによる物品搬
   送装置。
2. 【請求項２】歯付ベルトのベルト本体背面上の突起はベ
   ルト本体の歯形部との相対的位置に隆設されている実用
   新案登録請求の範囲第１項記載の歯付ベルトによる物品
   搬送装置。
3. 【請求項３】歯付ベルトのベルト本体背面上に隆設され
   る突起群はベルト長手方向に連続する円弧状波形を呈し
   ている実用新案登録請求の範囲第１項又は第２項記載の
   歯付ベルトによる物品搬送装置。