JPH0637976Y2 - サニタリー型コネクタ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はサニタリー型コネクタに係り、特に流体状の内
容物を収納する袋体や容器の口金部と着脱可能に接続さ
れ、袋体や容器に内容物を充填し又は取出すための衛生
的な処理がなされたコネクタに関する。

〔従来の技術〕

近年、折りたたみ可能なプラスチック袋または容器を、
外装用段ボール箱の中に入れ、液体の輸送・保管に使用
する形式の包装をバッグインボックス（Bag in Box）と
称し、従来のガラス壜、タンク、ブリキ缶などに比べ、
軽くて丈夫で輸送・保管に便利でコストが安価なため多
く使用されている。最近は、柔軟な単体フィルムやラミ
ネートフィルムを２枚以上重ねたり、複合フィルムを使
用することによって、耐圧性、耐薬品性などに優れた製
品が出始め液体食品をはじめ、工業薬品など各種分野へ
の適用が考えられている。特に、ジュース、コーラ等の
清涼飲料やコーヒー飲料等の飲料供給機（ディスペン
サ）の分野においては、従来のリターナブルタンクのよ
うに回収、再充填、タンク洗滌殺菌等の手間を要しない
ためバッグインボックスの使用が考えられている。

しかして、現在のバッグインボックスの袋体はその内容
物取出口に種々の形状の口金が設けられており、この口
金にコネクタが接続され、袋体内の内容物が取出される
ようになっている。また、バッグインボックスに限ら
ず、前述したリターナブルタンクのような容器も、その
内容物取出口に口金が設けられており、この口金にコネ
クタが接続され、容器内の内容物が取出されるようにな
っいる。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、上述したバッグインボックスの袋体やリ
ターナブルタンク等の容器に設けられた口金と接続され
るコネクタは、接続前の状態においてはその接続部が外
気に露出しているため、雑菌等が付着して汚染されると
いう問題点がある。特に、ディスペンサの分野において
は、コネクタの汚染された接続部に飲料が直接接触する
ため、ディスペンサから供給される飲料が微生物汚染さ
れる可能性が高いという問題点がある。

本考案は上述した事情に鑑み創案されたもので、その目
的とする処は、袋体や容器に設けられた口金と接続され
る以前の状態においては、飲料等が直接接触する部分を
殺菌剤で被い外気と接触しないようにしたサニタリー型
コネクタを提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

上記の目的を達成するために、この考案の第一の態様に
おいては、袋体又は容器の口金に着脱可能に装着され、
スライド自在に設けられた液体注出管を口金内に挿入す
ることにより、飲料等の液体の充填および取出しを行う
コネクタにおいて、上記コネクタが上記口金に装着され
ていないとき、コネクタが口金に装着されて上記液体注
出管が口金内に挿入された際に液体注出管の液体が接触
する部分に密着され、コネクタが口金に装着され液体注
出管が口金内に挿入されるとき、液体注出管の先端部が
貫通することによって上記液体が接触する部分から離脱
する殺菌剤含浸パッドを備えていることを特徴としてい
る。

また、この考案の第二の態様においては、袋体又は容器
の口金に着脱可能に装着されて飲料等の液体の充填およ
び取出しを行い、液体が導通する孔の開閉を行う弁体を
有しているコネクタにおいて、上記コネクタの口金に装
着される側の開口部を閉鎖するとともに開口部を閉鎖し
たときに上記弁体の先端部に密着される殺菌剤含浸パッ
ドを備え、この殺菌剤含浸パッドが開口部に対して開閉
自在に取り付けられていることを特徴としている。

また、この考案の第三の態様においては、袋体又は容器
の口金に着脱可能に装着されて、飲料等の液体の充填お
よび取出しを行うコネクタにおいて、上記口金への装着
時に液体が接触する部分で、かつ口金からの離脱時に外
気に接触する部分を多孔質材料で形成し、この多孔質材
料の孔部に殺菌剤を保持させたことを特徴としている。

〔作用〕

この考案の上記第一の態様によれば、コネクタが口金に
装着されていないときには、殺菌剤含浸パッドが、コネ
クタが口金に装着されて液体注出管が口金内に挿入され
た際に液体注出管の液体が接触する部分に密着して、こ
の液体注出管の液体が接触する部分と外気との接触が遮
断され、コネクタが口金に装着され液体注出管が口金内
に挿入されるときに、液体注出管の先端部が殺菌剤含浸
パッドを貫通してそれまで外気との接触を遮断していた
殺菌剤含浸パッドから離脱し、袋体又は容器への飲料等
の液体の充填および取出しが可能になる。

また、この考案の第二の態様によれば、コネクタが口金
に装着されていないときに、殺菌剤含浸パッドがコネク
タの口金に装着される側の開口部を閉鎖するとともに弁
体の先端部に密着して、飲料等の液体の充填および取出
しの際にその液体と接触する弁体を外気から遮断し、コ
ネクタが口金に装着される際には、殺菌剤含浸パッドが
コネクタの開口部を開口するとともに弁体の先端部から
離脱して、コネクタへの装着を可能にする。

また、この考案の第三の態様によれば、口金への装着時
に液体が接触する部分に形成された多孔質材料が殺菌剤
を保持していることにより、この部分が口金からの離脱
時に外気に接触した際にも、外気による汚染が防止され
る。

〔実施例〕

以下、本考案に係るサニタリー型コネクタの実施例を第
１図乃至第３図を参照して説明する。

第１図はサニタリー型コネクタ１の基本構成図を示すも
のであり、同図において符号２はコネクタ本体を示し、
コネクタ本体２がバッグインボックスの袋体３の開口部
に設けられた口金４と接続可能になっている。コネクタ
本体２内には上下動可能なカッター付軸５が嵌装されて
おり、この軸５の先端のカッター部5cを被うように殺菌
剤を含浸した含浸パッド６が設けられている。含浸パッ
ド６は多孔性の弾性材料からなり、３分割されていてカ
ッター部5cの全面を被うようになっており、各含浸パッ
ド６は同様に３分割されたスイングアーム７により保持
されている。

上記スイングアーム７は軸５のカッター部5cと係合する
係合部7aとコネクタ本体２の円弧状案内部2aと摺動案内
される案内部7bとを有し、係合部7aは圧縮コイルバネ８
によりカッター部5cに常に係合可能になっている。ま
た、コネクタ本体２の上端側とスイングアーム７の裏面
側間にも多孔性の弾性材料からなる含浸パッド９が介装
されている。

含浸パッド6,9に含浸する殺菌剤には、例えば、エチル
アルコール、クエン酸、酢酸、デヒドロ酢酸等の人体に
無害の薬品が使用されている。

また、カッター付軸５の上部にはプラグ11を有したプラ
グ保持体10が一体に固定されており、このプラグ保持体
10及びカッター付軸５内にはそれらの軸方向に沿って飲
料供給用の供給路10a,5aが設けられるとともにカッター
付軸５には供給路5aと連通する開口5₀がそれぞれ設けら
れ、袋体３内の飲料はこの開口部5₀、供給路5a,10aを通
ってプラグ11に供給される。

一方、コネクタ本体２には口金４と係合されるボール13
と口金４の上端面と密着してシールを行うＯリング14と
が介装されており、又、その外周部にはワンタッチ着脱
用の着脱リング15が嵌装されている。上記着脱リング12
は圧縮コイルバネ16により下方に付勢されており、着脱
リング12の内周面がボール13を半径方向内方に押しボー
ル13が口金４に係合するようになっている。そして、口
金４にコネクタ１を接続するには、コネクタ１を口金４
に押し込むだけでボール13が口金４に係合してワンタッ
チで行うことができ、又、離脱は着脱リング12を圧縮コ
イルスプリング16の付勢力に抗して押し上げコネクタ１
の引き抜き動作を行うだけで良い。

なお、コネクタ本体２はフランジ18と接続されている。

次に、前述のように構成されたサニタリー型コネクタの
動作について第１図乃至第３図を参照して説明する。

バッグインボックスの袋体３には口金４の開口部4₀を閉
塞シールするためにシール用薄膜17が設けられており、
このシール用薄膜17を破ることにより袋体３内の飲料が
外部に取出せる。

まず、第１図に示されるようにコネクタ１を前述した接
続動作により口金４に接続する。

次に、第２図及び第３図に示されるようにカッター付軸
５を口金４側に押し込みカッター部5cによりシール用薄
膜17を破る。このとき、カッター付軸５が下方に押され
るに伴ない、スイングアーム７の係合部7aは圧縮コイル
バネ８の付勢力によってカッター部5cと係合したまま下
方に動くとともに案内部7bはコネクタ本体２の円弧状案
内部2aに案内されて上方へ摺動し、スイングアーム７は
係合部7aを支点として上方へ揺動する。このとき、含浸
パッド９は圧縮されて体積が減少する。これにより、含
浸パッド６とカッター部5cとの接触が解除され、カッタ
ー部5cが露出し、開口5₀が袋体３内の飲料に臨むように
なる。その結果、袋体３内の飲料は開口5₀、供給路5a及
び供給路10aを通ってプラグ11よりチューブＴを介して
供給される。

しかして、袋体３内の飲料が消費され尽くすとカッター
付軸５を引き上げ、前述と逆の動作によりスイングアー
ム７が係合部7aを支点として下方へ揺動し、含浸パッド
６がカッター部5cを再び被う。この状態で着脱リング15
を押し上げて口金４からコネクタ１を引き抜いても、口
金４への装着時に飲料が接触する部分であるカッター部
5c、コネクタ本体２の円弧状案内部2a等は含浸パッド６
により被われるため、これらの部分5c,2aに雑菌が付着
して汚染されることが防止される。

次に、本考案に係るサニタリー型コネクタの別実施例を
第４図及び第５図を参照して説明する。

第４図はサニタリー型コネクタ１の断面図を示すもので
あり、同図において前述した第１図と同一作用をなす構
成部品には同一符号を付し説明を省略する。

コネクタ本体２内に上下動可能に嵌装されたカッター付
軸５には、カム曲線を構成する凹部5dが形成され、この
凹部5dに３つに分割されたスイングアーム20の突出部20
aが係合されている。上記スイングアーム20の上部に
は、フランジ18に固定された保持リング19に掛合する掛
合部20bが設けられ、この掛合部20bを支点としてスイン
グアーム20は揺動可能になっている。そして、スイング
アーム20の外面には細菌剤を含浸した含浸パッド６が設
けられている。その他の構成は第１図に示すサニタリー
型コネクタと全く同様である。

次に、前述のように構成された本実施例のサニタリー型
コネクタの動作を説明する。

バッグインボックスの袋体３へのコネクタ１の着脱は第
１図のものと同様に行われる。

カッター付軸５を口金４側に押し込みカッター部5cによ
りシール用薄膜17を破る際には、カッター付軸５が下方
に押されるに伴ない、スイングアーム20の突出部20aは
軸５の凹部5dを摺動して次第に凹部20dから離脱する。
これにより、スイングアーム20は掛合部20bを支点とし
て揺動し、第５図に示されるようにカッター部5cとスイ
ングアーム20との接触が解除され開口5₀が袋体３の飲料
に臨むようになる。

次に、本考案に係るサニタリー型コネクタの更に別実施
例を第６図乃至第８図を参照して説明する。

第６図はサニタリー型コネクタの断面図を示すものであ
り、同図において前述した第１図と同一作用をなす構成
部品には同一符号を付し説明を省略する。

コネクタ21のコネクタ本体22内には、チャッキ弁Ｖが設
けられるとともに、その開口端22₀を開閉可能に閉塞す
るために開閉蓋23が設けられている。

上記開閉蓋23の支持部23aは、着脱リング15の枢支部15a
にピン24により枢支された第１リンク部材25により支持
されている。一方、コネクタ本体22の枢支部22aにはピ
ン26により第２リンク部材27が枢支されており、この第
２リンク部材27と第１リンク部材25とはピン28により接
続されている。

また、開閉蓋23と第１リンク部材25との接続部には、ね
じりコイルバネ29が介装されており、このねじりコイル
バネ29の付勢力により開閉蓋23がコネクタ本体22の開口
端22₀を閉塞するようになっている。そして、開閉蓋23
の内面にはパッキング部材30が設けられるとともに殺菌
剤を含浸した含浸パッド31が設けられており、パッキン
グ部材31により開口端22₀を閉塞するとともに含浸パッ
ド31によりチャッキ弁Ｖ及びコネクタ本体22の内面を被
っている。

次に、前述のように構成されたサニタリー型コネクタの
動作を第７図及び第８図を参照して説明する。

本実施例におけるバッグインボックスの袋体３に設けら
れた口金４には、弁体33が介装されるとともにシール用
Ｏリング34が介装されている。

口金４にコネクタ21を接続するには、第７図に示される
ように着脱リング15を上方へ押し上げる。すると、第１
リンク部材25がピン24を中心として90°回転し、開閉蓋
23が90°開いた状態になる。この状態でコネクタ21を口
金４側に押し込むと、開閉蓋23は口金４のフランジ部4f
に当接してねじりコイルスプリング29により更に開放さ
れる。このとき、ボール13は口金４の外周面に係合され
るとともにＯリング34はコネクタ本体22の内周面に接触
してシールされる。

本実施例においては、コネクタ21が口金４から取り外さ
れたときには、コネクタ本体22の開口端22₀は開閉蓋23
により閉塞されるとともにチャッキ弁Ｖ及びコネクタ本
体22の内周面が含浸パッド31により被われ、これらの部
分に雑菌が付着して汚染される恐れがない。

次に、本考案に係るサニタリー型コネクタの更に別実施
例を第９図を参照して説明する。

本実施例は、コネクタの構成部品を、口金４へ装着した
際に飲料が接触する部分で、かつ口金４からの離脱時に
外気に接触する部分を多孔質材料で形成し、この多孔質
材料の孔に殺菌剤を保持させたものであり、第１図乃至
第８図に示した実施例のように含浸パッドは用いていな
い。

第９図は、コネクタの構成部品としてカッター付軸５の
一部を示すものである。軸５のカッター部5cは多孔質材
料にて形成されており、このカッター部5cには全面に亘
って多数の孔部5eが形成されている。そして、第９図に
示されるようにこの孔部5eに殺菌剤35が保持されてい
る。

なお、第９図ではカッター付軸５のみを示したが、飲料
が接触するコネクタ本体2,22の内面等も殺菌剤を保持す
る多孔質材料で形成されている。

〔考案の効果〕

以上、実施例の説明から明らかなように本考案によれ
ば、コネクタを取り外して空気中に放置した場合におい
ても、供給する液体と接触する部分に常に殺菌剤が介在
しているため、この部分に雑菌が付着して汚染される恐
れが全くなく、極わめて衛生的なコネクタにすることが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るサニタリー型コネクタの実施例を
示す断面図、第２図及び第３図はその動作説明図、第４
図はサニタリー型コネクタの別実施例を示す断面図、第
５図はその動作説明図、第６図はサニタリー型コネクタ
の更に別実施例を示す断面図、第７図及び第８図はその
動作説明図、第９図はサニタリー型コネクタの更に別実
施例を示す断面図である。 １…コネクタ、２…コネクタ本体、３…袋体、４…口
金、５…カッター付軸、６…含浸パッド、７…スイング
アーム、８…圧縮コイルバネ、９…含浸パッド、10…プ
ラグ保持体、11…プラグ、13…ボール、14…Ｏリング、
15…着脱リング、16…圧縮コイルバネ、17…シール用薄
膜、18…フランジ、20…スイングアーム、21…コネク
タ、22…コネクタ本体、25…第１リンク部材、27…第２
リンク部材、29…ねじりコイルバネ、30…パッキング部
材、31…含浸パッド。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】袋体又は容器の口金に着脱可能に装着さ
   れ、スライド自在に設けられた液体注出管を口金内に挿
   入することにより、飲料等の液体の充填および取出しを
   行うコネクタにおいて、 上記コネクタが上記口金に装着されていないとき、コネ
   クタが口金に装着されて上記液体注出管が口金内に挿入
   された際に液体注出管の液体が接触する部分に密着さ
   れ、コネクタが口金に装着され液体注出管が口金内に挿
   入されるとき、液体注出管の先端部が貫通することによ
   って上記液体が接触する部分から離脱する殺菌剤含浸パ
   ッドを備えていることを特徴とするサニタリー型コネク
   タ。
2. 【請求項２】袋体又は容器の口金に着脱可能に装着され
   て飲料等の液体の充填および取出しを行い、液体が導通
   する孔の開閉を行う弁体を有しているコネクタにおい
   て、 上記コネクタの口金に装着される側の開口部を閉鎖する
   とともに開口部を閉鎖したときに上記弁体の先端部に密
   着される殺菌剤含浸パッドを備え、この殺菌剤含浸パッ
   ドが開口部に対して開閉自在に取り付けられていること
   を特徴とするサニタリー型コネクタ。
3. 【請求項３】袋体又は容器の口金に着脱可能に装着され
   て、飲料等の液体の充填および取出しを行うコネクタに
   おいて、上記口金への装着時に液体が接触する部分で、
   かつ口金からの離脱時に外気に接触する部分を多孔質材
   料で形成し、この多孔質材料の孔部に殺菌剤を保持させ
   たことを特徴とするサニタリー型コネクタ。