JPH0637717B2 - 被処理物の表面処理方法及びその装置 - Google Patents

被処理物の表面処理方法及びその装置

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JPH0637717B2
JPH0637717B2 JP17080489A JP17080489A JPH0637717B2 JP H0637717 B2 JPH0637717 B2 JP H0637717B2 JP 17080489 A JP17080489 A JP 17080489A JP 17080489 A JP17080489 A JP 17080489A JP H0637717 B2 JPH0637717 B2 JP H0637717B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は被処理物の表面処理方法及びその装置に関する
ものであって、とくにロータリエンジンのロータハウジ
ング等の各種摺動部材の摺動面に、ニッケル・フッ素複
合めっき等、摺動面の耐摩耗性ないし潤滑性を向上させ
るための表面処理を行う場合の、被処理物の表面処理方
法及びその装置に関するものである。
[従来の技術] フッ素樹脂等のフッ素化合物が低摩擦特性を有すること
に着目して、摺動部材の摺動面にニッケル・フッ素複合
めっきを施すことにより(フッ素樹脂をコーティングし
てもよい)、摺動面の耐摩耗性ないし潤滑性を高めるよ
うにした表面処理方法が従来より知られている(例え
ば、特公昭62−6759号公報参照)。ところが、こ
のようなニッケル・フッ素複合めっき層は、低摩擦特性
を有するがゆえに被めっき面への密着性が悪くなるとい
ったデメリットをもつ。このため、摺動方向(接線方向)
に剪断力が加わったときには、ニッケル・フッ素複合め
っき層が被めっき面から剥離する場合があるといった問
題がある。また、ニッケル・フッ素複合めっき層は比較
的硬度が低いので早期に摩耗するといった問題がある。
そこで、被めっき面にまずクロム・モリブデンめっき等
の硬質めっきを施し、この硬質めっき層の表面に、逆電
解法等によりエッチングを施して多数の微細な凹部(ミ
クロポア)を有するポーラスな表面を形成し、このよう
なポーラスな表面にニッケル・フッ素複合めっきを施す
ことにより、被めっき面とニッケル・フッ素複合めっき
層との間の密着性を高めるようにした表面処理方法が提
案されている。このような表面処理方法によれば、ミク
ロポア内に保持されたニッケル・フッ素複合めっき層が
硬質めっき層によって保護されて摩耗しにくくなるの
で、ニッケル・フッ素複合めっき層の耐久性が高められ
るといった利点もある。
このようなニッケル・フッ素複合めっきは、例えばロー
タリエンジンを構成するロータハウジングの、アペック
スシールと摺接するトロコイド内周面に施されるが、か
かるロータハウジングの加工およびめっきは、第6図に
示すような工程で行なわれる。以下、第6図中の各工程
(工程P1〜工程P11)について説明する。
工程P1…内周面がトロコイド状に形成された鋼板製筒
体を、そのトロコイド状内周面が露出するようにしてア
ルミニウム合金で鋳ぐるむことによってロータハウジン
グが製作される。
工程P2…排気ポート、プラグ穴等の穴部を形成するた
めに、ロータハウジングに穴加工が行なわれる。
工程P3…ロータハウジングの鋼板製筒体のトロコイド
状内周面に、普通の電気めっき法によりクロム・モリブ
デンめっきが施され、硬質めっき層(クロム・モリブデ
ンめっき層)が形成される。第9図(a)に模式化して示す
ように、このようなクロム・モリブデンめっき層は、ロ
ータハウジングの厚み方向(ロータリエンジンに組み付
けられたときには偏心軸の軸線方向)にみて、両端部で
は厚く中間部では薄くなるような凹面状に形成される。
なお、第9図(a)においては、上記厚さの差が極端に誇
張されて表現されており、実際にはその差は数10μm
程度である。
工程P4…上記クロム・モリブデンめっきの電極の正負
が逆転された第1逆電解によりエッチングが施され、第
9図(b)に模式化して示すように、クロム・モリブデン
めっき層表面に、比較的狭くて深いピンホール状の凹部
(以下、これをピンポイントポアという)が形成される。
工程P5…第9図(c)に模式化して示すように、クロム
・モリブデンめっき層が、ロータハウジングの厚み方向
にみて、中間部が所定の膨らみをもつような凸面状(円
弧状)に研削される(以下、このような研削をホーニング
という)。このようなホーニングは、エンジン運転時の
熱変形を打ち消し、あるいは初期なじみ運転時における
摩耗に対応するために行われる。第9図(c)において
は、このような膨らみが極端に誇張されており、実際に
は、第10図に寸法を示しているように、厚みが80mm
のロータハウジングでは、中央部が両端部より10μm
膨出するような略円弧状の膨らみに過ぎない。
工程P6…第9図(d)に模式化して示すように、第2逆
電解によりクロム・モリブデンめっき層表面に再びエッ
チングが施され、上記ピンポイントポアを網目状に結ぶ
比較的浅い溝状の凹部(以下、これをミクロチャンネル
ポアという)が形成される。なお、ピンポイントポアお
よびミクロチャンネルポアはいずれも前記ミクロポアに
相当する。
工程P7…トロコイド内周面のニッケル・フッ素複合め
っきが施されない部分に対してマスキングが行なわれ
る。
工程P8…被めっき面の油分を除去するためにアルカリ
(または有機溶剤)を用いて脱脂が行なわれる。
工程P9…上記アルカリを中和するために酸洗いが行な
われる。
工程P10…ニッケル・フッ素複合めっき層のクロム・
モリブデンめっき層への付着性を高めるために、クロム
・モリブデンめっき層の表面にストライクニッケルめっ
きが行われる。なお、工程P7〜工程P10の後では夫
々水洗が行われる。
工程P11…ストライクニッケルめっき層の上にニッケ
ル・フッ素複合めっきが施される。
上記工程中、ストライクニッケルめっき(工程P10)と
ニッケル・フッ素複合めっき(工程P11)とは、第7図
に示すようなめっき装置MAを用いて行なわれる。
第7図に示すように、めっき装置MAにおいては、トロ
コイド状内周面にめっきが施される短い筒状のロータハ
ウジング101が、筒内空間部が直列するように複数個
積み重ねられて、内部にやや長い筒状空間部を有する積
層体102が形成される。この積層体102は、上側筒
状部材103と下側筒状部材104との間に配置され、
これらの組立体はめっき槽Sを形成する。そして、めっ
き槽Sの内部空間部には、直流電源105のプラス端子
に接続されるアノード106が配置され、一方積層体1
02を構成する各ロータハウジング101には、直流電
源105のマイナス端子に接続されるカソード107が
接続されている。めっき槽S内の空間部には、めっきの
種類に応じた適当なめっき液が満たされている。
一方、めっき槽Sとは別に、めっき液を貯留するめっき
液タンク109が設けられている。そして、下側筒状部
材104の下端部にはめっき液流出通路111が接続さ
れ、このめっき液流出通路111の他方の端部はめっき
液タンク109に接続されている。このめっき液流通1
11には循環ポンプ112が介設され、めっき槽S内の
めっき液をめっき液タンク109に抜き出すことができ
るようになっている。なお、めっき液流出通路111に
は、これを開閉する第1バルブ114と、めっき液の流
量を検出する流量計113とが設けられている。また、
めっき液タンク内109の空間部とめっき槽S内の空間
部とを連通する連通路115が設けられ、めっき槽S内
の液位とめっき液タンク109内の液位とが自然にほぼ
等しくなるようになっている。なお、連通路115には
これを開閉する第2バルブ116が介設されている。こ
のため、循環ポンプ112を駆動すると、めっき液がめ
っき槽S内とめっき液タンク109内との間を循環す
る。なお、ニッケル・フッ素複合めっき工程(工程P1
1)ではめっき液が循環されるが、ストライクニッケル
めっき工程(工程P10)ではめっき液は循環されな
い。
このような加工が行なわれたロータハウジングのトロコ
イド内周面近傍の断面の構造ないし組成を第8図に示
す。
[発明が解決しようとする課題] ところで、第6図に示すような方法でロータハウジング
の加工およびめっきを行った場合、ホーニング加工時
(工程P5)に、ロータハウジングの厚み方向にみて、両
端部近傍のクロム・モリブデンめっき層が中間部より多
く研削されるので、両端部近傍では中央部よりピンポイ
ントポアの深さが浅くなる。第11図と第12図とに、
夫々中央部と両端部におけるホーニング後のロータハウ
ジングのクロム・モリブデンめっき層の表面状態を示
す。第11図と第12図とから明らかなように、両端部
のクロム・モリブデンめっき層のピンポイントポアの深
さは(平均粗さRa=0.55)、中央部のピンポイン
トポアの深さ(平均粗さRa=1.35)に比べて大幅
に浅くなっている。
また、研削を行う砥石は、一般に両端部を研削するとき
の方が、中間部を研削するときより面圧が大きくなるの
で、両端部近傍のピンポイントポアの深さが益々浅くな
る。このため、両端部ではニッケル・フッ素複合めっき
のクロム・モリブデンめっき層への密着性と、ニッケル
・フッ素複合めっき層の耐摩耗性が低下するといった問
題がある。
これを改善するために、例えばショットブラスト法によ
り上記両端部にミクロポアを形成するといった手法が考
えられるが、この方法には、両端部に限定して粗さの均
一なミクロポアを形成することが困難であるといった問
題があり、またショットブラストによりクロム・モリブ
デンめっき層に付着した砥石の粒子を除去する工程が必
要となるといった問題がある。
また、第1逆電解工程(工程P4)で、両端部のピンポイ
ントポアの深さを中間部より大きくするといった方法が
考えられるが、予め両端部のピンポイントポアを深くす
ると、ホーニング加工時には、この部分で砥石の面圧が
高くなるので、ホーニングによる摩耗が大きくなり結局
十分な深さのピンポイントポアが残らないといった問題
があり、これを防止するには、油圧制御装置等を用いて
砥石の面圧を制御する必要がある。
本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされたものであっ
て、摺動部材にニッケル・フッ素複合めっき等の耐摩耗
性ないし潤滑性を高めるような表面処理を施す場合にお
いて、めっき層の被めっき面への密着性を高めることが
できるとともに、耐久性の高いめっき層を形成すること
ができる被処理物の表面処理方法及びその装置を提供す
ることを目的とする。
[課題を解決するための手段] 上記の目的を達するため、本願請求項1記載の発明は、
表面にポーラスな硬質めっき層が形成された複数の被処
理物を、電解液中で陰極部材と交互に積層配置し、上記
各被処理物を陽電源に接続するとともに上記陰極部材を
陰電源に接続し、積層方向にみて被処理物の両端部近傍
の硬質めっき層に電解エッチングを施すようにしたこと
を特徴とする被処理物の表面処理方法を提供する。
また、本願請求項2記載の発明は、表面にポーラスな硬
質めっき層が形成された複数の被処理物と陰極部材とが
交互に積層配置された積層体と、該積層体と接触する電
解液と、上記各被処理物に正電圧を印加するとともに上
記陰極部材に負電圧を印加して積層方向にみて被処理物
の両端部近傍の硬質めっき層に電解エッチングを施す電
力供給手段とを設けたことを特徴とする被処理物の表面
処理装置を提供する。
[発明の作用・効果] 本願請求項1記載の発明によれば、陰極部材に負電圧が
印加されるとともに被処理物に正電圧が印加されたとき
には、被処理物の硬質めっき層を形成する金属がイオン
化してめっき液中に溶解し硬質めっき層表面にエッチン
グが施されるが、このような硬質めっき層表面での金属
の溶解は、電流密度が高い部分ほど多くなる。そして、
硬質めっき層表面においては、陰極部材に近い部分ほど
電流密度が高くなるが、被処理物と陰極部材とは交互に
積層配置されているので、積層方向にみて被処理物の両
端部近傍の電流密度が高くなり、この部分に集中的にエ
ッチングが施される。したがって、上記両端部近傍には
十分な粗さをもったポーラスな表面が形成されるので、
硬質めっき層の上に例えばニッケル・フッ素複合めっき
を施すような場合、両端部におけるニッケル・フッ素複
合めっき層の硬質めっき層への密着性が高くなるととも
にニッケル・フッ素複合めっき層の耐久性が高くなる。
また、本願請求項2記載の発明によれば、電力供給手段
によって陰極部材に負電圧が印加されるとともに被処理
物に正電圧が印加されたときには、被処理物の硬質めっ
き層を形成する金属がイオン化してめっき液中に溶解し
硬質めっき層表面にエッチングが施されるが、このよう
な硬質めっき層表面での金属の溶解は、電流密度が高い
部分ほど多くなる。そして、硬質めっき層表面において
は、陰極部材に近い部分ほど電流密度が高くなるが、被
処理物と陰極部材とは交互に積層配置されているので、
積層方向にみて被処理物の両端部近傍の電流密度が高く
なり、この部分に集中的にエッチングが施される。した
がって、上記両端部近傍には十分な粗さをもったポーラ
スな表面が形成されるので、硬質めっき層の上に例えば
ニッケル・フッ素複合めっきを施すような場合、両端部
におけるニッケル・フッ素複合めっき層の硬質めっき層
への密着性が高くなるとともにニッケル・フッ素複合め
っき層の耐久性が高くなる。また、この請求項2記載の
発明は、例えば第7図に示すような従来のめっき装置に
前記したような電力供給手段を付加することによって構
成することができるので、既設のめっき装置を有効に利
用して容易かつ安価に実施することができる。
[実施例] 以下、本発明の実施例を具体的に説明する。
第1図に示すように、ロータリエンジン用のロータハウ
ジング位のトロコイド状内周面にストライクニッケルめ
っきとニッケル・フッ素複合めっきとを施すためのめっ
き槽MTは、実質的に、2つのロータハウジング1a,1
bと該ロータハウジング1a,1bとほぼ同一形状に形成さ
れた3つの陰極部材2a,2b,2cとがゴム製のシール部
材3をはさんで交互に積層配置されてなる筒状の積層体
4と、シール部材3を介して該積層体4を夫々上下方向
からはさむようにして配置される上側筒状部材5と下側
筒状部材6とで構成され、このめっき槽MT内の空間部
には、めっきの種類に応じた適当なめっき液が満たされ
るようになっている。なお、図示していないが、第7図
に示す従来のめっき装置と同様に、めっき槽MTとは別
にめっき液タンクが設けられ、ニッケル・フッ素複合め
っき時には、めっき液循環通路7を介してめっき槽MT
とめっき液タンクとの間でめっき液が循環するようにな
っている。
そして、めっき槽MT内の空間部のほぼ中央部にはニッ
ケル製のアノード8が配置され、このアノード8は第1
導線9を介して第1直流電源装置11のプラス端子に接
続されている。一方、第1直流電源装置11のマイナス
端子は第2導線12と該第2導線12から分岐する3つ
の分岐導線12a,12b,12cとを介して各陰極部材2
a,2b,2cに接続されている。また、各陰極部材2a,2
b,2cを流れる電流値を検出するために電流計13a,1
3b,13cが各分岐導線12a,12b,12cに介設されて
いる。なお、第1直流電源装置11の出力電圧値を検出
するために第1電圧計14が設けられている。
一方、ロータハウジング1a,1bは、第3導線15を介
して第2直流電源装置16のプラス端子に接続されてい
る。第2直流電源装置16のマイナス端子は、第4導線
17と該第4導線17から分岐する3つの分岐導線17
a,17b,17cとを介して各陰極部材2a,2b,2cに接続
されている。また、各分岐導線17a,17b,17cに
は、夫々電流計18a,18b,18cと、可変抵抗19a,
19b,19cとが介設されている。なお、第2直流電源
装置16の出力電圧値を検出するために第2電圧計21
が設けられている。上記各可変抵抗19a,19b,19c
は、各陰極部材2a,2b,2cの電流を均一化するために
設けられている。第2直流電源装置16のプラス端子に
接続された第3導線15はアース22に接続されてい
る。
上記構成において、第1直流電源装置11の出力電圧V
1と第2直流電源装置16の出力電圧V2とは、任意に調
節できるようになっている。例えば、第1直流電源装置
11の出力電圧を5.5ボルトで一定に保持し、第2直
流電源装置16の出力電圧を0ボルトから5.5ボルト
までの間の任意の値V2ボルトに設定した場合、アノー
ド8、陰極部材2a,2b,2c及びロータハウジング1a,
1bの中の任意の2つの部材間にかかる電圧は夫々次の
ようになる。
アノード8と陰極部材2a,2b,2cとの間にかかる電
圧は、第2直流電源装置16の出力電圧V2にかかわら
ず、5.5ボルトで一定となる。このとき陰極部材2a,
2b,2cの表面にはニッケルが析出する。
アノード8とロータハウジング1a,1bとの間にかか
る電圧は、(5.5−V2)ボルトとなる。このときロ
ータハウジング1a,1bの表面にはニッケルが析出す
る。
ロータハウジング1a,1bと陰極部材2a,2b,2cとの
間にかかる電圧はV2ボルトとなる。しかしながら、陰
極部材2a,2b,2cはロータハウジング1a,1bと対向し
ていないので、ロータハウジング1a,1bの表面では、
陰極部材2a,2b,2cに近い部分、すなわち積層方向(上
下方向)にみて両端部近傍での電流密度が高くなるの
で、このような両端部近傍では硬質めっき層(クロム・
モリブデンめっき層)が溶解し、エッチングが施され
る。
したがって、第2直流電源装置16の出力電圧を調節す
ることによって、ロータハウジング1a,1bにストライ
クニッケルめっきを施すか、あるいは硬質めっき層(ク
ロム・モリブデンめっき層)の両端部にエッチングを施
すかを切り替えることができる。
以下、上記構成において、ロータハウジング1a,1bの
クロム・モリブデンめっき層上へニッケル・フッ素複合
めっきを施す際の表面処理方法を、第2図に示すフロー
チャートに従って説明する。なお、重複を避けるために
図示していないが、ここにおいてロータハウジング1a,
1bは、すでに第6図中の工程P1〜工程P7に相当す
る加工ないし処理が行われている。上記クロム・モリブ
デンめっき層は、クロム含有率が99.5%であり、モ
リブデン含有率が0.5%である。
工程S1では、被めっき面の油分を除去するためにアル
カリ(または有機溶剤)を用いて脱脂が行なわれる。
工程S2では、上記アルカリを中和するために酸洗いが
行なわれる。
工程S3では、ロータハウジングの厚み方向両端部近傍
のクロム・モリブデンめっき層に端面エッチングが、電
流密度10A/dm2で1分間施される。このとき、第1
直流電源装置11出力電圧V1に比べて第2直流電源装
置16の出力電圧V2はかなり低い値に設定される(例
えば、V1=5.5ボルト,V2=1.0ボルト)。この
工程S3及びストライクニッケルめっきが施される次の
工程S4におけるめっき液は、例えば次のような組成な
いし特性をもつ。
塩化ニッケル 240g/ 塩酸 120ml/ 水 850ml/ 液温 室温 このとき、第3図に示すように、電流密度の高いロータ
ハウジング1a,1bの両端部近傍のクロム・モリブデン
めっき層では、クロム(モリブデン)がイオン化してめっ
き液中に溶解する。なお、めっき液中のクロムイオン
(モリブデンイオン)は陰極部材2a,2b,2cの表面に
析出する。このため、ロータハウジング1a,1bの両端
部近傍には、十分な粗さをもつミクロポアが形成され、
ポーラスな表面が形成される。
このような端面エッチング前後の、ロータハウジング1
a,1bの両端部近傍におけるクロム・モリブデンめっき
層の表面の状態を、夫々第4図と第5図とに示す。第4
図と第5図とから明らかなように、端面エッチングが施
された後では、ロータハウジング1a,1bの端部から3
500μmまでの部分では、端部側ほど大きな粗さをも
つエッチングが施され、十分なミクロポアが形成されて
いる。このため、後の工程S5でニッケル・フッ素複合
めっきが施されたときには、ニッケル・フッ素複合めっ
き層のクロム・モリブデンめっき層への密着性が非常に
高くなり、かつニッケル・フッ素複合めっき層の耐久性
が非常に高くなる。
工程S4では、ニッケル・フッ素複合めっき層のクロム
・モリブデンめっき層への付着性を高めるために、クロ
ム・モリブデンめっき層の表面にストライクニッケルめ
っきが、電流密度10A/dm2で4分間施される。この
とき、第1直流電源装置11の出力電圧V1と第2直流
電源装置16の出力電圧V2とは同じ値に設定される
(例えば、V1=V2=5.5ボルト)。この場合、ロー
タハウジング1a,1bのクロム・モリブデンめっき層の
全面にストライクニッケルめっきが施される。
工程S5では、ストライクニッケルめっき層の上に、ニ
ッケル・フッ素複合めっきが、電流密度1.8A/dm2
で施される。ニッケル・フッ素複合めっきに用いられる
めっき液は、例えば次のような組成ないし特性をもつ。
スルファミン酸ニッケル 500g/ 塩化ニッケル 45g/ ホウ酸 35g/ 4フッ化エチレン樹脂 25g/ 液温 45℃ ペーハー(pH) 4.2 前記したとおり、ロータハウジング1a,1bの厚み方向
両端面には十分なミクロポアが形成されているので、ニ
ッケル・フッ素複合めっき層とクロム・モリブデンめっ
き層との密着性が非常に高くなり、かつニッケル・フッ
素複合めっき層の耐久性が大幅に高められる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、ロータハウジングにストライクニッケルめっ
き、ニッケル・フッ素複合めっき等を施すためのめっき
槽の断面と、めっき槽への電力供給系統とを示す図であ
る。 第2図は、第1図に示すめっき装置を用いてストライク
ニッケルめっき、ニッケル・フッ素複合めっき等を施す
工程を示すフローチャートである。 第3図は、端面エッチング工程におけるエッチングの形
成状態を示す図である。 第4図と第5図とは、夫々端面エッチングの前後におけ
る、ロータハウジングの端部近傍のクロム・モリブデン
めっき層の表面状態を示す図である。 第6図は、従来の方法によりニッケル・フッ素複合めっ
き等が施されるロータハウジングの加工方法ないしめっ
き方法を示すフローチャートである。 第7図は、ロータハウジングにニッケル・フッ素複合め
っき等を施す従来のめっき装置のシステム構成図であ
る。 第8図は、ニッケル・フッ素複合めっきが施されたロー
タハウジングのめっき層の断面を示す図である。 第9図(a),(b),(c),(d)は、夫々第6図に示すロータハ
ウジングのめっき工程において、クロム・モリブデンめ
っきが施された後と、第1逆電解が行われた後と、ホー
ニングが行われた後と、第2逆電解が行われた後の、ロ
ータハウジングのトロコイド状内周面近傍の断面を示す
模式図である。 第10図は、ホーニングが行われた後の、クロム・モリ
ブデンめっき層のピンポイントポアの形成状態を示す図
である。 第11図と第12図とは、夫々第6図に示す従来の加工
方法でロータハウジングにピンポイントポアを形成した
場合の、ロータハウジングの厚み方向中央部と両端部と
における表面状態を示す図である。 MT……めっき槽、1a,1b……ロータハウジング、2a,2
b,2c……陰極部材、3……シール部材、4……積層体、
5……上側筒状部材、6……下側筒状部材、8……アノ
ード、11……第1直流電源装置、16……第2直流電
源装置。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面にポーラスな硬質めっき層が形成され
    た複数の被処理物を、電解液中で陰極部材と交互に積層
    配置し、上記各被処理物を陽電源に接続するとともに上
    記陰極部材を陰電源に接続し、積層方向にみて被処理物
    の両端部近傍の硬質めっき層に電解エッチングを施すよ
    うにしたことを特徴とする被処理物の表面処理方法。
  2. 【請求項2】表面にポーラスな硬質めっき層が形成され
    た複数の被処理物と陰極部材とが交互に積層配置された
    積層体と、該積層体と接触する電解液と、上記各被処理
    物に正電圧を印加するとともに上記陰極部材に負電圧を
    印加して積層方向にみて被処理物の両端部近傍の硬質め
    っき層に電解エッチングを施す電力供給手段とを設けた
    ことを特徴とする被処理物の表面処理装置。
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