JP2004002881A - 耐焼付き性に優れた摺動部材の製法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】摺動前における硫化物系固体潤滑膜と金属部材の界面の表面粗さRmax を1μm以上として耐焼付き性を向上させる。このような摺動部材は,アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属のチオシアン酸塩またはチオ硫酸塩の一種または二種以上を溶解した水溶液を電解液とし,この電解液中に表面粗さを調整した鋼部材を浸漬し,該鋼部材を陽極として電解処理し,該部材の鋼中のFe成分と液中のS成分を反応剤として該鋼部材の表面に硫化鉄系の被膜を形成させることによって得られる。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,ギヤ類やベアリング類等の摺動面をもつ機械要素や部品(本明細書ではこれを「摺動部材」と呼ぶ)の耐焼付き性を改善する表面処理に係り,より詳しくは,金属部材の摺動面に硫化物系固体潤滑膜を有した,耐焼付き性の優れた摺動部材に関する。
【0002】
各種ギャ類,ベアリング類,各種のピンやピボット類,ピストンやシリンダー類など,相手方の金属部材の表面と接して動く機械部品では,潤滑油の存在下でも異常摩耗と焼付きが問題となる。これを軽減するための手段として,摺動部材(特に鋼部材)の摺動面に硫化鉄系,硫化モリブデン系,硫化タングステン系等の硫化物系固体潤滑膜を形成することが知られている。
【0003】
このような硫化物系固体潤滑膜を金属部材表面に形成する方法として,電気化学的方法が一般化している。代表的な方法は,金属部材を陰極として,アルカリ性電解液中で電解し,硫化物を陰極の金属部材表面に析出させる方法である。このような陰極電解浸硫処理に対して,金属部材を陽極として溶融塩浴中で処理する特殊な方法も知られている。
【0004】
例えば,チオシアン酸カリウムとチオシアン酸ナトリウムの溶融塩中で鉄系物品を陽極として電解処理すると,該鉄系部品のFe成分と浴中のS成分が反応して該部品表面に浸硫層(FeS系化合物)を生成する。このような陽極溶融塩電解による浸硫処理技術は,例えば特公昭44−1809号公報,特公昭63−12158号公報,特開平6−220689号公報に記載されている。これらの公報は,該溶融塩浴としてチオシアン酸カリウム(ロダンカリウム)とチオシアン酸ナトリウム(ロダンナトリウム)を約3:1の割合で配合したものを使用すること,電解温度は190℃±5℃前後,電流密度は1.5〜4.0A/dm2程度がよいと教示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
硫化物系固体潤滑膜を潤滑面にもつ摺動部材は一般に耐焼付き性に優れるが,機械寿命の向上のために,その耐焼付き性をさらに向上させることが常に望まれている。本発明はこの要求を満たすことを第一の課題とする。
【0006】
そして,この要求を満たす摺動部材を工業的有利に製造できる新規且つ簡易な製法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば,金属部材の摺動面に硫化物系固体潤滑膜を有する摺動部材において,該固体潤滑膜と接する金属部材の界面の表面粗さRmax が1μm以上である耐焼付き性に優れた摺動部材を提供する。とくに,鋼部材の摺動面に硫化鉄系,硫化モリブデン系または硫化タングステン系の固体潤滑膜を形成してなる摺動部材において,該固体潤滑膜と接する鋼部材の界面の表面粗さRmax が1μm以上である耐焼付き性に優れた摺動部材を提供する。
【0008】
さらに,本発明によれば,金属部材の摺動面に硫化物系固体潤滑膜を施すさいに,表面粗さRmax を1μm以上に調整した金属部材表面に対して該硫化物系固体潤滑膜を生成させることを特徴とする耐焼付き性に優れた摺動部材の製法を提案するものである。特に,アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属のチオシアン酸塩またはチオ硫酸塩の一種または二種以上を溶解した水溶液を電解液とし,この電解液中に鋼部材を浸漬し,該鋼部材を陽極として電解処理し,該部材の鋼中のFe成分と液中のS成分を反応剤として該鋼部材の表面に硫化鉄系の被膜を形成させることを特徴とする耐焼付き性に優れた摺動部材の製法を提供する。このような水溶液中での陽極電解浸硫法において,該電解液中に表面粗さRmax を1μm以上,好ましくは2μm以上に調整した界面形状をもつ鋼部材を浸漬することにより,特に耐焼付き性に優れた摺動部材を得ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明者らは,金属部材の摺動面に硫化物系固体潤滑膜を有する摺動部材では,摺動前における該固体潤滑膜と金属部材の界面の表面粗さRmax と,耐焼付き性との間には明瞭な相関を有し,界面の表面粗さRmax が大きくなるに従って耐焼付き性が改善されることを見い出した。該界面の表面粗さは,実際には固体潤滑膜を除去したときに現れる金属部材表面の表面粗さに対応する。したがって,該界面の表面粗さの測定は,その部分の固体潤滑膜を除去したときに現れる金属部材表面の表面粗さを測定することによって行うことができるが,固体潤滑膜を有したままの断面を顕微鏡観察して界面の凹凸高さを計測することによって,測定することもできる。
【0010】
後記の実施例にも示すが,摺動前における該固体潤滑膜と金属部材の界面の表面粗さRmax が1μm以上であると耐焼付き性の向上が著しいことがわかった。ここで,Rmax はJIS B 0601に従って表面粗さを規定する最大高さ(Rmax )であり,本明細書でいう表面粗さはこのRmax で表示する。
【0011】
一般に機械部品の摺動表面は可能な限り平滑に仕上げられるのが普通である。摺動表面に凹凸があると潤滑油切れが凸部で発生し,凸部の摩耗を促進するからである。同様の理由から,固体潤滑膜をもつ摺動部材でも,可能な限り平滑に仕上げた部材表面に固体潤滑膜を形成することが行なわれてきた。したがって,従来の固体潤滑膜をもつ摺動部材では,特別なものではない限り,金属部材の母材と固体潤滑膜との界面はRmax が1μm以下の可能な限り平滑な表面を有するのが通常であった。
【0012】
ところが,本発明らの経験によると,金属部材の母材と硫化物系固体潤滑膜とが凹凸を有する界面で接していると,より具体的にはRmax で2μm以上のような凹凸をもつ界面であると,耐焼付き性が非常に改善されることを知った。その理由は必ずしも明確ではないが,硫化物系固体潤滑膜が漸次消耗して母材の凸部が露出するような事態に至る場合でも,その近傍の凹部に貯留する硫化物系固体潤滑剤が凸部に供給されるような現象が現れて,凸部の摩耗を軽減するからであろうと考えられる。これに対し,界面に凹凸が少ない場合には,硫化物系固体潤滑剤の層が一様に消耗することになって,凹部に貯留するようなものが無くなると共に,この場合には,母材の金属露出部の面積が,前者の点状のものから,面状のものに変わるので,金属同士の接触面積が増加するようになり,このようなことが重なって焼付きを起こし易くなると考えられる。
【0013】
本発明を適用する摺動部材は摺動面(噛み合わせ面を含む)をもつ各種の機械部品例えば各種ギャ,シャフト,ハブ類はもとより,ピストン,シリンダー等,耐摩耗性が要求される機械部品に代表される。これらの金属部材の表面に形成する硫化物系固体潤滑膜としては,代表的には硫化鉄系,硫化モリブデン系,硫化タングステン系のものがある。いずれの硫化物系固体潤滑膜も本発明の摺動部材に適用可能であるが,以下,硫化鉄系の固体潤滑膜を例として説明する。
【0014】
鉄または鉄系合金(以下「鋼」と略称するが,鋼と言えば鉄または鉄系合金を指すものとする)の表面に硫化鉄系の固体潤滑膜を形成することにより,鋼部材の耐摩耗性を向上させる技術が普及している。この成膜技術の一つとして,前掲の特許公報等に提案された陽極溶融塩電解浸硫法が知られている。しかし,この浸硫法では,溶融塩の融点をできるだけ下げるためにロダンカリウムとロダンナトリウムの共晶組成の混合塩としなければならず,安価な単塩や他の処理剤を適用することは困難であるほか,実際には190℃付近の浴温を必要とする。このため,危険性の高い作業となることのほか,処理対象とする機械部品は焼入れ品や表面を加工硬化した部品であることが多く,190℃付近の浴温で処理すると,該部品の機械的強度や表面硬度が低下してしまうという問題が付随する。
【0015】
本発明者らは,このような問題のある溶融塩に代えて,水溶液中での陽極電解浸硫法の開発を意図した。そして,水溶液中での陽極電解浸硫により鋼表面に硫化鉄系の固体潤滑剤被膜を形成して耐焼付き性の優れた摺動部材を得るべく,種々の試験研究を重ねてきたが,その実現を見ることができた。以下にその方法について説明する。
【0016】
従来の溶融塩浴による浸硫法は,元来がチオシアン酸塩の水溶液での電解では良好な硫化鉄被膜が得られないという考え方に立脚しており,このためにロダンカリウムとロダンナトリウムの共晶塩を電解浴としたものである。ところが,この常識に反し,本発明者らはチオシアン酸塩やチオ硫酸塩の水溶液中での電解を試みたところ適切な条件であれば,溶融塩電解と同様に鋼表面に硫化鉄を形成できることがわかった。
【0017】
まず,電解に供する前の鋼部品の表面を脱脂,酸洗,水洗などによって清浄にしておくことは勿論であるが,適切な表面粗度例えばRmax 1μm以上,好ましくは2μm以上となるように表面粗さを調節しておくのがよい。また,鋼部品は浸炭処理し,焼入れ処理したものが好ましい。
【0018】
電解液としては,SCN−イオン或いはS2O3 2−イオンを少なくとも0.01 mol/リットル以上含有する水溶液を使用するが,SCN−イオンの供給剤としてはアルカリ金属またはアルカリ土類金属のチオシアン酸塩であればよく,またS2O3 2−イオンの供給剤としてもアルカリ金属またはアルカリ土類金属のチオ硫酸塩であればよく,これらは単塩でもそれら二種以上を混合したものでもよい。十分な濃度を維持する上では,未溶解塩が液中に存在するように溶解度以上にこれらの塩を水中に混在させておくこともできる。また,浴維持剤としてFeSO4等を適量含有させておくのがよい。
【0019】
電解条件は,大気圧下で且つ電解液の凝固点以上沸点以下の温度において電流密度1〜15A/dm2で行うのがよく,実際には,大気雰囲気下において浴温を常温とし,鋼部品の表面を陽極とし,別途に配置した陰極との間に電流密度1〜15A/dm 2に設定して電解すればよい。
【0020】
これにより鋼部品の表面に一般式Fe1−XS(0≦X<1)の硫化鉄被膜が形成される。この硫化鉄被膜は必ずしも化学量論量のFeSである必要はなく,この薄い被膜(例えば4〜6μm程度)が鋼部品の表面に形成されることにより,該表面の耐摩耗性および耐焼付き性効果を向上させることができる。
【0021】
代表的な電解条件を示すと次のとおりである。
被処理品:はだ焼鋼の浸炭および熱処理品
浴組成 :SCN−を2 mol/リットル含有する水溶液
浴温 :20℃
電流密度:3.2A/dm2
電解時間:10分
極間距離:10mm
【0022】
このような水溶液中での陽極電解法によって,鋼部品の表面に硫化鉄被膜を形成させる場合,鋼部品と硫化鉄被膜の界面の凹凸の程度が耐焼付き性に大きな影響を与え,その界面の凹凸の程度をRmax で言えば1μm以上,好ましくは2μm以上とするのがよい。さらに好ましくは5μm以上である。しかし,あまり大きな凹凸は必要ではなく,Rmax で言えば40μm以下,好ましくは30μm以下であるのがよい。
【0023】
当該水溶液中での陽極電解法において,硫化物系被膜と鋼部材との間に,このような凹凸界面を形成するには,電解に供する鋼部品の表面がRmax で1μm以上,好ましくは2μmの表面粗さを有するように,該鋼部品の表面粗度を調整しておくのがよい。鋼部品の表面粗度を調整するには,機械的方法,化学的エッチング法,電気化学的エッチング法などが適用できるが,特殊な方法として,当該水溶液中での陽極電解法の特異な現象を利用した電解腐食法も適用できる。
【0024】
機械的方法では,所定粒度の研削材を用いた研削機で鋼部品の表面を一様に研削して,目標とするRmax 値の表面粗さに調整すればよい。化学的エッチング法ではエッチング液を噴霧して孔食を発生させたり,マスキング材を用いて凹凸模様が生ずるようにエッチングする方法を採用すればよい。後者のマスキング処理は電気化学的エッチング法でも採用できる。
【0025】
電解腐食法は,当該水溶液中での陽極電解法によって硫化鉄の被膜を形成させるさいに,陽極の鋼部品からFeが溶出する挙動を調整することによって,鋼部品表面と硫化鉄被膜との界面の凹凸の程度を調整する方法であり,本発明者らは硫化鉄被膜を形成させる鋼部品の表面状態を適正に粗面化しておくと,鋼部品からFeが溶出するサイトの数とその深さが通電量と良好な相関を有することを見い出した。すなわち,水溶液中での陽極電解法によって硫化鉄の被膜を形成させるさいの通電量が多くなるにしたがって,該界面のRmax の値が大きくなることがわかった。この通電量とRmax との相関は,通電を開始するさいの鋼部品の表面状態に影響を受けると考えられる。このため,鋼部品の表面状態を適正な粗面しておくことが望ましく,実際には,いったん硫化鉄の被膜を形成させたあと,その被膜に亀裂を発生させ,アルカリ液で亀裂部分に孔食を発生させるといった処法が便利である。
【0026】
したがって,本発明によれば,アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属のチオシアン酸塩またはチオ硫酸塩の一種または二種以上を溶解した水溶液を電解液とし,この電解液中に鋼部材を浸漬し,該鋼部材を陽極として電解処理し,該部材の鋼中のFe成分と液中のS成分を反応剤として該鋼部材の表面に硫化鉄系の被膜を形成させ,該被膜にマルチクラックを発生させ,このクラックが発生した被膜をもつ鋼部品を陽極としてアルカリ水溶液中で電解腐食し,この電解腐食後の鋼部品を陽極としてアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属のチオシアン酸塩またはチオ硫酸塩の一種または二種以上を溶解した水溶液中で電解処理し,該鋼部材の表面に硫化鉄系の被膜を形成させると共に,Rmax で1μm以上の凹凸を該鋼部材と被膜との界面に形成させることを特徴とする耐焼付き性に優れた摺動部材の製法を提供する。そのさい,通電量の調整によって該界面のRmax の程度を制御することができる。
【0027】
【実施例】
〔実施例1〕
SCM415のはだ焼鋼を機械加工して外径6.5mm,長さ40mmのファビリーテスト用ピン(焼付試験用のテストピン)を必要数製作し,いずれのピンも930℃×5時間の浸炭処理のあと,830℃からの油焼入れ処理と180℃で焼もどし処理した。得られた浸炭焼入れピンを供試材として,以下の処理に供した。
【0028】
該ピンの一端を回転型研磨機のチャックに固定し,該ピンの胴部をエメリー紙で挟んだ状態で,該ピンを軸回りに回転させながらエメリー紙をピンの軸方向に移動させ,次いでピンを逆転させるという方法で, クロスハッチの粗面が形成されるように該ピンの胴部周面を一様に研削した。このピン胴部の研削周面は,後にファビリー試験機にセットしたときにVブロックと摺接するピン胴部周面より広くなるように考慮した。この研削処理時のエメリー紙の種類を変えることにより,その表面粗さを調整し,Rmax が2.5μm,8.2μmおよび10.1μmのピンを得た。
【0029】
これらのピンを脱脂,酸洗,水洗したあと,これらを陽極とする次の電解浸硫処理に供した。すなわち,電解浴として,水100重量部に対し,NaSCNを7.5重量部およびKSCNを22.5重量部を混合溶解し,さらに浴維持剤としてFeSO4を10重量部を加えた水溶液を準備し,この水溶液500ミリリットルを1リットルのガラス製容器に入れ,浴温を室温となるようにした。
【0030】
この水溶液を入れた容器の中心部に前記のピン1本を陽極として垂直に浸漬し,このピンを挟んで二枚のSUS304製の陰極板をピンから等距離10mm離して浸漬した。そして,ピンを正電極,陰極を負電極として,前記の表面粗さの異なる3本のピンをいずれも電流密度3.2A/dm2の同一条件で10分間電解処理した。各ピンの表面には4〜6μmの厚さの硫化鉄被膜が形成された。
【0031】
得られた各ピンの一端をH・E・F社(ハイドロメカニック摩耗研究所)製のファビリー試験機のチャックにセットし,該ピンの胴部を,接触面がV型の2個のブロックの間に挟み,各ブロックにピン方向の荷重をかけつつピンを軸回りに300rpmで回転させ,焼付きを起こすときの荷重(最大焼付き耐荷重と言う)を測定した。その結果,最大焼付き耐荷重は,ピンの表面粗さに応じて,次のとおりであった。
【0032】
【0033】
なお,比較例として,回転型研磨機で研削を行なわなかった以外は,実施例1と同一の処理を行なった得たものの,最大焼付き耐荷重は780Kgfであった。この比較例の場合の供試材(研削を行なわない浸炭焼入れままのピン)の表面粗さRmax は約0.6μmであった。
【0034】
〔実施例2〕
実施例1と同じ浸炭焼入れピンを供試材とした。すなわち,実施例1のように研磨機で表面を研削することなく,精密加工・浸炭焼入れままで表面粗さRmax が1μm以下のピンを脱脂,酸洗,水洗したあと,これらを陽極とする次の電解処理に供した。以下に示す電解はすべて常温(25℃)で行なった。
【0035】
まず,実施例1と同じ容器中にチオ硫酸ナトリウム1mol/L の水溶液を入れ,その中心部に該ピン1本を陽極として垂直に浸漬し,このピンを挟んで二枚のSUS304製の陰極板をピンから等距離10mm離して浸漬した。そして,ピンを正電極,陰極を負電極として,電流密度3.2A/dm2で40C(クーロン)通電した。この処理により硫化鉄系の被膜が形成された(この処理を予備被膜処理と呼ぶ)。
【0036】
次いで,該ピンを該電解液から大気中に30秒間だけ放置したあと,別の電解液(pH9の水酸化ナトリウム水溶液)に浸漬した。この大気中への放置の間に予備被膜処理で形成した被膜に一様に亀裂が発生することが確認された。この亀裂が発生した被膜をもつピンをpH9の水酸化ナトリウム水溶液中で,該ピンを陽極として前記同様の陰極板との間で,電流密度0.8A/dm2で40C(クーロン)通電した。この電解処理により,該被膜の亀裂部分には電解腐食が生じてメタルが溶出し,金属露出部が発生すると共に,被膜の一部も溶出し,その結果ピンの表面(金属面および被膜面)に凹凸が発生する(この処理をアルカリ被膜処理と呼ぶ)。
【0037】
前記のアルカリ被膜処理のあと,ピンを水洗して大気中に30秒放置し,次の電解浸硫処理を行った。すなわち,前記の予備被膜処理と同じ電解液と電流密度のもとで,アルカリ被膜処理したピンを陽極として電解浸硫処理を行う。そのさい,通電量に応じて,ピンと硫化鉄被膜の界面の表面粗さが変化する現象が起きる。すなわち,この最後の電解浸硫処理に供するまでは全く同一の条件処理したピン(アルカリ被膜処理したピン)を数本準備し,これら同じピンについて電解浸硫処理での通電量を変えて硫化鉄被膜を形成させた。電解条件は1mol/L のチオ硫酸ナトリウム浴で電流密度3.2A/dm2とした。そして,得られた各ピンの硫化鉄被膜を除去し,該被膜とピンの界面(ピンの表面)の粗さを測定した。図1は,計測された界面のピン表面粗さRmax と該電解浸硫処理時の通電量との関係をプロットしたものである。
【0038】
図1に見られるように,通電量と被膜下の母材表面の粗さRmax との間には明瞭な相関があり,通電量が多くなると該Rmax が大きくなることがわかる。これは,アルカリ被膜処理によって,ピンの表面や被膜面に適度に凹凸を形成させておくと,電解浸硫処理時に母材からFeが溶出するサイトに偏りが生じ,これによって深いサイトが発生し易くなり,このサイトに硫化鉄の被膜が被着するという挙動が起きるからであろうと考えられる。
【0039】
図2は,同じように,電解浸硫処理に供するまでは全く同一の条件処理したピンを数本準備し,これらのピンに通電量を変えて電解浸硫処理し,得られた各ピンを実施例1と同様にファビリー試験に供した場合の,通電量と,最大焼付き耐荷重の関係をプロットしたものである。図2の結果から,通電量と該耐荷重との間には明瞭な相関があり,通電量を多くすると該耐荷重が高くなっている。このことは,図1の結果と併せ考えると,母材と被膜との界面の粗度(母材の表面粗さRmax )が大きくなるにつれて,最大焼付き耐荷重が向上することを示している。
【0040】
〔実施例3〕
実施例1と同じ精密加工・浸炭焼入れピン(浸炭焼入れままで表面粗さRmax が1μm以下のピン)を脱脂,酸洗,水洗,乾燥したあと,直径4mmの孔を多数あけたポリエチレンフイルムを該ピンの胴部に巻付けて,ほぼ0.1mm間隔に母材表面が露出する露出孔を多数形成したうえ,次の電解浸硫処理に供した。
【0041】
実施例1と同じ容器中にチオ硫酸ナトリウム20wt%水溶液を入れ,その中心部に該ピン1本を陽極として垂直に浸漬し,このピンを挟んで二枚のSUS304製の陰極板をピンから等距離10mm離して浸漬し,ピンを正電極,陰極を負電極として,電流密度3.2A/dm2で60C通電した。この処理のあと,ピンを水洗し,該フイルムを除去したうえ,再び該電解液に浸漬し,ピンを正電極として電流密度1.6A/dm2で18C通電した。これにより,最初の電解浸硫処理により,マスキング部分には被膜形成が阻止された凹凸のある硫化鉄被膜が形成し,次回の電解浸硫処理では被膜が形成してない部分に硫化鉄の被膜が生成した。
【0042】
得られた硫化鉄被膜付きのピンを実施例1と同様にファビリー試験に供して,最大焼付き耐荷重を測定したところ,1080Kgfを示した。また,同じ処理に供した他方のピンから硫化鉄被膜を剥がしてピン母材表面の表面粗さRmax を測定したところ13.2μmであった。
【0043】
〔実施例4〕
フイルムを除去した後,電流密度16A/dm2で18C通電した以外は,実施例3を繰り返した。得られた硫化鉄被膜付きのピンを実施例1と同様にファビリー試験に供して,最大焼付き耐荷重を測定したところ,1060Kgfを示した。また,同じ処理に供した他方のピンから硫化鉄被膜を剥がしてピン母材表面の表面粗さRmax を測定したところ10.7μmであった。
【0044】
〔実施例5〕
実施例1と同じ浸炭焼入れピン(浸炭焼入れままで表面粗さRmax が1μm以下のピン)2本を脱脂,酸洗,水洗,乾燥したあと,これらを陽極とする次の電解処理と,二硫化モリブデン膜形成処理を行なった。
【0045】
まず,実施例1と同じ容器中にチオシアンナトリウム10wt%水溶液を入れ,その中心部に該ピン1本を陽極として垂直に浸漬し,このピンを挟んで二枚のSUS304製の陰極板をピンから等距離10mm離して浸漬した。そして,ピンを正電極,陰極を負電極として,電流密度3.2A/dm2で40C(クーロン)通電した。この処理により硫化鉄系の被膜が形成された。
【0046】
次いで,該ピンを該電解液から大気中に30秒間だけ放置したあと,別の電解液(pH9の水酸化ナトリウム水溶液)に浸漬した。この大気中への放出の間に予備被膜処理で形成した被膜に一様に亀裂が発生することが確認された。この亀裂が発生した被膜をもつピンをpH9の水酸化ナトリウム水溶液中で,該ピンを陽極として前記同様の陰極板との間で,電流密度0.8A/dm2で40C通電した。この電解処理により,実施例2の場合と同様に,該被膜の亀裂部分には電解腐食が生じてメタルが溶出し,金属露出部が発生すると共に,被膜の一部も溶出し,その結果ピンの表面(金属面および被膜面)に凹凸が発生する
【0047】
前記のアルカリ被膜処理のあと,ピンを水洗して大気中に30秒放置し,チオ硫酸ナトリウム20%水溶液を電解液とし,該ピンを陽極として電流密度3.2A/dm2で電解浸硫処理した。ここまでは,2本のピンとも同じ条件としたが,この電解浸硫処理の通電量を変え,一方のピンは通電量を10C,他方のピンは通電量を30Cとした。各ピンに形成された硫化鉄の被膜を除去したところ,一方のピンの被膜界面のRmax は10.2μm,他方のピンのそれは14.8μmであった。
【0048】
この表面粗度をもつ二本のピンに対し,いずれも,二硫化モリブデンをエポキシ樹脂中に重量比で1:2の割合で混合した塗料を,スプレー圧2kg/cm 2で噴出させて,該塗料をピン表面に5μm厚みに塗布し,180℃で30分間の焼成を行ない,二硫化モリブデンの固体潤滑膜をもつピンを得た。このピンを実施例1と同様にファビリー試験に供したところ,ピン表面のRmax が10.2のものは,最大焼付き耐荷重が1550Kgfで,同Rmax が14.8μmのものは,1650Kgfであった。
【0049】
〔実施例6〕
水100重量部に対し,KSCNを30重量部溶解し且つ浴維持剤としてFeSO4を10重量部を加えた水溶液を電解浴とした以外は,実施例1の方法を繰り返したが,ピンの表面を実施例1と同じ回転式研磨機でRmax 10.4μmに研削しておいた。その結果,ピンの表面には4〜6μmの厚さの硫化鉄被膜が形成され,最大焼付き耐荷重は1035Kgfであった。
【0050】
〔実施例7〕
水100重量部に対し,NaSCNを30重量部溶解し且つ浴維持剤としてFeSO4を10重量部を加えた水溶液を電解浴とした以外は,実施例1の方法を繰り返したが,ピンの表面を実施例1と同じ回転式研磨機でRmax 5.2μmに研削しておいた。その結果,ピンの表面には4〜6μmの厚さの硫化鉄被膜が形成され,最大焼付き耐荷重は974Kgfであった。
【0051】
〔実施例8〕
水100重量部に対し,NaSCNを50重量部溶解し且つ浴維持剤としてFeSO4を10重量部を加えた水溶液を電解浴とした以外は,実施例1の方法を繰り返したが,ピンの表面を実施例1と同じ回転式研磨機でRmax 8.3μmに研削しておいた。その結果,ピンの表面には4〜6μmの厚さの硫化鉄被膜が形成され,最大焼付き耐荷重は962Kgfであった。
【0052】
〔実施例9〕
水100重量部に対し,Ca(SCN) 2 を30重量部溶解し且つ浴維持剤としてFeSO4を10重量部を加えた水溶液を電解浴とした以外は,実施例1の方法を繰り返したが,ピンの表面を実施例1と同じ回転式研磨機でRmax 2.6μmに研削しておいた。その結果,ピンの表面には4〜6μmの厚さの硫化鉄被膜が形成され,最大焼付き耐荷重は818Kgfであった。
【0053】〔実施例10〕
水100重量部に対し,Ba(SCN) 2 を30重量部溶解し且つ浴維持剤としてFeSO4を10重量部を加えた水溶液を電解浴とした以外は,実施例1の方法を繰り返したが,ピンの表面を実施例1と同じ回転式研磨機でRmax 4.2μmに研削しておいた。その結果,ピンの表面には4〜6μmの厚さの硫化鉄被膜が形成され,最大焼付き耐荷重は915Kgfであった。
【0054】
〔実施例11〕
水100重量部に対し,Na2S2O3を30重量部溶解し且つ浴維持剤としてFeSO4を10重量部を加えた水溶液を電解浴とした以外は,実施例1の方法を繰り返したが,ピンの表面を実施例1と同じ回転式研磨機でRmax 3.4μmに研削しておいた。その結果,ピンの表面には4〜6μmの厚さの硫化鉄被膜が形成され,最大焼付き耐荷重は846Kgfであった。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によれば,硫化物系固体潤滑膜をもつ耐焼付き性の優れた摺動部品が提供される。また,本発明法によれば,溶融塩電解によらずとも水溶液中での陽極電解浸硫法によって鋼部品表面に硫化鉄被膜を形成させることができるので,安価で作業性のよく耐焼付き性の優れた摺動部品を製造することができる。したがって,本発明は機械寿命の向上に大きく貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明法に従う水溶液中での陽極電解浸硫法を実施したさいに,生成した硫化鉄被膜と鋼部品界面の凹凸の程度(Rmax )と電解通電量との関係を示す図である。
【図2】
図2は,図1と同じ条件で処理した場合の電解通電量と処理品の最大焼付き耐荷重との関係を示す図である。
Claims (6)
- アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属のチオシアン酸塩またはチオ硫酸塩の一種または二種以上を溶解した水溶液を電解液とし,この電解液中に鋼部材を浸漬し,該鋼部材を陽極として電解処理し,該部材の鋼中のFe成分と液中のS成分を反応剤として該鋼部材の表面に硫化鉄系の被膜を形成させることを特徴とする耐焼付き性に優れた摺動部材の製法。
- 硫化鉄系の被膜を形成する鋼部材表面は,該被膜を形成する前にRmax 1μm以上の表面粗さに調整してある請求項1に記載の耐焼付き性に優れた摺動部材の製法。
- 表面粗さの調整は,機械的研削,化学的エッチングまたは電気化学的エッチング処理で行う請求項2に記載の耐焼付き性に優れた摺動部材の製法。
- アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属のチオシアン酸塩またはチオ硫酸塩の一種または二種以上を溶解した水溶液を電解液とし,この電解液中に鋼部材を浸漬し,該鋼部材を陽極として電解処理し,該部材の鋼中のFe成分と液中のS成分を反応剤として該鋼部材の表面に硫化鉄系の被膜を形成させ,該被膜にマルチクラックを発生させ,このクラックが発生した被膜をもつ鋼部品を陽極としてアルカリ水溶液中で電解し,この電解後の鋼部品を陽極としてアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属のチオシアン酸塩またはチオ硫酸塩の一種または二種以上を溶解した水溶液中で電解処理し,該鋼部材の表面に硫化鉄系の被膜を形成させると共に,Rmax で1μm以上の凹凸を該鋼部材と被膜との界面に形成させることを特徴とする耐焼付き性に優れた摺動部材の製法。
- 通電量を調整することにより界面のRmax の程度を制御する請求項4に記載の耐焼付き性に優れた摺動部材の製法。
- 硫化鉄系被膜を形成するための電解液はSCN−またはS2O3 2−を0.01 mol/リットル以上含有し,その電解処理は大気圧下で且つ電解液の凝固点以上沸点以下の温度において電流密度1〜15A/dm2で行う請求項1または4に記載の摺動部材の製法。
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