JPH0637652Y2 - 大型養殖生簀 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、魚介類の養殖用生簀に関し、さらに詳しく
は、荒天時の大きな波浪に対して優れた耐衝撃性を有す
る耐波性養殖生簀に関する。

従来技術およびその問題点 近年、種々の魚介類の栽培漁業が盛んになるにつれて、
養殖生簀は内湾ではすでに過密化して来ており、内湾か
ら外海ないし沖合へ移動せざるを得なくなって来てい
る。

従来、内湾においては、小割り生簀が用いられていた。
これは、簡単な構造を有しかつ廉価なものであるが、波
浪や潮流に対して脆弱なものであるため、これを沖合へ
移動してそのまま使用することはできない。

この考案は、上記の如き実情に鑑み、沖合の大きな波浪
に対して優れた耐衝撃性を有する耐波性養殖生簀を提供
することを目的とする。

問題点の解決手段 この考案による養殖生簀は、添付図面に示すように、網
浮揚用の複数のフロート（１）と、フロート（１）の各
下部にわたって設けられた下部甲板（２）と、フロート
（１）の各上部にわたって設けられた上部甲板（３）
と、上部甲板（３）に支持枠（４）を介して設けられた
中央甲板（５）と、中央甲板（５）に設けられた給餌装
置（６）と、フロート（１）に支持された網（７）とよ
りなり、上記フロート（１）は、小さい水線面積を有す
る円柱状部（1a）の下端に該円柱状部（1a）よりも大き
い直径の円盤状部（1b）が設けられて下部が大きい浮力
を有するカラム・フーティング形状のものであって、フ
ロート内へのバラスト水の注入および排出が可能なもの
である。

実施例 この考案の実施例を、添付図面を参照しながら具体的に
説明する。

第１〜３図において、この考案による養殖生簀は、網浮
揚用の複数のフロート（１）と、フロート（１）の各下
部にわたって設けられた下部甲板（２）と、フロート
（１）の各上部にわたって設けられた上部甲板（３）
と、上部甲板（３）に支持枠（４）を介して設けられた
中央甲板（５）と、中央甲板（５）に設けられた給餌装
置（６）と、フロート（１）に支持された網（７）とよ
り主として構成されている。

フロート（１）は、小さい水線面積を有する円柱状部
（1a）の下端に該円柱状部（1a）よりも大きい直径の円
盤状部（1b）が設けられて下部が大きい浮力を有するカ
ラム・フーティング形状を有する。そしてフロート
（１）は、その内部へのバラスト水の注入および外部へ
のバラスト水の排出ができるように構成されている。

上下甲板（３）（２）は、いずれも平面に見て正六角形
の各辺に沿って設けられた６枚の長尺平板で構成されて
いる。そして、六角形の上下甲板（３）（２）の各角部
にそれぞれフロート（１）が配置されている。

中央甲板（５）は、円板状であって、生簀の上部中央に
位置し、上部甲板（３）の各角部から中央にやや上り勾
配で設けられた複数本の支持枠（４）によって支持され
ている。そしてこの上に円胴状の給餌装置（６）が配置
され、その内部に収容したドライペレットまたはモイス
トペレット状の餌料を下端の開口から自動的に給餌でき
るようになされている。また、給餌装置（６）内の空所
は、機材の倉庫、蓄電池その他の収容場所として使用さ
れる。

上部甲板（３）と下部甲板（２）の間には可動梯子
（８）が設けられ、上部甲板（３）と中央甲板（５）の
間には固定梯子（９）が設けられている。可動梯子
（８）の上端は上部甲板（３）に枢着され、下端はドラ
ム状のフロート（10）によって海面に浮揚されている。
そしてフロート（10）から上部甲板（３）に設けられた
ウインチ（12）に引上げ索（11）が配され、ウインチ
（12）で同索（11）を引くことによって可動梯子（８）
の下端が引上げられる。

上下甲板（３）（２）、中央甲板（５）、可動梯子
（８）および固定梯子（９）には、それぞれ安全用の手
摺りが設けられている。

フロート（１）に保持された網（７）は、保形用の複数
本のロープ（13）と、ロープ（13）の各下端にわたって
設けられた円形ないし多角形の網下枠（14）と、同枠
（14）から中央甲板（５）に設けられた引上げ索（15）
と、網（７）の開口を閉じるように設けられた上面網
（16）とを備えている。

下部甲板（２）には下端にアンカーを有する複数本の係
留索（17）が設けられ、生簀を所要位置に係留するよう
になっている。

上記構成の生簀において、通常の設置状態では、複数の
フロート（１）内にバラスト水が注入されて、第１図に
鎖線で示すように、生簀はフロート（１）の高さの中間
部から下を喫水として海面付近に浮揚している。この設
置状態では、波浪による生簀の揺れが少なく、潮流によ
る網なりも少ない。また、フロート（１）の下端部に覗
き窓を設けることによって、生簀内の魚介類を観察する
こともできる。

生簀上で給餌や魚の入出荷の作業を行なう場合には、フ
ロート（１）内のバラスト水を排出して、第１図に実線
で示すように、生簀をフロート（１）における円柱状部
（1a）の下端部分まで浮上させる。この状態では、上部
甲板（３）および下部甲板（２）をいずれも使用できる
ので、特に網（７）を浚える作業や、第３図に示す網下
枠（14）の引上げによる魚の入出荷作業がやりやすくな
る。

また、給餌は、給餌装置（６）によって荒天の時でも支
障なくなし得る。

考案の効果 この考案による生簀は、網浮揚用の複数のフロート
（１）と、フロート（１）の各下部にわたって設けられ
た下部甲板（２）と、フロート（１）の各上部にわたっ
て設けられた上部甲板（３）と、上部甲板（３）に支持
枠（４）を介して設けられた中央甲板（５）と、中央甲
板（５）に設けられた給餌装置（６）と、フロート
（１）に支持された網（７）とで構成されているので、
構造的に極めて頑丈である。したがって、波浪による生
簀の揺れを少なくし、潮流による網なりも少なくし、さ
らに水深の深い沖合でも支障なく網を保持することがで
きる。

また、網浮揚用のフロート（１）は、小さい水線面積を
有する円柱状部（1a）の下端に該円柱状部（1a）よりも
大きい直径の円盤状部（1b）が設けられて下部が大きい
浮力を有するカラム・フーティング形状をなすので、波
浪による生簀の揺れを少なくして、沖合において荒天時
にも支障なく使用できる耐波性に優れた養殖生簀を構成
することができる。

また、この生簀は上下一対の甲板（３）（２）を備えて
いるので、生簀上で作業をする場合には、バラスト水の
調節によって喫水を浅くすることによって、上部甲板
（３）および下部甲板（２）をいずれも使用することが
できる。したがって、特に網（７）を浚える作業や、網
下枠（14）の引上げによる魚の入出荷作業を行なう場合
に、極めて安全でかつ作業能率がよい。

さらに、この生簀は給餌装置（６）を備えているので、
荒天の時でも支障なく自動給餌を行なうことができ、養
殖魚の管理を確実に行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の実施例を示すもので、第１図は網を張
った状態を示す生簀の正面図、第２図は生簀の平面図、
第３図は網を引上げた状態を示す生簀の正面図である。 （１）……フロート、（２）……下部甲板、（３）……
上部甲板、（４）……支持枠、（５）……中央甲板、
（６）……給餌装置、（７）……網。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】網浮揚用の複数のフロート（１）と、フロ
   ート（１）の各下部にわたって設けられた下部甲板
   （２）と、フロート（１）の各上部にわたって設けられ
   た上部甲板（３）と、上部甲板（３）に支持枠（４）を
   介して設けられた中央甲板（５）と、中央甲板（５）に
   設けられた給餌装置（６）と、フロート（１）に支持さ
   れた網（７）とよりなり、上記フロート（１）は、小さ
   い水線面積を有する円柱状部（1a）の下端に該円柱状部
   （1a）よりも大きい直径の円盤状部（1b）が設けられて
   下部が大きい浮力を有するカラム・フーティング形状の
   ものであって、フロート内へのバラスト水の注入および
   排出が可能なものである、大型養殖生簀。