JPH0637536B2 - 耐熱性にすぐれるエチレン−アクリル酸エチル共重合体の製造法 - Google Patents

耐熱性にすぐれるエチレン−アクリル酸エチル共重合体の製造法

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JPH0637536B2
JPH0637536B2 JP11620186A JP11620186A JPH0637536B2 JP H0637536 B2 JPH0637536 B2 JP H0637536B2 JP 11620186 A JP11620186 A JP 11620186A JP 11620186 A JP11620186 A JP 11620186A JP H0637536 B2 JPH0637536 B2 JP H0637536B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は耐熱性にすぐれるエチレン−アクリル酸エチル
共重合体の製造方法に関する。
(従来技術) 従来、ポリエチレンは耐水性、耐薬品性、電気特性など
に優れているが化学的に不活性であるために、接着性、
印刷性、染色性等に劣るという難点がある。
また昨今においては、従来の汎用品からより高付加価値
化への指向に伴って、エチレンに不飽和化合物を共重合
する方法が盛んに行われている。
その最も代表的な共重合体として、高圧ラジカル重合に
よるエチレン−酢酸ビニル共重合体あるいはエチレン−
アクリル酸エチル共重合体等が挙げられる。
上記共重合体は、従来の高圧ラジカルによるホモポリエ
チレンを重合する際の製造条件に、根本的に依存する。
例えば“Chemical Engineering”第73巻(1966)第26
号第113〜第120頁等に記載されている。
この方法は普通の連続的に操業される管状反応器及び/
又は攪拌オートクレーブに対し使用することができる。
更にはエチレンホモ重合もしくは共重合について特公昭
60−50812号、特公昭60−51486号公報な
どにも開示されているものの、これらの方法に準じて製
造されるエチレン−アクリル酸エチル共重合体は耐熱性
に乏しいものとなる。
特に昨今の電線、電力ケーブル等の電気絶縁材料におい
ては、低煙性の無公害型の難燃性材料が要求され、これ
らの用途には、上記エチレン−アクリル酸エチル共重合
体が有望視されつつある。しかしながら従来のエチレン
−アクリル酸エチル共重合体は耐熱性に劣り、その改善
をせまられている。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明は上記の点に鑑み、高圧ラジカル重合による特定
条件で運転することにより、従来のエチレン−アクリル
酸エチル共重合体の融点を大幅に向上せしめるものであ
る。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、高圧ラジカル重合法によつて、エチレンとア
クリル酸エチルとの共重合体を製造するにあたり、 (a)チユーブラー反応器を使用し、 (b)反応器入口圧力が2300〜3000kg/cm2、 (c)反応器内での平均反応温度(TAV)が190℃<TA
V<230℃の範囲にて、 (d)エチレンの全量を反応器の入口部から導入するかあ
るいはエチレンの一部を反応器の入口部から導入し残部
を少なくとも1つの側部から導入し、共単量体であるア
クリル酸エチルの全量を反応器の入口部から導入し、 (e)アクリル酸エチル含量か3〜40重量%の範囲で、
アクリル酸エチル:E(重量%)と共重合体の融点:T
(℃)との関係が式(I) −0.8×E+115≧T≧−0.8×E+109……
(I) の範囲を満足する共重合体を生成せしめることを特徴と
する耐熱性にすぐれるエチレン−アクリル酸エチル共重
合体の製造法を提供するものである。
本発明の製造法では、(a)チユーブラー反応器を使用
し、(b)反応器入口圧力を2300〜3000kg/cm2
好ましくは2400〜2800kg/cm2、(c)反応器内で
の平均反応温度(TAV)を190℃<TAV<230℃の
範囲で、(d)エチレンの全量を反応器の入口部から導入
するかあるいはエチレンの一部を反応器の入口部から導
入し残部を少なくとも1つの側部から導入し、共単量体
であるアクリル酸エチルの全量を入口部から導入し、遊
離基触媒および連鎖移動剤、必要ならば助剤の存在下
で、ラジカル重合させる。
上記遊離基触媒としてはペルオキシド、ヒドロペルオキ
シド、アゾ化合物、アミンオキシド化合物、酸素等の通
例の開始剤が挙げられる。
また連鎖移動剤としては水素、プロピレン、ブテン−
1、C〜C20またはそれ以上の飽和脂肪族炭化水素お
よびハロゲン置換炭化水素、例えば、メタン、エタン、
プロパン、ブタン、イソブタン、n−ヘキサン、n−ヘ
プタン、シクロパラフイン類、クロロホルムおよび四塩
化炭素、C〜C20またはそれ以上の飽和脂肪族アルコ
ール、例えばメタノール、エタノール、プロパノールお
よびイソプロパノール、C〜C20またはそれ以上の飽
和脂肪族カルボニル化合物、例えば二酸化炭素、アセト
ンおよびメチルエチルケトンならびに芳香族化合物、例
えばトルエン、エチルベンゼンおよびキシレンの様な化
合物等が挙げられる。
本発明においては、前記(a),(b),(c),(d)のいずれの条
件が1つでも欠けた場合においては、本発明の望むエチ
レン−アクリル酸エチル共重合体(以下、単にEEAと
略す)を製造することはできない。
すなわち、チユーブラー反応器の代わりに攪拌付オート
クレーブを用いた場合あるいは反応器入口圧力が230
0kg/cm2未満においては、本発明のアクリル酸エチル含
量(E)と融点(T)との関係における式−0.8E+115℃
≧T≧−0.8E+109の下限である−0.8E+109を達成するこ
とができず、耐熱性が乏しいものとなる。
また、反応器内での平均反応温度(TAV)が190℃未
満では転化率が低く、商業生産に適さない。230℃を
超えると融点が低くなり上記範囲を外れ本発明の目的を
達成することができない。
更に、共単量体であるアクリル酸エチル(以下、EAと
略す)の全量を反応器の入口部より導入する場合には、
EAとエチレンとの反応性が異なるためにチユーブラー
反応器内の入口部と出口部でEAモノマーのエチレンガ
ス中濃度が変化することとなる。すなわち入口部でエチ
レンガス中のEAモノマー濃度が高く、出口部で低くな
り、生成する共重合体もEA濃度が高い共重合体と低い
共重合体が混在することとなり、このEA濃度の低い共
重合体がより高い融点とすぐれた耐熱性を本発明のEE
Aに与えるものと考えられる。
一方チユーブラー反応器で入口と側部とからEAモノマ
ーを分けて導入する方法や攪拌付のオートクレーブを用
いる方法では反応器内のEAモノマー濃度が比較的一定
に保たれるため、より均一なコモノマー組成の共重合体
が得られやすく、融点が低く耐熱性に乏しい共重合体が
生成し前記式の下限である−0.8E+109を満足しないもの
となる。
本発明において、−0.8×E+115℃の上限は工業的に製
造することが難かしいために設定したものである。
このようにして製造される本発明のEEAは、メトルイ
ンデツクスが0.05〜50g/10分、好ましくは0.1〜
20g/10分、EA含量は3〜40重量%、好ましく
は5〜30重量%の範囲のものが無理な運転をせずに製
造することができる。
また本発明のEEAは、第1図に示されるように、式−
0.8×E+115≧T≧−0.8×E+109の範囲にあるもの
で、従来の市販されているEEAは上記式のT≧−0.8
E+109線以下に存在する。
この理由は明らかでないが、前記特定条件下で重合する
ことにより、エチレン重合体鎖中に導入されるEA基の
分布状態に起因する構造的な相違からきたものである。
本発明における<融点>は、示差走査熱量測定法(DS
C)による最大ピーク温度(Tm)で表わし、次のよう
に測定される。
すなわち、約5mgの試料を精秤し、それをDSCにセツ
トし、170℃に昇温して、その温度で15分間保持し
た後、10℃/分の速度で常温まで冷却する。次に、こ
の状態から10℃/分の速度で170℃まで昇温して測
定を終了する。最大ピーク温度(Tm)は0℃から17
0℃に昇温する間に現われた最大ピークの頂点の位置の
温度をもつて表わす。
<EA含量>は、赤外吸収スペクトル(IR)によるE
Aに帰属する860cm-1の吸収度から求める。ただし、
検量線は核磁気共鳴スペクトル(NMR)によりEA濃
度を求め、IRの860cm-1の吸光度との相関によつて
求める。
(実施例) 以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
実施例1〜5および比較例1〜3 本発明のEEAは、エチレンと共重合体であるアクリル
酸エチルを反応器入口から供給し、連鎖移動剤の存在下
で、第1表に示すように約2,300kg/cm2以上に各圧
力を圧縮する。次にこの混合物を加熱ジヤケツトを備え
た管状反応器の1端から導入し、通常の有機過酸化物を
触媒として平均反応温度が190℃〜2300℃の範囲
内になるようにして種々反応せしめた。反応器内を通過
した後に、その共重合体と未反応の単量体との混合物を
適当な調節弁を通して、分離用容器に取り出し、ここで
その重合体を分離し、かつ未反応のエチレンを再循環さ
せる。このようにして得られた共重合体を表に示した。
得られたEEAはアクリル酸エチル含量(重量%)
(E)と融点(℃)(T)との関係が次式−0.8×E+1
15≧T≧−0.8×E+109をすべて満足するものであつ
た。
比較例1は反応器入口圧力が2,300kg/cm2以下の
1,800kg/cm2での反応例で、比較例2はアクリル酸
エチルを反応器入口と反応器途中の側部よりの2ケ所か
ら導入した反応例である。また同様に比較例3は平均反
応温度が高く230℃を超えた反応例であつて、比較例
1〜3で得られたポリマーは、アクリル酸エチル含量と
融点との関係が上式を満足するものでなかつた。
比較例4,5 以下の市販のEEA共重合体のメルトインデツクス、ア
クリル酸エチル含量、融点を測定し、本発明の共重合体
と比較するために第1表に示した。比較例4:日本ユニ
カー(株)社製EEA共重合体(銘柄:DPDJ616
9) 比較例5:三井・デユポン・ポリケミカル(株)社製E
EA共重合体(銘柄:A707)。
(発明の効果) 本発明は、高圧ラジカル重合による特定条件で運転する
ことにより、従来のEEAの融点を大幅に上昇せしめる
ことができる。
このような本発明の方法で得られるEEAは、融点が高
いため、電線、電力ケーブル等の電気絶縁材料やパイ
プ、絶縁衣、シーシ等の成形品や、他の熱可塑性樹脂の
ブレンド用等として活用される。
【図面の簡単な説明】
第1図はアクリル酸エチルの量(重量%)と共重合体の
融点T(℃)との関係を示す線図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高圧ラジカル重合法によって、エチレンと
    アクリル酸エチルとの共重合体を製造するにあたり、 (a)チューブラー反応器を使用し、 (b)反応器入口圧力が2300〜3000kg/cm2、 (c)反応器内での平均反応温度(TAV)が190℃<TA
    V<230℃の範囲にて、 (d)エチレンの全量を反応器の入口部から導入するかあ
    るいはエチレンの一部を反応器の入口部から導入し残部
    を少なくとも1つの側部から導入し、共単量体であるア
    クリル酸エチルの全量を反応器の入口部から導入し、 (e)アクリル酸エチル含量が3〜40重量%の範囲で、
    アクリル酸エチル:E(重量%)と共重合体の融点:T
    (℃)との関係が式(I) −0.8×E+115≧T≧−0.8×E+109 ……(I) の範囲を満足する共重合体を生成せしめることを特徴と
    する耐熱性にすぐれるエチレン−アクリル酸エチル共重
    合体の製造法。
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