JPH0637139Y2 - 壁 材 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、建築物の内部空間を仕切るパーティション
（仕切壁）または側壁等として用いられる壁材に関する
ものである。

従来の技術 従来、建築物内の空間を仕切るパーティションまたは側
壁等として用いられる壁材であって、吸音効果をもたせ
たものとしては、表壁と裏壁からなる中空体内に多数の
ハニカムコアを詰込んだ芯体に布を貼った構成のものが
ある。

考案が解決しようとする課題 ところで、上記従来の壁材は、芯体の内部に多数のハニ
カムコアが詰込まれているので、多くの部材を必要とす
るうえ、中空体の芯体内にハニカムコアを詰込むため
に、芯体の製作工程が甚だ煩雑である。

そこで、芯体を単なる中空体として、構成の簡素化を図
ることも行われているが、芯体を単なる中空体としたも
のを特にパーティションとして用いると、その内部空間
に共鳴する特有の波長の音波が共鳴増幅されるために、
仕切り空間の音響環境が著しく悪化することが問題視さ
れている。

本考案は、この点の問題に鑑み、構造が簡素な中空体を
芯体としたものであっても、その中空部の空間に特有な
共鳴現象をなくし、しかも、中空部内の空気を空隙部に
出入りさせて音のエネルギーの減少を図り、もって、吸
音効果にすぐれた壁材を提供することを目的とするもの
である。

課題を解決するための手段 本考案は、その目的を達成するため、次のように構成し
た。

すなわち、その構成は、プラスチックの表板と裏板とを
間隔をおいて対向させ、かつその周側縁を一体に溶着接
合して中空二重壁構造の偏平板状とした芯体を形成し、
表板および裏板にはそれぞれ内方に突出するリブ状の空
隙部を形成するとともに、中空部と空隙部を連通させる
多数の小孔を設け、上記芯体の全面を布等の表皮シート
で覆ってなることを特徴とする壁材としたものである。

作用 本考案に係る壁材は、前記のように構成されているの
で、中空二重壁構造の芯体の中空部とその表板と裏板に
形成された空隙部が多数の小孔を介して中空部に通じて
おり、音によって振動する中空部の空気は空隙部に出入
りする。そして、この小孔を通じて振動空気が出入りす
る過程で音のエネルギーが減少するので、高い吸音効果
が得られる。また、中空部の空間が空隙部に多数の小孔
を介して通じているところから、中空部に特有な波長の
共鳴現象を生ぜず、したがって、特有な波長の音が強調
されることがなく、この壁材を用いた建築物内の空間の
良好な音響環境が保たれる。

実施例 本考案の実施例を図面について説明する。

図面には建築物内の空間を仕切るパーティションを構成
する壁材が例示されている。第１図および第２図におい
て、１は芯体であって、この芯体１はプラスチックの表
板２と裏板３とを所定の間隔をおいて対向させ、かつそ
の周側縁を一体に溶着接合して中空二重壁構造の偏平板
状に形成したものであり、４はその中空部、５は周側縁
の溶着部である。上記芯体１の表板２および裏板３に
は、それぞれ内方に突出する複数のリブ状の空隙部６が
多数形成されており、これら空隙部６と中空部４は多数
の小孔７によって連通されている。そして、芯体１の表
板２から周側縁にかけて、さらに裏板３から周側縁にか
けては、それぞれ布等の表皮シート８で覆われており、
この表皮シート８は表板２および裏板３に貼着されてい
る。このため、上記空隙部６は表皮シート８で閉じられ
た空間を形成している。９は表皮シート８を貼った芯体
１の周側縁を覆うフレームである。

なお、芯体１はプラスチックのブロー成形により構成さ
れるので、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリカボネー
ト等、一般にブロー成形可能な熱可塑性プラスチックが
用いられるが、剛性、硬度、さらに成形品の寸法精度等
のうえでポリフェニレンエーテル系樹脂が好適である。

以上のように構成された壁材は、中空二重壁構造の芯体
１の中空部４とその表板２と裏板３に形成された空隙部
６が多数の小孔７を介して通じており、音によって振動
する中空部４の空気は空隙部６に出入りする。そして、
この多数の小孔７を通じて振動空気が出入りする過程で
音のエネルギーが減少するので、高い吸音効果が得られ
る。また、中空部４の空間が空隙部６に多数の小孔７を
介して通じているところから、中空部４に特有な波長の
共鳴現象が生じない。したがって、特有な波長の音が強
調されることがなく、この壁材を用いた建築物内の空間
の良好な音響環境が保たれる。

第３図には、前記のように構成された壁材を２枚を上下
に接続して大型の壁材を構成した例が示されている。な
お、この場合は上下一連のフレーム９によって２枚の壁
材を一体状に接続するが、他の接続手段によってもよ
い。

考案の効果 本考案は、前記のように、プラスチックの表板と裏板と
を間隔をおいて対向させ、かつその周側縁を一体に溶着
接合して中空二重壁構造の偏平板状とした芯体を形成
し、表板および裏板にはそれぞれ内方に突出するリブ状
の空隙部を形成するとともに、中空部と空隙部を連通さ
せる多数の小孔を設け、上記芯体の全面を布等の表皮シ
ートで覆ってなるものであるから、構造が簡素な中空体
を芯体としたものであっても、その中空部の空間に特有
な共鳴現象をなくし、しかも、中空部内の空気を空隙部
に出入りさせて音のエネルギーの減少を図ることができ
て、すぐれた吸音効果を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は一部を破断して
示す壁材全体の斜視図、第２図はその一部の断面図、第
３図は２枚の壁材を上下に接続して大型の壁材を構成し
た例を示す一部を破断した斜視図である。 １……芯体、２……その表板、３……裏板、４……中空
部、５……溶着部、６……空隙部、７……多数の小孔、
８……布等の表皮シート、９……フレーム

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】プラスチックの表板と裏板とを間隔をおい
   て対向させ、かつその周側縁を一体に溶着接合して中空
   二重壁構造の偏平板状とした芯体を形成し、表板および
   裏板にはそれぞれ内方に突出するリブ状の空隙部を形成
   するとともに、中空部と空隙部を連通させる多数の小孔
   を設け、上記芯体の全面を布等の表皮シートで覆ってな
   ることを特徴とする壁材。