JPH0635153A - 熱現像カラー感光材料 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 支持体上に感光性ハロゲン化銀乳剤、バイン
ダー、熱現像時に拡散性色素を形成または放出する色素
供与物質を有する感光性層を少なくとも２層有する熱現
像カラ−感光材料において、分子中に少なくとも１つの
親水性基を有する水溶性染料と多価金属イオンから形成
される水難溶性染料を固体微粒子状態で含有することを
特徴とする熱現像カラー感光材料。 【効果】 異なる感色性の感光性層間での色分離性を改
良するために、フィルター染料を特定の構成層に安定し
て固定化させることによって、保存安定性に優れ、色純
度の優れた熱現像カラー感光材料が提供でき、特に、保
存前後での感度変動が少なく、しかも受像層に転写する
事なく混色の改良された熱現像カラー感光材料の提供。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、熱現像カラー感光材料
に関し、特に水溶性の染料を特定の写真構成層に固定化
した熱現像カラー感光材料に関する。

【０００２】

【発明の背景】熱現像カラー感光材料は一般に、感光性
ハロゲン化銀乳剤、バインダーおよび加熱下で拡散性色
素を形成または放出する色素供与物質を含有する感光性
層を少なくとも２層有し、その各々が異なる感色性を有
すると共に、異なる色調の拡散性色素を形成または放出
する事で鮮明なカラー画像を形成するものである。

【０００３】ところで、２つ以上の感光性層を異なる感
色性にするためにはいくつかの方法が選択される。具体
的には、感光性ハロゲン化銀乳剤のハロゲン組成を塩化
銀主体にすることで、感光性ハロゲン化銀乳剤の感色性
を特定の波長領域にのみ限定させる方法、ハロゲン化銀
乳剤の粒径間に差を設けて特定の波長領域に感度差を設
ける方法、あるいは、予め着色している特定の色素供与
物質を使用することにより、支持体により近い側の感光
性層の不要の感度を、それより支持体に対して遠い側に
設けられた感光性層が含有する着色した色素供与物質の
着色成分により光吸収させることによって低下させる方
法、あるいは特定のフィルター染料を使用することによ
り色分離を行なう方法などが知られている。

【０００４】しかしながら、ハロゲン化銀組成の限定や
ハロゲン化銀乳剤の粒子径の限定、あるいは着色した色
素供与物質の使用は、現像性の低下、使用する露光手段
の限定、熱現像感光材料の保存性の低下、あるいは絶対
的な感度不足等、しばしば好ましくない結果をもたらし
やすい。

【０００５】こうした点に制約されずに、異なる感光性
層の感色性を確実に分離する方法としていわゆるフィル
ター染料を使用することは好ましいものであるが、この
際特に問題となるのが、このフィルター染料の特定の層
（好ましくは異なる感光性層間に設けられた中間層）へ
の固定を確実に行なうことと、色素受像層への加熱下で
の拡散を防止することである。

【０００６】熱現像感光材料に於て、特定の波長域の光
を吸収させる目的でフィルター染料層を設けることは知
られている。これらの技術は、例えば特開昭60-209734
号、同61-159645号、同63-97949号、同63-223643号、同
63-298338号、特開平02-271353号各公報に記載されてい
るが、染料の拡散防止については必ずしも充分とは言え
ず、特に、熱現像感光材料を高温・高湿下で保存した場
合には感光性層間で染料が拡散して色分離性が低下した
り、また、フィルター染料層より支持体から遠い側の感
光性層の感度を大幅に低下せしめるなどの欠点がある。

【０００７】こうした問題は、感光性層及びまたは感光
性層に隣接する非感光性層が比較的吸水性の化合物を多
量に含む場合などに顕著になる。

【０００８】又、更に色素転写型の熱現像カラー感光材
料の場合には、画像色素を受像層に転写させる際に、色
素受像層へフィルター染料も転写してしまい、画像の白
地を劣化させる事があり、この点からもフィルター染料
は塗布中や保存段階だけでなく、熱現像時や色素転写時
にも拡散性を持たせないことが必要である。

【０００９】こうした染料の移動を防止するために、塗
布する際に同一層中にスルホン酸基やカルボン酸基を有
するフィルター染料を、３級または４級窒素原子を含む
媒染剤に媒染させて非拡散化して含有させることはよく
知られている。しかしこの場合であっても保存中に部分
的に染料が拡散して感度や色分離性が変化し易く、ま
た、他の活性剤や増感色素あるいはその他の酸性基を有
する化合物と媒染剤とが熱現像感光材料の保存中に結合
するなどして不都合を生じやすい。

【００１０】更に、フィルター染料に耐拡散性の疎水基
を導入していわゆるバラスト化した染料も知られてい
る。しかしながら、この場合であっても熱現像時に部分
的に受像層に転写し易く、充分転写性を低下させるため
には相当大きなバラスト基をつける必要があるが、この
場合にはフィルター染料の分子量が極端に大きくなり、
染料自体の添加量を著しく増加せしめることになる。そ
の結果フィルター染料含有層のバインダーも極端に増加
させる必要があり、転写性の低下など好ましくない問題
を起こし易い。

【００１１】さらに、特開昭64-40827号、特開平01-155
341号、同02-1839号、同02-173630号、同02-230135号、
同02-277044号、同02-282240号、同02-282244号、同02-
293740号、同02-298939号、同02-308244号、同02-30825
0号、同02-309349号、同03-1133号、同03-4223号、同03
-5748号、同03-6549号、同03-9341号、同03-7927号、同
03-7930号、同03-13936号、同03-13937号、同03-23441
号各公報には、フィルター色素を固体分散して感材中に
添加する方法が記載されている。

【００１２】しかしこれらの方法では、高湿下での色素
の拡散を防止するという点では未だ不十分であり、又固
体分散により色素のフィルター性能が低下し感光材料中
への色素の添加量が増加してしまうといった問題点があ
る。

【００１３】

【発明の目的】本発明は、上記実状に鑑みてなされたも
のであって、本発明の目的は、異なる感色性の感光性層
間での色分離性を改良するために、フィルター染料を特
定の構成層に安定して固定化させることによって、保存
安定性に優れ、色純度の優れた熱現像カラー感光材料を
提供することである。

【００１４】更に詳しくは、保存前後での感度変動が少
なく、しかも受像層に転写する事なく混色の改良された
熱現像カラー感光材料を提供することである。

【００１５】

【発明の構成】本発明の上記目的は、支持体上に感光性
ハロゲン化銀乳剤、バインダー、熱現像時に拡散性色素
を形成または放出する色素供与物質を有する感光性層を
少なくとも２層有する熱現像カラー感光材料において、
分子中に少なくとも１つの親水性基を有する水溶性染料
と多価金属イオンから形成される水難溶性染料を固体微
粒子状態で含有することを特徴とする熱現像カラー感光
材料によって達成される。

【００１６】以下、本発明の構成を具体的に説明する。

【００１７】本発明における分子中に少なくとも一つの
親水性基を有する水溶性染料が含有する親水性基として
はスルホン酸またはカルボン酸が好ましく、これらの親
水性基は分子中に１つであってもよく、２つ以上あって
もよい。２つ以上有する場合にはそれらは同じであって
もよく異なっていてもよい。

【００１８】また、水溶性染料は分子中に少なくとも一
つのバラスト基を有していることが染料の固定化と染料
の受像層への拡散防止の点から好ましく、そのようなバ
ラスト基としては、炭素原子数が６以上のアルキル基、
または炭素原子数の総数が４以上のアルキル基を有する
フェニル基またはナフチル基が好ましい。

【００１９】本発明で特に好ましい水溶性染料は分子中
に１個または２個のスルホン酸基を有し、総炭素原子数
が10以上のバラスト基を有する染料であって、pＨが５
〜８の水溶液中での25℃に於ける溶解度が、水100ｇに
対して２ｇ以上の溶解度を有する染料である。特に好ま
しくは水100ｇに対して５ｇ以上の溶解度を有する染料
である。

【００２０】この場合の水溶液は、水酸化ナトリウムや
水酸化カリウム等水溶性染料と難溶性塩を形成しないア
ルカリによりpＨ調整されるものである。

【００２１】次に本発明で用いられる水溶性染料の具体
例を以下に示す。

【００２２】

【化１】

【００２３】

【化２】

【００２４】

【化３】

【００２５】

【化４】

【００２６】

【化５】

【００２７】本発明において、上記水溶性染料と難溶性
塩を形成するのに用いられる多価金属イオンは好ましく
は、遷移金属イオンが用いられる。

【００２８】具体的には周期表のIIa、IIIa、IVa、Va、
VIa、VIII、IIb族の金属イオンであり、好ましい遷移金
属イオンはMg²⁺,Ca²⁺,Zn²⁺,Ni²⁺,Cd²⁺,Mn²⁺,V³⁺,Ti⁴⁺,C
o³⁺,Cr³⁺,Fe³⁺,Cu²⁺,Ba²⁺等である。特に好ましい遷移
金属イオンは、Mg²⁺,Zn²⁺,Ca²⁺,Ba²⁺である。上記多価
金属イオンは水溶性の塩として用いられる。具体的に
は、硫酸塩、亜硫酸塩、硝酸塩、塩酸塩、酢酸塩、クエ
ン酸塩、蓚酸塩、りん酸塩、ほう酸塩、炭酸塩、安息香
酸塩、p-トルエンスルホン酸塩等の形で用いられる。

【００２９】本発明の難溶性染料は、好ましくは水１ｌ
に対する水溶性染料の濃度が25℃において10^-3モル以
下、好ましくは10^-4モル以下になるように水溶性染料と
多価金属イオンの組合せが選ばれる。

【００３０】次にこれら水溶性の多価金属イオンと前記
水溶性染料から形成される難溶性染料を感光材料中に添
加する方法について説明する。

【００３１】これらの難溶性化合物を形成する際の、多
価金属イオンと水溶性染料の添加量は、使用するイオン
や染料の種類により異なるが、それらの比率は実験的に
求められる。

【００３２】すなわち、水溶性染料の水溶液に大過剰の
多価金属イオンを添加し、析出する難溶性染料を単離し
てその組成を分析すれば容易に多価金属イオンと水溶性
染料の比率を求めることが出来る。

【００３３】これらの難溶性染料は予め単離してからこ
れを公知の方法で微粒子上に固体分散して感光材料に添
加することもでき、また、難溶性染料を単離する事なく
そのままの形あるいはその状態で微粒子固体分散して使
用することもできる。

【００３４】その際、過剰の多価金属イオンを難溶性染
料に加えて用いることが保存中の安定性の点で特に好ま
しい。過剰の多価金属イオンの量は難溶性染料が有する
多価金属イオンに対して好ましくは２〜100モル％、特
に好ましくは５〜50モル％用いることが好ましい。

【００３５】前記難溶性染料を微粒子状態に固体分散す
る方法としては公知の方法が適用できるが好ましくは、
ボールミル分散、サンドミル分散などの湿式粉砕方法が
好ましく用いられる。

【００３６】上記本発明の水難溶性染料は微粒子状態で
添加されるが、そのサイズは同一体積の球換算した場合
に直径が約0.1〜5μｍ、好ましくは約0.15〜２μｍの範
囲である。

【００３７】上記難溶性染料の添加量はハロゲン化銀乳
剤の組成や粒径等の組合せにより異なるが、混色を防止
すべき露光波長域における皮膜中の透過濃度が約0.3以
上、好ましくは0.5以上になるように設定される。染料
自体の添加量は染料のεや染料固体の粒径、あるいは染
料固体分散物を含有する層のバインダーに対する固体染
料の量等により変化するが、概ね、熱現像感光材料１ｍ
²当り、0.01〜５ミリモル、好ましくは0.02〜１ミリモ
ルの範囲である。

【００３８】本発明の熱現像カラー感光材料は、ネガ型
又はポジ型の感光材料のいずれでも可能であり、特に実
質的に水の全く存在しない条件下で現像処理を行った場
合に、本発明の難溶性染料の耐拡散性が顕著であり本発
明の効果が著しい。

【００３９】上記水溶性染料と多価金属塩から形成され
る水難溶性染料の固体粒子を含有する層は、一般的には
異なる感色性の感光性層の間に設けられた非感光性層で
あるが、これに加えて、下引き層や感光性層に一部添加
することも可能である。特に、感光性層が有機銀乳剤を
含有している場合、混色を防止すべき２つの感光性層間
に設けた非感光性層に、本発明の難溶性染料固体分散物
を添加し、更に該非感光性層に隣接する感光性層にも上
記難溶性染料固体分散物を添加すると、著しい色分離性
が得られる。その結果より少ない、難溶性染料の使用量
で十分高い色分離性が得られる。

【００４０】本発明の熱現像感光材料に用いられるバイ
ンダーとしては、ゼラチンその他の公知の写真用バイン
ダーを用いることができるが、中でもゼラチンと水溶性
ポリマーの併用が好ましい。特に好ましい水溶性ポリマ
ーはポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポ
リエチレングリコールである。

【００４１】水溶性ポリマーをゼラチンの総添加量に対
し重量比で0.05以上１以下の比率で添加したとき特に保
存後も、良好な色分離性が得られる。

【００４２】水溶性ポリマーの比率が0.05未満の場合
は、本発明の効果が小さく、また１を越える場合は、転
写後感光部と受像部の剥離性が若干低下する傾向にあ
る。

【００４３】上記水溶性ポリマーのゼラチンに対する好
ましい比率は0.1〜0.6である。

【００４４】前記本発明の難溶性染料を添加する非感光
性層においては、難溶性染料の該非感光性層が含有する
バインダーに対する重量比は、染料使用量と透過濃度の
関係を最大限効果的たらしめるために0.5以下、好まし
くは0.3以下、特に好ましくは0.2以下にすると最小限の
染料の使用量で最大限の皮膜透過濃度を得る事が出来る
ために好ましい。

【００４５】本発明では公知の有機銀塩を用いることが
できこれらは、感度の上昇や、現像性の向上に寄与す
る。

【００４６】本発明で用いることのできる有機銀塩は、
例えば、特公昭43-4921号、特開昭49-52626号、同52-14
1222号、同53-36224号、同53-37626号、同53-36224号、
同53-37610号等の各公報並びに米国特許3,330,633号、
同3,794,496号、同4,105,451号等の各公報に記載されて
いる長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩やヘテロ環を有するカ
ルボン酸の銀塩（例えばベヘン酸銀、α-(1-フェニルテ
トラゾールチオ)酢酸銀等）、特公昭44-26582号、同45-
12700号、同45-18416号、同45-22815号、特開昭52-1373
21号、同58-118638号、同58-118639号、米国特許4,123,
274号等の公報に記載されているイミノ基を有する化合
物の銀塩、特開昭61-249044号記載のアセチレン銀等を
挙げることができる。

【００４７】特にイミノ基を有する化合物の銀塩が好ま
しく、例えばベンゾトリアゾール及びその誘導体の銀塩
（例えばベンゾトリアゾール銀、5-メチルベンゾトリア
ゾール銀等）が特に好ましい。

【００４８】上記有機銀塩は、単独又は２種以上併用し
て用いることができ、これらの調製はゼラチンのごとき
親水性コロイド水溶液中で調製し、可溶性塩類を除去し
てそのままの形で使用することも、また有機銀塩を単離
して機械的に固体微粒子に粉砕・分散して使用すること
もできる。

【００４９】次に、本発明の熱現像感光材料に用いられ
る色素供与物質、感光性ハロゲン化銀、還元剤及びその
他の添加剤について説明する。

【００５０】本発明の熱現像感光材料に用いられる色素
供与物質としては、例えば特開昭61-61157号、同61-611
58号、同62-44738号、同62-129850号、同62-129851号、
同62-129852号、同62-169158号、特願平1-200859号に記
載されている拡散性の色素を形成するカプラー、例えば
特開昭61-88254号記載のロイコ色素、米国特許4,235,95
7号に記載のアゾ色素、或は米国特許4,463,079号、同4,
439,513号、特開昭59-60434号、同59-65839号、同59-71
046号、同59-87450号、同59-123837号、同59-124329
号、同59-165054号、同59-165055号等が挙げられる。特
にカップリング反応により拡散性色素を形成する化合物
が好ましく、例えば、特開平2-863号公報９頁左下欄２
行目の一般式（イ）で表されるものである。

【００５１】中でも同公報９頁右下欄８行目に記載され
た、一般式（ロ）で表される単量体から誘導される繰り
返し単位を有するポリマー鎖を有するポリマーカプラー
が好ましい。

【００５２】ポジ型の色素供与物質としては、例えば、
特開昭59-55430号、同59-165054号、同59-154445号、同
59-116655号、同59-124327号、同59-152440号、同64-13
546号等の各公報に記載された化合物がある。

【００５３】上記色素供与物質は、単独で又は、２種以
上併用して用いてもよい。

【００５４】又、本発明の熱現像感光材料は、例えば、
特開平2-293753号、同2-308162号公報に記載された重合
性化合物と共に、色素供与物質をマイクロカプセル中に
含有せしめ、これを熱現像することで、重合性化合物の
重合反応を像状もしくは逆像状に起こして、マイクロカ
プセルを硬化させ、色素供与物質の受像層への拡散性を
変化させて画像を形成させる方式の熱現像感光材料にも
適用できる。

【００５５】本発明の熱現像感光材料に用いられる、感
光性ハロゲン化銀としては従来公知のものを使用するこ
とができ、例えば、塩化銀、臭化銀、沃臭化銀、塩臭化
銀、塩沃臭化銀を用いることができる。

【００５６】ハロゲン化銀は粒子内部から表面まで均一
な組成のもの、内部と表面で組成が連続的に又はステッ
プ状に変化しているハロゲン化銀であってもよい。

【００５７】ハロゲン化銀の形状は平板状、立方体、球
形、８面体、12面体、14面体等の明確な晶癖を有するも
の又はそうでないもの等を用いることができる。

【００５８】又、例えば、米国特許2,592,250号、同3,2
20,613号、同3,271,257号、同3,317,322号、同3,511,62
2号、同3,531,291号、同3,447,927号、同3,761,266号、
同3,703,584号、同3,736,140号、同3,761,276号、特開
昭52-15661号、同55-127549号等に記載の内部潜像型ハ
ロゲン化銀乳剤も用いることができる。

【００５９】感光性ハロゲン化銀はその粒子形成段階に
おいて、イリジウム、金、ロジウム、鉄、鉛等の金属イ
オン種を適当な塩の形で添加することができる。

【００６０】上記感光性ハロゲン化銀乳剤の粒径は約0.
02〜２μmであり、好ましくは約0.05〜0.5μmである。

【００６１】本発明において、感光性ハロゲン化銀の調
製方法として、水溶性ハロゲン化物などの感光性銀塩形
成成分を後述の有機銀塩と共存させ、有機銀塩の一部を
感光性ハロゲン化銀の一部に変換させて形成させること
もできる。

【００６２】感光性ハロゲン化銀乳剤は公知の増感剤
（例えば、活性ゼラチン、無機硫黄、チオ硫酸ナトリウ
ム、二酸化チオ尿素、塩化金酸ナトリウム等）でハロゲ
ン化銀粒子表面を化学増感することができ、含窒素ヘテ
ロ環化合物或はメルカプト基含有ヘテロ環化合物の存在
下に化学増感をすることもできる。

【００６３】更に感光性ハロゲン化銀は公知のシアニ
ン、メロシアニン等の通常写真で用いられる分光増感色
素により、青、緑、赤、近赤外光への分光増感を施すこ
とができる。

【００６４】これらの増感色素はハロゲン化銀１モル当
たり、１μmol〜１mol、好ましくは10μmol〜0.1mol
を、ハロゲン化銀粒子形成時、可溶性塩類の除去時、化
学増感開始前、化学増感時、或は化学増感終了時以降の
いずれにおいても添加することができる。

【００６５】本発明の熱現像感光材料に用いられる還元
剤は、現像機構や色素形成乃至放出機構により熱現像感
光材料用として従来知られているものの中から選択して
使用される。ここで言う還元剤には、熱現像時に還元剤
を放出する還元剤プレカーサーも含まれる。

【００６６】本発明に用いることのできる、還元剤とし
ては、例えば、米国特許3,351,286号、同3,761,270号、
同3,764,328号、同3,342,599号、同3,719,492号明細
書、リサーチ・ディスクロージャー12,146号、同15,108
号、同15,127号、及び特開昭56-27132号、同53-135628
号、同57-79035号に記載のp-フェニレンジアミン系及
び、p-アミノフェノール系現像主薬、リン酸アミドフェ
ノール系現像主薬、スルフォンアミドアニリン系現像主
薬、及びヒドラゾン系現像主薬、フェノール類、スルフ
ォンアミドフェノール類、ポリヒドロキシベンゼン類、
ナフトール類、ヒドロキシビスナフチル類、メチレンビ
スフェノール類、アスコルビン酸類、1-アリール-3-ピ
ラゾリドン類、ヒドラゾン類、及び上記種々の還元剤の
プレカーサー類がある。

【００６７】又、色素供与物質が還元剤を兼ねることも
できる。

【００６８】特に好ましい還元剤は、特開昭56-146133
号及び同62-227141号記載のN-(p-N',N'-ジアルキルアミ
ノ)フェニルスルファミン酸塩及びその誘導体であり、
具体的には、特開平2-863号公報７頁左下欄６行目から
８頁右下欄に記載された化合物を挙げることができる。

【００６９】本発明の熱現像感光材料には色素の転写促
進その他の目的で、熱溶剤を用いることができる。熱溶
剤は熱現像時に液状化し熱現像や色素の熱転写を促進す
る作用を有する化合物であり、常温では固体状態である
ことが好ましい。

【００７０】本発明で用いることのできる熱溶剤として
は、例えば米国特許3,347,675号、同3,667,959号、同3,
438,776号、同3,666,477号、リサーチ・ディスクロジャ
ーNo.17,643号、特開昭51-19525号、同53-24829号、同5
3-60223号、同58-118640号、同58-198038号、同59-2295
56号、同59-68730号、同59-84236号、同60-191251号、
同60-232547号、同60-14241号、同61-52643号、同62-78
554号、同62-42153号、同62-44737号、同63-53548号、
同63-161446号、特開平1-224751号、同2-863号、同2-12
0739号、同2-123354号等の各公報に記載された化合物が
挙げられる。具体的には、尿素誘導体（尿素、ジメチル
尿素、フェニル尿素等）、アミド誘導体（例えばアセト
アミド、ステアリルアミド、p-トルアミド、p-プロパノ
イルオキシエトキシベンズアミド等）、スルホンアミド
誘導体（例えば、p-トルエンスルホンアミド等）、多価
アルコール類（例えば1,6ヘキサンジオール、ペンタエ
リスリトール、ポリエチレングリコール等）が好ましく
用いられる。

【００７１】本発明の熱現像感光材料には、上記以外
に、必要に応じて、各種添加剤を添加することができ
る。

【００７２】現像促進剤としては、例えば特開昭59-177
550号、同59-111636号、同59-124333号、同61-72233
号、同61-236548号、特開平1-152454号、特開昭61-1596
42号、特開平1-104645号、特願平1-110767号記載の現像
促進剤放出化合物、或は、特開平1-104645号記載の電気
陰性度が４以上の金属イオンも用いることができる。

【００７３】カブリ防止剤としては、例えば米国特許3,
645,739号明細書に記載されている、高級脂肪酸、特公
昭47-11113号記載の第２水銀塩、特開昭51-47419号記載
のN-ハロゲン化物、米国特許3,700,457号、特開昭51-50
725号、特願平1-69994号、同1-104271号記載のメルカプ
ト化合物放出性の化合物、特開昭49-125016号記載のア
リールスルフォン酸、同51-47419号記載のカルボン酸リ
チウム塩、英国特許1,455,271号及び特開昭50-101019号
記載の酸化剤、同53-19825号記載のスルフィン酸類及び
チオスルホン酸類、同51-3223号記載のチオウラシル
類、同51-26019号記載の硫黄、同51-42529号、同51-811
24号、及び同55-93149号記載のジスルフィド類及びポリ
スルフィド類、同51-57435号記載のロジン或はジテルペ
ン類、同51-104338号記載のカルボキシル基又はスルホ
ン酸基を有するポリマー酸、米国特許4,138,265号記載
のチアゾリチオン、特開昭54-51821号、同55-142,331
号、米国特許4,137,079号記載のトリアゾール類、特開
昭55-140883号記載のチオスルフィン酸エステル類、特
開昭59-46641号、同59-57233号、同59-57234号記載のジ
-又はトリ-ハロゲン化物、特開昭59-111636号記載のチ
オール化合物、同60-198540号及び同60-227255号記載の
ハイドロキノン誘導体、特開昭62-78554号に記載の親水
性基を有するカブリ防止剤、特開昭62-121452号記載の
ポリマーカブリ防止剤、特開昭62-123456号記載のバラ
スト基を有するカブリ防止剤、特開平1-161239号記載の
無呈色カプラー等が挙げられる。

【００７４】塩基プレカーサーとしては、例えば、特開
昭56-130745号、同59-157637号、同59-166943号、同59-
180537号、同59-174830号、同59-195237号、同62-10824
9号、同62-174745号、同62-187847号、同63-97942号、
同63-96159号、特開平1-68746号等の各公報に記載され
ている化合物乃至塩基放出技術が挙げられる。

【００７５】本発明の熱現像感光材料には上記した以外
の各種の公知の写真用添加剤を用いることができ、例え
ば、ハレーション防止染料、イラジエイション防止染
料、コロイド銀、蛍光増白剤、硬膜剤、帯電防止剤、界
面活性剤、無機及び有機のマット剤、退色防止剤、紫外
線吸収剤、カビ防止剤、白地色調調整剤等を含有するこ
とができる。これらについては例えば、ＲＤ（リサーチ
・ディスクロジャー）誌No.17029号、同No.29963号、特
開昭62-135825号、及び同64-13546号の各公報に記載さ
れている。

【００７６】これらの各種添加剤は感光性層のみなら
ず、中間層、下引き層、保護層或はバッキング層等任意
の構成層中に適宜添加することができる。

【００７７】本発明の熱現像感光材料に用いられる支持
体は、例えば特開平2-863号公報12頁、左上欄15行目か
ら右上欄１行目に記載された支持体を用いることができ
る。好ましくはポリエチレンテレフタレート支持体又は
キャストコート紙やバライタ紙等の紙支持体が用いられ
る。

【００７８】本発明の熱現像感光材料は、（ａ）感光性
ハロゲン化銀乳剤、（ｂ）還元剤、（ｃ）バインダー、
(ｄ）色素供与物質を含有し、更に（ｅ）有機銀を含有
することが好ましい。これらは単一の写真構成層中に含
まれていてもよく、また２層以上からなる層に分割して
添加されることもできる。

【００７９】又、実質的に同一の感色性を有する感光性
層を２つ以上設け、それぞれ低感度層及び高感度層とす
ることもできる。

【００８０】本発明の熱現像感光材料をフルカラー記録
材料として用いる場合には、通常感色性の異なる３つの
感光性層を有し、各感光性層では熱現像によりそれぞれ
色相の異なる色素が形成又は放出される。この場合、一
般的には、青感光性層（Ｂ）にイエロー色素（Ｙ）が、
緑感光性層（Ｇ）にはマゼンタ色素（Ｍ）が、また赤感
光性層（Ｒ）にはシアン色素（Ｃ）が組み合わされる
が、本発明はこれに限定されず、いかなる組み合わせも
可能である。具体的には、（Ｂ−Ｃ）−（Ｇ−Ｍ）−
（Ｒ−Ｙ）、（赤外感光性−Ｃ）−（Ｇ−Ｙ）−（Ｒ−
Ｍ）等の組み合わせも可能である。各層の層構成は任意
であり、支持体側から順に、Ｒ−Ｇ−Ｂ、Ｇ−Ｒ−Ｂ、
Ｒ−Ｇ−赤外、Ｇ−Ｒ−赤外、等の層配置が可能であ
る。

【００８１】本発明の熱現像感光材料には、感光性層の
他に下引き層、中間層、保護層、フィルター層、バッキ
ング層、剥離層等の非感光性層を任意に設けることがで
きる。

【００８２】本発明の感光部は受像材料の組み合わせで
用いられるが、この場合の受像材料は、支持体上とこの
上に設けられた色素受容能を有する受像層とから構成さ
れる。受像層はそれを構成するバインダー自身が色素受
容能を有する場合と、色素を受容し得る媒染剤がバイン
ダー中に含有されている場合とに大きく分けられる。

【００８３】バインダーが色素受容能を有する場合、好
ましく用いられる物質は、ガラス転移温度が約40℃以
上、約250℃以下のポリマーで形成されているものが好
ましく、具体的には、「ポリマーハンドブック セカン
ド エディッション」（ジョイ・ブランドラップ、イー
・エイチ・インマーガット編）、ジョン ウィリー ア
ンド サンズ出版｛Polymer Handbook ２nd. ed. (J.Br
andrup, E.H.Immergut編）John Wiley ＆ Sons, Inc.｝
に記載されているガラス転移温度が約40℃以上の合成ポ
リマーが有用であり、一般的には、ポリマーの分子量と
して、2,000〜200,000程度のものが有用である。これら
のポリマーは単独でも２種以上を併用してもよく、また
２種以上の繰り返し単位を有する共重合性のポリマーで
あってもよい。

【００８４】具体的には特開平2-863号公報14頁左上欄1
4行目から右上欄14行目に記載されたポリマーを好まし
いポリマーを含めて用いることができる。

【００８５】又、受像層がバインダー中に媒染剤を含有
する受像材料において、媒染剤としては、３級アミン又
は４級アンモニウム塩を含むポリマーが好ましく用いら
れ、例えば米国特許3,709,690号明細書及び、特開昭64-
13546号公報等に記載の化合物が挙げられる。又、これ
らの媒染剤を保持するのに用いられるバインダーとして
は、例えばゼラチンやポリビニルアルコール等の親水性
バインダーが好ましく用いられる。

【００８６】上記媒染剤をバインダー中に有する受像層
と似た形で、色素受容能を有する疎水性ポリマーラテッ
クスを親水性バインダー中に分散してなる色素受容層も
本発明で用いることができる。

【００８７】受像材料は支持体上に単一の受像層が設け
られた場合であってもよく、また複数の構成層が塗設さ
れていてもよく、この場合、その全てが色素受像層であ
ることも、また構成層の一部のみが受像層であることも
できる。

【００８８】受像材料が受像層とは別に支持体を有する
時、受像材料の支持体としては、透明支持体、反射支持
体のいずれであってもよく、特開平2-863号公報14頁左
下欄15行目から右下欄８行目に記載された支持体及び、
第２種拡散反射性を有する反射支持体などから選択して
用いることができる。

【００８９】本発明の熱現像感光材料は、ＲＤ（リサー
チ・ディスクロジャー）15108号、特開昭57-198458号、
同57-207250号、同61-80148号等に記載されているよう
な感光層と受像層があらかじめ同一支持体上に積層され
たいわゆるモノシート型熱現像感光材料であることもで
きる。

【００９０】受像材料には公知の各種添加剤を添加する
ことができる。そのような添加剤としては、例えば、汚
染防止剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、画像安定剤、現
像促進剤、カブリ防止剤、pＨ調節剤（酸及び酸プレカ
ーサー、塩基プレカーサー等）、熱溶剤、有機フッ素系
化合物、油滴、界面活性剤、硬膜剤、マット剤及び各種
金属イオン等が挙げられる。

【００９１】いずれの場合においても本発明の構成によ
る感光材料と受像材料の組合せが好ましい。

【００９２】本発明の熱現像感光材料は、感光材料の感
色性に適した公知の露光手段に依って露光されることが
できる。

【００９３】用いることのできる露光光源としては、特
開平2-863号公報12頁左下欄13行目から16行目に記載の
ものを用いることができ、好ましくはレーザー光源、Ｃ
ＲＴ光源、LEDが用いられる。又、半導体レーザーとSHG
素子（第２高調波発生素子）とを組み合わせた光源も用
いることができる。

【００９４】露光時間は１画面を１回の露光で行うか、
或は１画素毎にデジタル的に露光を行うかで異なるが、
前者の場合、通常0.001秒〜10秒であり、又、後者にお
いては１画素当たり10^-8〜10^-2秒の範囲で行われる。

【００９５】露光する際には、必要に応じて、色フィル
ターを用いて、露光光源の色温度調整を行うこともで
き、またレーザー等により走査露光を行うこともでき
る。

【００９６】本発明の熱現像感光材料は、像様露光後又
は露光と同時に、好ましくは、70〜200℃、更に好まし
くは90〜170℃で、好ましくは１〜180秒間、更に好まし
くは２〜120秒間加熱現像され、色素画像が形成され
る。拡散性色素の受像材料への転写は熱現像時に、受像
材料の受像層面を感光材料の感光層側に密着させること
により、熱現像と同時に行ってもよく、又、熱現像後に
受像材料を感光材料に密着させて色素を転写させてもよ
く、更に、水を供給した後、感光材料と受像材料とを密
着させてもよい。又、露光前に70〜160℃の範囲で感光
材料を予備加熱したり、特開昭60-143338号及び同61-16
2041号に記載されている様に、現像直前に、感光材料と
受像材料の少なくとも一方を80〜120℃の温度範囲で予
備加熱することもできる。

【００９７】本発明の熱現像感光材料を熱現像する際に
は、公知の加熱手段を適用することができ、例えば、特
開平2-863号公報13頁左上欄12行目から19行目に記載さ
れた方法、及び遠赤外線加熱による方法等を用いること
ができる。

【００９８】熱現像時における加熱パターンは特に制限
がなく、一定温度で行う方法、現像初期を高温状態で行
い現像後半を低温状態で行う方法、或はこの逆の方法、
更には３ステップ以上に温度領域を変化させる方法や連
続的に温度を変化させる方式等任意の方法で行うことが
できる。

【００９９】

【実施例】以下、実施例により本発明の効果を具体的に
例証する。

【０１００】実施例１． ☆染料分散液の作成方法 前記化合物（９）10ｇを水80ccに溶解しpＨ＝６に調整
する。これに20％ZnSO₄水溶液20ccを添加する。超音波
分散機で10分間分散した後、15時間ボールミル分散す
る。これを水で100ccに仕上げて、染料分散液Ａ−１と
した。

【０１０１】Ａ−１におけるZnSO₄水溶液を下記表１に
変更する以外はＡ−１と同様にして染料分散液 Ａ−２
〜Ａ−５ を、また化合物（９）を化合物（10）及び比
較化合物（ａ）に変更する他はＡ−１と同様にしてＡ−
６及びＡ−７を作成した。分散液Ａ−１〜Ａ−６はいず
れも染料の溶解度が10^-3モル／ｌ以下の染料固体分散液
であったが、Ａ−７は水溶液であった。更に、化合物
（９）の10％水溶液を作成しＡ−８とした。

【０１０２】

【化６】

【０１０３】

【表１】

【０１０４】☆熱現像感光材料の作成方法 （Ｋ−１） ［感光性ハロゲン化銀乳剤の調製］50℃においてオセイ
ンゼラチン水溶液中に、沃化カリウムと臭化カリウムの
混合水溶液（Ａ液）とアンモニア性硝酸銀水溶液（Ｂ
液）をpＨ及びpＡｇが一定になるように添加速度を制御
しながらダブルジェット法で添加し、Ｂ液の80％を添加
したところで、K₃IrCl₆をNaCl水溶液に溶解したＣ液を
添加して作製したハロゲン化銀乳剤を分光化学増感して
表２に示す、赤感光性、緑感光性、及び青感光性のハロ
ゲン化銀乳剤を各々調製した。

【０１０５】

【表２】

【０１０６】

【化７】

【０１０７】［ベンゾトリアゾール銀乳剤の調製］50℃
のフェニルカルバモイルゼラチン10％水溶液中にアンモ
ニア性硝酸銀水溶液及びベンゾトリアゾール水溶液をダ
ブルジェット法にて添加混合し、添加終了後液のpＨを
硫酸にて低下させて凝集・脱塩を行い針状結晶（幅0.1
〜0.2μm、長さ0.5〜2.0μm)を得た。

【０１０８】［熱現像カラー感光材料の作製］厚さ160
μmの写真用バライタ紙支持体上に、以下に示す層構成
を有する熱現像カラー感光材料Ｋ−１を作製した。

【０１０９】ここで各素材の添加量は熱現像カラー感光
材料１m²当たりの量で示した。また感光性ハロゲン化銀
乳剤及びベンゾトリアゾール銀乳剤の添加量は銀に換算
して表した。

【０１１０】 ［熱現像カラー感光材料の層構成］下引層 ポリフェニレンエーテル樹脂 2.0g ポリスチレン樹脂 1.5g カブリ防止剤−１ 0.7g第１層（赤感光層） ベンゾトリアゾール銀乳剤 0.4g 黄色色素供与物質（３） 1.5g 赤感光性ハロゲン化銀乳剤 0.40g ゼラチン 1.0g ポリビニルピロリドン(K-90) 0.02g ＤＡＰ−１ 0.1g 熱溶剤−１ 1.2g 1,10-ジヨードデカン 0.09g ポリエチレングリコール（MW=2,000） 0.15g カブリ防止剤−２ 0.02g イラジエーション防止染料−２ 0.02g トリクレジルホスフェート 0.4g 硬膜剤−１ 0.05g 第２層（中間層） ゼラチン 0.8g 熱溶剤−１ 0.3g ポリビニルピロリドン(K-90) 0.08g 還元剤プレカーサー−１ 0.86g フタル酸ジイソデシル 0.08g 紫外線吸収剤−１ 0.1g 硫酸亜鉛 0.4g 硬膜剤−１ 0.05g 第３層（緑感光層） ベンゾトリアゾール銀乳剤 0.4g マゼンタ色素供与物質（２） 0.6g 緑感光性ハロゲン化銀乳剤 0.36g ゼラチン 1.0g ＤＡＰ−１ 0.1g １,10-ジヨードデカン 0.09g カブリ防止剤−２ 0.03g イラジエーション防止染料−１ 0.03g トリクレジルホスフェート 0.3g 硬膜剤−１ 0.05g 第４層（中間層） ゼラチン 1.0g 熱溶剤−１ 0.3g ポリビニルピロリドン(K-90) 0.2g フタル酸ジイソデシル 0.08g 紫外線吸収剤−１ 0.1g 硬膜剤−１ 0.05g 第５層（青感光層） ベンゾトリアゾール銀乳剤 0.6g シアン色素供与物質（１） 1.3g 青感光性ハロゲン化銀乳剤 0.61g ゼラチン 1.4g ＤＡＰ−１ 0.2g 1,10-ジヨードデカン 0.09g カブリ防止剤−２ 0.03g トリクレジルホスフェート 0.3g 硬膜剤−１ 0.04g 第６層（保護層） ゼラチン 0.4g ポリビニルピロリドン(K-90) 0.03g 還元剤プレカーサー−１ 0.66g フタル酸ジイソデシル 0.04g 紫外線吸収剤−１ 0.2g 硫酸亜鉛 0.1g 硬膜剤−１ 0.05g シリカ粉 0.1g カブリ防止剤−２ 0.01g なお、各層とも塗布助剤として界面活性剤Ｓ−１を使用
した。

【０１１１】

【化８】

【０１１２】

【化９】

【０１１３】

【化１０】

【０１１４】

【化１１】

【０１１５】［色素受像材料（Ｊ−１）の作製］厚さ18
0μmの写真用バライタ紙支持体上に、下記のような化合
物を含有する層を受像層として塗設し、色素受像材料Ｊ
−１を作製した。

【０１１６】 ポリカーボネート（平均分子量約20,000） 12g 画像安定剤−１ 0.8g 画像安定剤−２ 0.2g 画像安定剤−３ 0.2g 画像安定剤−４ 0.3g 画像安定剤−５ 0.1g 画像安定剤−６ 0.2g ジ−（２−エチルヘキシル）フタレート 1.0g トリクレジルホスフェート 0.5g

【０１１７】

【化１２】

【０１１８】熱現像感光材料Ｋ−１の第４層に上記染料
分散液Ａ−１〜Ａ−８を染料の付量が４ｇ／ｍ²になる
ように添加する他は Ｋ−１と同様にして熱現像感光材
料Ｋ−２〜Ｋ−９を作成した。

【０１１９】（評価）得られた熱現像感光材料Ｋ−１〜
Ｋ−９に対して、ステップウェッジを通して1600CMSの
白色光で露光を行い、150℃60秒の熱現像を行った。こ
の現像済みの感光材料を、前記熱現像受像材料Ｊ−１と
重ねて120℃20秒加熱した後、感光材料と受像材料を引
き剥し、受像材料に転写画像を得た。

【０１２０】得られた転写画像について、反射濃度計Ｐ
ＤＡ65(コニカ（株）製)を用いてセンシトメトリーの測
定を行い、最高濃度(Dmax)及び最低濃度(Dmin)、及びシ
アン画像の相対感度（Ｓ）を得た。ここでの相対感度と
は、最低濃度＋1.0の反射濃度を得るのに必要な露光量
の逆数を感光材料Ｋ−１の即日の値を100とする相対値
として表したものである。

【０１２１】又、干渉フィルターＫＬ42（東芝（株）
製）を用いて青色光で露光を行い、上記と同様の現像転
写処理を施した。

【０１２２】得られたシアン画像について、Ｂ，Ｇ，Ｒ
の単色光で反射濃度測定を行い、特性曲線を求めた。こ
こで、光学的混色がなければ（即ち、青色単色光で露光
した際、青感光性層のみが現像されれば）、青感光性層
が含有するシアン色素供与物質（１）から放出されるシ
アン画像のみが得られる。光学的混色が起こると、その
度合に応じてマゼンタ及びイエローの画像もより出易く
なる。光学的混色はＢ，Ｇ，Ｒで測定した特性曲線のＲ
の感度からＧ又はＢの感度を差し引いたものとして表し
た。

【０１２３】即ち、 ΔｌｏｇＥ_G＝ｌｏｇＳ_R−ｌｏｇＳ_G ΔｌｏｇＥ_B＝ｌｏｇＳ_R−ｌｏｇＳ_B ここにＳ_B，Ｓ_G，Ｓ_Rは各々Ｂ，Ｇ，Ｒの特性曲線に対
応した反射濃度が1.5における感度を表す。ΔｌｏｇＥ
が大きい試料ほど光学的混色が改善されている。

【０１２４】更に、前記熱現像感光材料Ｋ−１〜Ｋ−９
を40℃、相対湿度80%の条件で５日間保存し、上記と同
様な方法で露光現像を行った。

【０１２５】以上の結果を表３、表４に示した。

【０１２６】

【表３】

【０１２７】

【表４】

【０１２８】表３及び表４の結果より、固体粒子として
添加しない比較の試料Ｋ−８、Ｋ−９においては、混色
度が不良でしかも保存時の染料の拡散によりシアン画像
の感度低下が大きい。これに対し、本発明の感光材料Ｋ
−２〜Ｋ−７を用いた場合には保存前後でのシアン画像
の感度変動が著しく改善され、高濃度低Ｄminで色純度
の優れた画像を得ることが出来る。

【０１２９】実施例２ 実施例１の感光材料Ｋ−２において第４層のバインダー
添加量を変化させて難溶性染料のバインダーに対する比
率を変えて感光材料Ｋ−10〜Ｋ−12を作成し（Ｋ−２の
バインダーに対する染料の比率は0.167）、実施例１と
同様の評価を行い、表５の結果を得た。

【０１３０】

【表５】

【０１３１】表３、表４及び表５の結果より、難溶性染
料のバインダーに対する比率が0.5以上の場合には得ら
れる皮膜の透過濃度が低下しフィルターとしての効率が
悪くなる。これに対して、バインダーに対する染料の比
率が0.5以下、中でも0.3以下、特に0.2以下の場合には
染料の使用量に対して最大限の皮膜透過濃度を得ること
ができるため、色純度の優れた画像が得られる。

【０１３２】

【発明の効果】異なる感色性の感光性層間での色分離性
を改良するために、フィルター染料を特定の構成層に安
定して固定化させることによって、保存安定性に優れ、
色純度の優れた熱現像カラー感光材料が提供でき、特
に、保存前後での感度変動が少なく、しかも受像層に転
写する事なく混色の改良された熱現像カラー感光材料を
提供できた。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 支持体上に感光性ハロゲン化銀乳剤、バ
   インダー、熱現像時に拡散性色素を形成または放出する
   色素供与物質を有する感光性層を少なくとも２層有する
   熱現像カラー感光材料において、分子中に少なくとも１
   つの親水性基を有する水溶性染料と多価金属イオンから
   形成される水難溶性化合物を固体微粒子状態で含有する
   ことを特徴とする熱現像カラー感光材料。
2. 【請求項２】 前記多価金属イオンが遷移金属イオンで
   あることを特徴とする請求項１記載の熱現像感光材料。