JPH06350374A - 帯域通過フィルタ - Google Patents

帯域通過フィルタ

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JPH06350374A
JPH06350374A JP13846693A JP13846693A JPH06350374A JP H06350374 A JPH06350374 A JP H06350374A JP 13846693 A JP13846693 A JP 13846693A JP 13846693 A JP13846693 A JP 13846693A JP H06350374 A JPH06350374 A JP H06350374A
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circuit
inductive
coupling
elements
trap
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JP13846693A
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Yoshihiro Konishi
良弘 小西
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Original Assignee
Uniden Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】回路構成素子の使用個数を削減するとともに、
回路構成自体もセラミック化が容易なように設定する。 【構成】複同調回路の通過周波数帯域の上下に接する遮
断周波数帯域にそれぞれトラップを設ける。複同調回路
における誘導素子の中間点から入出力端子を導出し、そ
の入出力端子間に容量素子を接続して所望のフィルタ回
路を構成する。入出力間結合容量Cを小さくするほ
ど、また、複同調間誘導結合Mを大きくするほど、トラ
ップ周波数fN1,fN2が通過帯域中心周波数f
ら離れる。簡単な導体パターンの積層によりセラミック
化して良好な帯域通過特性が得られるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、通過周波数帯域の上下
両側の減衰帯域にそれぞれトラップを備えて尖鋭な帯域
通過特性を有する帯域通過フィルタに関し、特に、所要
回路構成素子の個数を最小限に削減してセラミック化を
容易にしたものである。
【0002】
【従来の技術】上述した種類の帯域通過フィルタは、無
線通信機などにおいて、所望周波数帯域の信号のみを選
択的に通過させるとともに、上下に近接した信号帯域に
おける不所望信号の混入を防止して、良質の通信を行な
い得るようにするために、多用されている。
【0003】一方、携帯電話機など携帯用、移動用の無
線通信機においては、装置を小型軽量にするために、使
用する構成要素をセラミック化することが近来急速に進
められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかして、回路構成要
素のセラミック化にあたっては、回路構成素子の使用個
数を削減するとともに、回路構成自体をセラミック化が
容易なように設定する必要がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、上述し
た従来の課題を解決し、使用する回路素子の個数を、従
来より少ない必要最小限にするとともに、回路構成自体
をセラミック化が容易なように設定した帯域通過フィル
タを提供することにある。
【0006】すなわち、本発明帯域通過フィルタは、互
いに結合した2個の第1の誘導素子と2個の第2の誘導
素子とをそれぞれ互いに直列に接続してなる2個の直列
接続誘導素子に2個の容量素子をそれぞれ並列に接続し
て複同調回路を構成し、前記2個の直列接続誘導素子に
おける前記第1の誘導素子と前記第2の誘導素子との接
続点の相互間に結合用の容量素子を接続することによ
り、前記複同調回路の通過周波数帯域の上下に接する遮
断周波数帯域にそれぞれトラップを設けたことを特徴と
するものである。
【0007】
【作用】したがって、本発明帯域通過フィルタにおいて
は、使用する回路素子が従来に比して少なく、容易にセ
ラミック化して通信機など装置の小型軽量化に資する。
【0008】
【実施例】以下に図面を参照して実施例につき本発明を
詳細に説明する。
【0009】まず、通過帯域の上下両側の減衰帯域にそ
れぞれトラップを備えた帯域通過フィルタの回路構成自
体をセラミック化が容易なように設定するために、かか
る帯域通過特性を呈し得る帯域通過フィルタの回路構成
全般について検討する。
【0010】しかして、通過帯域外の特定周波数fN
減衰の大きいトラップを設ける帯域通過フィルタの回路
構成は、大別して、以下に順次に述べるとおりである。
【0011】〔1〕通過帯域fB を設定する並列同調回
路もしくは直列同調回路にそれぞれ直列もしくは並列
に、つぎの(1)式を条件として、それぞれリアクタン
ス素子jX もしくはサセプタンス素子jB を接続する。
【数1】
【0012】すなわち、図1(a),(b),(c)に
示すように、並列同調回路からなる帯域通過フィルタに
トラップを備えるには、トラップ周波数fN で零インピ
ーダンスにならなければならず、また、図1(d),
(e),(f)に示すように、直列同調回路からなる帯
域通過フィルタにトラップを備えるには、トラップ周波
数で無限大インピーダンスにならなければならない。
【0013】例えば、1個の並列同調回路fB からなる
帯域通過フィルタにトラップfN を設けると図2(a)
および(d)のようになり、それぞれ、図2(b)およ
び(e)のように変換することができ、それぞれの減衰
周波数特性は図2(c)および(f)のようになる。
【0014】また、通過帯域fB の上下に2個のトラッ
プfN1およびfN2を設け、
【数2】fN1<fB <fN2 (2) とするには、同じ同調周波数fB を有する並列同調回路
と直列同調回路とを図3(a)に示すように縦続接続に
すれば、図3(b)に示すように変換することができ、
図3(c)に示すような減衰周波数特性が得られる。
【0015】〔2〕帯域通過フィルタの入出力間もしく
はその途中の区間を純リアクタンス素子もしくは分布線
路などによる移相回路によって結合し、マルチパルスフ
ィルタを構成する。
【0016】かかる回路構成の物理的意味は、図4
(a)に示すように、位相が180度異なる2個の信号
経路を入力出力間に並列に接続すると、出力には信号が
現れない、ということを利用したものである。したがっ
て、帯域通過フィルタの減衰域において等振幅で逆位相
となる2個の信号経路を入出力間に並列に接続すれば、
この条件を満たす周波数にトラップを設けることができ
る。
【0017】集中定数回路による最も簡単な構成例は、
図4に示すように入出力間に直列に接続した並列同調回
路であり、入力端子1,1´間に信号電圧Vを加えたと
きに出力端子2,2´間に接続した負荷に出力電圧が現
れない条件を求めると、出力端子2,2´間が短絡さ
れ、したがって、図4(b)に示した並列同調回路のL
およびCに流れる電流IL およびIC
【数3】 となるから、
【数4】 とすると、IL =−IC となり、全く逆位相の電流がL
とCとに流れることになる。すなわち、LとCとにそれ
ぞれ流れる電流IL とIC とが合流して流れるので、出
力端子2,2間に接続した負荷には電流が流れないこと
になる。
【0018】いま、2個の並列同調回路の相互間に直列
に同調回路を接続した回路構成を示す図5(a)におい
て点線で示す部分を除去した形態の容量結合帯域通過フ
ィルタを考え、何らかの理由で点線で示すように誘導素
子Lm が接続されたとすると、図4(b)に示したよう
に、並列同調回路が入出力間の結合部に直列に介挿され
ることになり、トラップ周波数
【数5】 のトラップが設けられたことになる。
【0019】一方、図5(a)に示した回路構成におい
て誘導素子L,Lm ,Lがなすπ形回路は、図5(b)
に示すように、M結合の回路に変換され、図5(a)に
示した回路構成は図5(c)に示す回路構成になる。か
かるM結合回路における誘導結合係数M/L1 =kl
小さい場合には、
【数6】
【数7】 したがって、
【数8】 となり、2個の並列同調回路相互間の誘導結合係数kl
と容量結合係数kc との間の大小関係により、トラップ
周波数fN が通過帯域周波数fB より大きくも、小さく
もなる。なお、図5(d)には、kl <kc の場合にお
ける帯域通過フィルタの減衰周波数特性の例を示してあ
る。
【0020】いま、図5(c)に示した回路構成におけ
る結合容量Cc については、図5(e)に示すように、
誘導素子L1 の適切な位置に中間タップM1 およびM2
を設けて相互間を
【数9】Cm =m×Cc の関係にある結合容量Cm により結合させても、図5
(d)に示したように、1個のトラップfN を設けるこ
とができ、そのトラップ周波数fN は結合容量Cmの大
きさに応じて通過帯域周波数fB より低くも高くもする
ことができる。中間タップM1 ,M2 による誘導素子L
の分割率Sを S=0.25,S=0.5,S=0.75 とした場合について、結合容量Cm の容量倍率mをパラ
メータとしてトラップ周波数fN の結合容量Cm の大き
さによる変化を図6(a)および(b)並びに同7
(a)にそれぞれ示す。
【0021】図5(a)〜(c)を相互に比較すれば判
るように、容量倍率mを大きくするほど、すなわち、中
間結合容量Cm を大きくするほど、図5(c)に示した
回路構成におけると同様に、トラップ周波数fN が低く
なる。また、容量倍率mを固定して誘導素子分割率Sを
変化させた場合には、図7(b)に示すように、分割率
Sを大きくするほどトラップ周波数fN が低くなる。す
なわち、誘導素子分割率Sを大きくするほど、中間結合
容量Cm が誘導素子の電位の高い位置に移ることにな
り、電位の低い位置に比して等価的に中間結合容量Cm
の容量が大きくなるので、トラップ周波数fN が低くな
る。
【0022】図5に示したマルチパス・フィルタの例に
おいては、通過帯域fB の上下いずれかの減衰域に1個
のトラップfN を設けたが、通過帯域fB の上下に1個
ずつのトラップfN1およびfN2を設けたマルチパス・フ
ィルタの例を図8に示す。
【0023】しかして、図8(b)に示すように、複数
個のアドミツタンス素子を対称に構成配置したマルチパ
ス・フィルタにおいては、2開口1−1,2−2を偶モ
ードおよび奇モードで励振したときのインピーダンスZ
e およびZo が相等しく、Ze =Zo となる条件を満た
す周波数としてトラップ周波数を求めることができる。
【0024】しかしながら、図8(a)に示すように、
入出力開口間に他の信号経路を接続した場合には、つぎ
のようにしてトラップ周波数を簡単に求めることができ
る。
【0025】すなわち、図8(a)に示すように、Y行
列〔Y〕を有する4端子回路Nの入出力端子間にアドミ
ツタンスyを有する2端子素子を接続することにより入
力端子1,1´間に印加した信号か出力端子2,2´間
に現れないようにするには、Y行列〔Y〕の1行2列の
要素Y12をつぎの(4)式のとおりに設定する必要があ
る。
【数10】y=Y12 (4)
【0026】いま、通過帯域外では充分な減衰量が得ら
れ、図8(c)に示す並列同調回路のアドミツタンスy
r に対して
【数11】yr >>yc ,ym であると仮定すると、(4)式はつぎのように表され
る。
【数12】 その結果、(4)式の条件によりつぎの(5)式が得ら
れ、
【数13】 したがって、つぎの(6)式が成立する必要がある。
【数14】
【0027】さらに、同調回路と負荷との間の結合アド
ミツタンス素子yc は容量性であっても誘導性であって
もよいが、重要なことは、並列同調回路相互間の結合が
誘導性であれば、入出力端子間に並列に接続するアドミ
ツタンス素子yは容量性でなければならず、また、前者
が容量性結合であれば、後者は誘導性でなければならな
いことである。
【0028】また、狭帯域近似の条件を用いると、通過
帯域の上下両側のトラップ出力間隔の比帯域幅WN はつ
ぎの(7)式によって得られる。
【数15】
【0029】上述のトラップ周波数間隔WN と通過帯域
幅との関係は、3dB減衰比帯域幅Wを有する最大平坦
特性を負荷Rに対して備えた帯域通過フィルタにつき、
つぎの手順によって狭帯域近似により概算することがで
きる。 (i)比通過帯域幅Wが与えられる。
【数16】 としてマルチパスのインピーダンス|X|が求められ
る。なお、インピーダンスXの符号は入出力間結合イン
ピーダンスXm とは逆の符号となる。
【0030】例えば、インピーダンスX<0のときのマ
ルチパス・フィルタの構成例を図9(a)〜(c)に示
す。また、インピーダンスX>0のときは、図9(a)
〜(c)についてCm →Lm ´,Lm →Cm ´の変換を
施すことになる。
【0031】上述の(7)式および(8)式は狭帯域近
似によるものであるが、厳密に計算した場合におけるフ
ィルタ特性の例を図10(a)〜(c)に示す。なお、
図10(a)は実測例であり、図10(b)および
(c)は、同調回路間誘導結合Mおよび同調回路・負荷
間結合容量Cc を変化させたときのフィルタ特性の変化
をそれぞれ示したものであり、MおよびCc が大きくな
るほどノッチ間比帯域幅WN が大きくなることを示して
いる。なお、Cc の変化による中心周波数f0 の変化が
生ずるので、フィルタ回路の設計および調整がやや面倒
になる。
【0032】つぎに、2個の直列同調回路間をリアクテ
ィブ結合させた帯域通過フィルタの通過帯域fB に対し
てfN1<fB <fN2なる2個のトラップ周波数fN1,f
N2を設けた、2段構成のモノリシック水晶フィルタな
ど、図11(a),(b)に示す回路構成について検討
する。
【0033】図11(a),(b)に示す回路構成にお
いて、入力端子1,1´間に信号電圧Vを印加したとき
にマルチパス電流iX とiC とが互いに逆の符号で大き
さが等しいことを考慮した(4)式の条件を、減衰域で
はマルチパスのインピーダンス間にはX>>Xm なる関係
があると仮定して求めると、
【数17】 の関係式が得られる。
【0034】また、狭帯域近似ではトラップ周波数Wr
±ΔWN におけるインピーダンスXをXN とすると
【数18】 であるから、
【数19】 の条件のもとに、この関係を上述の関係式に代入する
と、つぎの(9)式が得られる。
【数20】 したがって、入出力端子間に接続する容量Cm を大きく
すればトラップ間帯域幅WN を通過帯域幅に近づけるこ
とができる。
【0035】図11(a),(b)に示した回路構成の
物理的意味は、図12(a)〜(d)に示す等価変換を
考えれば明らかになる。すなわち、fN1<fB のときに
はX<0となるので図12(a)に示す回路構成と等価
となり、同図の等価回路における3点1,2,pを結ぶ
Δ回路をY回路に変換すると図12(b)に示す回路構
成になり、入出力点1,2間の伝送路の中間点と接地点
との間に直列同調回路が接続されてfN1の信号成分を阻
止することになる。
【0036】つぎに、fN2>fB のときにはX>0とな
るので図12(c)に示す回路構成と等価になり、同図
の等価回路における3点1,2,Qを結ぶY回路をΔ回
路に変換すると図12(d)に示す回路構成になり、入
出力点1,2間の伝送路に並列同調回路が構成されてf
N2の信号成分を阻止することになる。
【0037】以上の説明から判るように、2個の直列同
調回路を図11(b)に示すようにCM により容量結合
する場合には、同図に示すように、入出力端子間をLm
により誘導結合すればよいことになる。かかる回路構成
による伝送周波数特性の例を図13(a)に示し、結合
容量CM の変化による伝送特性の変化の態様を図13
(b)に示す。
【0038】また、図14に示すように、複同調回路に
おける誘導素子の中間点から入出力端子を導出し、その
入出力端子間に容量素子を接続して所望のフィルタ回路
を構成することができる。簡単に考察するために、狭帯
域近似によってトラップ間帯域幅WN を求めると、つぎ
の(10)式の関係が得られる。
【数21】 したがって、入出力間結合容量Cm を小さくするほど、
また、複同調間誘導結合Mを大きくするほど、トラップ
周波数fN1,fN2が通過帯域中心周波数f0 から離れる
ことが判る。その態様を図14に示した回路構成につい
て計算した結果を図15(a)に示し、結合容量Cm
小さくしたときの変化を図15(b)に示す。図15
(b)に示した変化の傾向は(10)式が示すところと
よく一致している。なお、誘導素子の分割率の影響を図
15(c)に示す。かかる15図示の傾向から判るよう
に、図14に示した回路構成においては、定数の変化に
対し、通過帯域中心周波数f0 が図11に示した回路構
成におけるよりも安定しているうえに、結合容量Cm
値を設定し易いので、回路の設計および調整が容易であ
る。
【0039】最後に、図16(a)に示すように、順次
に誘導結合した3段の複同調回路における1段目と3段
目とを結合係数k13で誘導結合する回路構成について検
討する。
【0040】図16(a)に示す回路構成において、誘
導結合−M,M,−MのT型回路に1:−1の変成器を
接続した回路構成のインバータをそれぞれのM結合回路
に適用すると図16(b)に示す回路構成が得られ、f
>fB の周波数領域fでは図16(c)に示す回路構成
が得られ、この回路構成にΔ−Y変換を施すと図16
(d)に示す回路構成が得られ、図16(e)に示す減
衰周波数特性が得られる。なお、図16(a)に示した
回路構成を図16(b)に示した回路構成に変換する際
には、順次のM結合回路にそれぞれ適用するインバータ
のうち2個のインバータにおける2個の1:−1変成器
は1個の1:1変成器と等価であるから除去し得ること
を考慮している。
【0041】上述したところからつぎのことが判る。す
なわち、図16(a)における結合係数k13が容量結合
によるものであれば、上述とは逆にf<fB の周波数領
域fについて図16(f)に示す回路構成が得られ、さ
らに、図16(g)に示す回路構成に変換され、図16
(h)に示すように、通過帯域fB より低いfN <fな
る周波数fN にトラップが得られる。また、上述したイ
ンバータは、−C,C,−CのT型回路によっても構成
することができ、したがって、図16(a)に示した回
路構成における結合係数k12,k23の結合は容量結合と
することもでき、その際、fN >fであるか、fN <f
であるかは単に結合係数k13が誘導性であるか、容量性
であるかによって決まる。
【0042】さらに、4段の複同調回路を順次にM結合
した帯域通過フィルタにおいても、1段目と4段目との
複同調回路間を結合することにより、通過帯域の上下に
1個ずつのトラップを設けることができ、また、6段の
複同調回路を順次にM結合した帯域通過フィルタにおい
ては、1段目と6段目と、および、2段目と4段目との
複同調回路をそれぞれ結合することにより、通過帯域の
上下に2個ずつのトラップを設けることができる。
【0043】以上に詳述したように、通過帯域の上下両
側の減衰域にそれぞれトラップを備えた帯域通過フィル
タの回路構成全般について検討したが、考え得る範囲で
使用する回路構成素子数が最も少ないのは、図3(a)
に示したように、単一の並列同調回路と単一の直列同調
回路とを縦続接続した回路構成であるが、かかる回路構
成は、使用素子数が少な過ぎ、回路構成が簡単過ぎるた
めに、通過帯域特性やトラップ周波数などの設定の自由
度が小さく、却って、実際に通信機器等が使用するのに
最適であるとは考え難い。
【0044】したがって、実際に通信機器等に使用する
のに最適と考え得るこの種の帯域通過フィルタの回路構
成としては、通過帯域特性設定の自由度が大きいマルチ
パス・フィルタのうちでは使用素子数が少なく、トラッ
プ周波数設定の自由度も大きく、しかも、所望の帯域通
過特性を呈する回路構成の設計、製作および調整がいず
れも容易と考えられる図14に示した誘導M型帯域通過
フィルタ、すなわち、誘導素子の一部が相互に結合した
並列複同調回路における誘導素子の中間タップ相互間を
容量結合にして構成した帯域通過フィルタを推奨する。
【0045】つぎに、かかる回路構成の誘導M型帯域通
過フィルタのセラミック化について検討するに、この種
の回路装置をセラミック化する場合に、従来は、図17
(a)に示す誘導M型フィルタ回路を一体に構成して図
17(b)に示すように外周面を導体膜で遮蔽したセラ
ミック構造体は、図17(c)に順次に示す6枚の誘電
体基板にそれぞれ被着した導体パターンの積層によって
構成するように考えられていた。したがって、従来のセ
ラミック化技術によれば、折角簡単な回路構成に設定し
た本発明帯域通過フィルタも、複雑な構造のセラミック
構造体とならざるを得なかった。
【0046】そこで、本発明においては、誘導M型帯域
通過フィルタの図14に示した回路構成を図18(a)
に示す極めて簡単な立体構造のセラミック構造体によっ
て実現し、容易にセラミック化し得るようにしている。
すなわち、図18(a)に示すセラミック構造体は、複
同調回路の相互に結合した誘導素子を構成する図18
(f)に示す2本の帯状導体パターンと、図18(d)
に示す接地導体パターンと、その接地導体パターンに近
接対向して容量素子を構成する図18(e)に示す短い
帯状導体パターンとをそれぞれ被着した誘電体基板を、
図18(b)もしくは図18(c)の縦断面にそれぞれ
示すように積層して一体に構成し、図示の左側壁面を除
く全側壁面を接地導体膜で覆うとともに、左側壁面に誘
導素子と容量素子とを接続する帯状導体膜hを被着し、
さらに、図18(f)に示すように、誘導素子の中間に
設けた入出力端子導体パターンを側壁面に露出させると
ともに、誘導素子相互間の結合容量素子を構成する導体
膜gを対向配置し、誘導素子の右端を側壁面接地導体に
接続したものであり、図17に示した従来技術による多
数導体パターンの積層に比して格段に簡単な積層構造を
実現したものである。
【0047】なお、上述のセラミック構造体において誘
導素子と容量素子とを接続する導体膜は、両素子の左端
部において図19(a)および(b)に示すように誘電
体基板を穿って設けた貫通孔、いわゆるスルーホールの
内壁面に被着して配設することができ、さらに、誘導素
子相互間の結合容量も、図20(a)および(b)に示
すように、誘導素子の中間に設けたスルーホール内壁面
の導体膜の対向配置によって構成することができる。
【0048】なお、図17(a)あるいは図14に示し
た誘導M型帯域通過フィルタにおいては結合容量Cm
接続位置に入出力端子を設けてあるので、信号波の周波
数が高くなると、その結合容量Cm を介して入力信号波
が直接に出力端子に漏洩するおそれが生ずるが、かかる
入出力端子間の直接漏洩を防ぐには、例えば、誘導素子
上における結合容量接続位置と入出力端子接続位置とを
わずかにずらすなどにより、入出力端子間において結合
容量Cm に直列に誘導素子を挿入するのが好適である。
【0049】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、通信機器等に多用される帯域通過フィルタ
を、充分に尖鋭な遮断特性を備えた帯域通過特性を容易
に得るに必要な最小限の回路構成素子数で実現し、しか
も、簡単な構成でセラミック化して量産に適した一体構
成のセラミック構造体の形態に容易に製作し得る、とい
う格別顕著な効果を挙げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a),(b),(c)は並列同調回路のπ/
2線路による結合、容量結合、誘導結合をそれぞれ用
い、また、(d),(e),(f)は直列同調回路のπ
/2線路による結合、並列容量結合、並列誘導結合をそ
れぞれ用いた帯域通過フィルタの回路構成をそれぞれ示
す回路図である。
【図2】(a)および(d)は1段の並列同調回路から
なって1個のトラップを備えた帯域通過フィルタをそれ
ぞれ示す回路図、(b)および(e)はそれぞれの変換
回路を示す回路図、(c)および(f)はそれぞれの帯
域通過フィルタ特性を示す特性曲線図である。
【図3】(a)は並列同調回路と直列同調回路とからな
って2個のトラップを備えた帯域通過フィルタを示す回
路図、(b)はその変換回路を示す回路図、(c)はそ
の帯域通過特性を示す特性曲線図である。
【図4】(a)はマルチパスフィルタの原理的回路構
成、(b)は最も簡単な回路例をそれぞれ示す回路図で
ある。
【図5】(a)および(b),(c)は容量結合および
誘導結合をともに用いた帯域通過フィルタおよびその順
次の変換回路をそれぞれ示す回路図、(d)はその通過
帯域特性を示す特性曲線図、(e)はその回路例を示す
回路図である。
【図6】(a),(b)は図6に示した帯域通過フィル
タの通過帯域特性の計算例をそれぞれ示す特性曲線図で
ある。
【図7】(a),(b)は同じくその他の計算例をそれ
ぞれ示す特性曲線図である。
【図8】(a),(b),(c)は2個のトラップを備
えた帯域通過フィルタの構成原理、基本的回路構成、変
換回路をそれぞれ示す回路図、(d)はその通常帯域特
性を示す特性曲線図である。
【図9】(a)〜(d)は図8に示した帯域通過フィル
タの具体的回路例をそれぞれ示す回路図である。
【図10】(a),(b),(c)は図9に示した帯域
通過フィルタの通過帯域特性の計算例をそれぞれ示す特
性曲線図である。
【図11】(a),(b)は2個の直列同調回路を結合
させた帯域通過フィルタの回路例をそれぞれ示す回路図
である。
【図12】(a)〜(d)は図11に示した帯域通過フ
ィルタの回路例の等価回路をそれぞれ示す回路図であ
る。
【図13】(a),(b)は図11に示した帯域通過フ
ィルタの通過帯域特性の計算例をそれぞれ示す特性曲線
図である。
【図14】図11に示した帯域通過フィルタの具体的回
路構成の例を示す回路図である。
【図15】(a),(b),(c)は図14に示した帯
域通過フィルタの通過帯域特性の計算例をそれぞれ示す
特性曲線図である。
【図16】(a)および(b)〜(d)は誘導結合した
3段複同調回路を備えた帯域通過フィルタおよびその順
次の等価回路をそれぞれ示す回路図、(e)はその通過
帯域特性を示す特性曲線図である。
【図17】(a)は誘導M型帯域通過フィルタの基本構
成を示す回路図、(b)は同じくそのフィルタのセラミ
ック構造体の外観を示す斜視図、(c)は同じくそのセ
ラミック構造体における従来技術による順次の導体パタ
ーンを示す線図である。
【図18】(a)は本発明帯域通過フィルタのセラミッ
ク構造体を示す斜視図、(b),(c)は同じくそのセ
ラミク構造体の縦断面をそれぞれ示す断面図、(d)〜
(f)は同じくそのセラミック構造体の順次の導体パタ
ーンを示す線図である。
【図19】(a)および(b)は同じくそのセラミック
構造体の縦断面および導体パターンの他の例をそれぞれ
示す線図である。
【図20】(a)および(b)は同じくそのセラミック
構造体の縦断面および導体パターンのさらに他の例をそ
れぞれ示す線図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに結合した2個の第1の誘導素子と
    2個の第2の誘導素子とをそれぞれ互いに直列に接続し
    てなる2個の直列接続誘導素子に2個の容量素子をそれ
    ぞれ並列に接続して複同調回路を構成し、前記2個の直
    列接続誘導素子における前記第1の誘導素子と前記第2
    の誘導素子との接続点の相互間に結合用の容量素子を接
    続することにより、前記複同調回路の通過周波数帯域の
    上下に接する遮断周波数帯域にそれぞれトラップを設け
    たことを特徴とする帯域通過フィルタ。
  2. 【請求項2】 接地導体面の相互間に、当該接地導体面
    に近接対向して前記2個の容量素子を構成する容量形成
    導体パターンと、相互に近接配置して前記複同調回路に
    おける前記第1および前記第2の誘導素子を構成する対
    称結合2線路導体パターンとを、誘導体層をそれぞれ介
    して順次に積層し、前記結合2線路導体パターンの一端
    を接地するとともに他端に前記容量形成導体パターンを
    接続し、前記結合2線路導体パターンの中間位置の相互
    間にそれぞれ接続して前記結合用の容量素子を構成する
    導体パターンを近接対向配置するとともに、当該中間位
    置の近傍に入出力端子を接続して構成したことを特徴と
    する請求項1記載の帯域通過フィルタ。
  3. 【請求項3】 前記誘電体層に穿った貫通孔の内壁面に
    被着した導体膜の近接対向配置により前記結合用の容量
    素子を構成したことを特徴とする請求孔2記載の帯域通
    過フィルタ。
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