JPH0634797Y2 - シヤツプレス機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、ワイシャツや作業上衣等のシャツをプレス
仕上げするシャツプレス機に関するものである。

〔従来の技術〕

従来のシャツプレス機は、シャツのサイズ変化に対応す
るため、第１図及び第２図に示すように、胴立１の両側
に膨張収縮自在な空気袋２、２を備ると共に、胴立１の
前面下端に、空気袋２、２が膨張した際にシャツの前身
頃が開き過ぎないようにその前身頃下部を押さえる前押
え具３を設けている。プレス加工は、胴立１に被せたシ
ャツの前身頃下部を前押え具３で押さえ、空気袋２、２
を膨張させてシャツＡを膨満させた状態で、そのシャツ
の前後面を、熱板４、４により胴立１に圧着して行なわ
れる。

この種の前押え具３には、通常、図示のようなＴ字形の
板バネが用いられており、これは、板バネの下端を胴立
の下部に固着して、その上端がバネ力によりシャツを胴
立に押さえて前身頃を固定する。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところで、上記従来の前押え具は、シャツ前身頃を動か
ないように固定することを目的として、強い押さえ力を
得るため、板厚の厚い板ばね材が用いられており、この
ため、熱板で圧着した際、第６図に示すように、前押え
具３′が胴立１前面のパッド材内部に深く喰い込んだ状
態になり、前押え具３′の押さえ部にシャツのボタンが
重なると、ボタン割れが起こるという問題がある。ま
た、シャツをパット内に強く喰い込ませるために、プレ
ス後のシャツには強い圧着跡が残る。

さらに、シャツは、カラー部の固定具（図示省略）と前
押え具３′とで動かないように固定されるため、第７図
に示すように、空気袋２、２が膨張してシャツを膨満さ
せた場合、シャツ前身頃の中央部分だけが大きく開いて
わん曲し、この状態で熱板４、４の圧着を行なうと、シ
ャツが崩れた形状で成形されて極めて悪い仕上りになる
不具合がある。

この考案は、上記の問題を解決することを目的としてな
されたものである。

〔問題点を解決するための手段〕

上記の問題を解決するため、この考案は、前押え具のバ
ネ力を、そのバネ力によって生じるシャツの前身頃と胴
立表面間の摩擦力が空気袋の膨張によってシャツの加わ
る力よりも小さく、かつ胴立が回転した時の風圧によっ
てシャツに加わる力よりも大きくなるように設定し、前
押え具の板厚と胴立表面の弾性力を、熱板の圧着時にシ
ャツのボタンの厚みが弾性変形する前押え具と胴立表面
の間で吸収され、ボタンが割れない範囲でシャツが前押
え具に保持される大きさで設定したのである。

上記前押え具３の板厚と胴立１表面の弾性力は、実操業
又は実験等の中で各種のボタンに対する効果をもとに決
定する。すなわち、第３図及び第４図に示すように、ボ
タンＢと重なった前押え具３が熱板４により胴立１に圧
着されてパッド内に喰い込んだ際、前押え具３と胴立１
表面の変形によりボタンＢの厚みが吸収されてボタンが
割れない程度の大きさを各種のボタンについてだし、そ
れから統計的に決定するものである。

また、前押え具３のシャツ前身頃を胴立１に押さえるバ
ネ力は、以下の２点のことを考慮して決定する。

その１点は、シャツが極めて容易に外れない程度、即
ち、複数の胴立を回転させて熱板間のプレス位置に順次
移動させる回転式シャツプレス機などの場合、その回転
時シャツにかかる風圧などでシャツ前身頃が外れない以
上の力で決定する。２点目は、空気袋２、２が膨張し
て、シャツの前身頃がわん曲する寸前まで膨満した際、
前押え具３がシャツのずれを完全に止めない大きさの範
囲内で決定する。

上記のように決定することにより、第５図に示すよう
に、プレス時における前押え具３の胴立１への喰い込み
量が、第６図に示す従来の前押え具の場合に比べて小さ
くなり、また、前押え具３のコーナ部とシャツとの接触
部分での屈曲度合が緩和されるために、シャツに残る圧
着跡が著しく小さくなる。

また、第２図に示すように、空気袋２、２が膨張してシ
ャツがわん曲寸前まで膨張すると、シャツが前押え具３
の固定から外れて左右にスライドし、シャツはわん曲せ
ず自然な膨満状態になる。このため、次に熱板４が圧着
してプレスした場合、自然な形に形成されることにな
り、美しいプレス仕上りを得ることができる。

〔考案の効果〕

この考案は、以上のように前押え具のバネ力と板厚、及
び胴立表面の弾性力を設定したものであるから、ボタン
が割れる事故を防止することができ、また、空気袋の膨
張や胴立回転の風圧によるシャツ前身頃の不都合なわん
曲が防止されると共に、圧着跡が小さくなり、美しいプ
レス仕上げを行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係るシャツプレス機の側面図、第２
図は同上の正面図、第３図は同上の作用を示す一部省略
正面図、第４図及び第５図はそれぞれ同上の作用を説明
する断面図、第６図は従来例の作用を示す断面図、第７
図は従来例の作用を示す正面図である。 １……胴立、２……空気袋、３……前押え具、４……熱
板、Ａ……シャツ、Ｂ……ボタン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】両側に空気袋を備えた胴立の下部に、バネ
   力によって胴立表面に圧接する前押え具の下端を固定
   し、胴立に被せたシャツの前身頃下部を前押え具で押さ
   えた状態でそのシャツの前後面を熱板で圧着するシャツ
   プレス機において、上記前押え具のバネ力を、そのバネ
   力によって生じるシャツの前身頃と胴立表面間の摩擦力
   が空気袋の膨張によってシャツの加わる力よりも小さ
   く、かつ胴立が回転した時の風圧によってシャツに加わ
   る力よりも大きくなるように設定し、前押え具の板厚と
   胴立表面の弾性力を、熱板の圧着時にシャツのボタンの
   厚みが弾性変形する前押え具と胴立表面の間で吸収さ
   れ、ボタンが割れない範囲でシャツが前押え具に保持さ
   れる大きさで設定したことを特徴とするシャツプレス
   機。