JPH06346799A - 希薄燃焼ガス機関の燃料供給・制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の希薄燃焼ガス機関の燃料供給・制御
装置の目的は、ガス昇圧機が小形低価格で且潤滑油が自
動補給され、吐出ガスに混入する潤滑油を分離回収して
ガス機関への吸入を防止し、且ガス機関の負荷変動に自
動追従し、過回転を防止負荷速応性を向上し且機関停止
所要時間を短縮し、停止後の安全性及び再始動性を向上
する希薄燃焼ガス機関の燃料供給装置を提供することに
ある。 【構成】 小形ガスコンプレッサ１１を用いて副燃料ガ
スを昇圧する副燃料ガスコンプレッサユニット７と、コ
ンプレッサ１１の吐出ガス中の油分を分離回収再利用す
るオイルセパレータユニット９と、コンプレッサ１１に
潤滑油を自動補給する潤滑油自動補給装置１２，１３
と、副燃料ガスの供給と圧力を制御しガス機関の運転を
円滑に行う副燃料ガスバルブユニット１０とを有して成
ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は希薄燃焼ガス機関の副燃
料ガス供給及び装置制御によってガス機関の運転制御を
行うシステムに関する。

【０００２】

【従来の技術】希薄燃焼ガス機関の従来のガス昇圧装置
においては、潤滑油が吐出ガス中に混入しない形式のガ
スコンプレッサ、圧力制御装置、水冷ガスクーラ、及び
ガスレシーバを備えている。これらは量産効果が期待で
きないし、専有技術のため高価である。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】従来の技術には次の不
具合がある。 （１）ガス昇圧機の小形化が困難 ガスコンプレッサの潤滑油がガス機関に浸入するのを防
ぐために従来はオイルフリーコンプレッサを用いている
が装置の小形化に限度がありかつ高価である。 （２）ガス昇圧機の油分離、回収 従来はオイルフリーコンプレッサを用いているがこれは
普通の圧縮機では吐出ガスの油分離をしなければならな
い不具合があるからで、この問題を解決すれば普通の圧
縮機を使用できる。

【０００４】（３）ガス昇圧機の潤滑油補給 油分離器を用いてもガス中の油分を１００％分離回収は
できない。又蒸発による消耗もあるため昇圧機には潤滑
油を補給しなければならない。又補給する油のタンクも
必要である。 （４）副燃焼ガス供給圧力の制御 副燃焼ガスはターボチャージャを介さず燃焼室に直接供
給されるため機関出力即ち過給圧力と関係をもった圧力
で供給されなければならない。

【０００５】本発明の目的は前記従来装置の問題を解決
し、ガス昇圧装置が小形低価格で且潤滑油が自動補給さ
れ、吐出ガスに混入する油分を分離回収してガス機関へ
の吸入を防止し、且ガス機関の負荷変動に自動追従し過
回転の防止と負荷速応性を向上し、且機関停止所要時間
を短縮し、機関停止後の安全性と再始動性を向上し、ガ
ス機関の回転異常上昇を抑制した希薄燃焼ガス機関の燃
料供給・制御装置を提供するにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明に係る希薄燃焼ガ
ス機関の燃料供給・制御装置は、小形ガス昇圧機（油混
入形）１１を用いて副燃焼ガスを昇圧するガス昇圧装置
７と、前記ガス昇圧装置の吐出口に連結された潤滑油分
離回収装置９と、前記ガス昇圧機に潤滑油を自動補給す
る潤滑油自動補給装置１２，１３と、前記潤滑油分離・
回収装置の出口に連結されている副燃料ガスバルブユニ
ット１０とを有して成ることを特徴とする。

【０００７】

【作用】

（１）ガス昇圧機 該昇圧機は電動機によりＶベルト掛けで駆動され、吐出
量はＶベルトプーリの径によりきめる。運転／停止は電
動機の電源の入／切又はガス昇圧機の電磁クラッチの接
／断で行なう。ガス昇圧機の吐出側にガス昇圧機の運転
／停止条件設定用の圧力スイッチと、作動圧力を停止条
件より高く設定された異常高圧対応用の圧力スイッチ
と、作動圧力を運転条件より低く設定された異常低圧対
応用の圧力スイッチとが設けられ、前記ガス昇圧機を運
転制御する。

【０００８】（２）ガスの油の分離、回収作用 本発明で昇圧機として使用する圧縮機は吸入弁と吐出弁
を潤滑するために吐出ガス中には潤滑油を混入してい
る。この潤滑油がガスと共にガス機関に吸入されると燃
焼の結果吸入系や燃焼室の汚損を招き異常着火や圧縮漏
れを起す。その為昇圧機の吐出側に油分離器が並列及び
直列に複数設けられておりガス流速を低くして潤滑油の
回収率を向上させている。更にアンロード弁によるガス
の再循環による吐出ガス及び昇圧機の温度上昇を抑え、
潤滑油の蒸発防止のため空冷のガスクーラを設けてもよ
い。分離回収された潤滑油はオイルフィルタを通した後
昇圧機へ戻し再利用される。

【０００９】（３）ガス昇圧機への潤滑油自動補給 ガス機関を運転する場合、ガス昇圧機の潤滑油の消耗は
さけられない。ガス機関を連続して運転するために、昇
圧機の油面に油面スイッチを設け、定められた位置まで
低下すると前記油面スイッチが入ってソレノイドバルブ
を開き潤滑油タンクの潤滑油を供給し、油面が一定の高
さに達すると油面スイッチが切れてソレノイドバルブが
閉じ潤滑油の供給を止める。前記潤滑油タンクはガス機
関の潤滑油タンクを共用する。

【００１０】（４）副燃料ガス供給圧力の制御 昇圧機吐出ガス圧力の制御で、吐出ガス管に圧力スイッ
チを設け、その圧力スイッチで昇圧機駆動用電動機を運
転／停止させるのは電動機の耐久性に問題を生じ、昇圧
機の電磁クラッチを接／断するのは電磁クラッチに問題
を生じ易い。更に前記２方法共に吐出ガス圧力が変動
し、その結果ガス機関への供給圧力も変動するため機関
の回転不整を招く。そこで吐出側と吸入側との間に可変
形減圧弁を設け、昇圧機吐出側圧力がある値以上になる
とアンロードできる。圧力異常に対しては（１）項に記
した圧力スイッチが働く。

【００１１】（５）供給装置の制御 希薄燃焼ガス機関の中でトーチ点火方式に相当するもの
は、燃焼に供される燃料の大部分にあたる希薄混合気を
作るための主燃料ガス供給系と、トーチ火炎となる過濃
混合気を作るための副燃料ガス供給系の２系統の燃料供
給装置を有する。一般的に主燃料ガス供給系はスピード
ガバナによる調速負荷追従機能を有するが副燃料ガス系
を簡素化する場合スピードガバナを設けない。従って機
関の始動性に適合させて副燃料ガスの供給開始を行うた
めに、昇圧機の電動機の運転と電磁クラッチの接続を行
う。機関停止時、速やかに回転を低下させるため昇圧機
を停止し供給ガス出口に設けた遮断弁を閉じるとともに
残圧を解放するためパージ弁を開いて吐出側を吸入側へ
導通させる。

【００１２】機関運転中に負荷が急減の場合、例えば発
電機負荷遮断の際、副燃料ガス供給圧力は負荷遮断に即
応して追従させるのが困難なため機関の過回転を招くこ
とがある。従ってスピードガバナに一定以上の過回転を
検知したことの信号出力を設け、この信号が出ている期
間供給ガス出口の遮断弁を閉じる。機関の始動／停止は
一定のタイムスケジュールに基づいて自動的に行い、機
関の自力回転上昇がなされず始動に失敗した場合はこれ
を検知し、供給ガスを遮断してパージ弁を開いた後一定
時間クランキングを継続して未燃ガスの排出を図り次回
の始動性を高め、又一定時間以内に定格速度に到達しな
い場合機関制御異常として故障停止させる。

【００１３】

【実施例】本発明に係る実施例を図１，２によって説明
する。図１は実施例の副燃料ガス供給装置の系統図、図
２は副燃料供給装置を主とした燃料ガスによる機関制御
方法を示す図である。図において、１は主燃料ガス機器
ユニットでガス機関の燃料ガスの大部分を供給する装置
である。２はガス制御弁で主燃料ガス機器ユニット１に
接続され電子スピードガバナコントローラを用いて制御
され主燃料ガス量を調整して空気と混合するためのもの
である。３はターボチャージャで主燃料ガスと空気の混
合気を加圧する。４はアフタクーラでターボチャージャ
３の吐出口に接続されている。５は給気マニホルドでア
フタクーラ４に接続されている。６は気筒でマニホルド
５に接続されている。７は副燃料ガスコンプレッサユニ
ットで吸入ガスを主燃料ガス機器ユニット１内から取
り、コンプレッサ油面スイッチ１２、電磁弁１３を有す
る。１１はコンプレッサである。１２は油面スイッチで
コンプレッサ１１の潤滑油面に設けられている。１３は
電磁弁で潤滑油タンクとコンプレッサ１１を連通する管
に設けられて油面スイッチ１２により開閉される。

【００１４】８はガスクーラで副燃料ガスコンプレッサ
ユニット７の出口に連結されている。９はオイルセパレ
ータユニットで油分離器とオイルフィルタ１７を有す。
１４，１５，１６は何れも油分離器で並列に接続されガ
スクーラ８に接続されている。油分離器１４，１５，１
６の油管は集合されオイルフィルタ１７を通してコンプ
レッサ１１に連結されている。１７はオイルフィルタで
油分離器１４，１５，１６に連結されている。１０は副
燃料ガスバルブユニットでオイルセパレータユニット９
に連結され多くのガス弁圧力計を有す。１８はレギュレ
ータで均圧式でアフタクーラ４の内部の圧力で作動しオ
イルセパレータユニット９のガス管に接続されている。

【００１５】１９はガス圧力計でレギュレータ１８の出
口側に設けられている。２０は手動の調整弁でレギュレ
ータ１８の出口側に設けられている。２１は電磁式の遮
断弁で調整弁２０の出口側に連結され、出口側はシリン
ダ６に連結されている。２２はアンロード弁でレギャレ
ータ１８の入口側と副燃料ガスコンプレッサユニット７
の入口側との間に設けられている。２３はパージ弁でレ
ギュレータ１８の入口側と主燃料ガス機器ユニット１の
間に設けられている。２４は圧力スイッチでレギュレー
タ１８の入口側に設けられ定められた圧力より高い圧力
で作動する。２５は圧力スイッチでレギャレータ１８の
入口側に設けられ定められた圧力より低い圧力で作動す
る。２６は圧力スイッチで昇圧機１１の運転／停止を行
う。

【００１６】前記実施例の作用を説明する。主燃料ガス
機器ユニット１は外から供給される燃料ガスを受け入れ
一部を副燃料用に分け残りをレギュレータ、元締弁を通
してガス制御弁２へ送る。ガス制御弁２は電子スピード
ガバナコントローラに制御されて主燃料ガスを調整して
空気に混合する。ターボチャージャ３は主燃料ガスと空
気の混合気を吸入して圧縮する。アフタクーラ４は前記
圧縮された混合気を冷却して給気マニホルド５へ送る。
前記混合気は給気マニホルド５から各シリンダ６に吸入
される。

【００１７】副燃料ガスコンプレッサユニット７では主
燃料ガス機器ユニット１内で分けられた燃料ガスをコン
プレッサ１１が吸入し圧縮してアフタクーラ８へ送る。
油面スイッチ１２はコンプレッサ１１の潤滑油面が定め
られた高さ以下になるとスイッチが入り電磁弁１３が開
きガス機関の潤滑油タンクの潤滑油がコンプレッサ１１
に流入し潤滑油面が定められた高さに達するとスイッチ
が切れ電磁弁１３が閉じ潤滑油の流入が止る。ガスクー
ラ８は副燃料ガスコンプレッサユニット７で圧縮されて
吐出される燃料ガスを冷却する。オイルセパレータユニ
ット９はガスクーラ８から流入するガスを油分離器１
４，１５，１６に並列に流し混入する油分を捕捉して油
は集めてオイルフィルタ１７を通してコンプレッサ１１
へ戻し、燃料ガスは副燃料ガスバルブユニット１０へ流
す。

【００１８】副燃料ガスバルブユニット１０は燃料ガス
をレギュレータ１８がアフタクーラ４の圧力によって調
整される圧力に調圧して、調整弁２０、遮断弁２１を通
してシリンダ６へ送る。アンロード弁２２は送られる燃
料ガスの余分を吸入側へ戻す。パージ弁２３は前記ガス
機関停止時に開かれコンプレッサ１１以降の残留ガスを
主燃料ガス機器ユニット１へ逃し、前記ガス機関に吸入
させる。圧力スイッチ２４は圧力が定められた圧力より
高くなると検知し、圧力スイッチ２５は圧力が定められ
た圧力より低くなると検知し、それぞれ前記ガス機関を
緊急停止するために使用され、圧力スイッチ２６はコン
プレッサ１１の運転／停止を行うために使われる。

【００１９】各気筒６は図示しない機関吸入機構を経て
マニホルド５から吸入する主燃料と空気との希薄混合気
で充填され、副燃料ガスバルブユニット１０から送られ
る副燃料に点火プラグにより点火された火炎によって着
火され完全燃焼する。

【００２０】

【発明の効果】本発明は前記のとおり構成されているの
で次の効果がある。 （１）副燃料ガスコンプレッサユニットは小形低価格化
され、且潤滑油自動補給により連続運転されガス機関の
潤滑油タンクと共用することで簡素化され、且主燃料ガ
ス機器ユニットの電磁弁下流からのガス吸入で安全性が
確保される。 （２）潤滑油分離回収装置は、ガス機関への潤滑油の吸
入を防止するとともに回収した潤滑油の再利用を可能に
し吐出ガスのアキュムレータとしての効果がある。

【００２１】（３）副燃料ガスバルブユニットは均圧式
レギュレータによりガス機関の負荷変動に自動追従し、
アンロード弁によりコンプレッサの耐久性を向上し且供
給ガスの圧力を安定させる。電磁式の遮断弁によりガス
機関の過回転防止と負荷遮断性能の向上、機関停止所要
時間短縮、パージ弁によりガス機関停止後の安全性と、
再始動性の向上、パージガス戻りを主燃料ガス機器ユニ
ットのレギュレータ入口にしたためガス機関の回転異常
上昇を抑制できる。 （４）副燃料ガス供給装置全体としてオイルセパレータ
ユニットからの油を重力でコンプレッサへ戻すので、副
燃料ガスコンプレッサユニットを下段に副燃料ガスバル
ブユニットを上段に配置して３段重ねの全体装置に構成
できるため小形小スペース化ができる。

【００２２】よって本発明はガス昇圧装置が小形低価格
で且潤滑油が自動補給され、吐出ガスに混入する油分を
分離回収してガス機関への吸入を防止し、且ガス機関の
負荷変動に自動追従し過回転の防止と負荷速応性を向上
し且機関停止所要時間を短縮し、機関停止後の安全性、
再始動性を向上しガス機関の回転異常上昇を抑制した希
薄燃焼ガス機関の燃料供給・制御装置を提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る実施例の副燃料ガス供給装置の系
統図。

【図２】本発明に係る実施例の副燃料ガス供給装置を主
とした燃料ガスによる機関制御方法を示す図。

【符号の説明】

１…主燃料ガス機器ユニット、２…ガス制御弁、３…タ
ーボチャージャ、４…アフタクーラ、５…給気マニホル
ド、６…シリンダ、７…副燃料ガスコンプレッサユニッ
ト、８…ガスクーラ、９…オイルセパレータユニット、
１０…副燃料ガスバルブユニット、１１…コンプレッ
サ、１２…油面スイッチ、１３…電磁弁、１４，１５，
１６…油分離器、１７…オイルフィルタ、１８…レギュ
レータ、２０…調整弁、２１…遮断弁、２２…アンロー
ド弁、２３…パージ弁、２４，２５，２６…圧力スイッ
チ。

フロントページの続き (72)発明者 西 義三郎 神奈川県相模原市田名3000番地 三菱重工 業株式会社相模原製作所内 (72)発明者 嘉戸 貴志 神奈川県相模原市田名3000番地 三菱重工 業株式会社相模原製作所内 (72)発明者 榎本 鉄雄 神奈川県相模原市田名3000番地 エム・エ イチ・アイさがみハイテック株式会社内 (72)発明者 金平 真人 神奈川県相模原市田名3000番地 エム・エ イチ・アイさがみハイテック株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 希薄燃焼ガス機関において、小形ガス昇
   圧機（油混入形）（１１）を用いて副燃料ガスを昇圧す
   るガス昇圧装置（７）と、前記ガス昇圧装置の吐出口に
   連結された潤滑油分離、回収装置（９）と、前記ガス昇
   圧機に潤滑油を自動補給する潤滑油自動補給装置（１
   ２）（１３）と、前記潤滑油分離回収装置の出口に連結
   されている副燃料ガスバルブユニット（１０）とを有し
   て成ることを特徴とする希薄燃焼ガス機関の燃料供給・
   制御装置。