JPH06345561A - 象嵌の装飾部材 - Google Patents

象嵌の装飾部材

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JPH06345561A
JPH06345561A JP16640293A JP16640293A JPH06345561A JP H06345561 A JPH06345561 A JP H06345561A JP 16640293 A JP16640293 A JP 16640293A JP 16640293 A JP16640293 A JP 16640293A JP H06345561 A JPH06345561 A JP H06345561A
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Mutsumi Kuroda
睦 黒田
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  • Aftertreatments Of Artificial And Natural Stones (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 石材模様の凹部を有効に利用して、金属メッ
キ層が剥離するのを防止する。簡単かつ容易に、しかも
安価に多量生産できて、美しい表面模様とする。 【構成】 基板を石板1とする。石板1は、石の模様よ
って形成される不規則な凹部2を有する。研磨面を表面
に有する。石板1の研磨面には、凹部2に侵入して導電
層3を密着している。導電層3の表面には金属メッキ層
4を形成している。金属メッキ層4は、石板1の凹部2
に侵入して研磨面に密着する導電層3を介して石板1の
表面に積層されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、基板の表面に金属面を
表出させている象嵌の装飾部材に関する。
【0002】
【従来の技術】象嵌の装飾部材は、基板の表面に、部分
的に金属を嵌入したものである。象嵌の装飾部材には、
銅や鉄等の金属、シタンやコクタン等の木材、あるいは
陶磁器等が使用される。嵌入される金属には、金や銀が
使用される。象嵌の装飾部材として最も一般的な金属板
の象嵌は、金属板である基板表面に凹部を設け、ここに
金や銀等を叩いて嵌入して製作される。基板を陶磁器と
する象嵌の装飾部材は、生地の表面に押型で凹部を設
け、この凹部に異色の粘土を詰め、さらに表面に透明の
ゆう薬を塗って焼成したものである。
【0003】この装飾部材は、机のテーブルの全面に、
あるいは一部に埋設して使用される。さらに、象嵌の装
飾部材は、ドアの装飾、家具の装飾等にも使用できる。
象嵌の装飾部材は、天然石の模様と、光沢のある金属と
で美しくできる特長がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このようにして製造さ
れる象嵌の装飾部材は、製造に手間がかかり、製造コス
トが高くなる欠点がある。特に、金属模様を複雑にする
と製造コストが著しく高騰する欠点がある。石材を金属
部分の形状に切削するのに手間がかかるからである。
【0005】本発明者は、この欠点を解消するために、
石材の表面に、金色、まはた銀色の塗料をスクリーン印
刷した装飾部材を開発した。この装飾部材は、塗料を選
択することによって、象嵌の装飾部材に近似する表面状
態に仕上げることができる。しかしながら、いかに塗料
を選択しても、金属の表面と同じ光沢とすることはでき
ない。このため、安物のイメージが払拭できない。
【0006】この欠点は、実開昭61−164797号
公報に記載されるように、石材の表面を金属メッキする
ことで解消できる。この公報には、平滑化された石材の
表面に化学メッキ処理によって金属メッキ層を設け、動
物や人物を象った置物とする技術が記載される。本発明
者は、この公報に記載される技術を改良して象嵌の装飾
部材を試作した。この装飾部材は、文字や図形の模様に
導電層を印刷し、導電層の表面を金属メッキしたもので
ある。この装飾部材は、金属メッキによって、金属と同
一の極めて綺麗な光沢とすることができる。そして、こ
の構造の装飾部材は、従来のように石材の一部を切削す
ることなく、自然の石と、光沢のある金属とで表面を美
しく装飾できるので、簡単かつ容易に、しかも安価に多
量生産できる特長がある。
【0007】この装飾部材は、次のようにして製造でき
る。 石材の表面を平滑に研磨する。 石材の表面に導電層を設ける。導電層は、例えば導
電塗料をスクリーン印刷して石材の表面に接着する。ス
クリーン印刷によって、石材は、金属メッキする部分に
局部的に導電層が設けられる。導電層は、例えば、文字
や図形の模様に設けられる。 焼成して、導電層に含まれる有機質のバインダー成
分を除去する。 石材を金属メッキして、導電層の表面に金属メッキ
層を積層する。金属メッキするとき、導電層のない石材
表面はメッキされない。メッキ工程で電気が流れないか
らである。
【0008】以上の工程で、石材の一部を綺麗な金属模
様とする象嵌の装飾部材を製造できる。このようにして
製造できる装飾部材は、従来の象嵌の装飾部材と同じ表
面状態にできる優れたものであるが、耐久性がなく、金
属メッキが石材表面から剥離しやすい欠点があった。金
属メッキ層が剥離しやすい象嵌の装飾部材は、用途が著
しく制限される。机のテーブルのように、物が接触する
部分には使用できないからである。
【0009】金属メッキ層の剥離を防止する技術は、特
公平2−43707号公報に記載されている。この公報
には、ラセミック材料をアルカリ金属水酸化物溶液で処
理し加熱して粗面化した後、化学メッキすることによ
り、セラミック材料に接着強固な金属メッキ層を設ける
技術が記載される。この技術は、石材の表面に部分的に
金属メッキ層を設ける象嵌の装飾部材に利用できる。し
かしながら、この構造の象嵌の装飾部材は、石材の表面
を粗面化処理するのに手間がかかるばかりでなく、美し
い表面状態の装飾部材とすることができない。それは、
粗面化した石材表面の艶がなくなるからである。このた
め、石材全面に金属メッキ層を設けた装飾部材には利用
できるが、石材表面に局部的に金属メッキ層を形成した
装飾部材には使用できない。金属メッキ層をいかに強固
に接着できても、装飾部材の表面を綺麗にできないもの
はとうてい製品にならない。
【0010】本発明は、従来のこれ等の欠点を解消する
ことを目的に開発されたものである。本発明の重要な目
的は、石材の模様によってできる凹部を利用して金属メ
ッキ層が剥離するのを効果的に防止する象嵌の装飾部材
を提供することにある。また、本発明の他の目的は、簡
単かつ容易に、しかも安価に多量生産して、極めて美し
い表面の象嵌模様にできる装飾部材を提供するにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の象嵌の装飾部材
は、前述の目的を達成するために下記の構成を備える。
装飾部材は、石板1の表面に部分的に金属面を表出させ
ている。石板1は、表面に、石の模様よって形成される
不規則な凹部2を有する。石板1の研磨された表面に、
導電層3を介して金属メッキ層4を形成している。
【0012】石の模様によって不規則な凹部2のある石
板1として最適な石に大理石がある。大理石は、無数の
小さいブロックを集合した天然石で独得な模様をしてい
る。小ブロックの間に筋状に凹部2がある。凹部2は自
然にできている。自然にできた不規則な凹部2は、ここ
に侵入する金属メッキ層4の剥離を防止する。
【0013】
【作用】本発明の象嵌の装飾部材は、石材に、石の模様
によってできる不規則な凹部2のある石板1を使用す
る。石板1の不規則な凹部2には、表面に積層する導電
層3と金属メッキ層4の一部が侵入する。部分的に石板
1の凹部2に侵入した導電層3と金属メッキ層4とは、
凹部2に侵入する部分が錨のように作用して、導電層3
と金属メッキ層4とを強固に固着する。したがって、導
電層3と金属メッキ層4の剥離が効果的に防止され、種
々の用途に使用できる。
【0014】さらに、本発明の象嵌の装飾部材は、導電
層3と金属メッキ層4とを固定するために、石板1の表
面を特別に加工する必要がない。石の模様によってでき
る不規則な凹部2を利用して、導電層3と金属メッキ層
4とを付着させるからである。したがって、導電層3と
金属メッキ層4の剥離を防止するために、製造コストが
高くなることがなく、また、石材独得の美しい表面模様
を低下することもない。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想
を具体化するための象嵌の装飾部材を例示するものであ
って、本発明の装飾部材を下記のものに特定するもので
ない。
【0016】さらに、この明細書は、特許請求の範囲を
理解し易いように、実施例に示される部材に対応する番
号を、「特許請求の範囲の欄」、「作用の欄」、および
「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付
記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、
実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0017】図1に示す象嵌の装飾部材は、石材の表面
に金属メッキ層4を設けて装飾している。石材は、図2
に示すように、石の模様よって形成される不規則な凹部
2を有する。凹部2のある石板1は、大理石を板状に加
工したものである。大理石は、結晶質石灰岩である方解
石が結合したもので、石灰岩の変成岩である。方解石が
結合した大理石は、方解石の境界に隙間がある。大理石
は、方解石の配列によって、天然石独得の模様を有し、
また、模様に対応して凹部2を有する。このため、大理
石は、人工的に表面に凹部2を設けることなく、模様に
対応した凹部2を表面に有する。
【0018】天然の大理石に代わって、天然の石を粒状
に破砕してコンクリート等のバインダーで板状に結合し
た石材も使用できる。この石材は、天然の石を、例えば
平均粒子径を1〜5mmの粒状に破砕し、これをバイン
ダーで結合した後、表面を平滑に研磨して製造される。
研磨した石材の表面には、破砕した石粒の間に凹部2が
できる。石粒の間に凹部2を設けるために、バインダー
添加量を少なくする。バインダー添加量が多いと、石粒
はバインダーに埋設されて、石粒の間に隙間ができない
が、バインダー添加量を少なくすると、隣接する石粒が
接点で結合されて、石粒の間に隙間ができる。隙間のあ
る石材は、表面を研磨すると、石粒の間に凹部2ができ
る。この石材は、石粒で不規則な石の模様ができ、ま
た、石模様によって凹部2ができる。バインダーにコン
クリートのように多孔質なものを使用して、石粒の間に
凹部2を設けることもできる。多孔質のバインダーで石
粒を結合し、表面を研磨すると、多孔質のバインダーに
よって、石粒の間に凹部2ができる。平面研磨によっ
て、多孔質の気泡が表面に表出するからである。
【0019】石の模様よって形成される不規則な凹部2
を有する石板1は、研磨された表面に、導電層3を介し
て金属メッキ層4を積層している。導電層3は、導電ペ
ーストをスクリーン印刷して、図2に示すように、石材
の表面に塗布する。導電層3は、表面に金属メッキ層4
を形成するときに、下地の電極となる。導電層3は、図
2の拡大断面図に示すように、石材表面の凹部2に錨の
ように侵入して接着される。石材に、文字や図形の金属
メッキ層4を設けるときには、金属メッキ層4と同じ形
状に導電層3を印刷する。
【0020】導電層3に使用する導電ペーストには、導
電性の粉をバインダーに分散したもの、たとえば、「奥
野製薬工業株式会社製のCCP−4010F」を使用す
る。導電ペーストは、250〜400メッシュのスクリ
ーンを使用し、スクリーン印刷によって石材表面に塗布
される。ただ、スクリーン印刷に限らず、筆や刷毛で石
材の表面に塗布することもできる。石材に塗布した導電
ペーストは、120〜150℃で数分間加熱して乾燥す
る。その後、400〜600℃で焼成して、バインダー
を焼失させる。
【0021】導電層3を設けた石板1を化学銅メッキ液
に浸漬して、導電層3の表面を無電解銅メッキする。無
電解銅メッキ液には、フェーリングホルマリン浴を使用
する。メッキ速度は1.5μm/時間、膜厚は0.3〜
0.4μm、メッキ時間は10分とする。無電解銅メッ
キに代わって、銀、あるいはニッケルを無電解メッキす
ることもできる。
【0022】無電解ニッケルメッキの上に、電気銅メッ
キをする。電気銅メッキは、無電解ニッケルメッキとニ
ッケルメッキとの間に積層される。この電気銅メッキ
は、表面のニッケルメッキが、無電解ニッケルメッキの
表面から剥離するのを防止するために下地メッキ層とし
て積層される。電銅メッキは2段階に行う。第1段階は
45g/リットルの硫酸銅水溶液と、2.5g/リット
ルの硫酸水溶液を混合した銅メッキ浴を使用する。第2
段階は、200g/リットルの硫酸銅水溶液と、50g
/リットルの硫酸水溶液とを混合した酸性銅メッキ浴を
使用する。電流密度は2A/dm2とする。電気銅メッ
キの膜厚は、30〜40μmとする。
【0023】電気銅メッキ層の上に、さらにニッケルを
一般の電気メッキとして積層する。ニッケルメッキは、
硫酸ニッケル240g/リットルと、塩化ニッケル45
g/リットルと、ホウ酸30g/リットルの水溶液を混
合した浴を使用し、電流密度を2A/dm2として15
分メッキする。
【0024】電気ニッケルメッキの上に、金メッキをす
る。金メッキは、シアン金カリ20g/リットル、クエ
ン酸30g/リットルを混合してpHを5〜6とし、浴
温を90℃、電流密度を1A/dm2、メッキ時間を1
0分とする。
【0025】
【発明の効果】本発明の装飾部材は、部分的に金属を埋
設した従来の象嵌の装飾部材に勝とも劣らない極めて美
しい模様と、耐久性とを実現でき、しかも、石の不規則
な模様と、金属の光沢とを利用して、高級にして綺麗な
表面模様の製品を、簡単かつ容易に、しかも安価に多量
生産できる特長がある。とくに、複雑な金属メッキで高
級な象嵌の装飾部材を、能率よく多量生産できる特長が
ある。それは、本発明の象嵌の装飾部材が、石の不規則
な模様を利用し、石の模様によってできる凹部に導電層
と金属メッキ層とを局部的に侵入させ、この部分で導電
層と金属メッキ層とを石板の表面に強固に固定するから
である。
【0026】とくに、本発明の象嵌の装飾部材は、石の
不規則な模様による凹部を利用して、導電層と金属メッ
キ層とを固着するので、導電層と金属メッキ層の接着強
度を改善するために、石板を加工する必要がなく、ま
た、石板の表面模様を変更する必要もない。このため、
例えば、石板に天然あるいは人工の大理石等の石板を使
用し、その表面に金属メッキ層を設けることによって、
従来の象嵌の装飾部材では実現できない複雑にして崇高
な模様の金属メッキ層を能率よく設けることができる。
したがって、本発明の象嵌の装飾部材は、使用するとき
に金属メッキ層か剥離しやすい机のテーブル等の用途に
も使用でき、種々の用途に高級な装飾部材として使用で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例にかかる象嵌の装飾部材を
示す斜視図
【図2】 本発明の象嵌の装飾部材の要部拡大断面図
【符号の説明】
1…石板 2…凹部 3…導電層 4…金属メッキ層

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の表面に部分的に金属面を表出させ
    てなる象嵌の装飾部材において、 基板が石板(1)で、石板(1)は、石の模様よって形成され
    る不規則な凹部(2)を有する研磨面を表面に有し、この
    石板(1)の研磨面には、凹部(2)に侵入して導電層(3)が
    密着されて、この導電層(3)の表面には金属メッキ層(4)
    が形成されており、金属メッキ層(4)が、石板(1)の凹部
    (2)に侵入して研磨面に密着する導電層(3)を介して石板
    (1)の表面に積層されてなることを特徴とする象嵌の装
    飾部材。
JP16640293A 1993-06-10 1993-06-10 象嵌の装飾部材 Expired - Lifetime JPH0794348B2 (ja)

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JPH0794348B2 JPH0794348B2 (ja) 1995-10-11

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010120810A (ja) * 2008-11-19 2010-06-03 Esubitsuku Kk コンクリートブロックの象嵌加工方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010120810A (ja) * 2008-11-19 2010-06-03 Esubitsuku Kk コンクリートブロックの象嵌加工方法

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