JPH06344743A - サスペンションのスカイフック制御装置 - Google Patents

サスペンションのスカイフック制御装置

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JPH06344743A
JPH06344743A JP13868293A JP13868293A JPH06344743A JP H06344743 A JPH06344743 A JP H06344743A JP 13868293 A JP13868293 A JP 13868293A JP 13868293 A JP13868293 A JP 13868293A JP H06344743 A JPH06344743 A JP H06344743A
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JP13868293A
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Inventor
Naoki Yamada
田 直 樹 山
Satoshi Onozawa
野 沢 智 小
Shigetaka Isotani
谷 成 孝 磯
Kazuo Ogawa
川 一 男 小
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Toyota Motor Corp
Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 加速度センサを用いることなく、スカイフッ
ク制御を可能にする。車体にピッチングやロ−リングが
生じた場合に、その振動を短い時間で収束させる。 【構成】 ばね下とばね上の相対変位を検出する車高セ
ンサの出力に基づいて、ばね反力と減衰力を算出する。
ピッチングを考慮した2輪の運動モデル、ならびにピッ
チングとロ−リングを考慮した4輪の運動モデルに基づ
いて、目標減衰係数C1〜C4を算出する。各輪の変位
速度(dH1/dt等)を、重心の変位速度(dH/d
t)と回転による変位速度(a・dθ/dt等)によっ
て算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、減衰力係数を調整する
機構を有するショックアブソ−バ、および、与えられる
目標値に対応して前記機構を駆動しショックアブソ−バ
の減衰力係数を目標値に設定するコントロ−ラを含むサ
スペンションの、スカイフック制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば車両搭載のサンペンションには、
ばね下振動(車輪の上下振動)によるばね上の振動の振
幅(車体の上下振幅)を小さくするため、減衰力係数を
調整する機構を有するショックアブソ−バおよび該機構
を駆動しショックアブソ−バの減衰力係数を目標値に設
定するコントロ−ラが備えられている。
【0003】この種のコントロ−ラの制御については、
例えば特開平2−208108号公報では、上下加速
度,横加速度又は前後加速度に対応した減衰力制御およ
び車高(車体高さ−車輪高さ)に対応した減衰力制御が
提案されている。
【0004】また特開平3−276807号公報では、
ばね上の上下加速度を積分してばね上の上下変化速度を
算出し、ばね下変位量を微分してばね下の上下変化速度
を算出して、ばね上とばね下の上下変化速度に基づいて
所要減衰力を算出しこれを目標値とする減衰力制御が提
案されている。
【0005】また特開平3−276808号公報では、
ばね下変位量を微分してばね下の上下変化速度を算出し
かつばね下変位量よりばね上の上下変化速度を推定演算
して、ばね上とばね下の上下変化速度に基づいて所要減
衰力を算出しこれを目標値とする減衰力制御が提案され
ている。
【0006】更には、特開平4−15113号公報で
は、ばね上の上下加速度を積分してばね上の上下変化速
度を算出し、上下変化速度と上下加速度の比に対応する
減衰力を算出してこれを目標値とする減衰力制御が提案
されている。
【0007】ところでサスペンションは従来より図3の
(a)に示すモデルで表わされている。これにおいて、
mはばね上質量、Cvはショックアブソ−バの減衰力係
数、Kは懸架ばねのばね定数、x1はばね上位置、x0
ばね下位置である。運動方程式は、 m・d(dx1/dt)/dt+K・(x1−x0)+Cv・〔(dx1/dt)−(dx0/dt)〕=0 ・・・(1) で表わされる。これは一般的なサスペンションのモデル
であって、Cvを可変とすればセミアクティブモデルと
呼ばれる。
【0008】このサスペンションを、質量mを空中で一
定高さに維持する図3の(b)に示すモデルと想定する
と、運動方程式は、 m・d(dx1/dt)/dt+K・(x1−x0)+C・(dx1/dt)=0 ・・・(2) で表わされる。これはスカイフックモデルと呼ばれる。
【0009】サスペンションを図3の(b)に示すスカ
イフックモデルとして機能させる場合は、上記(1),(2)
式を等号でつないで、ショックアブソ−バの減衰力係数
Cv 、 Cv=C・(dx1/dt)/〔(dx1/dt)−(dx0/dt)〕 ・・・(3 ) を求め、このようにショックアブソ−バの減衰力係数C
vを設定すればよい。
【0010】従来は、上記各公報にも開示があるよう
に、上下加速度を検出してそれを積分することにより、
(dx1/dt),(dx0/dt)を算出したり、車輪(ばね下)と車
体(ばね上)との相対距離を車高センサで検出し、該相
対距離を微分して〔(dx1/dt)−(dx0/dt)〕相当値を得る
ようにしている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上下加速度センサを車
体に搭載する場合、該センサは、車体の上下加速度を検
出する。車体全体としての上下加速度に基づいて各サス
ペンションの減衰力係数を制御すると、路面傾斜,車両
タ−ン,車両制動,車両加速等によるサスペンション間
荷重分布の不平衡に対応し得ないので車体の傾斜を抑制
しにくくなる。したがって、各サスペンション部に上下
加速度センサを備えて各部の上下加速度を検出する必要
があるが、この場合、上下加速度センサの機構は高周波
振動機構を含み比較的に複雑で、それを例えば各サスペ
ンション装着部に1個、計4個も装備することは、コス
ト高になり易く、しかも、路面傾斜,車両タ−ン,車両
制動,車両加速等の場合、各部の上下加速度センサのセ
ンサ出力(加速度)を積分して得る変位速度値の変化が
遅く、車体傾斜の抑制効果が低いとか、遅い、という問
題を生じ易い。
【0012】ところで、例えば自動車が凹凸のある路面
(うねり路)を走行する場合、車体の重心回りに、ピッ
チ方向の運動(ピッチング)やロ−ル方向の運動(ロ−
リング)が発生する。つまり、前輪が受ける上下運動と
後輪が受ける上下運動とが逆位相であるとピッチングが
生じ、右車輪が受ける上下運動と左車輪が受ける上下運
動とが逆位相であるとロ−リングが生じる。これらの車
体の運動を抑制するためには、その運動による慣性モ−
メントを考慮して各輪のサスペンションを制御するのが
望ましい。即ち、ピッチングやロ−リングが生じると、
慣性モ−メントに対するエネルギ−の吸収または放出が
起こり、見かけ上、各輪のばね上の質量が相互に干渉し
合い変化する。しかしながら、図3に示された従来のモ
デルでは、慣性モ−メントの影響を記述できないので、
上記運動を抑制できない。
【0013】本発明は、上述の問題を解決することを目
的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本願の第1番の発明で
は、減衰力係数を調整する機構をそれぞれ有する複数組
のショックアブソ−バ、および、与えられる目標値に対
応して前記機構を駆動し各ショックアブソ−バの減衰力
係数を目標値に設定するコントロ−ラを含むサスペンシ
ョンのスカイフック制御装置において、前記サスペンシ
ョンを支持する物体とサスペンションが支持する物体と
の相対距離を検出する複数の距離検出手段(2FL,2F
R,2RL,2RR);該距離検出手段が検出する相対距離
の変化速度を算出する距離変化速度演算手段(16,2
6);前記相対距離の変化速度および相対距離に対応す
る上下加速度を算出する加速度演算手段(12,1
4);該上下加速度より上下変位速度を算出する変位速
度演算手段(15);各サスペンションの前記相対距離
及びその変化速度に対応する力(F1,F2)と、該サ
スペンションからそれが支持する物体の重心位置までの
距離(a,b)とに応じたモ−メントを、少なくとも前
側のサスペンションと後側のサスペンションについてそ
れぞれ算出し、算出したモ−メントの合成により前記重
心位置における回転トルクを算出する回転トルク演算手
段(13,23,31);前記回転トルクに応じた回転
角速度、及び前記重心位置と各サスペンションとの距離
に応じた修正量を算出し、該修正量により前記上下変位
速度を修正する、変位速度修正手段(33,34,3
5,36,37);および、前記相対距離の変化速度、
および修正された前記上下変位速度に対応して、前者の
値が大きいと小さく小さいと大きく、後者の値が大きい
と大きく小さいと小さい値の目標値を算出し前記コント
ロ−ラに与える目標値算出手段(18,19);を備え
る。
【0015】また第2番の発明では、減衰力係数を調整
する機構をそれぞれ有する複数組のショックアブソ−
バ、および、与えられる目標値に対応して前記機構を駆
動し各ショックアブソ−バの減衰力係数を目標値に設定
するコントロ−ラを含むサスペンションのスカイフック
制御装置において、前記サスペンションを支持する物体
とサスペンションが支持する物体との相対距離を検出す
る複数の距離検出手段(2FL,2FR,2RL,2RR);該
距離検出手段が検出する相対距離の変化速度を算出する
距離変化速度演算手段(42);前記相対距離の変化速
度および相対距離に対応する上下加速度を算出する加速
度演算手段(43,58);該上下加速度より上下変位
速度を算出する変位速度演算手段(64);各サスペン
ションの前記相対距離及びその変化速度に対応する力
(F1,F2,F3,F4)と、該サスペンションから
それが支持する物体の重心位置までの距離(a,b,
c,d)とに応じたモ−メントを、それぞれのサスペン
ションについて算出し、前側と後側のモ−メントの合成
により前記重心位置におけるピッチ方向の回転トルクを
算出し、右側と左側のモ−メントの合成により前記重心
位置におけるロ−ル方向の回転トルクを算出する回転ト
ルク演算手段(59〜63,65〜67);前記ピッチ
方向の回転トルクに応じた回転角速度及び前記重心位置
と各サスペンションとの距離に応じた第1の修正量を算
出し、前記ロ−ル方向の回転トルクに応じた回転角速度
及び前記重心位置と各サスペンションとの距離に応じた
第2の修正量を算出し、前記第1及び第2の修正量によ
り前記上下変位速度を修正する、変位速度修正手段(7
0〜81);および、前記相対距離の変化速度、および
修正された前記上下変位速度に対応して、前者の値が大
きいと小さく小さいと大きく、後者の値が大きいと大き
く小さいと小さい値の目標値を算出し前記コントロ−ラ
に与える目標値算出手段(44,45);を備える。
【0016】なお上記括弧内に示した記号は、後述する
実施例中の対応する要素の符号を参考までに示したもの
であるが、本発明の各構成要素は実施例中の具体的な要
素のみに限定されるものではない。
【0017】
【作用】第1番の発明では、基本的には図2に示すモデ
ルに基づいて制御を実施する。図2のモデルにおいて、
上下方向(H方向)の運動方程式は次の第(4)式で表わ
される。また、重心に対する回転方向(ピッチ方向)の
力のつり合いから、次の第(5)式が成立する。
【0018】 F1+F2=M(d2H/dt2) ・・・・(4) I(d2θ/dt2)= −aF1+bF2 ・・・(5) 前輪側及び後輪側ショックアブソ−バの発生する力F1
及びF2は、減衰力とばね反力とを合成したものである
から、それぞれ次の第(6)式及び第(7)式で表わされる。
また、ばね上変位x11及びx21は、ピッチ方向の回転角
θの影響を考慮すると、それぞれ次の第(8)式及び第(9)
式で表わされる。
【0019】 F1=−C1(dx11/dt−dx10/dt)−K1(x11−x10)・・・(6) F2=−C2(dx21/dt−dx20/dt)−K2(x21−x20)・・・(7) x11= H−a・sinθ ・・・(8) x21= H+b・sinθ ・・・(9) また通常、回転角θは非常に小さいので、sinθ≒θで
ある。従って次式が成立する。
【0020】x11= H−a・θ ・・・(10) x21= H+b・θ ・・・(11) また、ばね上の変位速度(d/dt)x11及び(d/dt)
21は、それぞれ次の第(12)式及び第(13)式で表わされ
る。
【0021】 (d/dt)x11=(dH/dt)−a・(dθ/dt) ・・・(12) (d/dt)x21=(dH/dt)+b・(dθ/dt) ・・・(13) スカイフック制御における目標減衰係数C1及びC2
は、それぞれ次の第(14)式及び第(15)式で表わされる。
但し、ショックアブソ−バの減衰係数を負にすることは
できないので、計算の結果が負になる場合には、各目標
減衰係数を0に置き替える。
【0022】 C1=(dx11/dt)/(dx11/dt−dx10/dt) ・・・(14) C2=(dx21/dt)/(dx21/dt−dx20/dt) ・・・(15) 各距離検出手段は、サスペンションを支持する物体とサ
スペンションが支持する物体との相対距離、即ち(x11
−x10)又は(x21−x20)を検出するので、前輪側サ
スペンションの距離検出手段が出力する信号を微分する
ことによって、前記第(14)式の分母の値が求められる。
また、後輪側サスペンションの距離検出手段が出力する
信号を微分することによって、前記第(15)式の分母の値
が求められる。
【0023】一方、前記第(6)式第1項の値は、前輪側
サスペンションの距離検出手段が出力する信号を微分し
た相対変位速度に減衰係数C1を掛けることによって求
められ、第(6)式第2項の値は、前輪側サスペンション
の距離検出手段が出力する相対距離(x11−x10)にば
ね定数K1を掛けて求めることができる。同様に、前記
第(7)式第1項の値は、後輪側サスペンションの距離検
出手段が出力する信号を微分した相対変位速度に減衰係
数C2を掛けることによって求められ、第(7)式第2
項の値は、後輪側サスペンションの距離検出手段が出力
する相対距離(x21−x20)にばね定数K2を掛けて
求めることができる。従って、前輪側及び後輪側ショッ
クアブソ−バの発生する力F1及びF2を求めることが
できる。
【0024】前記第(4)式に示すように、力F1及びF
2を加算したものがばね上質量(M)に及ぼす力(F)
であり、重心点の上下方向加速度(d2H/dt2)は、F
1とF2の合力を質量Mで割ることによって求められ
る。更に、この上下方向加速度(d2H/dt2)を積分す
れば、重心点の変位速度(dH/dt)が求められる。
【0025】また、前記第(5)式より回転トルクI(d2
θ/dt2)が求められる。即ち、力F1が重心点に及
ぼす時計回りのモ−メント(−aF1)と力F2が重心
点に及ぼす反時計回りのモ−メント(bF2)とを加算
することにより、回転トルクI(d2θ/dt2)が求め
られる。この回転トルクを慣性モ−メントIで割ること
により、回転角加速度(d2θ/dt2)が求められる。
更に、この回転角加速度を積分すれば、回転角速度(d
θ/dt)が求められる。
【0026】既に求められた重心点の変位速度(dH/d
t)と上記回転角速度(dθ/dt)に基づいて、前記
第(12)式及び第(13)式を計算することにより、各サスペ
ンションのばね上の変位速度(d/dt)x11及び(d/d
t)x21をそれぞれ求めることができ、前記第(14)式及
び第(15)式の各分子の値が得られる。
【0027】従って本発明によれば、複数の車高センサ
が出力する情報に基づいて、スカイフック制御の目標減
衰係数(C1,C2)を求めることができる。しかも、
ピッチ方向の回転の影響を考慮して目標減衰係数を算出
するので、うねり路を自動車が走行する場合に、前輪側
サスペンションの運動と後輪側サスペンションの運動の
位相が逆相になっても、振動を短い時間で収束させるこ
とができる。
【0028】本願の第2番の発明では、基本的には図6
に示すモデルに基づいて制御を実施する。図6のモデル
においては、次の各式が成立する。
【0029】 M(d2H/dt2)=F1+F2+F3+F4 ・・・・(16) Ip(d2θp/dt2)=−a(F1+F2)+b(F3+F4)・・・(17) Ir(d2θr/dt2)=−c(F1+F3)+d(F2+F4)・・・(18) F1=−C1(dx11/dt−dx10/dt)−K1(x11−x10)・・(19) F2=−C2(dx21/dt−dx20/dt)−K2(x21−x20)・・(20) F3=−C3(dx31/dt−dx30/dt)−K3(x31−x30)・・(21) F4=−C4(dx41/dt−dx40/dt)−K4(x41−x40)・・(22) x11=H−a・sinθp−c・sinθr=H−a・θp−c・θr ・・・(23) x21=H−a・sinθp+d・sinθr=H−a・θp+d・θr ・・・(24) x31=H+b・sinθp−c・sinθr=H+b・θp−c・θr ・・・(25) x41=H+b・sinθp+d・sinθr=H+b・θp+d・θr ・・・(26) (d/dt)x11=(dH/dt)−a・(dθp/dt)−c・(dθr/dt) ・・・(27) (d/dt)x21=(dH/dt)−a・(dθp/dt)+d・(dθr/dt) ・・・(28) (d/dt)x31=(dH/dt)+b・(dθp/dt)−c・(dθr/dt) ・・・(29) (d/dt)x41=(dH/dt)+b・(dθp/dt)+d・(dθr/dt) ・・・(30) C1=(dx11/dt)/(dx11/dt−dx10/dt) ・・・(31) C2=(dx21/dt)/(dx21/dt−dx20/dt) ・・・(32) C3=(dx31/dt)/(dx31/dt−dx30/dt) ・・・(33) C4=(dx41/dt)/(dx41/dt−dx40/dt) ・・・(34) 但し、ショックアブソ−バの減衰係数を負にすることは
できないので、第(31)式〜第(34)式の計算の結果が負に
なる場合には、各目標減衰係数を0に置き替える。
【0030】各距離検出手段は、サスペンションを支持
する物体とサスペンションが支持する物体との相対距
離、即ち(x11−x10),(x21−x20),(x31−x
30)又は(x41−x40)を検出するので、各々のサスペ
ンションに設けられた距離検出手段が出力する信号を微
分することによって、前記第(31)式〜第(34)式の分母の
値がそれぞれ求められる。
【0031】一方、前記第(19)式第1項の値は、前左輪
(FL)サスペンションの距離検出手段が出力する信号を微
分した相対変位速度に減衰係数C1を掛けることによっ
て求められ、第(19)式第2項の値は、前左輪サスペンシ
ョンの距離検出手段が出力する相対距離(x11−x10
にばね定数K1を掛けて求めることができる。同様に、
前記第(20)式第1項の値は、前右輪(FR)サスペンション
の距離検出手段が出力する信号を微分した相対変位速度
に減衰係数C2を掛けることによって求められ、第(20)
式第2項の値は、前右輪サスペンションの距離検出手段
が出力する相対距離(x21−x20)にばね定数K2を掛
けて求めることができる。また、前記第(21)式第1項の
値は、後左輪(RL)サスペンションの距離検出手段が出力
する信号を微分した相対変位速度に減衰係数C3を掛け
ることによって求められ、第(21)式第2項の値は、後右
輪サスペンションの距離検出手段が出力する相対距離
(x31−x30)にばね定数K3を掛けて求めることがで
きる。また、前記第(22)式第1項の値は、後右輪(RR)サ
スペンションの距離検出手段が出力する信号を微分した
相対変位速度に減衰係数C4を掛けることによって求め
られ、第(22)式第2項の値は、後右輪サスペンションの
距離検出手段が出力する相対距離(x41−x40)にばね
定数K4を掛けて求めることができる。従って、各ショ
ックアブソ−バの発生する力F1,F2,F3及びF4を
求めることができる。
【0032】前記第(16)式に示すように、力F1,F
2,F3及びF4を加算したものがばね上質量(M)に
及ぼす力(F)であり、重心点の上下方向加速度(d2
/dt2)は、F1〜F4の合力を質量Mで割ることによ
って求められる。更に、この上下方向加速度(d2H/dt
2)を積分すれば、重心点の変位速度(dH/dt)が求め
られる。
【0033】また、前記第(17)式よりピッチ方向の回転
トルクI(d2θp/dt2)が求められ、第(18)式より
ロ−ル方向の回転トルクI(d2θr/dt2)が求めら
れる。即ち、力F1+F2が重心点に及ぼす時計回りの
モ−メント(−a(F1+F2))と力F3+F4が重心点
に及ぼす反時計回りのモ−メント(b(F3+F4))とを
加算することにより、ピッチ方向の回転トルクI(d2
θp/dt2)が求められ、力F1+F3が重心点に及ぼ
す時計回りのモ−メント(−c(F1+F3))と力F2+
F4が重心点に及ぼす反時計回りのモ−メント(d(F2
+F4))とを加算することにより、ロ−ル方向の回転ト
ルクI(d2θr/dt2)が求められる。これらの回転
トルクを慣性モ−メントIで割ることにより、ピッチ方
向の回転角加速度(d2θp/dt2)及びロ−ル方向の
回転角加速度(d2θr/dt2)が求められる。更に、
これらの回転角加速度をそれぞれ積分すれば、ピッチ方
向の回転角速度(dθp/dt)及びロ−ル方向の回転
角速度(dθr/dt)が求められる。
【0034】既に求められた重心点の変位速度(dH/d
t)と上記各方向の回転角速度(dθp/dt)及び
(dθr/dt)に基づいて、前記第(27)式〜第(30)式
を計算することにより、各サスペンションのばね上の変
位速度(d/dt)x11,(d/dt)x21,(d/dt)x31及び(d
/dt)x41をそれぞれ求めることができ、前記第(31)式〜
第(34)式の各分子の値が得られる。
【0035】従って第2番の発明によれば、複数の車高
センサが出力する情報に基づいて、スカイフック制御の
目標減衰係数(C1,C2,C3,C4)を求めること
ができる。しかも、ピッチ方向及びロ−ル方向の回転の
影響を考慮して目標減衰係数を算出するので、うねり路
を自動車が走行する場合に、各サスペンションの運動の
位相が逆相になっても、振動を短い時間で収束させるこ
とができる。
【0036】
【実施例】自動車用サスペンションのスカイフック制御
装置の構成を図4に示す。図4を参照すると、この例で
は、前左(FL),前右(FR),後左(RL)及び後
右(RR)の各々の車輪に支持された4組のサスペンシ
ョン1FL,1FR,1RL及び1RRによって、図示
しない車体が支持されている。1つのサスペンションの
ショックアブソ−バ1(1FL,1FR,1RL又は1
RR)の縦断面構造を図2に示す。図2を参照すると、
外筒1dの中に内筒1cが設置されており、内筒1cの
内部に減衰力調整バルブを含むピストン1bが備わって
いる。ピストン1bには中空のピストンロッド1aが固
着されている。ロッド1aの内部にコントロ−ルロッド
(図示せず)があり、その上端に減衰力調整用アクチュ
エ−タ3の出力軸が連結されている。外囲器1eには、
それを車体に固定するためのスタッドボルト(図示せ
ず)を装着した断面がコの字形の相対向する2個の連結
リングが装着されている。
【0037】ピストン1bの減衰力調整バルブは、ピス
トン1b内にあってその上側の空間(内筒1cの内空
間)と下側の空間をつなぐ開口を有する外筒,及び該外
筒に内接し内部が上側の空間に連通し、外周面に外筒の
開口を通して下側の空間と連通する開口を有する内筒を
有しており、該内筒にコントロ−ルロッドの下端が連結
されている。アクチュエ−タ3の出力軸が正回転する
と、コントロ−ルロッドを介して減衰力調整バルブの内
筒が正回転駆動されて、減衰力調整バルブの内筒と外筒
の開口の重なりが次第に大きくなり、ショックアブソ−
バ1の減衰力係数が低下する。アクチュエ−タ3の出力
軸が逆回転する時には、逆に減衰力係数が次第に上昇す
る。
【0038】再び図4を参照する。4輪のサスペンショ
ン1FL,1FR,1RL及び1RRの各々の近傍に
は、車高センサ2FL,2FR,2RL及び2RRが設
置されている。これらの車高センサ2FL,2FR,2
RL及び2RRは、それぞれ、各車軸位置(図2の
10,x20)と車体の所定位置(図2のx11,x21)と
の相対距離に応じた情報を車高として検出し出力する。
【0039】電子制御ユニットECUは、4つの車高セ
ンサ2FL,2FR,2RL及び2RRが出力する車高
信号SFL,SFR,SRL及びSRRに基づいて、ス
カイフック制御における目標減衰力係数を算出し、各サ
スペンションのその時の減衰力係数が算出した目標減衰
力係数と異なる場合には、駆動信号DFL,DFR,D
RL及びDRRを各サスペンションのアクチュエ−タ3
FL,3FR,3RL及び3RRに出力する。アクチュ
エ−タ3FL,3FR,3RL及び3RRは、各々、ス
テッピングモ−タのような構造になっており、その出力
軸は、正転又は逆転方向に120度の範囲内で回転し、
電気的な制御によって16ステップの各々の位置に位置
決めできる。120度の範囲を越える回転は、機械的に
阻止される。従って、各ショックアブソ−バの減衰力調
整バルブは、アクチュエ−タ3FL,3FR,3RL及
び3RRの駆動によって、それぞれ16段階の減衰力調
整が可能になっている。
【0040】電子制御ユニットECUの構成を図7に示
す。図7を参照すると、各車高センサから出力される信
号SFL,SFR,SRL及びSRRは、それぞれ信号
処理回路101,102,103及び104を介して、
A/D変換器ADCに入力される。信号処理回路10
1,102,103及び104は、それぞれ増幅器,波
形整形器等を含むアナログ回路である。信号処理回路1
01,102,103及び104から出力される信号
は、それぞれA/D変換器ADCでサンプリングされ、
サンプリングされた信号のレベルがデジタル量に変換さ
れ、その変換結果がマイクロコンピュ−タCPUにそれ
ぞれ入力される。マイクロコンピュ−タCPUは、A/
D変換器ADCから出力される4つの車高情報(相対距
離情報)に基づいて、後述するスカイフック制御の計算
を実施し、各サスペンションの目標減衰力係数を算出す
る。そして、各サスペンションの減衰力係数が目標減衰
力係数と異なる場合には、それを一致させるように、制
御信号をモ−タコントロ−ラ&モ−タドライバMCDに
与え、アクチュエ−タ3FL,3FR,3RL及び3R
Rを駆動する。
【0041】マイクロコンピュ−タCPUの処理の主要
部分であるスカイフック制御を、図1に機能的な様々な
ブロックの連結によって示す。この実施例では、各ブロ
ックの機能は、いずれもマイクロコンピュ−タCPUの
ソフトウェア処理によって、それぞれ必要なタイミング
で、あるいは順番に実行される。このスカイフック制御
に入力される情報H1rは、前輪側の車高(相対距離)
情報であり、SFLとSFRの平均値である。また情報
H2rは、後輪側の車高(相対距離)情報であり、SR
LとSRRの平均値である。このスカイフック制御によ
って、前輪側の目標減衰係数C1及び後輪側の目標減衰
係数C2がそれぞれ算出される。そして、ここで算出し
た目標減衰係数C1及びC2を、それぞれ各ショックア
ブソ−バの実際の減衰係数と比較し、それらが一致する
ようにアクチュエ−タ3FL,3FR,3RL及び3R
Rを制御する。目標減衰係数C1は前輪側の左右のショ
ックアブソ−バ1FL及び1FRに共通に適用し、目標
減衰係数C2は後輪側の左右のショックアブソ−バ1R
L及び1RRに共通に適用する。
【0042】図示しないが、マイクロコンピュ−タCP
Uは、電源オン直後にアクチュエ−タの初期化を実行
し、それによって各ショックアブソ−バの実際の減衰係
数を把握する。即ち、所定方向に16ステップ以上、ア
クチュエ−タを駆動すれば、必ず機械的に定まる限界位
置(ホ−ム位置)でアクチュエ−タが停止するので、そ
の位置における減衰係数を、実際の減衰係数として記憶
し、それ以後は、各アクチュエ−タの駆動ステップ数及
び駆動方向に応じて、記憶している実際の減衰係数を逐
次更新する。
【0043】次に、図1に示す処理を詳細に説明する。
この実施例では、図2に示す運動モデルに基づいて制御
を実施しているので、図1及び図2を参照して説明す
る。加算器12の出力に得られる力F1は、前輪側のば
ね上質量に与えるばね下からの力であり、これはサスペ
ンションのばね反力と減衰力との和である。前輪側のば
ね反力は、前輪側の車高(相対距離)H1rにばね定数
(−K1)を掛けた値として、掛算器11の出力に得ら
れる。また、前輪側の減衰力は、前輪側の車高(相対距
離)H1rを微分器16に通して得られるばね下とばね
上との相対変位速度(dH1r/dt)に減衰係数(C
1)を掛けた値として、掛算器17の出力に得られる。
【0044】同様に、加算器22の出力に得られる力F
2は、後輪側のばね上質量に与えるばね下からの力であ
り、これはサスペンションのばね反力と減衰力との和で
ある。後輪側のばね反力は、後輪側の車高(相対距離)
H2rにばね定数(−K2)を掛けた値として、掛算器
21の出力に得られる。また、後輪側の減衰力は、後輪
側の車高(相対距離)H2rを微分器26に通して得ら
れるばね下とばね上との相対変位速度(dH2r/d
t)に減衰係数(C2)を掛けた値として、掛算器27
の出力に得られる。
【0045】重心点に加わる力M(d2H/dt2)は、
前記第(4)式の運動方程式より、前輪側の力F1と後輪
側の力F2との合力として求められるので、加算器20
の出力に得られる。また、F1+F2を既知である質量
Mで割ることによって得られる上下方向の加速度(d2
H/dt2)は、割算器14の出力に得られる。この加
速度を積分器15で積分することにより、重心点におけ
る上下方向の変位速度(dH/dt)が得られる。
【0046】一方、前輪側の力F1に重心から前輪軸ま
での距離(a)を掛けた時計回りのモ−メント(aF
1:掛算器13の出力)と、後輪側の力F2に重心から
後輪軸までの距離(b)を掛けた反時計回りのモ−メン
ト(bF2:掛算器23の出力)との差分が重心点に対
する回転トルクI(d2θ/dt2)であり、この回転ト
ルクは減算器31の出力に得られる。更に、回転トルク
を慣性モ−メントIで割って得られる回転角加速度(d
2θ/dt2)が、割算器32の出力に得られ、該回転角
加速度を積分して得られる回転角速度(dθ/dt)
が、積分器33の出力に得られる。
【0047】前輪軸における上下方向の変位速度(dH
1/dt)は、前記第(12)式より、重心点の上下変位速
度(dH/dt)からピッチングの回転による変位速度
((a・dθ/dt):掛算器34の出力)を減算した結
果であり、減算器36の出力に得られる。また後輪軸に
おける上下方向の変位速度(dH2/dt)は、前記第
(13)式より、重心点の上下変位速度(dH/dt)にピ
ッチングの回転による変位速度((b・dθ/dt):掛
算器35の出力)を加算した結果であり、加算器37の
出力に得られる。
【0048】スカイフック制御における目標減衰係数
は、(ばね上の変位速度/ばね上−ばね下間の相対変位
速度)として求めることができる。この実施例では、前
輪側については、減算器36が出力するばね上変位速度
(dH1/dt)を、微分器16が出力する相対変位速
度(dH1r/dt)で割った結果として、割算器18
の出力に目標減衰係数が得られる。但し、負の減衰係数
をショックアブソ−バで実現することはできないので、
割算器18の出力を変換器19に通した結果を目標減衰
係数C1としている。変換器19では、入力値が負の時
には出力値を0に修正し、入力値が正の時にはその値を
そのまま出力する。同様に、後輪側については、加算器
37が出力するばね上変位速度(dH2/dt)を、微
分器26が出力する相対変位速度(dH2r/dt)で
割った結果として、割算器28の出力に目標減衰係数が
得られる。割算器28の出力を変換器29に通した結果
が実際の目標減衰係数C2になる。変換器29では、入
力値が負の時には出力値を0に修正し、入力値が正の時
にはその値をそのまま出力する。
【0049】図1の微分器16及び26に相当する実際
の処理の内容を図8に示す。図8を参照して説明する。
入力信号のレベルin(n)を一定の周期Tsで繰り返し
サンプリングし、今回のサンプリング値in(n)から、
レジスタ82に保持された1周期前のサンプリング値i
n(n-1)を減算した結果を微分出力out(n)とする。次
にレジスタ82の値を今回のサンプリング値in(n)に
更新し、次のサンプリング値in(n+1)を入力する。こ
の動作を繰り返すことによって、微分値が得られる。
【0050】図1の積分器15及び33に相当する実際
の処理の内容を図9に示す。図9を参照して説明する。
入力信号のレベルin(n)は一定の周期Tsで繰り返し
サンプリングされる。減算器93は、今回のサンプリン
グ値in(n)から、レジスタ92に保持された1周期前
の出力値out(n-1)を減算する。加算器94は、減算
器93の出力値に、レジスタ91が保持する1周期前の
加算器94の出力値を加算する。掛算器95は、加算器
94の出力値に積分定数Kfを掛けた結果を、積分結果
out(n)として出力する。
【0051】次に、もう1つの実施例を説明する。この
実施例のハ−ドウェアの構成は、前記実施例と同一であ
り、マイクロコンピュ−タCPUの実行する処理の内容
のみが変更されている。この実施例のCPUが実行する
処理の主要部分を図5に示す。このスカイフック制御に
入力される情報H1r,H2r,H3r及びH4rは、
それぞれ、前左輪,前右輪,後左輪,及び後右輪の車高
(相対距離)情報である。このスカイフック制御によっ
て、前左輪の目標減衰係数C1,前右輪の目標減衰係数
C2,後左輪の目標減衰係数C3,及び後右輪の目標減
衰係数C4がそれぞれ算出される。そして、ここで算出
した目標減衰係数C1,C2,C3及びC4を、それぞ
れ各ショックアブソ−バの実際の減衰係数と比較し、そ
れらが一致するようにアクチュエ−タ3FL,3FR,
3RL及び3RRを制御する。
【0052】次に、図5に示す処理を詳細に説明する。
この実施例では、図6に示す運動モデルに基づいて制御
を実施しているので、図5及び図6を参照して説明す
る。加算器43の出力に得られる力F1は、前左輪のば
ね上質量に与えるばね下からの力であり、これはサスペ
ンションのばね反力と減衰力との和である。前左輪のば
ね反力は、前左輪の車高(相対距離)H1rにばね定数
(−K1)を掛けた値として、掛算器41の出力に得ら
れる。また、前左輪の減衰力は、前左輪の車高(相対距
離)H1rを微分器42に通して得られるばね下とばね
上との相対変位速度(dH1r/dt)に減衰係数(C
1)を掛けた値として、掛算器46の出力に得られる。
【0053】同様に、前右輪のばね上質量に与えるばね
下からの力F2,後左輪のばね上質量に与えるばね下か
らの力F3,及び後右輪のばね上質量に与えるばね下か
らの力F4は、それぞれ演算ユニット40Aと同一構成
の演算ユニット40B,40C及び40Dで算出され
る。即ち、演算ユニット40Bは、前右輪の車高H2
r,ばね定数(−K2)及び減衰係数(C2)に基づい
て力F2を算出し、演算ユニット40Cは、後左輪の車
高H3r,ばね定数(−K3)及び減衰係数(C3)に
基づいて力F3を算出し、演算ユニット40Dは、後右
輪の車高H4r,ばね定数(−K4)及び減衰係数(C
4)に基づいて力F4を算出する。
【0054】重心点に加わる力M(d2H/dt2)は、
前記第(16)式の運動方程式より、各輪サスペンションの
力F1,F2,F3及びF4の合力として求められるの
で、加算器55の出力に得られる。また、F1+F2+
F3+F4を既知である質量Mで割ることによって得ら
れる上下方向の加速度(d2H/dt2)は、割算器58
の出力に得られる。この加速度を積分器64で積分する
ことにより、重心点における上下方向の変位速度(dH
/dt)が得られる。
【0055】一方、前輪側の力F1+F2に重心から前
輪軸までの距離(a)を掛けたピッチ方向のモ−メント
(−a(F1+F2):掛算器59の出力)と、後輪側の
力F3+F4に重心から後輪軸までの距離(b)を掛け
たピッチ方向のモ−メント(b(F3+F4):掛算器6
1の出力)との和が重心点に対するピッチ方向の回転ト
ルクIp(d2θp/dt2)であり、この回転トルクは加
算器63の出力に得られる。更に、ピッチ方向回転トル
クを慣性モ−メントIpで割って得られる回転角加速度
(d2θp/dt2)が、割算器65の出力に得られ、該
回転角加速度を積分して得られる回転角速度(dθp/
dt)が、積分器68の出力に得られる。
【0056】また、左輪側の力F1+F3に重心から左
輪軸までの距離(c)を掛けたロ−ル方向のモ−メント
(−c(F1+F3):掛算器60の出力)と、右輪側の
力F2+F4に重心から右輪軸までの距離(d)を掛け
たロ−ル方向のモ−メント(d(F2+F4):掛算器6
2の出力)との和が重心点に対するロ−ル方向の回転ト
ルクIr(d2θr/dt2)であり、この回転トルクは加
算器66の出力に得られる。更に、ロ−ル方向回転トル
クを慣性モ−メントIrで割って得られる回転角加速度
(d2θr/dt2)が、割算器67の出力に得られ、該
回転角加速度を積分して得られる回転角速度(dθr/
dt)が、積分器69の出力に得られる。
【0057】前左輪における上下方向の変位速度(dH
1/dt)は、前記第(27)式より、重心点の上下変位速
度(dH/dt)からピッチングの回転による変位速度
((a・dθp/dt):掛算器70の出力)及びロ−リン
グの回転による変位速度((c・dθr/dt):掛算器7
2の出力)を減算した結果であり、加算器78の出力に
得られる。また、前右輪における上下方向の変位速度
(dH2/dt)は、前記第(28)式より、重心点の上下
変位速度(dH/dt)からピッチングの回転による変
位速度((a・dθp/dt):掛算器70の出力)を減算
しロ−リングの回転による変位速度((d・dθr/d
t):掛算器73の出力)を加算した結果であり、加算
器79の出力に得られる。また、後左輪における上下方
向の変位速度(dH3/dt)は、前記第(29)式より、
重心点の上下変位速度(dH/dt)にピッチングの回
転による変位速度((b・dθp/dt):掛算器71の出
力)を加算し、ロ−リングの回転による変位速度((c・
dθr/dt):掛算器72の出力)を減算した結果であ
り、加算器80の出力に得られる。また、後右輪におけ
る上下方向の変位速度(dH4/dt)は、前記第(30)
式より、重心点の上下変位速度(dH/dt)にピッチ
ングの回転による変位速度((b・dθp/dt):掛算器
71の出力)及びロ−リングの回転による変位速度
((d・dθr/dt):掛算器73の出力)を加算した結
果であり、加算器81の出力に得られる。
【0058】スカイフック制御における目標減衰係数
は、(ばね上の変位速度/ばね上−ばね下間の相対変位
速度)として求めることができる。この実施例では、前
左輪については、加算器78が出力するばね上変位速度
(dH1/dt)を、演算ユニット40Aの微分器42
が出力する相対変位速度(dH1r/dt)で割った結
果として、割算器44の出力に目標減衰係数が得られ
る。但し、負の減衰係数をショックアブソ−バで実現す
ることはできないので、割算器44の出力を変換器45
に通した結果を目標減衰係数C1としている。変換器4
5では、入力値が負の時には出力値を0に修正し、入力
値が正の時にはその値をそのまま出力する。同様に、前
右輪については、加算器79が出力するばね上変位速度
(dH2/dt)を、演算ユニット40Bの微分器(4
2)が出力する相対変位速度(dH2r/dt)で割っ
た結果として、割算器(44)の出力に目標減衰係数が
得られる。演算ユニット40Bの割算器(44)の出力
を変換器(45)に通した結果が実際の目標減衰係数C
2になる。また、後左輪については、加算器80が出力
するばね上変位速度(dH3/dt)を、演算ユニット
40Cの微分器(42)が出力する相対変位速度(dH
3r/dt)で割った結果として、割算器(44)の出
力に目標減衰係数が得られる。演算ユニット40Cの割
算器(44)の出力を変換器(45)に通した結果が実
際の目標減衰係数C3になる。また、後右輪について
は、加算器81が出力するばね上変位速度(dH4/d
t)を、演算ユニット40Dの微分器(42)が出力す
る相対変位速度(dH4r/dt)で割った結果とし
て、割算器(44)の出力に目標減衰係数が得られる。
演算ユニット40Dの割算器(44)の出力を変換器
(45)に通した結果が実際の目標減衰係数C4にな
る。
【0059】なお、上記各実施例におけるパラメ−タ
a,b,c,d,I,Ip,Ir及びMは、スカイフッ
ク制御装置が搭載される自動車の特性によって予め定ま
るので、これらの実施例では、定数として予めメモリに
記憶した値を各パラメ−タに割り当てて計算を実行して
いる。
【0060】なお上記実施例においては、マイクロコン
ピュ−タCPUのソフトウェア処理によってスカイフッ
ク制御の様々な計算を実行しているが、図1及び図5に
示した各機能は、それぞれをハ−ドウェア回路に置き代
えても実現しうるのは言うまでもない。
【0061】
【発明の効果】以上のとおり、第1番の発明によれば、
複数の車高センサが出力する情報に基づいて、スカイフ
ック制御の目標減衰係数(図1のC1,C2)を求める
ことができる。しかも、ピッチ方向の回転(θ)の影響
を考慮して目標減衰係数を算出するので、うねり路を自
動車が走行する場合に、前輪側サスペンションの運動と
後輪側サスペンションの運動の位相が逆相になっても、
振動を短い時間で収束させることができる。
【0062】また第2番の発明によれば、複数の車高セ
ンサが出力する情報に基づいて、スカイフック制御の目
標減衰係数(図5のC1,C2,C3,C4)を求める
ことができる。しかも、ピッチ方向及びロ−ル方向の回
転(θp,θr)の影響を考慮して目標減衰係数を算出す
るので、うねり路を自動車が走行する場合に、各サスペ
ンションの運動の位相が逆相になっても、振動を短い時
間で収束させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例のスカイフック制御の処理の主要
部を示すブロック図である。
【図2】 第1実施例のサスペンションの運動モデルを
示すブロック図である。
【図3】 一般的なサスペンションの運動モデルを示す
ブロック図である。
【図4】 実施例の装置全体の構成を示すブロック図で
ある。
【図5】 第2実施例のスカイフック制御の処理の主要
部を示すブロック図である。
【図6】 第2実施例のサスペンションの運動モデルを
示すブロック図である。
【図7】 図4の装置のECUの構成を示すブロック図
である。
【図8】 実施例の微分処理の内容を示すブロック図で
ある。
【図9】 実施例の積分処理の内容を示すブロック図で
ある。
【図10】 実施例のショックアブソ−バの構成を示す
縦断面図である。
【符号の説明】
1,1FL,1FR,1RL,1RR:ショックアブソ
−バ 1a:ロッド 1b:ピストン 1c:内筒 1d:外筒 1e:外囲器 2FL,2FR,2RL,2RR:車高センサ 3FL,3FR,3RL,3RR:アクチュエ−タ 11,13,21,23,34,35:掛算器 12,20,22,37:加算器 14,18,28,32:割算器 15,33:積分器 16,26:微分器 19,29:変換器 31,36:減算器 40A,40B,40C,40D:演算ユニット 41,46,59〜62,70〜73:掛算器 42:微分器 43,51〜57,63,66,78〜81:加算器 44,58,65,67:割算器 45:変換器 64,68,6
9:積分器 74〜77:減算器 ADC:A/D変換
器 CPU:マイクロコンピュ−タ ECU:電子制御ユ
ニット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 磯 谷 成 孝 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内 (72)発明者 小 川 一 男 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 減衰力係数を調整する機構をそれぞれ有
    する複数組のショックアブソ−バ、および、与えられる
    目標値に対応して前記機構を駆動し各ショックアブソ−
    バの減衰力係数を目標値に設定するコントロ−ラを含む
    サスペンションのスカイフック制御装置において、 前記サスペンションを支持する物体とサスペンションが
    支持する物体との相対距離を検出する複数の距離検出手
    段;該距離検出手段が検出する相対距離の変化速度を算
    出する距離変化速度演算手段;前記相対距離の変化速度
    および相対距離に対応する上下加速度を算出する加速度
    演算手段;該上下加速度より上下変位速度を算出する変
    位速度演算手段;各サスペンションの前記相対距離及び
    その変化速度に対応する力と、該サスペンションからそ
    れが支持する物体の重心位置までの距離とに応じたモ−
    メントを、少なくとも前側のサスペンションと後側のサ
    スペンションについてそれぞれ算出し、算出したモ−メ
    ントの合成により前記重心位置における回転トルクを算
    出する回転トルク演算手段;前記回転トルクに応じた回
    転角速度、及び前記重心位置と各サスペンションとの距
    離に応じた修正量を算出し、該修正量により前記上下変
    位速度を修正する、変位速度修正手段;および、 前記相対距離の変化速度、および修正された前記上下変
    位速度に対応して、前者の値が大きいと小さく小さいと
    大きく、後者の値が大きいと大きく小さいと小さい値の
    目標値を算出し前記コントロ−ラに与える目標値算出手
    段;を備えることを特徴とするサスペンションのスカイ
    フック制御装置。
  2. 【請求項2】 減衰力係数を調整する機構をそれぞれ有
    する複数組のショックアブソ−バ、および、与えられる
    目標値に対応して前記機構を駆動し各ショックアブソ−
    バの減衰力係数を目標値に設定するコントロ−ラを含む
    サスペンションのスカイフック制御装置において、 前記サスペンションを支持する物体とサスペンションが
    支持する物体との相対距離を検出する複数の距離検出手
    段;該距離検出手段が検出する相対距離の変化速度を算
    出する距離変化速度演算手段;前記相対距離の変化速度
    および相対距離に対応する上下加速度を算出する加速度
    演算手段;該上下加速度より上下変位速度を算出する変
    位速度演算手段;各サスペンションの前記相対距離及び
    その変化速度に対応する力と、該サスペンションからそ
    れが支持する物体の重心位置までの距離とに応じたモ−
    メントを、それぞれのサスペンションについて算出し、
    前側と後側のモ−メントの合成により前記重心位置にお
    けるピッチ方向の回転トルクを算出し、右側と左側のモ
    −メントの合成により前記重心位置におけるロ−ル方向
    の回転トルクを算出する回転トルク演算手段;前記ピッ
    チ方向の回転トルクに応じた回転角速度及び前記重心位
    置と各サスペンションとの距離に応じた第1の修正量を
    算出し、前記ロ−ル方向の回転トルクに応じた回転角速
    度及び前記重心位置と各サスペンションとの距離に応じ
    た第2の修正量を算出し、前記第1及び第2の修正量に
    より前記上下変位速度を修正する、変位速度修正手段;
    および、 前記相対距離の変化速度、および修正された前記上下変
    位速度に対応して、前者の値が大きいと小さく小さいと
    大きく、後者の値が大きいと大きく小さいと小さい値の
    目標値を算出し前記コントロ−ラに与える目標値算出手
    段;を備えることを特徴とするサスペンションのスカイ
    フック制御装置。
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