JPH06343933A - 超音波反射板を用いた超音波洗浄法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 超音波洗浄槽内に、振動子面よりλ／４・
（２ｎ−１）［λ：波長、ｎ：任意の整数］なる位置
に、超音波反射板を振動子面と平行に設置することを特
徴とする、超音波反射板を用いた超音波洗浄法である。 【効果】 (1) 洗浄槽の水位とは全く無関係に超音波
を共振させ、定在波を発生させることができる。 (2) 自由水面のように液面に“ゆれ”が生じないため、
安定した音圧強度を保った定在波をつくり出すことがで
きる。 (3) 反射板を水槽の側壁に沿って配置した場合、同側壁
に向かって超音波を発振しても、水槽壁の損傷を招かな
い。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、無機質などの脱脂や
洗浄に有効な超音波を用いた洗浄技術に関し、より詳細
には、超音波を反射する板を用いた超音波洗浄法に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に超音波洗浄槽では、底部に振動子
を配置しており、振動子面から水面までの距離を、最大
の洗浄力が得られるように設定してある。

【０００３】すなわち、超音波が共振（入射波と反射波
が同位相で重なり合い最も強い音圧が得られる状態）す
る水位（波長の１／２の整数倍）になるように、オーバ
ーフローなどの設置により、超音波洗浄槽の水位を設定
している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の従来法
では超音波がうまく共振するように、水位を厳しく管理
する必要があった。オーバーフロー方式においても洗浄
条件が変わる度にオーバーフローの高さを調整して水位
を変える必要があった。また、音波を共振させる際に水
面が激しく波立つため、安定した定在波が得られていな
かった。

【０００５】この発明の目的は、上記の点に鑑み、水位
管理の必要がなく、容易に超音波を共振させることがで
き、しかも、安定した強度を保った定在波を発生させる
ことができる超音波洗浄法を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明による超音波洗
浄法は、上記目的を達成すべく工夫されたものであり、
超音波洗浄槽内に、振動子面よりλ／４・（２ｎ−１）
［λ：波長、ｎ：任意の整数］なる位置に、超音波反射
板を振動子面と平行に設置することを特徴とするもので
ある。

【０００７】反射板の材質は、反射板を水中に設置した
場合のように反射板の前後で振動媒体の密度変化が小さ
い場合には、後述する実施例で用いたような厚く堅い金
属、例えばステンレス鋼が好ましい。また、反射板を水
面に設置した場合のように反射板の前後での媒体（すな
わち水と空気）の密度変化が大きい場合には、材質は特
に限定する必要はないが、超音波により反射板の振動が
生じない程度の厚みは必要である。反射板としてポリカ
ーボネート製のものを用いることもできる。

【０００８】

【作用】この発明による超音波洗浄法では、水面あるい
は水中に設置した反射板で超音波を反射させているた
め、水位管理の必要がなく、温度、周波数などの洗浄条
件が変更されようとも反射板の位置を変えるだけで容易
に超音波を共振させることができ、加えて、自由水面の
ように波立つこともないため、安定した強度を保った定
在波を発生させることができる。

【０００９】

【実施例】この発明を実施例により具体的に説明する。

【００１０】実施例１ この発明による超音波洗浄法では、反射板を用いること
により超音波の入射板と反射波の位相を合わせ共振させ
ることによって定在波を発生させている。共振距離すな
わち超音波がうまく共振するような振動子〜反射板間の
距離Ｌは(1) 式で表される。

【００１１】Ｌ＝λ／４・（２ｎ−１） (1) ここで、λは超音波の波長、ｎは任意の整数（１、２、
３、……）である。振動子から距離Ｌなる位置に反射板
を設置することで、定在波を発生させることが可能であ
る。図１に示すように、水槽(3) の底に超音波振動子
(2) を水平に設置し、ステンレス鋼製の反射板(1) を振
動子(2) から１４９ｍｍ（共振距離）に固定した。この
状態で、水位、すなわち振動子面から水面までの距離を
１４９、１５９、２００、２３５ｍｍと変化させ、超音
波を垂直に発振し、任意の点における音圧を測定した
（温度：３０℃）。この測定結果を図３に示す。このよ
うに反射板を設置することにより、水位とは無関係に定
在波を生じさせることができる。

【００１２】実施例２ 反射板の設置効果は、振動子が水槽の一方の側壁に沿っ
て垂直に位置する場合も同様に得ることが可能である。
図２にその例を示す。すなわち、超音波を水平に発振す
る超音波振動子(2) を水槽(3) の一方の側壁に沿って垂
直に配置し、対向する側壁に沿ってステンレス鋼（ＳＵ
Ｓ）製の反射板(1) を振動子(2) から１６９ｍｍに固定
した。

【００１３】この状態で、超音波を水平に発振し、任意
の点における音圧を測定した（温度：３０℃、０Ｌ／ｍ
ｉｎ）。この測定結果を図４に示す。

【００１４】なお、水槽(3) の上記対向側壁を反射板と
して利用することも可能である。しかし、反射板を設け
る方が、エロージョンによる水槽壁の損傷を防止するこ
とができ、好ましい。

【００１５】実施例３ 実施例２において、ステンレス鋼製の反射板の代わりに
ポリカーボネート製のものを用い、反射板(1) を振動子
(2) から１４８ｍｍに固定し、その他は実施例２と同様
にして超音波洗浄装置を構成した。実施例２と同様にし
て、ステンレス鋼（ＳＵＳ）製の反射板（厚み：５ｍｍ
と０．２ｍｍ）を用いた場合と、ポリカーボネート製の
反射板を用いた場合の音圧を測定した（温度：３０℃、
０Ｌ／ｍｉｎ、２８ｋＨｚ、２００ｗ）。測定結果を図
５に示す。

【００１６】

【発明の効果】この発明は以上の通り構成されているの
で、次のような効果を発揮する。

【００１７】(1) 洗浄槽の水位とは全く無関係に超音波
を共振させ、定在波を発生させることができる。

【００１８】(2) 自由水面のように液面に“ゆれ”が生
じないため、安定した音圧強度を保った定在波をつくり
出すことができる。

【００１９】(3) 反射板を水槽の側壁に沿って配置した
場合、同側壁に向かって超音波を発振しても、水槽壁の
損傷を招かない。

【図面の簡単な説明】

【図１】垂直発振型の超音波洗浄装置を示す垂直断面図
である。

【図２】水平発振型の超音波洗浄装置を示す垂直断面図
である。

【図３】実施例１における振動子面からの距離と音圧の
関係を示すグラフである。

【図４】実施例２における振動子面からの距離と音圧の
関係を示すグラフである。

【図５】実施例３における振動子面からの距離と音圧の
関係を示すグラフである。

【符号の説明】

１：超音波反射板 ２：超音波振動子 ３：水槽 Ｌ：振動子面から反射板までの距離

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 出口 繁男 大阪市此花区西九条５丁目３番28号 日立 造船株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 超音波洗浄槽内に、振動子面よりλ／４
   ・（２ｎ−１）［λ：波長、ｎ：任意の整数］なる位置
   に、超音波反射板を振動子面と平行に設置することを特
   徴とする、超音波反射板を用いた超音波洗浄法。