JPH06343522A - 昇降機構付吊戸棚 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 吊戸棚の使い勝手およびスペース効率を良く
する。 【構成】 吊戸棚１の裏面収納部１ｂを空間部とし昇降
棚２をスライド移動できる構造とする。昇降棚２の側面
部と裏面収納部１ｂの内側に棚止め金具と係止金具が取
り付けられ、昇降棚２の落下が防止される。裏面収納部
１ｂの上面板１１と吊戸棚１の角部に滑車３ａ，３ｂが
取り付けられ、この滑車３を渡り昇降棚２の上面の略中
央部へ紐４が固定される。紐４の他方の端部へは握り５
が、中間部には紐止め金具７が取り付けられる。また、
吊戸棚２の側面部には紐係止金具６が取り付けられる。
紐４の握り５を下方へ引くと昇降棚２は引き上げられ、
裏面収納部１ｂへ収納される。裏面収納部１ｂへ完全に
収まった状態で紐止め金具７を紐係止金具６へ引っかけ
ることにより昇降棚２は吊戸棚１へ収納された状態で係
留される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、昇降機構付吊戸棚に係
わり、特に、吊戸棚の棚収納部の一部分を上下可能とす
る昇降機構を設けた昇降機構付吊戸棚に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、吊戸棚は一般的に厨房の台所の流
し台の側上面部へ設けられることが多い。台所では、茶
碗・皿・コップ等の食器類，鍋・フライパン等の調理
具，調味料など、大小様々な物を収納するためである。
電気器具化，生活様式の多様化，食生活の高度化等によ
り、これらの調度品は増える傾向にある。また、高年齢
化に伴い上記の収納部の便利さ、使い勝手等への要求も
高まってきている。

【０００３】厨房の空間の有効利用と上記の要求に答え
るために、各種の提案がされている。例えば、実公平4-
49951号公報の昇降吊り戸棚である。この登録実用新案
は、吊り戸棚の上下移動を可能として使い勝手を良くす
ると供に、昇降機構部を固定キャビネット内へ収納し、
外観性能を向上させている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、吊戸棚
は狭いスペースを有効に利用するために、棚の中へ上掲
等の各種の物を隙間無く詰め込むことが多く、使用時の
吊戸棚の重量はかなりの大きさとなる。このため、吊戸
棚を上下移動させるために、構造的な棚の保持力，上下
させるためのパワー等を協力にする必要がある。また上
下移動させるための装置，器具等を収納するために、多
くの空間を必要とする。上記の登録実用新案の様に、外
観的な見栄えを良くしようとすればなおさらである。こ
れらは、厨房の空間の有効利用という面から見れば、本
来の目的と相反することとなる。また、上記の引例の様
に棚全体を上下させても棚の奥へ収納した物は取り出し
難く、前方の物を取り出し、それから奥の目的物を取り
出して、また前方のものを収納し直す、等の作業をしな
ければならない。

【０００５】本発明は、簡単な構造で使い勝手およびス
ペース利用効率が良く、しかも外観的見栄えを損なわな
い昇降機構付吊戸棚を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
め、本発明の昇降機構付吊戸棚は、壁に固定され用いら
れる一部分に空間部を形成した吊戸棚と、上下自在の昇
降棚とを有し、この昇降棚は空間部へ収納および吊戸棚
の下方へ取り出しが可能に構成されたことを特徴として
いる。

【０００７】また、上記の昇降機構付吊戸棚は、空間部
の上方部に滑車を設けこの滑車を介して昇降棚へ紐の一
方の端部が固定され紐の他方の端部の引っ張り操作によ
り昇降棚の上下の移動を行うこととし、さらに、紐に止
め金具と吊戸棚の側面部に係止金具とを有し、止め金具
を係止金具へ引っかけ固定することにより、昇降棚を係
留可能とするとよい。

【０００８】

【作用】したがって、壁に固定され用いられる吊戸棚の
一部に空間部と昇降棚をを設け、吊戸棚をこの空間部へ
収納および取り出しが可能な構造としている。このた
め、使い勝手の悪い吊戸棚の奥側部を昇降棚とすること
ができる。

【０００９】

【実施例】次に添付図面を参照して本発明による昇降機
構付吊戸棚の実施例を詳細に説明する。図１を参照する
と本発明の昇降機構付吊戸棚の第１の実施例が示されて
いる。

【００１０】第１の実施例の昇降機構付吊戸棚１は、前
面収納部１ａ，裏面収納部１ｂ，昇降棚２，２個の滑車
３ａおよび３ｂ，吊り紐４，握り部５，紐係止金具６，
紐止め金具７により構成されている。

【００１１】前面収納部１ａは、収納部全体の前方の収
納部であり、背面収納部１ｂと仕切られ前面に観音式の
扉を有する従来と同型の収納部である。

【００１２】背面収納部１ｂは上述の様に前面収納部１
ａと仕切られており、昇降棚２を収容する空間部であ
る。この空間部の下方内側の両側面には昇降棚２の落下
を防止するための棚係止金具（図示省略）が取り付けら
れている。また、上面板の左右に対し略中央部で空間部
の前後に対し背面側寄りに一方の滑車３ａと、左側面の
角部に他方の滑車３ｂとが設けられている。図２は、一
方の滑車３ａの取り付け状態を概念的に表している。滑
車３は、中心部が軸金具３１へ自由回転状態に取り付け
られており、軸金具３１は上面板１１へ固定されてい
る。上面板１１の一部に長方形状の貫通穴１１１が設け
られており、滑車３の上部が貫通穴１１１から突き出て
いる。他方の側面部の滑車３ｂも角部から突き出た状態
で、前述の一方の滑車３ａと同様の状態に取り付けられ
ている。滑車３の軸金具３１に対し直角方向から見た形
状は、図２（Ｂ）に示すようにＵ字状の溝３２が形成さ
れており、この溝３２に紐４が納められ滑車３は自由回
転する。

【００１３】昇降棚２は、図の前方が解放状態の箱体で
ある。この箱体の上部の両側面外側には、細部が不図示
の外側へ凸状の棚止め金具が取り付けられている。この
止め金具と背面収納部１ｂへ取り付けられた棚係止金具
とで、この昇降棚２の落下が防止される。昇降棚２は背
面収納部１ｂに対し引き出し状に構成されており、上下
移動の可能な状態で構成される。昇降棚２の背面収納部
１ｂへの取付は、例えば、背面収納部１ｂの上面板１１
を取り外して上部よりスライド挿入する。本棚１は、紐
４で吊られており、最上部へ引き上げられた時に最下部
が前面収納部１ａの低面と同位置となるように構成され
ている。紐４を緩めることにより本昇降棚２は下方へ降
り、棚係止金具と棚止め金具とにより下方への移動が止
められる位置が最下部の状態となる。また、昇降棚２の
前面の下方の一部に折り返し状の板２１が設けられてい
るのは、昇降棚２へ収納した物が昇降棚２の上下移動時
に、この棚から落下しないように配慮して設けられてい
る。

【００１４】昇降棚２には紐４が取り付けられる。紐４
は一方の端が昇降棚２の上部の略中央部に取り付けら
れ、上面板１１へ取り付けられた滑車３ａから側面部の
滑車３ｂへ渡り、吊戸棚１の左側面へ垂れ下がった状態
とされる。紐４の他方の端部へは握り５が、また、中間
部には紐止め金具７が取り付けられる。紐４は昇降棚２
の重量を保持するに十分な強度を持ち、且つ、滑車３に
沿って上下可能な柔軟性のあるものが選択される。紐４
と滑車３の位置関係は図２に示されており、昇降棚２の
上面部から紐４は略垂直に立ち上がり、上面板１１の貫
通穴１１１を抜け滑車３の溝３２に沿って直角に曲が
り、上面板１１１と略平行に左側面部へ渡り、角部の滑
車３ｂの溝３２に沿って直角に曲がり、吊戸棚１の側面
に沿って下方に垂れ下がり、握り５に達する。

【００１５】紐４の中間部の紐止め金具７の形状と紐４
への取り付け状態が図３に示されている。紐止め金具７
は、凹状の金具であり、金具の中央部を紐４が貫通し、
紐４と紐止め金具７とは強固に固定されている。また、
吊戸棚１の下方の左側面部には、紐係止金具６が取り付
けられている。紐係止金具６は、熊手状をした金具であ
り、紐４に取り付けられた紐止め金具７を引っかけるた
めの金具である。紐係止金具６と紐止め金具７との位置
関係は、紐４を最下方へ引き下げたとき紐止め金具７を
紐係止金具６へ引っかけられる位置に紐係止金具６が取
り付けられている。図４は、紐係止金具６の吊戸棚１へ
の取り付けと、紐４に取り付けられた紐止め金具７との
関係を表している。

【００１６】図１は、昇降棚２が吊戸棚１から降ろされ
た状態、つまり最下位に位置した状態を表している。こ
の状態で紐４へは、荷重が加わっていない。紐止め金具
７は吊戸棚１の上方角部の滑車３ｂの直前に在る。紐４
の握り５を引き下げると紐４は昇降棚２の荷重が加わ
り、紐４の下方への移動分が相対的に昇降棚２が上に上
がる。紐４を目いっぱい下方に引くと、昇降棚２は、背
面収納部１ｂへ全部が収まる。この状態での紐止め金具
７は紐係止金具６の位置と略同位置となり、紐止め金具
７を紐係止金具６へ係止させることができる。この係止
によって、昇降棚２は吊戸棚１へ収納された状態で固定
される。また、紐４を引き下げて紐止め金具７を紐係止
金具６から外すことにより、昇降棚２を下へ降ろすこと
ができる。

【００１７】図５は本発明の昇降機構付吊戸棚の第２の
実施例を示している。本図の部品番号は第１の実施例と
同一機能部の部品番号と同一としている。本実施例と上
述の第１の実施例との主な相違点は、昇降棚２の構成部
分にある。吊戸棚１に占める昇降棚２の部分は、第１の
実施例が略１／２であるのに対し第２の実施例では１／
４となっている。本実施例の吊戸棚２の部屋割り構成
は、全体を３つ割とし、上側１／２と下側１／４が固定
式の従来通りの棚とし、残りの１／４の部分を昇降棚２
としている。使い勝手，吊戸棚１の取り付けた状態での
下方部のスペースの大きさ等を考慮して、構成に変化を
持たせている。吊戸棚２を上下させる機構部は第１の実
施例と同じでよく図示は省略している。但し、本実施例
の場合は、背面収納部１ｂから上面板１１との間の吊戸
棚１／２部へパイプ，仕切溝等で紐の通路を設けると良
い。

【００１８】上記の第１および第２の実施例の昇降機構
付吊戸棚によれば、昇降棚が簡単な機構および構造で構
成される。駆動電源が不要である。吊戸棚の奥の使い難
い部分を上下させることにより、戸棚の利用効率を上げ
ることができる。第２の実施例では、吊戸棚の下方の空
間が小さい場合にも昇降機構付吊戸棚を取り付けること
ができる。また、吊戸棚が多数に分割され大物，小物等
の収納物により選別収納することにより使い勝手が向上
する。

【００１９】尚、上述の実施例は本発明の好適な実施の
一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の
要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能であ
る。例えば、昇降戸棚の上下機構部は紐式でなく棒を用
いたアーム式等もある。実施例の紐式においても、係止
金具を複数設けて階段的に吊戸棚を固定できる構造とす
る。握りを重石を兼用させ、吊戸棚と重量バランスをと
り、上下移動を容易化する。更に、ラッチ機構を設け昇
降戸棚の下方の板に握りを設け、昇降戸棚自体を上下移
動させる構造とするのも良い。

【００２０】

【発明の効果】このように本発明による昇降機構付吊戸
棚によれば、吊戸棚の一部が空間部とされ昇降棚がこの
空間部へ収納可能に構成されるので、奥側の背面部を昇
降棚とする事により、使い勝手およびスペース利用効率
が向上する。又、小空間部の昇降棚であるため可動部が
軽量にでき、簡単な機構で上下移動をさせることができ
る。複雑な機構部が不要であるため安価にできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の昇降機構付吊戸棚の第１の実施例の全
体構成を示す斜視外観図である。

【図２】滑車の機構を説明するための図であり、（Ａ）
が概念的な斜視図、（Ｂ）が正面図である。

【図３】紐と紐止め金具の取り付け状態を説明するため
の正面図である。

【図４】紐係止金具と紐止め金具の引っかけ固定の関係
を説明するための図であり、（Ａ）が吊戸棚の側面に取
り付けられた紐係止金具と紐係止金具へ紐を引っかけた
状態の正面図、（Ｂ）が側面図である。

【図５】本発明の昇降機構付吊戸棚の第２の実施例の吊
戸棚の構成を示す斜視外観図である。

【符号の説明】

１ 吊戸棚 １ａ 前面収納部 １ｂ 裏面収納部 ２ 昇降棚 ３、３ａ、３ｂ 滑車 ４ 紐 ５ 握り ６ 紐係止金具 ７ 紐止め金具 １１ 上面板 ２１ 折り返し状の板

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 壁に固定され用いられる一部分に空間部
   を形成した吊戸棚と、上下自在の昇降棚とを有し、該昇
   降棚は前記空間部へ収納および前記吊戸棚の下方へ取り
   出しが可能に構成されたことを特徴とする昇降機構付吊
   戸棚。
2. 【請求項２】 前記昇降機構付吊戸棚は前記空間部の上
   方部に滑車を設け該滑車を介して前記昇降棚へ紐の一方
   の端部が固定され紐の他方の端部の引っ張り操作により
   前記昇降棚の上下の移動を行うことを特徴とする請求項
   １記載の昇降機構付吊戸棚。
3. 【請求項３】 上記の昇降機構付吊戸棚は、さらに紐に
   止め金具と前記吊戸棚の側面部に係止金具とを有してお
   り、前記止め金具を前記係止金具へ引っかけ固定するこ
   とにより、前記昇降棚を係留可能としたことを特徴とす
   る請求項１または請求項２記載の昇降機構付吊戸棚。